JP5151536B2 - 電子写真感光体、画像成形装置、フルカラー画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像成形装置、フルカラー画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、レーザープリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真感光体、画像形成装置用のプロセスカートリッジ、画像成形装置、及びフルカラー画像形成装置に関するものである。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行う光プリンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンタのみならず通常の複写機にも応用され所謂デジタル複写機が開発されている。又、従来からあるアナログ複写機にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
このようなデジタル複写機、デジタルプリンタにおいては、原稿における画像面積率が通常10%以下程度であるため、光源の劣化、感光体の光疲労を考慮して画像部に書き込みを行い、感光体の電位減衰した部分にトナー像を現像する反転現像(ネガ・ポジ現像)方式が主流である。この反転現像方式は感光体への光照射量が少なくて済み、繰り返し使用における光疲労を勘案すると感光体にとって有利な現像方式であるが、感光体に微少な欠陥が存在し、電位のリークのような現象が起こると、原稿にはない地肌部(白地)での点欠陥(地肌汚れ、黒ポチなど)が発生してしまう。この欠陥は、図面における点、英文原稿におけるピリオド、カンマなどと見間違えられることがあり、画像としては致命的な欠陥であると言える。
このような欠陥は主に感光体の局部的な電位リークに基づく現象であることがほとんどであり、感光体の耐圧性の向上、帯電均一性の向上、電位保持均一性の向上が主たる課題になっている。この点に鑑み、導電性支持体と感光層の間に中間層(下引き層)を設ける試みがなされてきた。この結果、感光体の耐圧性が向上し、前記地肌汚れ等の画像欠陥は減少する方向に進んだ。
しかしながら、感光体を繰り返し使用していくと、通常の感光体は表面層(一般的には電荷輸送層)の摩耗が進む。感光体が使用される一般の画像形成装置は、感光体の帯電電位(未露光部)は一定で使用される。このため、表面層の摩耗が進むと、感光体に印加される電界強度が上昇することになる。上述のように、地肌汚れ等の画像欠陥は、電荷リーク現象に基づくものであるから、電界強度依存性を有し、電界強度が大きいほど電荷リークの確率が大きくなる。
この様な観点から、感光体の表面に表面保護層を設ける試みがなされてきた。感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(i)架橋型電荷輸送層に硬化性バインダーを用いたもの(例えば、特許文献1参照)、(ii)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、(iii)架橋型電荷輸送層に無機フィラーを分散させたもの(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。更に、(i)の耐摩耗性と耐傷性を改良するために多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させた感光体も知られている(特許文献4参照)。また、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが知られている(例えば、特許文献5参照)。更に、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層も知られている(例えば、特許文献6参照)。
このような表面保護層の技術から、感光体の繰り返し使用における耐摩耗性が向上し、電界強度の上昇割合が小さくなり、電荷リーク現象に基づく画像欠陥の発生は確かに緩和されるようになった。しかしながら、保護層固有の問題も新たに発生した。
例えば、摩耗量が小さくなったため、感光体の繰り返し使用時に表面に堆積する物質が増加し、その結果、画像ボケ等の異常画像が発生するようになった。この点に関しては、保護層の改良や感光体の使用方法(例えば、ドラムヒーターの採用等)により解決される。
このような更なる表面保護層の改良、感光体の使いこなし技術の開発により、感光体の耐摩耗性は更に向上し、感光体の寿命は明らかに延びた。この結果、保護層を用いない状況下では考えられないような長い期間、感光体が使用されるようになり、感光体摩耗・電荷リークに基づく画像欠陥等の範疇では、予測の付かなかった感光体の静電疲労が律速の寿命を迎えるようになってきた。
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は電荷移動錯体形成のアクセプターとして用いること(特許文献7)や、抗ヘリコバクター作用を有する化合物(医薬品)としてもちいること(特許文献8)が開示されているが、電子写真感光体に用いることが示唆されていない。
さらにまた、にナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、特許文献9に電子輸送物質として用いられることが開示されているが、これを用いた電子写真感光体は繰り返し使用による静電特性の変化が大きいという欠点を有している。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報 独国特許出願公開第1230031号明細書 国際公開第2002/040479号パンフレット 米国特許第5468583号明細書
本発明は、高耐久で、長期にわたり高品位な画像を安定して出力することができる電子写真感光体を提供することにある。また、この電子写真感光体を用いることにより、常に安定した画像を出力することの出来る画像形成装置、フルカラー画像形成装置を提供することにある。また、取り扱いの利便性が高いプロセスカートリッジを提供することにある。
画像形成装置の進歩に伴い、小型化・高速化・カラー化・高画質化(高精細化)が進められてきたが、このようなコンセプトは安定した状態で、長期間維持されるものである必要がある。この様な状態を達成するためには、画像形成装置内に用いられる電子写真感光体の静電特性が常に安定に動作し、かつ高耐久であることが求められる。
感光体の静電特性とは、画像形成装置内で言えば未露光部電位と露光部電位であり、これらが如何に安定して推移するかと言うことになる。前者は感光体の帯電性及び帯電保持性により決まり、後者は感光体の光感度及び残留電位によって決まる。これらは、適切な表面保護層を設けることにより、感光体静電容量の変化が小さくなり、変化量が小さくなることを見いだした。但し、その一方で新たな課題(例えば、感光体の1周目の未露光部帯電電位が低下する)が発生し、これが感光体の寿命を律する新たな課題になり得ることが分かった。本発明者らは、感光層に特定のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有させることによりこれらを安定に維持できることを見いだした。
一方、高耐久化に関しては、耐久性の律速を決める過程(原因)によって決定される感光体の寿命を、如何に延ばすかということに尽きる。現行の画像形成装置はネガ・ポジ現像が主流であり、この現像方式で最も大きな課題は地肌汚れ(地汚れ)である。これは、導電性支持体と感光層との間の電荷ブロッキング性の問題であり、メイン帯電と逆極性の電荷がリークしてしまうことにより起こる現象であると考えられる。この点に関しても、適切な表面保護層を設けることにより、感光体に印加される電界強度の上昇を抑制することが出来、電荷リーク現象を抑制することが出来る。一方、保護層を設けることにより、残像現象のような従来あまり認められていなかった異常画像の発生が増加するようになった。本発明者らは、感光層に特定のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有させることにより、この現象を抑制できることを見いだした。
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
(1)導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面保護層を有する電子写真感光体であって、該感光層に下記一般式(A)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有し、表面保護層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成されることを特徴とする電子写真感光体。
[式中、R1、R2、R3、R4は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R5、R6、R7、R8は水素原子を表す。また、R1とR2およびR3とR4は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。]
(2)前記保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)の少なくとも一種以上であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体。
{式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。}
(3)前記保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)の少なくとも一種以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
を表わす。)
