JP5153203B2 - インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法を利用したプリンターに使用されるインクジェット記録媒体、及びこのインクジェット記録媒体上に水系顔料インクによって画像を形成するインクジェット記録方法に関するものである。
最近、インクジェット記録方法による大判インクジェットプリンターが普及しつつある。この理由は、高速で多色の高画質な写真画像、アート画像、オフィス文章、CAD画像などの多種多様の印画物が1台のインクジェットプリンターから簡単に得られるためである。
例えば、このインクジェットプリンターによって、掲示画像を頻繁に取り替える屋内または屋外用の掲示ポスターを作製することができる。この場合、特に一度に大量部数のポスターを必要としない利用者にとっては、原版を必要とする印刷と比べてコスト的にも作製時間的にも、更には装置の設置スペース的にも大きなメリットがある。
一般に掲示ポスターには、その用途上、耐光性、耐ガス性、耐オゾン性、耐水性等の各種の堅牢性が要求され、特に、屋外用の掲示ポスターにおいては、インク色剤として顔料よりなるものが使用されている。しかしながら、顔料インク種によっては、光沢・半光沢紙上に形成した画像は、例えば人の爪などによって擦過されることにより顔料インクが多孔質インク受容層表面から容易に剥離してしまう場合があった。この結果、多孔質インク受容層の白地部分が露出することとなっていた。
この理由としては、以下のように考えられる。すなわち、通常、顔料インクの粒子径は約100nm程度であり、一方、光沢・半光沢紙の多孔質インク受容層表面を構成する無機微粒子の平均2次粒子径は顔料インクと同程度の50〜200nmである。従って、この顔料インクとインクジェット記録媒体を用いてインクジェット記録を行うと、多孔質インク受容層上に印画された顔料インクが、単に多孔質インク受容層の表面に付着しているだけの状態となる。この結果、外部からの擦過に対して耐性が低くなる(擦過され易くなる)ためである。
このような問題を解決するために、インクジェット記録方法により印画物を得た後、ラミネート加工などの後処理を行うことが一般に行われている(特許文献1)。
一方、特許文献2〜4には、多孔質インク受容層中にシリコーンオイルを含有させる発明が開示されている。具体的には、特許文献2には、インクジェット記録媒体に顔料インク適性があること、シリコーンオイルがインク受容性、ドット再現性に効果があることが開示されている。特許文献3には、インク吸収層にシリコーンオイルを添加することにより、光沢性を低下させず、スムーズな搬送性が実現できることが開示されている。特許文献4には、記録層にシリコーン系撥水剤を含有することにより、記録層表面の接触角を調整することが開示されている。これらの特許文献では、主に親水性の高いシリコーンオイルが用いられており、その含有量も非常に少量となっている。
特開2002−264266号公報 特開平10−287036号公報 特開平11−58933号公報 特開平8−282095号公報
近年、インクジェットプリンターでは鮮鋭性・写像性の高い写真画像を形成することが要求されており、光沢性の高い印画物が得られるインクジェット記録媒体の開発が求められている。しかしながら、従来のインクジェット記録媒体(特許文献2等)では、光沢性が高く、擦過性を満足する印画物の形成は未だ困難であった。
この理由としては、以下のように考えられる。すなわち、通常、顔料インクの粒子径は約100nm程度であり、一方、光沢・半光沢紙の多孔質インク受容層表面を構成する無機微粒子の平均2次粒子径は顔料インクと同程度の50〜200nmである。従って、この顔料インクとインクジェット記録媒体を用いてインクジェット記録を行うと、多孔質インク受容層上に印画された顔料インクが、単に多孔質インク受容層の表面に付着しているだけの状態となる。この結果、外部からの擦過に対して耐性が低くなる(擦過され易くなる)ためである。
一方、特許文献1に記載の方法では、ラミネート加工のための工程が増え、またコストアップに繋がり、更にはインクジェット記録媒体本来の表面風合いを損なってしまうといった問題があった。また、特許文献2〜4では、インク受容層中の、シリコーンオイルの分布や使用量について十分に検討されていなかった。
そこで、本発明の目的は、水性顔料インクを用いてインクジェット記録を行った場合に、高光沢な表面性を有し、高画質・高品位な印画物が得られるインクジェット記録媒体を提供することである。また、これと同時に例えば、爪等による強度の擦過にも耐えうるほどの高い耐擦過性を持つインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有することを特徴とする。
.基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に設けられた2層以上からなる多孔質インク受容層と、を有する水系顔料インク用のインクジェット記録媒体であって、
前記多孔質インク受容層の最表層は、コロイダルシリカを含有し、かつ、その厚みが1μm以下であり、
前記多孔質インク受容層の最表層の直下の層は、HLB値が7以下の擦過性改良剤を含有する層であって、前記HLB値が7以下の擦過性改良剤を溶解させた塗工液を塗工することで得られることを特徴とするインクジェット記録媒体。
