JP2005015926A - 多島複合繊維の紡糸方法および紡糸口金装置 - Google Patents

多島複合繊維の紡糸方法および紡糸口金装置 Download PDF

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Yasuhiko Tanabe
弥彦 田邉
Makoto Nishimura
誠 西村
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Abstract

【課題】島成分同士の合流がなく、紡糸安定性に優れ、多島化による口金の大型化、少吐出孔化がなく、島繊度ばらつきの少ない海島型多島複合繊維の紡糸方法と口金装置を提供する。
【解決手段】上流にて複数の芯鞘複合流を作り、それを第1次ロート状部で集合させ該集合した流れを下流において他の複数の芯鞘複合流でとり囲むように合流させ、該合流した流れをさらに下流側の第2次ロート状部で集合させ、吐出孔から紡出する海島型複合繊維の紡糸方法において、上流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量をQ、上流にて作る芯鞘複合流の数をn、下流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量をQ、下流にて作る芯鞘複合流の数をn、第1次ロート状部で集合させた芯鞘複合流を下流へと導く貫通孔の出口部の内径をd、貫通孔の出口部と同一高さとなる位置の該第2次ロート状部の内径をdとしたとき、それらの関係が、次式
0.5≦{n(d −d )}/(n )≦3.0
を満足させる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、島成分と海成分とからなる多島複合繊維の紡糸方法およびその紡糸口金装置に関する。さらに詳しくは、紡糸性に優れた超極細糸を得る手段として有効な海島型多島複合繊維の紡糸方法および紡糸口金装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海成分中に多数の島成分が繊維軸方向に沿って連続的に配列している海島型複合繊維は、紡糸後に海成分を溶融除去することにより島成分の極細繊維測が得られる、あるいは物理的衝撃により海島繊維を分割して海成分、島成分の極細繊維束が得られるために、フィラメントや不織布、織布の構成材料として広く使用されている。特に人工皮革、人工皮革様織物などの皮革様シート素材として有用である。
【0003】
さらに、これに限らず新しい特性を有する有用な多くの製品を作ることができ、各種工業用途やファッション分野などでの合成繊維の用途をさらに広げるものである。また、上記海島型複合繊維を製造する手段についても、これまでに数多くの提案がされている。
【0004】
例えば、公知の手段として、ポリマーブレンド混練り紡糸とか、混合紡糸とか呼ばれているもので、2種以上のポリマーのビーズやチップを混合し、溶融混練し、吐出する方法がある。この方法によれば、比較的容易に0.01dtex以下の超極細繊維が得られる。しかし、該方法では、ポリマーの粘度、粘度比、ポリマーの界面特性、混合比、混合の程度、紡糸温度、乾燥の程度による粘度変化、混合練り機の形状、吐出ノズルの形状などに紡糸安定性が大きく左右され、工業的生産をする上できわめて問題の多い方法である。
【0005】
一方、紡糸安定性の点で優れている方法として、パイプ数を増やした複合紡糸方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
確かに、この方法によれば、パイプ数を増やしていくことにより10島、100島あるいは1000島を有する繊維でも紡糸可能であり、多島化により超極細繊維を得ることはできるが、多島化につれ口金の小型化、多吐出孔化は困難となる。
【0007】
そこで、パイプの数を増やさずに多島化できる方法として多島型多成分系繊維用とした紡糸装置がある(特許文献2)。しかしながら、該方法によっても超極細繊維を得るための多島化は限度がある。該方法による繊維は、1つの成分が他成分により複数に分割された島を有する構造の繊維であるが、この分割数は、紡糸装置の構造上10以上とすることは一般に非常に困難である。1つの成分のポリマー流を10以上に分割し他成分と複合して流そうとしても構造上分割流が隣どうし合流してしまうためである。
【0008】
