JPH09155108A - シングルチェーン・フライト式汚泥掻き寄せ機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で部品点数が少なく、組立てに熟
練と手間を要せず、耐食性に優れ、故障の起こりにくい
チェーン・フライト式汚泥掻き寄せ機の提供。 【解決手段】 沈殿池１の前方上方に駆動装置により駆
動される中央部にスプロケット９を設けた駆動軸１２を
配設し、沈殿池の前方下部および後方下部に各々の中央
部にスプロケット９を有する前部従動軸７及び後部テー
クアップ軸８を設けて各スプロケット９にチェーン６を
架け渡し、沈殿池の側壁下方の前後に延在する溝形鋼ガ
イド４を設け、フライトを溶着したガイドローラ軸１４
をガイド溝に嵌合し、ガイドローラー軸１４の中央部に
フライトと直角に溶着した棒鋼製引張具１５を設け、前
部従動軸及び後部従動軸間に架け渡したガイドローラ前
方のチェーン６の後端を引張具１５の先端に、ガイドロ
ーラ後方のチェーン６の前端をフライトの先端部に係着
し、ガイドローラを前方に駆動するときはフライトを垂
下し、後方に駆動するときはフライトを後方に上昇して
往復運動させるシングルチェーン・フライト式汚泥掻き
寄せ機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、下水処理場の最終
沈殿池および最終沈殿池の池底に沈殿した汚泥をかき寄
せるための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の移動式汚泥掻き寄せ機は、チェー
ン・フライト式、ミーダー式および真空吸引式などがあ
り、これらはいずれも全て駆動機構は複数の機構からな
っている。即ち、チェーン・フライト式では、相対する
２列のチェーン列を運行の基本とし、この２列のチェー
ン間に吊架した多数のフライトで汚泥を掻き寄せして掻
き寄せピット運ぶ構造のものである。これはそれぞれの
チェーンに吊架した多数のフライトの重量により垂れ下
がったものを保持するため、池底の左右の２条のレール
を設置し、また、上部には左右のガイドレールを設置
し、フライトが池底レールと上部レールの上を一方向に
移動するバイレール機構となっている。また、ミーダー
式および真空吸引式は、沈殿池上に大型設備を搭載する
ことに対応可能な２本のレールを付設している。

【０００３】上記の従来のチェーン・フライト式の移動
式汚泥掻き寄せ機をさらに詳細に述べると、チェーンの
数が２本、フライトを１０本ないし２０本使用し、池底
レールは２本を付設し、また、チェーンをかける軸にス
プロケットを設けるが、スプロケットの数は軸１本につ
き２個必要であり、軸の素材は炭素鋼からなり、駆動装
置は正転のみである。また、レールブラケットは数量、
種類ともに多数必要である。そして、この機構の組立
は、２条のチェーンを左右同期して動かす必要があるの
で、軸のスプロケットの歯の位置を左右同じに合わせる
必要があり、このため組立てに高度の熟練を要し、か
つ、手間がかかり、作業効率が悪いものである。さらに
スプロケットの材質はダクタイル鋳鉄または合成樹脂製
で形状は複雑である。特に池底レールと上部レールの上
をフライトは一方向にのみ移動する。このように移動の
方向が１方向のみであるので、作業効率と効果の点にお
いて大幅な向上が求められていた。またコスト面からも
抜本的な改良方法が模索されていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記の従来のチェーン・フライト式の移動
式汚泥掻き寄せ機の問題点を解消するもので、構造が簡
単で、形状も単純で、部品の点数も少なく、機構の組立
て据え付けに熟練技術を必要とせず、かつ組立てに手間
がかからず作業効率がよく、コストパフォーマンスがよ
く、また耐食性がよく、少ない部品で故障の起こりにく
い移動式汚泥掻き寄せ機を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の手段は、請求項１の発明では、チェーンで
引張るガイドローラに取付けたフライトで沈殿池の汚泥
を掻き寄せるチェーン・フライト式汚泥掻き寄せ機にお
いて、沈殿池の上方に駆動装置により正逆回転される左
右方向の駆動軸を配設し、駆動軸の中央部にスプロケッ
トを設け、沈殿池の前方下部および後方下部に左右方向
の前部従動軸及びテークアップ軸を配設し、前部従動軸
及びテークアップ軸の各々の中央部にスプロケットを設
け、駆動軸、前部従動軸及びテークアップ軸を経て再び
駆動軸に到るチェーンを各々のスプロケットに架け渡
し、沈殿池の左右側壁の下方に前後に延在する溝形鋼か
らなるガイドをブラケットにより配設し、矩形状の鋼板
製のフライトを溶着したガイドローラを溝形鋼ガイドの
溝に嵌合し、ガイドローラーのガイドローラー軸の中央
部に鋼板製のフライトと直角方向の角度をなして溶接さ
れた棒鋼からなる引張具を配設し、前部従動軸及びテー
クアップ軸の間に架け渡されたチェーンのうちガイドロ
ーラ前方のチェーンの後端を引張具の先端に係着し、ガ
イドローラ後方のチェーンの前端を鋼板製のフライトの
先端部に係着し、ガイドローラを沈殿池前方へ往路を駆
動するときはフライトを垂下し、後方に復路を駆動する
ときはフライトを後方水平に上昇して前部従動軸及びテ
ークアップ軸の間を往復運動することを特徴とするシン
グルチェーン・フライト式汚泥掻き寄せ機である。

