JP6015300B2 - 複合口金および複合繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2種類以上のポリマーによって構成される複合ポリマー流を吐出するための複合口金および複合繊維の製造方法に関するものである。
ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性ポリマーを用いた繊維は、力学特性や寸法安定性に優れるため、用途が多様化し、様々な機能性を付与した繊維が数多く開発されるようになった。
例えば、衣料用途では、鮮明性に優れた染色の実現等の新たな機能性付与の狙いでポリマーを改質する等の改良が行われている。また、産業資材用途では、高強度化、高弾性化や、耐候性、難燃性等の新たな機能性付与を狙ったポリマーの改質等の改良が行われている。さらに、上記改良に加えて、2種類以上のポリマーを組み合わせることによって、単一成分のポリマーでは不十分な性能を補完したり、また、全く新しい機能を付与する複合繊維の開発も盛んに行われている。
この複合繊維には、複合口金を用いて得られる芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型繊維と、ポリマー同士を溶融混練することで得られるアロイ型がある。芯鞘型は、芯成分を鞘成分が被覆することで、単独繊維では達成されない風合い、嵩高性などといった感性的効果、また、強度、弾性率、耐摩耗性などといった力学特性の付与が可能となる。また、サイドバイサイド型では、単独繊維では不可能であった捲縮性を発現させ、ストレッチ性等を付与することが可能となる。
そして、海島型では、溶融紡糸した後に易溶出成分(海成分)を溶出することにより、難溶出成分(島成分)だけが残存し、単繊維の糸径がナノオーダーの極細繊維を得ることが可能となる。
このような極細繊維になると、衣料用途では、一般の繊維では得ることができない柔軟なタッチやきめ細やかさが発現し、人工皮革や新感触テキスタイル等に適用でき、また、繊維間隔が緻密となることから、高密度織物として、防風性、撥水性が必要とされるスポーツ衣料用途にも展開できる。また、産業資材用途では、比表面積が増大し、塵埃捕集性が高まることによる高性能フィルタ等への適用や、また、極細繊維が微細な溝に入りこみ、汚れを拭き取ることによる精密機器などのワイピングクロスや、精密研磨布等にも適用が可能となる。
なお、複合口金により複合繊維を製造する手法を、一般的に、複合紡糸法と言い、ポリマー同士の溶融混練にて製造する手法を、ポリマーアロイ法と言う。上述のような極細繊維を製造するには、ポリマーアロイ法でも可能であるが、繊維径の制御には限界があり、均一、均質な極細繊維を得るのが困難である。それに対して、複合紡糸法は、複合口金で複合ポリマー流を精密に制御し、特に、糸の走行方向において高精度な糸断面形態を均一、均質に形成できる点においては、ポリマーアロイ法よりも優位性が高いと考えられている。当然のことながら、この複合紡糸法における複合口金技術が、安定的に糸断面形態を決定する上で極めて重要であり、従来から、様々な提案が行われている。
例えば、特許文献1では、図5(a)に示すような複合口金が開示されている。図5の(a)は特許文献1の複合口金の概略縦断面図であり、(b)は特許文献1の複合口金から得られる複合繊維の概略縦断面図である。図中、20は第3プレート、21は第3プレート島成分貫通孔、22は第3プレート海成分貫通孔、23は第4プレート、24は第4プレート縮流孔、25は第5プレート、26は第5プレート島成分貫通孔、27は第5プレート海成分貫通孔、28は第6プレート、29は第6プレート縮流孔、30は第7プレート、31は第7プレート縮流孔、32は供給孔、33は海成分ポリマー、34は島成分ポリマー、35は海成分ポリマーまたはその他成分ポリマーをそれぞれ示す。
以下、各図面において、説明済みの図に対応する部材が存在する場合は、同じ参照符号を用いて説明を省略することがある。
特許文献1の複合口金においては、第3プレート20の、島成分ポリマーを吐出するための第3プレート島成分貫通孔21と、海成分ポリマーを吐出するための第3プレート海成分貫通孔22より、それぞれ吐出される両成分のポリマーが、第4プレート23の第4プレート縮流孔24にて合流し、複合ポリマー流を形成した後、第4プレート縮流孔24のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が減少する領域で縮流する。また、第5プレート25の、島成分ポリマーを吐出するための第5プレート島成分貫通孔26と、海成分ポリマーを吐出するための第5プレート海成分貫通孔27より、それぞれ吐出される両成分のポリマーが、第6プレート28の第6プレート縮流孔29にて合流し、複合ポリマー流を形成した後、第6プレート縮流孔29のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が減少する領域で縮流する。これら複数の複合ポリマー流は、第7プレート30の第7プレート縮流孔31において合流し、供給孔32から供給された海成分により囲い込んで被覆された後、第7プレート縮流孔31のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が減少する領域にて縮流することで、海成分ポリマー35で被覆された海成分ポリマー33中に多数の極微細な島成分ポリマー34を有する複合繊維を形成できることが記載されている。
しかしながら、特許文献1では、1本の複合繊維を形成するための流路は、複数の第6プレート縮流孔29をポリマー紡出経路方向に垂直な方向に隣接して構成されており、口金全体に渡り、広範囲な流路領域を必要とすることから、多数の複合繊維を製造することができない場合がある。また、本発明者らの知見によると、第5プレート島成分貫通孔26、および、第5プレート海成分貫通孔27に各成分のポリマーを供給するための流路を、第6プレート縮流孔29をポリマー紡出経路方向に投影した領域より外側の領域に設ける必要があるため、上記の問題がより顕著になる場合がある。