(4)前記保護層の硬化手段が加熱又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5)前記感光層に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記感光層に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体が搭載されたことを特徴とする画像成形装置。
(8)少なくとも感光体と、この感光体の表面を一様に帯電する帯電装置と、一様帯電後に像露光を行い静電潜像を形成する像露光装置と、前記静電潜像にトナーを現像する現像装置とを具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置において、前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体が搭載されたことを特徴とするフルカラー画像形成装置。
(9)装置本体に対して着脱可能であり、少なくとも、回転もしくは回動される電子写真感光体と、該電子写真感光体に形成される潜像を現像する現像部と、像転写後の像担持体表面を清浄面化するクリーニング部とを有する、画像形成装置用のプロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(10)前記(9)記載のプロセスカートリッジが搭載されたことを特徴とする画像成形装置。
(11)前記(9)記載のプロセスカートリッジが搭載されたことを特徴とするフルカラー画像成形装置。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、高耐久で、長期にわたり高品位な画像を安定して出力することができる電子写真感光体が提供される。また、これを用いることで、高画質な画像形成を長期にわたり行う事の出来る画像形成装置及びフルカラー画像形成装置が提供される。また、取り扱い時の利便性が高いプロセスカートリッジが提供される。
以下、本発明の電子写真感光体の構成を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の構成を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、感光層33と保護層39が設けられている。
図2は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生層35、電荷輸送層37と保護層39が設けられている。
図3は、本発明の更に別の構成を表す断面図であり、導電性支持体31上に、下引き層41、電荷発生層35、電荷輸送層37と保護層39が設けられている。
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層(図1)でも、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型(図2,3)でも構わないが、説明の都合上、積層構成からなる感光層について先に述べる。
積層構成の場合一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は電荷発生層及び/又は電荷輸送層に含有される。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生物質としては、特に限定はなく、公知の材料を用いることが出来る。中でも、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンは有用に用いることが出来る。特に、特開2001−19871号公報に記載の結晶型、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、更に26.3°にピークを有さない結晶は有効に使用できる。更に、上記結晶型を有し、結晶合成時あるいは分散濾過処理により、平均粒子サイズを0.25μm以下にし、粗大粒子の存在しないチタニルフタロシアン結晶(特開2004−83859号公報、特開2004−78141号公報)は最も有用に使用できる。
電荷発生層は、前記電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が電荷発生層に含有される場合、含有量は電荷発生物質100質量部に対し1〜500質量部、好ましくは50〜200質量部が適当である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。また、本発明の一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体も電子輸送物質として用いることができる。
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の添加量は樹脂成分100質量部に対して20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部程度が適当であり、一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が電荷輸送層に含有される場合は、電荷輸送物質全体に対し、一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が1〜100質量%であることが好ましい。
電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、構造式(I)、(IV)〜(XIII)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
(I)式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R6は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記構造式(II)で表される2価基を表す。
(II)式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、下記構造式(III)を表す。
((III)式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、R101とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
(IV)式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1,Ar2,Ar3は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(V)式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(VI)式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7,Ar8,Ar9は同一あるいは異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(VII)式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一あるいは異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(VIII)式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一あるいは異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(IX)式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(X)式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(XI)式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一あるいは又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(XII)式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
(XIII)式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は置換もしくは無置換の芳香環基、Zは芳香環基または―Ar6―Za―Ar6―を表し、Ar6は置換もしくは無置換の芳香環基、ZaはO、Sまたはアルキレン基、RおよびR’は直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0または1を表す。k、j、n及びXは上記構造式(I)式の場合と同じである。)
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
また、必要により、電荷輸送層中に公知の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物の使用量は、高分子化合物100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは、0.1〜20質量部、レベリング剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して0.001〜5質量部程度が適当である。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
電荷輸送層の膜厚は、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15〜30μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
次に感光層が単層構成33の場合について述べる。上述した電荷発生物質及び電荷輸送物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。電荷輸送物質としては正孔輸送物質と電子輸送物質を併用することが高感度化や残留電位低減の観点から好ましい。感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。