前記多孔質インク受容層の最表層の直下の層の前記擦過性改良剤が、シリコーンオイルであることを特徴とする上記1に記載のインクジェット記録媒体。
3.前記多孔質インク受容層の最表層の直下の層の、前記擦過性改良剤の含有量が0.1質量%以上、15質量%以下であり、かつ、ポア体積の割合が、30%以上であることを特徴とする上記1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
4.前記シリコーンオイルの重量平均分子量が、3000以上、30000以下であることを特徴とする上記2又は3に記載のインクジェット記録媒体。
5.前記シリコーンオイルが、ポリエーテル変性シリコーンオイルであることを特徴とする上記2からの何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
6.前記擦過性改良剤の比重が、1.1以下であることを特徴とする上記1から5の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
7.前記多孔質インク受容層の最表層が、HLB値が7以下の擦過性改良剤を含有しないことを特徴とする上記1から6の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
8.インクジェット記録方法により、上記1からの何れか1項に記載のインクジェット記録媒体の多孔質インク受容層側に水系顔料インクを付与して、画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明のインクジェット記録媒体は、多孔質インク受容層の最表層又は最表層の直下の層内に、擦過性改良剤が含有されている。また、この擦過性改良剤は、HLB値が7以下の疎水性となっている。従って、本発明のインクジェット記録媒体に印画後、多孔質インク受容層中に含まれる擦過性改良剤が、水系顔料インクが印画された多孔質インク受容層の最表層の表面側に移動する。これにより、水系顔料インクが印画されたインクジェット記録媒体表面の摩擦係数は低いものとなる。この結果、印画後にインクジェット記録媒体表面に、別途、コーティング剤の塗工などを行わなくとも、外部からの擦過に対する耐性が高いものとすることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
1.第一のインクジェット記録媒体
本発明の第一のインクジェット記録媒体は、基材と、基材の少なくとも一方の面上に設けられた1層以上からなる多孔質インク受容層と、を有する水系顔料インク用の記録媒体である。そして、多孔質インク受容層の最表層(最も表面にある層)は擦過性改良剤を含有している。この擦過性改良剤は水系顔料インクを印画後の最表層の表面を摩擦係数の低い状態とすることが可能であり、かつHLB値が7以下となっている。なお、HLB値は、下記式(1)で表されるグリフィンの式により求めるものである。
HLB=(親水基の分子量/擦過性改良剤全体の分子量)×20
――――――――――――(1)。
また、本インクジェット記録媒体は、基材上に設けられる多孔質インク受容層は1層であっても、複数の層であっても良いが、多孔質インク受容層の最表層(最も表面にある層)中のみに擦過性改良剤を含有する必要がある。また、本インクジェット記録媒体は、基材の一方の面上に上記多孔質インク受容層が設けられていても、基材の両面上に上記多孔質インク受容層が設けられていても良い。
図1は、本発明の第一のインクジェット記録媒体の一例を示す概略断面図である。図1に示すインクジェット記録媒体は、基材(A)の一方の面上には、無機微粒子と、バインダー樹脂と、擦過性改良剤(C)を含有する多孔質インク受容層(B)が形成されている。
次に、図3及び4を用いて、本インクジェット記録媒体に、水系顔料インクを印画したときの機能作用を以下に説明する。図3及び4において、1は基材、2は多孔質インク受容層の最表層、3は擦過性改良剤を表す。なお、擦過性改良剤は模式的に粒子として表したものであり、実際は図3及び4のような粒子として多孔質インク受容層中に存在しているわけではない。
まず、インクジェット記録方法により、水系顔料インク4を多孔質インク受容層2に向かって打ち出すと(図3(a))、水系顔料インク4が多孔質インク受容層2の表面に印画される(図3(b))。このようにして印画された水系顔料インク4の色剤成分は多孔質インク受容層2の表面上に残留して、水系顔料インクの層5を形成する。また、これと同時に、多孔質インク受容層2中に水系顔料インクの溶剤成分(親水性の成分又は水)が矢印6のように浸透し、この溶剤成分が擦過性改良剤3と接することとなる(図4(a))。この結果、疎水性の擦過性改良剤が、その撥水性により水系顔料インクの溶剤成分から離れるように、多孔質インク受容層2の表面に移動し、最終的に水系顔料インクの層5をコーティングする。本インクジェット記録媒体では、以上のようにして、印画された記録媒体表面の摩擦係数が低く、外部からの耐擦過性に優れたものになるものと考えられる。
2.第二のインクジェット記録媒体
