JP4950856B2 - 海島型複合繊維の溶融紡糸口金 - Google Patents

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Description

本発明は、多数の島成分ポリマーを海成分ポリマー中に繊維方向に沿って互いに分離した状態で分散した所謂「海島型複合繊維」の溶融紡糸口金に関する。
従来から多数の単繊維群(マルチフィラメント)からなる糸条を構成する一本の単繊維を取り出してその横断面みた場合に、該単繊維を構成する海成分ポリマー中に、孤立してそれぞれ独立に存在させた複数条の島成分ポリマーが形成され、かつこの島成分ポリマーが繊維軸方向に実質的に連続して形成されている「海島型複合繊維」が知られている。
このような海島型複合繊維は、紡糸後に海成分ポリマーを溶解して除去すると共に、非溶解の島成分ポリマーをそのままの形で残留させることにより島成分ポリマーからなる極細繊維束を得ることができる。なお、このようにして得られた極細繊維側は、不織布、織物などを構成する材料として広く利用されており、特に、人工皮革、人工皮革様織物などの皮革様シート素材として有用である。
さらに、これに限らず新しい特性を有する有用な多くの製品を作ることができ各種工業用途やファッション分野などでの剛性繊維の用途をさらに広げるものである。そのため、これらの海島型複合繊維を溶融紡糸するために種々の紡糸口金が提案されている。特に、極細繊維の中でも数十ナノメータから数百ナノメータの単繊維径、即ちナノレベルの単繊維径を持つ超極細繊維は、その独特の風合いや、糸表面積が多いことによる独自の機能性があるため需要は大きい。
そこで、このような超極細繊維を得ることが要求されるのであるが、このような繊維を得るためには、島成分ポリマーの流量を減らすことと、島数を増やすことなどが挙げられる。しかし、単繊維径を半分にするためにはポリマー流量を4分の1にするか、あるいは島数を4倍にする必要がある。ところが、これらを実現するのは容易なことではなく、島成分ポリマーを高精度かつ低吐出で連続的に計量供給するギヤポンプなどの連続計量装置応が必要となる。また、多島化を行なおうとすると、どうしても口金面積が拡大するため、これに対応して島形成用のポリマー分配用パイプ径の縮小と、これらパイプから供給される島成分ポリマーが海成分ポリマーと合流する合流孔径の縮小が必要となるが、このような工夫にも限界が生じる。
例えば、このような従来技術として特許文献1および2において、島成分ポリマーを海成分ポリマー中へ分配供給するパイプの数を増やした複合紡糸方法が提案されている。確かに、この手法によれば、パイプ数を増やしていくことにより100島、1000島を有する繊維でも紡糸可能であり、超多島化により超極細繊維を得ることはできる。しかし、多島化につれ口金径の小型化や島成分ポリマーへの多吐出化は困難である。
また、特許文献3には海島型複合繊維を溶融紡糸するに際して、紡糸口金の上流側で第1次の海島複合流を形成して先細の第1次ロート状部で集合させ、次いで、集合させた第1次の海島複合流に対して更に下流側において形成した第2次海島複合流を第2次ロート状部で集合させた後、最終的に吐出孔群から紡出することを特徴とする超多島型複合繊維の紡糸方法が紹介されている。更には、前記特許文献3を改良した技術として、前述の第1次ロート流れと、第2次ロート流れの合流速度を調整することによって安定した海島型複合繊維の溶融紡糸を行う方法が特許文献4に紹介されている。
確かに、これらの溶融紡糸方法によれば、紡糸口金径を小さくしたままで、海成分ポリマー中に形成する島数は大幅に増加するが、今度は、口金の厚みが通常の複合紡糸口金とは異なり極めて厚くなるという問題を惹起する。そうすると、通常の海島型複合繊維用の溶融紡糸装置を最早使用することができず、新たに専用の海島型溶融紡糸設備を製作して、口金の厚みが極端に長くなった溶融紡糸口軽パックを装着できる構造を持たせる必要がでてくる。
しかも、口金の厚みが通常のものよりも極端に厚くなると、その間に口金内に滞留するポリマーの滞留時間も増加し、上流側と下流側とで滞留斑も発生することとなる。そうすると、得られる糸品質としても口金内の滞留時間及びその斑の差の大きさが起因して安定したものを得るのが難しくなる。