また、静止系分割素子と複合紡糸方法とを組み合わせた多島型多成分系繊維用紡糸装置が提案されている(特許文献3)。該方法による繊維は、島となる成分が、2成分以上からなり、あらかじめ静止系分割素子により1つの成分が他成分中に多数分散して海島繊維を形成しているものをさらに複数集合した構造の繊維である。
【0009】
つまり、超極細繊維が多数集まってできた細い束がさらに複数集合した構造の繊維であるが、該方法では、超極細繊維を得るのに静止系分割素子を用いているために、その分割数、島繊度は、ポリマーの粘度、粘度比、ポリマーの界面特性、紡糸温度、乾燥の程度による粘度変化、分割素子の形状等により変わるばかりではなく、分割素子内の経時的な流れの変化でも変わってしまう。このため、島数、島繊度の安定した紡糸が難しく、工業的生産をする上で問題のある方法である。
【0010】
また、上記の問題を解決するために、従来のパイプを用いた海島口金を上下に2段積み重ねた多島型多成分系繊維用紡糸装置が提案されている(特許文献4)。
【0011】
しかしながら、該方法でも、装置構造上、上段で形成した複合流と下段で形成した複合流を1つにまとめて集れんするときに、上段で形成した複合流のポリマー流速が下段で形成した複合流のポリマー流速よりも早くなってしまうために、下段のロート状部で安定な複合流が得られず、島成分同士の合流のみならず糸切れ、糸曲りが発生し、安定した紡糸ができないという問題があった。
【0012】
【特許文献1】特公昭44−18369号公報
【0013】
【特許文献2】特公昭62−25764公報
【0014】
【特許文献3】特公昭60−28922公報
【0015】
【特許文献4】特公昭58−12367公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来の海島型多島複合繊維がもつ問題を解決することを目的としたものであり、島成分同士の合流がなく、紡糸安定性に優れ、多島化による口金の大型化、少吐出孔化がなく、島繊度ばらつきの少ない海島型多島複合繊維の紡糸方法および紡糸口金装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の多島複合繊維の紡糸方法は、下記(1)の構成を有するものである。また、本発明の多島複合繊維用の紡糸口金装置は下記(2)の構成、特に好ましくは(3)および/または(4)の構成を有するものである。
(1)上流にて複数の芯鞘複合流を作り、それを第1次ロート状部で集合させ該集合した流れを下流において他の複数の芯鞘複合流でとり囲むように合流させ、該合流した流れをさらに下流側の第2次ロート状部で集合させ、吐出孔から紡出する海島型複合繊維の紡糸方法において、上流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量をQ、上流にて作る芯鞘複合流の数をn、下流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量をQ、下流にて作る芯鞘複合流の数をn、該第1次ロート状部で集合させた芯鞘複合流を下流へと導く貫通孔の出口部の内径をd、該貫通孔の出口部と同一高さとなる位置の該第2次ロート状部の内径をdとしたとき、それらの関係が、次式
0.5≦{n(d −d )}/(n )≦3.0
を満足するように構成して紡糸することを特徴とする多島複合繊維の紡糸方法。
(2)以下の(イ)〜(ニ)の組み合わせ構造からなる海島型複合繊維の紡糸口金装置において、(ホ)に示す構造を具備することを特徴とする多島複合繊維用紡糸口金装置。
(イ)上流部に多数の芯鞘流を形成する第1次芯鞘流構成単位、
(ロ)かかる構成単位を下流側から受けるとともに流れを集れんさせる第1次ロート状構成単位、
(ハ)上記の集れんした流れをさらに下流側へ導く貫通孔と、該貫通孔のまわりに他の多数の芯鞘流を形成する構成単位を配置した第2次芯鞘流構成単位、
(ニ)上記のすべての構成単位を下流側から受けるとともに、集れんされた第1次芯鞘流および第2次芯鞘流を一つに受けて集合させ集れんさせる下流側に吐出孔が設けられた第2次ロート状構成単位、
(ホ)該貫通孔が、第2次ロート状部にまで出ている第2次芯鞘構成単位、
(3)該第2次芯鞘流構成単位において、更に、該貫通孔下部に集れんした第1次芯鞘流を拡流させる拡大流路が設けられている構造を具備せしめたことを特徴とする上記(2)記載の多島複合繊維用紡糸口金装置。
