JP5145238B2 - ヒアルロン酸ビスマス、その調製方法及び使用 - Google Patents

ヒアルロン酸ビスマス、その調製方法及び使用 Download PDF

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Description

本発明は医療及び製薬分野に属し、ヒアルロン酸ビスマス、その調製方法及び胃腸障害の予防及び治療用の薬剤並びに健康食品の製造におけるその使用に関する。
ヒアルロン酸(HA)は、D−グルクロネート及びN−アセチルアミノグルコースの規則的に繰り返す二糖単位からなる高分子鎖多糖であり、数千から数百万の範囲の分子量を有する。HAは良好な潤滑性、粘弾性、及び非免疫原性を有し、極めて保湿効果がある。現在、市販のHAは動物から抽出されているか、細菌発酵から調製されており、主として臨床療法(例えば、眼科、整形外科、皮膚科で、術後癒着の予防でなど)及び化粧品においてナトリウム塩として使用されている。ヒアルロン酸塩のカリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、銀塩及び金塩の調製及び使用は多くの特許に開示されている。ヒアルロン酸は元素の周期律表における第4周期からのIII族金属のイオンと塩(錯体)、例えば、ヒアルロン酸亜鉛及びヒアルロン酸コバルトなどを形成し、これが皮膚潰瘍及び床擦れに治療効果を有することが立証されている(国際公開第9010020号パンフレット)。ヒアルロン酸亜鉛は著しい胃の保護作用も有し、消化性潰瘍の予防及び治療に有用である(中国特許第1126548号)。しかしながら、ヒアルロン酸ビスマス(錯体)並びにその調製及び使用は文献に未だ報告されていない。
胃腸障害には、慢性胃炎、消化性潰瘍、機能性消化不良、胃癌などが含まれ、このうち、消化性潰瘍は高い罹患率を有し現代人の健康を著しく損ねている。中国における疫学的調査は、人口の10%がその生存期間中にこの疾患を患い、発病は大部分若年層及び中年層(20から50までの年齢の人々が約70%を占める)にみられることを明らかにした。消化性潰瘍の発症メカニズムは複雑であり、未だ完全には解明されていない。消化性潰瘍の根底にある基本的メカニズムは、局所GI粘膜の損傷(潰瘍誘発要因)と粘膜の保護(粘膜バリア)の間の不均衡として要約することができる。損傷が増加する場合又は保護が弱くなる場合に潰瘍が発生する。最近、ヒトの消化性潰瘍の発症はヘリコバクターピロリによる感染に関係することが見出された。
現在、抗生物質、酸中和剤及び粘膜保護剤の併用は、消化性潰瘍の最適な治療として一般的に受け入れられており、ここで、粘膜保護剤は、粘膜を通した胃酸及びペプシンの浸透を防止することができる被膜を形成する、酸中和物質であり、スクラルフェート、ビスマス化合物、プロスタグランジン誘導体などが含まれる。ビスマス化合物は、硫黄、酸素及び窒素に高い親和性並びにメタロチオネイン、粘膜糖タンパク、酵素及びペプチドへの強い結合を示す。ヘリコバクターピロリの成長の阻害にその有効性を示す証拠がある。したがって、ビスマス剤は、最も頻繁に使用される臨床における粘膜保護剤であり、このうち、クエン酸ビスマスカリウム、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、コロイドビスマスペクチンなどが一般的に使用されている。ビスマス剤の薬理学的効果は次の通りに概括することができる:胃内の酸性条件で沈殿を形成すること;胃粘膜の表面に付着して保護層を形成すること;胃粘膜を保護すること(潰瘍範囲において);胃への有害な刺激を減少させること;潰瘍になった粘膜の再生及び潰瘍の治癒を促進すること;ペプシンの活性を減少させること、ムコタンパク質の分泌を増加させること、粘膜によるPGEの放出を高めることなどによって、分泌作用を調節すること;バクテリオシン(例えば、大腸菌により産生される毒及びコレラ菌により産生されるエンテロトキシン)を吸着すること;並びに病原微生物(ヘリコバクターピロリ)に対する直接の抗菌活性。
