JP5147388B2 - 海水溶解成形物を用いた疑似餌、餌収容容器および餌保護部材 - Google Patents

海水溶解成形物を用いた疑似餌、餌収容容器および餌保護部材 Download PDF

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Description

本発明は、海魚用の疑似餌餌収容容器や餌保護部材等の海洋集魚部材に好適に用いられる海水溶解成形物を用いた疑似餌餌収容容器および餌保護部材に関する。
海魚を集魚させる手段として、漁業においては疑似餌が利用されている。疑似餌は、活き餌に代わる、浮上可能な人工餌と、人工餌を海中に没するための錘部材と、海中へ投入してから所定時間経過後に人口餌を浮上可能とさせる時限部材(又はケース)とを有する(特許文献1、2を参照)。時限部材(又はケース)の材料としては、海中への投入後に分解あるいは溶解可能な材料が用いられ、典型的にはポリビニルアルコール(PVA)が用いられる。
一方、趣味や娯楽としての釣りにおいては、海魚を集魚させる手段として、収容された餌が海中へ投入後に放出される収容容器が利用されている(特許文献3を参照)。この収容容器においても、水解性を有する水溶性樹脂としてPVAが用いられる。
しかしながら、一般のPVAは淡水には比較的良好に溶解するが、海水のようなイオンを多量に含む水には溶解し難いので、海中への投入後、人工餌の浮上又は餌の放出を開始するまでのタイミングの制御(言い換えれば水深制御)が困難であるとともに、未溶解物が海中に長期間残存し、環境に悪影響を及ぼすおそれもある。
水溶性に優れ、熱溶融成形が可能なPVA系樹脂として、側鎖にオキシアルキレン基を有するPVA系樹脂が開発されている(特許文献4を参照)。しかし、このPVA系樹脂は、淡水への溶解性は未変性のPVAよりも良好であるが、海水への溶解性に関しては未変性PVAと同様であり、不充分である。
特許第3655695号公報 特開2005−168406号公報 特開平11−341940号公報 特開平6−136139号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、海水でも良好な水溶性を示す海水溶解成形物を用いた疑似餌餌収容容器および餌保護部材を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂を用いて成形することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。なお、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂が通常のPVAと異なり、海水でも良好な水溶性を示す理由は、定かではないが、1,2−ジオール構造を有することにより親水性が付与され、水和力が強くなり、塩水が存在しても脱水和し難いためと考えられる。
即ち、本発明の要旨は、一般式(1)で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する海水溶解成形物により集合された人口餌と錘部材からなることを特徴とする疑似餌である。
Figure 0005147388
〔式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
また、2の発明の要旨は、一般式(1)で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する海水溶解成形物からなることを特徴とする餌収容容器である。
さらに、3の発明の要旨は、一般式(1)で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する海水溶解成形物からなることを特徴とする餌保護部材である。
本発明で用いられる海水溶解成形物によれば、海水でも良好な水溶性を示すので、疑似餌等の海洋集魚部材に用いた場合、水深制御が容易であり、未溶解物が海中に残存し難く、環境への負荷が小さい。
また、本発明の疑似餌は、人口餌および錘部材を海中へ投入してから前記人口餌を浮上可能とするまでのタイミングを容易に制御することができるので、人工餌の遊泳動作を活き餌の遊泳動作に極めて近似させ、海水魚の集魚能力を確実に向上させることができる。
さらに、本発明の餌収容容器は、海魚用餌を収容した状態で海中に投入されると、所定時間経過後に溶解するので、餌が海中に露出したり拡散したりするタイミングを調整することができる。すなわち、捕獲対象となる目的の魚がいる位置までは餌が無駄に消費されることを防止できるとともに、無駄に消費される餌で水質汚染が生じることも防止できる。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、本発明の疑似餌、餌収容容器や餌保護部材に用いられる海水溶解成形物を本発明の海水溶解成形物ともいう。
〔海水溶解成形物〕
本発明の海水溶解成形物は、一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系重合体(以下、「PVA系樹脂」ともいう。)を含有する。一般式(1)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。
Figure 0005147388
