JP5151620B2 - 共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオキシアルキレン化合物及び不飽和カルボン酸系化合物を塊状重合することを特徴とする、共重合体の製造方法に関する。
従来、ポリオキシアルキレン化合物及び不飽和カルボン酸系化合物を共重合して得られる共重合体は、セメント用添加剤や各種顔料分散剤として有用であり、幅広く使用されている。このような共重合体を製造する方法としては溶液重合、塊状重合が行われている。
溶液重合の溶媒として使用されるアルコール類の中には、無水マレイン酸やマレイン酸中のカルボン酸とエステル化反応を起こすものもあるため、そのうちの限られたものしか使用することができない。また、溶液重合は、溶媒を多量に使用するため、反応後に溶媒を除去する際に多大な時間を要するだけでなく、回収用の設備が必要となる。さらに、溶媒を除去する必要が無い場合でも、溶媒が共重合体中に多量に残るため、その使用用途が限定されるという問題があった。特に、水を溶媒として用いる場合、その反応系で有効な重合開始剤の殆どが無機塩であるため、溶媒の有無に関わらず、共重合体中に無機塩が残存することとなる。このような無機塩の残存した共重合体は、強熱残分の残存による悪影響が敬遠されるセラミック電子部品製造用添加剤としては使用ができない。そのため、溶液重合において水を溶媒として用いた場合には、溶媒除去の有無に関わらず、得られる共重合体の用途が限定されるという問題があった。
そこで、上記の問題を解決するために、溶液重合に代えて、溶媒を全く使用しない塊状重合が行われている。しかし、この重合方法では、原料のポリオキシアルキレン化合物中に水酸基が存在すると、その水酸基と無水マレイン酸やマレイン酸中のカルボン酸との間でエステル化反応が進行し、ゲル化を引き起こすという問題がある。また、ゲル化が起きない場合でも、当該方法により得られる共重合体を含有する分散剤は、無機粉体に添加して使用する際に所望の分散性が得られないという問題がある。
これらの問題を解決するために、原料ポリオキシアルキレン化合物中の水酸基の量を減らして塊状重合を行う方法、又は水酸基を含まないようにして塊状重合を行う方法が開示されている(例えば、特許文献1)。これらの水酸基の量を減らした、又は含まないポリオキシアルキレン化合物を製造する方法としては、過剰のアルカリと有機ハロゲン化物とを用いることが開示されている(例えば、特許文献2)。しかし、この方法は未反応物原料を除去する工程が必要であるため歩留を低下させ、また廃棄物が排出されるため環境負荷が生じるといった問題が指摘されている。
特開昭63−285140号公報 特開2007−204701号公報
本発明は、上記の問題点に鑑み、水酸基を有するポリオキシアルキレン化合物及び不飽和カルボン酸系化合物を塊状重合してもゲル化することなく、かつ、得られた共重合体を、例えばセメント、セラミック、顔料、フィラー等の無機粉体又は有機粉体含有組成物などの粉体に添加する場合に、その粉体の分散性を高めることができる、共重合体の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)と、不飽和カルボン酸系化合物(b)とを、塊状重合することを特徴とする、共重合体の製造方法。
(化1)
O(CHCHO)(AO)H (1)
[式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の付加物を示し、Rは炭素数2〜5のアルケニル基を示し、nは20〜135を示し、mは1〜8を示し、(AO)の化合物(a)全体に対する割合が1〜25質量%である]
[2]不飽和カルボン酸系化合物(b)が、マレイン酸系化合物である上記[1]記載の共重合体の製造方法。
[3]マレイン酸系化合物が、無水マレイン酸、マレイン酸及びマレイン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[2]記載の共重合体の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]記載の製造方法により得られる共重合体を有効成分とする、セメント用分散剤。
本発明は、特定構造のポリオキシアルキレン化合物を選択した結果、原料化合物の水酸基を減らさないでも、ゲル化させることなく、不飽和カルボン酸系化合物との塊状重合を行うことを可能とした。得られた共重合体は、溶液重合によって得られる共重合体におけるような溶媒や塩の残留がないため、無機・有機粉体の分散剤として種々の用途に使用可能であり、また優れた分散性を与えることができる。
本発明の共重合体の製造方法は、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)を必須の原料とする。
上記一般式(1)においてRで示される「炭素数2〜5のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基などが挙げられ、なかでも好ましくはアリル基、メタリル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基であり、より好ましくはアリル基、メタリル基である。
上記一般式(1)において、AOで示される「炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の付加物」としては、例えば、オキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられ、なかでも好ましくはオキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基である。かかる炭素数3〜4のオキシアルキレン基は1種であっても2種以上の付加物であってもよく、2種以上の付加物である場合、その付加形式はランダム状であってもブロック状であってもよい。
