JP5153103B2 - 熱膨張性接着剤、シューズ、及びシューズの解体方法 - Google Patents

熱膨張性接着剤、シューズ、及びシューズの解体方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロ波を照射することによって膨張する熱膨張性接着剤及びこれを用いて製造されたシューズ、並びに、シューズの解体方法に関する。
従来より、様々な物品の構成部材が接着剤によって接着されている。例えば、シューズは、様々な構成部材(パーツ)を接着剤によって接着することによって製造されている。
ところで、シューズなどの物品は、使用後、廃棄されるが、廃棄時に、各構成部材毎に分離し、リサイクルできる構成部材は、再利用することが望ましい。
しかしながら、物品の構成部材は、接着剤によって強固に接着されているので、容易に分離することはできない。特に、シューズは、過酷な状況下で使用されるため、シューズの構成部材は、非常に強固に接着されている。従って、シューズは、各構成部材毎に分離することが特に困難な物品である。
従来、マイクロ波照射によって発泡しうる熱膨張性接着剤を用い、構成部材を容易に分離する技術が知られている。
例えば、硬化性樹脂と、膨張開始温度が150℃以上の無機物からなる熱膨張性材料と、を含む熱剥離性接着剤組成物が知られている(特許文献1)。また、強磁性体で被覆された熱膨張性微小球を含む熱膨張性層が設けられている加熱剥離型粘着シートが知られている(特許文献2)。
しかしながら、上記従来の接着剤は、マイクロ波照射によって膨張開始温度にまで昇温しても、樹脂固形分の存在により膨張性材料が十分に膨張しなかったり、或いは、十分に膨張するまでに時間を要することがある。また、分離後、構成部材を再利用するため、マイクロ波照射による昇温によって構成部材が熱損傷を受けないようにしなければならない。
特開2000−204332号公報 特開平11−302614号公報
本発明は、マイクロ波照射によって膨張して物品の構成部材毎に分離でき、さらに、構成部材の熱損傷を防止できる熱膨張性接着剤、及びこれを用いたシューズなどを提供することを課題とする。
そこで、本発明の第1の手段は、樹脂固形分と、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエタノールアミン及びグリセリンから選ばれる少なくとも1つの高誘電材と、分解開始温度が90℃以上150℃未満の熱膨張材とを含み、樹脂固形分は、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの90℃以上150℃未満における貯蔵弾性率が5MPa以下のものが用いられている熱膨張性接着剤を提供する。
好ましくは、前記熱膨張性接着剤は、前記樹脂固形分を硬化させる硬化剤を含む反応型接着剤である。
本発明の熱膨張性接着剤は、各種物品の構成部材の接着に使用される。接着後、マイクロ波照射によって90℃以上150℃未満に昇温すると、熱膨張材が膨張し始める。該熱膨張材の周囲に存在する樹脂固形分は、貯蔵弾性率が5MPa以下であるため、熱膨張材の膨張を阻害せず、熱膨張材は、急速に且つ十分に膨張する。また、熱膨張材の分解開始温度が150℃未満であり、しかも、前述のように、熱膨張材は急速に膨張するので、接着剤に接する構成部材が熱損傷を受けることを防止できる。
本発明の好ましい態様では、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの、−10℃〜40℃における、上記樹脂固形分の貯蔵弾性率が500MPa以下である上記熱膨張性接着剤に係る。該熱膨張性接着剤は、通常の使用環境下(−10℃〜40℃)に於いて、適度な柔軟性を有する。従って、シューズ等のように、使用時に変形しうる物品を接着する接着剤として好ましい。
また、本発明の好ましい態様では、上記樹脂固形分は、JIS K 7121に準拠して測定される転移主ピーク温度が40℃〜90℃であるものが用いられる上記何れかの熱膨張性接着剤に係る。該熱膨張性接着剤は、通常の使用環境下に於いて、接着剤の接着力が低下せず、一方、90℃以下で軟化するため、接着剤を構成部材に接着させる際に、構成部材が熱損傷することを防止できる。
さらに、本発明の好ましい態様では、上記樹脂固形分100質量部に対し、高誘電材が15〜50質量部、熱膨張材が5〜100質量部配合されている上記何れかの熱膨張性接着剤に係る。
また、本発明の好ましい態様では、上記接着剤が、周波数2.45GHz、温度20±3℃における誘電損率が0.7以上である上記熱膨張性接着剤に係る。該熱膨張性接着剤は、マイクロ波照射時に、接着剤が短時間で昇温するので、接着剤の熱が被着体へ伝わり難く、構成部材の熱損傷をより防止できる。
さらに、本発明の好ましい態様では、上記接着剤がシューズの構成部材を被着体とし、温度20±3℃でT型剥離法(JIS K 6854−2)に準拠して測定される剥離強度が24.5N/cm以上である上記何れかの熱膨張性接着剤に係る。該剥離強度の熱膨張性接着剤は、過酷な状況下で使用されるシューズの耐久性を十分に満足する。
また、本発明の第2の手段は、シューズの構成部材の一部が、上記何れかの熱膨張性接着剤を用いて接着されているシューズを提供する。
さらに、本発明の第3の手段は、上記シューズにマイクロ波を照射し、熱膨張性接着剤を膨張させるシューズの解体方法を提供する
