JP4484727B2 - 電子写真感光体、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジおよび導電性支持体の再生方法 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジおよび導電性支持体の再生方法 Download PDF

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本発明は、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体ならびにそれを用いた電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリップロセスカートリッジおよび導電性支持体の再生方法に関し、詳しくは、リサイクルが容易で、感度、耐久性に優れ、環境負荷の小さい電子写真感光体ならびにそれを用いた電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリップロセスカートリップロセスカートリッジおよび導電性支持体の再生方法に関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して、光によって情報記録を行なう光プリンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術は、プリンタのみならず通常の複写機にも応用され、いわゆるデジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっていくと予想される。さらに、パーソナルコンピュータの普及、及び性能の向上にともない、画像及びドキュメントのカラー出力を行なうためのデジタルカラープリンタの進歩も急激に進んでいる。
これらの電子写真装置に用いる電子写真感光体は光導電性素材として、従来用いられたSe、CdS、ZnO等の無機材料に対し、感度、熱安定性、毒性等に優位性を有する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体が主流になっている。この有機光導電性材料を用いた電子写真感光体の感光層を形成する場合、電荷発生層上に電荷輸送層を積層機能分離型のものが感度、耐久性に優れるため一般に用いられている。
積層機能分離型における電荷発生層に含まれる電荷発生物質としては、各種アゾ顔料、多環キノン系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多くの電荷発生物質が開発されている。それらのうち、フタロシアニン顔料は600〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリンタやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用である。
さらに、これらの積層機能分離型電子写真感光体を、より高感度化を達成するため、特許文献1においては、特定の顔料の平均粒径が0.1μm以下にした高感度な電子写真感光体を提案しており、特許文献2においては、ベナードセル構造からなる電荷発生層を用いる方法が提案されている。
特許第2118894号公報(第1頁の請求項1) 特許第3267710号公報(第1頁の請求項1)
近年、環境負荷の低減化が活発に進められており、使用済み感光体あるいは、感光層の塗膜欠陥等により発生した不良品の再利用化が検討されている。しかしながら、機能分離型感光体については積層膜によって形成されていることから、再利用にあたって導電性支持体と感光層を剥離する必要があるものの、各層の界面で剥離が発生しやすく、再利用化を困難にする問題が生じていた。
従って、感度、耐久性に優れた積層機能分離型感光体を用いた場合においても、使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化が可能な電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真装置及び電子写真用プロセスカートリッジの完成が望まれていた。
本発明の目的は、感度、耐久性に優れた積層機能分離型感光体を用いた場合においても、導電性支持体に感光層を塗布した後の使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化が可能であり、環境負荷の小さい電子写真感光体、それを用いた電子写真装置及び電子写真用プロセスカートリッジ、さらには導電性支持体の再生方法を提供することにある。
本発明者らは、積層機能分離型感光体を用いた場合においても、導電性支持体に感光層を塗布した後の使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化に関して鋭意検討を行ない、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は本発明の(1)「導電性支持体の上に、少なくとも中間層、平均孔径5μm以下かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層をこの順に積層してなり、かつ該中間層は少なくとも架橋構造を有する樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。」;
)「前記電荷発生層は少なくとも平均粒径が0.3μm以下の電荷発生材料とポリビニルアセタール樹脂を含むことを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体」;
)「前記電荷発生材料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記(2)に記載の電子写真感光体」;
)「前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有することを特徴とする前記(3)に記載の電子写真感光体」;
)「前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2に最大ピークと最低角7.3°にピークを有し、7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないことを特徴とする前記(4)に記載の電子写真感光体」;
)「前記チタニルフタロシアニンが、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする前記(5)に記載の電子写真感光体」;
)「前記チタニルフタロシアニン粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、前記分散液を用いて塗工により電荷発生層を形成したことを特徴とする前記(3)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
)「前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過したものであることを特徴とする前記(3)乃至(7)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
)「前記電荷輸送層が少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
10)「前記電荷輸送層上に表面保護層を設けてなることを特徴とする前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
11)「前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機材料又は金属酸化物を含有することを特徴とする前記(10)に記載の電子写真感光体」;
12)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする前記(11)に記載の電子写真感光体」;
13)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする前記(12)に記載の電子写真感光体」;
14)「前記表面保護層が高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記(10)乃至(13)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
15)「前記表面保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする前記(10)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体」;
16)「前記架橋構造を有するバインダー樹脂が、その構造中に、電荷輸送性構造を有することを特徴とする前記(15)に記載の電子写真感光体」;
17)「前記バインダー樹脂が、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを含み、その官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする前記(16)に記載の電子写真感光体」;によって解決される。;
また、上記課題は本発明の(18)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置」;
19)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を複数配列したことを特徴とする前記(18)に記載の電子写真装置」;
20)「前記電子写真装置の露光手段に発光ダイオード、あるいは半導体レーザーを用いることを特徴とする前記(18)又は(19)に記載の電子写真装置」;
21)「前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする前記(18)乃至(20)のいずれかに記載の電子写真装置」;
22)「前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする前記(18)乃至(20)のいずれかに記載の電子写真装置」;
23)「前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする前記(22)に記載の電子写真装置」;
24)「前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする前記(21)乃至(23)のいずれかに記載の電子写真装置」によって達成される。
また、上記課題は本発明の(25)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」によって達成される。
また、上記課題は本発明の(26)「前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の電子写真感光体を再利用する導電性支持体の再生方法であって、前記中間層と前記電荷発生層と前記輸送層とを同時に剥離することを特徴とする導電性支持体の再生方法。」によって達成される。
本発明によれば、感度、耐久性に優れた積層機能分離型感光体を用いた場合においても、導電性支持体に感光層を塗布した後の使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化が可能であり、環境負荷の小さい電子写真感光体、それを用いた電子写真装置及び電子写真用プロセスカートリッジ、さらには電子写真感光体を再利用する導電性支持体の再生方法が提供される。
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明の導電性支持体上に、少なくとも中間層、平均孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に積層してなり、かつ該中間層は少なくとも架橋構造を有する樹脂を含む感光体は、高感度で耐久性に優れている積層感光体の特徴を有し、更に従来積層感光体を剥離する際に発生した電荷輸送層と電荷発生層の界面での剥離を防ぎ、導電性支持体上に設けられた積層感光体を一度に剥離することができるため、使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化などが容易になり、環境負荷を低減することを可能にするものである。上記理由としては、電荷発生層の上に積層される電荷輸送層と電荷発生層の下に存在する中間層とが、電荷発生層に存在するベナードセル構造を伴って形成される孔を介して結着されるため、電荷輸送層と電荷発生層の界面における剥離を防ぎ、電荷輸送層を剥離した場合に中間層も同時に剥離することが容易になるためと予想される。特に中間層が硬化性樹脂を含有する場合、従来剥離することが困難であったが、本技術を用いることで、中間層を容易に剥離することができ、感光体の再利用化が可能になる。
