JP4484727B2 - 電子写真感光体、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジおよび導電性支持体の再生方法 - Google Patents
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Description
すなわち、上記課題は本発明の(1)「導電性支持体の上に、少なくとも中間層、平均孔径5μm以下かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層をこの順に積層してなり、かつ該中間層は少なくとも架橋構造を有する樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。」;
(2)「前記電荷発生層は少なくとも平均粒径が0.3μm以下の電荷発生材料とポリビニルアセタール樹脂を含むことを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体」;
(3)「前記電荷発生材料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記(2)に記載の電子写真感光体」;
(4)「前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有することを特徴とする前記(3)に記載の電子写真感光体」;
(5)「前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2に最大ピークと最低角7.3°にピークを有し、7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないことを特徴とする前記(4)に記載の電子写真感光体」;
(6)「前記チタニルフタロシアニンが、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする前記(5)に記載の電子写真感光体」;
(7)「前記チタニルフタロシアニン粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、前記分散液を用いて塗工により電荷発生層を形成したことを特徴とする前記(3)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(8)「前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過したものであることを特徴とする前記(3)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(9)「前記電荷輸送層が少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(10)「前記電荷輸送層上に表面保護層を設けてなることを特徴とする前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(11)「前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機材料又は金属酸化物を含有することを特徴とする前記(10)に記載の電子写真感光体」;
(12)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする前記(11)に記載の電子写真感光体」;
(13)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする前記(12)に記載の電子写真感光体」;
(14)「前記表面保護層が高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記(10)乃至(13)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(15)「前記表面保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする前記(10)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
(16)「前記架橋構造を有するバインダー樹脂が、その構造中に、電荷輸送性構造を有することを特徴とする前記(15)に記載の電子写真感光体」;
(17)「前記バインダー樹脂が、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを含み、その官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする前記(16)に記載の電子写真感光体」;によって解決される。;
(19)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を複数配列したことを特徴とする前記(18)に記載の電子写真装置」;
(20)「前記電子写真装置の露光手段に発光ダイオード、あるいは半導体レーザーを用いることを特徴とする前記(18)又は(19)に記載の電子写真装置」;
(21)「前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする前記(18)乃至(20)のいずれかに記載の電子写真装置」;
(22)「前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする前記(18)乃至(20)のいずれかに記載の電子写真装置」;
(23)「前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする前記(22)に記載の電子写真装置」;
(24)「前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする前記(21)乃至(23)のいずれかに記載の電子写真装置」によって達成される。
また、上記課題は本発明の(26)「前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の電子写真感光体を再利用する導電性支持体の再生方法であって、前記中間層と前記電荷発生層と前記輸送層とを同時に剥離することを特徴とする導電性支持体の再生方法。」によって達成される。
本発明の導電性支持体上に、少なくとも中間層、平均孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に積層してなり、かつ該中間層は少なくとも架橋構造を有する樹脂を含む感光体は、高感度で耐久性に優れている積層感光体の特徴を有し、更に従来積層感光体を剥離する際に発生した電荷輸送層と電荷発生層の界面での剥離を防ぎ、導電性支持体上に設けられた積層感光体を一度に剥離することができるため、使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化などが容易になり、環境負荷を低減することを可能にするものである。上記理由としては、電荷発生層の上に積層される電荷輸送層と電荷発生層の下に存在する中間層とが、電荷発生層に存在するベナードセル構造を伴って形成される孔を介して結着されるため、電荷輸送層と電荷発生層の界面における剥離を防ぎ、電荷輸送層を剥離した場合に中間層も同時に剥離することが容易になるためと予想される。特に中間層が硬化性樹脂を含有する場合、従来剥離することが困難であったが、本技術を用いることで、中間層を容易に剥離することができ、感光体の再利用化が可能になる。
1.塗膜の形成に使用される塗工液の溶媒の蒸発速度が大きいこと。
2.塗膜の形成に使用される塗工液中に分散された粒子の粒度分布が広いこと。
3.塗工された塗膜のwet(湿潤)状態での膜厚が大きいこと。
4.塗工された塗膜の粘度が低いこと。
5.塗工された塗膜の表面張力が大きいこと。
6.塗工雰囲気の溶媒蒸気濃度が低いこと。
7.塗工液の液温度が高いこと。
8.塗工雰囲気の温度が低いこと。
9.塗工雰囲気の湿度が高いこと。
これらの条件を制御することでも形成することが可能であり、特に塗膜の粘度を低くし、塗工雰囲気を低温高湿条件にすることで容易に形成することが可能となる。
1つは、電荷発生層を形成する分散液を作製する際に、所定のサイズまで分散を行なった後、特定のフィルターにて分散液を濾過することにより、微量の粗大粒子を取り除く方法である。すなわち、チタニルフタロシアニン粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、前記分散液を用いて塗工により電荷発生層を形成する。