また、本発明の第二のインクジェット記録媒体は、基材と、基材の少なくとも一方の面上に設けられた2層以上からなる多孔質インク受容層と、を有する水系顔料インク用の記録媒体である。そして、多孔質インク受容層の最表層は、コロイダルシリカを含有し、かつ、その厚みが1μm以下となっている。また、多孔質インク受容層の最表層の直下の層(最表層に接してその下部に存在する層)のみが、擦過性改良剤を含有している。この擦過性改良剤は水系顔料インクを印画後の最表層の表面を摩擦係数の低い状態とすることが可能であり、かつHLB値が7以下となっている。ここで、HLB値は、下記式(1)で表されるグリフィンの式により求めるものである。
HLB=(親水基の分子量/擦過性改良剤全体の分子量)×20
――――――――――――(1)。
なお、本インクジェット記録媒体は、基材上に設けられる多孔質インク受容層は2層以上であれば、その層の数は特に限定されない。しかし、多孔質インク受容層の最表層(最も表面にある層)の直下の層は、擦過性改良剤を含有する必要がある。また、本インクジェット記録媒体は、基材の一方の面上に上記多孔質インク受容層が設けられていても、基材の両面上に上記多孔質インク受容層が設けられていても良い。
図2は、本発明の第二のインクジェット記録媒体の一例を示す概略断面図である。図2に示すインクジェット記録媒体は、基材(A)の一方の面上に、無機微粒子と、バインダー樹脂と、疎水性の擦過性改良剤(C)を含有する多孔質インク受容層(B)が形成されている。そして、この多孔質インク受容層(B)上に、更にコロイダルシリカ(D)と、バインダー樹脂を含有し、厚みが1μm以下の多孔質インク受容層(E)が形成されている。
次に、図5及び6を用いて、本インクジェット記録媒体に、水系顔料インクを印画したときの機能作用を以下に説明する。図5及び6において、1は基材、2は多孔質インク受容層の最表層直下の層、3は擦過性改良剤、7は多孔質インク受容層の最表層を表す。なお、擦過性改良剤は模式的に粒子として表したものであり、実際は図5及び6のような粒子として多孔質インク受容層中に存在しているわけではない。
まず、インクジェット記録方法により、水系顔料インク4を多孔質インク受容層7に向かって打ち出すと(図5(a))、水系顔料インク4が多孔質インク受容層7の表面に印画される(図5(b))。このようにして印画された水系顔料インク4の色剤成分は多孔質インク受容層7の表面上に残留して、水系顔料インクの層5を形成する。また、これと同時に、多孔質インク受容層7及び2中に水系顔料インク4の溶剤成分(親水性の成分又は水)が矢印6のように浸透し、この溶剤成分が擦過性改良剤3と接することとなる(図6(a))。
なお、ここで、多孔質インク受容層7中に多量の擦過性改良剤3が含有されていると、多孔質インク受容層7内への水系顔料インク4の溶剤成分の吸収が妨げられる場合がある。この結果、水系顔料インク4の定着スピードの低下や、ビーディング(インクはじき)が発生する場合がある。これに対して、本インクジェット記録媒体は、多孔質インク受容層7中にコロイダルシリカを含有しており、その厚みが1μm以下となっている。このコロイダルシリカは透明性が高く、それ自体、水系顔料インクの溶剤成分を大量に保持する為の細孔を有さない。また、多孔質インク受容層7は1μm以下と薄くなっている。このため、水系顔料インクの溶剤成分を、大きな吸収速度・吸収容量で、その直下の多孔質インク受容層2にまで浸透させることができる。また、水系顔料インクの色剤成分を最終的に、多孔質インク受容層7の表面又はその内部に定着させることができる。
さらに、本インクジェット記録媒体では、擦過性改良剤を含有する層2上に、最初に水系顔料インクが印画される層7が設けられており、これら両層2と7は互いに異なる層となっている。このため、色剤成分と分離して多孔質インク受容層7内に浸透してきた溶剤成分と、擦過性改良剤3との接触効率が高くなる。また、多孔質インク受容層7内には水系顔料インク4の溶剤成分が少量しか存在できないため、擦過性改良剤3の多孔質インク受容層7中への移動効率が高まる。この結果、本インクジェット記録媒体では、擦過性改良剤を高い効率で顔料インクの色剤成分の表面のコーティングに寄与させることができ、その上、コーティングスピードも高いものとなる。
すなわち、疎水性の擦過性改良剤が、その撥水性により水系顔料インクの溶剤成分から離れるように、多孔質インク受容層7の表面に移動し、最終的に水系顔料インクの層5をコーティングする。本インクジェット記録媒体では、以上のようにして、印画された記録媒体表面の摩擦係数が低く、外部からの耐擦過性に優れたものになるものと考えられる。
以上のように、本発明の第一及び第二のインクジェット記録媒体では、多孔質インク受容層中に、疎水性の(HLBが7以下の)擦過性改良剤を含有する。ここで、疎水性の擦過性改良剤の代わりに親水性の(HLBが7を超える)材料(以下、この材料を「親水性材料」と記載する。)を使用すると、この親水性材料は水系顔料インクの溶剤成分と親和性が高い。このため、水系顔料インクの溶剤成分が親水性材料の存在する領域中に浸透してきても、この親水性材料は水系顔料インク層側に移動しにくくなる。また、親水性材料は印画された水系顔料インクの色剤成分とも親和性が高くなるため、たとえ親水性材料が顔料インク層5側に移動した場合であっても、この水系顔料インクの色剤成分中に取り込まれてしまう。この結果、水系顔料インク層5の表面をコーティングできなくなる場合がある。
引用文献2〜4のインクジェット記録媒体上に水性顔料インクによって印画した場合、外部からの擦過に対して顔料インクが剥離しやすいが、その理由は上記の理由によるものと思われる。