コロイドビスマスペクチンなどの生体高分子ビスマス剤は、胃腸の潰瘍及び炎症している表面の範囲へのその強い付着選択性、すなわち特異的親和性によって、他の小分子のものに比べて、胃十二指腸潰瘍、慢性表在性胃炎、慢性萎縮性胃炎、消化管出血などの疾患の治療において著しくより良好な治療効果を示す。HAは、動物体に自然に分泌される生体高分子ムコ多糖であり、全種にわたって構造的な差異がなく、良好な粘弾性、潤滑性及び被膜形成能力を有する。研究によって、HAは多くの細胞過程及び生理的過程、例えば細胞移動及び細胞分化、創傷治癒、癌細胞の転移、成長因子への作用、胚形成及び発生及び炎症に関与していることが示されている。HAは、炎症及び損傷の部位に一方向にたまる傾向があることが実験的に立証されており、高分子HAはマクロファージの機能を阻害することによって抗炎症活性を発揮する。酸性条件においては、HA溶液は、より高い粘度及び高分子ネットワーク構造の形成を示し、ゲル様であり強い付着性がある。HAのこれらの特性は、粘膜保護剤としてのヒアルロン酸ビスマスの使用に大いに寄与している。以下に示される動物実験は、ラットにおいて、コロイドビスマスペクチンと比較して、ヒアルロン酸ビスマスによるアセテートで誘発された胃潰瘍及び酸性化エタノールで誘発された胃潰瘍の著しくより高い阻害を明らかにしている。
発明の詳細な説明
[発明の内容]
本発明の目的は、胃腸障害の予防及び治療用の薬剤又は健康食品の製造に有用なビスマス剤並びにその調製方法を提供することであり、このビスマス剤はヒアルロン酸ビスマスである。初期の動物試験によって、ヒアルロン酸ビスマスは、コロイドビスマスペクチンに比べて胃腸潰瘍の治療においてより良い治療効果を示すことが立証された。
したがって、第1の態様において本発明は、乾燥生成物中で、ビスマス含有率が0.5%から40%、好ましくは15%から35%であり、グルクロネート含有率が20%から45%、好ましくは20%から35%であることを特徴とするヒアルロン酸のビスマス塩を提供する。
第2の態様においては、本発明は、
1)ポリオールを含有する脱イオン水中にビスマス塩を溶解するステップと、
2)脱イオン水中に溶解性のヒアルロン酸塩を溶解し、得られた溶液を水酸化カリウムの溶液でアルカリ性pHに調節するステップと、
3)ステップ1)で得られた溶液をステップ2)で得られた溶液に一滴ずつゆっくりと添加し、その間、水酸化カリウムの溶液を一滴ずつ添加し、該反応物を撹拌することによって該溶液をアルカリ性に維持するステップと、
4)ステップ3)で得られた溶液にエタノールを添加して沈殿を形成し、液体から固体を分離するステップと、
5)ステップ4)で得られた固体沈殿物をエタノールで洗浄し、脱塩し、脱水し、沈殿物を集め、減圧下で乾燥して最終生成物を得るステップと
を含む、本発明によるヒアルロン酸ビスマスの調製の方法を提供する。
ヒアルロン酸ビスマスの調製の上記の方法においては、使用しうるビスマス塩には、それだけには限らないが、硝酸ビスマス、水酸化ビスマス、塩化ビスマス、酸化ビスマスなどが含まれ;使用しうるポリオールには、それだけには限らないが、ソルビトール、マンニトール、グリセロールなどが含まれ;使用しうる溶解性のヒアルロン酸塩には、それだけには限らないが、その無機塩、例えばヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム、ヒアルロン酸亜鉛など、及びその有機塩、例えばヒアルロン酸の四級アンモニウム塩などが含まれる。
ヒアルロン酸ビスマスの調製の上記の方法においては、アセトン又はメタノールを、ステップ4)及び5)におけるエタノールの代わりに使用して沈殿するステップ、脱塩するステップ及び脱水するステップを実施することができる。
本発明により生成されるヒアルロン酸ビスマスは、低濃度の不純物しか含まない高純度のものである。ヒアルロン酸ビスマスは、高分子HA及びBi3+によって形成される配位化合物であり、ここで、Bi3+は元素O及びNと3から10個の配位結合を形成することができる。当業者は、反応物中におけるビスマス塩とHAの間の比を変えることによって、様々な含有率のビスマスを有するヒアルロン酸塩の配位化合物を生成することができることを理解されよう。本発明による一実施形態においては、反応物の間の比を調節することによって、0.5%から40%、好ましくは15%から35%のビスマス含有率を有する生成物を得ることができる。比のこのような変更及び調節は、当業者の技術及び判断に十分含まれる。