一方、特許文献5には、紡糸口金パック内に設置したスタティックミキサーで海成分ポリマーと島成分ポリマーを混合した複合ポリマーを用いて海成分ポリマー中に分散した島成分ポリマーを形成することによって、微細な島成分ポリマーからなる短繊維の集合体の製造方法が提案されている。確かに、この方法によると、超極細繊維を得ることが可能であるが、得られる超極細繊維は繊維長が短い短繊維しか得られない。
また、スタティックミキサーを用いるため、その分割数(静止混練素子の数)、ポリマーの粘度と粘度比、ポリマーの界面特性、紡糸温度などの条件による粘度変化などの要因によって、島成分ポリマー由来の単繊維の繊維径が簡単に左右されてしまい、目標とする単繊維繊度を得るのは難しく、このため島数や島成分ポリマー由来の単繊維繊度が一定した溶融紡糸が難しく、安定した工業生産を実施する上で問題が多い。
特公昭44−18369号公報 特開2001−192924号公報 特公昭58−12367号公報 特開2005−15926号公報 特公昭60−28922号公報
本発明は、前述のような従来の海島型複合溶融紡糸口金において、ポリマー吐出流量を変更することなく、且つ島数を大幅に増やすことにより口金形状を変更すること無く、極細繊維を安定的に得ることを目的とする。
ここに、前記の課題を解決するための本発明によれば、「 海島型複合繊維の構成成分である海成分ポリマーを下流側へ均等に供給する海ポリマー分配室と、
前記海ポリマー分配室中に並列に挿通または突設して設けられた内径が異なる少なくとも2種の前記管状体であって、かつ上流側から供給された島成分ポリマーを前記海成分ポリマーと分離して各管内をそれぞれ流下させることにより多数条に分流する管状体群と、
該管状体のそれぞれに一対一に対応して設けられると共に、前記各管状体の内部を流下する島成分ポリマーと、前記管状体の外部の前記海ポリマー分配室を流下する海成分ポリマーとがその上端部近傍あるいはその内部で芯鞘型複合ポリマー流を形成しながら合流する合流孔群と、
下流側に向って先細形状を呈する漏斗部がその上方に形成され、かつ前記合流孔群から供給された芯鞘型複合ポリマー流が前記漏斗部の上端で貼り合わされて一体化させて海成分ポリマー中に互いに独立に分離して繊維方向に沿って連続した島成分ポリマーからなる多数条のポリマー細流を形成させる吐出孔とを少なくとも備えたことを特徴とする海島型複合繊維の紡糸口金。」が提供される。
なお、本発明に係る「海島型複合繊維の紡糸口金」においては、更に、「該管状体群の構成において、管状体の内径が大きいものを内周側に、管状体の内径の小さなものを外周側に配列させること」が、得られた海島型複合単繊維の海成分ポリマーを除去して島成分ポリマーからなる単繊維群を得た時、繊維径が小さい単繊維群が表面に露出することとなって好ましい。
本発明に係る海島型複合繊維の溶融紡糸口金によれば、口金形状を大径化したり極端に厚くしたりすることなく、また、島成分ポリマーの供給流量を正確かつ厳密に連続計量しながら供給することなく、更には、島数を大幅に増やすこともなく、少なくとも2種の内径を有する管状体群の配列を採用するという極めて簡単な構成によって必要とされる超極細繊維を安定的に得ることが可能となるという極めて顕著な効果を奏する。
以上に述べた本発明に係るの実施形態について、図面を参照にしながら詳細に説明する。図1は、本発明の海島型複合繊維の紡糸用口金の例示した断面図である。
なお、図1には、一本の海島型複合単繊維を紡糸するためのユニットしか例示されていないが、一般にはこれらのユニットが複数個設けられて複数本の海島型複合単繊維が紡糸されるのは言うまでもない。
また、図示されている上口金よりも上流の流路に関しては、前掲の特許文献1〜5などを参照して当業者であれば適宜実施可能な設計事項であるので本発明では詳細説明を省略する。
図1において、参照符号AとBとは、それぞれ島成分ポリマーと海成分ポリマーとを表し、これらは、それぞれ図中に示した矢印方向の上流側から下流側へ向って流れる。このとき、紡糸口金内を流れる島成分ポリマーA、海成分ポリマーB、或いはこれらの複合流は、極めて安定した層流状態に維持されていることは勿論である。このため、これらのポリマー流が形成する流線は、決して互いに交差する事はなく、それ故に、海島型複合繊維、芯鞘型複合繊維、サイド・バイ・サイド型複合繊維といった複合繊維を安定に溶融紡糸することを可能とする。