(4)該第2次芯鞘構成単位の上流側プレートと該貫通孔とで形成される空間部に、金属ロウが充填されて構成されてなることを特徴とする上記(2)または(3)記載の多島複合繊維用紡糸口金装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明においては島成分として特に限定はされなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合物、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ乳酸等の溶融整形可能なポリマーが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、酸化バリウム等の無機質、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、難燃剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、あるいは紫外線吸収剤等の各種添加剤を上記物質中に含んでいてもよい。
【0019】
また、海成分としては、例えば、共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の溶融成形可能で、紡糸後、溶解抽出もしくは分割可能なポリマーが挙げられる。
【0020】
複合繊維の形状としては、用途によって、長繊維状あるいは短繊維状のいずれを選択してもよく、捲縮が付与されていても良い。
【0021】
また、本発明の複合紡糸用口金装置は、溶融紡糸用として使用できるのみならず、湿式紡糸あるいは乾式紡糸用としても使用できる。
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の海島型多島複合繊維用紡糸口金装置の1実施例を示す概略縦断面図である。図1において第1の島成分を形成するポリマーAは、第1島形成板21に設けられた流入孔1より導入され、管6に流入する。第1の海成分を形成するポリマーCは、第1島形成板21に設けられた流入孔2より導入され、分配室7を経て第1次芯鞘複合流形成板22に設けられた導入孔5に至る。ここで、前記ポリマーAを芯、ポリマーCを鞘とする第1次芯鞘複合流を形成し、下方にあるロート状孔を持つ第1次芯鞘複合流集合板23に設けられた第1次芯鞘複合流集合室8へ群状となってなって流入し、ポリマーAを島成分、ポリマーCを海成分とした第1次海島複合流を形成する。
【0024】
また、第2島成分を形成するポリマーBは、第1島形成板21に設けられた流入孔3より導入され、第2島成分ポリマー分配室9を経て第2次島形成板24に設けられた管6に流入する。第2海成分を形成するポリマーDは、第1次島形成板21に設けられた流入孔4より導入され、第2海成分ポリマー分配室11を経て第2次芯鞘複合流形成板25に設けられた第2海成分ポリマー導入孔12に至り、ここで、前記ポリマーBを芯、ポリマーDを鞘とする第2次芯鞘複合流を形成し、下方にあるロート状孔を持つ第2次芯鞘複合流集合板26に設けられた第2次芯鞘複合流集合室13へ群状となってなって流入する。
【0025】
一方、第1次海島複合流は、第1次芯鞘複合流集合板23の集合室8直下に設けた第1次海島複合流貫通孔10を通り、下方にある該第2次芯鞘複合流集合室13へ流入し、第2次芯鞘複合流とともに第2次海島複合流を形成し、紡糸吐出孔14より、海島型多島複合繊維として紡出される。
【0026】
すなわち、中心部がポリマーCを海に、ポリマーAを島に、外周部がポリマーDを海に、ポリマーBを島にした構造の海島型多島複合繊維が得られる。
【0027】
ここで、第1次海島複合流および第2次芯鞘複合流が第2次芯鞘複合流集合室13に流入するとき、次式を満たしていることが特に重要である。
【0028】
0.5≦{n(d −d )}/(n )≦3.0
ここで、
:上流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量
:下流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量
:上流にて作る芯鞘複合流の総数
:下流にて作る芯鞘複合流の総数
:該第1次ロート状部で集合させた第1次海島複合流を下流へと導く貫通孔10の出口部の内径
:該貫通孔10の出口部と同一高さとなる位置の該第2次ロート状部の内径
該式の値が0.5よりも小さい、もしくは3.0よりも大きい場合、第2次芯鞘複合流集合室13で合流するときの第1次海島複合流と第2次芯鞘複合流の流速に大きな差が生じ、該集合室内の流れが不均一となり、島同士の合流、吐出孔14での糸曲がり、糸切れが発生し、安定して紡糸することが不可能となる。