本発明の熱膨張性接着剤は、マイクロ波照射によって膨張して脆くなる。従って、該接着剤で接着された物品の構成部材を容易に分離することができる。さらに、該熱膨張性接着剤は、マイクロ波照射時に、短時間で昇温するので、構成部材の熱損傷を防止できる。
また、本発明の好ましい態様に係る熱膨張性接着剤は、通常の使用環境下で適度な柔軟性を有し、物品の構成部材を強固に接着することができる。
本発明のシューズは、上記熱膨張性接着剤によって接着されているので、耐久性に優れ、且つ使用時には人の動きに追従して適度に曲がり、又、廃棄時には、マイクロ波照射を行うことで、構成部材毎に容易に分離してこれを再利用することができる。
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明の熱膨張性接着剤(以下、単に「接着剤」という場合がある)は、樹脂固形分と、高誘電材と、分解開始温度が90℃以上150℃未満の熱膨張材とを少なくとも含有する。
本発明の熱膨張性接着剤は、各種物品の構成部材(以下、接着剤にて接着される構成部材を「被着体」という場合がある)の接合面に塗工され、硬化させることによって被着体を接着させる(以下、接着された後の接着剤を「接着剤層」という場合がある)。この物品をマイクロ波照射することにより、接着剤層が発熱し、その熱で熱膨張材が膨張する。その結果、接着剤層が脆弱化し、該接着剤層にて接着された被着体を、例えば人力で分離することができる。また、該接着剤層が脆弱化するため、分離後の被着体表面に接着剤が残存し難い。このため、被着体が汚染されず、被着体の再利用に適している。
樹脂固形分は、接着剤の主成分となるバインダーとして機能するもので、従来から用いられている接着剤の樹脂成分を用いることができる。該樹脂固形分としては、例えば、ポリウレタン、ゴム、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。なお、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂については、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの、90℃以上150℃未満における貯蔵弾性率を5MPa以下とし、且つ接着強度を低下させないようにするため、分子量(数平均分子量)を1,000〜5,000程度で、重量平均分子量/数平均分子量=1.0〜3.0に調整することが望ましい。
ポリウレタンとしては、ポリオールとイソシアネートを含むポリウレタンプレポリマーの重合体を用いることができる。該ポリウレタンは、水分などで反応する1液反応型、又は、硬化剤によって反応する2液型の何れも用いることができる。ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリエーテルポリオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の存在下にアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸等を重縮合させて得られる共重合体等のポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリオレフィンポリオール;ポリブタジエンポリオールなどの公知のものが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種類以上を併用しても良い。イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートなどの公知のものが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種類以上を併用しても良い。硬化剤としては、末端イソシアネート基を有する化合物などを用いることができる。
ゴムとしては、例えば、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、イソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合ゴム(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム(SBS)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)などが挙げられる。これらは、1種単独で、又は、2種以上を併用してもよい。また、これらゴム成分に加えて、ロジン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂などの接着付与樹脂を混合してもよい。
アクリル樹脂としては、粘着成分としてアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと、それと共重合可能な官能基モノマー成分と凝集成分との共重合体を好ましく例示することができる。この共重合体は、イソシアネート系架橋剤、キレート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などにより架橋してもよい。
