JP5145004B2 - 海島型複合繊維用紡糸口金 - Google Patents

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Description

本発明は、多数の島成分ポリマーが海成分ポリマー中に分散した海島型複合繊維を溶融紡糸するための紡糸口金に関する。
従来から糸条を構成する一本の単繊維(フィラメント)を取り出してみた場合に、この単繊維を構成する海成分ポリマー中に、繊維軸方向に実質的に連続した複数条の島成分ポリマーを独立して存在させた「海島型複合繊維」が知られている。このような海島型複合繊維は、紡糸後に海成分だけを除去することにより島成分からなる極細繊維束が得られるために、不織布、織物の構成材料として広く利用されている。特に、人工皮革、人工皮革様織物などの皮革様シート素材として有用である。
さらに、これに限らず新しい特性を有する有用な多くの製品を作ることができ、各種工業用途やファッション分野などでの剛性繊維の用途をさらに広げるものである。そのため、これらの海島型複合繊維を溶融紡糸するために種々の紡糸口金が提案されている。極細繊維においてもナノオーダーの糸径を持つ超極細繊維は、その独特の風合いや、糸表面積が多いことによる独自の機能性があるため需要は大きい。
例えば、特許文献1、2には、島成分ポリマーを海成分ポリマー中に導入するためのパイプ(管状体)の数を増やした海島型複合単繊維群からなるマルチフィラメント糸の複合紡糸方法が提案されている。確かに、この手法によれば、島成分ポリマーを導入するためのパイプの数を増やしていくことにより、1本の単繊維(フィラメント)中に100島、あるいは1000島を有する海島型複合単繊維でも紡糸可能である。
しかしながら、パイプの数を増やして超多島化を実現することによって、超極細繊維は得ることはできるが、多島化につれ口金が大型化するので小型化が困難となる。このため、口金をコンパクトにすると共にパイプの数も増やそうとすると、パイプを密に配設する必要が生じる。そうすると、各パイプから吐出される島成分ポリマーも近接するため、島ポリマー同士が接合して、今度は多島化が困難となる。
そこで、更なる多島化を図るために、特許文献3及び4には、海島複合繊維の紡糸方法において、上流で芯鞘複合流群を形成し、これらを第1次ロート状部で海島状に集合させ、集合させた海島流を更に下流側の第2次ロート状部で他の海島複合流と集合させた後、吐出孔から紡出することを特徴とする超多島型複合繊維の紡糸方法が提案されている。確かに、この方法によれば、上流側と下流側とで複数回にわたって芯鞘複合流群と海島流をそれぞれ形成させることができ、それだけ多島化が可能となり、また、島成分ポリマー同士の合体も抑制することができる。
しかしながら、これらの方法では、上流側と下流側とで芯鞘複合流群と海島流を形成させる必要がある。このため、海成分ポリマー中に島成分ポリマーをパイプを介して導入して、一度で海島流を口金内に形成する前記特許文献1及び2と比較すると、上流側と下流側でそれぞれ海島流を形成する必要があるので、口金形状が上流側から下流側へかけてどうしても長くならざるを得ず、また、口金構造自体も複雑化する。その結果、コンパクトな口金の設計と言う点で大きな問題を有している。また、糸品質としても口金内の滞留時間及びその斑の差の大きさが起因して安定したものを得るのは難しい。
一方、特許文献5には、スタティックミキサーを用いて島成分ポリマーを海成分ポリマー中へ混合した複合ポリマーを用いて海島断面を有する繊維を形成し、海成分ポリマーを除去することによって微細なポリマー短繊維の集合体からなる繊維の製造方法が提案されている。確かに、この方法だと超極細繊維を得ることは可能であるが、スタティックミキサーを用いるため、その分割数にもよるが、島成分ポリマー由来の繊維の繊度は、ポリマーの粘度、粘度比、ポリマーの界面特性、紡糸温度、乾燥の程度による粘度変化、スタティックミキサーの形状等の要因による変化ばかりではなく、経時的な流れの変化の影響も受けてしまう。このため、島数、島繊度が一定した安定紡糸が難しく、工業的生産をする上で問題が多い。