【0029】
これに対して、本発明者らの知見によれば、該式の値が0.5以上かつ3.0以下の場合は、該集合室内の乱れがなくなり、島同士の合流や、糸曲がり、糸切れ等の問題もなく安定して紡糸することができる。
【0030】
なお、図2は、図1におけるY−Y線矢視図であり、図3は、本発明の海島型多島複合繊維用紡糸口金の他の一実施態様を示す縦断面図である。
【0031】
また、図4は、従来用いられてきた公知の複合繊維製造用紡糸口金の一例を示す縦断面図である。
【0032】
従来の紡糸口金装置においては、上記式を満足するためには、第1島成分と第2島成分の太さを同一とした場合、上流にて作る芯鞘複合流の総数を減らすか、第2次ロート状部の内径に対する第1次海島複合流貫通孔10の内径を大きくする必要があった。しかし、そのどちらもが、総島数の減少につながるものであり、過去には実施されておらず、したがって、該式を満足するものではなかった。
【0033】
これに対し本発明の紡糸口金装置では、以下の(イ)〜(ニ)の組み合わせ構造からなり、(ホ)に示す構造を具備するものである。
(イ)上流部に多数の芯鞘流を形成する第1次芯鞘流構成単位、
(ロ)かかる構成単位を下流側から受けるとともに流れを集れんさせる第1次ロート状構成単位、
(ハ)上記の集れんした流れをさらに下流側へ導く貫通孔と、該貫通孔のまわりに他の多数の芯鞘流を形成する構成単位を配置した第2次芯鞘流構成単位、
(ニ)上記のすべての構成単位を下流側から受けるとともに、集れんされた第1次芯鞘流および第2次芯鞘流を一つに受けて集合させ集れんさせる下流側に吐出孔が設けられた第2次ロート状構成単位、
(ホ)該貫通孔が、第2次ロート状部にまで出ている第2次芯鞘構成単位、
図1においては、第1次芯鞘流構成単位として、具体的には第1島形成板21、第1次芯鞘複合流形成板22、管6、分配室7および第1海成分ポリマー導入孔5からなる場合を示したものであり、該単位により第1の島成分を形成するポリマーAおよび第1の海成分を形成するポリマーCからなる多数の第1次芯鞘複合流を形成するものである。第1次ロート状構成単位として、具体的には第1次芯鞘複合流集合板23および集合室8からなる場合を示したものであり、該集合板により多数の第1次芯鞘複合流を下流側から受けるとともに流れを集れんするものである。
【0034】
第2次芯鞘流構成単位として、具体的には第2島形成板24、第2次芯鞘複合流形成板25、管6、第2島成分ポリマー分配室9、第1次海島複合流貫通孔10、第2海成分ポリマー分配室11および第2海成分ポリマー導入孔12からなる場合を示したものであり、該単位により第1次芯鞘複合流の集れんした流れをさらに下流側へ導くとともに、該集れんした流れのまわりに第2の島成分を形成するポリマーBおよび第2の海成分を形成するポリマーDからなる多数の第2次芯鞘複合流を形成するものである。
【0035】
第2次ロート状構成単位として、具体的には、第2次芯鞘複合流集合板26、第2次芯鞘複合流集合室13および紡糸吐出孔14からなる場合を示したものであり、上記のすべての構成単位を下流側から受けるとともに、集れんされた第1次芯鞘流および第2次芯鞘流を一つに受けて集合させ集れんさせ、海島型多島複合繊維として紡出されるものである。
【0036】
ここで、第2次芯鞘流構成単位において、図1に示すように該第1次海島複合流貫通孔10を下流側に位置する第2次ロート状部にまで伸ばすことが重要である。該形状にすることにより総島数を減らすことなく該式を満足し、安定した紡糸が可能となる。
【0037】
また、同じく第2次芯鞘構成単位単位において、図1に示すように第1次海島複合流貫通孔10の出口部に該第1次海島複合流を拡流させる拡大流路を設けていることが好ましく重要な要件である。該第1次海島複合流は、流下して下流側の拡大流路を通過することにより流速が緩和されるとともに、流れが乱れることなく整流された状態で第2次芯鞘複合流と合流し海島型多島複合繊維を安定して紡糸することが可能となる。ここで、拡大流路の広がり角度は30°以下が好ましい。30°より角度が大きいと逆に第1次海島複合流が貫通孔から離れるときに乱れが生じ、複合流の整流効果がなくなってしまう。
【0038】
さらに、第2次芯鞘構成単位の上流側プレートである第2島形成板24と第1次海島複合流貫通孔10とで形成される空間部が金属ロウで充填されて構成されていることが好ましく、重要な要件である。
【0039】
