JP4234067B2 - プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、カラー複写機やカラープリンタなどに用いられるプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
近年、カラー複写機やカラープリンタにおいても、カラー画像を求める傾向が強い。実用的に価値の高いカラー画像形成方法を通常よく用いられる呼称で大別すると、転写ドラム方式、中間転写方式、及びタンデム方式の3種類がある。これらは、異なる観点から付けられた呼称であるから、例えば、中間転写方式であり、かつタンデム方式といったものが当然存在する。しかし、これらの中でも、中間転写方式のカラー画像形成装置は、高画質のフルカラー画像を高速で得られることで知られている。この中間転写方式のカラー画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色に対して1つの静電潜像担持体(以下、「感光体」、「電子写真感光体」、「光導電性絶縁体」と称することもある)で対応するか、あるいは各色に対応したそれぞれの静電潜像担持体で対応し、中間転写体に転写後、逐次記録媒体に転写するか、通常のタンデム方式の如く一旦中間転写体上にカラー重ね合わせ像を造り、記録媒体に一括転写するものである。
一方、電子写真感光体は有機光導電性物質を用いる有機感光体が広く用いられてきている。この有機感光体は、(1)可視光から赤外光まで各種露光光源に対応した材料が開発し易いこと、(2)環境汚染のない材料を選択できること、(3)製造コストが安いこと等が有利な点である。
また最近、画像形成装置の小型化から感光体の小径化が進み、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わって感光体の高耐久化が切望されるようになってきている。この観点からみると、前記有機感光体は、低分子電荷輸送物質と不活性高分子を主成分としているため一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システムやクリーニングシステムによる機械的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求からトナー粒子の小粒径化に伴ってクリーニング性を上げる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と当接圧力の上昇が余儀なくされ、このことも感光体の摩耗を促進する要因となっている。このような感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させて、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また、摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。そして、現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が律速となり、交換に至っている。
したがって、前記有機感光体の高耐久化を図るためには、感光層の摩耗量を低減することが不可欠であり、これが当該技術分野においてもっとも解決が迫られている課題である。
前記感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、例えば、(1)架橋型電荷輸送層に硬化性バインダーを用いたもの(特許文献1参照)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(特許文献2参照)、(3)架橋型電荷輸送層に無機フィラーを分散させたもの(特許文献3参照)、等が提案されている。
これらの技術の中でも、前記(1)の硬化性バインダー樹脂を用いたものは、電荷輸送物質との相溶性が悪いこと、重合開始剤、未反応残基などの不純物により残留電位が上昇し画像濃度低下が発生し易い傾向がある。また、前記(2)の高分子型電荷輸送物質を用いたものは、ある程度の耐摩耗性向上が可能であるものの、有機感光体に求められている耐久性を十分に満足させるまでには至っていない。また、高分子型電荷輸送物質は材料の重合、精製が難しく高純度なものが得にくいため電気的特性が安定しにくい。更に塗工液が高粘度となる等の製造上の問題もある。前記(3)の無機フィラーを分散させたものは、通常の低分子電荷輸送物質を不活性高分子に分散させた感光体に比べて高い耐摩耗性が発揮されるが、無機フィラー表面に存在する電荷トラップにより残留電位が上昇し、画像濃度低下が発生し易い傾向にある。また、感光体表面の無機フィラーとバインター樹脂の凹凸が大きい場合には、クリーニング不良が発生し、トナーフィルミングや画像流れの原因となることがあり、前記(1)、(2)、及び(3)の技術では、未だ有機感光体に求められる電気的な耐久性、機械的な耐久性を含めた総合的な耐久性を十二分に満足するには至っていない。
更に、前記(1)の耐摩耗性と耐傷性を改良するため、多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させた感光体が提案されている(特許文献4参照)。しかし、この感光体では、感光層上に設けた保護層に多官能のアクリレートモノマー硬化物を含有させる旨の記載はあるものの、該保護層には電荷輸送物質を含有せしめてもよいことが記載されているのみで具体的な記載はなく、しかも、単に架橋型電荷輸送層に低分子の電荷輸送物を含有させた場合には、上記硬化物との相溶性の問題が生じる。その結果、低分子電荷輸送物質の析出、白濁現象が起こり、露光部電位の上昇により画像濃度が低下するばかりでなく機械強度も低下してしまうことがあった。また、前記提案の感光体は、具体的には、高分子バインダーを含有した状態でモノマーを反応させるため、三次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため、飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。
これらに代わる感光層の耐摩耗性向上を図るための技術としては、例えば、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送材及びバインダー樹脂からなる塗工液を用いて形成した電荷輸送層を設けることが提案されている(特許文献5参照)。この提案のバインダー樹脂は電荷発生層と硬化型電荷輸送層の接着性を向上させ、更に厚膜硬化時の膜の内部応力を緩和させる役割を果たしていると考えられ、炭素−炭素二重結合を有し、上記電荷輸送剤に対して反応性を有するものと、上記二重結合を有せず反応性を有しないものに大別される。この感光体は耐摩耗性と良好な電気的特性を両立しており注目されるが、バインダー樹脂として反応性を有しないものを使用した場合には、バインダー樹脂と、上記モノマーと、電荷輸送剤との反応により生成した硬化物との相溶性が悪く、架橋型電荷輸送層中で相分離が生じて、キズやトナー中の外添剤及び紙粉の固着の原因となることがある。また、上記したように三次元網目構造が充分に進行せず、架橋結合密度が希薄となるため、飛躍的な耐摩耗性を発揮できるまでには至っていない。加えて、この感光体において使用される上記モノマーとして具体的に記載されているものは2官能性のものであり、これらのことから耐摩耗性の点では未だ満足するには至らなかった。また、反応性を有するバインダー樹脂を使用した場合においても、硬化物の分子量は増大するものの分子間架橋結合数は少なく、上記電荷輸送物質の結合量と架橋密度との両立は難しく、電気特性及び耐摩耗性も充分とはいえないものである。
また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を含有する感光層を有する感光体が提案されている(特許文献6参照)。この感光層は架橋結合密度を高められるため高い硬度を有するが、嵩高い正孔輸送性化合物が二つ以上の連鎖重合性官能基を有するため硬化物中に歪みが発生し内部応力が高くなり、架橋表面層が長期間の使用においてクラックや剥がれが発生しやすいという問題がある。
また、耐摩耗性の向上を図るため、高耐久性の有機ケイ素系バインダー樹脂含有の感光層乃至表面保護層を設けることが実用化されている。このバインダー樹脂層は減耗量が極めて低く、長期使用後も感光体が初期とほぼ同一の膜厚を保持できるという利点がある。しかし、前記バインダー樹脂層を上記中間転写方式に採用すると、高温高湿下で中間転写体面と感光体面との間の摩擦係数変化が大きく、記録画像にレジズレ等の画像欠陥が生じるおそれがある。また、有機ケイ素系バインダーは吸湿しやすく、画質の低下、特にフィルミングによる画像ボケ、画像流れ等が生じてしまうという問題がある。
したがって従来技術における電荷輸送性構造を化学結合させた架橋感光層を有する感光体においても、現在までのところ、電気的な耐久性、機械的な耐久性を含めた総合的な耐久性を有しているとはいえないのが現状である。
特開昭56−48637号公報 特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特許第3194392号公報 特開2000−66425号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、最表面に架橋型電荷輸送層を有する高耐久性、及び高性能な静電潜像担持体を中間転写方式の画像形成に用いることにより、長期間に亘って高画質化を実現すると共に、高温高湿下でも記録画像にレジズレ等の画像欠陥が生じず、画質の低下、特にフィルミングによる画像ボケ、画像流れ等を生じないプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写手段と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段とを有する画像形成装置において、
前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層を有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有することを特徴とする画像形成装置である。
<2> 静電潜像に対応したカラー可視像を形成するための複数の現像手段と、該現像手段に対応した複数の静電潜像担持体を有する前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 架橋型電荷輸送層の膜厚が1〜10μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<4> 架橋型電荷輸送層の膜厚が2〜8μmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 架橋型電荷輸送層が、静電潜像担持体における最表面層である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 3官能以上のラジカル重合性化合物及び1官能のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 中間転写方式によりカラー画像を形成する前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<8> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写工程と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程とを含む画像形成方法において、