【０００６】請求項２の発明では、フライトの復路の速
度を往路の速度より大とする可変速・減速機を駆動装置
に備えたことを特徴とする請求項１の手段におけるシン
グルチェーン・フライト式汚泥掻き寄せ機である。

【０００７】請求項３の発明では、フライトの往復動の
速度を自由に変速しうる可変速・減速機を駆動装置に備
えたことを特徴とする請求項１または請求項２の手段に
おけるシングルチェーン・フライト式汚泥掻き寄せ機で
ある。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。図１には左右に平行して２つの汚泥沈殿
池１があり、各沈殿池１には長手方向に側壁２が左右両
側にあり、前方には掻き寄せた汚泥を溜める掻き寄せピ
ット３が設けられている。沈殿池１は図２に見られるよ
うに前方の掻き寄せピット３側がやや深くなるように傾
斜している。側壁２には図４に示すように断面コの字型
の溝を有する溝型鋼からなる溝型鋼ガイド４が側壁２の
要所毎に取り付けられたブラケット５により沈殿池１の
長手方向全長にわたって配設されている。図２に示すよ
うに沈殿池１の池底１７側には前方の掻き寄せピット３
に臨んで従動軸７が、また、後方にはテークアップ軸８
が設けられている。さらに、沈殿池１の中央上方には同
じく従動軸７が設けられている。また、掻き寄せピット
３の上部には駆動軸１２が設けられている。各従動軸
７、７、テークアップ軸８及び駆動軸１２にはそれぞれ
スプロケット９が各１個取り付けられている。そして、
チェーン６がこれらのスプロケット９に掛け回されてい
る。駆動軸１２には平行にさらにもう１個のスプロケッ
ト９が取り付けられており、このスプロケット９にはさ
らに上方に設けられた駆動モーター１０で駆動される駆
動モーター軸１１に取り付けられたスプロケット９から
駆動チェーン１３が掛け回されている。駆動モーター１
０には可変速・減速機が設けられており、この可変速・
減速機から駆動モーター軸１１に駆動力が伝えられる。
駆動モーター１０が運転されると駆動チェーン１３で駆
動軸１２が回転され、この回転がチェーン６に伝えられ
各従動軸７及びテークアップ軸８の周りをチェーン６が
回動される。

【０００９】沈殿池１の下方の従動軸７とテークアップ
軸８の間には、溝型鋼ガイド４の溝内にガイドローラ２
０により嵌合されて沈殿池１を前後に可動するガイドロ
ーラ軸１４がある。ガイドローラ軸１４には下側に下げ
たとき沈殿池１の池底１７の汚泥１８を掻き寄せる矩形
状の鋼鉄製のフライト１６が溶接により溶着されてい
る。さらに、フライト１６と直角の角度をなして前方に
向けて棒鋼からなる引張具１５が溶接で溶着されてい
る。図に示すものは２本の棒鋼を２等辺としフライト１
６を他の１辺とする２等辺三角形状に溶着して引張具１
５としている。従って引張具１５とフライト１６は常に
直角をなし、引張具１５を水平に前方に向けるとフライ
ト１６は常に鉛直に垂下して池底１７に向く。引張具１
５の先端はチェーン６の一端に係合されている。また、
フライト１６の先端側の中央部にはチェーン６の他の一
端が係合されている。従って、本発明では１つの沈殿池
１を１本チェーン６が掛け回され、この１本のチェーン
６には１個のフライト１６が配設されている。各従動軸
７、テークアップ軸８、駆動軸１１、或いは各スプロケ
ツト９、ガイドローラ軸１４、ガイドローラ２０及び溝
型鋼ガイド４、チェーン６、更に、フライト１６や引張
具１５は全て耐食性を考慮してＳＵＳ３０４のステンレ
ス鋼で製造するのがよい。

【００１０】本発明では、溝型鋼ガイド４及びチェーン
６を延長して水上にあげることにより、さらに水抜きを
することなく、チェーン６或いはフライト１６の交換が
可能である。