また、本発明者らの知見によると、第7縮流孔31において、第6縮流孔29から供給される複合ポリマー流は、ポリマー紡出経路方向に進行するが、供給孔32から供給される海成分ポリマーは、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向から流入して、前記の複合ポリマー流と合流するので、合流時に海成分ポリマーと島成分ポリマーの界面が不安定化し、得られる複合繊維において、均一な断面が形成されない場合がある。
特開2007−39858号公報
本発明の目的は、口金当たりの複合繊維の数を多くし、引いては、口金当たりの島数の増加、島ポリマー比率(一本の複合繊維の断面における島成分の面積割合)の向上ができる複合口金、および複合口金を用いた複合紡糸機により溶融紡糸を行う複合繊維の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、島成分ポリマーと海成分ポリマーによって構成される複合ポリマー流を吐出するための複合口金であって、(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とする複合口金が提供される。
(1)複合口金は、ポリマー紡出経路方向の下流側に向かい順に、各ポリマーを供給する上段分配装置と、上段吐出板と、上段縮流板と、下段吐出板と、下段縮流板とで構成すること。
(2)前記上段吐出板において、前記上段分配装置から供給された海成分ポリマーを吐出する複数の上段海吐出孔と、島成分ポリマーを吐出する複数の上段島吐出孔、あるいは複合ポリマー流を吐出する複数の上段複合吐出孔と、前記上段分配装置から供給された海成分ポリマーを供給する1つ以上の上段海供給孔と、島成分ポリマーを供給する1つ以上の上段島供給孔とが形成され、前記上段縮流板において、前記上段海吐出孔と前記上段島吐出孔、あるいは前記上段複合吐出孔とに連通する上段縮流孔と、前記上段海供給孔に連通する海導入孔と、前記上段島供給孔に連通する島導入孔とが形成され、前記下段吐出板において、前記上段縮流孔に連通する下段供給孔と、前記海導入孔に連通する複数の下段海吐出孔と、前記島導入孔に連通する複数の下段島吐出孔、あるいは前記海導入孔と前記島導入孔とに連通する複数の前記下段複合吐出孔とが形成され、
前記下段縮流板において、前記下段供給孔に連通する下段吐出孔と、前記下段海吐出孔と前記下段島吐出孔、あるいは前記下段複合吐出孔とに連通する下段縮流孔とが形成されていること。
(3)前記上段縮流孔および前記下段縮流孔において、ポリマー紡出経路方向の最上流位置より最下流位置の方が、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が小さいこと。
(4)前記上段縮流孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる断面、あるいは前記上段縮流孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる外接円をポリマー紡出経路方向に投影した領域内に、前記下段縮流孔の一部が存在すること。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記上段島供給孔、前記上段海供給孔、前記島導入孔および前記海導入孔が、前記下段縮流孔をポリマー紡出経路方向に投影した領域内で、かつ、前記上段縮流孔の形成された領域を除く領域に存在することを特徴とする複合口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記上段島吐出孔と前記下段島吐出孔の孔充填密度が2.0個/mm以上である複合口金が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、(1)〜(5)の要件を満足する複合口金が提供される。
(1)上段縮流孔および下段縮流孔と一対一に対応し、連通して形成された口金吐出孔において、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が、ポリマー紡出経路方向の最上流位置よりも最下流位置にて小さくなること。
(2)前記上段島吐出孔と前記下段島吐出孔を通過するポリマーの質量流量が同一で、かつ前記上段海吐出孔と前記下段海吐出孔を通過するポリマーの質量流量が同一、あるいは、前記上段複合吐出孔と前記下段複合吐出孔を通過するポリマーの質量流量が同一であること。
(3)前記上段海吐出孔と前記下段海吐出孔の孔径、孔長、孔数および孔配置がそれぞれ同一で、かつ前記上段島吐出孔と前記下段島吐出孔の孔径、孔長、孔数および孔配置がそれぞれ同一、あるいは前記上段複合吐出孔と前記下段複合吐出孔の孔径、孔長、孔数および孔配置がそれぞれ同一であること。
(4)前記上段縮流孔と前記下段縮流孔の縮流比が同一であること。
(5)前記口金吐出孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が最小となる領域における形状が同一であること。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記複合口金を用いた複合紡糸機により、溶融紡糸を行う複合繊維の製造方法が提供される。
本発明において、「ポリマーの紡出経路方向」とは、各成分のポリマーが、上段吐出板に配置された上段島吐出孔または上段海吐出孔、あるいは上段複合吐出孔から、下段縮流板に配置された下段吐出孔まで流れる主方向をいう。
本発明において、「孔充填密度」とは、上段縮流孔および下段縮流孔の、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる断面を、ポリマー紡出経路方向に投影した領域をすべて内包する、ポリマー紡出経路方向に垂直な外接円の面積を、口金吐出孔の数で、除することによって求めた値をいう。この孔充填密度が大きい程、島成分が多数にて構成される複合繊維である。
本発明において、「縮流比」とは、ポリマー紡出経路方向に断面積が変化する領域にて、ポリマー紡出経路方向の最上流位置におけるポリマー紡出経路方向と垂直な方向の断面積を、ポリマー紡出経路方向の最下流位置におけるポリマー紡出経路方向と垂直な方向の断面積で、除することによって求めた値をいう。