前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有することを特徴とする画像形成方法である。
<9> 静電潜像担持体、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写手段、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段、及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを画像形成装置本体に脱着可能に有してなり、
前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写手段と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を有してなる。前記静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有する。その結果、最表面に架橋型電荷輸送層を有する高耐久性、及び高性能な静電潜像担持体を中間転写方式の画像形成に用いることによって、長期間に亘って高画質化を実現すると共に、高温高湿下でも記録画像にレジズレ等の画像欠陥が生じず、画質の低下、特にフィルミングによる画像ボケ、画像流れ等を生じない高精細、高画質な画像を形成することができる。
ここで、前記静電潜像担持体(電子写真感光体)は、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などの一連のプロセスが繰り返される環境で使用され、この過程で感光体が摩耗したり傷が発生することにより、画像劣化を引き起こし寿命となる。この摩耗、傷をもたらす要因としては、(1)帯電、除電時の放電による感光体表面組成物の分解及び酸化性ガスによる化学的劣化、(2)現像時におけるキャリア付着、(3)転写時における紙との摩擦、(4)クリーニング時におけるクリーニングブラシ、クリーニングブレード及び介在するトナーや付着キャリアとの摩擦などが挙げられる。これらのハザードに強い感光体を設計するためには、表面層を高硬度、高弾性でかつ均一にすることが重要であり、膜構造からは緻密でかつ均質な三次元網目構造を形成する方法が有望である。本発明の表面にあたる架橋型電荷輸送層は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造有するため三次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度、かつ高弾性表面層が得られ、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。このように感光体表面の架橋密度、即ち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋層の膜厚が厚くなるほど増加するため電荷輸送層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。かかる問題点を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。
これに対し、前記静電潜像担持体(感光体)は、電荷輸送層上に三次元の網目構造が発達した架橋密度の高い架橋型電荷輸送層を1〜10μmの膜厚で設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、かつ非常に高い耐摩耗性が達成される。前記感光体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、架橋型電荷輸送層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に電荷輸送層を有するため表面の架橋型電荷輸送層の内部応力を緩和できることなどによる。このため架橋型電荷輸送層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、この時生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。更に、電荷輸送層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。本発明の架橋型電荷輸送層においては、10μm以下の薄膜から内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、本発明の最表面層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、更に1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、架橋型電荷輸送層の内部応力が高まる原因となる。
更に、前記静電潜像担持体は、良好な電気的特性を有し、このため、長期間にわたり高画質化が実現される。これは架橋型電荷輸送層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字の細り等の画像として現れる。更に、前記静電潜像担持体においては、下層の電荷輸送層として従来感光体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、架橋型電荷輸送層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
前記架橋型電荷輸送層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては三次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1又は2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されることがある。このような架橋型電荷輸送層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、かつ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の三次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行して硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性が達成される。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段とを少なくとも含んでなる。前記静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に含む感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有する。その結果、最表面に架橋型電荷輸送層を有する高耐久性、及び高性能な静電潜像担持体を中間転写方式の画像形成に用いることによって、長期間に亘って高画質化を実現すると共に、高温高湿下でも記録画像にレジズレ等の画像欠陥が生じず、画質の低下、特にフィルミングによる画像ボケ、画像流れ等を生じない高精細、高画質な画像を形成することができる。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写手段、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段、及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを画像形成装置本体に脱着可能に有してなる。前記静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に含む感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有する。その結果、高温高湿環境下においても長期間にわたり高耐久及び高画質な画像が得られ、ブレードクリーニング等を行っても静電潜像担持体の摩耗が極めて僅かに抑制され、クリーニング性も良好である。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、最表面に架橋型電荷輸送層を有する高耐久性、及び高性能な静電潜像担持体を中間転写方式の画像形成に用いることにより、長期間に亘って高画質化を実現すると共に、高温高湿下でも記録画像にレジズレ等の画像欠陥が生じず、画質の低下、特にフィルミングによる画像ボケ、画像流れ等を生じないプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、中間転写手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、中間転写工程、転写工程と、定着工程と、クリーニング工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記中間転写工程は前記中間転写手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法は、中間転写方式によるカラー画像形成に用いられ、タンデム型の中間転写方式、転写ドラム型の中間転写方式、などのいずれにも適用できる。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色に対して1つの静電潜像担持体で対応する方式、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色に対応してそれぞれの静電潜像担持体で対応し、中間転写体に転写後、逐次記録媒体に転写する方式、通常のタンデム方式の如く一旦中間転写体上にカラー重ね合わせ像を造り、記録媒体に一括転写方式、などが採用できる。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられる。
前記静電潜像担持体は、支持体と、該支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層を少なくともこの順に含む感光層を有してなり、必要に応じてその他の層を有してなる。
ここで、図1は、本発明の静電潜像担持体(電子写真感光体)を示す概略断面図である。この静電潜像担持体は、支持体1上に、電荷発生機能を有する電荷発生層2と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層3と、架橋型電荷輸送層4がこの順に積層されてなる積層構造の感光体である。
−支持体−
