JP3970440B2 - 海島構造繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の混合紡糸繊維と比較して島成分の均斉度に優れ、かつ従来の複合紡糸繊維と比べて島成分の本数が多い海島構造繊維に関するものである。詳細には、海成分としてポリエチレンまたはポリスチレンを、島成分として他のポリマーを用い、この2種のポリマーを用いて紡糸する方法に関するもので、繊維中の島数が多いにもかかわらず任意に島数を調整することが可能であり、また繊維間の海島比率、島形状について優れた均斉度を有する海島構造繊維であって、その延伸工程における工程通過性にも極めて優れ、特にスエード調人工皮革用として適した高品位の海島構造繊維およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
海島構造繊維の紡糸技術は合成繊維の改質等を目的として従来からよく知られており、その最も一般的な方法としては、両ポリマーをチップ状態で混合し、これを溶融押出機を用いて紡糸する混合紡糸方法である。この方法は最も簡便かつ経済的な方法および装置と考えられ、最も広く利用されている。しかしこの方法で得られる非相溶性ポリマーの混合状態、すなわち海島状態には、コントロール可能な範囲に、また混合可能なポリマーの組合せにも制限がある。すなわち、海島状態の島数は、2種のポリマーのSP値と溶融粘度比によってある程度制御が可能であるが、得られる島数を正確にコントロールすることは不可能であり、安定的に得られる島数も約300島以上の島数である。また、混合紡糸方法においてはフィラメント中での島径のばらつきが大きく、ほぼ均一な島形状のフィラメントを得ることは実質的に不可能である。
【0003】
また特公昭44−18369号公報等で提案されている多芯々鞘紡糸装置で海島構造繊維を得ようとすると、実用性、現実性のある島数には上限があって、その値は島数15〜40個程度であり、それは装置の複雑さが口金の多ホール化を妨げるためである。またこのような装置においては、流動ポリマー中に帯電防止剤、二酸化チタンのごとき艶消剤、カーボンブラックのごとき着色剤及び熱安定性の酸化防止剤等を添加混合する場合に、添加剤の選択に制限が生じることとなり、得られる海島構造繊維の多様化にも限界がある。さらに芯成分ポリマ一を流す部分は多数の細管から構成されており、この様な細管を有する口金部分は工作するのはもちろん保守、整備することも通常の紡糸口金のそれに比して極めて多く労力を必要とする。この改良をねらった提案が特公昭51−37373号公報や特公昭51−37374号公報でなされている。それは細管をすべてプレートに穿った細孔に代えたものであるが、細孔をとりかこむ鞘成分のための分流路、細流路が各細孔毎に必要となって装置は大型化してしまい、スペースの利用の効率がよくないのは明らかである。
同様に、剥離分割型の複合紡糸繊維においても、実用性、現実性のある島数は5〜10個程度と考えられ、これは島数の増加が装置の複雑化による口金のホール数の減少および生産性の低下をもたらすためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の海島構造繊維の紡糸方法と装置に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは任意なポリマーの分散状態すなわち海島構造を有し、しかも島成分の均斉度の点でも優れた海島構造繊維を安定的に得る方法を提供するものであり、特開昭50−36717号、特開昭50−71909号、特開昭51−139919号、特開昭53−98411号及び特開昭61−19806号の各公報に記載されている技術に対してさらに海島構造の均一安定化の改良を行ったものである。
【0005】
しかし、本発明者らが、特開昭61−19806号公報およびそれ以前に提案された前記のようなこれらの海島構造繊維の紡糸方法及び装置を用いて、ポリマーの種類、紡糸温度、混合比率を変更して繰返し海島構造繊維の紡糸を実施したところ、フィラメントヤーンを構成するいくつかのフィラメントにおいては海島構造の逆転および島形状の乱れに起因する2個以上の島の接着が生じているものが多数あり、必ずしも海島構造の安定性及び均一性において満足できるものではなかった。