ここで、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ラウリル等を好ましく例示することができる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ラウリル等を好ましく例示することができる。
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルと共重合可能な官能基モノマー成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのα,β−不飽和カルボン酸;アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミドなどのN−置換又は未置換アクリルアミド;メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのアクリル酸又はメタクリル酸のグリシジルエステル;アクリロニトリルなどを好ましく例示することができる。
凝集成分としては、スチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系モノマーや酢酸ビニルのビニル系モノマーを好ましく例示することができる。
エポキシ樹脂としては、通常のエポキシ樹脂系接着剤の成分として用いられる平均して1分子当たり1またはそれ以上のエポキシ基を有する化合物であり、有用なエポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンあるいは水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエーテルなどが例示される。この他、オキサゾリドン変性エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、各種のハロゲン化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂なども用いることができる。これらのエポキシ樹脂は単独でも、あるいは2種類以上混合して使用することもできる。
これらエポキシ樹脂にイソシアネート基と反応する官能基として水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基などが含有されると、後工程の焼付けで接着剤中のブロックポリイソシアネートが解離して得られるイソシアネート基と架橋硬化する。水酸基は、すでにこれらエポキシ樹脂中に2級水酸基やフェノール性水酸基として含有されている場合が多いが、アルカノールアミンをエポキシドに反応させて導入することもできる。また、アミノ基やイミノ基の導入は、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミンなどの第1級アミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミンなどの第2級アミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンなどのポリアミンを用いることができる。また、ジエチレントリアミンのようなポリアミンを使用するときは、その第1級アミン基を予めアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンと反応させて得られるケチミン誘導体とするのがよい。また、カルボキシル基の導入は、例えばジフェノール酸をブタジエンオキシドでエポキシ化させる方法がある。
樹脂固形分は、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの、90℃以上150℃未満における貯蔵弾性率が5MPa以下のものを用いることが好ましい。なぜなら、熱膨張材の分解開始温度(90℃以上150℃未満)に於いて、該熱膨張材が膨張することを、該熱膨張材の周りに存在する樹脂固形分が阻害し難く、熱膨張材を良好に膨張させることができるからである。従って、マイクロ波照射によって、熱膨張材を良好に且つ短時間で膨張させることができる。
また、樹脂固形分は、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの、−10℃〜40℃における貯蔵弾性率が500MPa以下のものを用いることが好ましい。なぜなら、通常の使用環境下(寒冷地から温暖地)に於いて、接着剤層が適度な柔軟性を有するからである。例えば、シューズの場合には、人の動きに応じて、接着剤層を含むシューズの各部分が適度に曲がらなくてはならない。従って、−10℃〜40℃における貯蔵弾性率が500MPa以下の樹脂固形分を含む本発明の接着剤は、シューズの構成部材の接着用途に特に好適である。
さらに、樹脂固形分は、JIS K 7121に準拠して測定される、転移主ピーク温度が40℃〜90℃のものを用いることが好ましい。なぜなら、樹脂固形分の転移主ピーク温度が40℃以上のものを用いることにより、通常の使用環境下に於いて、接着剤層の軟化を防止して、接着力の低下を防止できるからである。一方、樹脂固形分の転移主ピーク温度が90℃以下のものを用いることにより、接着剤を接着させる際に90℃以下の温度で樹脂固形分が軟化するため、接着剤を接着させる際に、被着体の熱損傷を防止できるからである。