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の支持体として良好に用いることができる。
−感光層−
前記感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層と、架橋型電荷輸送層がこの順に積層されてなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
−−電荷発生層−−
前記電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分として含み、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料をいずれも好適に用いることができる。
前記無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス・シリコン等が挙げられる。該アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
前記有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
これらの中でも、下記構造式(1)で示されるオキシチタニウムフタロシアニンが好ましいものの一つである。
前記構造式(1)中、X、X、X、及びXは、Cl又はBrを表す。h、i、j、及びkは、0〜4の整数を表す。
前記オキシチタニウムフタロシアニンの結晶形については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、CuKαの特性X線回折におけるブラック角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン、あるいは9.6°及び27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンのいずれかであることが、感度特性の点からはより好ましい。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
具体的には、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
前記バインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を用いることができる。
具体的には、特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体、などが挙げられる。
前記電荷発生層には、低分子電荷輸送物質を含有させることができる。該低分子電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とのいずれも好適である。
前記電子輸送物質としては、電子受容性物質が好適であり、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
前記正孔輸送物質としては、以下に表される電子供与性物質が好適に挙げられ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体、等が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
前記電荷発生層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、真空薄膜作製法、溶液分散系からのキャスティング法、などが挙げられる。
前記真空薄膜作製法としては、例えば、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法、等が好適であり、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
前記キャスティング法によって電荷発生層を設ける方法としては、例えば、前記無機系又は有機電荷発生物質を、必要に応じてバインダー樹脂と共に、溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。該溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、等が挙げられる。なお、前記分散液には、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。前記塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
前記電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
−−電荷輸送層−−
前記電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層であり、電荷輸送機能を有する電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成させる。
前記電荷輸送物質としては、前記電荷発生層で記載した電子輸送物質、正孔輸送物質及び高分子電荷輸送物質を用いることができる。上述したように高分子電荷輸送物質を用いることにより、架橋型電荷輸送層を塗工時の下層の溶解性を低減でき、とりわけ有用である。
前記結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、等が挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送物質の添加量は、前記結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましい。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は、単独でも結着樹脂との併用も可能である。
前記電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては、前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。
また、前記電荷輸送層には、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
前記可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般に用いられる樹脂の可塑剤として使用されているものを用いることができる。該可塑剤の使用量は、前記結着樹脂100質量部に対し0〜30質量部程度が好ましい。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用される。該レベリング剤の使用量は、前記結着樹脂100質量部に対し0〜1質量部程度が好ましい。
前記電荷輸送層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
−−架橋型電荷輸送層−−
前記電荷輸送層上に、後述する架橋型電荷輸送層塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、熱や光照射の外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋型電荷輸送層が形成される。
前記架橋型電荷輸送層は、前記静電潜像担持体における最表面層であることが、耐摩耗性及び耐傷性の向上を図れる点で好ましい。
前記架橋型電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する架橋構造を有する層であり、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷輸送層上に塗布、乾燥することにより形成させる。
前記電荷輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、かつラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記構造式(2)で表される官能基が好適に挙げられる。
CH=CH−X− ・・・構造式(2)
ただし、前記構造式(2)中、Xは、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(ただし、R10は、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、又はS−基を表す。
これらの置換基としては、具体的には、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基、等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば、下記構造式(3)で表される官能基が好適に挙げられる。
CH=C(Y)−X− ・・・・構造式(3)
ただし、前記構造式(3)中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(ただし、R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、又はCONR1213(ただし、R12及びR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一又は異なっていてもよい。)、また、Xは前記構造式(2)のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。
これらの置換基としては、例えば、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基。等が挙げられる。
なお、これらX、Yについての置換基に更に置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、などが挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば、水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なってもよい。
前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以下、EO変性という)トリアクリレート、トリメチロールプロパプロピレンオキシ変性(以下、EO変性という)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以下、ECH変性という)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレート、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型電荷輸送層中に緻密な架橋結合を形成するため、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が好ましい。該該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合が250を超えると、架橋型電荷輸送層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、前記架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有量は、架橋型電荷輸送層全量に対し20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。前記含有量が20質量%未満であると、架橋型電荷輸送層の三次元架橋密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されないことがあり、80質量%を超えると、電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