本発明において、「孔配置がそれぞれ同一」とは、上段島吐出孔と上段海吐出孔のポリマー紡出経路方向に投影することで得られる図形と、下段島吐出孔と下段海吐出孔のポリマー紡出経路方向に投影することで得られる図形とが合同であること、あるいは、上段複合吐出孔、および下段複合吐出孔のポリマー紡出経路方向に投影することで得られる図形とが合同であることをいう。ただし、完全合同だけでなく、上段島吐出孔と上段海吐出孔との孔間距離、および下段島吐出孔と下段海吐出孔との孔間距離が、±10%の誤差を含むものをいう。
本発明における「同一」とは、±10%の誤差を含むものをいう。具体的には、孔径および孔長においては、長さが±10%の誤差を含むものをいい、孔数においては、個数が±10%の誤差を含むものをいい、縮流比においては、比率が±10%の誤差を含むものをいい、質量流量においては、±10wt%の誤差を含むものをいい、吐出孔の位置関係においては、孔間距離が±10wt%の誤差を含むものをいう。
本発明の複合口金によれば、上段縮流孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる断面を、ポリマー紡出経路方向に投影した領域内に、下段縮流孔の一部が存在する構成とすることで、口金吐出孔を高密度に配置でき、複合繊維の数を多くし、引いては、複合口金当たりの島数の増加や、島ポリマー比率の向上が可能となる。
本発明の実施形態に用いられる複合口金と、紡糸パック、冷却装置周辺の概略縦断面図である。 本発明の実施形態に用いられる複合口金の概略上面図であり、図1のA-A’矢視図である。 本発明の実施形態に用いられる複合口金の部分拡大縦断面図であり、図1のC-C’断面図である。 図1のC-C’と同じ断面から見た本発明の別の実施形態に用いられる複合口金の部分拡大縦断面図である。 従来例の複合口金の概略縦断面図である。 従来例の複合口金により製造された複合繊維の概略断面図である。 図1のC-C’と同じ断面から見た本発明の別の実施形態に用いられる複合口金の部分拡大縦断面図である。 本発明の実施形態では無い、一般的に用いられている複合口金の部分概略縦断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の複合口金の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に用いられる複合口金と、紡糸パック、冷却装置周辺の概略縦断面図であり、図2は図1のA-A’矢視の断面図であり、図3は図2のC-C’の部分拡大縦断面図であり、図4、6は本発明の別の実施形態に用いられる複合口金の図2のC-C’と同じ断面から見た部分拡大縦断面図である。なお、図2において、点線で記載される円の面積を、口金吐出孔の数で、除することによって求めた値が、孔充填密度である。これらは、本発明の要点を正確に伝えるための概念図であり、図を簡略化しており、本発明の複合口金は特に制限されるものでなく、孔の数ならびにその寸法比などは実施の形態に合わせて変更可能なものとする。
まず、本発明の最も重要なポイントである、複合口金当たりの複合繊維の数を多くできる原理について説明する。はじめに、従来技術と本発明の違いを明確にするため、一般的な実施形態の複合口金における縮流孔の配置について、図7を用いて説明する。
一般的な複合口金17は、図7に示すように、下段分配装置410、下段吐出板3、下段縮流板4を、ポリマー紡出経路方向に順に積層して構成されており、下段分配装置410は、各成分のポリマーを複数流路に分配する分配流路45が形成され、下段吐出板3では、分配流路45に連通して下段海吐出孔14、下段島吐出孔13が形成されており、更に、下段縮流板4では、下段海吐出孔14、下段島吐出孔13に連通して、下段縮流孔16が形成され、最終的に口金吐出孔18に連通している。下段分配装置410に供給された各ポリマーは、各々、分配流路45により分配され、海成分ポリマーは下段海吐出孔14に、島成分ポリマーは下段島吐出孔13に導入された後、下段縮流孔16にて合流し、複合ポリマー流となり、口金吐出孔18より吐出され、複合繊維を形成する。
ここで、1つの複合口金から得られる複合繊維の本数は、口金吐出孔18の数となり、それと同じ数の下段縮流孔16が必要となることから、下段縮流板4に形成される下段縮流孔16の大きさや配置、形状の制約を受ける。例えば、複合繊維の数を増やすために、下段縮流孔16の孔径や配置を工夫し、更に、下段縮流孔16同士を加工限界まで密接して配置していたが限界がある。また、下段縮流孔4の上流側に連通した、島成分ポリマーを供給する下段島吐出孔13を多数配置することにより、1本の複合繊維の中の島成分の数を増やし、延いては、複合口金当たりの島数を増やすこと(多島化)が可能となるが、上記のように、下段縮流孔16の数に制約を受けると、島数の増加にも限界がある。そこで、本発明者らは、従来の技術では、何の配慮もされていなかった、上記の問題に対して、鋭意検討を重ねた結果、本発明の新たな技術を見出すに至った。
即ち、本発明の複合口金は、図3に示すように、ポリマー紡出経路方向に、各ポリマーを供給する上段分配装置409と、上段吐出板1と、上段縮流板2とを1つの組み合わせとして順に積層して構成し、そのポリマー紡出経路方向の下流側に下段分配装置410と、下段吐出板3と、下段縮流板4とを1つの組み合わせとして順に積層して構成している。
下段吐出板3と下段縮流板4に形成された各流路(下段海吐出孔14、下段島吐出孔13、下段縮流孔16)は、前記の一般的な複合口金と同じ役割を有しており、また、上段吐出板1と上段縮流板2には、上段海吐出孔6、下段島吐出孔5、上段縮流孔9が形成されており、下段海吐出孔14と上段海吐出孔6、下段島吐出孔13と上段島吐出孔5、そして、下段縮流孔16と上段縮流孔9とは、それぞれ同じ役割を有している。そのため、下段縮流板4では、下段縮流孔16を通じて口金吐出孔18から複合ポリマー流が吐出されると共に、上段海吐出孔6から吐出された海成分ポリマーと、上段島吐出孔5から吐出された島成分ポリマーは、上段縮流孔9にて合流し、複合ポリマー流を形成する。この複合ポリマー流は、その下流側に連通した下段供給孔12、更に、その下流側に連通した下段吐出孔15に導かれ、最終的に口金吐出孔18から吐出される。