高誘電材は、マイクロ波照射時に接着剤層を発熱させるために含有される。高誘電材は、マイクロ波照射時に発熱しうるものであれば特に限定されず、有機系、無機系の何れのものを用いることができる。有機系の高誘電材としては、例えば、ジエチレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、メタノール、グリセリンなどのアルコール類、カーボンブラックなどの炭素類、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸エチルなどのエステル類、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、有機強磁性体などを用いることができる。無機系の高誘電材としては、例えば、鉄、亜鉛などの金属単体や合金、金属酸化物などを用いることができる。高誘電材は、1種単独で、または2種以上を併用することもできる。
熱膨張材は、90℃以上150℃未満で分解を開始して膨張するものであれば特に限定されず、有機系、無機系の何れのものを用いることができる。有機系の熱膨張材としては、例えば、球体状の熱可塑性樹脂製の殻内に液化ガスを封入した熱膨張性マイクロカプセルなどが挙げられる。殻を構成する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−エチルメタクリレート、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレートなどが挙げられる。また、液化ガスとしては、イソペンタン、イソブタン、イソプロパンなどが挙げられる。該熱膨張性マイクロカプセルの粒径は、10〜100μm程度のものが用いられる。熱膨張性マイクロカプセルの具体例としては、日本フィライト(株)製のEXPANCEL、松本油脂(株)製のマイクロスフェアーなどが挙げられる。これらの熱膨張性マイクロカプセルは、熱により、殻が軟化すると共にガス圧が増し、殻が膨張する形式のものである
一方、無機系の熱膨張材としては、膨張性黒鉛、バーミキュライト、雲母、ヴェルムランダイト、タンマジット、ハイドロサルタイトなどが挙げられる。熱膨張材は、1種単独で、または2種以上を併用することもできる。
また、熱膨張材は、樹脂発泡成型に一般に用いられる発泡剤を使用してもよい。この場合、90℃以上150℃未満で分解してガスを発生するものであれば、特に限定されず、有機系、無機系の何れのものを用いることができる。
具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]等のアゾ化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;トリヒドラジノトリアジンなどの有機系熱分解型発泡剤、更には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の重炭酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、水素化合物などの無機系熱分解型発泡剤が挙げられる。
また、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の各種脂肪族炭化水素類;ジクロルエタン、ジクロルメタン、四塩化炭素等の各種塩化炭化水素類;フロン等の各種フッ化塩化炭化水素類などの有機系発泡剤、さらに空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水などの無機系発泡剤も用いることができる。
比較的低い温度で且つ急速に膨張することから、有機系の熱膨張材を用いることが好ましい。
ここで、熱膨張材として、分解開始温度が90℃以上150℃未満のものを用いる理由は、下記の通りである。すなわち、転移主ピーク温度が90℃以下の樹脂固形分を用いた場合に於いて、分解開始温度が90℃以上の熱膨張材を用いることにより、接着剤を接着させるときに接着剤を加熱した際に、熱膨張材が膨張することを防止できる。一方、分解開始温度が150℃未満の熱膨張材を用いることにより、接着材層をマイクロ波照射した際に、被着体の熱損傷を防止できる。詳しくは、ゴムや合成樹脂を主成分とする被着体は、比較的長い時間、90℃を越えて加熱されると熱損傷を受け易い。この点、マイクロ波照射によって発熱させる場合、接着剤層の内部から発熱し、その熱によって熱膨張材が急速に膨張する。このため、マイクロ波照射時に、仮に接着剤層の内部が150℃近くにまで昇温しても、その熱が被着体に伝わり難く、又、熱膨張材が早期に膨張するので、マイクロ波照射時間も短くて済むから、被着体が熱損傷を受けることを防止できる。
本発明の熱膨張性接着剤の各成分の配合割合は、特に限定されないが、接着剤の良好な接着性とマイクロ波照射時に接着剤層を昇温させるために、上記樹脂固形分100質量部に対し、高誘電材が1質量部以上、好ましくは15質量部以上、より好ましくは18質量部以上配合されているのがよい。一方、高誘電材の上限については、適量に調製できるが、余りに多いと高誘電材の量が相対的に高くなって接着性が低下するため、通常、樹脂固形分100質量部に対し、高誘電材が60質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下程度である。