また、本発明の第一及び第二のインクジェット記録媒体は、高光沢な表面性を有するものから低光沢な表面性(半光沢、絹目等)を有するものまで、多種多様な表面風合いのものとすることができる。
次に、図1及び2に示した、本発明の第一及び第二のインクジェット記録媒体の各層の材料構成について説明する。
<基材(A)>
多孔質インク受容層を設けるべき基材としては特に限定されるものではなく、主に紙又はプラスチックシートが使用され、透明であっても不透明であっても良い。紙としては例えば、上質紙、印画紙原紙、画用紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、バライタ紙、クラフト紙、含浸紙、合成紙、ユポ紙、レジンコート紙等が挙げられ、適宜、用途に応じて使用することができる。また、プラスチックシートとしては例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等が挙げられ、適宜、用途に応じて使用することができる。
特に、レジンコート紙が平滑な表面を持つ場合、その上に形成された多孔質インク受容層の表面は高光沢な風合いを得ることができる。また、レジンコート紙が凹凸のある表面を持つ場合、その凹凸の高さ及びピッチ間距離によって、多孔質インク受容層の表面は絹目、半光沢、微光沢、ラスター、サテン等の風合いを得ることができる。
<多孔質インク受容層(B)>
・擦過性改良剤(C)
多孔質インク受容層(B)中に添加される擦過性改良剤(C)としては、HLB値が7以下で、水系顔料インクを印画後の多孔質インク受容層の最表層の表面を摩擦係数の低い状態とできるものであれば良い。
ここで、多孔質インク受容層のうち擦過性改良剤を含有する層は、以下の特性を有することが好ましい。
(i)擦過性改良剤を含有する層中の擦過性改良剤の含有割合が0.1質量%以上、15質量%以下である。
(ii)擦過性改良剤を含有する層中のポア体積の割合が、30%以上である。
なお、ここで、「多孔質インク受容層のうち擦過性改良剤を含有する層」とは、上記第一のインクジェット記録媒体では、多孔質インク受容層の最表層となる。また、上記第二のインクジェット記録媒体では、多孔質インク受容層の最表層の直下の層となる。
また、擦過性改良剤を含有する層中の、擦過性改良剤の含有割合は0.1質量%以上、10質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上、5質量%以下であるのがより好ましい。擦過性改良剤を含有する層中の、擦過性改良剤の含有割合がこれらの範囲内にあることによって、水系顔料インクを効率的に吸収してビーディングの発生を防止し、印画物の画像品位を向上させることができる。また、所望の耐インク擦過性を達成することができる。
擦過性改良剤を含有する層を上記(i)及び(ii)の構成とすることによって、擦過性改良剤の含有量が多くなっても、水系顔料インクの吸収性を阻害してビーディング等を発生するといったことがない。この結果、良好な印画画像を得ることができる。
なお、ポア体積は、インクジェット記録媒体に対して窒素吸着脱離法によって測定を行い、得られた窒素ガスの吸着脱離等温線にBJH(Barrett−Joyner−Halenda)法を用いて求められる値である。ポア体積の割合は、擦過性改良剤を含有する層の体積を測定した後、この層の体積でポア体積を除することにより求めることができる。
擦過性改良剤の比重は1.1以下であることが好ましい。このように擦過性改良剤の比重が1.1以下であることにより、水系顔料インクよりも低い比重となり、最表層の多孔質インク受容層の表面へより移動しやすくなる。
擦過性改良剤としては、シリコーンオイルを用いることが好ましく、特にポリエーテル変性シリコーンオイルを用いることがより好ましい。ここで、ポリエーテル変性シリコーンオイルとは、Si−H基を有するシリコーンオイルを、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリエーテルと付加反応させたものである。
シリコーンオイルの重量平均分子量は3000以上、30000以下であることが好ましい。なお、シリコーンオイルの重量平均分子量はGPC測定によって測定する。シリコーンオイルの重量平均分子量が3000未満であると、水系顔料インクの溶剤成分が擦過性改良剤の存在する領域に浸透してきても、擦過性改良剤が水系顔料インク層側に移動しにくくなる。また、たとえ擦過性改良剤が水系顔料インク層側に移動した場合であっても、この水系顔料インクの色剤成分中に取り込まれてしまう場合がある。この結果、水系顔料インク層の表面を擦過性改良剤でコーティングできなくなる場合がある。一方、重量平均分子量が30000を超えるとシリコーンオイルの粘性が高くなり、水系顔料インク層側(水系顔料インクの色剤成分側)に移動しにくくなる場合がある。
本発明の擦過性改良剤は、1種類又は複数種を混合して使用することができる。本発明の擦過性改良剤は多孔質インク受容層用の塗工液に分散が可能な場合は、多孔質インク受容層用の塗工液と混合した状態で一度に塗工しても良い。
また、本発明の擦過性改良剤が多孔質インク受容層用の塗工液に分散が困難な場合には、擦過性改良剤のみ又は擦過性改良剤を溶解可能な溶剤に溶解させた希釈液を塗工しても良い。この場合、予め形成した多孔質インク受容層の表面上に塗工する。このように塗工することで、結果的に擦過性改良剤を多孔質インク受容層内に浸透させることができる。