ここで、下段吐出板3の下段海吐出孔14に海成分ポリマーを供給するために、上段吐出板1には、上段海供給孔8が形成され、それに連通し、上段縮流板2には、上段海導入孔11が形成されている。また、下段吐出板3の下段島吐出孔13に島成分ポリマーを供給するために、上段吐出板1には、上段島供給孔7が形成され、それに連通し、上段縮流板2には、上段島導入孔10が形成されている。また、上段分配装置409には、上段吐出板1の流路に各ポリマーを供給する分配流路45が設けられている。また、上段縮流板2と下段縮流板4との間には、下段分配装置410が構成されていてもよく、この場合、上段海導入孔11と下段海吐出孔14、上段島導入孔10と下段海吐出孔13、そして上段縮流孔9と下段供給孔12とを連結する役割を有している。
そこで、本発明の複合口金の上段縮流孔9は、少なくとも一部に、ポリマー紡出経路方向に沿って断面積が縮小する領域を有しており、ポリマー紡出経路方向の下流に従い、隣り合う上段縮流孔9同士において、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の距離が拡大するため、流路が存在しないスペースが設けられている。本発明者らは、このスペースに新たな流路を形成できると着想し、本発明の複合口金を見出した。
従来の複合口金では、1つの分配装置と吐出板、および縮流板からなる流路の組み合わせによって複合繊維を形成していたが、これを上段に配設した上段分配装置409、上段吐出板1、上段縮流板2と、そのポリマー紡出経路方向の下流に配設した下段分配装置410、下段吐出板3、下段縮流板4の複数段の構成とすることで、縮流孔の数を拡大し、複合繊維の本数、延いては島成分の数を増加させるものである。但し、重要なのは、単純に、上段縮流孔9と同じ孔数、孔径、孔配置となる下段縮流孔16を配置したとしても、下段縮流孔16に各成分ポリマーを供給するための流路(上段海供給孔8、上段島供給孔7と、それに連通する上段海導入孔11、上段島導入孔10)のスペースが必要となることから、縮流孔の数の拡大の効果は極めて小さくなる。
そこで、本発明の上段縮流孔9は、ポリマー紡出経路方向の下流側に断面積が小さくなる絞り形状とすることにより、下段縮流孔16が配置できる領域を形成する。つまりは、下段縮流孔16のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる断面を投影した領域内に、上段縮流孔9の一部が存在することである。そして、下段縮流孔16に各成分ポリマーを供給するために、上段海導入孔10、および上段島導入孔11の流路を流路圧損が大きくならない範囲で、小径化する。更に、上段縮流孔9にて得られた複合ポリマー流を最短で口金吐出孔18にまで導くために、下段縮流孔16が配設されていない領域に、下段供給孔12、下段吐出孔15を形成することである。
これを、複合口金の上面図で見ると、図2に示すように、上段縮流孔9と下段縮流孔16が重なり合って配置されており、これらが配設された領域以外を導入孔、供給孔がそれぞれ配置される形態となる。 また、本発明の口金吐出孔18は、最終的にポリマー紡出経路方向の断面が減少する絞り部分を有しており(最終下面では、断面積が変化しないストレート部を有している)、これにより、複合口金から吐出される複合ポリマーの計量性を確保し、複合繊維の断面の均一性を得ているが、それまでの複合ポリマーの供給孔、特に、下段供給孔12や下段吐出孔15は、流路圧損が大きくならない程度に流路断面積を大きくするのが好ましい。
これにより、本発明の複合口金は、1つの複合口金当たりの縮流孔(上段縮流孔9と下段縮流孔16)の数を増やすことができ、引いては、複合繊維の数を多くし、口金当たりの島数が増加することが可能となる。また、それに伴い、1つの複合繊維を形成する島成分ポリマーの比率も高くなる。更に、上段吐出板1の上段島吐出孔5および上段海吐出孔6は、上段縮流孔9の任意の位置に配置できるため、上段島吐出孔5を、上段縮流孔9のポリマー紡出経路方向に投影した領域の全面に配置することで、隣り合う島吐出孔同士の距離を大きくし、その間に海吐出孔を配置できることから、得られた複合繊維の島成分ポリマーの間隔が大きくなる。そのため、海成分ポリマーの溶出処理時に島成分ポリマー間に溶出液が侵入し易くなり、溶出処理が容易となる。下段吐出板3の下段島吐出孔13および下段海吐出孔14についても同様に、島数、および島成分ポリマー比率の向上が可能となる。次いで上段分配装置409、下段分配装置410での各成分ポリマーの分配、供給が分配型方式となる場合として、図3を用いて説明する。
上段分配装置409および下段分配装置410は、計量板と呼ばれる厚板と、分配板と呼ばれる薄板が複数枚積層して構成されており、この計量板と分配板同士が、位置決めピンにより、複合口金17の中心位置(芯)が合うように位置決めを行い、ネジ、ボルト等で固定してもよく、また、熱圧着により金属接合(拡散接合)させてもよい。ここで、計量板には、島成分ポリマーと海成分ポリマーを各々分配し、分配板の供給するための流路溝や流路孔が加工されており、流路孔により一定の流路圧損を付与することで、最上部に位置した分配板の流入流路に均一にポリマーを供給する役割を有している。また、一枚の分配板には、島成分ポリマーと海成分ポリマーを各々分配するための分配孔402および/または分配溝401が形成されており、分配溝401は、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向にポリマーを導き、分配孔402は、ポリマー紡出経路方向にポリマーを導く役割を有している。分配孔を有した分配板と、分配溝を有した分配板を交互に積層させ、1つの分配孔に対して、そのポリマー紡出経路方向の下流側の位置に連通する1つの分配溝を形成し、その分配溝の端部に連通する複数個の分配孔を構成するトーナメント方式の流路を形成することで、計量板にて分配された各成分のポリマーを更に微細なポリマーに分割することができる。また、上段分配装置409には、下段縮流孔16に各成分ポリマーを供給する上段島供給孔7と上段海供給孔8がポリマー紡出経路方向に貫通して形成されており、下段分配装置410には、上段縮流孔9の複合ポリマーを供給する下段供給孔12がポリマー紡出経路方向に貫通して形成されている。