もう1つは、電荷発生物質そのものを合成する際に、その一次粒子サイズを所定サイズ以下にコントロールする(所定サイズ以上に結晶成長する前に結晶変換を停止してしまう)ことにより、これを用いた分散液中の電荷発生物質粒子サイズをコントロールしてしまう方法である。すなわち、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過するものである。
いずれにおいても、本発明において有効に使用される電荷発生物質であるCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニンの分散における結晶転移の容易性に対する手段である。すなわち、前記チタニルフタロシアニンは、類い希なる光感度を示す反面、熱的・機械的ストレスにより結晶転移を起こしやすいという欠点を有している。
分散時に結晶の一部が結晶転移を起こすと、通常は26.3°にピークを有する結晶になる。この結晶型は27.2°にピークを有する結晶型に比べ、光感度が低いという特性を有しており、感光体の低感度化あるいは異常画像の発生という問題を引き起こす。
一方、この結晶型の転移を防ぐべく、分散条件をマイルドな条件に設定すると、分散液中に粗大粒子が残存してしまう。この粗大粒子は、ネガ・ポジ現像における黒ポチを誘発し、画像上非常に大きな問題となる。したがって、上記チタニルフタロシアニンを用いる際には、上述のような粒子の微細化と結晶型の安定というトレード・オフの関係を解消する必要がある。
通常は分散時間を長く取り、このような確率を極力小さなものにすることにより、粗大粒子の存在を低減している。このような努力により、粗大粒子は低減されるが、分散過多の場合には結晶型の転移の問題を抱える。
したがって、概ね一次粒子サイズまで分散を行ない、所定サイズ以上の粗大粒子を取り除いてしまうという方法が考えられる。粗大粒子を取り除く方法では数々の方法が考えられるが、一番適当な方法としては、フィルターによる分散液の濾過である。
分散液を濾過するフィルターに関しては、除去したい粗大粒子のサイズによって異なるものであるが、本発明者等の検討によれば、600dpi程度の解像度を必要とする電子写真装置で使用される感光体としては、最低でも3μm以上の粗大粒子の存在は画像に対して影響を及ぼす。したがって、有効孔径が3μm以下のフィルターを使用すべきである。より好ましくは1μm以下の有効孔径を有するフィルターを使用することである。
この有効孔径に関しては、細かいほど粗大粒子の除去に効果があるものであるが、あまり細かすぎると、必要な顔料粒子そのものも濾過されてしまうため、適切なサイズが存在する。また、細かすぎた場合には、濾過に時間がかかる、フィルターが目詰まりを起こす、ポンプ等を使用して送液する場合には負荷がかかりすぎる等の問題を生じる。
27.2°にピークを有するチタニルフタロシアニンの一般的な合成方法は、公知の合成法によりチタニルフタロシアニンクルード(合成粗品)を合成し、次いでこれをアシッド・ペースト法により再析出させ、不定形チタニルフタロシアニンを得る。この不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で適当な有機溶媒と共に処理することにより、所望の結晶型を得るものである。
通常、この種の結晶変換においては、原料の残存を恐れて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。
このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.4μm)を得ているものである。
具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法によって、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行なわれ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。このような結晶変換方法を採用することにより、一次粒子サイズの小さな(0.3μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
特開2001−19871号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明の効果を高めるために有効な手段である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化する様な材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
以上の何れかの方法により作製した分散液を用いることにより、本発明の効果はより一層顕著なものとなる。
図2は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、中間層(33)、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
更に図3は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、中間層(33)、電荷発生層(35)、電荷輸送層(37)を設け、その上に表面保護層(39)が積層された構成をとっている。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化したもの、特開昭52−36016号公報に記載のエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等が挙げられ、これらのものを前記粗面化処理を実施することで用いることができる。
また、これらの中でもアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも中間層を複数の層構成にして形成することもでき、中間層の膜厚は0〜10μm、好ましくは0〜5μmが適当である。
本発明における中間層は、架橋構造を有する樹脂を含むことが好ましい。
電荷発生層(35)は、電荷発生材料として前述の有機顔料を主成分とする層である。上述したように、有機顔料とポリビニルアセタール樹脂とともに適当な溶媒中に分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
ここで用いられる溶媒としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の非ハロゲン系溶媒が望ましいが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質および結着樹脂を上述のように適当な溶媒を用いることができるが、特に非ハロゲン系溶媒、好ましくはテトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用することにより感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送性構造を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるにしたがい、その電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
測定の際には、上部電極の質量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。106Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCEMETER(横河ヒューレットパッカード製)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク製)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明の云うところの比抵抗値と定義するものである。
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気製)を使用した。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、表面保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好ましい。