また、本発明におけるベナードセル構造は電荷発生材料と樹脂の凝集を伴って孔が発生するものであり、孔径は、大きすぎると感度の劣化や異常画像を引き起こすことから、平均孔径5μm以下であることが望ましい。図1に示すように、成膜した電荷発生層を電子顕微鏡で観察することで容易に測定することができるが、孔の形状は多角形あるいは円状構造の形態として存在するため、少なくとも10個以上の孔の長軸方向の長さを測定し、算術平均を求めて導出することが望ましい。
また、本発明におけるベナードセル構造により発生する電荷発生層の孔の面積率は、大きすぎると感度の劣化や異常画像を引き起こし、小さすぎると電荷輸送層と中間層の接着力が低下し、電荷輸送層と電荷発生層界面での剥離を引き起こしやすくなることから、20〜45%であることが望ましい。孔の面積率についても電荷発生層を電子顕微鏡で観察することで、容易に測定することができ、孔の形状は多角形あるいは円状構造の形態として存在するため、少なくとも10個以上の孔を含む任意の範囲の面積と、その範囲に含まれる孔の面積和の比率を測定することで導出することができる。
また、本発明におけるベナードセル構造を有する電荷発生層の形成方法としては、電荷発生層に用いる電荷発生層、樹脂、溶媒の適当な組み合わせで形成することができる。なお、ベナードセルの形成は、基本的には湿式塗膜内部と表面における物性の違いにより対流が起こり、その結果、乾燥塗膜表面に幾何学的な模様ができるものである。この対流が起こりやすい製造条件としては、以下の条件等が挙げられる。
1.塗膜の形成に使用される塗工液の溶媒の蒸発速度が大きいこと。
2.塗膜の形成に使用される塗工液中に分散された粒子の粒度分布が広いこと。
3.塗工された塗膜のwet(湿潤)状態での膜厚が大きいこと。
4.塗工された塗膜の粘度が低いこと。
5.塗工された塗膜の表面張力が大きいこと。
6.塗工雰囲気の溶媒蒸気濃度が低いこと。
7.塗工液の液温度が高いこと。
8.塗工雰囲気の温度が低いこと。
9.塗工雰囲気の湿度が高いこと。
これらの条件を制御することでも形成することが可能であり、特に塗膜の粘度を低くし、塗工雰囲気を低温高湿条件にすることで容易に形成することが可能となる。
本発明で用いられる電荷発生材料としては、カルバゾール骨格、トリフェニルアミン骨格、ジフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、フルオレノン骨格、オキサジアゾール骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格、ジスチリルカルバゾール骨格等を有するアゾ顔料や、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などの有機顔料が挙げられ、これらの有機顔料は単独、あるいは2種類以上の混合物として用いることが可能である。これらのうち、金属フタロシアニン顔料であって、下記式(1)に示すような中心金属にチタンを有するチタニルフタロシアニン(以下TiOPc)は、特に感度が高く優れた特性を示しており、より望ましい。
Figure 0004484727
式中、X、X、X、Xは各々独立に各種ハロゲン原子を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜4の数字を表わす。
TiOPcの合成法や電子写真特性に関する文献としては、例えば特開昭57−148745号公報、特開昭59−36254号公報、特開昭59−44054号公報、特開昭59−31965号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報などが挙げられる。また、TiOPcには種々の結晶系が知られており、特開昭59−49544号公報、特開昭59−166959号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−366号公報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−196067号公報、特開昭64−17066号公報、特開2001−19871号公報等に各々結晶形の異なるTiOPcが記載されている。
これらの結晶形のうち、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2°±0.2°に最大回折ピークを有するTiOPcが特に優れた感度特性を示し、良好に使用される。特に、特開2001−19871号公報に記載されている27.2°に最大回析ピークを有し、かつ最も低角側の回析ピークとして7.3°にピークを有し、該7.4゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないTiOPcを用いることで、高感度を失うことなく、繰り返し使用しても帯電性の低下を生じない安定した電子写真感光体を得ることができる。更に、上記結晶型のうち、26.3°にピークを有さない結晶型を使用すると、本発明の効果を一層顕著なものにすることができる。
また、TiOPcクルードの合成方法として、特開平6−293769号公報においては、ハロゲン化チタンを原料に用いない方法が記載されている。この方法の最大のメリットは、合成されたTiOPcクルードがハロゲン化フリーであることである。TiOPcは不純物としてのハロゲン化TiOPcを含むと、これを用いた感光体の静電特性において光感度の低下や、帯電性の低下といった悪影響を及ぼす場合が多い(Japan Hardcopy‘89 論文集p.103 1989年)。本発明においても、特開2001−19871号公報に記載されているようなハロゲン化フリーTiOPcをメインに対象にしているものであり、これらの材料が有効に使用される。この点においては、特開2001−115054号公報等で議論されているハロゲン化TiOPcを含む技術とは構成・効果発現の点で異なるものである。
本発明においては、前記電荷発生材料の平均粒径を求める方法としては、分散液を塗布し塗膜を形成したものを電子顕微鏡で観察することで求めることができる。なお電荷発生材料の粒子形状は、米粒形状、針状形状等種々の形態を有し、いずれの形態もとりうる。従って、直接観察の際は複数個の粒子(少なくとも10個以上)の長軸方向の長さを測定し、算術平均を求めることにより平均粒径を求めることができる。
さらに、本発明において電荷発生材料の平均粒径が0.3μm以下であり、かつポリビニルアセタール樹脂を含むことにより、作製された電子写真感光体中で電荷発生材料の凝集を起こさず平均0.3μm以下に保持することができ、特に高感度で、かつ黒ポチ等の異常画像のない電子写真感光体が得られるものと推測される。
ここで、本発明で用いる電荷発生材料の平均粒径を0.3μm以下にする有効な手段について述べる。大別すると2つの方法が挙げられる。
1つは、電荷発生層を形成する分散液を作製する際に、所定のサイズまで分散を行なった後、特定のフィルターにて分散液を濾過することにより、微量の粗大粒子を取り除く方法である。すなわち、チタニルフタロシアニン粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、前記分散液を用いて塗工により電荷発生層を形成する。
もう1つは、電荷発生物質そのものを合成する際に、その一次粒子サイズを所定サイズ以下にコントロールする(所定サイズ以上に結晶成長する前に結晶変換を停止してしまう)ことにより、これを用いた分散液中の電荷発生物質粒子サイズをコントロールしてしまう方法である。すなわち、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過するものである。
以下、両者の詳細について記載する。
いずれにおいても、本発明において有効に使用される電荷発生物質であるCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有するチタニルフタロシアニンの分散における結晶転移の容易性に対する手段である。すなわち、前記チタニルフタロシアニンは、類い希なる光感度を示す反面、熱的・機械的ストレスにより結晶転移を起こしやすいという欠点を有している。
分散時に結晶の一部が結晶転移を起こすと、通常は26.3°にピークを有する結晶になる。この結晶型は27.2°にピークを有する結晶型に比べ、光感度が低いという特性を有しており、感光体の低感度化あるいは異常画像の発生という問題を引き起こす。
一方、この結晶型の転移を防ぐべく、分散条件をマイルドな条件に設定すると、分散液中に粗大粒子が残存してしまう。この粗大粒子は、ネガ・ポジ現像における黒ポチを誘発し、画像上非常に大きな問題となる。したがって、上記チタニルフタロシアニンを用いる際には、上述のような粒子の微細化と結晶型の安定というトレード・オフの関係を解消する必要がある。
このような状況下において、分散条件をできる限り最適化することにより、結晶型が安定な範囲でできる限り細かい粒子を形成しようという試みがなされる。しかしながら、通常の分散機においては、メディア同士あるいはメディアと分散室の内壁との間のチタニルフタロシアニンが分散に供されるため、統計的な分散がなされる。このため、分散されたチタニルフタロシアニンは正規分布の様な形状の粒度分布を有する。また、どの様に改良された分散装置でもわずかなデッド・スペース(どこかに粒子が溜まるような空間)が存在し、微量な粗大粒子の存在を除去することはできない。
通常は分散時間を長く取り、このような確率を極力小さなものにすることにより、粗大粒子の存在を低減している。このような努力により、粗大粒子は低減されるが、分散過多の場合には結晶型の転移の問題を抱える。
この点に鑑み、本発明における前者の方法は、分散液の粗大粒子を確実に除去することである。その方法は、分散装置および分散条件によっても異なるが、通常の方法で27.2°にピークを有するチタニルフタロシアニンを合成すると、その一次粒子サイズは0.2〜0.5μm程度になる。この一次粒子サイズを超えて(以下に)分散を押し進めることは、昨今の分散機では不可能ではないが、結晶型を転移させる原動力になる。
したがって、概ね一次粒子サイズまで分散を行ない、所定サイズ以上の粗大粒子を取り除いてしまうという方法が考えられる。粗大粒子を取り除く方法では数々の方法が考えられるが、一番適当な方法としては、フィルターによる分散液の濾過である。
分散液を濾過するフィルターに関しては、除去したい粗大粒子のサイズによって異なるものであるが、本発明者等の検討によれば、600dpi程度の解像度を必要とする電子写真装置で使用される感光体としては、最低でも3μm以上の粗大粒子の存在は画像に対して影響を及ぼす。したがって、有効孔径が3μm以下のフィルターを使用すべきである。より好ましくは1μm以下の有効孔径を有するフィルターを使用することである。
この有効孔径に関しては、細かいほど粗大粒子の除去に効果があるものであるが、あまり細かすぎると、必要な顔料粒子そのものも濾過されてしまうため、適切なサイズが存在する。また、細かすぎた場合には、濾過に時間がかかる、フィルターが目詰まりを起こす、ポンプ等を使用して送液する場合には負荷がかかりすぎる等の問題を生じる。
なお、ここで使用されるフィルターの材質は、当然のことながら濾過する分散液に使用される溶媒に対して耐性のあるものが使用される。また、濾過操作を有効にするためには、顔料粒子の平均粒径だけでなく、その分布が重要である。粒度分布が広い場合には、平均粒径がいくら小さくても濾過の効率が落ちたり、必要な顔料粒子を除去してしまうという問題を発生させる。
もう1つの方法(後者)は、チタニルフタロシアニンそのものの一次粒子を合成時点より微細なものとし、分散液作製における分散時でのストレスを低減するものである。既に述べたように、通常のチタニルフタロシアニンの合成方法では、一次粒子サイズが0.3〜0.4μm程度の結晶が合成される。本発明においては、合成方法を見直すことにより、一次粒子サイズをより細かなものにする。
27.2°にピークを有するチタニルフタロシアニンの一般的な合成方法は、公知の合成法によりチタニルフタロシアニンクルード(合成粗品)を合成し、次いでこれをアシッド・ペースト法により再析出させ、不定形チタニルフタロシアニンを得る。この不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で適当な有機溶媒と共に処理することにより、所望の結晶型を得るものである。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、結晶変換の操作において、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが、結晶変換の際に、結晶成長と共に結晶が変換されることが判った。
通常、この種の結晶変換においては、原料の残存を恐れて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。
このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.4μm)を得ているものである。