・無機微粒子
多孔質インク受容層(B)中に使用できる無機微粒子としては、湿式法シリカ、気相法シリカ、コロイダルシリカを挙げることができる。また、気相法非晶質シリカ等のシリカ類、アルミナゾル、アルミナシリカ複合ゾル、気相法アルミナ等のアルミナ類を挙げることができる。光沢・半光沢な表面風合いを持ち、水系顔料インクに対して高い発色性が得られるインクジェット記録媒体とするため、無機微粒子の平均2次粒子径は400nm以下が好ましく、350nm以下がより好ましい。無機微粒子の平均2次粒子径がこれらの範囲内にあることによって、高光沢な表面のインクジェット記録媒体とすることができる。また、水系顔料インクを印画した際に、色剤成分を多孔質インク受容層の表面に留まらせて、十分な発色性を有する画像とすることができる。
また、無機微粒子は、1種類又は複数種を混合して使用できる。
・バインダー
多孔質インク受容層(B)を構成する材料としては、他にバインダーとして水溶性樹脂を使用できる。水溶性のバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、酢酸ビニル、酸化デンプン、エーテル化デンプンを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、カルボキシルセルロース、SBラテックス、NBラテックス、アクリルラテックス、エチレン酢酸ビニル系ラテックス、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂等が使用できる。
上記バインダーの中でも、インク吸収性と形成する多孔質インク受容層の強度の点から、ポリビニルアルコールが好ましく、その含有量は多孔質インク受容層(B)の全固形分重量に対して5質量%以上、35質量%以下が好ましい。多孔質インク受容層(B)中のポリビニルアルコール含有量がこれらの範囲内にあることによって、多孔質インク受容層(B)の機械的強度を高くすると共に、良好なインク吸収性を維持することができる。
また、バインダー材料は、1種類又は複数種を混合して使用できる。
多孔質インク受容層(B)中には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて以下の成分を使用することができる。
pH調整剤、耐水化剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、インク定着剤、カチオン性樹脂、浸透剤。
<多孔質インク受容層(E)>
多孔質インク受容層(B)上に設けられる多孔質インク受容層(E)は、コロイダルシリカを含有し、かつ、その厚みが1μm以下となっている。このコロイダルシリカ(D)は、1種類又は複数種を混合して使用できる。
この多孔質インク受容層(E)の厚みは1μm以下の必要がある。多孔質インク受容層(E)の厚みが1μmより厚いと、印画された水系顔料インクの色剤成分側への擦過性改良剤の移動が阻害され、該色剤成分の表面が擦過性改良剤によって十分にコーティングされない場合がある。
・バインダー
多孔質インク受容層(E)中にはバインダーとして、多孔質インク受容層(B)を構成するバインダー材料と同様の材料を使用することができる。上記多孔質インク受容層(E)は、塗工液を多孔質インク受容層(B)の表面に塗工し、乾燥させることにより得ることができる。
これらの塗工液の塗工方法としては、下記の公知の塗工方法を用いることができる。
エアーナイフコーティング法、グラビアコーティング法、ブレードコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スロットダイコーティング法等、カーテンコーティング法等。
3.水系顔料インク
以下に、本発明のインクジェット記録媒体に対して、インクジェット記録方法により記録を行う際に使用する水系顔料インクに関して説明する。
本発明の水系顔料インクは水及び顔料を含有し、これ以外にも必要に応じて水溶性有機溶剤及びその他の成分を含有する。例えば、水系顔料インク中には必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が含まれる。上記各種成分の他にアニオン性の界面活性剤、又はアニオン性の高分子物質などアニオン性化合物を含有するのが好ましい。また、両性界面活性剤をその等電点以上のpHに調整して含有しても良い。この際に使用されるアニオン性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型など一般に使用されているものを使用することができる。また、アニオン性高分子の例としては、アルカリ可溶型の樹脂、具体的には、ポリアクリル酸ソーダ、又は高分子の一部にアクリル酸を共重合したもの等を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
本発明のインクジェット記録方法に使用する水系顔料インク中の顔料の含量は、インクの全質量に対して質量比で1質量%以上、20質量%以下が好ましく、2質量%以上、12質量%以下がより好ましい。