また、これらの技術によって得られる海島型複合繊維用の溶融紡糸口金は多島化を目指せば目指すほど、他の複合紡糸用溶融紡糸口金、(サイド・バイ・サイド型複合繊維用の溶融紡糸口金や、芯鞘型複合繊維用の溶融紡糸口金)よりも必要な口金面積や、厚みが大きくなり汎用性が失われてしまうという欠点がある。したがって、それ専用の溶融紡糸装置が必要となる。
ところが、近年において、サイド・バイ・サイド型複合繊維、芯鞘型(シース・コア型)複合繊維各種複合繊維、あるいは海島型複合繊維といった複合繊維を共用の溶融紡糸装置で製造することによって、溶融紡糸設備の設置スペースの削減と、多くの専用紡糸装置を製作設置するコストを削減することが期待されるようになって来た。このため、共用の溶融紡糸装置によってサイド・バイ・サイド型複合繊維、芯鞘型複合繊維、及び海島型複合繊維を溶融紡糸する口金を含んだ紡糸口金パックの仕様をできるだけ共通化して、共通の溶融紡糸装置でも使用できることが肝要となる。
しかしながら、海島型複合繊維の溶融紡糸に際してのみ、専用の溶融紡糸装置を使用しなければならないとしたら、このような専用の溶融紡糸装置を新たに設けるスペースを必要とするか、あるいは既存設備を廃棄して新たに設備を設けるスクラップ・アンド・ビルドが要求され、設置スペースの節減もしくは設置コストの節減と言う目的を達成することができないという問題を生じる。
特公昭44−18369号公報 特開2001−192924号公報 特公昭58−12367号公報 特開2005−15926号公報 特公昭60−28922号公報
以上に説明した従来技術が有する諸問題に鑑みて、本発明の目的は、海島型の超極細繊維を安定して得るための紡糸口金を他の複合繊維用の溶融紡糸口金と実質的に同等のサイズで、しかも、各島を形成する島成分ポリマー同士が互いに接合することなく超多島化を実現可能な海島型複合繊維用紡糸口金を提供することにある。
ここに、前記の課題を解決するための本発明によれば、「一本の単繊維中に多数の島成分ポリマ―が互いに分離した状態でその繊維軸方向に沿って海成分ポリマー中にそれぞれ独立して延在する海島型複合単繊維群を溶融紡糸するための紡糸口金であって、
該紡糸口金は、(a)島成分ポリマーを複数条のポリマー細流にそれぞれ分流する管状体群と、(b)前記管状体群が内部に突設され、かつ各管状体のそれぞれを囲繞するように海成分ポリマーを内部に分配する分配室と、(c) 前記管状体群のそれぞれに一対一に対応して前記分配室の直下の直径12〜22mmの円形領域内に穿設され、かつ前記管状体群群からそれぞれ供給された各島成分ポリマーが前記分配室に供給された海成分ポリマーと合流して管状体群群の数に対応する芯鞘流群を形成しながら流下する合流孔群と、(d) 前記合流孔群の各下端部から流入した前記芯鞘流群を集合させて一体流とし、テーパー角度が45°〜70°とした漏斗状の形状を有する導入孔が上方に形成され、これによって前記一体流を徐々に細化させながら下方へ導いた後に紡出する吐出孔とを少なくとも有し、その際、前記管状体群及び前記合流孔群を正三角形格子上に配列すると共に、前記配列中に前記管状体群及び前記合流孔群を設けない領域からなり、前記管状体群及び前記合流孔群を配列した前記円形領域の中心から半径方向へ向って放射状に延びた2〜8箇所の領域からなる海成分ポリマーの進入流路を海成分ポリマーが前記配列の中心にまで達するように形成したことを特徴とする海島型複合繊維用紡糸口金。」が提供される。
次に、本発明においては、前記の紡糸口金を使用し、前記管状体の内径Dに対する管状体の肉厚tとの間の関係を「0.20≦(t/D)≦0.35」とすることが好ましい。また、前記合流孔の導入部直径dと管状体の外径Dとの間の関係を「1.2≦(d/D)≦2.0」とすることが好ましい。更には、前記正三角形格子の格子点間隔Pと前記導入部直径dとの間の関係が「1.1≦(P/d)≦1.4」という式を満足することが好ましい。