また、(AO)の、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)全体に対する割合は、1〜25質量%の範囲内であり、より好ましくは2〜20質量%の範囲内であり、特に2〜15質量%の範囲内であることが好ましい。(AO)の割合が上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)全体の25質量%を超えると、得られる共重合体を分散剤として用いる際において、分散性の低下を招くため好ましくない。特に、セメント用分散剤として用いると、空気連行性の増加を引き起こし、空気量を抑えるために、分散剤の添加量を減少させるか、又は別途消泡剤を添加しなければならなくなる。分散剤の添加量の減少は、分散性の低下を起こすため好ましくなく、また消泡剤の添加は、その量や種類により分散性に影響を与えるため、その選択が困難であり好ましくない。逆に、1質量%未満であると、共重合体製造時にゲル化するため好ましくない。
上記一般式(1)において、mは、「炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数」を示し、具体的には1〜8である。なお、mが0である場合、すなわち一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物が(AO)を有さない場合は、重合反応においてゲル化が起こるため、所望の共重合体が得られない。
また、nは、「オキシエチレン基の平均付加モル数」を示し、通常20〜135をであり、好ましくは20〜100である。
本発明の製造方法は、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物を、1種のみ用いるものであっても良く、2種以上用いるものであっても良い。
一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルケニルアルコールにエチレンオキシドを付加重合し、ポリオキシエチレンモノアルケニルエーテルとした後に、炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合することにより製造する方法などが挙げられる。該アルキレンオキシドを付加重合する際の触媒としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属やそれらの水酸化物、あるいはアルコラート等のアルカリ触媒などが用いられる。具体的には、例えば、ナトリウム、カリウム、ナトリウムカリウムアマルガム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムハイドライド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド等が挙げられる。
これらの触媒と出発原料であるアルケニルアルコールとの混合物に、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で50〜160℃にてエチレンオキシド、続いて炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加することにより、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物を得ることができる。
本発明の製造方法において必須の原料として用いられる不飽和カルボン酸系化合物(b)としては、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のアミン類の塩、マレイン酸エステル等のマレイン酸系化合物;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアミン類の塩、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸系化合物;イタコン酸、無水イタコン酸、イタコン酸のアミン類の塩、イタコン酸エステル等のイタコン酸系化合物;フマル酸、フマル酸のアミン類の塩、フマル酸エステル等のフマル酸系化合物;クロトン酸、クロトン酸のアミン類の塩、クロトン酸エステル等のクロトン酸系化合物などが挙げられ、好ましくは無水マレイン酸、マレイン酸及びマレイン酸エステルである。また、不飽和カルボン酸系化合物(b)は1種単独で使用することもできるし、2種以上の混合物として使用することもできる。
上記アミン類の塩としては、例えば、アンモニウム塩、ジアンモニウム塩などのアンモニウム塩;メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩が挙げられる。また、上記エステルとしては、例えば、メタノール、エタノール等の飽和アルコール;ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル等のポリアルキレングリコール誘導体とのエステル化物が挙げられる。
共重合体を製造する際の仕込みの割合は、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)と不飽和カルボン酸系化合物(b)との和を100%とした時、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)が通常20〜70モル%、好ましくは30〜60モル%であり、不飽和カルボン酸系化合物(b)が
通常30〜80モル%、好ましくは40〜70モル%である。その他、ポリオキシアルキレン化合物(a)及び不飽和カルボン酸系化合物(b)と共重合可能な単量体を含んでも良く、共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチレン、ジイソブチレン、ビニルシクロヘキサンなどのエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、仕込みの割合は、単量体(a)及び(b)の合計仕込量に対し20モル%以下である。