したがって、この結晶変換工程において、結晶成長が起こる前に結晶変換を完了することが1つのポイントである。このために、結晶変換溶媒に適正なものを選択し、結晶変換効率を高めつつ、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒と不定形チタニルフタロシアニンを充分に接触させるために強い撹拌を用いる様な手法は有効である。
具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法によって、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行なわれ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
また、上述のように結晶粒子サイズと結晶変換時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶変換)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行なった後、直ちに結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。
これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。このような結晶変換方法を採用することにより、一次粒子サイズの小さな(0.3μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
特開2001−19871号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明の効果を高めるために有効な手段である。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行なわれる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化する様な材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
このように合成されたチタニルフタロシアニンの一次粒子は、従来のチタニルフタロシアニン比べて小さなものであるから、分散条件を適正化することにより、結晶転移のない細かい粒度分布を有する分散液を作製することができる。この場合にも、非常に微量な粗大粒子が存在する可能性があり、前述のような濾過操作を更に併用することは効果を増大させるものである。
以上の何れかの方法により作製した分散液を用いることにより、本発明の効果はより一層顕著なものとなる。
続いて、本発明に用いられる電子写真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。
図2は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、中間層(33)、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
更に図3は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、中間層(33)、電荷発生層(35)、電荷輸送層(37)を設け、その上に表面保護層(39)が積層された構成をとっている。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化したもの、特開昭52−36016号公報に記載のエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等が挙げられ、これらのものを前記粗面化処理を実施することで用いることができる。
また、これらの中でもアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体(31)と感光層との間に中間層(33)を設けることで高安定で耐久性の高い感光体を得ることができる。中間層(33)は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも中間層を複数の層構成にして形成することもでき、中間層の膜厚は0〜10μm、好ましくは0〜5μmが適当である。
本発明における中間層は、架橋構造を有する樹脂を含むことが好ましい。
次に感光層について説明する。感光層は前述のように、電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される積層型が感度、耐久性において優れた特性を示し、良好に使用される。
電荷発生層(35)は、電荷発生材料として前述の有機顔料を主成分とする層である。上述したように、有機顔料とポリビニルアセタール樹脂とともに適当な溶媒中に分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
ここで用いられる溶媒としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の非ハロゲン系溶媒が望ましいが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質および結着樹脂を上述のように適当な溶媒を用いることができるが、特に非ハロゲン系溶媒、好ましくはテトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられ、特にポリカーボネートは電気特性や対磨耗性において優れた特性を示す。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、下記式(2)〜式(13)に示すようなトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートは良好に用いられる。
Figure 0004484727
式中、R,R,Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R,Rは置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。
Figure 0004484727
式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
Figure 0004484727
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
Figure 0004484727
式中、R,Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基、X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
Figure 0004484727
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、式(2)の場合と同じである。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用することにより感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送性構造を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報、特開2000−206723号公報、特開2001−34001号公報等に記載されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
本発明において電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30質量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1質量%が適当である。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、表面保護層を感光層の上に設けた場合も、表面保護層を設けた電荷輸送層と中間層が接着することで、感光体が剥離し再利用化が可能となる。近年、日常的にコンピュータが使用されるようになり、プリンターによる高速出力とともに、装置の小型化や耐久性向上も望まれている。従って、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、より環境負荷の低減に寄与することが可能となる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂や、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。又これらの樹脂に酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、シリカ及びそれらの表面処理品等の無機材料を分散したものを用いることができる。
また、感光体の表面保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。中でも金属酸化物および無機材料が好ましく、特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。更に、この中でも六方ちょう密構造を有するα−アルミナが最も有効に使用できる。
表面保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、表面保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるにしたがい、その電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−94049号公報の図1に示される装置、特開平5−113688号公報の図1に示される測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。
測定の際には、上部電極の質量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCEMETER(横河ヒューレットパッカード製)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク製)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明の云うところの比抵抗値と定義するものである。
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気製)を使用した。
更に、これらのフィラーは、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。
例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。
シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30質量%が適しており、5〜20質量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の質量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、表面保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好ましい。
また、高速応答性や残留電位低減のために表面保護層に電荷輸送物質を加えることができ、有効な手段である。表面保護層に用いることのできる電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層の説明で記載した電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質が使用される。
電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、表面保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここで云う濃度とは、表面保護層を構成する全材料の総質量に対する低分子電荷輸送物質の質量の比を表わし、濃度傾斜とは上記質量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。
また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。表面保護層のフィラー以外の成分を高分子だけで構成することにより、機械的な耐摩耗性を向上させるだけでなく、化学的な安定性を高めることもできる。高分子は低分子に比べて化学的な反応性に乏しく、帯電部材から発生する酸化性ガスへの耐性、あるいは放電によるスパッタリング効果に対する耐性も高い。表面保護層のように耐摩耗性の高い膜を表面に有する場合、繰り返し使用での画像ボケの問題が非常に顕著になる。これは、感光体表面に、酸化性ガスの吸着や低抵抗物質の付着(吸着)が起こるためであると考えられるが、上述のようにフィラー及び高分子成分だけから構成される保護層を採用した場合には、吸着サイトが減少することになり、画像ボケに対して高い効果を示すものである。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