一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のR1〜R3及びR4〜R6は、すべて水素原子であることが望ましいが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば、有機基で置換されていてもよい。その有機基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
また、一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のXは代表的には単結合であり、熱安定性の点や高温下/酸性条件下での安定性の点で単結合であるものが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
本発明で用いられるPVA系樹脂の製造法は、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
Figure 0005147388
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上記一般式(2)、(3)、(4)中のR1、R2、R3、X、R4、R5及びR6は、いずれも一般式(1)の場合と同様である。R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基である)である。R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子またはR1〜R6における有機基である。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825号公報に説明されている方法を採用できる。
一般式(1)に包含される各種の構造単位のなかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、一般式(1)中のR1〜R6が水素原子、Xが単結合、R7及びR8がR9−CO−(式中、R9はアルキル基)である、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましく、さらにそのなかでも特にR9がメチル基である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(3)で表される化合物であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの連鎖移動定数は、Cx(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.003(65℃)であり、これはビニルエチレンカーボネートの場合のCx(ビニルエチレンカーボネート)=0.005(65℃)や、(iii)の方法で用いられる一般式(4)で表される化合物である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランの場合のCx(2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合度が上がり難いことや、重合速度低下の原因となり難いことを示すものである。
また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が、ビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルに由来する構造単位からケン化時に副生する化合物と同一であり、その後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や工程を設ける必要がなく、従来の設備を利用できるという点も、工業的に大きな利点である。
なお、上記3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、例えば、特再WO00/24702号公報に記載の1,3−ブタジエンを出発物質とした合成ルートで製造された製品や、USP5623086、USP6072079に記載の技術によるエポキシブテン誘導体を中間体として製造された製品を入手することができ、また試薬レベルではアクロス社の製品をそれぞれ市場から入手することができる。また、1,4−ブタンジオール製造工程中の副生成物として得られる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを精製して利用することもできる。
また、1,4−ブタンジオール製造工程の中間生成物である1,4−ジアセトキシ−1−ブテンを、塩化パラジウムなどの金属触媒を用いた公知の異性化反応することによって、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンに変換して用いることもできる。また、特再WO00/24702号公報に記載の有機ジエステルの製造方法に準じて製造することも可能である。