また、図1中の参照符号1は上口金板、参照符号2は中口金板、そして、参照符号3は下口金板をそれぞれ示す。また、参照符号4は管状体、参照符号5は海成分ポリマーの導入孔、参照符号6は合流孔、参照符号7は吐出孔、参照符号8は島成分ポリマーを分配する島ポリマー分配室、参照符号9は海成分ポリマーの導入流路、そして参照符号10は海成分ポリマーを分配する海ポリマー分配室をそれぞれ示す。
以上に述べた本発明の紡糸口金の実施形態において、前記図1に例示した上口金板1には島成分ポリマーAを供給する島成分ポリマーの島ポリマー分配室8と海成分ポリマーBを供給する海成分ポリマーの海ポリマー分配室10が設けられている。
ここで、先ず前者の島ポリマー分配室8は、島成分ポリマーAを前記管状体4群のそれぞれに分配する役割を果たし、これによって、前記管状体4のそれぞれを介して、島成分ポリマーAが多数条に分流されることになる。次いで、このように多数条に分流された島成分ポリマーAは、中口金板2に穿設された各合流孔6の上端部にそれぞれ導かれる。
他方、後者の海ポリマー分配室10は、図1に示した実施形態例からもわかるように、例えば上口金1と中口金板2との間に形成した間隙からなり均圧室を兼ねている。したがって、導入流路9から導入孔5を介して供給された海成分ポリマーBは、均圧室でもある海ポリマー分配室10から前記各合流孔6へそれぞれ海成分ポリマーBを分配する役割を果たしている。
このとき、海ポリマー分配室10の内部には、図1に示したように各管状体4が互いに並列に挿通または突設されているので、海ポリマー分配室10へ供給された海成分ポリマーBは、挿通または突設された各管状体4の外周をそれぞれ囲繞して流れ、そのまま各合流孔6の上端部近傍あるいはその内部へと流下する。したがって、この過程では、島成分ポリマーAは各管状体4の内部を流れ、海成分ポリマーBは各管状体4の外部を分離された状態で流れるので、島成分ポリマーAと海成分ポリマーBとは互いに交わることがなく、それぞれ分離されて独立した状態で流れている。
ここで、中口金板2について少し補足すると、中口金板2には、前記管状体4のそれぞれに一対一に対応して合流孔6群が穿設されている。その際、この各合流孔6群の上端部近傍あるいはその内部には前述の各管状体4が一対一に対応して並列にそれぞれ設けられている。したがって、各管状体4の内部を流れる島成分ポリマーAが芯成分、各管状体4の外周部を流れる海成分ポリマーBが鞘成分となって合流孔6に合流するので、芯鞘型海島複合流を各合流孔6内で形成させることができる。
これにより、鞘となる海成分ポリマーBをその周囲に纏った、芯となる島成分ポリマーAから構成される芯鞘型の海島複合流を、芯鞘状態を維持したままで、各合流孔6から吐出孔7へと導入することができる。このように、この過程では各合流孔6を流下する海島型複合ポリマー流は島成分ポリマーAが芯成分、海成分ポリマーBが鞘成分をそれぞれ構成している。
次いで、前記のようにして各合流孔6の上端部近傍あるいは内部にて合流して形成された各芯鞘型複合ポリマー流は、下口金板3へ導入される。なお、この下口金板3には、吐出孔7が穿設されており、各合流孔6へと分流されて各合流孔6をそれぞれ流下した各芯鞘型複合ポリマー流がこの吐出孔7の上端部で一体化され一体化ポリマー流となる。この一体化の過程においては、芯成分を構成する島成分ポリマーAは、鞘成分を構成する海成分ポリマーBによって覆われているので、島成分ポリマーA同士は互いに接合せずに、海成分ポリマーB同士が接合する。したがって、この時点で海島型ポリマー流が形成されるのである。
なお、海島型ポリマー流が形成される吐出孔7の上方には、一体化して形成された海島型ポリマー流(すなわち、海成分ポリマーB中に多数の島成分ポリマーAが分離した状態でそれぞれ独立に形成された複合一体ポリマー流)を下流側へ流れるに従って徐々に細化させる漏斗状部が設けられている。このようにして、前記合流孔6群をそれぞれ流下した芯鞘型複合ポリマー流は、前記吐出孔7の上方で集合させられて貼り合わされて一体化される。
