JP5152007B2 - ピストン式圧縮機における潤滑構造 - Google Patents
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Description
油通路の終端が窓の角度幅の先行側半分にある構成は、油通路における冷媒流量増をもたらす。これは、スラスト軸受けの潤滑の向上に寄与する。
1つの窓に一対の油通路を連通させた構成では、複数のシリンダボアのうちの少なくとも1つと油通路との連通を常に確保することが可能である。
油通路のこのような方向性は、油通路内の冷媒を窓側へ助勢し、油通路内の冷媒流量が増す。これは、スラスト軸受けの潤滑の向上に寄与する。
好適な例では、前記回転軸の内端部は、前記第2シリンダブロックに回転可能に支持されており、前記軸内通路は、前記回転軸の前記内端部のみにて前記吸入圧領域に連通しており、前記第1油通路の通路断面積は、前記第2油通路の通路断面積よりも大きい。
図1に示すように、連結された一対のシリンダブロック11,12の一方の第1シリンダブロック11にはフロントハウジング13が連結されており、他方の第2シリンダブロック12にはリヤハウジング14が連結されている。シリンダブロック11,12、フロントハウジング13及びリヤハウジング14は、両頭ピストン式圧縮機10の全体ハウジングを構成する。フロントハウジング13には吐出室131が形成されており、リヤハウジング14には吐出室141及び吸入圧領域である吸入室142が形成されている。
図2(a),(b)に示すように、回転軸21の外周面213の一部であるシール周面211には油溝42が凹み形成されている。油通路としての油溝42の始端421は、レース251,252間に介在された転動子253によって生じるレース251,252間の介在間隙44に対応する位置にあり、油溝42は、介在間隙44と第1窓312とに連通するように、回転軸21の回転軸線210の方向に延びる直線形状である。
図4のグラフにおける曲線E1,E2は、第1連通路32及び第1シリンダボア27内の圧力の変化を示す。曲線E1は、圧縮機の回転が低速の場合であり、曲線E2は、圧縮機の回転が高速の場合である。横軸は、回転軸21の回転角度を表し、縦軸は、第1連通路32及び第1シリンダボア27内の圧力を表す。回転角度θ1は、複数の第1連通路32のうちの1つと第1窓312との連通が開始するタイミングを表し、回転角度θ2は、第1連通路32と第1窓312との連通が終了するタイミングを表す。回転角度θ1は、油溝42と第1窓312との連通が開始するタイミングでもある。圧縮機の回転が低速及び高速のいずれの場合にも、第1連通路32内及び第1シリンダボア27内の圧力は、回転角度範囲〔θ1,θ2〕のうちの前半〔θ1,θ1+(θ2−θ1)/2〕で最も低くなる。
図4に示す範囲〔θ1−γ,θ1〕は、第1窓312と第1シリンダボア27との連通が開始するときの角度幅γの第1窓312の回転角度位置を表す。範囲〔θ1−α,θ1〕は、第1窓312と第1連通路32との連通が開始するときの角度幅αの油溝42の回転角度位置を表す。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
図5(a)は、両頭ピストン29の頭部291が上死点位置にあるときの状態を示し、図5(b)は、両頭ピストン29の頭部292が上死点位置にあるときの状態を示す。シール周面211に設けられた油溝42Aは、第1窓312の先行端314から離れているが、第1窓312の角度幅γの先行側半分にある。同様に、シール周面212に設けられた油溝43Aは、第2窓313の先行端315から離れているが、第2窓313の角度幅δ(=γ)の先行側半分にある。
次に、図6の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合を用い、その詳細説明は省略する。
図7(a)は、両頭ピストン29の頭部291が上死点位置にあるときの状態を示し、図7(b)は、両頭ピストン29の頭部292が上死点位置にあるときの状態を示す。回転軸線210を中心とする油溝42Cの角度幅は、回転軸線210を中心とする油溝43Cの角度幅よりも大きくしてある。つまり、油溝42Cの通路断面積は、油溝43Cの通路断面積よりも大きい。油溝42Cの終端422は、第1窓312の角度幅γ〔図4参照〕の先行側半分にあり、油溝43Cの終端432は、第2窓313の角度幅δ〔図4参照〕の先行側半分にある。