なお、本発明においては、海成分ポリマーの前記進入流路が、前記管状体群及び前記合流孔群を配列した円形領域の中心から半径方向へ向って放射状に延びた管状体群及び合流孔群を設けない2〜8箇所の領域であることが、超多島の海島型複合繊維を好適に製造する上で必要である
従来技術では、海成分ポリマー中に管状体群(微小パイプ群)を介して島成分ポリマーを吐出して超多島化しようとしても、管状体群へ均等に海成分ポリマーを分配供給することが困難であった。しかしながら、本発明に係る海島型複合繊維溶融紡糸用口金によれば、島成分ポリマーと海成分ポリマーとからなる超多島海島複合繊維を、島成分が互いに接合することなく、超多島化することができ、その上、海成分ポリマーを除去した後の島成分ポリマーからなる超極細繊維は、その繊度が均一となって、しかも、合体もないため極めて品質に優れた超極細繊維を得ることができるという極めて顕著な効果を奏する。
この顕著な効果は、本発明において管状体群を正三角格子点上に最密に円形領域に集中的に配列しても、この配列中に前記管状体群及び前記合流孔群を設けない領域からなる海成分ポリマーの進入流路を形成したことにより達成される。何故ならば、従来技術では、管状体群配列の中心部まで、十分に海成分ポリマーの分配が行なわれなかったものが、本発明では、管状体群が設けられていない進入流路から海成分ポリマー容易に管状体群の中心部に到達できるので、海成分ポリマーの分配性が飛躍的に向上する。また、当然のことながら、一度に一つの円形領域中に設置できる管状体群の数も従来の口金と比較して格段に多くすることができる。
しかも、前述の従来技術のように、海島流を上流側と下流側とで2段にわたって形成すると言うような複雑な口金構造を採らなくとも良く、更には、口金径や口金厚みといった口金形状を大型化しなくても良い。このため、サイド・バイ・サイド型、芯鞘(シース・コア)型、あるいは本発明に係る海島型といった各種の複合繊維を共用で紡出できる溶融紡糸装置に使用可能な極めてコンパクトな海島型複合繊維用の紡糸口金を提供できると言う格別顕著な効果を奏する。
本発明においては、島成分ポリマーとして特に限定をする必要はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合物、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸等の溶融成形可能なポリマーが好ましく例示できる。
その際、酸化チタン、シリカ、酸化バリウム等の無機質、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤等の各種添加剤を上記物質中に含んでいてもよい。
また、海成分ポリマーとしては、例えば、共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の溶融成形が可能で、紡糸後、溶解抽出が可能なポリマーが挙げられる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の海島型複合繊維紡糸用口金の例示した断面図である。なお、図1には、一本のフィラメントである海島型複合単繊維を紡糸するための口金に設けられる一つのユニットしか例示していないが、一般に、これらのユニットが多数個設けられて多数本の海島型複合単繊維群からなるマルチフィラメント糸が紡糸されることは周知の事実である。
ただし、図1では、図示した3枚の口金板よりも上流側にもポリマーの分配流路が設けられるが、これらの分配流路に関しては、適宜容易に実施可能な設計事項であり、また、本発明の特徴事項でもないので図示省略した。
図1に例示した本発明に係る口金の実施形態において、図中の参照符号AとBとは、それぞれ島成分ポリマーと海成分ポリマーとを表わし、これら島成分ポリマーAと海成分ポリマーBは、それぞれ図中の矢印方向から口金板に流入する。当然のことながら、紡糸口金パック内を流れる前記島成分ポリマーA及び海成分ポリマーB、或いはこれらの複合流は、極めて安定した層流状態を維持している。