一方、熱膨張材の配合量については、接着剤の良好な接着性と接着剤層の膨張による良好な解体性を得るために、上記樹脂固形分100質量部に対し、熱膨張材が1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上配合されているのがよい。一方、熱膨張材の上限については、適量に調製できるが、余りに多いと熱膨張材の量が相対的に高くなって接着性が低下するため、通常、樹脂固形分100質量部に対し、熱膨張材が100質量部以下、好ましくは70質量部以下程度である。
中でも、接着剤の良好な接着性と接着剤層の良好な解体性の点から、樹脂固形分100部に対し、高誘電材が15〜50質量部、熱膨張材が5〜100質量部配合されていることが好ましい。
なお、本発明の熱膨張性接着剤には、必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。添加剤としては、例えば、硬化剤(重合開始剤を含む)、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、充填剤、粘着付与樹脂、染料、顔料、紫外線吸収剤等の公知のものが挙げられる。
上記樹脂固形分、高誘電材、熱膨張材、及び必要に応じて添加剤を適宜量を取り、これを混合して熱膨張性接着剤を調製する。
溶剤型の熱膨張性接着剤とする場合には、適当な有機溶媒に上記成分が溶解される。溶剤としては、樹脂固形分に応じて適宜なものを選択でき、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサンなどの炭化水素類、エチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
熱膨張性接着剤は、塗布性を考慮して、1〜100Pa・s(20±3℃)程度の粘度に調製することが好ましい。粘度の調整は、樹脂固形分の種類や、希釈剤として溶剤などを添加することで行うことができる。
また、調製された熱膨張性接着剤は、測定周波数2.45GHz、測定温度20℃±3における誘電損率が0.7以上であるものが好ましい。
熱膨張性接着剤の誘電損率が0.7以上であると、マイクロ波照射時に、接着剤層の温度上昇に要する時間がより短縮化できるからである。このため、昇温した接着剤層の熱が被着体へ伝わり難くして、被着体の熱損傷をより防止できる。
熱膨張性接着剤の塗工方法は特に限定されず、ロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどのコーター装置を用いて塗布することができるほか、手作業で塗布することもできる。
接着剤の塗布厚は、特に限定されないが、接着剤硬化後の厚みで10μm〜200μm程度が好ましい。
なお、必要に応じて、接着剤を塗布する被着体の接合面に、公知のプライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
物品の接着にあたっては、本発明の熱膨張性接着剤を、接合される一方の被着体、または双方の被着体の接合面に塗工した後、両被着体を圧着する。熱膨張性接着剤が溶剤を含む場合には、揮発を促すため、例えば、40〜60℃程度に加熱(温風乾燥など)してもよい。
また、熱膨張性接着剤が、硬化剤によって硬化する反応型の場合には、硬化剤の種類に応じて、紫外線照射、加熱などが施される。また、熱膨張性接着剤の樹脂固形分が、加熱によって溶融するホットメルト型の場合には、該樹脂固形分の軟化温度にまで加熱される。
本発明の熱膨張性接着剤は、様々な物品の構成部材の接着に使用できる。物品としては、例えば、シューズ、スキー板・ボールなどの各種スポーツ用品、鞄、帽子、建材、電子部品、自動車などの輸送車両の部品などが挙げられる。
本発明の熱膨張性接着剤は、接着後、通常の使用条件下(−10〜40℃)で使用される物品の接着剤として好適である。また、本発明の熱膨張性接着剤は、接着剤層とした場合、−10〜40℃の温度下で適度な柔軟性を有することから、使用時に曲げられる物品の接着剤として特に好適である。使用時に曲げられる物品としては、シューズ、各種スポーツ用品、鞄、帽子などのような物品が挙げられる。
シューズとしては、例えば、各種スポーツ用のスポーツシューズ、スニーカー、ウォーキング・シューズ、ブーツ、サンダル、ローファーなどが挙げられる。
シューズの構成部材は、概ね、シューズ本体(足の甲及び足裏を覆う部分)と、アウトソール(地面に接する底部分)に分けられる。具体的には、例えば、シューズとしてスニーカーを例に採ると、アッパー、インソール、ミッドソール、アウトソール(本底)、ヒール、トウ、靴紐などの構成部材から構成されている。このうち、アッパー、インソール、ミッドソール、アウトソールなどは、合成ゴム、天然ゴム、エラストマー、合成樹脂製発泡材などから選ばれる材質が用いられていることが多い。このような材質の構成部材は、熱損傷を受けると再利用困難であるが、本発明の熱膨張性接着剤は、解体時に、被着体に熱が加わり難いので、シューズの接着剤として特に好適に使用できる。
本発明の熱膨張性接着剤を用いて接着された物品(例えば、シューズ)は、マイクロ波照射を行うことによって、接着剤層が膨張する。接着剤層が膨張すると、接着剤層が脆弱化し、例えば、被着体を人力で引き剥がすことによって層間剥離し、被着体を分離できる。