このような、ポリマーの種類、紡糸温度、混合比率の選択によっては海島構造の乱れを発生する可能性のある海島構造繊維は、海島構造および島デニールに変動が生じるため、生産安定性、及び品質が不安定なものであって、一定品質を保持して各種用途へ利用するが困難なものであった。
【0006】
本発明は以上のような海島構造の乱れの発生について、これまでに種々提案されている海島繊維の紡糸法を繰返し入念に実施し、その結果を詳細にて検討考察を試みた末に完成したものである。つまり、本発明の多島繊維の紡糸方法は、前述のような海島構造の乱れを長時間の連続運転時はもちろん繰返し多数回の多島繊維の紡糸においても再現性よくほぼ完全に解消せしめようとしたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、繊維横断面が海島構造を有し、該島成分が太さ0.001〜0.5デニールで長さ方向に連続しており、かつ繊維断面には平均40〜500の島が存在しており、さらに島数の最大値と最低値が平均島数に対してそれぞれプラス10%からプラス20%、マイナス10%からマイナス20%の範囲に存在していて、かつ繊維断面における島成分の分布が同心円状になっていない海島構造繊維からなることを特徴とする人工皮革の基材である。
【0008】
また本発明は、
海成分としてポリエチレンまたはポリスチレンを用い島成分として他のポリマーを用い、該海成分となるポリマーと該島成分となるポリマーをそれぞれ別々に溶融し、それぞれの溶融流を形成した後、両ポリマー流を接合して接合流を形成し、該接合流の分割、並べかえと接合を繰り返してノズルから吐出させた後で延伸してなる海島構造繊維から人工皮革の基材を製造するに際し、下記の条件(1)〜(4)を満足することによって、個々の繊維断面において島成分が太さ0.001〜0.5デニールで長さ方向に連続し、繊維横断面には島数が40〜500で、かつ同心円状に分布していない状態であり、かつ島数の最大値と最低値が平均島数に対してそれぞれプラス10%から20%、マイナス10%から20%の範囲に存在している海島構造繊維から人工皮革の基材を製造することを特徴とする人工皮革の基材の製造方法である。
(1)海成分の溶解度パラメーター(以下SP値)/島成分SP値≦0.9
(2)紡糸温度における海成分ポリマーのメルトフローレイト(以下MFR):20〜100g/10min(MFRは、オリフィス口径:2.0mmφ、荷重:325gで測定)
(3)紡糸温度における海成分ポリマーと島成分ポリマーのMFRの比:0.9≦海成分MFR/島成分MFR≦7.0
(4)再分割されたポリマー微細流を規制して集合せしめた時点から紡糸口金より吐出するまでの、紡糸口金におけるポリマーの滞留時間:T
T≧10sec
【0009】
次に、本発明の多島繊維の紡糸方法における混合の原理を図面例によって説明する。
本発明においてポリマー流の混合とは、▲1▼図1及び図2に示すA板とそれに続く図3及び図4に示すB板によってなされる多層化、▲2▼A板に続くB板のポリマー流入孔によってなされる分割、▲3▼図5及び図6に示すC板によってなされるポリマー細流の並べかえ、▲4▼図7及び図8に示すD板上面の溝でなされる接合ポリマー細流の、引き伸ばし起点と終点を十分に規制した、引き伸ばし、▲5▼D板の連通孔でなされる接合ポリマー細流の分割、▲6▼D板に続く紡糸口金凹部でなされる集合の一連の操作の結果、A板にa,b各々単一の成分の流れとして流入したポリマー流が紡糸口金の吐出孔より流出するポリマー流となったときは、a成分中にb成分が(またはb成分中にa成分が)多数個の微細流として分散した状態、いわゆる海島状態へと変化することをいうものである。
【0010】