電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、表面保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここで云う濃度とは、表面保護層を構成する全材料の総質量に対する低分子電荷輸送物質の質量の比を表わし、濃度傾斜とは上記質量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造を有するため3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。この様に感光体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋型電荷輸送層の膜厚が厚くなるほど増加するため電荷輸送層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
この問題を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。これに対し、本発明の感光体は、電荷輸送層上に3次元の網目構造が発達した架橋密度の高い電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を1μm以上、10μm以下の膜厚で設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。かかる電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の膜厚を2μm以上、8μm以下の膜厚にすることにより、さらに上記問題に対する余裕度が向上することに加え、更なる耐摩耗性向上に繋がる高架橋密度化の材料選択が可能となる。
本発明の感光体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に電荷輸送層を有するため表面の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の内部応力を緩和できることなどによる。このため電荷輸送性構造を有する架橋型保護層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、この時生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。さらに、電荷輸送層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。本発明に用いられる電荷輸送性構造を有する架橋型保護層においては、10μm以下の薄膜であることから内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、さらに1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、架橋型電荷輸送層の内部応力が高まる原因となる。
更に、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層形成において、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性にすることにより、特にその飛躍的な耐摩耗性が発揮される。電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては3次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1または2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されることがある。このような架橋型電荷輸送層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、且つ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性の向上が達成される。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1− ・・・・(官能基1)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2− ・・・・(官能基2)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR12R13(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記式10のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
前記式(14)、(15)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
また、前記Ar3、Ar4で表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR2)であり、R2は上記(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)次式(16):
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C1〜C12、好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C5〜C7の環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100質量部に対し50質量部以下、好ましくは30質量部以下に制限される。
また、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜20質量部である。
本発明は更に電荷発生層、電荷輸送層、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を順次積層した構成において、最表面の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性の感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm2以上、1000mW/cm2以下が好ましく、例えば200mW/cm2のUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、複数のランプからドラム周方向を均一30秒程度照射すればよい。このときドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
図4は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。
図4において、感光体(1)は導電性支持体の上に、少なくとも中間層、孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に設けられてなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式がより望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。また帯電には、交流重畳電圧印加を行うのが好ましい。
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、前述の電荷発生材料であるフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。
かかる光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニットにより感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)およびクリーニングブレード(15)により、感光体(1)より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。 かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。なお図4において、符号(6)は現像ユニット、(8)はレジストローラ、(12)は分離爪であり、それぞれ公知の手段を用いることができる。