本発明の架橋型電荷輸送層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、かつ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、前記電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が効果が高く、中でも、下記構造式(4)又は(5)で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
前記構造式(4)又は(5)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(ただし、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(ただし、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表す。Ar、Arは、置換もしくは未置換のアリーレン基を表し、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは、置換もしくは未置換のアリール基を表し、同一であっても異なってもよい。Xは、単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。Zは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。m、nは0〜3の整数を表す。
前記構造式(4)又は(5)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられる。これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていてもよい。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
前記縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、等が挙げられる。
前記非縮合環式炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル、ジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、ポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
前記複素環基としては、例えば、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表されるアリール基は、例えば、下記(1)〜(8)に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
(2)アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、更に好ましくはC〜Cの直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基には更にフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは前記(2)で定義したアルキル基を表す。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基又はアリールメルカプト基であり、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、等が挙げられる。
(6)下記構造式(6)で表される基が挙げられる。
前記構造式(6)中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、又はアリール基を表す。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基又はハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等が挙げられる。
前記Ar、Arで表されるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表す。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、更に好ましくはC〜Cの直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基には更にフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していてもよい。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表し、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基としては、下記構造式で表される基が好ましい。
ただし、前記構造式中、Rは、水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表されるアリール基と同じ)であり、aは1又は2、bは1〜3を表す。
前記Zは、置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表す。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、前記1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記構造式(7)で表される化合物が挙げられる。
ただし、前記構造式(7)中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表し、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表す。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、又は下記構造式で表される基を表す。
ただし、前記構造式で表される化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
前記構造式(4)、(5)及び(7)、特に、前記構造式(7)で表される1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
前記1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーは、架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能を付与するために重要である。前記1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーの添加量は、前記架橋型電荷輸送層に対し20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。前記添加量が20質量%未満であると、架橋型電荷輸送層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れることがあり、80質量%を超えると、電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されないことがある。なお、使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い感光体の架橋型電荷輸送層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
前記架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーを硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、架橋型電荷輸送層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
前記1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマー、などが挙げられる。
前記2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、などが挙げられる。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、及び特公平6−45770号公報に記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
前記ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、などが挙げられる。
前記1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100質量部に対し50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
前記含有量が50質量部を超えると、架橋型電荷輸送層の三次元架橋密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招くことがある。
なお、前記架橋型電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるため、架橋型電荷輸送層塗布液中に重合開始剤を含有させてもよい。該重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤、などが挙げられる。これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
前記熱重合開始剤としては、例えば、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパン等の過酸化物系開始剤;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系開始剤、などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、などが挙げられる。