それ故、これらのポリマー流が形成する流線は、乱流とは異なって互いに交差したり入れ違ったりすることはない。このため、海島型複合繊維、芯鞘型複合繊維、サイド・バイ・サイド型複合繊維といった複合繊維が安定に形成され、複合繊維の溶融紡糸を実施することができることはいうまでもない。
次に、図1の参照符号1,2及び3は、この実施形態例においては3枚の口金板を形成しており、それぞれ上口金板1、中口金板2、そして、下口金板3から構成されている。しかしながら、口金板群を本例のように3枚で構成することに限定する特別な理由はなく、必要に応じて、その数を増やすこともできる。更に、参照符号4は管状体、参照符号5は海成分導入孔、参照符号6は合流孔、参照符号7は吐出孔、参照符号8は島成分ポリマーBの分配室、参照符号9は海成分ポリマーAの導入流路、そして参照符号10は海成分ポリマーAの分配室をそれぞれ示す。
ここで、前記上口金板1に穿設された前記1ユニット分のポリマー流路について説明する。先ず、前記ユニットの中央部上方には、島成分ポリマーAの分配室8がその上端から下流側にかけて図1に例示したように設けられ、そして、多数の管状体群4が前記分配室8の底部から上口金板1の下端近傍に達するまで間にわたって植設されている。なお、前記管状体群4は、上口金板1の下端から上流側に向って形成された海成分ポリマーBの分配室10の中に突設されており、そして、この海成分ポリマーBの分配室10へは、海ポリマーBが導入流路9を介して供給される構造となっている。
次に、前記中口金板2に穿設された前記1ユニット分のポリマー流路について説明する。この前記中口金板2には、上口金板1に植設された多数の管状体群4のそれぞれに一対一に対応して合流孔群6からなる貫通孔群が設けられており、分配室10へ供給された海成分ポリマーBと、この分配室10に突設された管状体群4から供給された島成分ポリマーAとが芯鞘型複合流を形成して通過するようにされている。なお、この芯鞘型複合流について簡単に補足説明すると、分配室10へ供給された海成分ポリマーBが鞘部を形成して、前記管状体群4を取囲むように流れるので、各管状体4のそれぞれから供給される島成分ポリマーAは芯鞘流の芯部を形成することになる。
そして、最後に下口金板3に穿設された前記1ユニット分のポリマー流路について説明する。この下口金板3には、図1に例示したように、漏斗状の導入部を有する吐出孔7が穿設されており、前記芯鞘流はこの吐出孔7へ流入して、互いに合体することでする超多島海島複合単繊維が紡出されることとなる。
以上に説明したのは一つのユニットから超多島海島複合単繊維が一本のフィラメントとして紡出する紡糸口金構造の説明であった。しかしながら、本発明は、以上に説明した多数のユニットが同時に設けられた紡糸口金を用いて、超多島海島複合単繊維群からなるマルチフィラメント糸を溶融紡糸することを大きな特徴とするものである。
そこで、この本発明の特徴について、更に図2も参照しながら順次説明するが、最初に海成分ポリマーBと島成分ポリマーAとが合流して複合流を形成するまでの過程を図1に例示した紡糸口金を参照しながら説明する。ただし、前記図2は、前記中口金板2に穿設する合流孔群6の配列を例示した説明図(模式平面図)であって、また、当然のことながら、合流孔群6と一対一に対応して設けられる管状体群4の配列もこれと同じ配列を採ることは言うまでもない。
先ず、一方の島成分ポリマーAの流通経路について説明すると、この島成分ポリマーAは、先ず上口金板1に設けられた島成分ポリマーAの分配室8へ供給され、ここから管状体群4へと分配され、島成分ポリマーAは各管状体4の中を流下する。そして、中口金板2に管状体群4のそれぞれに一対一に対応して穿設された各合流孔6の上端部に達する。
これに対して、他方の海成分ポリマーBの流通経路から説明すると、この海成分ポリマーBは、図1に例示したように、海成分ポリマーの導入流路9から上口金板1に導入され、海成分ポリマーBの分配室10へ分配される。このとき、管状体群4はこの分配室10の中へ突設された状態で互いに所定の間隔を置いて植設されているので、分配室10へ流入した海成分ポリマーBは突設された管状体群4の間にできた空間を満たしながら各管状体4の周囲をそれぞれ囲繞して流れる。