本発明による共重合体の製造方法は、ポリオキシアルキレン化合物(a)及び不飽和カルボン酸系化合物(b)を塊状重合することを特徴とするものである。なお、本発明でいう「塊状重合」とは、モノマーを溶媒に溶解又は分散させることなく、重合開始剤と共に重合させる方法をいう。その反応温度は、通常0〜120℃であり、好ましくは20〜100℃である。また、反応時間は、通常1〜50時間であり、好ましくは2〜25時間である。
上記重合反応に用いる重合開始剤としては、例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤が挙げられる。
過酸化物系開始剤としては、例えば、tert−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロペルオキシド、2−(4−メチルシクロヘキシル)−プロパンハイドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α′−ビス(tert−ブチルペルオキシ)p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(tert−ブチルペルオキシ)p−イソプロピルヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシラウレート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルペルオキシフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシブチレート、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシマレエート、クミルペルオキシオクタノエート、クミルペルオキシネオヘキサノエート、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレエート、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)オクタン、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、ジアリルペルオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシアリルカーボネートなどが挙げられる。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−アルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)などが挙げられる。
重合開始剤の仕込量は、単量体(a)及び(b)の合計仕込量に対して、通常0.1〜10モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。また、必要に応じて連鎖移動剤を併用して重合を行うこともできる。
本発明の製造方法により得られた共重合体は、必要に応じてカルボン酸の一部又は全部をアルカリで中和、及びアルコール系化合物でエステル化することができる。なお、無水マレイン酸を用いる場合は、無水マレイン酸単位の一部又は全部を加水分解により開環してマレイン酸単位とし、さらにマレイン酸単位の一部又は全部をアルカリで中和、及びアルコール系化合物でエステル化することができる。中和の際に用いるアルカリとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどアルカリ金属の水酸化物;炭酸塩又は炭酸水素塩;マグネシウム、カルシウムなどアルカリ土類金属の水酸化物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン;アンモニアが挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用い得る。また、エステル化の際に用いるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等の飽和アルコール;アリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコール;ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテル等のポリアルキレングリコール誘導体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用い得る。
また、本発明の製造方法によって得られた共重合体は、所望の特性を発揮できるものであれば、その質量平均分子量などは特に制限されないが、共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と呼ぶ)によるポリエチレングリコール換算で、好ましくは5,000〜300,000の範囲であり、より好ましくは5,000〜100,000の範囲であり、特に好ましくは7,000〜80,000の範囲である。共重合体の質量平均分子量をかかる範囲とすることで、より高い分散性を発揮する共重合体が製造できる。