黒色インクに使用される顔料としてはカーボンブラックが挙げられる。このカーボンブラックとしては例えば、ファーネス法、チャネル法で製造されたものであって、下記の特性を有するものを好ましく用いることができる。
・一次粒子径が15μm以上、40μm以下、
・BET法による比表面積が50m2/g以上、300m2/g以下、
・DBP吸油量が40ml/100g以上、150ml/100g以下、
・揮発分が0.5質量%以上、10質量%以下、
・pH値が2以上、9以下。
このような特性を有する市販品としては例えば、以下のものを挙げることができる。
・No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化成社製)、
・RAVEN1255(以上、コロンビア社製)、
・REGAL400R、REGAL330R、REGAL660R、MOGUL L(以上、キャボット社製)、
・ColorBlack FWl、COLOR Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ社製)。
イエローのインクに使用される顔料としては例えば、以下のものを挙げることができる。
・C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 83。
マゼンタのインクに使用される顔料としては例えば、以下のものを挙げることができる。
・C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.PigmentRed 112、C.I.Pigment Red 122。
シアンのインクに使用される顔料としては例えば、以下のものを挙げることができる。
・C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.PigmentBlue 3、C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6。
また、水系顔料インクに使用する顔料は上記のものに限定されるわけではなく、以上の他、本発明のために新たに製造された顔料も勿論、使用することが可能である。
水系顔料インク中に含有させる分散剤としては、水溶性樹脂ならどのようなものでも使用することができる。中でも、重量平均分子量が1000以上、30000以下のものが好ましく、3000以上、15000以下の範囲のものがより好ましく使用される。
このような分散剤として、具体的には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性単量体)からなるブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。また、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。尚、これらの顔料分散剤として用いられる水溶性樹脂は、水系顔料インク中にインク全重量に対して0.1質量%以上、5質量%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
更に、本発明の水系顔料インクはインク全体が中性又はアルカリ性に調整されていることが好ましい。このように調整されていることにより、顔料分散剤として使用される水溶性樹脂の溶解性を向上させ、長期保存安定性に一層優れたインクとすることができる。水系顔料インクのpHは7以上、10以下とすることが好ましい。
上記のように水系顔料インク中のpHを調整するpH調整剤としては、以下のものを挙げることができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等が挙げられる。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、多孔質インク受容層側に水系顔料インクを付与して、画像を形成するものである。この具体的な方法としては、インクを微細孔(ノズル)より効果的に離脱させて、インクジェット記録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法でもよい。これらの中でも特に、特開昭54−59936号公報に記載された方法を有効に使用することができる。この方法では、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
参考例1)
・塗工液の作製
アルミナ粉末(Sasol社製;DISPERAL HP14(商品名);比表面積 150m2/g)をイオン交換水に攪拌しながら混合し、固形分20wt%のアルミナ粗分散液を得た。さらに、このアルミナ粗分散液をホモジナイザーにより分散処理を行い、アルミナ分散液を得た。このアルミナ分散液100質量部と、ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社;JM−26(商品名))の10wt%水溶液の20質量部とを混合攪拌した。その後、イオン交換水で希釈して固形分15wt%の塗工液1を得た。
更に、擦過性改良剤として、ポリエーテル変性シリコーンオイル(FZ2154(商品名):HLB値4:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)を固形分10wt%になるようエタノールに溶解して塗工液2を得た。
・塗工