なお、上記(ii)や(iii)の方法によって得られたPVA系樹脂は、ケン化度が低い場合や、脱炭酸あるいは脱アセタール化が不充分な場合には、側鎖にカーボネート環あるいはアセタール環が残存することがある。その結果、かかるPVA系樹脂を用いて海水溶解成形物を成形した場合、海水への溶解性が低下する傾向があり、これらの点からも、(i)の方法によって得られたPVA系樹脂が本用途においては最も好適である。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的観点から、中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のαーオレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのエステル化物;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類、その塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類;メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物が共重合されていてもよい。
本発明で用いられるPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常は60〜100モル%であり、特に90〜100モル%、殊に95〜98モル%のものが好ましく用いられる。かかるケン化度が低すぎると、海水への溶解性が低下する傾向がある。
また、PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常は200〜1200であり、特に250〜800、殊に300〜600のものが好ましく用いられる。かかる平均重合度が低すぎると、強度が不充分となる傾向があり、逆に高すぎると、溶解に時間を要する傾向がある。
PVA系樹脂に含まれる1,2−ジオール構造単位の含有量は、通常は0.1〜20モル%であり、特に1〜12モル%、殊に3〜10モル%のものが好ましく用いられる。かかる含有量が少なすぎると、溶解に時間を要する傾向があり、逆に多すぎると、形状の安定性が低く、取り扱いが困難となる傾向がある。
なお、PVA系樹脂中の1,2−ジオール構造単位の含有率は、PVA系樹脂を完全にケン化したものの 1H−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができる。具体的には、1,2−ジオール単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出することができる。
本発明の海水溶解成形物の形状は、特に限定されず、例えばフィルムやシート状、テープ状、ボトル状、パイプ状、フィラメント状、さらには異型断面形状等を挙げることができるが、なかでもフィルムやシート状あるいはボトル状等の中空状が好ましい。
本発明の海水溶解成形物の厚さは、一概には言えないが、通常は20μm〜5mmであり、特に100μm〜4mm、殊に1mm〜3mmのものが好ましい。厚すぎると、溶解に時間を要する傾向があり、逆に薄すぎると、強度が不充分となる傾向がある
本発明の海水溶解成形物は、典型的には、溶融成形法により製造することができる。溶融成形法としては、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法等が挙げられる。さらに押出成形法には、ブロー成形法、インフレーション成形法、共押出成形法、エクストルージョンコーティング法、異形押出成形法などが含まれる。
溶融成形に際しては、本発明で用いられるPVA系樹脂に対して、必要に応じて、飽和脂肪族アミド(例えば、ステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えば、オレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えば、エチレンビスステアリン酸アミド等)、上記以外の脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等)、低分子量ポリオレフィン(例えば、分子量500〜10, 000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン等)などの滑剤、無機塩(例えば、ハイドロタルサイト類等)、可塑剤(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコールなど)、酸素吸収剤(例えば、還元鉄粉類、亜硫酸カリウム等の無機系酸素吸収剤;アスコルビン酸、ハイドロキノン、没食子酸等の有機化合物系酸素吸収剤;高分子系酸素吸収剤など)、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤(例えば、チバスペシャルティケミカルズ社製『IRGANOX1098』など)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、消臭剤(例えば、活性炭等)、アンチブロッキング剤(例えば、タルク微粒子など)、スリップ剤(例えば、無定形シリカ微粒子など)、充填材(例えば、無機フィラーなど)等を配合しても良い。
本発明の海水溶解成形物の溶解に要する時間は、一概には言えないが、通常は1〜300分/mmであり、特に5〜200分/mm、殊に10〜100分/mmに設定するのが好ましい。なお、上記の時間は、25℃、3.5%の食塩水に評価用サンプルを浸漬し、スターラーによって攪拌し、完全に溶解するまでの時間を測定し、その時間を評価用サンプルの厚みで除した値である。
〔疑似餌〕
本発明の疑似餌は本発明の海水溶解成形物により集合された人口餌と錘部材からなる。