すなわち、通常、該第2島形成板24には該第1次海島複合流貫通孔をさし込む孔が設けられており、板に貫通孔を差し込んでも、その間には若干の空間ができる。この空間から第2島成分であるポリマーBが下流側の第2海成分ポリマー分配室へ流入し、漏れ込んポリマーBにより第2海成分導入孔12が塞がれポリマーDが流れなくなることがある。ポリマーDが流れなくなった部分は鞘となるものがないために、芯同士の合流という問題が生じてしまう。そこで、該空間を金属ロウにて充填することにより、ポリマーBの第2海成分ポリマー分配室への漏れ込みがなくなり、島の合流もなくなるのである。ここで、金属ロウは、紡糸温度以上の融点のものであればいずれでも良いが、ニッケルを60重量%以上含んだ金属ロウが好ましい。該金属ロウであれば、使用後の薬液洗浄時の腐食がなく、繰り返し使用が可能である。
【0040】
なお、ポリマーA、Bは、同一成分でもあるいは異なった成分のいずれでも良い。また、ポリマーC、Dについても、同一成分あるいは異なった成分のいずれでも良い。ポリマーAとポリマーBが同一成分のときは、別々の供給ポンプで送ることが望ましいが、それぞれの部位までの流路抵抗の調節により同一のポンプでも流量調節は可能である。また、ポリマーCとポリマーDが同一成分の場合も上記と同様である。
【0041】
また、24、25、26の口金板を何段にも重ねることによって小さい面積の口金でも超多島化、多吐出孔化が可能である。
【0042】
さらにポリマーA、Bの供給量を調節することにより島成分の太さを外側を太くしたり細くしたり任意に調節することが可能である。
【0043】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって特に限定されるものではない。
【0044】
実施例1
成分A、B(島成分)に溶融粘度3000poiseのポリエチレンテレフタレート、成分C、D(海成分)に溶融粘度500poiseのポリスチレンを用い、島本数223本(第1島形成板21で127本+第2島形成板24で96本)、口金1枚当りの複合繊維本数は6本(吐出孔14で6孔)で、図1と同様の縦断面形状を持つ口金装置を用いて紡糸温度285℃、成分(A+B)/(C+D)の吐出割合50/50で供給して紡糸し、1100m/分の引取り速度で巻き取り、繊度9.4dtexの未延伸糸を得た。
【0045】
ここで、nは0.59g/分、nは0.45g/分、dは10.5mm、dは18.0mmであり、式(X)の値は、2.54である。
【0046】
得られた繊維は、隣接する島同士の合流もなく、海成分により被覆された海島型多島複合繊維であった。また、このときの紡糸性は、糸曲がり、糸切れの発生もなく、紡糸開始から3日経過しても安定して引取りが可能であった。
実施例2
成分A、B(島成分)に溶融粘度2100poiseのナイロン6、成分C、D(海成分)に溶融粘度500poiseの共重合ポリスチレンを用い、実施例1と同じ口金装置を用いて紡糸温度285℃、成分(A+B)/(C+D)の吐出割合35/65で供給して紡糸し、1100m/分の引取り速度で巻き取り、繊度12.7dtexの未延伸糸を得た。
【0047】
ここで、n は0.80g/分、nは0.60g/分、dは10.5mm、dは18.0mmであり、式(X)の値は、2.54である。
【0048】
得られた繊維は、隣接する島同士の合流もなく、海成分により被覆された海島型多島複合繊維であった。また、このときの紡糸性は、糸曲がり、糸切れの発生もなく、紡糸開始から3日経過しても安定して引取りが可能であった。
比較例1
成分A、B(島成分)に溶融粘度3000poiseのポリエチレンテレフタレート、成分C、D(海成分)に溶融粘度500poiseのポリスチレンを用い、島本数223本(第1島形成板21で127本+第2島形成板24で96本)、口金1枚当りの複合繊維本数は6本(吐出孔14で6孔)で、従来の縦断面形状を持つ口金装置を用いて紡糸温度285℃、成分(A+B)/(C+D)の吐出割合50/50として供給して紡糸し、1100m/分の引取り速度で巻き取り、繊度9.4dtexの未延伸糸を得た。
【0049】
ここで、nは0.59g/分、nは0.45g/分、dは10.5mm、dは26.0mmであり、式(X)の値は、6.73である。
【0050】