基材としてレジンコート紙を用い、その上に、乾燥層厚30μmとなるように、上記塗工液1を塗工・乾燥させた。更にその上に、乾燥重量2g/m2となるように、上記塗工液2を塗工・乾燥させることにより、基材と1層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
(実施例
コロイダルシリカ分散液(日産化学工業社製;スノーテックス20(商品名))100質量部と、ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社;JM−26(商品名))の10wt%水溶液20質量部とを混合攪拌した。その後、この混合液をイオン交換水で希釈して固形分15wt%の塗工液4を得た。この塗工液4を、参考例1で作製したインクジェット記録媒体の表層に、乾燥層厚0.2μmとなるように塗工・乾燥させて、基材と2層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
参考例2
参考例1の塗工液2の代わりに、擦過性改良剤としてジメチルシリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社;SH200(商品名))を固形分10wt%となるようメチルエチルケトンに溶解した塗工液5を使用した。これ以外は、参考例1と同様にして、基材と1層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
参考例3
塗工液2を乾燥重量10g/m2となるように塗工・乾燥させた以外は、参考例1と同様にして、基材と1層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
参考例4
塗工液2を乾燥重量0.01g/m2となるように塗工・乾燥させた以外は、参考例1と同様にして、基材と1層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
(比較例1)
擦過性改良剤を含む塗工液2を使用せず、塗工液1のみを乾燥層厚30μmとなるように塗工・乾燥した以外は、参考例1と同様にして、基材と1層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
(比較例2)
参考例1の塗工液2において、擦過性改良剤の代わりにポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社;HLB13;SH3771(商品名))を固形分10wt%となるようエタノールに溶解させた。そして、この塗工液を塗工液6として使用した。これ以外は、参考例1と同様にして、基材と1層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
(比較例3)
塗工液4を乾燥層厚5μmとなるように塗工・乾燥させた以外は、参考例2と同様にして、基材と2層の多孔質インク受容層からなるインクジェット記録媒体を得た。
<印画物の評価>
プリンターとしてキヤノン株式会社製 imagePROGRAF 5000(商品名)を用いた。そして、上記のようにして得られた各インクジェット記録媒体に、顔料シアンインク(PFI−101 C)100%打込み量(1200×2400dpi)のベタ画像を印画し、下記の評価を行った。
(1)摩擦係数μ
上記顔料シアンインクを印画後、24時間、室内で放置し、十分乾燥させたインクジェット記録媒体の印画面の動摩擦係数μを、以下の条件で測定した。
装置:SURFACE PROPERTY TESTER(株式会社新東科学製HEIDON:TYPE14DR(商品名))
条件:インクジェット記録媒体の表面に、固定した4mmφのアクリル球を50gの加重をかけて押し付け、120mm/minのスピードで擦り動摩擦係数μを測定する。
なお、測定した動摩擦係数μの評価は、以下のようにして行った。
◎:動摩擦係数μが0.2未満
○:動摩擦係数μが0.2以上、0.4未満
×:動摩擦係数μが0.4以上。
(2)擦過性評価
上記顔料シアンインクを印画後、24時間、室内で放置し、十分乾燥させたインクジェット記録媒体の印画面の擦過性評価を、以下の条件で測定した。
装置:SURFACE PROPERTY TESTER(株式会社新東科学製HEIDON:TYPE14DR(商品名))
条件:インクジェット記録媒体の印画面に、固定した4mmφのアクリル球を加重をかけて押し付け、40mm/secのスピードで擦った。
なお、測定した擦過性評価は、以下のようにして行った。
○:500g未満の加重によって印画画像が削れて白い基材が見える。
△:500g以上、1000g未満の加重によって印画画像が削れて白い基材が見える。
×:1000g以上の過重をかけて白い基材が見えるか、又は見えない。
(3)光沢度評価
上記の各インクジェット記録媒体に対して、JIS Z 8741に従い、micro−TR1−gloss(BYK Gardner製;HEIDON:TYPE14DR(商品名))を用いて、表面の20度光沢度を測定した。
なお、測定した光沢度の評価は、以下のようにして行った。
○:光沢度15以上
×:光沢度15未満。
(4)ビーディング(インクはじき)
上記顔料シアンインクを印画後、24時間、室内で放置し、十分乾燥させた後、目視にて、印画表面のビーディングレベルを以下の基準により評価した。
○:ビーディングがほとんどみられない。