また、別の形態の保護層として、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層が有効に使用される。電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を用いることにより、繰り返し使用による電界強度の増加を抑制することがさらに効率よく実現し、地汚れの抑制に有効となる。また、感光体表面の耐傷性も高く、フィルミング等も発生しにくいことから画像欠陥の発生を低減させる効果も有しており、高耐久化を実現する上で有効かつ有用である。更に、フィラー分散型保護層に比べて保護層としての均質性の点から、架橋型保護層の方が均質性が高い。このことは、クリーニング部材等による感光体表面層としての摩耗が均一になり、また微少領域での感光体静電特性も均一になるため、フィラー分散型保護層よりも更に有効に使用出来る。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は、3官能以上のラジカル重合性モノマーを硬化した架橋構造を有するため3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度且つ高弾性な表面層が得られ、かつ均一で平滑性も高く、高い耐摩耗性、耐傷性が達成される。この様に感光体表面の架橋密度すなわち単位体積あたりの架橋結合数を増加させることが重要であるが、硬化反応において瞬時に多数の結合を形成させるため体積収縮による内部応力が発生する。この内部応力は架橋型電荷輸送層の膜厚が厚くなるほど増加するため電荷輸送層全層を硬化させると、クラックや膜剥がれが発生しやすくなる。この現象は初期的に現れなくても、電子写真プロセス上で繰り返し使用され帯電、現像、転写、クリーニングのハザード及び熱変動の影響を受けることにより、経時で発生しやすくなることもある。
この問題を解決する方法としては、(1)架橋層及び架橋構造に高分子成分を導入する、(2)1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーを多量に用いる、(3)柔軟性基を有する多官能モノマーを用いる、などの硬化樹脂層を柔らかくする方向性が挙げられるが、いずれも架橋層の架橋密度が希薄となり、飛躍的な耐摩耗性が達成されない。これに対し、本発明の感光体は、電荷輸送層上に3次元の網目構造が発達した架橋密度の高い電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を1μm以上、10μm以下の膜厚で設けることで、上記のクラックや膜剥がれが発生せず、且つ非常に高い耐摩耗性が達成される。かかる電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の膜厚を2μm以上、8μm以下の膜厚にすることにより、さらに上記問題に対する余裕度が向上することに加え、更なる耐摩耗性向上に繋がる高架橋密度化の材料選択が可能となる。
本発明の感光体がクラックや膜剥がれを抑制できる理由としては、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を薄膜化できるため内部応力が大きくならないこと、下層に電荷輸送層を有するため表面の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の内部応力を緩和できることなどによる。このため電荷輸送性構造を有する架橋型保護層に高分子材料を多量に含有させる必要がなく、この時生ずる、高分子材料とラジカル重合性組成物(ラジカル重合性モノマーや電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物)の反応より生じた硬化物との不相溶が原因の傷やトナーフィルミングも起こりにくい。さらに、電荷輸送層全層にわたる厚膜を光エネルギー照射により硬化する場合、電荷輸送性構造による吸収から内部への光透過が制限され、硬化反応が十分に進行しない現象が起こることがある。本発明に用いられる電荷輸送性構造を有する架橋型保護層においては、10μm以下の薄膜であることから内部まで均一に硬化反応が進行し、表面と同様に内部でも高い耐摩耗性が維持される。また、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の形成においては、上記3官能性ラジカル重合性モノマーに加え、さらに1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有しており、これが上記3官能以上のラジカル重合性モノマー硬化時に架橋結合中に取り込まれる。これに対し、官能基を有しない低分子電荷輸送物質を架橋表面層中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送物質の析出や白濁現象が起こり、架橋表面層の機械的強度も低下する。一方、2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定され架橋密度はより高まるが、電荷輸送性構造が非常に嵩高いため硬化樹脂構造の歪みが非常に大きくなり、架橋型電荷輸送層の内部応力が高まる原因となる。
更に、本発明の感光体は良好な電気的特性を有し、このため繰り返し安定性に優れており高耐久化並びに高安定化が実現される。これは電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の構成材料として1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を用い、架橋結合間にペンダント状に固定化したことに起因する。上記のように官能基を有しない電荷輸送物質は析出、白濁現象が起こり、感度の低下、残留電位の上昇等繰り返し使用における電気的特性の劣化が著しい。2官能以上の電荷輸送性化合物を主成分として用いた場合は複数の結合で架橋構造中に固定されるため、電荷輸送時の中間体構造(カチオンラジカル)が安定して保てず、電荷のトラップによる感度の低下、残留電位の上昇が起こりやすい。これらの電気的特性の劣化は、画像濃度低下、文字細り等の画像として現れる。さらに、本発明の感光体においては、下層の電荷輸送層として従来感光体の電荷トラップの少ない高移動度な設計が適応可能で、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の電気的副作用を最小限に抑えることができる。
更に、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層形成において、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性にすることにより、特にその飛躍的な耐摩耗性が発揮される。電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化することにより形成され、層全体としては3次元の網目構造が発達し高い架橋密度を有するが、上記成分以外の含有物(例えば、1または2官能モノマー、高分子バインダー、酸化防止剤、レベリング剤、可塑剤などの添加剤及び下層からの溶解混入成分)や硬化条件により、局部的に架橋密度が希薄になったり、高密度に架橋した微小な硬化物の集合体として形成されることがある。このような架橋型電荷輸送層は、硬化物間の結合力は弱く有機溶剤に対し溶解性を示し、且つ電子写真プロセス中で繰り返し使用されるなかで、局部的な摩耗や微小な硬化物単位での脱離が発生しやすくなる。本発明のように電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にせしめることにより、本来の3次元の網目構造が発達し高い架橋度を有することに加え、連鎖反応が広い範囲で進行し硬化物が高分子量化するため、飛躍的な耐摩耗性の向上が達成される。
次に、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗布液の構成材料について説明する。本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しておらず、且つラジカル重合性官能基を3個以上有するモノマーを指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素2重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。これらラジカル重合性官能基としては、例えば、下記に示す1−置換エチレン官能基、1,1−置換エチレン官能基等が挙げられる。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=CH−X1− ・・・・(官能基1)
(ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表す。)
これらの置換基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
(2)1,1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表される官能基が挙げられる。
CH=C(Y)−X− ・・・・(官能基2)
(ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、または−CONR1213(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表し、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、Xは上記式10のXと同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表す。ただし、Y,Xの少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。)
これらの置換基を具体的に例示すると、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基等が挙げられる。
なお、これらX、Yについての置換基にさらに置換される置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
これらのラジカル重合性官能基の中では、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用であり、3個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物は、例えば水酸基がその分子中に3個以上ある化合物とアクリル酸(塩)、アクリル酸ハライド、アクリル酸エステルを用い、エステル反応あるいはエステル交換反応させることにより得ることができる。また、3個以上のメタクリロイルオキシ基を有する化合物も同様にして得ることができる。また、ラジカル重合性官能基を3個以上有する単量体中のラジカル重合性官能基は、同一でも異なっても良い。
電荷輸送性構造を有しない3官能以上の具体的なラジカル重合性モノマーとしては、以下のものが例示されるが、これらの化合物に限定されるものではない。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
また、本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、架橋型電荷輸送層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が望ましい。また、この割合が250より大きい場合、架橋型電荷輸送層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、HPA、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。また、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層に用いられる電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層全量に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。モノマー成分が20質量%未満では電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の3次元架橋結合密度が少なく、従来の熱可塑性バインダー樹脂を用いた場合に比べ飛躍的な耐摩耗性向上が達成されない。また、80質量%以上では電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じる。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有しており、且つ1個のラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基としては、先のラジカル重合性モノマーで示したものが挙げられ、特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また、電荷輸送性構造としてはトリアリールアミン構造が高い効果を有し、中でも下記式(14)又は(15)の構造で示される化合物を用いた場合、感度、残留電位等の電気的特性が良好に持続される。