このようにして、海成分ポリマーB同士が互いに貼り合わされて一体化された海島型複合ポリマー流となり、海成分ポリマーB中に互いに分離した状態で繊維軸方向に沿って連続的に形成された島成分ポリマーAからなる単繊維の原型が形成される。なお、このようにして一体化された海島型複合ポリマー流が吐出孔7の漏斗部を流下するに従って、次第に細化させられ、これと共に島成分ポリマーA由来の島部も同時に細化され、最終的に下口金板3に穿設された吐出孔11から1本の海島型複合単繊維として紡出される。
次に、以上のように構成される本発明の海島型複合繊維の紡糸口金において、超極細繊維を得るための海島型複合繊維を安定して得る複合紡糸口金の構造について説明する。
前述の通り、島成分ポリマーAは、均圧室を兼ねる島ポリマー8を経由して各管状体4にそれぞれ均等に分配される。この時に、島成分ポリマーAがニュートン流体であると仮定した場合に、この島成分ポリマーAには、各管状体4を通過する際に、その流量と管状体4の長さに比例し、かつ半径の4乗に反比例するような圧力降下(圧力損失)が生じる。
なお、通常の海島型複合紡糸口金に用いる管状体4群は全て同じ形状のものが用いられるので、その管長さと内径は全ての管状体4で同じである。したがって、島成分ポリマーAが管状体4群を通過した後に、海成分ポリマーBと合流する吐出孔7の上端部の水平面では圧力はほぼ均一になる。また、当然のことながら、各管状体4を流下する島成分ポリマーAの各流量もほぼ均一になり、その結果、海成分ポリマーB中に分布する均一な島成分を得ることができる。
これに対して、例えば基準となる管状体4群の内径を選定し、全管状体4の半分をこの基準内径を有するもので構成し、残り半分の管状体4の内径を基準外径より1.2倍程度拡大したと仮定する。そうすると、管状体4の肉厚にもよるが、全ての管状体4群の占有面積は、管状体4群が全て基準内径を有すると仮定した場合と比較するとほぼ1.1倍〜1.25倍程度に収まる。したがって、このような場合において、複合紡糸口金の口金径は、通常のものと比較してほとんど変わらない程度にすることができる。
次に、各管状体4を流下する島成分ポリマーAの圧力損失を算出する前述の比例・反比例の関係より、基準内径を有する管状体4の出側と、これに対して1.2倍の内径を有する管状体4の出側の圧力損失を同じとなる条件を検討する。そうすると、基準内径を有する管状体4と、この基準内径に対して1.2倍の内径を有する管状体4とでは、1.2倍の内径を有する管状体4の方が、1.2の4乗の流量、即ち約2倍の流量を必要とする。
したがって、基準内径を有する管状体4と、これに対して1.2倍の内径を有する管状体4とへ同時に島成分ポリマーAを同時に流すと、基準内径を有する管状体4では0.67倍の流量、1.2倍の内径の管状体4では1.33倍の流量が流れることとなる。このため、島成分ポリマーAの全体流量を変更せずに、管状体4群を構成する各管状体4の内径を相対的に変えるだけで、各管状体4を流れる島成分ポリマーAの流量を自在に調節できる。
このため、複合紡糸口金から紡出する島成分ポリマーAの全ポリマー吐出量を計量精度良く制御しながら低吐出量化する必要もなく、また、一本の海島型複合単繊維中に形成する島数を増やすこともなく、局所的ではあるが数十ナノメータから数百ナノメータに至る超極細径の繊維を容易に得ることが可能となる。つまり、1本の海島型複合単繊維中に局所的にではあるが数十ナノメータから数百ナノメータの単繊維径を有する超極細繊維を簡易かつ良好に形成できるのである。
このとき、異なる内径を有する管状体4群をどのような配列とするかに関しては、特に制限する必要はない。しかしながら、管状体4群中を流れる島成分ポリマーAの流量は、前述のように、その半径の4乗に反比例して変化するため、内径の大きい管状体4群を外側に配列すると、内径の大きい管状体4群を経由した島成分ポリマーAによって形成される島の断面を円形に維持することが難しいことが分かっているので、このような点からは好ましくない。
なお、超極細繊維が奏する効果として挙げられる独特の風合いや、糸表面積が多いことによる独自の機能性を得るためには、マルチフィラメント糸を構成する多数の単繊維(フィラメント)の中で、その単繊維径が細いものが外側に露出し、その単繊維径が太いものが内側に存在するようにすることが好ましい、したがって、このようなマルチフィラメント糸を得るという観点からは、内径の小さい管状体4群を外側に配列させ、内径の大きい管状体4群を内側に配列させることが望ましい。また、管状体4群は通常円形領域内に設置するが、このような設置分布を行なう際に、内径の大きい管状体4群を内側に設けることにより、配列する管状体4群の全本数をより多くすることができるので、省スペースという面からも効果的である。