△:ビーディングが僅かにみられる。
×:ビーディングがはっきりみられる。
上記すべての評価結果を下記表1に示す。
Figure 0005153203
表1の参考例1〜4および実施例1の結果が示すように、インクジェット記録媒体は、水系顔料インクを用いたインクジェット記録において、「光沢度」が全て「○」であり高光沢な表面性が得られた。また、「摩擦係数」及び「顔料インクの擦過性」が「◎」、「○」又は「△」であり、印画表面の低い摩擦係数が達成され、結果として強度の擦過に対して耐えうるほどの高い耐擦過性を持つことができた。特に、実施例の様に、最表層にコロイダルシリカ層を設けたインクジェット記録媒体は、評価した全ての特性が「○」もしくは「◎」であり、高画質(ビーディングがほとんどみられない)な印画物を得ることができた。
しかし、多孔質インク受容層中に疎水性の擦過性改良剤が含まれていないインクジェット記録媒体(比較例1)は、「顔料インクの擦過性」及び「摩擦係数」が共に「×」となった。同様に、多孔質インク受容層中に親水性のシリコーンが含まれているインクジェット記録媒体(比較例2)についても、「顔料インクの擦過性」及び「摩擦係数」が共に「×」となった。従って、比較例1及び2のインクジェット記録媒体では、高光沢な表面性、高画質(ビーディングがほとんどみられない)な印画物は得られるものの、得られた印画物の印画面において強度の擦過に耐えることはできなかった。
また、比較例3のインクジェット記録媒体では、最表層に、膜厚の厚いコロイダルシリカ層を設けた。このため、「顔料インクの擦過性」及び「摩擦係数」が共に「×」となった。従って、高光沢な表面性、高画質(ビーディングがほとんどみられない)な印画物は得られるものの、得られた印画物の印画面において強度の擦過に耐えることはできなかった。
本発明のインクジェット記録媒体の一例を示す断面図である。 本発明のインクジェット記録媒体の別の一例を示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法の一例を示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法の一例を示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法の別の一例を示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法の別の一例を示す断面図である。
符号の説明
(A):基材
(B):親水性の低い擦過性改良剤を含有する多孔質インク受容層
(C):親水性の低い擦過性改良剤
(D):コロイダルシリカ
(E):コロイダルシリカを含有する多孔質インク受容層
1 基材
2 多孔質インク受容層
3 擦過性改良剤
4 水系顔料インク
5 水系顔料インク層
6 水系顔料インクの溶剤成分
7 多孔質インク受容層

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に設けられた2層以上からなる多孔質インク受容層と、を有する水系顔料インク用のインクジェット記録媒体であって、
    前記多孔質インク受容層の最表層は、コロイダルシリカを含有し、かつ、その厚みが1μm以下であり、
    前記多孔質インク受容層の最表層の直下の層は、HLB値が7以下の擦過性改良剤を含有する層であって、前記HLB値が7以下の擦過性改良剤を溶解させた塗工液を塗工することで得られることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記多孔質インク受容層の最表層の直下の層の前記擦過性改良剤が、シリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記多孔質インク受容層の最表層の直下の層の、前記擦過性改良剤の含有量が0.1質量%以上、15質量%以下であり、かつ、ポア体積の割合が、30%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記シリコーンオイルの重量平均分子量が、3000以上、30000以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記シリコーンオイルが、ポリエーテル変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項2からの何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記擦過性改良剤の比重が、1.1以下であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 前記多孔質インク受容層の最表層が、HLB値が7以下の擦過性改良剤を含有しないことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  8. インクジェット記録方法により、請求項1からの何れか1項に記載のインクジェット記録媒体の多孔質インク受容層側に水系顔料インクを付与して、画像を形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
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