上記単層構成の感光層において、電荷発生物質は感光層全体に対して0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%が適当である。電子輸送材料はバインダー樹脂成分100質量部に対して5〜300質量部、好ましくは10〜150質量部が適当である。ただし電子輸送材料全体に対し、一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体が1〜100質量%であることが好ましい。また正孔輸送材料は、バインダー樹脂成分100質量部に対して5〜300質量部、好ましくは10〜150質量部が適当である。電子輸送材料と正孔輸送材料を併用する場合は、電子輸送材料と正孔輸送材料の総量が、バインダー樹脂成分100質量部に対して20〜300質量部、好ましくは30〜200質量部が適当である。
感光層塗工液を調製する際に使用できる溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができる。これらの溶媒は単独としてまたは混合して用いることができる。
また、必要により、感光層中に公知の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。低分子化合物の使用量は、バインダー樹脂などの高分子化合物100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは、0.1〜20質量部、レベリング剤の使用量は、高分子化合物100質量部に対して0.001〜5質量部程度が適当である。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
感光層の膜厚は、10〜45μm程度が適当であり、好ましくは15〜32μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明に用いられる一般式(A)で表わされるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体は、下記に示す構造骨格を有する。
[式中、R1、R2、R3、R4は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基を表し、R5、R6、R7、R8は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R1とR2およびR3とR4は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。]
前記一般式(A)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体の製造方法としては、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物誘導体を、1,1−二置換ヒドラジン誘導体とを無溶媒、若しくは溶媒存在下で反応させることによって製造される。溶媒としては特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタレン、酢酸、ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルエチレンウレア、ジメチルスルホキサイド等があげられる。反応温度は室温〜250℃の間が好ましい。また反応促進のためにpH調整しておこなうこともできる。pH調整には水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の塩基性水溶液をリン酸等の酸との混合により作製した緩衝液を用いる。
具体的には、例えば、第一工程で;ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物誘導体と1,1−二置換ヒドラジン誘導体とを反応させてモノイミド体を製造し、第二工程で;このモノイミド体と最初に反応させたものと置換基の異なるヒドラジン誘導体とを反応させることにより、一般式(A)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体におけるR1、R2とR3、R4が異なる誘導体が製造できる。
あるいは、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物1モル当量とヒドラジン誘導体2モル当量以上を反応させて一般式(A)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体におけるR1、R2とR3、R4が同じ誘導体が製造できる。
一般式(A)の説明にある、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基などを挙げることができる。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロデシル基等を挙げることができる。また、芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環の基、芳香族複素環基としては、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなどの基が挙げられる。また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ベンジルフェニルアミノ基、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。更に、R1とR2およびR3とR4が互いに結合し窒素原子を含む複素環基を形成する場合、その複素環基としてはピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基などに芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基も挙げることができる。
以下に一般式(A)の好ましい例を挙げる。但し、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。なお例示化合物のNo.1とNo.18が独国特許出願公開第1230031号明細書(特許文献7)に電荷移動錯体形成のアクセプターとして、例示化合物No.26が国際公開第2002/040479号パンフレット(特許文献8)に抗ヘリコバクター作用を有する化合物(医薬品)として開示されているが、電子写真感光体に用いることは開示されてない。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられる。近年、日常的にコンピュータの使用が行われるようになり、プリンターによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。従って、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
本発明で使用できる保護層としては、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成されるものが用いられる。
このような保護層は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造を有するため3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。この様に感光体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋型保護層の膜厚が厚くなるほど増加するため保護層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
この問題を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。これに対し、本発明の感光体は、電荷輸送層上に3次元の網目構造が発達した架橋密度の高い保護層を好ましくは1μm以上、10μm以下の膜厚で設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。かかる保護層の膜厚を2μm以上、8μm以下の膜厚にすることにより、さらに上記問題に対する余裕度が向上することに加え、更なる耐摩耗性向上に繋がる高架橋密度化の材料選択が可能となる。
本発明の感光体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、保護層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に感光層もしくは電荷輸送層を有するため表面の保護層の内部応力を緩和できることなどによる。このため保護層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、この時生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。さらに、保護層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。本発明の保護層においては、好ましくは10μm以下の薄膜とすることにより内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、本発明の保護層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、さらに1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を保護層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、保護層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、保護層の内部応力が高まる原因となる。