最後に、1本の海島型単繊維中に1000島を形成する際に、有効口径が30mmの海島型複合紡糸口金に対して、管状体4群の内径を変更することなく全管状体4の内径を0.15mmとした場合の普通に行なわれている海島型複合繊維の溶融紡糸口金と比較して、実際に行なっている本発明の溶融紡糸口金に係る実施形態例について説明する。
本発明の紡糸口金では、比較の対象とする前記口金に対して、35本の「内径が0.6mmの管状体4群」を円形領域の内側に配列し、900本の「内径が0.15mmの管状体4群」を円形領域の外側に配列することができた。そして、この口金により得られた海成分ポリマー中に形成された単繊維径は、比較の対象とした口金対比で約半分の単繊維径を有する超極細の単繊維であった。
このように、本発明に係る海島型複合繊維の溶融紡糸口金においては、島成分ポリマーの供給流量を正確かつ厳密に低下させて連続供給する必要もなく、また、島数を大幅に増やすこともなく、従来の口金対比で約半分の単繊維径を有する超極細の単繊維群を得ることができる。しかも、この場合に要求されるのは、内径が異なる管状体4群を適切に配列することだけである。
ただし、本発明に係る溶融紡糸口金では、超極細繊維が局所的に形成され、それ以外にも単繊維径が大きなものが同時に形成される。しかしながら、一般に望まれるマルチフィラメント糸では、芯部に繊維径が大きな単繊維群(フィラメント群)を配置して、糸の強度などを確保する骨格を形成させ、鞘部に機能性を有する超極細繊維を配置させることが行なわれている。したがって、本発明に係る溶融紡糸口金で紡糸されたマルチフィラメント糸は、より実用的な機能性において優れているといえる。
次に、同様に、810本の「内径が0.15mmの管状体4」を円形領域の外側に配列し、72本の「内径が0.4mmの管状体4」を外側に設置した溶融紡糸口金を使用して海島型複合繊維を紡糸した。このとき得られた島成分ポリマーA由来の単繊維の繊維径は最初の口金対比で約半分の単繊維径を得ることが可能であった。ただし、得られた単繊維の横断面を光学顕微鏡によって拡大した写真を撮影して観察すると、内径が0.4mmの管状体4群を経由して形成された単繊維のアスペクト比(単繊維の横断面における長軸方向長さ(a)と短軸方向長さ(b)の比(a/b))が4以上の扁平な単繊維となっており、円形断面の単繊維ではなかった。
本発明に係る海島型複合繊維の溶融紡糸口金の要部構造を例示した概略構成図(正断面図)である。
符号の説明
1 上口金板
2 中口金板
3 下口金板
4 管状体
5 海成分導入孔
6 合流孔
7 吐出孔
8 島ポリマー分配室
9 海成分ポリマーの導入流路
10 海ポリマー分配室

Claims (2)

  1. 海島型複合繊維の構成成分である海成分ポリマーを下流側へ均等に供給する海ポリマー分配室と、
    前記海ポリマー分配室中に並列に挿通または突設して設けられた内径が異なる少なくとも2種の前記管状体であって、かつ上流側から供給された島成分ポリマーを前記海成分ポリマーと分離して各管内をそれぞれ流下させることにより多数条に分流する管状体群と、
    該管状体のそれぞれに一対一に対応して設けられると共に、前記各管状体の内部を流下する島成分ポリマーと、前記管状体の外部の前記海ポリマー分配室を流下する海成分ポリマーとがその上端部近傍あるいはその内部で芯鞘型複合ポリマー流を形成しながら合流する合流孔群と、
    下流側に向って先細形状を呈する漏斗部がその上方に形成され、かつ前記合流孔群から供給された芯鞘型複合ポリマー流が前記漏斗部の上端で貼り合わされて一体化させて海成分ポリマー中に互いに独立に分離して繊維方向に沿って連続した島成分ポリマーからなる多数条のポリマー細流を形成させる吐出孔とを少なくとも備えたことを特徴とする海島型複合繊維の紡糸口金。
  2. 請求項1において、該管状体群の構成において、管状径が大きいものを内周に、管状径の小さなものを外周に配列させたことを特徴とする海島型複合繊維の溶融紡糸口金。
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