そこで、分割された島成分ポリマーは、上段吐出板1においては上段島吐出孔5に、下段吐出板3においては下段島吐出孔13に流入され、また、海成分ポリマーは、上段吐出板1においては上段海吐出孔6に、下段吐出板3においては下段海吐出孔14にそれぞれ流入し、吐出された後、上段縮流孔9、または下段縮流孔16にて合流し、複合ポリマー流を形成する。
この複合ポリマー流は、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面が変化しない領域にて、両成分ポリマーの界面を安定させ、続いて、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が減少する領域にて、縮流される。次いで、上段分配装置409、下段分配装置410での各成分ポリマーの分配、供給がパイプ型方式となる場合として、図4を用いて説明する。
上段分配装置409および下段分配装置410は、島成分ポリマーが供給する島導入パイプ207と、海成分ポリマーを供給する海供給孔205と、海供給孔205に連通する分配室206が形成されている。ここで、上段分配装置409の島導入パイプ207は、上段複合吐出孔208と一対一に対応し、分配室206と共に、上段複合吐出孔208に連通し、また、下段分配装置410の島導入パイプ207は、下段複合吐出孔215と一対一に対応し、分配室206と共に、下段複合吐出孔215と連通している。また、上段分配装置409には、下段縮流孔16に各成分ポリマーを供給する上段島供給孔7と上段海供給孔8がポリマー紡出経路方向に貫通して形成されており、下段分配装置410には、上段縮流孔9の複合ポリマーを導入する下段供給孔12がポリマー紡出経路方向に貫通して形成されている。
ここで、島導入パイプ207から吐出された島成分ポリマーと、分配室206から供給された海成分ポリマーとが、上段複合吐出孔208、または下段複合吐出孔215にて合流し、海成分ポリマーに包み込まれるように芯鞘複合ポリマー流を形成し、上段縮流孔9、または下段縮流孔16に吐出される。この複合ポリマー流は、前記の分配型方式と同様に、界面の安定化、縮流される。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、図6に示すように、下段縮流孔16をポリマー紡出経路方向に投影した領域内で、かつ上段縮流孔9の形成された領域を除く領域に、上段島供給孔7、上段海供給孔8、上段島導入孔10、および、上段海導入孔11を配置するのが良い。
これにより、下段縮流孔16に各ポリマーを供給する流路が、下段縮流孔16のポリマー紡出経路方向の最上流位置の断面を投影した領域に含むことができ、その結果、上段縮流板2、および下段縮流板4において、多くの上段縮流孔9、下段縮流孔16を配置することが可能となり、複合口金当たりの複合繊維の数を更に多くできる。
また、分配型方式口金、パイプ型方式口金のいずれにおいても、島成分ポリマーと海成分ポリマーは、ポリマー紡出経路方向に進行しながら合流するので、界面は安定的に形成され、得られる複合繊維において島成分は均一な断面を形成することができる。 また、本発明においては、孔充填密度が2.0個/mm以上であることが好ましい。孔充填密度が2.0個/mm以上であれば、従来の複合口金技術との差異がより明確となる。本発明者等が検討した範囲では、孔充填密度は2.0〜20.0個/mmの範囲であれば実施可能であった。この孔充填密度という観点では、本発明の複合口金の優位性が得られる範囲としては2.0〜20.0個/mmが好ましい範囲である。孔充填密度が2.0個/mm以上の場合には、一つの島成分の繊維径が500nm級となるマルチフィラメントを得ることができる。また、孔充填密度が20.0個/mm以上においては、繊維径が300nm以下となる超マルチフィラメントの形成が可能であるが、縮流板を5枚以上に積層させて形成するため、口金製作費用が膨大になる。また、流路長が長くなり、流路圧損が大きくなるため、この場合には、適用できるポリマーの種類が限定される場合がある。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、上段縮流孔9と、下段縮流孔16とに供給する各成分のポリマーの質量流量をそれぞれ同一とし、上段海吐出孔6と下段海吐出孔14、および、上段島吐出孔5と下段島吐出孔13、あるいは上段複合吐出孔208と下段複合吐出孔215との孔径、孔長、孔数および孔配置をそれぞれ同一とし、上段縮流孔6と下段縮流孔16の縮流比を同一とし、口金吐出孔18のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が最小の領域における形状を同一とすることにより、上段吐出板1の最上流位置の流路孔から、下段縮流板4に配設された口金吐出孔18に至る全ての流路圧損を等しくすることができる。その結果、複合口金から吐出される複合繊維の断面の均一性を向上させることが可能となる。ここで、流路圧損はポリマーが押出機から供給され、口金吐出孔18にて吐出されるまでの流路全長に渡って発生するが、上段吐出板1よりポリマー紡出経路方向の下流側で発生する流路圧損が支配的なため、上段吐出板1から下段縮流板4までの流路圧損を、等しくすればよい。
また、上段縮流孔9と下段縮流孔16に連通した各吐出孔(上段島吐出孔5と上段海吐出孔6の位置関係、下段島吐出孔13と下段海吐出孔14)の位置関係を同一とすることで、複合繊維中の島成分ポリマーの配置を等しくすることができる。
次に、図1、図2、図3、図4、図6に示した本発明の実施形態の複合口金17に共通した各部材、各部材の形状について詳細に説明する。