上記物品の解体に用いられるマイクロ波照射装置は、物品を収納する空間と、空間内にマイクロ波を照射するマイクロ波発生装置と、を備えている。マイクロ波発生装置のマイクロ波は、周波数0.5〜30GHz、出力10〜100000W程度のものが用いられる。照射時間は、例えば、周波数2.45GHz、出力700Wで、10〜500秒程度である。なお、0.001〜0.5GHzの高周波照射装置も使用できる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれの例によって限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」を意味する。
<使用材料>
(1)樹脂A…溶剤型ポリウレタン(ノーテープ工業(株)製、商品名:AS−560)。ポリウレタン16%、溶剤84%(脂肪族炭化水素系溶剤10〜20%、メチルエチルケトン60〜70%)。
(2)樹脂B…クロロプレン(ノーテープ工業(株)製、商品名:0T88)。クロロプレンゴム20〜25%、溶剤75〜80%(トルエン50〜65%、メチルエチルケトン1〜5%、n−ヘキサン5〜10%)。
(3)樹脂C…エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製、商品名:XNR6615)。ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂86%、キシレン1%、非公開成分13%。
(4)樹脂D…アクリル樹脂(コニシ(株)、商品名:ボンド コニーワンA液)。アクリル樹脂100%。
(5)硬化剤A…イソシアネート系重合剤(住友バイエルウレタン(株)製、商品名:デスモジュールRFE)。トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート27%、酢酸エチル71%、クロロベンゼン2%。
(6)硬化剤B…アミン系硬化剤(ナガセケムテックス(株)製、商品名:XNH6615)。変性脂肪族ポリアミン10〜20%、m−キシレンジアミン80〜90%。
(7)硬化剤C…アミン系硬化剤(コニシ(株)製、商品名:ボンド コニーワンB液)。アミン系化合物85%、アクリル樹脂10%、アセトン5%。
(8)高誘電材A…ジエチレングリコール(コスモ石油(株)製)
(9)高誘電材B…トリエタノールアミン((株)日本触媒製)
(10)高誘電材C…エチレングリコール((株)日本触媒製)
(11)熱膨張材A…熱膨張性マイクロカプセル(日本フィライト(株)製、商品名:expancel 009−DU−80。分解開始温度114〜124℃)。アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体からなるポリマー殻内にイソペンタンを内包したもの。
<貯蔵弾性率の測定>
100部(上記樹脂Aの成分中、樹脂固形分換算)の樹脂Aに対し、硬化剤Aを25部添加し、1分間攪拌して接着剤(1)を調製した。この接着剤(1)を、離型処理がなされた基材の上に塗工して、60℃、湿度55%下に30分放置して、溶剤を揮発させた。その後、常温、湿度55%下で、3日間放置して接着剤(1)を養生し、硬化させた。
得られた接着剤層を、基材から剥離し、厚み約1mm、幅約5mm、長さ約33mmの短冊状に切り取った。この試験片を、JIS K 7244−4に準拠し、下記条件で動的粘弾性を測定することにより、−10〜40℃、及び90℃以上150℃未満に於ける貯蔵弾性率(MPa)を求めた。
測定機器:(株)ユービーエム製、動的粘弾性測定装置 Rheogel−E4000。
モード:引張りによる温度依存性。
波形:正弦波歪み(ストップ加振)。
チャック間距離:10mm。
温度:−30℃〜160℃。
昇温速度:3℃/min。
ステップ温度:5℃。
周波数:10Hz。
荷重:自動静荷重。
変位:5μm。
上記硬化剤Aの量を50部としたこと以外は、上記接着剤(1)と同様にして、接着剤(2)を調製し、接着剤(1)と同様にして基材に塗工し、接着剤(2)の貯蔵弾性率を求めた。
100部(上記樹脂Bの成分中、樹脂固形分換算)の樹脂Bに対し、硬化剤Aを25部添加し、1分間攪拌して接着剤(3)を調製した。この接着剤(3)を、接着剤(1)と同様にして基材に塗工し、接着剤(3)の貯蔵弾性率を求めた。
100部(上記樹脂Cの成分中、樹脂固形分換算)の樹脂Cに対し、硬化剤Bを18部添加し、1分間攪拌して接着剤(4)を調製した。この接着剤(4)を、接着剤(1)と同様にして基材に塗工し、接着剤(4)の貯蔵弾性率を求めた。
100部の樹脂Dに対し、硬化剤Cを33.3部添加し、1分間攪拌して接着剤(5)を調製した。この接着剤(5)を、接着剤(1)と同様にして基材に塗工し、接着剤(5)の貯蔵弾性率を求めた。
各接着剤(1)〜(5)の貯蔵弾性率の測定結果を表1に示す。
Figure 0005153103
接着剤(1)、(3)及び(5)は、90℃以上150℃未満の全範囲における貯蔵弾性率(JIS K 7244−4に準拠し、周波数10Hz)が、5MPa以下であり、接着剤(1)、(2)及び(3)は、−10℃〜40℃の全範囲における貯蔵弾性率(JIS K 7244−4に準拠し、周波数10Hz)が500MPa以下であった。
<転移主ピーク温度の測定>
上記接着剤(1)〜(5)について、上記貯蔵弾性率の測定と同様にして、それぞれの接着剤を硬化させて養生した。