本発明の製造方法によって得られた分散剤の形態に特に制限はなく、例えば、共重合体を単独で用いてもよく、水溶液として用いてもよく、又はトルエンやアルコール等の有機溶剤溶液として用いてもよいが、好ましくは水溶液である。なお、上記分散剤は、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の分散剤と併用することも可能である。かかる他の分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、リグニンスルホン酸の塩、芳香族アミノスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、ポリカルボン酸系共重合物の塩などが挙げられる。また、上記分散剤は、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて消泡剤などの他の添加剤と併用することができる。特にセメント用途においては、かかる他の添加剤として、空気連行剤、消泡剤、分離低減剤、凝結遅延剤、凝結促進剤、膨張剤、乾燥収縮低減剤、防錆剤などが挙げられる。
本発明の分散剤を使用する方法としては、特に制限はなく、例えば、粉体に予め該分散剤を添加して分散媒中に分散させる方法や、分散媒に予め該分散剤を添加した後に粉体を分散させる方法、分散媒に粉体を添加した後に該分散剤を添加し分散させる方法などが挙げられる。本発明の分散剤は、各種粉体に対して有効成分である共重合体を0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%添加して使用することができる。
さらに、上記分散剤は、各種の有機・無機粉体に適用し得、セメント用途、セラミック用途、塗料用途、樹脂用途などに用いることができる。なかでも、セメント用途が好ましく、本発明の分散剤を用いることで優れた分散性を与えることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
撹拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイル及び蒸気ジャケットを装備したステンレス製5Lの高圧反応装置に、アリルアルコール58g(1.0モル)及びナトリウムメトキシド1.0gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。攪拌下、100〜120℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件で、別に用意した耐圧容器よりエチレンオキシド2775g(63モル)を窒素ガス圧により加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させ、窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa(ゲージ圧)以下で0.5時間処理を行なった後、窒素ガスで0.05MPa(ゲージ圧)まで加圧した。加圧後、100〜120℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件で、別に用意した耐圧容器よりプロピレンオキシド58g(1.0モル)を窒素ガス圧により加圧添加した。同条件で内圧が一定となるまで反応させた後、窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa(ゲージ圧)以下で0.5時間処理を行なった後、窒素ガスで0.05MPa(ゲージ圧)まで加圧し、反応物2313g(0.80モル)を3Lナスフラスコに抜き取った。その後、塩酸で中和し水や副生した塩を除いて目的とするポリオキシアルキレン化合物を得た。その後、かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管を装着した3L四つ口フラスコに、ポリオキシアルキレン化合物1,446g(0.50モル)と無水マレイン酸69g(0.70モル)を秤り取り、重合開始剤としてベンゾイルペルオキシド7g(0.03モル)を添加し、窒素ガス雰囲気下、80±2℃で10時間反応させることにより、目的とする共重合体を得た。
<実施例2〜6>
上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物、不飽和カルボン酸系化合物及びそのモル比を、下記表1のとおりにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に反応を行い、目的とする共重合体を得た。
<実施例7>
実施例1と同様に反応を行い、上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物として、下記表1のとおりのポリオキシアルキレン化合物を得た。
その後、かき混ぜ機、温度計、窒素ガス導入管を装着した3L四つ口フラスコに、表1に示したポリオキシアルキレン化合物770g(0.50モル)と無水マレイン酸74g(0.75モル)、ドデカンチオール6g(0.03モル)を秤り取り、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル8g(0.05モル)を添加し、窒素ガス雰囲気下、80±2℃で10時間反応させることにより、目的とする共重合体を得た。
<比較例1〜3>
上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物、不飽和カルボン酸系化合物及びそのモル比を、下記表1のとおりにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に反応を行ったが、目的とする共重合体を得られず、合成中にゲル化した。
なお、上記比較例1において用いたポリオキシアルキレン化合物は下記のとおりにして得た。