良好な生体適合性及び形状充填能力を有する本発明によるヒアルロン酸ビスマスは、人工胃液中及び人工腸液中の両方で極めて粘性のあるコロソールを形成することができる。胃腸粘膜の保護層として役立つことによって、それは、食物、胃酸、消化酵素及び特定の薬剤による損傷した粘膜の刺激を防ぎ、潰瘍の治癒を促進する。炎症及び損傷の部位における方向的な蓄積の傾向並びに同様にHAのいくらかの抗炎症活性により、本発明によるヒアルロン酸ビスマスは、胃腸障害の予防及び治療において同じタイプの生成物と比較して著しくより良い治療効果を提供する。したがって、本発明は、第3の態様においては、胃腸障害の予防及び治療用の薬剤並びに健康食品の製造における、本発明によるヒアルロン酸ビスマスの使用を提供する。
本発明によるヒアルロン酸ビスマスは、単独で又は胃腸障害の予防及び治療に使用される他の活性剤などの他の機能成分と組み合わせて経口投与して、胃腸の炎症及び胃腸の潰瘍を予防及び治療することができる。それは、通常のアジュバントと組み合わせて、経口投与で、慢性胃炎、消化性潰瘍、機能性消化不良、胃癌などを含めた胃腸障害の予防及び治療用に使用される、疼痛、下痢及び消化不良などの症状を軽減し、胃腸粘膜を保護し、潰瘍になった粘膜の再生及び潰瘍の治癒を促進し、炎症の発生を減少させる、例えば錠剤、丸剤、カプセル、顆粒、シロップ、ゲル、溶液、懸濁液などの形態の経口投与用に適合された医薬製剤、又は健康食品に製剤化することができる。
[本発明を実施するための特定のモード]
本発明を、以下で実施例を手段として更に説明するが、この実施例は説明の目的でのみ含まれ、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
予備実施例1
100gのヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量1.09×10)を5Lの脱イオン水中に分散し、溶解するまで撹拌した。水酸化カリウムの10%溶液を一滴ずつ添加してpHを10から12の間に調節した。133gの硝酸ビスマス[Bi(NO・5HO]及び250gのマンニトールを5Lの脱イオン水に添加し、溶解するまで撹拌し、これに上記のヒアルロン酸ナトリウムの塩基性溶液を撹拌しながらゆっくりと添加し、この間、水酸化カリウムの10%溶液を一滴ずつ添加することによって反応物のpHを約12に維持した。この反応物を更に撹拌した。反応の最後に、3体積(V/V)のエタノールを添加し、次いで撹拌して沈殿させた。この沈殿物をエタノールの80%水溶液で十分に洗浄した。最後に、この沈殿物を無水エタノールで脱水し、減圧下35℃から40℃の温度で乾燥して最終生成物が得られ、この最終生成物は乾燥重量に対して27.9%(W/W)のグルクロネート含有率及び30.7%(W/W)のビスマス含有率を有すると測定された。
予備実施例2
100gのヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量1.41×10)を5Lの脱イオン水中に分散し溶解するまで撹拌した。水酸化カリウムの10%溶液を一滴ずつ添加してpHを10から12の間に調節した。121gの硝酸ビスマス[Bi(NO・5HO]及び240gのソルビトールを5Lの脱イオン水に溶解するまで撹拌しながら添加し、これに上記のヒアルロン酸ナトリウムの塩基性溶液を撹拌しながらゆっくりと添加し、この間、水酸化カリウムの10%溶液を一滴ずつ添加することによって反応物のpHを約12に維持した。この反応物を更に撹拌した。反応の最後に、3から4体積(V/V)のエタノールを添加し、次いで撹拌して沈殿させた。この沈殿物をエタノールの80%水溶液で十分に洗浄した。最後に、この沈殿物を無水エタノールで脱水し、減圧下35℃から40℃の温度で乾燥して最終生成物が得られ、この最終生成物は乾燥重量に対して30.1%(W/W)のグルクロネート含有率及び26.3%(W/W)のビスマス含有率を有すると測定された。
予備実施例3
100gのヒアルロン酸ナトリウム(平均分子量7.5×10)を5Lの脱イオン水に分散し溶解するまで撹拌した。水酸化カリウムの10%溶液を一滴ずつ添加してpHを10から12の間に調節した。35gの水酸化ビスマス[Bi(OH)]を60gのグリセロールを含有する水溶液5Lに添加し、これに、上記のヒアルロン酸ナトリウムの塩基性溶液を撹拌しながらゆっくりと添加し、この間、水酸化カリウムの10%溶液を一滴ずつ添加することによって反応物のpHを約12に維持した。この反応物を更に撹拌した。反応の最後に、2から3体積(V/V)のアセトンを添加し、沈殿させた。この沈殿物をアセトンの70%から80%水溶液で十分に洗浄した。最後に、この沈殿物をアセトンで脱水し、減圧下35℃から40℃の温度で乾燥して最終生成物が得られ、この最終生成物は乾燥重量に対して34.7%(W/W)のグルクロネート含有率及び16.9%(W/W)のビスマス含有率を有すると測定された。