得られた繊維は、紡糸開始から24時間後に繊維断面を確認したところ隣接する島同士の合流が見られた。また、糸切れについても5回/トンの頻度で発生し、紡糸性は良いものではなかった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、島成分と海成分とからなる多島複合繊維を製造するにあたり、島成分同士の合流がなく、紡糸安定性に優れるだけでなく、多島化による口金の大型化、少吐出孔化がなく、島繊度のバラツキが少ない海島型多島複合繊維用紡糸用口金装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の海島型多島複合繊維用紡糸口金の一実施態様を示す縦断面図である。
【図2】図1におけるY−Y線矢視図である。
【図3】本発明の海島型多島複合繊維用紡糸口金の他の一実施態様を示す縦断面図である。
【図4】従来用いられてきた公知の複合繊維製造用紡糸口金の一例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・第1の島成分ポリマーAの流入孔
2・・・第1の海成分ポリマーCの流入孔
3・・・第2の島成分ポリマーBの流入孔
4・・・第2の海成分ポリマーDの流入孔
5・・・第1の海成分ポリマー導入孔
6・・・管
7・・・第1の海成分ポリマー配分室
8・・・第1次芯鞘複合流集合室
9・・・第2の島成分ポリマー分配室
10・・第1次海島複合流貫通孔
11・・第2の海成分ポリマー分配室
12・・第2の海成分ポリマー導入孔
13・・第2次芯鞘複合流集合室
14・・紡糸吐出孔
21・・第1島形成板
22・・第1次芯鞘複合流形成板
23・・第1次芯鞘複合流集合板
24・・第2島形成板
25・・第2次芯鞘複合流形成板
26・・第2次芯鞘複合流集合板
A・・・第1の島成分ポリマー
B・・・第2の島成分ポリマー
C・・・第1の海成分ポリマー
D・・・第2の海成分ポリマー

Claims (4)

  1. 上流にて複数の芯鞘複合流を作り、それを第1次ロート状部で集合させ該集合した流れを下流において他の複数の芯鞘複合流でとり囲むように合流させ、該合流した流れをさらに下流側の第2次ロート状部で集合させ、吐出孔から紡出する海島型複合繊維の紡糸方法において、上流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量をQ、上流にて作る芯鞘複合流の数をn、下流にて作る芯鞘複合流1つの単位時間当たりの吐出量をQ、下流にて作る芯鞘複合流の数をn、該第1次ロート状部で集合させた芯鞘複合流を下流へと導く貫通孔の出口部の内径をd、該貫通孔の出口部と同一高さとなる位置の該第2次ロート状部の内径をdとしたとき、それらの関係が、次式
    0.5≦{n(d −d )}/(n )≦3.0
    を満足するように構成して紡糸することを特徴とする多島複合繊維の紡糸方法。
  2. 以下の(イ)〜(ニ)の組み合わせ構造からなる海島型複合繊維の紡糸口金装置において、(ホ)に示す構造を具備せしめたことを特徴とする多島複合繊維用紡糸口金装置。
    (イ)上流部に多数の芯鞘流を形成する第1次芯鞘流構成単位、
    (ロ)かかる構成単位を下流側から受けるとともに流れを集れんさせる第1次ロート状構成単位、
    (ハ)上記の集れんした流れをさらに下流側へ導く貫通孔と、該貫通孔のまわりに他の多数の芯鞘流を形成する構成単位を配置した第2次芯鞘流構成単位、
    (ニ)上記のすべての構成単位を下流側から受けるとともに、集れんされた第1次芯鞘流および第2次芯鞘流を一つに受けて集合させ集れんさせる下流側に吐出孔が設けられた第2次ロート状構成単位、
    (ホ)該貫通孔が、第2次ロート状部にまで出ている第2次芯鞘構成単位、
  3. 該第2次芯鞘流構成単位において、更に、該貫通孔下部に集れんした第1次芯鞘流を拡流させる拡大流路が設けられている構造を具備せしめたことを特徴とする請求項2記載の多島複合繊維用紡糸口金装置。
  4. 該第2次芯鞘構成単位の上流側プレートと該貫通孔とで形成される空間部に、金属ロウが充填されて構成されてなることを特徴とする請求項2または3記載の多島複合繊維用紡糸口金装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014065992A (ja) * 2012-09-27 2014-04-17 Toray Ind Inc 複合口金および複合繊維の製造方法
JP2020165026A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 帝人フロンティア株式会社 海島型複合繊維紡糸用口金

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