撹拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイル及び蒸気ジャケットを装備したステンレス製5Lの高圧反応装置に、アリルアルコール58g(1.0モル)及びナトリウムメトキシド1.0gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。攪拌下、100〜120℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件で、別に用意した耐圧容器よりエチレンオキシド2775g(63モル)を窒素ガス圧により加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させ、窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa(ゲージ圧)以下で0.5時間処理を行なった後、窒素ガスで0.05MPa(ゲージ圧)まで加圧し、反応物2266g(0.80モル)を3Lナスフラスコに抜き取った。その後、塩酸で中和し副生した塩を除いて目的とするポリオキシアルキレン化合物を得た。
また、上記比較例3において用いたポリオキシアルキレン化合物は下記のとおりにして得た。
撹拌機、圧力計、温度計、安全弁、ガス吹き込み管、排気管、冷却用コイル及び蒸気ジャケットを装備したステンレス製5Lの高圧反応装置に、アリルアルコール58g(1.0モル)及びナトリウムメトキシド1.0gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。攪拌下、100〜120℃、0.05〜0.5MPa(ゲージ圧)の条件で、別に用意した耐圧容器よりエチレンオキシド2775g(63モル)とプロピレンオキシド174g(3.0モル)を混合した溶液を窒素ガス圧により加圧添加した。添加終了後、同条件で内圧が一定となるまで反応させ、窒素ガスを吹き込みながら、70〜80℃、13kPa(ゲージ圧)以下で0.5時間処理を行なった後、窒素ガスで0.05MPa(ゲージ圧)まで加圧し、反応物2406g(0.80モル)を3Lナスフラスコに抜き取った。その後、塩酸で中和し水や副生した塩を除いて目的とするポリオキシアルキレン化合物を得た。
<比較例4、5>
上記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物、不飽和カルボン酸系化合物及びそのモル比を、下記表1のとおりにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に反応を行い、目的とする共重合体を得た。
Figure 0005151620
<実施例8〜14、比較例6及び7>
実施例1〜7、比較例4及び5で得られた各共重合体を、それぞれイオン交換水で希釈して、20質量%水溶液に調整し、さらに消泡剤(ポリアルキレングリコール誘導体;ディスホームCC−118 日油(株)製)を添加して、セメント用添加剤の形態とした。
次に、JISR5201記載のモルタルミキサにセメント(普通ポルトランドセメント)600g、細骨材(君津産山砂)1,024gを秤り取り、低速回転で30秒間空練りを行った。その後、直後のモルタルフローが220±10mmになるよう下記表2に示す割合で前記の各セメント用添加剤を添加した水道水207gを加えて低速回転で30秒間練り混ぜ、さらに高速回転で2分間練り混ぜた後、5分間静置してモルタル組成物を調整した。なお、練り上がり直後の空気量は3.0±1.0%となるように消泡剤を添加することで調整し、温度は23±2℃であることを確認した。
得られたモルタル組成物について、直後(5分間静置後)、30分後(直後から30分後)のモルタルフロー試験を行った。結果を下記表2に示す。
なお、かかるモルタルフロー試験は、15秒間に15回の落下運動は与えなかった以外はJISR5201に準拠して行った。また、下記表2において「セメント用添加剤の添加量」の値は、セメント用添加剤のセメントに対する質量%を示す。
Figure 0005151620
表1から明らかなように、上記一般式(1)に示される構造を有しないオキシアルキレン化合物を用いた比較例1〜3の共重合体は、製造中にゲル化した。これに対し、本発明の製造方法を用いた実施例1〜7の共重合体はゲル化することなく製造することができた。
また、比較例4及び5の共重合体は、ゲル化することなく製造することができたが、これらを用いた比較例6及び7の分散剤は、実施例8〜14の分散剤と比較すると、同程度の分散性を得るために必要とされる分散剤の添加量が多く、また、30分後のフロー値が小さかった(表2)。したがって、実施例により得られた共重合体は、比較例により得られた共重合体に比べ、優れた分散性能や分散安定性を示していることが分かった。

Claims (3)

  1. 記式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)と、不飽和カルボン酸系化合物(b)とを、塊状重合し、仕込みの割合は、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)と不飽和カルボン酸系化合物(b)との和を100%とした時、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物(a)が30〜60モル%であり、不飽和カルボン酸系化合物(b)が40〜70モル%であることを特徴とする、共重合体の製造方法。
    (化1)
    O(CHCHO)(AO)H (1)
    [式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の付加物を示し、Rは炭素数2〜5のアルケニル基を示し、nは20〜135を示し、mは1〜8を示し、(AO)の化合物(a)全体に対する割合が1〜25質量%である]
  2. 不飽和カルボン酸系化合物(b)が、マレイン酸系化合物である請求項1記載の共重合体の製造方法。
  3. マレイン酸系化合物が、無水マレイン酸、マレイン酸及びマレイン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2記載の共重合体の製造方法。
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