上述のように、海成分ポリマーBは、管状体群4の周りを囲繞して流れるので、管状体群4のそれぞれから流れた出る島成分ポリマーAについては、管状体4を出ると直ぐに海成分ポリマーによってその周りを取囲まれてしまうので、島成分ポリマーAを芯部とし海成分ポリマーBを鞘部とする芯鞘流を忽ちにして形成することは言うまでもない。このようにして、中口金板2に穿設された各合流孔6を前記芯鞘流が流通する。これにより、後述するように、芯となる島成分ポリマーAの周囲に、鞘となる海成分ポリマーBを纏ったた芯鞘型複合流が形成され、このように形成された芯鞘状態を維持したままで、各合流孔6へと流入する。
そして、最後に、前記の各合流孔6から流れ出た各芯鞘流は、下口金板3に穿設された吐出孔7へ導入される。なお、この下口金板3では、前記中口金板2に穿設された合流孔群6を流下した各芯鞘型複合流を吐出孔7の上部で合流させて一体とし、一体化させた流れ中に極めて多数の島成分が形成された複合一体流を形成させる役割を果たす。なお、この吐出孔7の上方部は、前記複合一体流を徐々に細化させながら下方へ導く漏斗形状を有する導入部が設けられている。このようにして、下口金板3に穿設された吐出孔7を流下した複合一体流は、細化しながら流下し、1本の海島型複合単繊維として吐出孔7から紡出される。
以上の説明からも容易に分かるように、前記芯鞘流は管状体4の数(合流孔6の数でもある)分だけ形成されることは容易に理解できるものと考える。したがって、管状体4の数を増やせば増やすほど、超多島化を実現可能なことも容易に理解できるものと考える。ところが、単に管状体4の数だけを増やすのみでは、優れた品質の超多島の海島型複合繊維を得ることはできない。何故ならば、管状体4を多数設ければ設けるほど、管状体群4の内側へ進入する海成分ポリマーBの分配性が低下するからである。
すなわち、前述の通り、島成分ポリマーAは分配室8を経由して各管状体4にそれぞれ分配されるので、合流孔群6(管状体群4)の配列を最密にすれば、多島化効率は上昇する。このような観点から、合流孔群6(管状体群4)の配列は、図示したように正三角格子点上に配列することが当然望ましい。
また、一群の合流孔6(一群の管状体4)を設ける領域としては、ポリマーの分配性を考えると直径12〜22mmの円形領域内とすることが好ましく、当然のことながら、紡出する海島型複合単繊維の数を増やしてできるだけ多くのフィラメント群からなるマルチフィラメントを紡出すると言う観点からは、この円形領域の直径が小さいほど良く、逆に多島化という観点からは、この直径が大きいほど好ましい。
しかし、三角格子点上に管状体群4を最密に配列させた場合には、図2に例示した管状体群4の最外周側から最内周側へ向って流れる海成分ポリマーBの分配が、管状体群4から受ける流路抵抗などの影響によって当然のことながら最内周に向うに従って悪くなる。
そこで、三角格子点上に配列された管状体群4とこれに一対一に対応する合流孔群6において、海成分ポリマーBがその最内周部まで容易に進入可能なように、管状体群4及び合流孔群6の間に、図2に市松模様の網掛けで例示した「海成分ポリマーBの進入流路」を設ける。当然のことながら、この「海成分ポリマーBの進入流路」の流路上には、海成分ポリマーBの進入に際して妨げとなる管状体群4を設けないようにしてある。したがって、海成分ポリマーは、この「海成分ポリマーBの進入流路」から管状体群4の最内周部まで容易に進入できることとなり、ポリマーの各管状体4への分配性が飛躍的に向上する。
このとき、前記「海成分ポリマーBの進入流路」の形態は特に限定する必要はなく、各種の形態を採ることができる。なお、この進入流路については、正三角形格子を構成する一つの格子に沿って形成することが、進入流路の面積をできるだけ最小にしながら、海成分ポリマーの分配を効率的に行なう上で好ましい。