本発明の各成分のポリマーを吐出するための各流路孔は、円形、多角形、星型など、いずれでもよく、更に、ポリマー紡出経路方向に沿って断面が変化してもよく、実施の形態に合わせて変更可能なものとする。特に、上段吐出板1、上段縮流板2、下段吐出板3、下段縮流板4、上段島吐出孔5、上段海吐出孔6、上段島供給孔7、上段海供給孔8、上段島導入孔10、上段海導入孔11、 下段供給孔12、下段島吐出孔13、下段海吐出孔14、下段吐出孔15、複合口金17、海供給孔205、分配室206、島導入パイプ207、上段複合吐出孔208、下段複合吐出孔215、分配溝401、分配孔402、上段分配装置409、下段分配装置410、口金吐出孔18、上段縮流孔9、および下段縮流孔16は、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の任意断面が円形であるのが、ポリマーの計量性の観点から好ましいが、それに限定するものではない。また、本発明の上段縮流孔9および下段縮流孔16の配置は、複数の上段縮流孔9および下段縮流孔16が、複合口金17と中心を同じくする、複数のPCD(ピッチ円直径)に沿って配置される複数列の環状配置が望ましいが、格子配置、千鳥配置でもよく、任意の配置でよい。ここで重要なのは、口金当たりの複合繊維の数を多くするために、なるべく多くの上段縮流孔9および下段縮流孔16を設けることである。
また、本発明の上段吐出板1における上段島吐出孔5と上段海吐出孔6の位置関係としては、正多角形の重心位置に上段島吐出孔5を配置し、頂点位置に上段海吐出孔6を配置するのが好ましいが、多角形や星型などの内部に上段島吐出孔5を配置し、頂点位置に上段海吐出孔6を配置してもよい。同様に、本発明の下段吐出板3における下段島吐出孔13と下段海吐出孔14の位置関係としては、正多角形の重心位置に下段島吐出孔13を配置し、頂点位置に下段海吐出孔14を配置するのが好ましいが、多角形や星型などの内部に下段島吐出孔13を配置し、頂点位置に下段海吐出孔14を配置してもよい。ここで重要なのは、島成分ポリマー同士が合流しないように、上段島吐出孔5と上段海吐出孔6、および、下段島吐出孔13と下段海吐出孔14を配置することである。
また、上段分配装置409、上段吐出板1、上段縮流板2、下段分配装置410、下段吐出板3、下段縮流板4は、ポリマー紡出経路方向に隣接していなくてもよく、いずれかの間において、隣接する流路と連通する貫通孔を設けた板が、1つ以上設けられてもよい。
また、本発明の上段吐出板1、下段吐出板3はそれぞれ、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の形状を、複合口金17のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の形状と異なっていてもよく、更には、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積を、複合口金17のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積より小さくし、断面積の小さい上段吐出板1もしくは下段吐出板3と同じ形状の凹部を、ポリマー紡出経路方向に隣接する板に形成し、それら小さい上段吐出板1もしくは下段吐出板3が、その凹部に埋め込まれてもよく、実施の形態に合わせて変更可能なものとする。
また、本発明の実施形態において、海成分ポリマーまたは島成分ポリマーは2成分以上でもよく、実施の形態に合わせて変更可能なものとする。
また、上段吐出板1の最上流位置の流路孔から、下段縮流板4に配設された口金吐出孔18に至るまでにおいて、上段縮流孔9に供給する各成分のポリマーが受ける流路圧損と、下段縮流孔16に供給する各成分のポリマーが流路圧損との差が、大きい場合、口金吐出孔18において、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が最小の領域における、垂直な方向の断面積を小さくする、もしくは、ポリマー紡出経路方向の長さを長くし、口金吐出孔18における流路圧損を大きくすることで、各ポリマー紡出経路の圧力損失を等しくしてもよい。
また、上段縮流孔9、下段縮流孔16、および口金吐出孔18は、ポリマー紡出経路方向の一部に、ポリマー紡出経路方向の下流側に向かって断面積が小さくなる絞り形状(縮流部)があればよく、縮流部は、ポリマー紡出経路方向に沿って、不連続に、複数個所において設けられていてもよい。
以下実施例を挙げて、本発明の実施形態の複合口金17の効果を具体的に説明する。
(1)複合繊維の島成分の析出
複合繊維から島成分を析出するために、易溶出成分の海成分が溶出可能な溶液などに複合繊維を浸漬して除去し、難溶出成分の島成分のマルチフィラメントを得た。易溶出成分が、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが共重合された共重合PETやポリ乳酸(PLA)等の場合には、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を用いた。また、アルカリ水溶液は50℃以上に加熱すると、加水分解の進行を早めることができるため、また、流体染色機などを利用し、処理すれば、一度に大量に処理をすることができる。
(2)マルチフィラメントの繊維径
得られた極細繊維からなるマルチフィラメントをエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert−Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面を(株)キーエンス製 VE−7800型走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率5000倍で撮影した。得られた写真から無作為に選定した150本の極細繊維を抽出し、写真について画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての外接円径(繊維径)を測定し、平均繊維径を求めた。
(3)繊度
複合繊維を丸編みとし、水酸化ナトリウム3重量%水溶液(80℃ 浴比1:100)に浸漬することで易溶解成分を99%以上溶解除去した後、編みを解くことで極細繊維からなるマルチフィラメントを抜き出し、この1mの重量を測定し、10000倍することで繊度を算出した。これを10回繰り返し、その単純平均値の小数点第2位を四捨五入した値を繊度とした。