Figure 0004484727
Figure 0004484727
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR(R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Arは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なってもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。)
以下に、式(14)、(15)の具体例を示す。
前記式(14)、(15)において、Rの置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
置換もしくは未置換のAr、Arはアリール基であり、アリール基としては縮合多環式炭化水素基、非縮合環式炭化水素基及び複素環基が挙げられる。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
該非縮合環式炭化水素基としては、ベンゼン、ジフェニルエーテル、ポリエチレンジフェニルエーテル、ジフェニルチオエーテル及びジフェニルスルホン等の単環式炭化水素化合物の1価基、あるいはビフェニル、ポリフェニル、ジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ジフェニルアルキン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロアルカン、ポリフェニルアルカン、及びポリフェニルアルケン等の非縮合多環式炭化水素化合物の1価基、あるいは9,9−ジフェニルフルオレン等の環集合炭化水素化合物の1価基が挙げられる。
複素環基としては、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、オキサジアゾール、及びチアジアゾール等の1価基が挙げられる。
また、前記Ar、Arで表わされるアリール基は例えば以下に示すような置換基を有してもよい。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基、好ましくは、C〜C12とりわけC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
(3)アルコキシ基(−OR)であり、Rは上記(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基であり、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基であり、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
(6)次式(16):
Figure 0004484727
(式中、R及びRは各々独立に水素原子、前記(2)で定義したアルキル基、またはアリール基を表わす。アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニル基又はナフチル基が挙げられ、これらはC〜Cのアルコキシ基、C〜Cのアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。R及びRは共同で環を形成してもよい)
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(7)メチレンジオキシ基、又はメチレンジチオ基等のアルキレンジオキシ基又はアルキレンジチオ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Ar、Arで表わされるアリーレン基としては、前記Ar、Arで表されるアリール基から誘導される2価基である。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは無置換のアルキレン基としては、C〜C12、好ましくはC〜C、さらに好ましくはC〜Cの直鎖または分岐鎖のアルキレン基であり、これらのアルキレン基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C〜Cのアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C〜Cのアルキル基もしくはC〜Cのアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチレン基、エチレン基、n−ブチレン基、i−プロピレン基、t−ブチレン基、s−ブチレン基、n−プロピレン基、トリフルオロメチレン基、2−ヒドロキエチレン基、2−エトキシエチレン基、2−シアノエチレン基、2−メトキシエチレン基、ベンジリデン基、フェニルエチレン基、4−クロロフェニルエチレン基、4−メチルフェニルエチレン基、4−ビフェニルエチレン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のシクロアルキレン基としては、C〜Cの環状アルキレン基であり、これらの環状アルキレン基にはフッ素原子、水酸基、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基を有していても良い。具体的にはシクロヘキシリデン基、シクロへキシレン基、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基としては、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールを表わし、アルキレンエーテル基アルキレン基はヒドロキシル基、メチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。
ビニレン基は、
Figure 0004484727
で表わされ、Rは水素、アルキル基(前記(2)で定義されるアルキル基と同じ)、アリール基(前記Ar、Arで表わされるアリール基と同じ)、aは1または2、bは1〜3を表わす。
前記Zは置換もしくは未置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としは、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル基の2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
また、本発明の1官能の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物として更に好ましくは、下記式(18)、(19)の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0004484727
(式中、o、p、qはそれぞれ0又は1の整数、Raは水素原子、メチル基を表わし、Rb、Rcは水素原子以外の置換基で炭素数1〜6のアルキル基を表わし、複数の場合は異なっても良い。s、tは0〜3の整数を表わす。Zaは単結合、メチレン基、エチレン基、
Figure 0004484727
を表わす。)
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
本発明で用いる上記式(14)及び(15)特に(19)の1官能性の電荷輸送構造を有するラジカル重合性化合物は、炭素−炭素間の二重結合が両側に開放されて重合するため、末端構造とはならず、連鎖重合体中に組み込まれ、3官能以上のラジカル重合性モノマーとの重合で架橋形成された重合体中では、高分子の主鎖中に存在し、かつ主鎖−主鎖間の架橋鎖中に存在(この架橋鎖には1つの高分子と他の高分子間の分子間架橋鎖と、1つの高分子内で折り畳まれた状態の主鎖のある部位と主鎖中でこれから離れた位置に重合したモノマー由来の他の部位とが架橋される分子内架橋鎖とがある)するが、主鎖中に存在する場合であってもまた架橋鎖中に存在する場合であっても、鎖部分から懸下するトリアリールアミン構造は、窒素原子から放射状方向に配置する少なくとも3つのアリール基を有し、バルキーであるが、鎖部分に直接結合しておらず鎖部分からカルボニル基等を介して懸下しているため立体的位置取りに融通性ある状態で固定されているので、これらトリアリールアミン構造は重合体中で相互に程よく隣接する空間配置が可能であるため、分子内の構造的歪みが少なく、また、電子写真感光体の表面層とされた場合に、電荷輸送経路の断絶を比較的免れた分子内構造を採りうるものと推測される。
本発明の1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の具体例を以下に示すが、これらの構造の化合物に限定されるものではない。
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
Figure 0004484727
また、本発明に用いられる1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物は、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の電荷輸送性能を付与するために重要で、この成分は電荷輸送性構造を有する架橋型保護層に対し20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。この成分が20質量%未満では電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の電荷輸送性能が充分に保てず、繰り返しの使用で感度低下、残留電位上昇などの電気特性の劣化が現れる。また、80質量%以上では電荷輸送構造を有しない3官能モノマーの含有量が低下し、架橋結合密度の低下を招き高い耐摩耗性が発揮されない。使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、それに伴い本感光体の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の膜厚も異なるため一概には言えないが、両特性のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
本発明の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は、少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、これ以外に塗工時の粘度調整、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で1官能及び2官能のラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性オリゴマーを併用することができる。これらのラジカル重合性モノマー、オリゴマーとしては、公知のものが利用できる。
1官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールA−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの、特公平5−60503号公報、特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位:20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチルなどのポリシロキサン基を有するビニルモノマー、アクリレート及びメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100質量部に対し50質量部以下、好ましくは30質量部以下に制限される。
また、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は少なくとも電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を硬化したものであるが、必要に応じてこの硬化反応を効率よく進行させるために電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗布液中に重合開始剤を含有させても良い。