なお、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100質量部に対し、0.5〜40質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
前記架橋型電荷輸送層塗工液は、必要に応じて応力緩和や接着性向上の目的とした各種可塑剤、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能である。
前記可塑剤の使用量は、前記架橋型電荷輸送層塗工液の総固形分に対し20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用できる。
前記レベリング剤の使用量は、前記架橋型電荷輸送層塗工液の総固形分に対し3質量%以下が好ましい。
本発明の架橋型電荷輸送層は、少なくとも上記の電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を後に記載の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。
前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
本発明においては、前記架橋型電荷輸送層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、架橋型電荷輸送層を形成するものである。このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行われる。
前記加熱温度は100〜170℃が好ましい。前記加熱温度が100℃未満であると、反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しないことがあり、170℃を超えると、高温になりすぎて硬化反応が不均一に進行し架橋型電荷輸送層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生することがある。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。
前記光のエネルギーとしては、主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。前記照射光量は50〜1000mW/cmが好ましい。前記照射光量が50mW/cm未満であると、硬化反応に時間を要することがあり、1000mW/cmを超えると、反応の進行が不均一となり、架橋型電荷輸送層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずることがある。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。
前記放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。
これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
前記架橋型電荷輸送層の膜厚は、2〜8μmが好ましい。前記膜厚が8μmを超えると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなることがあり、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、即ち、大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm以下であり、この膜厚以下の架橋型電荷輸送層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、架橋型電荷輸送層の塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる。架橋型電荷輸送層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。
これらの理由から、本発明の架橋型電荷輸送層は2μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分できるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには架橋型電荷輸送層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
更に、予期せぬ効果として、膜厚2〜8μmの架橋型電荷輸送層を設けた場合、長期の画像形成に関わる耐久性試験において、特に高温高湿時の耐久性試験において感光体表面にピンホールが発生しにくいことが判明した。その理由、メカニズムについては未だ分からないが、本発明の架橋型電荷輸送層が高い強度を有するとともに、適度な弾性を同時に有し、かつ適切な膜厚であることに関係するためと考えられる。従来の感光体で画像形成時に発生するピンホールは、トナーに添加されるシリカ等の微粉末による感光体表面に生じるミクロの傷と温度及び湿度が関係しているものと推察される。ただ硬いだけの表面層は、削れない点で有利であるが却って傷が発生した場合、成長してしまうと考えられ、長期耐久性試験においてピンホールができやすいものと考えられる。
前記架橋型電荷輸送層塗工液には、前記電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外にも、その他の成分としてラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を含むことができる。
これらの添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる。具体的には、塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20質量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能又は2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20質量%以下とすることが望ましい。更に、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10質量%以下にすることが好ましい。更に電荷発生層、電荷輸送層、架橋型電荷輸送層を順次積層した構成において、最表面の架橋型電荷輸送層が有機溶剤に対し不溶性であることが、耐摩耗性及び耐傷性の向上を達成させる点で好ましい。
本発明において、架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対して不溶性にするには、(i)架橋型電荷輸送層塗工液の組成、それらの含有割合の調整、(ii)架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(iii)架橋型電荷輸送層の塗工方法の選択、(iv)架橋型電荷輸送層の硬化条件の制御、及び(v)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、をコントロールすることが重要であるが、必ずしも一つの因子で達成されるとはかぎらない。
前記架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒としては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため、有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける場合があり、具体的には、10〜50質量%の範囲で用いることが望ましい。
前記架橋型電荷輸送層の塗工方法としては、塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的には、スプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が特に好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、架橋型電荷輸送層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
前架橋型電荷輸送層の硬化条件としては、加熱又は光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。
前記有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm、5秒〜5分であり、かつ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
前記架橋型電荷輸送層を有機溶剤に対し不溶性にする手法としては、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3〜3:7が好ましい。また、前記重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20質量%添加し、更に溶媒を加えて塗工液を調製することが好ましい。例えば、架橋型電荷輸送層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましい。その使用割合は、前記アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
紫外線(UV)照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば200mW/cmのUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、複数のランプからドラム周方向を均一30秒程度照射すればよい。このときドラム温度は50℃を超えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば、加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、更に残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の電子写真感光体が得られる。
<中間層>
本発明の静電潜像担持体においては、電荷輸送層と架橋型電荷輸送層の間に、架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。このため、前記中間層としては、架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成方法としては、前記塗工法が採用される。
なお、前記中間層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.05〜2μmが好適である。
<下引き層>