上記に記載した通り、ヒアルロン酸ビスマスは、生体高分子HA及びBi3+によって形成される配位化合物である。Bi3+はHAの元素O、Nと3から10個の配位結合を形成することができ、このHAはそれ自体混合物である。現在の状況下、ヒアルロン酸ビスマスの厳密な構造を確認することは未だ可能ではない。一例として、長く臨床的に使用されているコロイドビスマス次クエン酸(CBS)の構造は、未だ確かめられていない(Abrams MJ and Murrer.BA.,Metal compounds in therapy and diagnosis.Science,1993;261:725−730;I.Bertini,H.B.Gray & J.S.Valentine,Eds.METALS IN MEDICINE.In press:Biological Inorganic Chemistry:Structure & Reactivity,University Science Books,Mill Valley,CA,Publ.;Pharmacopeia of People’s Republic of China,2005,2nd edition)。本発明者らは、出発原料(すなわち、ヒアルロン酸ナトリウム)及び生成物(すなわち、本発明のヒアルロン酸ビスマス)についてFT−IRを実施した(装置:Nicolet NEXUS 470 FT−IR分光計)。結果を図1に示す。ヒアルロン酸ビスマス内の配位結合の形成は吸収ピークの変化によって確かめた(図1及び下記の表1を参照されたい)。上記実施例で示されたグルクロネート含有率はヒアルロン酸の量の代表例であり、示されたビスマス含有率はHA分子の元素O及びNと配位結合する元素ビスマスの量を表す。
Figure 0005145238
[実験実施例]
本発明によるヒアルロン酸ビスマスの予備的薬力学試験の結果は次の通りである。
1.ラットにおけるアセテートにより誘発された胃潰瘍へのヒアルロン酸ビスマスの保護効果
150から200gの体重の雌性ウィスターラットを使用した。文献に記載された方法((1)Pharmacological Test Methodology,2nd edition,Beijing,People’s Health Press,1991,1158−1160;(2)Guidelines for preclinical studies of new drugs(western medicines)(pharmacy,pharmacology,toxicology),1993,88−89)に従って、アセテートにより誘発された胃潰瘍のモデルを作製した。具体的には、エーテルの麻酔下にあるラットの胃体の漿膜面上の直径5mmの範囲に、1.5分間の0.2mlの氷酢酸での処置によって胃潰瘍を誘発した。実施の翌日に、動物を6グループに無作為に分け、蒸留水を負の対照として、コロイドビスマスペクチンを正の対照として用いて経口投与を始めた。試験サンプルは、予備実施例1により調製された本発明のヒアルロン酸ビスマス(27.9%のグルクロネート含有率及び30.7%のビスマス含有率を有する)及び出発原料ヒアルロン酸ナトリウム(9.1×10の平均分子量及び38.9%のグルクロネート含有率を有する)である。ラットは10日間連続で約10mlの体積の1日1回の胃内投与を受けた。次いで、動物を犠牲にし、その胃を取り出し、ホルムアルデヒド溶液中に固定した。切開後、胃潰瘍のサイズを、潰瘍の中心を通る最大長径(d)及び最大横径(d)を顕微鏡下で測定し、次の等式:S=π×(d/2)×(d/2)を用いて潰瘍の面積を計算することによって求めた。潰瘍の阻害は対照の百分率として表した。結果を下表に記載した。
Figure 0005145238
2.塩酸−エタノールにより誘発された胃粘膜の損傷のヒアルロン酸ビスマスによる予防及び治療
150から200gの体重の雌性ウィスターラットを使用した。文献に記載された方法(Methodology of pharmacological studies of Chinese medicines,Beijing,People’s Health Press,1994:441)に従う。ラットを水の入手は可能にして24時間絶食させた。次いで、ラットを無作為に分け(上記参照されたし)、胃内投与を受けた。投与後30分に、0.5ml/体重の100gの用量で、各ラットに塩酸−エタノール(50mlの無水エタノール及び1mlの濃塩酸の混合物)を投与した。酸性化エタノールでの処置後1時間に、動物を犠牲にし、その胃を取り出し、ホルムアルデヒド溶液中で固定した。胃をより大きな弯曲に沿って切り開き、洗浄して胃粘膜への損傷を検査した。細片様の出血性の損傷の長さを測定し、その結果を下表に報告する。