人口餌は、海中から海面に向かって浮上するときに、所望の遊泳動作を行う形状を有している。例えば、略円柱形状であって、軸方向の一方端に、長手方向に対して傾斜した傾斜面が形成された形状を有している。この傾斜面により、人口餌が海中から海面に向かって浮上する際に、人口餌に略直進的な運動を付与することができる。人口餌の形状はこれに限定されず、例えば、ジグザグ、フラフラ、クルクル、一気、斜めスライド等の遊泳動作を行なわせるために、イカ形状、円筒に鰭を付加した形状、円盤形状、湾曲した平板形状、平板を捻った形状、螺旋形状などの各種の形状から選択することもできる。
人口餌が所望の遊泳動作を行うことによって、例えば鰹漁では、鰹の視覚を刺激しつつ逃避行動を行う鰯等の小魚の遊泳動作に近似させることができ、鰹に摂餌刺激を与え、鰹の魚群を海面におびき寄せ、摂餌に対するパニック状態を確実に作り出すことができる。なお、鰹は一旦摂餌パニックに陥ると、警戒心がなくなるので、この後は、従来漁法にしたがって、シャワーリング、一本釣上げが可能となる。
人口餌は、海水より比重の小さい素材によって所望の浮力を得るように形成されたもの、内部に空所を形成して所望の浮力を得るように形成されたもの、前記空所内に適宜な浮力増強手段として空気あるいは油等を封入することにより浮力を大きくし海面への浮上速度を増加させたもの、所望の合成樹脂、ゴム様弾性体(天然ゴム、合成ゴム、エラストマ等)等からなる各種の中空体およびこの中空体内に前記浮力増強手段を封入してなる浮力体を表面に固着したものや内部に埋設したものなどを例示することができる。人口餌の形状および内部に形成する空所の形状、大きさ、数、位置等は、人口餌が海面に浮上するときの遊泳動作に適合させて設定することができる。
また、人口餌の表面の少なくとも一部に趨魚手段としてのアルミ箔等からなる適宜な光反射部材を固着してもよい。この趨魚手段としては、適宜な光蛍光部材等を用いてもよく、魚の視覚を刺激して集魚させるものであればよい。なお、趨魚手段を設けることにより、魚の視覚を刺激して集魚させることができるので、この種の趨魚手段に反応する魚、例えば、鰹等の集魚能力を確実に向上させることができる。
錘部材は、海中へ投入された疑似餌を海底に向かって沈降させる機能を有する。錘部材としては、例えば所定量の錘(砂、貝殻末、石等)を袋に詰めたものが挙げられる。袋に詰める錘の量は、必要とする擬似餌の沈降速度に応じて決定すればよい。なお、袋として、本発明の海水溶解成形物を用いることが好ましい。
上記の人口餌と錘部材は、本発明の海水溶解成形物によって集合され、疑似餌が構成される。なお、本発明において「集合」とは、人口餌と錘部材を互いに固定する場合のみならず、人口餌と錘部材が物理的に分離(又は離反)するのを妨げることを意味する。
本発明の海水溶解成形物は、擬似餌を海に没した際に、所定時間経過した後に溶解して人口餌と錘部材とを分離させて、少なくとも人口餌を浮上可能状態にするものである。人口餌の浮上を開始させる位置は、擬似餌全体の沈降速度と海水溶解成形物による溶解開始時間とのバランスを調整することにより制御することができる。例えば、人口餌や錘部材の比重や重量、海水溶解成形物の厚さなどにより制御することができる。
海水溶解成形物の形状は、人口餌および錘部材の形状等に応じて適宜設定される。例えば、人口餌および錘部材が共に棒状であれば、海水溶解成形物は両者を束ねるリング状にすることができる。また、人口餌が棒状で、錘部材が人口餌を周方向に巻くシート状であれば、海水溶解成形物は粘着テープ等を介して錘部材を人口餌に固定するテープ、フィルムやシート状にすることができる。さらに、人口餌および錘部材が複数であれば、海水溶解成形物はこれらを収容し、密閉することができる袋状やパイプ状にすることができる。
本発明の疑似餌の作用について説明する。本発明の疑似餌は、鰯などの生餌と同様に作業者の判断で海面の任意の狙った地点へ人手をもって投入することができる。海面の所定位置に投入された擬似餌は、錘部材を有しているので海底に向かって沈降する。海底に向かって沈降する擬似餌が海底に達する前に、海水溶解成形物は、所定時間経過すると海中の所定位置で溶解することによって、少なくとも人口餌を海面に向かって浮上させる。さらに、海面に向かって浮上する人口餌は、所望の遊泳動作を行いつつ海面に向かって浮上する。すなわち、動力を用いること無く、人口餌に所望の水深から遊泳動作を行わせて海面に向かって浮上させることができる。
〔餌収容容器や餌保護部材〕
本発明の海水溶解成形物は、上記の疑似餌のみならず、餌収容容器や餌保護部材として利用することもできる。
本発明の餌収容容器は、撒き餌や寄せ餌としての釣用餌を収容して海中へ投入するときに用いられ、典型的には、乾燥状態の餌が収容される。餌収容容器の形状は、特に限定するものではないが、筒状またはボトル状が好ましい。乾燥餌は、オキアミ、サナギ、アミ、イワシ油、桜エビの粉などの動物性の餌;マッシュポテト、澱粉などの植物性の餌;あるいは多糖類等の高分子からなる合成材料等を乾燥し、必要に応じて粉砕して得られる。本発明の海水溶解成形物を用いて餌収容容器を構成することにより、釣糸に取り付けられた餌収容容器が海中へ投入されてから所望の水深位置まで、例えば目的の魚が存在する領域(いわゆる棚)の近くに到達するまで、捕獲対象外の魚による摂取や散乱による餌の浪費を防ぐことができる。なお、餌収容容器は、ビシやコマセカゴなどの外容器に収容されて使用されても良い。