この硬化後の接着剤(樹脂固形分)の転移主ピーク温度を、JIS K 7121に準拠して測定した。具体的には、硬化後の接着剤(3〜5mg)を直径5mmの密閉型アルミ容器に入れ、蓋を閉じてサンプルをアルミ容器内に密閉し、これを熱流速示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、商品名:DSC200)に装填し、−30℃〜160℃(昇温速度10℃/分)、サンプリング間隔0.5秒で、ピークの温度を測定して転移主ピーク温度を測定した。ピークが複数存在する場合には、最も大きいピークを転移主ピーク温度とした。
その結果を表2に示す。
Figure 0005153103
(実施例1及び比較例1)
上記接着剤(1)に高誘電材A及び熱膨張材Aを配合し、熱膨張性接着剤を調製した。具体的には、100部(樹脂固形分換算)の樹脂Aに対し、高誘電材Aを20部、熱膨張材Aを20部配合し、1分間攪拌した。これに、硬化剤Aを25部添加し、更に、1分間攪拌し、熱膨張性接着剤(1)を得た。
得られた熱膨張性接着剤(1)を、被着体1(EVA発泡材の表面にプライマーを処理したもの。厚み10mm、幅2.5cm、長さ13cm)のプライマー処理面に、接着剤硬化後の厚みで、約100μmに塗工した。また、得られた接着剤を、被着体2(天然ゴムを主成分とするゴム材の表面にプライマーを処理したもの。厚み2mm、幅2.5cm、長さ13cm)のプライマー処理面に、接着剤硬化後の厚みで約100μmに塗工した。この両被着体を重ね合わせ、60℃、湿度55%下で、10分間放置して、溶剤を揮発させた。その後、常温、湿度55%下で、20秒間圧着し、3日間放置して熱膨張性接着剤(1)を養生し、硬化させた。
さらに、上記接着剤(2)〜(5)についても、同様にして高誘電材Aを20部及び熱膨張材Aを20部それぞれ配合し、上記接着剤(2)〜(5)に対応する熱膨張性接着剤(2)〜(5)を調製した。これを用いて被着体1及び2を接着した。
<剥離試験>
実施例1及び比較例1に於いて、養生後の被着体に於ける接着剤層の強度を、T型剥離法(JIS K 6854−2)に準拠した測定法で測定した。具体的には、JIS K 6854−2に規定する剛性被着材を上記被着体2とし、同規定の被着材を上記被着体1とし、試験温度20±3℃で、両被着体の端部を引張試験機のチャックに保持し(チャック間距離:20mm)、引張り速度0.0083±0.00004m/sで引張って剥離強度(N/cm)を求めた。その結果を、表3に示す。
以下、各表の接着性の欄に於いて、極めて強度に接着していると評価できるもの(剥離強度24.5N/cm以上)を「○」で、シューズとして使用可能な程度に接着していると評価できるもの(剥離強度22.5N/cm以上)を「△」で、シューズとして使用不可であると評価できるもの(剥離強度22.5N/cm未満)を「×」で示している。
<解体試験>
実施例1及び比較例1に於いて、養生後の被着体を、市販の電子レンジ(松下電器産業(株)製、商品名:NE−EZ2)に入れ、マイクロ波周波数2.45GHz、出力700Wで、2分間マイクロ波処理を行った。マイクロ波処理後の両被着体を手で剥離することにより、解体性の評価を行った。その結果を表3に示す。
なお、以下、各表の解体性欄のうち、分解性の項目に於いて、電子レンジ内で接着剤層に於いて自然に層間剥離している場合を「◎」で、手で容易に剥離できた場合を「○」で、マイクロ波処理直後は手で容易に剥離できたが、室温下まで放置した後は、手で容易に剥離できなかった場合を「△」で、マイクロ波処理直後でも剥離できなかった場合を「×」で示している。
また、各表の解体性欄のうち、汚染性の項目に於いて、剥離後の被着体表面に接着剤が残っていない場合を「○」で、接着剤が被着体表面に残っている場合、もしくは剥離できなかった場合を「×」で示している。
<誘電損率の測定>
上記実施例1及び比較例1に係る熱膨張性接着剤(1)を、離型処理がなされた基材の上に塗工して、60℃、湿度55%下に30分放置して、溶剤を揮発させた。その後、常温、湿度55%下で、3日間放置して接着剤を養生し、硬化させた。
得られた接着剤層を、基材から剥離し、厚み約1mm、外径7.00mm、内径3.04mmの二重円形状に切り取った。この試験片を、下記条件で誘電率を測定することにより、周波数2.45GHz、温度20±3℃における誘電損率を求めた。同様にして、熱膨張性接着剤(3)についても誘電損率を求めた。
測定機器:アジレント・テクノロジー(株)製、ネットワークアナライザE8361A。
測定法:Sパラメーター方式、反射法。
測定周波数:0.5GHz〜3.0GHz。
サンプルホルダー:同軸系CSH2−APC7。
数学モデル:Reflection/Transmission Epsilon Precision Model。
Figure 0005153103
<屈曲試験>
上記熱膨張性接着剤(1)、(3)及び(4)で接着された各被着体について、その接着剤層の柔軟性を、ASTM D1502の屈曲試験法に準拠した測定法で測定した。具体的には、ASTM D1502に準じ、屈曲角度90度、屈曲速度120±3回/分、屈曲回数10万回、試験温度20±3℃で、耐屈曲性を評価した。その結果を表4に示す。
なお、被着体に亀裂が入らなかった場合を「○」で、被着体に亀裂が入った場合を「×」で示している。