更には、「海成分ポリマーBの進入流路」は、図2に例示したように、管状体群4の円形領域の中心から最外周側へ向って放射状に設けることが必要である。このとき、設置する「海成分ポリマーBの進入流路」の数としては、多くすれば多くするほど海成分ポリマーBの分配性が向上する反面、管状体群4(合流孔群6)を設けない領域面積も増加してしまうことから、その数には自ずと限界がある。このような理由から、「海成分ポリマーBの進入流路」の設置箇所は2〜8箇所とすることが好ましい。
次に、下口金板4に穿設する吐出孔7の漏斗形状を有する上方のポリマー導入部の形状に関しては、中口金板2の下端部で形成する芯鞘型複合流を合流させて一体化させ、次いで、一体化させた複合一体流を細化する過程において、得られる繊維横断面の形状が安定するという意味から漏斗状部分の角度として45度から70度が望ましい。なお、45度未満の角度にすることにより紡糸安定性は向上するが、下口金3の厚みはそれに応じて厚くなるので、コンパクトに紡糸口金を設計すると言う観点から好ましくない。
以上に説明したような様々な手段を講じることによって、超多島化された海島型複合単繊維群からなるマルチフィラメンと糸を安定して紡糸できるコンパクトな口金を設計できる。しかしながら、このような特徴を有する紡糸口金であっても、島成分ポリマーAと海成分ポリマーBの選定によっては、ポリマーの粘度、粘度比、ポリマーの界面特性、紡糸温度、乾燥の程度による粘度変化が影響し、安定した海島型複合繊維を得ることが難しい場合が生じることが分かった。
そこで、本発明者は更に鋭意検討を進めた結果、管状体4と合流孔6についての条件を最適化すれば、より良い結果が得られ、更にコンパクトな紡糸口金を設計できることが判明した。以下、この点について、詳細に説明する。
先ず、管状体4の管内径Dとその管長Lについて検討したところ、海成分ポリマーBが各管状体4間へ均等に分配されるようにするためには、合流孔6の上部に適当な背圧が得られるように設計する必要がある。しかしながら、その値に関しては海成分ポリマーBと島成分ポリマーAの性状によるところが多く、その意味からこれらは実際に使用するポリマーを用いて実験により決定することが好ましい。ただし、紡糸後に残留ポリマーによって生じる目詰まりを防止する意味から、管状体4の管内径Dとしては、0.1mm以上とすることが好ましい。ただし、管内径Dが大きすぎると、管状体4の配列可能な数が少なくなるため、管状体4の肉厚tにもよるが、その上限値は、好ましくは0.5mmである。
なお、本発明者の実験によれば、管状体4の肉厚tに関しては、前述の管内径Dをもとに、「0.20≦(t/D)≦0.35いう関係式を満足するようにすることが望ましい。なお、当然のことながら、管状体4の管外径をDとすると、管状体4の肉厚tは「t=(Do−D)/2」と表せる。
その理由は、もし、「(t/D)<0.20」とした場合は、内径対比で管状体4の肉厚tが小さくなつてしまうため、管状体4の成形が難しいだけでなく、その後の紡糸口金に管状体4を組み込む場合などにおいて、変形や屈曲が生じやすくなって取り扱いいが難しくなり、紡糸口金としての耐久性に関しても問題が生じることが挙げられる。
また、「(t/D)>0.35」の場合は、管状体4の肉厚tが大きくなって必然的にその外径Dも大きくなるので、その下部に穿設される合流孔6の径が大きくなる。したがって、これにより合流孔6に流入する前後の海成分ポリマーBの流速が大きく変動して、ポリマー流れが不安定となる。その結果、合流孔6内で島成分ポリマーAが偏芯した状態で芯鞘型海島複合流れが形成される可能性が高まり、安定な繊維断面の形成性が阻害される。また、1島当りの合流孔6の必要開口面積が大きくなり、超多島化を実現するには望ましくない。