【００１１】本発明の装置の作動状態を説明する。図２
は図の右方向の沈殿池１の前方側の矢印Ｘ方向の往路に
駆動中の状態を示している。この場合、駆動モーター１
０の駆動力可変速・減速機により半分の速さに減速され
て駆動モーター軸１１から駆動チェーン１３により駆動
軸１２に時計周りに回転が伝えられる。従って、時計周
りにチェーン６が回動し、掻き寄せピット３側の従動軸
７を経て引張具１５の先端がチェーン６により引っ張ら
れるので、図のように、引張具１５は水平に起こされ
る。このため、フライト１６は池底１７側に垂直に垂下
され前方のＸ方向に汚泥１８を掻いて移動させられる。
この状態を図５に拡大して示す。この時フライト１６に
係合されているチェーン６は多少弛んで移動させられ
る。前方の掻き寄せピット３側の溝型鋼ガイド４の先端
までフライト１６が移動して掻き寄せた汚泥を掻き寄せ
ピット３に落とすと、駆動モーター１０は逆転され、従
ってチェーン６は、図６に示すように矢印Ｙ方向に移動
される。この場合、駆動モーター１０は可変速・減速機
により減速されること無く伝達されるので、チェーン６
の復路の動きは往路の２倍の速さで移動される。そして
この場合、フライト１６の中央部がチェーン６の後端６
で図６の右側へひっぱりれるのでフライト１６は右側に
持ち上げられる。従って、復路では池底１７に溜まった
汚泥１８をフライト１６で掻き寄せることはない。ま
た、引張具１５は下に向けられるが、引張具１５は棒鋼
からなっているので、汚泥の部分に例え先端が達しても
汚泥を掻き寄せることはない。

【００１２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は従来の装
置のように多数の部材を必要とせず、また、チェーンが
１本であるので、従来の２本のチェーンの場合のように
スプロケットの歯の位置合わせの必要がなくチェーンを
容易にスプロケットに掛けることができ、装置の組立に
熟練を要せず、短時間で組み立てられる。また、優れた
効果を有する。さらに、往復可動とし、復路を往路の２
倍の速さとしたので、効率よく運転できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の汚泥掻き寄せ機を設置した沈殿池の平
面概略図である。

【図２】本発明の汚泥掻き寄せ機を設置した沈殿池の側
面断面図である。

【図３】本発明の汚泥掻き寄せ機を設置した沈殿池の正
面断面図である。

【図４】本発明の汚泥掻き寄せ機のガイドローラの溝型
鋼への嵌合状態を示す説明図である。

【図５】本発明の汚泥掻き寄せ機のフライトの往路作動
状態を示す図である。

【図６】本発明の汚泥掻き寄せ機のフライトの復路作動
状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 沈殿池 ２ 側壁 ３ 掻き寄せピット ４ 溝型鋼ガイド ５ ブラケット ６ チェーン ７ 従動軸 ８ テークアップ軸 ９ スプロケット １０ 駆動モーター １１ 駆動モーター軸 １２ 駆動軸 １３ 駆動チェーン １４ ガイドローラ軸 １５ 引張具 １６ フライト １７ 池底 １８ 汚泥 １９ 溝 ２０ ガイドローラ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チェーンで引張るガイドローラに取付け
   たフライトで沈殿池の汚泥を掻き寄せるチェーン・フラ
   イト式汚泥掻き寄せ機において、沈殿池の上方に駆動装
   置により正逆回転される左右方向の駆動軸を配設し、駆
   動軸の中央部にスプロケットを設け、沈殿池の前方下部
   および後方下部に左右方向の前部従動軸及びテークアッ
   プ軸を配設し、前部従動軸及びテークアップ軸の各々の
   中央部にスプロケットを設け、駆動軸、前部従動軸及び
   テークアップ軸を経て再び駆動軸に到るチェーンを各々
   のスプロケットに架け渡し、沈殿池の左右側壁の下方に
   前後に延在する溝形鋼からなるガイドをブラケットによ
   り配設し、矩形状の鋼板製のフライトを溶着したガイド
   ローラを溝形鋼ガイドの溝に嵌合し、ガイドローラーの
   ガイドローラー軸の中央部に鋼板製のフライトと直角方
   向の角度をなして溶接された棒鋼からなる引張具を配設
   し、前部従動軸及びテークアップ軸の間に架け渡された
   チェーンのうちガイドローラ前方のチェーンの後端を引
   張具の先端に係着し、ガイドローラ後方のチェーンの前
   端を鋼板製のフライトの先端部に係着し、ガイドローラ
   を沈殿池前方へ往路を駆動するときはフライトを垂下
   し、後方に復路を駆動するときはフライトを後方水平に
   上昇して前部従動軸及びテークアップ軸の間を往復運動
   することを特徴とするシングルチェーン・フライト式汚
   泥掻き寄せ機。
2. 【請求項２】 フライトの復路の速度を往路の速度より
   大とする可変速・減速機を駆動装置に備えたことを特徴
   とする請求項１記載のシングルチェーン・フライト式汚
   泥掻き寄せ機。
3. 【請求項３】 フライトの往復動の速度を自由に変速し
   うる可変速・減速機を駆動装置に備えたことを特徴とす
   る請求項１または請求項２の手段におけるシングルチェ
   ーン・フライト式汚泥掻き寄せ機。