更に、本発明の感光体は良好な電気的特性を有し、このため繰り返し安定性に優れており高耐久化並びに高安定化が実現される。これは保護層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字細り等の画像として現れる。さらに、本発明の感光体においては、下層の電荷輸送層として従来感光体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、保護層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
更に、本発明の上記保護層形成において、保護層が有機溶剤に対し不溶性にすることにより、特にその飛躍的な耐摩耗性が発揮される。本発明の保護層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては3次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1または2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されたりすることがある。このような保護層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、且つ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように保護層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性の向上が達成される。
次に、本発明の保護層塗布液の構成材料について説明する。
本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1−・・・・式10
(ただし、式10中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2−・・・・式11
(ただし、式11中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの官能基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX1、X2、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、保護層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型保護層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下する傾向が出てくるため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、保護層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、保護層全量に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。モノマー成分が20質量%未満では保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成にくくなる傾向がある。また、80質量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる傾向がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
本発明の保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が高い効果を有し、中でも下記一般式(1)又は(2)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
{式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。}
以下に、一般式(1)、(2)の具体例を示す。
前記一般式(1)、(2)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、本発明における該アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が含まれる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)
(式中、R3及びR4は各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R3及びR4は共同で環を形成してもよい。)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar1、Ar2で表わされるアリーレン基としては、前記Ar3、Ar4で表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキシエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
で表わされ、R5は水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン2価変性基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記一般式(3)の構造の化合物が挙げられる。
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記一般式(1)及び(2)特に(3)の1官能性の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、保護層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は保護層に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。この成分が20質量%未満では保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる傾向がある。また、80質量%を超えると電荷輸送性構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮しにくい傾向がある。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本発明の感光体の保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
本発明の電子写真感光体を構成する保護層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、保護層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー、機能性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100質量部に対し50質量部以下、好ましくは30質量部以下であればより好ましい。
また、本発明の保護層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜20質量部である。
更に、本発明の保護層形成用塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20質量%以下、好ましくは10質量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3質量%以下が適当である。
本発明の保護層は、少なくとも上記の電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を前述の感光層あるいは電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、かかる保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、保護層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない傾向がある。170℃を超える高温では硬化反応が不均一に進行し保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光のエネルギーとしては主に紫外光領域に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm2以上、好ましくは500mW/cm2以上、より好ましくは1000mW/cm2以上である。1000mW/cm2より強い照射光を用いることで重合反応の進行速度が大幅に速くなり、より均一な架橋表面層を形成することが可能となる。照射光量が50mW/cm2以下の場合、反応の進行が不均一となり、保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生じたりする。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
本発明の保護層の膜厚は、好ましくは1μm以上、10μm以下、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。10μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなり、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まず、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm未満の場合で、この膜厚以下の保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生じ、特に、保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分が露出するとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには保護層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