熱重合開始剤としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルベルオキサイド、t−ブチルヒドロベルオキサイド、クメンヒドロベルオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ)プロパンなどの過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスイソブチルアミジン塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸などのアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、などのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、などのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼン、などのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、などのチオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物、が挙げられる。また、光重合促進効果を有するものを単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
これらの重合開始剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性を有する総含有物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜20質量部である。
更に、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工液は必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20質量%以下、好ましくは10%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3質量%以下が適当である。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は、少なくとも上記の電荷輸送構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を含有する塗工液を後に記載の電荷輸送層上に塗布、硬化することにより形成される。かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
本発明においては、かかる電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工液を塗布後、外部からエネルギーを与え硬化させ、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を形成するものであるが、このとき用いられる外部エネルギーとしては熱、光、放射線がある。熱のエネルギーを加える方法としては、空気、窒素などの気体、蒸気、あるいは各種熱媒体、赤外線、電磁波を用い塗工表面側あるいは支持体側から加熱することによって行なわれる。加熱温度は100℃以上、170℃以下が好ましく、100℃未満では反応速度が遅く、完全に硬化反応が終了しない。170℃より高温では硬化反応が不均一に進行し電荷輸送性構造を有する架橋型保護層中に大きな歪みや多数の未反応残基、反応停止末端が発生する。硬化反応を均一に進めるために、100℃未満の比較的低温で加熱後、更に100℃以上に加温し反応を完結させる方法も有効である。光のエネルギーとしては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、ラジカル重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、50mW/cm未満では硬化反応に時間を要する。1000mW/cmより強いと反応の進行が不均一となり、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。放射線のエネルギーとしては電子線を用いるものが挙げられる。これらのエネルギーの中で、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから熱及び光のエネルギーを用いたものが有用である。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の膜厚は、1μm以上、10μm以下、さらに好ましくは2μm以上、8μm以下である。10μmより厚い場合、前述のようにクラックや膜剥がれが発生しやすくなり、8μm以下ではその余裕度がさらに向上するため架橋密度を高くすることが可能で、さらに耐摩耗性を高める材料選択や硬化条件の設定が可能となる。一方、ラジカル重合反応は酸素阻害を受けやすく、すなわち大気に接した表面では酸素によるラジカルトラップの影響で架橋が進まなかったり、不均一になりやすい。この影響が顕著に現れるのは表層1μm以下で、この膜厚以下の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は耐摩耗性の低下や不均一な摩耗が起こりやすい。また、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工時において下層の電荷輸送層成分の混入が生ずる。電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の塗布膜厚が薄いと層全体に混入物が拡がり、硬化反応の阻害や架橋密度の低下をもたらす。これらの理由から、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層は1μm以上の膜厚で良好な耐摩耗性、耐傷性を有するが、繰り返しの使用において局部的に下層の電荷輸送層まで削れた部分できるとその部分の摩耗が増加し、帯電性や感度変動から中間調画像の濃度むらが発生しやすい。従って、より長寿命、高画質化のためには電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の膜厚を2μm以上にすることが望ましい。
本発明は更に電荷発生層、電荷輸送層、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を順次積層した構成において、最表面の電荷輸送性構造を有する架橋型保護層が有機溶剤に対し不溶性である場合、飛躍的な耐摩耗性、耐傷性が達成されることを特徴としている。この有機溶剤に対する溶解性を試験する方法としては、感光体表面層上に高分子物質に対する溶解性の高い有機溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を1滴滴下し、自然乾燥後に感光体表面形状の変化を実体顕微鏡で観察することで判定できる。溶解性の感光体は液滴の中心部分が凹状になり周囲が逆に盛り上がる現象、電荷輸送物質が析出し結晶化による白濁やくもり生ずる現象、表面が膨潤しその後収縮することで皺が発生する現象などの変化がみられる。それに対し、不溶性の感光体は上記のような現象がみられず、滴下前と全く変化が現れない。
本発明の構成において、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にするには、(1)電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工液の組成物、それらの含有割合の調整、(2)電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工液の希釈溶媒、固形分濃度の調整、(3)電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の塗工方法の選択、(4)電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の硬化条件の制御、(5)下層の電荷輸送層の難溶解性化など、これらをコントロールすることが重要であるが、一つの因子で達成される訳ではない。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工液の組成物としては、前述した電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマー及び1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物以外に、ラジカル重合性官能基を有しないバインダー樹脂、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を多量に含有させると、架橋密度の低下、反応により生じた硬化物と上記添加物との相分離が生じ、有機溶剤に対し可溶性となる。具体的には塗工液の総固形分に対し上記総含有量を20質量%以下に抑えることが重要である。また、架橋密度を希薄にさせないために、1官能または2官能のラジカル重合性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおいても、総含有量を3官能ラジカル重合性モノマーに対し20質量%以下とすることが望ましい。さらに、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を多量に含有させると、嵩高い構造体が複数の結合により架橋構造中に固定されるため歪みを生じやすく、微小な硬化物の集合体となりやすい。このことが原因で有機溶剤に対し可溶性となることがある。化合物構造によって異なるが、2官能以上の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物の含有量は1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物に対し10質量%以下にすることが好ましい。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶媒、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には、10〜50質量%の範囲で用いることが望ましい。電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶媒含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることがある。有機溶剤に対し不溶性化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明の構成において電荷輸送性構造を有する架橋型保護層を有機溶剤に対し不溶性にする手法について例示すると、例えば、塗工液として、3つのアクリロイルオキシ基を有するアクリレートモノマーと、一つのアクリロイルオキシ基を有するトリアリールアミン化合物を使用する場合、これらの使用割合は7:3から3:7であり、また、重合開始剤をこれらアクリレート化合物全量に対し3〜20質量%添加し、さらに溶媒を加えて塗工液を調製する。例えば、電荷輸送性構造を有する架橋型保護層の下層となる電荷輸送層において、電荷輸送物質としてトリアリールアミン系ドナー、及びバインダー樹脂として、ポリカーボネートを使用し、表面層をスプレー塗工により形成する場合、上記塗工液の溶媒としては、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等が好ましく、その使用割合は、アクリレート化合物全量に対し3倍量〜10倍量である。
次いで、例えば、アルミシリンダー等の支持体上に、下引き層、電荷発生層、上記電荷輸送層を順次積層した感光体上に、上記調製した塗工液をスプレー等により塗布する。その後、自然乾燥又は比較的低温で短時間乾燥し(25〜80℃、1〜10分間)、UV照射あるいは加熱して硬化させる。
UV照射の場合、メタルハライドランプ等を用いるが、照度は50mW/cm以上、1000mW/cm以下が好ましく、例えば200mW/cmのUV光を照射する場合、例えば硬化に際し、複数のランプからドラム周方向を均一30秒程度照射すればよい。このときドラム温度は50℃を越えないように制御する。
熱硬化の場合、加熱温度は100〜170℃が好ましく、例えば加熱手段として送風型オーブンを用い、加熱温度を150℃に設定した場合、加熱時間は20分〜3時間である。
硬化終了後は、さらに残留溶媒低減のため100〜150℃で10分〜30分加熱して、本発明の感光体を得る。
次に、本発明の新規な電子写真感光体が搭載された電子写真装置について詳しく説明する。本発明オ電子写真装置は、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる。