本発明の静電潜像担持体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。該下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。該樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、前記下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等を図るため、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を添加することができる。
前記下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
前記下引き層は、前記感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に、前記下引き層には、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
前記下引き層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0〜5μmが好ましい。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記架橋型電荷輸送層、前記電荷輸送層、前記電荷発生層、前記下引き層、前記中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類、などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン、などが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、などが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、などが挙げられる。
なお、これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、添加する層の総質量に対し0.01〜10質量%が好ましい。
−1官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例−
本発明における1官能の電荷輸送性構造を有する化合物は、例えば、特許第3164426号公報に記載の方法により合成できる。以下に、この一例を示す。
(1)ヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式(9))の合成
メトキシ基置換トリアリールアミン化合物(下記構造式(8))113.85g(0.3mol)と、ヨウ化ナトリウム138g(0.92mol)にスルホラン240mlを加え、窒素気流中で60℃に加温した。この液中にトリメチルクロロシラン99g(0.91mol)を1時間かけて滴下し、約60℃の温度で4時間半撹拌し反応を終了させた。この反応液にトルエン約1.5Lを加え室温まで冷却し、水と炭酸ナトリウム水溶液で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=20:1)にて精製した。得られた淡黄色オイルにシクロヘキサンを加えて、結晶を析出させた。このようにして下記構造式(9)の白色結晶88.1g(収率=80.4%)を得た。融点は64.0〜66.0℃である。
(2)トリアリールアミノ基置換アクリレート化合物(例示化合物No.54)
上記(1)で得られたヒドロキシ基置換トリアリールアミン化合物(構造式(9))82.9g(0.227mol)をテトラヒドロフラン400mlに溶解し、窒素気流中で水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:12.4g,水:100ml)を滴下した。この溶液を5℃に冷却し、アクリル酸クロライド25.2g(0.272mol)を40分かけて滴下した。その後、5℃にて3時間撹拌し反応を終了させた。この反応液を水に注ぎ、トルエンにて抽出した。この抽出液を炭酸水素ナトリウム水溶液と水で繰り返し洗浄した。その後、このトルエン溶液から溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー処理(吸着媒体:シリカゲル、展開溶媒:トルエン)にて精製した。得られた無色のオイルにn−ヘキサンを加え、結晶を析出させた。このようにして例示化合物No.54の白色結晶80.73g(収率=84.8%)を得た。融点は117.5〜119.0℃である。
−2官能の電荷輸送性構造を有する化合物の合成例−
本発明における2官能の電荷輸送性構造を有する化合物ジヒドロキメチルトリフェニルアミンは、下記の方法にて合成できる。
まず、温度計、冷却管、攪拌装置、及び滴下ロートの付いたフラスコに、下記反応式で表される化合物(1)49g、及びオキシ塩化リン184gを入れ、加熱溶解した。滴下ロートよりジメチルホルムアミド117gを徐々に滴下し、その後反応液温を85〜95℃に保ち、約15時間攪拌を行った。次に反応液を大過剰の温水に徐々に注いだ後、攪拌しながらゆっくり冷却した。次いで、析出した結晶を濾過及び乾燥した後、シリカゲル等により不純物吸着及びアセトニトリルでの再結晶により精製を行って化合物(2)を得た。収量は30gであった。
得られた化合物(2)30gとエタノール100mlをフラスコに投入し攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム1.9gを徐々に添加した後、液温を40〜60℃に保ち、約2時間攪拌を行った。次に、反応液を約300mlの水に徐々にあけ、攪拌して結晶を析出させた。濾過後、充分に水洗して、乾燥し化合物(3)を得た。収量は30gであった。
本発明の静電潜像担持体(電子写真感光体)は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
また、像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像をトナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、通常乾式現像方式が用いられる。また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
本発明の画像形成装置においては、静電潜像に対応したカラー可視像を形成するための複数の現像手段と、該現像手段に対応した複数の静電潜像担持体を有することによって、各色画像を各別の画像形成ユニット(例えば、ブラック可視像、イエロー可視像、マゼンタ可視像、及びシアン可視像に対応して4つの現像器をそれぞれ4つの静電潜像担持体の周囲に配置したユニット)を形成し、逐次転写していくタンデム方式のカラー画像形成装置に採用でき、該タンデム方式は使用可能な記録媒体の種類が豊富であり、フルカラーの品質も高く、高速度でフルカラー画像が得られる点で極めて有利な画像形成が行える。
−中間転写工程及び中間転写手段並びに転写工程及び転写手段−
前記中間転写工程は、前記可視像を中間転写体上に転写する工程である。
前記転写工程は、前記中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する工程である。
この場合、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する中間転写工程(第一次転写工程)と、該複合転写像を記録媒体上に転写する転写工程(第二次転写工程)とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する中間転写手段(第一次転写手段)と、該複合転写像を記録媒体上に転写する転写手段(第二次転写手段)とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上をクリーニング手段を用いてクリーニングするクリーニング工程である。
前記クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、等が挙げられる。
ここで、前記クリーニング手段について説明する。図2は、本発明に用いられるクリーニング機構について概略断面図である。なお、本発明においては、公知のクリーニング条件、ブレード材料を使用できる。その際、感光体回転方向に対してカウンターに当接して使用することが好ましい。
図2において、当接荷重Pはクリーニングブレード71を感光体10に当接させたときの圧接力法線方向ベクトル値である。また、当接角θは感光体10の当接点における接線と変形前のブレードとのなす角を表す。また、前記クリーニングブレード自由長Lは支持部材72の端部から変形前のブレード先端点の長さを表す。
前記クリーニングブレード71の感光体10への当接荷重P、当接角θの好ましい値としては、Pは5〜50gf/cmが好ましい。θは5〜35°が好ましい。また、クリーニングブレード自由長Lは3〜15mmが好ましい。クリーニングブレードの厚さ0.5〜10mmが好ましい。
前記ブレードクリーニング方式に用いられるゴムブレードの材質としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレインゴム、ブタジエンゴム、等が挙げられ、これらの中でも、ウレタンゴムが特に好ましい。
前記ゴムブレードの硬度と反発弾性率を同時にコントロールすることにより有効にブレードの反転を抑制できる。ゴムブレードの25±5℃におけるJISA硬度は65〜80が好ましい。前記JISA硬度が65未満であると、ブレードの反転が起こり易くなることがあり、80を超えるとクリーニング性能が低下することがある。ゴムブレードの反発弾性率は20〜75%が好ましい。前記反発弾性率が75%を超えるとブレードの反転がおこり易くなることがあり、20%未満であるとクリーニング性能が低下することがある。
ここで、前記JISA硬度及び反発弾性率ともJIS K6301の加硫ゴム物理試験方法に基づき測定することができる。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対して除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図3を参照しながら説明する。図3に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下、「感光体10」と称することがある)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