本発明の電子写真感光体の感光層(電荷発生層、電荷輸送層)、保護層を順次積層した構成において、最表面の保護層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性が高い感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、保護層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)保護層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)保護層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)保護層の塗工方法の選択、(4)保護層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
保護層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる傾向が高い。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20質量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20質量%以下とすることが望ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10質量%以下にすることが好ましい。
保護層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させたりし、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50質量%の範囲で用いることが望ましい。保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、感光層(もしくは電荷輸送層)と保護層の間に、保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
保護層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50W/cm2以上、好ましくは500mW/cm2以上、より好ましくは1000mW/cm2以上、5秒〜5分で且つ温度上昇を10℃以上に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明の電子写真感光体を構成する保護層を有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20質量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、保護層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50W/cm2以上、好ましくは500mW/cm2以上、より好ましくは1000mW/cm2以上、時間としては5秒から5分程度が好ましく、ドラム温度上昇は10℃以上になるように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
次に本発明の画像形成装置について説明する。
図4は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図4において感光体(11)は本発明の要件を満たす感光体である。感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電手段(12)は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電手段(12)は、消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電手段(12)への汚染を防止するため、感光体と帯電手段表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が望ましい。
本発明においては帯電の極性として正負いずれも使用できるが、正帯電の方が負帯電に比べ、帯電性が安定しており、またオゾンの発生量も少ないため望ましい。
転写手段(16)には、一般に上記の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
また、露光手段(13)、除電手段(1A)等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
現像手段(14)により感光体上に現像されたトナー(15)は、受像媒体(18)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング手段(17)により、感光体より除去される。クリーニング手段は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
図5には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。図5において、感光体(11)は、本発明の要件を満たし、エンドレスベルト状のものである。
駆動手段(1C)により駆動され、帯電手段(12)による帯電、露光手段(13)による像露光、現像(図示せず)、転写手段(16)による転写、クリーニング前露光手段(1B)によるクリーニング前露光、クリーニング手段(17)によるクリーニング、除電手段(1A)による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図5において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。この場合も、感光体(11)は、本発明の要件を満たす感光体である。感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
図7には本発明によるフルカラー画像形成装置の例を示す。この電子写真装置では、感光体(11)の周囲に帯電手段(帯電装置)(12)、露光手段(13)、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の各色トナー毎の現像手段(14Bk,14C,14M,14Y)、中間転写体である中間転写ベルト(1F)、クリーニング手段(17)が順に配置されている。ここで、図中に示すBk、C、M、Yの添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて添字を付けたり適宜省略する。
感光体(11)は、本発明の要件を満たす電子写真感光体である。各色の現像手段(14Bk,14C,14M,14Y)は各々独立に制御可能となっており、画像形成を行なう色の現像手段のみが駆動される。感光体(11)上に形成されたトナー像は中間転写ベルト(1F)の内側に配置された第1の転写手段(1D)により、中間転写ベルト(1F)上に転写される。第1の転写手段(1D)は感光体(11)に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト(1F)を感光体(11)に当接させる。各色の画像形成を順次行ない、中間転写ベルト(1F)上で重ね合わされたトナー像は第2の転写手段(1E)により、受像媒体(18)に一括転写された後、定着手段(19)により定着されて画像が形成される。第2の転写手段(1E)も中間転写ベルト(1F)に対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト(1F)に当接する。
転写ドラム方式の電子写真装置では、転写ドラムに静電吸着させた転写材に各色のトナー像を順次転写するため、厚紙にはプリントできないという転写材の制限があるのに対し、図7に示すような中間転写方式の電子写真装置では中間転写体(1F)上で各色のトナー像を重ね合わせるため、転写材の制限を受けないという特長がある。このような中間転写方式は図7に示す装置に限らず前述の図4、図5、図6および後述する図8(具体例を図9に記す。)に記す電子写真装置に適用することができる。
図8には本発明によるフルカラー画像形成装置の別の例を示す。この画像形成装置は、トナーとしてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色を用いるタイプとされ、各色毎に画像形成部が配設されている。また、各色毎の感光体(11Y,11M,11C,11Bk)が設けられている。この電子写真装置に用いられる感光体は、本発明の要件を満たす感光体である。各感光体(11Y,11M,11C,11Bk)の周りには、帯電手段(12Y,12M,12C,12Bk)、露光手段(13Y,13M,13C,13Bk)、現像手段(14Y,14M,14C,14Bk)、クリーニング手段(17Y,17M,17C,17Bk)等が配設されている。また、直線上に配設された各感光体(11Y,11M,11C,11Bk)の各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト(1G)が駆動手段(1C)にて掛け渡されている。この搬送転写ベルト(1G)を挟んで各感光体(11Y,11M,11C,11Bk)に対向する転写位置には転写手段(16Y,16M,16C,16Bk)が配設されている。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
以下、本発明を実施例によって説明する。なお、これによって本発明の範囲は限定されるわけではない。部は全て質量部である。
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体合成例