図4は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。
図4において、感光体(1)は導電性支持体の上に、少なくとも中間層、孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に設けられてなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式がより望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。また帯電には、交流重畳電圧印加を行うのが好ましい。
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、前述の電荷発生材料であるフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。
かかる光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニットにより感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)およびクリーニングブレード(15)により、感光体(1)より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。 かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。なお図4において、符号(6)は現像ユニット、(8)はレジストローラ、(12)は分離爪であり、それぞれ公知の手段を用いることができる。
次に、本発明の新規な電子写真感光体が搭載された画像形成要素について、説明する。
画像形成要素は、少なくとも中間層、孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に設けられてなる電子写真感光体と、その周りに少なくとも帯電部材、露光部材、現像部材およびクリーニング部材が配置されたユニットとして構成され、複数色のトナーが用いられるカラー電子写真画像形成装置の場合には、その色の数に応じた数の画像形成要素が搭載され、また各画像形成要素は画像形成装置に固定しても、また個別に差し替え使用可能とすることもできる。
図5は、画像形成要素を複数具備してなる電子写真画像形成装置(一般的には、タンデム方式のフルカラー電子写真画像形成装置と呼ばれる)を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図5において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(100)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(100)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(100)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図5に示す構成のカラー電子写真画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。
転写紙(9)は給紙コロ(20)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(8)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(100)に送られる。転写搬送ベルト(100)上に保持された転写紙(9)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(9)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(9)は定着装置(101)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。なお、図5の例では画像形成要素は、転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。
また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図5において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(200μm以下、例えば10〜200μm程度)を設けることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上説明した画像形成要素は、複写機、ファクシミリあるいはプリンター等の電子写真画像形成装置内に固定して組み込まれていても良いが、プロセスカートリッジの形でそれら装置に脱着自在の構成にして組み込まれてもよく、複数の感光体を用いるため、本発明における感光体の再利用化によって、環境負荷の低減を図ることが可能になる。
また、このプロセスカートリッジとしては、フルカラー電子写真画像形成装置に用いられる前記の画像形成要素と言う意味でなく、1色のみの画像形成用のモノカラー画像形成装置に脱着自在の構成であって、本発明の少なくとも中間層、孔径5μm以下、かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層を順に設けられてなる電子写真感光体を内蔵し、さらに他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段等の少なくとも1つを具備するものについても、本発明に包含される。なお、前記の各画像形成手段のうち、プロセスカートリッジに具備されないものは、画像形成装置側に具備される。
プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として図6に示すものが挙げられる。図6のプロセスカートリッジは、本発明の感光体1に加え、帯電ローラ3’、画像露光部5、クリーニングブレードまたはブラシ15、現像ローラ16、転写ローラ17を備えている。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて質量部である。
まず、本発明に用いた電荷発生材料の合成例について述べる。
<合成例>
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたこのウェットケーキ2gをテトラヒドロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行なった。
これにメタノール100gを追加して、1時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、本発明のチタニルフタロシアニン粉末を得た。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、かつ7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図7に示す。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
(実施例1)
外径30mm、長さ340mmのアルミニウム素管に、下記組成の中間層用塗工液1を塗布したのち、130℃で20分間乾燥し膜厚3μmの中間層を形成した。
[中間層用塗工液1]
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
{ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)
:大日本インキ化学工業製}
メラミン樹脂 10部
{スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)
:大日本インキ化学工業製}
メチルエチルケトン 100部
続いて、ビーズミリング分散により顔料の平均粒径が0.2μmになるように調製した下記組成の電荷発生層用塗工液1を液温15℃、塗工環境が15℃/60%の環境下で、浸漬塗布し、80℃で20分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
[電荷発生層用塗工液1]
合成例のチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルアセタール 8部
メチルエチルケトン 900部
また、作製した電荷発生層の表面を反射型電子顕微鏡(SEM、日立:S−4700)にて、20000倍の倍率で観察を行ない、映し出されたベナードセル構造の孔を15個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさと孔の面積率を測定した。その結果、平均孔径は2.8μm、面積率は29%であった。
続いて、下記組成の電荷輸送層塗工液を前記電荷発生層上に塗布し、130℃で20分間乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。
[電荷輸送層塗工液]
ポリカーボネート(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製) 10部
下記式(32)の電荷輸送物質 8部
テトラヒドロフラン(THF) 80部
Figure 0004484727
参考例2)
実施例1にて作製したアルミニウム素管に、下記組成の中間層用塗工液2を浸漬塗布し、130℃で10分間乾燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。
[中間層用塗工液2]
N−メトキシメチル化ナイロン(樹脂) 6.4部
メタノール 70部
n―ブタノール 30部
続いて、実施例1と同様、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は3.1μm、面積率は32%であった。
参考例3)
実施例1で作製したアルミニウム素管に、中間層用塗工液2を浸漬塗布し、130℃で10分間乾燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。続いて、中間層用塗工液1を浸漬塗布し、130℃で20分間乾燥し膜厚3μmの第2中間層を形成した。
続いて、実施例1と同様、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は2.8μm、面積率は31%であった。
(実施例4)
実施例1において、電荷発生層用塗工液の塗工環境を15℃/75%の環境下で、浸漬塗布した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は3.9μm、面積率は38%であった。
(実施例5)
実施例1において、塗工装置内に通風孔を設けることで蒸気濃度を低減し、さらに電荷発生層用塗工液の液温を15℃から22℃に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は4.6μm、面積率は43%であった。
(比較例1)
実施例1において、電荷発生層用塗工液1を下記組成の電荷発生層用塗工液2に変更し、また塗工環境を20℃/45%の環境下で、浸漬塗布した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔は観察されなかった。
[電荷発生層用塗工液2]
合成例のチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルアセタール 8部
メチルエチルケトン 600部
(比較例2)
実施例1において、電荷発生層用塗工液1を上記組成の電荷発生層用塗工液2に変更し、また塗工環境を20℃/30%の環境下で、浸漬塗布した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔は観察されなかった。
(実施例6)
ビーズミリング分散により顔料の平均粒径が0.6μmになるように調製した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔が観察され、平均孔径は1.9μm、面積率は25%であった。
(比較例3)
ビーズミリング分散により顔料の平均粒径が0.6μmになるように調製した以外は比較例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、実施例1と同様に電荷発生層の表面観察を実施した結果、ベナードセル構造の孔は観察されなかった。
得られた電子写真感光体を、図6のような電子写真装置用プロセスカートリッジに装着した。像露光手段に780nmの半導体レーザーを使用し、帯電手段に図6に示すような非接触近接配置ローラ帯電器(感光体表面と帯電部材表面の空隙は100μmである)を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、A4サイズPPC用紙を縦方向送りで10万枚通紙試験、及び通紙試験後の使用済み感光体の剥離試験を実施した。画像評価は、地かぶり、画像濃度について○、△、×の3段階評価を行ない、また、上記画像形成装置の現像器の位置に表面電位計を設置し、半導体レーザーがフル点灯時の露光後電位VLについても同時に測定した。帯電条件は以下の通りである。その結果を表1に示す。