図3に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図4を参照しながら説明する。図4に示す画像形成装置100は、図3に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図3に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図4においては、図3におけるものと同じものは同符号で示した。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。前記タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図5中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、前記タンデム画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図6に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図6中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61と、該トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ51上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
本発明の画像形成装置及び画像形成方法では、最表面に架橋型電荷輸送層を有する高耐久性、及び高性能な静電潜像担持体を中間転写方式の画像形成に用いることにより、長期間に亘って高画質化を実現すると共に、高温高湿下でも記録画像にレジズレ等の画像欠陥が生じず、画質の低下、特にフィルミングによる画像ボケ、画像流れ等を生じない高精細、高画質な画像を形成することができる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像担持体、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写手段、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段、及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを画像形成装置本体に脱着可能に有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層を少なくともこの順に含む感光層を有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含むものであり、上述した画像形成装置と同様のものを使用することができる。
前記現像手段としては、トナー乃至現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱自在に備えさせることができ、上述した本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジとしては、例えば、図7に示すように、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
前記感光体101は、支持体と、該支持体上に電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層を少なくともこの順に含む感光層を有する。
帯電手段102としては、例えば、公知の帯電部材が用いられる。
露光手段103としては、例えば、高解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられる。
本発明の画像形成装置としては、上述の静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の例において「部」は「質量部」を表す。
(製造例1)
−静電潜像担持体No.1の作製−
引き抜き加工を施した円筒状アルミニウムパイプ(直径90mm×長さ380mm)上に、下記組成の導電層塗工液を塗布し、乾燥膜厚15μmの導電層を設けた。
<導電層(PCL)塗工液>
・フェノール樹脂・・・160g
・導電性酸化チタン・・・200g
・メチルセロソルブ・・・100mL
次に、導電層上に、下記組成の中間層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、膜厚1.0μmの中間層を形成した。
<中間層(UCL)塗布液の組成>
・ポリアミド樹脂(アミランCM−8000、東レ株式会社製)・・・60g
・メタノール・・・1600mL
・1−ブタノール・・・400mL
次に、下記組成を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。得られた電荷発生層塗布液を浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
<電荷発生層(CGL)塗布液の組成>
・Y型チタニルフタロシアニン・・・60g
・シリコーン樹脂溶液(KR5240、15質量%キシレン−ブタノール溶液、信越化学工業株式会社製)・・・700g
・2−ブタノン・・・2000mL
次に、下記組成を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。得られた電荷輸送層塗布液を前記電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
<電荷輸送層(CTL)塗布液の組成>
・下記構造式(A)で表される電荷輸送物質・・・200g
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート(ユーピロンZ300、三菱ガス化学株式会社製)・・・300g
・1,2−ジクロロエタン・・・2000mL
次に、前記電荷輸送層上に、下記組成の架橋型電荷輸送層塗布液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm、照射時間:60秒の条件で光照射を行って塗布膜を硬化させた。更に、130℃にて20分間乾燥を加え、膜厚5.3μmの架橋型電荷輸送層を形成した。以上により、静電潜像担持体No.1を作製した。
<架橋型電荷輸送層塗布液の組成>
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー・・・10部
(トリメチロールプロパントリアクリレート、KAYARAD TMPTA、日本化薬株式会社製、分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)
・1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)・・・10部
・光重合開始剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)・・・1部
・テトラヒドロフラン・・・100部
(製造例2)
−静電潜像担持体No.2の作製−
製造例1において、架橋型電荷輸送層の膜厚を1.3μmにした以外は、製造例1と同様にして、静電潜像担持体No.2を作製した。
(製造例3)
−静電潜像担持体No.3の作製−
製造例1において、架橋型電荷輸送層の膜厚を7.7μmにした以外は、製造例1と同様にして、静電潜像担持体No.3を作製した。
(製造例4)
−静電潜像担持体No.4の作製−
製造例1において、架橋型電荷輸送層用塗布液を下記組成に変更し、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.4μmにした以外は、製造例1と同様にして、静電潜像担持体No.4を作製した。
<架橋型電荷輸送層用塗布液の組成>
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー・・・10部
(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、SR−295、化薬サートマー製、分子量:352、官能基数:4官能、分子量/官能基数=88)
・1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(例示化合物No.138)・・・10部
・光重合開始剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)・・・1部
・テトラヒドロフラン・・・100部
(製造例5)
−静電潜像担持体No.5の作製−
製造例4において、架橋型電荷輸送層の膜厚を1.4μmにした以外は、製造例4と同様にして、静電潜像担持体No.5を作製した。
(製造例6)
−静電潜像担持体体No.6の作製−
製造例4において、架橋型電荷輸送層の膜厚を7.7μmにした以外は、製造例4と同様にして、静電潜像担持体No.6を作製した。
(製造例7)
−静電潜像担持体No.7の作製−
製造例1において、架橋型電荷輸送層用塗布液を下記組成に変更し、架橋型電荷輸送層の膜厚を5.0μmにした以外は、製造例1と同様にして、静電潜像担持体No.7を作製した。
<架橋型電荷輸送層用塗布液の組成>
・電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー・・・10部
(ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、KAYARAD DPCA−60、日本化薬株式会社製、分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211)
・1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物(例示化合物No.54)・・・10部
・光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)・・・1部
・テトラヒドロフラン・・・100部
(製造例8)
−静電潜像担持体No.8の作製−
製造例7において、架橋型電荷輸送層の膜厚を9.6μmにした以外は、製造例7と同様にして、静電潜像担持体No.8を作製した。
(製造例9)
−静電潜像担持体No.9の作製−
製造例7において、架橋型電荷輸送層の膜厚を1.9μmにした以外は、製造例7と同様にして、静電潜像担持体No.9を作製した。
(製造例10)
−静電潜像担持体No.10の作製−
製造例7において、架橋型電荷輸送層の膜厚を2.4μmにした以外は、製造例7と同様にして、静電潜像担持体No.10を作製した。
(比較製造例1)
−静電潜像担持体No.11の作製−
製造例1において、架橋型電荷輸送層を設けず、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は、製造例1と同様にして、静電潜像担持体No.11を作製した。
(比較製造例2)
−静電潜像担持体No.12の作製−
製造例1と同様にして電荷輸送層までを作製した。この電荷輸送層上に、架橋型電荷輸送層を設けず、下記構造式で表されるアクリル系硬化性モノマー25部、2−メチルチオキサントン2.0部、及びトルエン300部を混合した保護層溶液をスプレー塗布し、乾燥した後、高圧水銀灯にて800mW/cmの光強度で20秒間紫外線照射することによって膜厚2.0μmの保護層を形成した以外は、製造例1と同様にして、静電潜像担持体No.12を作製した。
ただし、上記式中、Rは−CHCHOCOCH=CHを表す。
(比較製造例3)
−静電潜像担持体No.13の作製−
製造例1と同様にして電荷輸送層までを作製した。架橋型電荷輸送層の代わりに、下記組成の表面保護層塗布液を前記電荷輸送層上に塗布し、乾燥膜厚2μmの表面保護層を形成し、120℃、1時間の加熱硬化を行い、静電潜像担持体No.13を作製した。