Figure 0005153103
(実施例2)
100部(樹脂固形分換算)の樹脂Aに対し、表5に示す割合(部)で高誘電材A及び熱膨張材Aを添加し、1分間攪拌して、十分に混合させた。次に、これに硬化剤Aを25部添加し、更に、1分間攪拌した。
なお、表5に示すとおり、配合割合の異なる接着剤(実施例2−1〜実施例2−21)をそれぞれ調製した。
各接着剤を、被着体1(EVA発泡材の表面にプライマーを処理したもの。厚み10mm、幅2cm、長さ7.5cm)のプライマー処理面に、接着剤硬化後の厚みで、約100μmに塗工した。また、得られた接着剤を、被着体2(天然ゴムを主成分とするゴム材の表面にプライマーを処理したもの。厚み2mm、幅2cm、長さ7.5cm)のプライマー処理面に、接着剤硬化後の厚みで、約100μmに塗工した。この両被着体を重ね合わせ、60℃、湿度55%下で、10分間放置して、溶剤を揮発させた。その後、常温、湿度55%下で、20秒間圧着し、3日間放置して接着剤を養生し、硬化させた。
(比較例2)
100部(樹脂固形分換算)の樹脂Aに対し、表6に示す割合(部)で高誘電材A又は熱膨張材Aを添加したこと以外は、実施例2と同様にして接着剤を調製し、被着体に接着して養生した。なお、表6に示すとおり、5種類の接着剤(比較例2−1〜比較例2−5)をそれぞれ調製した。
実施例2−1〜実施例2−21及び比較例2−1〜比較例2−5で得られた被着体のそれぞれについて、上記と同様にして、剥離試験及び解体試験を行った。なお、各接着剤について、誘電損率も上記と同様にして求めた。その結果を、表5及び表6に示す。ただし、各表に於いて、空欄は、未測定部分である。
この結果から、実施例2−1〜2−21は、接着性及び解体性に優れた熱膨張性接着剤であることが判明した。さらに、誘電損率が0.7以上の熱膨張性接着剤は、特に、分解性に優れていることが判明した。
Figure 0005153103
Figure 0005153103
(実施例3)
100部(樹脂固形分換算)の樹脂Bに対し、表7に示す割合(部)で高誘電材A及び熱膨張材Aを添加し、1分間攪拌して、十分に混合させた。次に、これに硬化剤Aを25部添加し、更に、1分間攪拌した。
得られた接着剤を、実施例2と同様にして、被着体に塗工して、養生した。
(比較例3)
100部(樹脂固形分換算)の樹脂Bに対し、硬化剤Aを25部添加し、1分間攪拌した。得られた接着剤を、実施例2と同様にして、被着体1及び被着体2に塗工して、養生した。
実施例3−1及び3−2及び比較例3の被着体について、上記と同様にして、その接着性及び解体性を測定した。なお、各接着剤について、誘電損率も上記と同様にして求めた。その結果を、表7に示す。
Figure 0005153103
(実施例4)
100部(樹脂固形分換算)の樹脂Aに対し、表8に示す割合(部)で高誘電材A、高誘電材B又は高誘電材C、及び熱膨張材Aを添加し、1分間攪拌して、十分に混合させた。次に、これに硬化剤Aを25部添加し、更に、1分間攪拌した。
得られた接着剤を、実施例2と同様にして、被着体に塗工して、養生した後、上記剥離試験及び解体試験と同様にして、その接着性及び解体性を測定した。なお、各接着剤について、誘電損率も上記と同様にして求めた。その結果を、表8に併せて示す。
Figure 0005153103

Claims (9)

  1. 樹脂固形分と、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエタノールアミン及びグリセリンから選ばれる少なくとも1つの高誘電材と、分解開始温度が90℃以上150℃未満の熱膨張材とを含み、樹脂固形分は、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの90℃以上150℃未満における貯蔵弾性率が5MPa以下である熱膨張性接着剤。
  2. さらに、前記樹脂固形分を硬化させる硬化剤を含む、請求項1に記載の熱膨張性接着剤。
  3. 前記樹脂固形分は、JIS K 7244−4に準拠して測定される周波数10Hzでの−10℃〜40℃における貯蔵弾性率が500MPa以下である請求項1または2に記載の熱膨張性接着剤。
  4. 前記樹脂固形分は、JIS K 7121に準拠して測定される転移主ピーク温度が40℃〜90℃である請求項1〜3のいずれかに記載の熱膨張性接着剤。
  5. 前記樹脂固形分100質量部に対し、高誘電材が15〜50質量部、熱膨張材が5〜100質量部配合されている請求項1〜4のいずれかに記載の熱膨張性接着剤。
  6. 周波数2.45GHz、温度20±3℃における誘電損率が0.7以上である請求項1〜5のいずれかに記載の熱膨張性接着剤。
  7. シューズの構成部材を被着体とし、温度20±3℃でT型剥離法(JIS K 6854−2)に準拠して測定される剥離強度が24.5N/cm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の熱膨張性接着剤。
  8. シューズの構成部材の一部が、請求項1〜7のいずれかに記載の熱膨張性接着剤を用いて接着されているシューズ。
  9. 請求項8に記載のシューズにマイクロ波を照射し、熱膨張性接着剤を膨張させるシューズの解体方法。
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