製造例1(例示化合物No.20の製造)
ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物(東京化成試薬)2.68g(10.0mmol)、N,N’-ジメチルホルムアミド30mlに1,1−ジフェニルヒドラジン(東京化成試薬)3.68g(20.0mmol)を加え、アルゴン気流下、60℃で2時間撹拌した。水100mlを加え、析出した結晶を濾過により採取し、減圧加熱乾燥器により乾燥して、褐色の粗結晶3.43g(収率57.1%)を得た。これをシリカゲルカラム処理〔溶離液:トルエン/酢酸エチル(20/1)vol混合溶媒〕し、トルエンにて再結晶、減圧加熱乾燥器により乾燥して、オレンジ赤色結晶の下記構造式の例示化合物No.20を7.02g(収率29.7%)を得た。またその元素分析値は下記の通りであった。分解点として示差熱熱量同時測定装置TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ(株)製)にて窒素気流下、室温から毎分10℃で昇温させたときの、TG減量を伴うDTAの発熱ピーク点温度を測定したところ341℃であった。この化合物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図12に示す。
製造例2〜5
製造例1と同様に操作して例示No.1、10、15、37のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を製造した。結果を以下に示す。またこれらの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図13〜16に示す。
製造例6(例示化合物No.38の製造)
アルゴン気流下、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物(東京化成試薬)2.68g(10.0mmol)、N,N‘−ジメチルホルムアミド25mlを80℃にて加熱撹拌した。これに1−メチル−1−フェニルヒドラジン(東京化成試薬)0.61g(10mmol)とN,N‘−ジメチルホルムアミド10mlの溶液を2時間かけ滴下した。80℃で30分間撹拌した後、1−ベンジル−1−フェニルヒドラジン(東京化成試薬)0.99g(10mmol)とN,N‘−ジメチルホルムアミド5mlの溶液を加え、更に80℃で2時間撹拌をおこなった。内容物を水100mlに加え、析出した結晶を濾過により採取し、減圧加熱乾燥器により乾燥して、褐色の粗結晶を得た。これをシリカゲルカラム処理〔溶離液:トルエン/酢酸エチル(10/1)vol混合溶媒〕し、トルエン/エタノール混合溶媒にて再結晶、減圧加熱乾燥器により乾燥して、えび茶色結晶の下記構造式の例示化合物No.38を2.29g(収率41.4%)を得た。融点は279.5〜280.5℃であったまたその元素分析値は下記の通りであった。
また、この化合物の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図17に示す。
(顔料合成例)
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)2gをテトラヒドロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記条件によりX線回折スペクトル測定し、公報に記載の、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンであることを確認した(図10)。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
実施例1
長さ340mm、直径30mmのアルミシリンダー(JIS1050)を導電性支持体とし、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.15μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。更に下記の条件にて、5μmの保護層を電荷輸送層上に設けて感光体を得た(感光体1とする)。
(下引き層塗工液)
アルキッド樹脂(大日本インキ製:ベッコゾール M−6401−50): 60部
メラミン樹脂(大日本インキ製:スーパーベッカミン L−121−60):40部
酸化チタン(石原産業社製:CR−EL): 400部
2−ブタノン: 500部
これらをボールミル装置(メディアとしてφ10mmのアルミナボールを使用)にて5日間ボールミルを行い下引き層用塗工液とした。
(電荷発生層塗工液)
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 10部
これらをボールミル装置(メディアとしてφ10mmのPSZボールを使用)にて5日間ボールミルを行い電荷発生層用塗工液とした。
(電荷輸送層塗工液)
下記構造の化合物: 10部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050):10部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 80部
これらを撹拌、溶解し電荷輸送層用塗工液とした。
(保護層塗工液)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー
{トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製)分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}:
10部
下記構造の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物: 10部
光重合開始剤{1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)}: 1部
テトラヒドロフラン: 100部
保護層は、スプレー塗工してから20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を硬化させた。
実施例2
実施例1において電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した(感光体2とする)。
(電荷発生層塗工液)
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
これらをボールミル装置(メディアとしてφ10mmのPSZボールを使用)にて5日間ボールミルを行い電荷発生層用塗工液とした。
(電荷輸送層塗工液)
下記構造の化合物: 10部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050): 9部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 1部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 80部
これらを撹拌、溶解し電荷輸送層用塗工液とした。
実施例3
実施例1において電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した(感光体3とする)。
(電荷発生層塗工液)
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 10部
これらをボールミル装置(メディアとしてφ10mmのPSZボールを使用)にて5日間ボールミルを行い電荷発生層用塗工液とした。
(電荷輸送層塗工液)
下記構造の化合物: 10部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050): 9部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 1部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 80部
これらを撹拌、溶解し電荷輸送層用塗工液とした。
実施例4
実施例1において電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した(感光体4とする)。
(電荷発生層塗工液)
顔料合成例で作製したチタニルフタロシアニン顔料: 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1): 10部
2−ブタノン: 280部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 10部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラール及びナフタレンテトラカルボン酸誘導体を溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。
実施例5
実施例1において電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した(感光体5とする)。
(電荷発生層塗工液)
顔料合成例で作製したチタニルフタロシアニン顔料: 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1): 10部
2−ブタノン: 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラール及びナフタレンテトラカルボン酸誘導体を溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。
(電荷輸送層塗工液)
下記構造の化合物: 10部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050): 9部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 1部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 80部