次に、管状体4の外径Dと合流孔6のポリマー導入部の孔径dとの間の関係は、「1.2≦(d/D)≦2.0」という関係式を満たしているのが望ましい。何故ならば、「(d/D)<1.2」の場合は、上口金板1と中口金板2とを組合わせる時に、上口金板1に設けられる管状体4と中口金板2に設けられる導入孔との間の位置決め精度の影響が敏感に作用するからである。そして、島成分ポリマーAが生み成分ポリマーBの中で偏芯した状態で芯鞘複合繊維流れが形成される確率が高まり、島成分ポリマーAが最初に狙った位置とは異なる位置にずれたりして島同士が接合したりするために、繊維横断面内での島形成性が悪くなる。なお、「(d/D)>2.0」の場合は、前述の「(t/D)>0.35」にした場合と同様の理由で望ましくない。
最後に、正三角形格子の格子点間隔Pと合流孔6のポリマーの導入部の孔径dとの間の関係は、「1.1≦(P/d)≦1.40」という関係式を満たしているのが望ましい。何故ならば、「(P/d)<1.1」の場合は、中口金板2の合流孔群6が狭い間隔で密集して配列されるために、口金としての十分な強度を得ることが難しいからである。また、島成分ポリマー同士の距離も互いに近接した状態を採るため、管状体群4の間隙を通る海成分ポリマーBの流入性が悪くなって、海成分ポリマーBの分配性能が悪くなり、島同士が接合したりして島の形成性が悪くなる。なお、「(P/d)>1.4」の場合は、繊維横断面内に分布する島が正常にそれぞれ個々に分離して形成されるので島形成性という点ではそれほど問題とはならないが、今度は多島化が困難であるという問題があり望ましくない。
本発明の海島型複合繊維を溶融紡糸する紡糸口金の一実施例の概略を模式的に示す要部正断面図である。 合流孔群(管状体群も同様)の配列を例示した配置図である。
符号の説明
1 上口金板
2 中口金板
3 下口金板
4 管状体
5 海成分導入孔
6 多数の管状体群4
7 吐出孔
8 島成分ポリマーの分配室
9 海成分ポリマーの導入流路
10 海成分ポリマーの分配室

Claims (4)

  1. 一本の単繊維中に多数の島成分ポリマ―が互いに分離した状態でその繊維軸方向に沿って海成分ポリマー中にそれぞれ独立して延在する海島型複合単繊維群を溶融紡糸するための紡糸口金であって、
    該紡糸口金は、(a)島成分ポリマーを複数条のポリマー細流にそれぞれ分流する管状体群と、(b)前記管状体群が内部に突設され、かつ各管状体のそれぞれを囲繞するように海成分ポリマーを内部に分配する分配室と、(c) 前記管状体群のそれぞれに一対一に対応して前記分配室の直下の直径12〜22mmの円形領域内に穿設され、かつ前記管状体群群からそれぞれ供給された各島成分ポリマーが前記分配室に供給された海成分ポリマーと合流して管状体群群の数に対応する芯鞘流群を形成しながら流下する合流孔群と、(d) 前記合流孔群の各下端部から流入した前記芯鞘流群を集合させて一体流とし、テーパー角度が45°〜70°とした漏斗状の形状を有する導入孔が上方に形成され、これによって前記一体流を徐々に細化させながら下方へ導いた後に紡出する吐出孔とを少なくとも有し、その際、前記管状体群及び前記合流孔群を正三角形格子上に配列すると共に、前記配列中に前記管状体群及び前記合流孔群を設けない領域からなり、前記管状体群及び前記合流孔群を配列した前記円形領域の中心から半径方向へ向って放射状に延びた2〜8箇所の領域からなる海成分ポリマーの進入流路を海成分ポリマーが前記配列の中心にまで達するように形成したことを特徴とする海島型複合繊維用紡糸口金。
  2. 前記管状体の内径Dとその肉厚tとが「0.20≦(t/D)≦0.35」という式を満足する請求項1に記載の海島型複合繊維用紡糸口金。
  3. 前記合流孔の導入部直径dとこれに一対一に対応して設けられる管状体の外径Dとの関係が「1.2≦(d/D)≦2.0」という式を満足する請求項1又は請求項2に記載の海島型複合繊維用紡糸口金。
  4. 前記正三角形格子の格子点間隔Pと前記導入部直径dとの関係が「1.1≦(P/d)≦1.4」という式を満足する請求項1〜3の何れかに記載の海島型複合繊維用紡糸口金。
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