Figure 0005145238
上記の結果は、本発明によるヒアルロン酸ビスマスは、ラットにおけるアセテートで誘発された胃潰瘍及び酸性化エタノールで誘発された胃潰瘍の統計的に有意な阻害を示し、この阻害は正の対照コロイドビスマスペクチンに比べて有意により高いことを示している。
ヒアルロン酸ナトリウム及び本発明によるヒアルロン酸ビスマスの赤外吸収スペクトル(FT−IR)を示し、ここで、Aはヒアルロン酸ナトリウムを表し、Bは本発明によるヒアルロン酸ビスマスを表す。

Claims (11)

  1. 乾燥重量に対して、ビスマス含有率が0.5%から40%までであり、グルクロネート含有率が20%から45%までであることを特徴とする、ヒアルロン酸ビスマス。
  2. 乾燥重量に対して、ビスマス含有率が15%から35%までであり、グルクロネート含有率が20%から35%までであることを特徴とする、請求項1に記載のヒアルロン酸ビスマス。
  3. 請求項1又は2に記載のヒアルロン酸ビスマスの調製方法であって、
    1)ポリオールを含有する脱イオン水中にビスマス塩を溶解するステップと、
    2)脱イオン水中に溶解性のヒアルロン酸塩を溶解し、得られた溶液を水酸化カリウムの溶液でアルカリ性pHに調節するステップと、
    3)ステップ1)で得られた溶液をステップ2)で得られた溶液に一滴ずつゆっくりと添加し、その間、水酸化カリウムの溶液を一滴ずつ添加し、該反応物を撹拌することによって該溶液をアルカリ性に維持するステップと、
    4)ステップ3)で得られた溶液にエタノールを添加して沈殿を形成し、液体から固体を分離するステップと、
    5)ステップ4)で得られた固体沈殿物をエタノールで洗浄し、脱塩し、脱水し、該沈殿物を集め、減圧下で乾燥して最終生成物を得るステップと
    を含む方法。
  4. 請求項1又は2に記載のヒアルロン酸ビスマスの調製方法であって、
    1)ポリオールを含有する脱イオン水中にビスマス塩を溶解するステップと、
    2)脱イオン水中に溶解性のヒアルロン酸塩を溶解し、得られた溶液を水酸化カリウムの溶液でアルカリ性pHに調節するステップと、
    3)ステップ2)で得られた溶液をステップ1)で得られた溶液に一滴ずつゆっくりと添加し、その間、水酸化カリウムの溶液を一滴ずつ添加し、該反応物を撹拌することによって該溶液をアルカリ性に維持するステップと、
    4)ステップ3)で得られた溶液にエタノールを添加して沈殿を形成し、液体から固体を分離するステップと、
    5)ステップ4)で得られた固体沈殿物をエタノールで洗浄し、脱塩し、脱水し、該沈殿物を集め、減圧下で乾燥して最終生成物を得るステップと
    を含む方法。
  5. ステップ1)において、前記ビスマス塩が硝酸ビスマス、水酸化ビスマス、塩化ビスマス、又は酸化ビスマスである、請求項3又は4に記載の方法。
  6. ステップ1)において、前記ポリオールがソルビトール、マンニトール、又はグリセロールである、請求項3又は4に記載の方法。
  7. ステップ2)において、前記溶解性のヒアルロン酸塩が無機塩又は有機塩である、請求項3又は4に記載の方法。
  8. ステップ2)において、無機ヒアルロン酸塩が、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸カルシウム又はヒアルロン酸亜鉛であり、有機ヒアルロン酸塩がヒアルロン酸四級アンモニウムである、請求項に記載の方法。
  9. ステップ4)及び5)において、アセトン又はメタノールをエタノールの代わりに使用して、沈殿、脱塩及び脱水のステップを行う、請求項3又は4に記載の方法。
  10. 胃腸障害の予防及び治療用の薬剤の製造における、請求項1又は2に記載のヒアルロン酸ビスマスの使用。
  11. 胃腸障害の予防及び治療用の健康食品の製造における、請求項1又は2に記載のヒアルロン酸ビスマスの使用。
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