これらを撹拌、溶解し電荷輸送層用塗工液とした。
実施例6
実施例1において電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例1と同様にして感光体を作製した(感光体6とする)。
(電荷発生層塗工液)
顔料合成例で作製したチタニルフタロシアニン顔料: 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1): 10部
2−ブタノン: 280部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 10部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラール及びナフタレンテトラカルボン酸誘導体を溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。
(電荷輸送層塗工液)
下記構造の化合物: 10部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050): 9部
例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 1部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 80部
これらを撹拌、溶解し電荷輸送層用塗工液とした。
比較例1
実施例4において、保護層を設けなかったこと以外は実施例4と同様にして感光体を作製した(感光体7とする)。
比較例2
実施例4において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を使用しない以外は実施例4と同様にして感光体を作製した(感光体8とする)。
比較例3
実施例4において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を下記構造の化合物(ETM1)に変更した以外は実施例4と同様にして感光体を作製した(感光体9とする)。
比較例4
実施例5において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を前記化合物(ETM1)に変更した以外は実施例5と同様にして感光体を作製した(感光体10とする)。
比較例5
実施例4において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を下記構造の化合物(ETM2)に変更した以外は実施例4と同様にして感光体を作製した(感光体11とする)。
比較例6
実施例5において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を前記化合物(ETM2)に変更した以外は実施例5と同様にして感光体を作製した(感光体12とする)。
比較例7
実施例4において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を下記構造の化合物(ETM3)に変更した以外は実施例4と同様にして感光体を作製した(感光体13とする)。
比較例8
実施例5において例示化合物No.20のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を前記化合物(ETM3)に変更した以外は実施例5と同様にして感光体を作製した(感光体14とする)。
実施例7
長さ340mm、直径30mmのアルミシリンダー(JIS1050)を導電性支持体とし、下記組成の感光層塗工液を塗布、乾燥し、25μmの感光層を形成した。更に下記の条件にて、5μmの保護層を感光層上に設けて感光体を得た(感光体15とする)。
(感光層塗工液)
顔料合成例で作製したチタニルフタロシアニンを下記組成の処方、条件にて分散を行ない、顔料分散液を作製した。
顔料合成例で作製したチタニルフタロシアニン: 3部
シクロヘキサノン: 97部
φ9cmのガラスポットにφ0.5mmのPSZボールを用い、回転数100rpmで
2時間分散を行なった。
上記分散液を用いて下記組成の感光体用塗工液を作製した。
上記分散液: 60部
下記構造の化合物: 30部
例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体: 30部
Z型ポリカーボネート樹脂(帝人化成製:パンライトTS−2050):50部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50): 0.01部
テトラヒドロフラン: 350部
(保護層塗工液)
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー
{トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製)分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99}:
10部
下記構造の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物: 10部
光重合開始剤{1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)}: 1部
テトラヒドロフラン: 100部
保護層は、スプレー塗工してから20分間自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行うことによって塗布膜を硬化させた。
実施例8
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を、例示化合物No.19のナフタレンテトラカルボン酸誘導体に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体16とする)。
実施例9
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を、例示化合物No.25のナフタレンテトラカルボン酸誘導体に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体17とする)。
実施例10
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を、例示化合物No.30のナフタレンテトラカルボン酸誘導体に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体18とする)。
実施例11
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を、例示化合物No.37のナフタレンテトラカルボン酸誘導体に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体19とする)。
実施例12
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を、例示化合物No.38のナフタレンテトラカルボン酸誘導体に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体20とする)。
比較例9
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を前記化合物(ETM1)に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体21とする)。
比較例10
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を前記化合物(ETM2)に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体22とする)。
比較例11
実施例7において例示化合物No.10のナフタレンテトラカルボン酸誘導体を前記化合物(ETM3)に変更した以外は実施例7と同様にして感光体を作製した(感光体23とする)。
実施例13〜15
実施例1〜3で作製した感光体1〜3を実装用にした後、画像形成装置(リコー製imgio Neo 270改造機、露光光源を655nmの半導体レーザ(LD)に変更した装置)に搭載し、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用い通算10万枚印刷する耐刷試験を行なった。
試験開始時の感光体の帯電電位が−900Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行なった。また現像バイアスは−650Vとした。試験環境は23℃、55%RHである。
耐刷試験の前後で暗部電位、明部電位、また耐刷試験後に地汚れ、残像評価を行った。
また、全ての試験前後における膜厚の差(摩耗量)を評価した。尚、膜厚の測定は、感光体長手方向の両端5cmを除き、1cm間隔に測定し、その平均値を膜厚とした。
・暗部電位:一次帯電の後、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位とし、初期において−900Vとするように帯電器の印加電圧を調整し、その後は試験終了後まで一定の印加電圧とした。
・明部電位:一時帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位。
・地汚れ:白ベタ画像を出力し、地汚れを以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
(地汚れ評価基準)
5:地汚れがまったく無く、良好。
4:地汚れがごく僅かに観察されるが、良好。
3:地汚れが僅かに観察されるが実質的に良好。
2:地汚れが観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:地汚れが全面的に観察され問題となる。