(4)ポリマーの溶融粘度
チップ状のポリマーを真空乾燥機によって、水分率200ppm以下とし、東洋精機製“キャピログラフ1B”によって、歪速度を段階的に変更して、溶融粘度を測定した。なお、測定温度は紡糸温度と同様にし、実施例あるいは比較例には、1216s−1の溶融粘度を記載している。ちなみに、加熱炉にサンプルを投入してから測定開始までを5分とし、窒素雰囲気下で測定を行った。
(5)極限粘度[η]
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
[実施例1]
島成分として、固有粘度(IV)0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET 溶融粘度:120Pa・s)と、海成分ポリマーとして、IV0.58dl/gの5−ナトリウムスルホイソフタル酸5.0モル%共重合したPET(共重合PET 溶融粘度:140Pa・s)を290℃で別々に溶融後、計量し、図3に示した本実施形態の複合口金が組み込まれた紡糸パックに流入させ、口金吐出孔から海島複合ポリマー流を吐出した。海島比率は、30/70とし、吐出された複合ポリマー流を冷却固化後油剤付与し、紡糸速度1500m/minで巻き取り、180dtex−18フィラメント(単孔吐出量2.25g/min)の未延伸繊維を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラ間で3.0倍延伸を行い、60dtex−18フィラメントの複合繊維とし、前述した方法で、海成分を99%以上溶解し、6400本のマルチフィラメントを採取した。
ここで、実施例1に用いた複合口金17には、図2に示すような分配型口金を用いて、直径106mmのPCD上に6個の下段縮流孔16と位相角α=42度で6個の下段吐出孔15を、直径54mmのPCD上に3個の下段縮流孔16と位相角α=84度で3個の下段吐出孔15を、直径113mmのPCD上に位相角α=17度で6個の上段島導入孔10を、直径61mmのPCD上に位相角α=32度で6個の上段島導入孔11を、直径98mmのPCD上に位相角α=18度で3個の上段海導入孔10を、直径45mmのPCD上に位相角α=36度で3個の上段海導入孔10を、それぞれ等間隔に配置した。また、上段縮流孔9および下段縮流孔16の、ポリマー紡出経路方向最上流位置における、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面は直径24mm、ポリマー紡出経路方向最下流位置における、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面は直径4mmとし、上段海導入孔10、上段島導入孔11、および、下段吐出孔15のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面は直径4mmとし、口金吐出孔のポリマー紡出経路方向最下流位置における、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面は直径0.2mmとし、1つの上段縮流孔9または下段縮流孔16に連通する上段島吐出孔5または下段島吐出孔13は400個とした。
表1に記載のとおり、このときの孔充填密度は0.5個/mmで、島成分単繊維の糸径は1000nmとなった。
[実施例2]
実施例2に用いた複合口金には、直径106mmのPCD上に10個の下段縮流孔16と位相角α=18度で10個の下段吐出孔15を、直径54mmのPCD上に5個の下段縮流孔16と位相角α=36度で5個の下段吐出孔15を、直径114mmのPCD上に6個の上段島導入孔10を、直径61mmのPCD上に6個の上段島導入孔11を、直径98mmのPCD上に3個の上段海導入孔11を、直径46mmのPCD上に3個の上段海導入孔11を、それぞれ等間隔に配置し、それ以外は実施例1と同等のポリマー、海島比率、同等の繊度、紡糸条件、装置構成で紡糸して300dtex−30フィラメント(単孔吐出量2.25g/min)の未延伸繊維を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラ間で3.0倍延伸を行い、100dtex−30フィラメントの複合繊維とし、前述した方法で、海成分を99%以上溶解し、10600本のマルチフィラメントを採取した。表1に記載のとおり、このときの孔充填密度は0.8個/mmで、島成分単繊維の糸径は800nmとなった。
[実施例3]
1つの上段縮流孔9または下段縮流孔16に連通する上段島吐出孔5または下段島吐出孔13は1500個とし、それ以外は実施例1と同等のポリマー、海島比率、同等の繊度、紡糸条件、装置構成で紡糸して実施例1との同様の複合繊維を得、前述した方法で、海成分を99%以上溶解し、26000本のマルチフィラメントを採取した。
表1に記載のとおり、このときの孔充填密度は2.0個/mmで、島成分単繊維の直径は500nmとなった。
[比較例1]
直径106mmのPCD上に計10個の上段縮流孔9と下段縮流孔16を、直径54mmのPCD上に5個の上段縮流孔9を、直径114mmのPCD上に位相角α=17度で計5個の上段縮流孔9と下段縮流孔16を、直径61mmのPCD上に位相角α=33度で5個の上段島導入孔10を、直径98のPCD上に位相角α=18度で10個の上段海導入孔11を、直径46mmのPCD上に位相角α=36度で10個の上段海導入孔11を、それぞれ等間隔に配置し、それ以外は実施例1と同等のポリマー、海島比率、同等の繊度、紡糸条件、装置構成で紡糸して150dtex−15フィラメント(単孔吐出量2.25g/min)の未延伸繊維を採取した。巻き取った未延伸繊維を90℃と130℃に加熱したローラ間で3.0倍延伸を行い、50dtex−15フィラメントの複合繊維とし、前述した方法で、海成分を99%以上溶解し、5300本のマルチフィラメントを採取した。 表1に記載のとおり、このときの孔充填密度は0.4個/mmで、島成分単繊維の直径は1000nmとなった。