<帯電条件>
DCバイアス:−850V
ACバイアス:1.5kV(peak to peak)
周波数2kHz
Figure 0004484727
表1に示すように、実施例1、4〜6においては、剥離による再利用が可能で安定性に優れた電子写真感光体を得られることが判る。
(実施例7)
電荷輸送層用塗工液を下記の組成に変更した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
[電荷輸送層用塗工液]
下記式(33)の高分子電荷輸送材料 10部
シリコーンオイル(KF−50:信越化学工業社製) 0.001部
テトラヒドロフラン 100部
Figure 0004484727
(実施例8)
次に実施例1において作製した感光体に、下記組成の表面保護層塗工液を塗布し、140℃で20分間乾燥して平均膜厚2μmの表面保護層を形成し、電子写真感光体を作製した。
[表面保護層塗工液]
ポリカーボネート樹脂 3.8部
(ユーピロンZ200:三菱ガス化学社製)
式(32)の電荷輸送物質 2.8部
α−アルミナ 2.6部
(スミコランダムAA−04:住友化学工業社製)
シクロヘキサノン 80部
テトラヒドロフラン 280部
(実施例9)
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記式(34)の電荷輸送性化合物 35部
Figure 0004484727
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(実施例10)
実施例1における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、20分間自然乾燥した後に、以下の条件下で光照射を行い塗布膜を硬化させ、5μmの保護層を設けた以外は同様に感光体を作製した。
光照射条件:
メタルハライドランプ:160W/cm
照射距離:120mm
照射強度:500mW/cm
照射時間:60秒
◎保護層塗工液
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
(トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、
日本化薬製)分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99)
下記式(35)で表される
1官能の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
Figure 0004484727
光重合開始剤 1部
(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製))
テトラヒドロフラン 100部
上記実施例1、及び実施例7〜10にて得られた電子写真感光体を図6のような電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、像露光手段に780nmの半導体レーザー及び帯電手段に接触帯電ローラ帯電器を備えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載した。続いて、A4サイズPPC用紙を縦方向送りで15万枚通紙し、画像評価、及び摩耗量の測定を実施した。画像評価は地かぶり、画像濃度について○、△、×の3段階評価を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 0004484727
表2から実施例7〜10の電子写真感光体は特に優れた耐摩耗性を示しており、本発明の感光体を用いることによって環境負荷低減を図ることができる。
(実施例11)
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を50μmに調整して、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
(実施例12)
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を180μmに調整して、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
(実施例13)
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を250μmに調整して、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
(実施例14)
実施例1で作製した感光体を使用し、先の非接触近接配置ローラ帯電器を備えるよう一部改良を加えた画像形成装置(株式会社リコー製imagio MF−2200)に搭載し、感光体表面と帯電部材表面の空隙を100μmに調整して、帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に10万枚の画像評価試験を行なった。
<帯電条件>
DCバイアス:−850V
ACバイアス:なし
(結果)
以上のように実施例12〜15の評価を行なったが、実施例1とほぼ同様な結果を得た。しかしながら、実施例1および11〜14において、10万枚後にハーフトーン画像を出力すると、実施例1および実施例11、12では正常な画像を出力したが、実施例13、14ではわずかではあるが帯電ムラに基づく画像濃度ムラが観察された。
(実施例15)
実施例10で作製した感光体を用い、実施例10で用いた画像形成装置に使用される帯電部材を接触帯電ローラからスコロトロンチャージャーに変更する改造を加え、実施例10と同様に15万枚の通紙試験を行なった。また、15万枚通紙試験の後、30℃で90%RHの環境下で50枚の画像出力を行なった。
(結果)
実施例15においては、15万枚の通紙試験結果は、実施例10と遜色のないものであったが、試験中のオゾン臭がひどかった。更に、30℃で90%RHの画像評価において、実施例10では正常な画像を出力したが、実施例15ではわずかに画像ボケを生じた。
本発明によれば、感度、耐久性に優れた積層機能分離型感光体を用いた場合においても、導電性支持体に感光層を塗布した後の使用済み感光体や塗膜欠陥等の不良品の再利用化が可能であり、環境負荷の小さい電子写真感光体、それを用いた電子写真装置及び電子写真用プロセスカートリッジが提供される。
電荷発生層のベナードセル構造を持った孔の観察図である。 本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図である。 本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図である。 本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。 画像形成要素を複数具備してなる電子写真画像形成装置を説明するための概略図である。 プロセスカートリッジの形状の一般的な例を示す図である。 チタニルフタロシアニン粉末をX線回折スペクトル測定した際の結果を示す図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
3’ 帯電ローラ
5 画像露光部
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
9 転写紙
15 クリーニングブレード

Claims (26)

  1. 導電性支持体の上に、少なくとも中間層、平均孔径5μm以下かつ孔の面積率が20〜45%のベナードセル構造を有する電荷発生層、及び電荷輸送層をこの順に積層してなり、かつ該中間層は少なくとも架橋構造を有する樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記電荷発生層は少なくとも平均粒径が0.3μm以下の電荷発生材料とポリビニルアセタール樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷発生材料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  4. 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの27.2±0.2°に最大ピークを有することを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大ピークと最低角7.3°にピークを有し、7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記チタニルフタロシアニンが、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記チタニルフタロシアニン粒子の平均粒径が0.3μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、前記分散液を用いて塗工により電荷発生層を形成したことを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過したものであることを特徴とする請求項乃至7の何れかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記電荷輸送層が少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記電荷輸送層上に表面保護層を設けてなることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真感光体。
  11. 前記表面保護層が比抵抗1010Ω・cm以上の無機材料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記表面保護層が高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項10乃至13の何れかに記載の電子写真感光体。
  15. 前記表面保護層のバインダー樹脂が、架橋構造を有することを特徴とする請求項10乃至14の何れかに記載の電子写真感光体。
  16. 前記架橋構造を有するバインダー樹脂が、その構造中に、電荷輸送性構造を有することを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体。
  17. 前記バインダー樹脂が、電荷輸送性構造を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを含み、その官能基が、アクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
  18. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1乃至17の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  19. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を複数配列したことを特徴とする請求項18に記載の電子写真装置。
  20. 前記電子写真装置の露光手段に、発光ダイオード、あるいは半導体レーザーを用いることを特徴とする請求項18又は19に記載の電子写真装置。
  21. 前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする請求項18乃至20の何れかに記載の電子写真装置。
  22. 前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする請求項18乃至20の何れかに記載の電子写真装置。
  23. 前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする請求項22に記載の電子写真装置。
  24. 前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする請求項21乃至23の何れかに記載の電子写真装置。
  25. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項1乃至17の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  26. 請求項1〜17のいずれかに記載の電子写真感光体を再利用する導電性支持体の再生方法であって、前記中間層と前記電荷発生層と前記電荷輸送層とを同時に剥離することを特徴とする導電性支持体の再生方法。
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