・残像評価:図11の様な評価用画像を出力し、ハーフトーン部での残像の程度を以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
(残像評価基準)
5:残像まったく無く、良好。
4:残像ごく僅かに観察されるが、良好。
3:残像が僅かに観察されるが実質的に良好。
2:残像が観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:残像がはっきりと観察され問題となる。
結果を表6に示す。
実施例16〜24及び比較例12〜22
実施例13において画像形成装置の露光光源を780nmの半導体レーザ(LD)に変更し、さらに感光体を実施例4〜12及び比較例1〜11で作製した感光体4〜23に変更した以外は実施例13と同様にして評価を行った。
結果を表6に示す。
実施例25〜27
実施例1〜3で作製した感光体1〜3を実装用にした後、タンデム機構を有するフルカラー画像形成装置(リコー製IPSiO Color8100改造機、露光光源は655nmの半導体レーザ(LD)である)に搭載し、書き込み率5%チャート(A4全面に対して、画像面積として5%相当の文字が平均的に書かれている)を用い通算10万枚印刷する耐刷試験を行なった。
試験開始時の感光体の帯電電位が−700Vとなるようなバイアスを設定し、試験終了に至るまでこの帯電条件で試験を行なった。また現像バイアスは−500Vとした。試験環境は23℃、55%RHである。
耐刷試験前後に地汚れ、残像、色再現性の評価を行なった。
・地汚れ:白ベタ画像を出力し、地汚れを以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
(地汚れ評価基準)
5:地汚れがまったく無く、良好。
4:地汚れがごく僅かに観察されるが、良好。
3:地汚れが僅かに観察されるが実質的に良好。
2:地汚れが観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:地汚れが全面的に観察され問題となる。
・残像評価:図11の様な評価用画像を出力し、ハーフトーン部での残像の程度を以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
(残像評価基準)
5:残像まったく無く、良好。
4:残像ごく僅かに観察されるが、良好。
3:残像が僅かに観察されるが実質的に良好。
2:残像が観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:残像がはっきりと観察され問題となる。
・色再現性:フルカラーパターン画像を出力し、初期において出力した画像と10万枚印刷後の画像とを比較し、色彩の変化や濃度から色再現性を以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
(色再現性評価基準)
5:初期とほとんど変わらず、良好。
4:色彩や濃度の変化が極めてごく僅かに観察されるが、良好。
3:色彩や濃度の変化が僅かに観察されるが実質的に良好。
2:色彩や濃度の変化が観察される。
1:色彩や濃度の変化が非常に大きい。
結果を表7に示す。
実施例28〜36及び比較例23〜33
実施例25において画像形成装置の露光光源を780nmの半導体レーザ(LD)に変更し、さらに感光体を実施例4〜12及び比較例1〜11で作製した感光体4〜23に変更した以外は実施例25と同様にして評価を行った。
結果を表7に示す。
以上実施例の結果から本発明の感光体においては長期の耐久試験においても安定した静電特性を維持し、地汚れ、残像といった画像特性も良好であることがわかる。つまり良好な電子写真特性と高い耐摩耗性を長期に渡り両立した感光体が実現されていることがわかる。
本発明に係る電子写真感光体の層構成の例を示す断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の別の層構成の例を示す断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の別の層構成の例を示す断面図である。 本発明に係る画像形成装置の例を示す模式断面図である。 本発明に係る画像形成装置の別の例を示す模式断面図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの例を示す模式断面図である。 本発明に係る画像形成装置の別の例を示す模式断面図である。 本発明に係る画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 本発明に係る画像形成装置の更に別の例を示す模式断面図である。 実施例で合成したチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。 感光体評価例で用いた評価用画像を示す図である。 化合物No.20の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。 化合物No.1の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。 化合物No.10の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。 化合物No.15の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。 化合物No.37の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。 化合物No.38の赤外吸収スペクトル(KBr錠剤法)である。
符号の説明
11・・・電子写真感光体
12・・・帯電手段
13・・・露光手段
14・・・現像手段
15・・・トナー
16・・・転写手段
17・・・クリーニング手段
18・・・受像媒体
19・・・定着手段
1A・・・除電手段
1B・・・クリーニング前露光手段
1C・・・駆動手段
1D・・・第1の転写手段
1E・・・第2の転写手段
1F・・・中間転写体
1G・・・搬送転写ベルト
31・・・導電性支持体
33・・・感光層
35・・・電荷発生層
37・・・電荷輸送層
39・・・保護層
41・・・下引き層

Claims (11)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層と表面保護層を有する電子写真感光体であって、該感光層に下記一般式(A)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体を含有し、表面保護層が少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とを硬化することにより形成されることを特徴とする電子写真感光体。
    [式中、R1、R2、R3、R4は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R5、R6、R7、R8は水素原子を表す。また、R1とR2およびR3とR4は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。]
  2. 前記保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(1)又は(2)の少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    {式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR7(R7は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR89(R8及びR9は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar1、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar3、Ar4は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。}
  3. 前記保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物が、下記一般式(3)の少なくとも一種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    (式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
    を表わす。)
  4. 前記保護層の硬化手段が加熱又は光エネルギー照射手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体が搭載されたことを特徴とする画像成形装置。
  8. 少なくとも感光体と、この感光体の表面を一様に帯電する帯電装置と、一様帯電後に像露光を行い静電潜像を形成する像露光装置と、前記静電潜像にトナーを現像する現像装置とを具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置において、請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体が搭載されたことを特徴とするフルカラー画像形成装置。
  9. 装置本体に対して着脱可能であり、少なくとも、回転もしくは回動される電子写真感光体と、該電子写真感光体に形成される潜像を現像する現像部と、像転写後の像担持体表面を清浄面化するクリーニング部とを有する、画像形成装置用のプロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 請求項9記載のプロセスカートリッジが搭載されたことを特徴とする画像成形装置。
  11. 請求項9記載のプロセスカートリッジが搭載されたことを特徴とするフルカラー画像成形装置。
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