画像形成要素は、少なくとも中間層、孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に設けられてなる電子写真感光体と、その周りに少なくとも帯電部材、露光部材、現像部材およびクリーニング部材が配置されたユニットとして構成され、複数色のトナーが用いられるカラー電子写真画像形成装置の場合には、その色の数に応じた数の画像形成要素が搭載され、また各画像形成要素は画像形成装置に固定しても、また個別に差し替え使用可能とすることもできる。
図5において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
転写紙(9)は給紙コロ(20)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(8)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(100)に送られる。転写搬送ベルト(100)上に保持された転写紙(9)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(9)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(9)は定着装置(101)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。なお、図5の例では画像形成要素は、転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。
また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図5において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(200μm以下、例えば10〜200μm程度)を設けることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
また、このプロセスカートリッジとしては、フルカラー電子写真画像形成装置に用いられる前記の画像形成要素と言う意味でなく、1色のみの画像形成用のモノカラー画像形成装置に脱着自在の構成であって、本発明の少なくとも中間層、孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に設けられてなる電子写真感光体を内蔵し、さらに他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段等の少なくとも1つを具備するものについても、本発明に包含される。なお、前記の各画像形成手段のうち、プロセスカートリッジに具備されないものは、画像形成装置側に具備される。
プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として図6に示すものが挙げられる。図6のプロセスカートリッジは、本発明の感光体1に加え、帯電ローラ3’、画像露光部5、クリーニングブレードまたはブラシ15、現像ローラ16、転写ローラ17を備えている。
<合成例>
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたこのウェットケーキ2gをテトラヒドロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行なった。
これにメタノール100gを追加して、1時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、本発明のチタニルフタロシアニン粉末を得た。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、かつ7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図7に示す。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
外径30mm、長さ340mmのアルミニウム素管に、下記組成の中間層用塗工液1を塗布したのち、130℃で20分間乾燥し膜厚3μmの中間層を形成した。
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
{ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)
:大日本インキ化学工業製}
メラミン樹脂 10部
{スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)
:大日本インキ化学工業製}
メチルエチルケトン 100部
合成例のチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルアセタール 8部
メチルエチルケトン 900部
ポリカーボネート(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 10部
下記式(32)の電荷輸送物質 8部
テトラヒドロフラン(THF) 80部
実施例1にて作製したアルミニウム素管に、下記組成の中間層用塗工液2を浸漬塗布し、130℃で10分間乾燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。
N−メトキシメチル化ナイロン(樹脂) 6.4部
メタノール 70部
n―ブタノール 30部
実施例1で作製したアルミニウム素管に、中間層用塗工液2を浸漬塗布し、130℃で10分間乾燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。続いて、中間層用塗工液1を浸漬塗布し、130℃で20分間乾燥し膜厚3μmの第2中間層を形成した。
続いて、実施例1と同様、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は2.8μm、面積率は31%であった。
実施例1において、電荷発生層用塗工液の塗工環境を15℃/75%の環境下で、浸漬塗布した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は3.9μm、面積率は38%であった。
実施例1において、塗工装置内に通風孔を設けることで蒸気濃度を低減し、さらに電荷発生層用塗工液の液温を15℃から22℃に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は4.6μm、面積率は43%であった。
実施例1において、電荷発生層用塗工液1を下記組成の電荷発生層用塗工液2に変更し、また塗工環境を20℃/45%の環境下で、浸漬塗布した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔は観察されなかった。
合成例のチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルアセタール 8部
メチルエチルケトン 600部
実施例1において、電荷発生層用塗工液1を上記組成の電荷発生層用塗工液2に変更し、また塗工環境を20℃/30%の環境下で、浸漬塗布した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔は観察されなかった。
ビーズミリング分散により顔料の平均粒径が0.6μmになるように調製した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は1.9μm、面積率は25%であった。
ビーズミリング分散により顔料の平均粒径が0.6μmになるように調製した以外は比較例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔は観察されなかった。
DCバイアス:−850V
ACバイアス:1.5kV(peak to peak)
周波数2kHz
電荷輸送層用塗工液を下記の組成に変更した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
下記式(33)の高分子電荷輸送材料 10部
シリコーンオイル(KF−50:信越化学工業社製) 0.001部
テトラヒドロフラン 100部