図8(a)は、両頭ピストン29の頭部291が上死点位置にあるときの状態を示し、図8(b)は、両頭ピストン29の頭部292が上死点位置にあるときの状態を示す。
○第1の実施形態において、γ≠δであってもよい。
○第1の実施形態において、第1,2窓312,313の角度幅γ,δの後行側半分に油溝42,43の終端422,432を接続してもよい。
○圧縮機外の吸入圧領域から第1,2導入通路へ冷媒を導入するようにしてもよい。
Claims (6)
- 複数のシリンダボアが回転軸の周囲に配列されるようにシリンダブロックに形成されており、前記複数のシリンダボア内にピストンが収容されており、前記ピストンが前記回転軸と一体的に回転可能なカムを介して前記回転軸の回転に連動されており、前記カムと前記シリンダブロックとの間にはスラスト軸受けが介在されており、前記ピストンによって前記シリンダボア内に区画される圧縮室に吸入圧領域から冷媒を導入するための導入通路を有するロータリバルブが備えられており、前記導入通路は、前記回転軸内に設けられた軸内通路と、前記軸内通路から前記ロータリバルブの外周面に至る窓とを含み、外部冷媒回路から圧縮機内に還流する冷媒は、前記カムを収容するカム収容室を介さずに前記軸内通路へ直接導入されるピストン式圧縮機における潤滑構造において、
前記スラスト軸受けは、前記カム又は前記シリンダブロックに接触する環状レースと、前記環状レースに係合する転動子とを備えており、
前記転動子の介在間隙から前記窓に至る油通路が前記回転軸の外周面に沿って形成されているピストン式圧縮機における潤滑構造。 - 前記油通路の終端は、前記回転軸の回転に伴う前記窓の角度幅の先行側半分に接続されている請求項1に記載のピストン式圧縮機における潤滑構造。
- 前記油通路は、一対設けられている請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のピストン式圧縮機における潤滑構造。
- 前記油通路は、始端から終端に向かうにつれて前記回転軸の回転方向とは逆方向に向かう請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のピストン式圧縮機における潤滑構造。
- 複数の第1シリンダボアが第1シリンダブロックに形成されており、複数の第2シリンダボアが第2シリンダブロックに形成されており、前記回転軸の回転に連動する両頭ピストンが対となる前記第1シリンダボアと前記第2シリンダボアとに収容されており、前記第1シリンダボア内に区画される第1圧縮室に前記吸入圧領域から冷媒を導入するための第1導入通路を有する第1ロータリバルブと、前記第2シリンダボア内に区画される第2圧縮室に前記吸入圧領域から冷媒を導入するための第2導入通路を有する第2ロータリバルブとが備えられており、前記第1圧縮室に連通して前記第1導入通路に連通可能な第1連通路が前記第1シリンダブロックに設けられており、前記第2圧縮室に連通して前記第2導入通路に連通可能な第2連通路が前記第2シリンダブロックに設けられており、前記第1導入通路及び前記第2導入通路の少なくとも一部は、前記回転軸内に設けられた軸内通路であり、前記スラスト軸受けは、前記カムと前記第1シリンダブロックとの間に介在された第1スラスト軸受けと、前記カムと前記第2シリンダブロックとの間に介在された第2スラスト軸受けとであり、前記窓は、前記第1ロータリバルブに設けられた第1窓と、前記第2ロータリバルブに設けられた第2窓とであり、前記油通路は、前記第1窓に連通する第1油通路と、前記第2窓に連通する第2油通路とである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のピストン式圧縮機における潤滑構造。
- 前記回転軸の内端部は、前記第2シリンダブロックに回転可能に支持されており、前記軸内通路は、前記回転軸の前記内端部のみにて前記吸入圧領域に連通しており、前記第1油通路の通路断面積は、前記第2油通路の通路断面積よりも大きい請求項5に記載のピストン式圧縮機における潤滑構造。
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