<表面保護層塗布液の組成>
メチルシロキサン単位80モル%、メチル−フェニルシロキサン単位20モル%からなるポリシロキサン樹脂10部にモレキュラーシーブ4Aを添加し、15時間静置し、脱水処理した。この樹脂をトルエン10部に溶解し、これにメチルトリメトキシシラン1部、ジブチル錫アセテート0.2部を加え均一な溶液とした。この溶液にジヒドロキシメチルトリフェニルアミン6部、ヒンダードアミン(サノールLS−2626、三共株式会社製)0.3部、及びシリコーンオイル(X−22−160AS、信越化学工業株式会社製)1部を加えて混合して、表面保護層塗布液を調製した。
(比較製造例4)
−静電潜像担持体No.14の作製−
比較製造例3において、表面保護層に更にコロイダルシリカを5部加えた以外は、比較製造例3と同様にして、静電潜像担持体No.14を作製した。
(比較製造例5)
−静電潜像担持体No.15の作製−
比較製造例3において、表面保護層中に更に平均粒径1μmのシリコーン微粒子0.3部を添加した以外は、比較製造例3と同様にして、静電潜像担持体No.15を作製した。
(比較製造例6)
−静電潜像担持体No.16の作製−
比較製造例3において、表面保護層中に平均粒径2μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子0.4部を添加した以外は、比較製造例3と同様にして、静電潜像担持体No.16を作製した。
(実施例1〜10及び比較例1〜6)
得られた各静電潜像担持体No.1〜No.16を、1ドラムフルカラー画像形成装置(imagio Color 5100、株式会社リコー製)に搭載し、25℃−60%RH及び30℃−90%RHの環境下、A4サイズ紙を用いて初期及びフルカラー3万枚出力後の画像評価を以下のようにして行った。結果を表3に示す。
<画像流れ(肉眼観察)>
◎・・・良好
○・・・実用に差し支えなし
△・・・実用には厳しく不可
×・・・不適
<画像レジズレ>
レッド色1mm線からのイエロー色、及びマゼンタ色のはみ出し長を測定し、下記基準で評価した。
70μm未満(◎)・・・良好
70〜100μm未満(○)・・・実用に差し支えなし
100〜150μm未満(△)・・・実用には厳しく不可
150μm以上(×)・・・不適
<解像度(本/mm)>
日本画像学会発行のテストチャートにより目視にて判断した。なお、7本/mm以上であれば解像度が良好であることを示す。
<摩耗量(μm)>
渦電流式膜厚計(フィッシャースコープ社製)を用いて、ランニング前後の膜厚を測定し、前後の膜厚差から摩耗量(μm)を算出した。
表3の結果から、No.1〜No.10の本発明の静電潜像担持体を用いたものは、25℃−60%RH及び30℃−90%RHのどちらの環境条件でも初期及び3万枚出力後とも画像レジズレ、画像流れ、色ムラ、濃度ムラ、カブリが発生しなかった。更に、静電潜像担持体表面のキズが殆ど見られず、ハーフトーン画像上にもスリ傷による画像欠陥は見られなかった。
(製造例11〜20及び比較製造例7〜12)
製造例1〜10及び比較製造例1〜6において、引き抜き加工を施した円筒状アルミニウムパイプ(直径24mm×長さ380mm)を用いた以外は、製造例1〜10及び比較製造例1〜6と同様にして、製造例11〜20及び比較製造例7〜12の静電潜像担持体No.17〜No.32を作製した。
(実施例11〜20及び比較例7〜12)
得られた各静電潜像担持体No.17〜No.32をタンデムフルカラー画像形成装置(LP−9500C、エプソン社製)に搭載し、25℃−60%RH及び30℃−90%RHの環境下、A4サイズ紙を用いて初期及びフルカラー10万枚出力後の画像評価を上記実施例1〜10と同様にして行った。結果を表4に示す。
表4の結果から、No.17〜No.32の本発明の静電潜像担持体を用いたものは、25℃−60%RH及び30℃−90%RHのどちらの環境条件でも初期及び10万枚出力後とも、画像レジズレ、画像流れ、色ムラ、濃度ムラ、カブリが発生しなかった。また、静電潜像担持体表面のキズが殆ど見られず、ハーフトーン画像上にもスリ傷による画像欠陥は見られなかった。
本発明の画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、良好な耐摩耗性を示し、極めて耐久性や実用性に優れた静電潜像担持体を用いているので、直接又は間接電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く使用される。
図1は、本発明の静電潜像担持体の層構成の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明で用いられるクリーニング手段の一例を示す概略説明図である。 図3は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の例を示す概略説明図である。 図4は、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の例を示す概略説明図である。 図5は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)により本発明の画像形成方法を実施する一例を示す概略説明図である。 図6は、図5に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 図7は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略説明図である。
符号の説明
1 支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 架橋型電荷輸送層
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
71 クリーニングブレード
72 支持部材
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体(感光体)
102 帯電手段
103 露光
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 画像形成装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (9)

  1. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体を帯電させる帯電器と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を転写ベルト上に一次転写する中間転写手段と、該転写ベルトに担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段を有する画像形成装置において、
    前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層を有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有し、該帯電器が非接触帯電器であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 静電潜像に対応したカラー可視像を形成するための複数の現像手段と、該現像手段に対応した複数の静電潜像担持体を有する請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 架橋型電荷輸送層の膜厚が1〜10μmである請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 架橋型電荷輸送層が、静電潜像担持体における最表面層である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 3官能以上のラジカル重合性化合物及び1官能のラジカル重合性化合物におけるラジカル重合性官能基が、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかである請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 1官能のラジカル重合性化合物が下記構造式(7)のものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
    式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表し、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表し、複数の場合は異なってもよい。s、tは0〜3の整数を表す。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、又は下記構造式で表される基を表す。
  7. 中間転写方式によりカラー画像を形成する請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 静電潜像担持体上に、帯電器により該静電潜像担持体を帯電させる工程と、静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写工程と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着工程を含む画像形成方法において、
    前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有し、該帯電器が非接触帯電器であることを特徴とする画像形成方法。
  9. 静電潜像担持体、帯電器により該静電潜像担持体を帯電させる手段、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、該静電荷像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、前記可視像を中間転写体上に一次転写する中間転写手段、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する転写手段、及び前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを画像形成装置本体に脱着可能に有してなり、
    前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に積層してなる感光層とを有し、該架橋型電荷輸送層が電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性化合物と電荷輸送性構造を有する1官能のラジカル重合性化合物との反応物を含有し、該帯電器が非接触帯電器であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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