次に実施例1において作製した感光体に、下記組成の表面保護層塗工液を塗布し、140℃で20分間乾燥して平均膜厚2μmの表面保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
ポリカーボネート樹脂 3.8部
(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製)
式(32)の電荷輸送物質 2.8部
α−アルミナ 2.6部
(スミコランダムAA−04:住友化学工業社製)
シクロヘキサノン 80部
テトラヒドロフラン 280部
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は同様に感光体を作製した。
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記式(34)の電荷輸送性化合物 35部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、20分間自然乾燥した後に、以下の条件下で光照射を行い塗布膜を硬化させ、5μmの保護層を設けた以外は同様に感光体を作製した。
メタルハライドランプ:160W/cm
照射距離:120mm
照射強度:500mW/cm2
照射時間:60秒
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
(トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製)分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)
下記式(35)で表される
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
テトラヒドロフラン 100部
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を50μmに調整して、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を180μmに調整して、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を250μmに調整して、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を100μmに調整して、帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
<帯電条件>
DCバイアス:−850V
ACバイアス:なし
以上のように実施例12〜15の評価を行なったが、実施例1とほぼ同様な結果を得た。しかしながら、実施例1および11〜14において、10万枚後にハーフトーン画像を出力すると、実施例1および実施例11、12では正常な画像を出力したが、実施例13、14ではわずかではあるが帯電ムラに基づく画像濃度ムラが観察された。
実施例10で作製した感光体を用い、実施例10で用いた画像形成装置に使用される帯電部材を接触帯電ローラからスコロトロンチャージャーに変更する改造を加え、実施例10と同様に15万枚の通紙試験を行なった。また、15万枚通紙試験の後、30℃で90%RHの環境下で50枚の画像出力を行なった。
実施例15においては、15万枚の通紙試験結果は、実施例10と遜色のないものであったが、試験中のオゾン臭がひどかった。更に、30℃で90%RHの画像評価において、実施例10では正常な画像を出力したが、実施例15ではわずかに画像ボケを生じた。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
3’ 帯電ローラ
5 画像露光部
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
9 転写紙
15 クリーニングブレード
Claims (26)
- 導電性支持体の上に、少なくとも中間層、平均孔径5μm以下かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層をこの順に積層してなり、かつ該中間層は少なくとも架橋構造を有する樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記電荷発生層は少なくとも平均粒径が0.3μm以下の電荷発生材料とポリビニルアセタール樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有することを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大ピークと最低角7.3°にピークを有し、7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないことを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンが、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、前記分散液を用いて塗工により電荷発生層を形成したことを特徴とする請求項3乃至6の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過したものであることを特徴とする請求項3乃至7の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層が少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層上に表面保護層を設けてなることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記表面保護層が比抵抗1010Ω・cm以上の無機材料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
- 前記表面保護層が高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記表面保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする請求項10乃至14の何れかに記載の電子写真感光体。
- 前記架橋構造を有するバインダー樹脂が、その構造中に、電荷輸送性構造を有することを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂が、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを含み、その官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1乃至17の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を複数配列したことを特徴とする請求項18に記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置の露光手段に、発光ダイオード、あるいは半導体レーザーを用いることを特徴とする請求項18又は19に記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする請求項18乃至20の何れかに記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする請求項18乃至20の何れかに記載の電子写真装置。
- 前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする請求項22に記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする請求項21乃至23の何れかに記載の電子写真装置。
- 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項1乃至17の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の電子写真感光体を再利用する導電性支持体の再生方法であって、前記中間層と前記電荷発生層と前記電荷輸送層とを同時に剥離することを特徴とする導電性支持体の再生方法。
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