表1に記載のとおり、比較例1と比べて、実施例1の方が、得られる複合繊維の本数および島数が多かった。実施例2では、更に、得られる複合繊維の本数および数が多くなった。実施例3では、いっそう、得られる島成分単繊維の本数および数が多くなり、かつ、島成分単繊維の直径も小さくなった。
また、島ポリマー比率70%という高い値でも、島成分ポリマーの合流は発生せず、安定して紡糸が可能であった。
Figure 0006015300
本発明は、一般的な溶液紡糸法に用いられる複合口金に限らず、メルトブロー法およびスパンボンド法に適用可能であるし、湿式紡糸法や、乾湿式紡糸法に用いられる口金にも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
1 上段吐出板
2 上段縮流板
3 下段吐出板
4 下段縮流板
5 上段島吐出孔
6 上段海吐出孔
7 上段島供給孔
8 上段海供給孔
9 上段縮流孔
10 上段島導入孔
11 上段海導入孔
12 下段供給孔
13 下段島吐出孔
14 下段海吐出孔
15 下段吐出孔
16 下段縮流孔
17 複合口金
18 口金吐出孔
20 第3プレート
21 第3プレート島成分貫通孔
22 第3プレート海成分貫通孔
23 第4プレート
24 第4プレート縮流孔
25 第5プレート
26 第5プレート島成分貫通孔
27 第5プレート海成分貫通孔
28 第6プレート
29 第6プレート縮流孔
30 第7プレート
31 第7プレート縮流孔
32 供給孔
33 海成分ポリマー
34 島成分ポリマー
35 海成分ポリマーまたはその他成分ポリマー
45 分配流路
205 海供給孔
206 分配室
207 島導入パイプ
208 上段複合吐出孔
215 下段複合吐出孔
401 分配溝
402 分配孔
409 上段分配装置
410 下段分配装置
415 紡糸パック
416 スピンブロック
417 冷却装置
α 位相角

Claims (5)

  1. 島成分ポリマーと海成分ポリマーによって構成される複合ポリマー流を吐出するための複合口金であって、(1)〜(4)の要件を満足することを特徴とする複合口金。
    (1)複合口金は、ポリマー紡出経路方向の下流側に向かい順に、各ポリマーを供給する上段分配装置と、上段吐出板と、上段縮流板と、下段吐出板と、下段縮流板とで構成すること。
    (2)前記上段吐出板において、前記上段分配装置から供給された海成分ポリマーを吐出する複数の上段海吐出孔と、島成分ポリマーを吐出する複数の上段島吐出孔、あるいは複合ポリマー流を吐出する複数の上段複合吐出孔と、前記上段分配装置から供給された海成分ポリマーを供給する1つ以上の上段海供給孔と、島成分ポリマーを供給する1つ以上の上段島供給孔とが形成され、前記上段縮流板において、前記上段海吐出孔と前記上段島吐出孔、あるいは前記上段複合吐出孔とに連通する上段縮流孔と、前記上段海供給孔に連通する海導入孔と、前記上段島供給孔に連通する島導入孔とが形成され、前記下段吐出板において、前記上段縮流孔に連通する下段供給孔と、前記海導入孔に連通する複数の下段海吐出孔と、前記島導入孔に連通する複数の下段島吐出孔、あるいは前記海導入孔と前記島導入孔とに連通する複数の前記下段複合吐出孔とが形成され、
    前記下段縮流板において、前記下段供給孔に連通する下段吐出孔と、前記下段海吐出孔と前記下段島吐出孔、あるいは前記下段複合吐出孔とに連通する下段縮流孔とが形成されていること。
    (3)前記上段縮流孔および前記下段縮流孔において、ポリマー紡出経路方向の最上流位置より最下流位置の方が、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が小さいこと。
    (4)前記上段縮流孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる断面、あるいは前記上段縮流孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の面積が最大となる外接円をポリマー紡出経路方向に投影した領域内に、前記下段縮流孔の一部が存在すること。
  2. 前記上段島供給孔、前記上段海供給孔、前記島導入孔および前記海導入孔が、前記下段縮流孔をポリマー紡出経路方向に投影した領域内で、かつ、前記上段縮流孔の形成された領域を除く領域に存在することを特徴とする請求項1に記載の複合口金。
  3. 前記上段島吐出孔と前記下段島吐出孔の孔充填密度が2.0個/mm以上である請求項1または2に記載の複合口金。
  4. (1)〜(5)の要件を満足する請求項1から3のいずれかに記載の複合口金。
    (1)上段縮流孔および下段縮流孔と一対一に対応し、連通して形成された口金吐出孔において、ポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が、ポリマー紡出経路方向の最上流位置よりも最下流位置にて小さくなること。
    (2)前記上段島吐出孔と前記下段島吐出孔を通過するポリマーの質量流量が同一で、かつ前記上段海吐出孔と前記下段海吐出孔を通過するポリマーの質量流量が同一、あるいは、前記上段複合吐出孔と前記下段複合吐出孔を通過するポリマーの質量流量が同一であること。
    (3)前記上段海吐出孔と前記下段海吐出孔の孔径、孔長、孔数および孔配置がそれぞれ同一で、かつ前記上段島吐出孔と前記下段島吐出孔の孔径、孔長、孔数および孔配置がそれぞれ同一、あるいは前記上段複合吐出孔と前記下段複合吐出孔の孔径、孔長、孔数および孔配置がそれぞれ同一であること。
    (4)前記上段縮流孔と前記下段縮流孔の縮流比が同一であること。
    (5)前記口金吐出孔のポリマー紡出経路方向に垂直な方向の断面積が最小となる領域における形状が同一であること。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の複合口金を用いた複合紡糸機により、溶融紡糸を行う複合繊維の製造方法。
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