餌保護部材は、釣針に取り付けられた釣用餌が、海中の所定の位置に到達する前に捕獲対象外の魚に摂取されたり、海中で釣針から外れたりするのを防ぐ部材である。餌保護部材は、典型的には、略筒状であり、釣針に取り付けられた釣用餌の外形よりも大きな内径と、釣針の上部付近で釣糸に取り付けたときに釣用餌の下部までを覆う長さを有している。餌保護部材として、使用時に必要な長さの複数個分の全長を有し、軸方向に沿って間隔をあけて円周状の切断容易な切離部を有するものが用いられる。切離部は、いわゆるミシン目構造が採用できる。流通販売あるいは持ち運び時には、長い状態で取扱い、使用時に必要な長さ分だけを切り離して用いる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル2700g、メタノール800g、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン240g(8モル%対仕込み酢酸ビニル)を酢酸ビニルの初期仕込み率10%、酢酸ビニル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを9時間、等速滴下の条件で仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.05モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が87%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを所定量添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液をメタノールで希釈し、濃度35%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して8ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥することにより目的の水溶性PVAを作製した。
得られた水溶性PVAのケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、96モル%であった。また、平均重合度(P)は、JISK6726に準じて分析を行ったところ、300であった。また、一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位の含有量は、 1H−NMRスペクトル(内部標準物質;テトラメチルシラン)で測定して算出したところ8.0モル%であった。そして、その融点は160℃であった。
得られた水溶性PVAを用いて、評価用サンプルを作製した。具体的には、30gの水溶性PVAを熱プレス(プレス温度220℃、プレス時間5分)して、12cm×8cm×3mmのシート状評価用サンプルを作製した。
得られた評価用サンプルを用いて溶解性の評価を行なった。評価は、25℃、3.5%の食塩水に評価用サンプルを浸漬し、スターラーによって攪拌し、完全に溶解するまでの時間を測定して行なった。その結果を表1に記載する。
(比較例1)
特許文献4に記載の方法に準拠して、エチレンオキサイド(EO)基含有PVA(EO変性PVA)を作製した。得られたEO変性PVAは、EO鎖長が15、変性量が1モル%、ケン化度が93モル%、平均重合度(P)が400であった。
得られたEO変性PVAを用いて、実施例1と同様に、評価用サンプルを作製し、溶解性の評価を行なった。その結果を表1に記載する。
Figure 0005147388
表1に示す溶解性の結果から、本発明の海水溶解成形物は、従来の水溶性PVAと比較して、海水のようなイオンを多量に含む水に対して溶解性が高いことが判る。したがって、本発明の海水溶解成形物を海魚用の疑似餌餌収容容器および餌保護部材等の海洋集魚部材に用いることによって、海洋集魚部材の水深制御が容易となり、また未溶解物による海洋汚染が発生し難いという利点がある。すなわち、本発明の海水溶解成形物は、海洋集魚部材用成形物として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 一般式(1)で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する海水溶解成形物により集合された人口餌と錘部材からなることを特徴とする疑似餌
    Figure 0005147388
    〔式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
  2. 一般式(1)で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する海水溶解成形物からなることを特徴とする餌収容容器。
    Figure 0005147388
    〔式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
  3. 一般式(1)で示される構造単位を有するポリビニルアルコール系重合体を含有する海水溶解成形物からなることを特徴とする餌保護部材。
    Figure 0005147388
    〔式中、R 1 、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
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