図1は本発明にいうA板の流出口側から望んだ平面図であり、図2は図1をA−A’線で切断したときの断面図である。1,2,3,4,5はA板に同心円状(相互に平行な状態)に穿設された円環溝状をしたポリマー流出口であり、1’,2’,3’,4’,5’は1,2,3,4,5に対応したポリマー流入口であり、この図は溝状の流出口が5個穿設されている場合を示している。この流入口は3個以上穿設されていればよいが、多層化の効率を良好とするためには流出口の数が多いほどよい。該円環溝状の流出口と流入口は各々それらを連結する多数の細孔1”,2”・・・・・で貫通されている。図3はB板の平面図であり、図4は図3のB−B’線で切断したときの断面図である。9は当該B板の凹部でありその形状は図3、図4のものに限定されるものでない。7,8は孔列が前記A板の溝状流出口のつくる円周の方向と一致するように穿設された流入孔であって、この場合7,8と同構造の流入孔が24個穿設されている。8’,9’は8,9に対応した当該流入孔の出口であり、やはり24個穿設されている。図5はC板の平面図であり、図6はC板のC−C’で切断した断面図である。10,11,12,13等はB板のポリマー流入孔の出口に対応したC板に穿設された溝のポリマ一流入口であり、この場合24個が円周状に穿設されている。10’,11’,12’,13’等は当該流入口の口列の方向と実質的に平行とならぬように、この場合ほぼ直角方向に口列が配列した流出口であり、図6に示すように2個づつがC板の半径方向に配列しており、そのような組が12組すなわちC板合体としては24個の流出口が穿設されている。
【0011】
図7はD板の平面図であり、図8はD板のD−D’線における断面図である。18,19,20,21はD板に穿設された同心円状円環溝であり、この場合、円環−溝−が4個穿設されておりしかも当該円環状溝はD板を円環スリット状に貫通しておらず深さ方向の途中からは円環状溝の底部に並べて穿設された多数の細孔22,23,24,25等によって貫通している。この例の場合、細孔は内側の円環溝から外側の円環溝へ順に36個、48個、60個、72個づつ穿設されている。しかもその円環溝内での細孔の配列は図7のようにブロック化していて全体では12ブロックになっていて、イロハニで囲まれる1個の扇形ブロック内では細孔が内側から外側の円環溝へ3,4,5,6個づつ穿設されていて、D板全体としては合計216個穿設されている。
【0012】
図9は紡糸口金の平面図であり、図10は当該紡糸口金のE−E’線で切断したときの断面図である。26は当該紡糸口金の凹部であり、この例では紡糸口金全体に12個がD板1ブロックの細孔群の出ロに対応した位置に、該凹部の1個がD板の流入孔の出口18個を受け入れるように穿設されている。その形状は図9、図10のものに限定されるものではない。27は当該紡糸口金凹部に穿設された吐出孔で、これらはノズルオリフィスヘ連通している。なお、B板、C板、D板及び紡糸口金は図に示すようなノックピンI、II、III、IVでノズルパック内での相互の位置を固定することによって上述のようなポリマー流の混合をせしめることはいうまでもない。これらの図面において多数の同構造の部分や対称部分は、説明を害しない程度に省略した部分がある。
【0013】
この混合装置中のポリマーの流れをa,bの2成分のポリマー流の場合について説明する。
各々、ギアポンプで計量されたa成分、b成分の2つのポリマー流はA板の1’、2’、3’、4’、5’のポリマー流入口へ隣合せで入り、1、2、3、4、5の同心円状に穿設された円環溝をしたポリマー流入口より押出されてB板凹部へa成分とb成分がサイドバイサイドに各々a成分3層、b成分2層づつ、すなわちa、b5層の複合流として入る。このとき一般に層数の多い成分すなわちこの例ではa成分が海成分となる。該複合流の複合面はB板凹部の中心部に穿設された孔の配列方向すなわちB板の円周方向となる。この複合流はa、b5層となるが、A板の溝状の流出口の数に対応するものであって、当該流出口の数を増加せしめ各成分ポリマーを1つおきの溝状の流出口よりせしめれば、容易に溝状の数と同数層の複合流を極めて確実にB板部へ送ることができる。図4のB板凹部9へ入った5層のポリマ一流は7および8と同構造の24個の円周状に配列されたB板のポリマー流入孔へ供給され、7’および8’と同構造の24個のポリマー流出孔より流出する。
【0014】
A板を通過したポリマー流はB板により多層化と分割が行なわれる。次に、B板を通過して形成されたポリマー細流はB板の下に設けられた24個のB板流出孔に対応した図5の10、11、12、13等で示されるC板に穿設されかつC板の円周方向に配列した24個の溝の流入口に流入する。これらのポリマー流は溝を通過して、10’、11’、12’、13’等の当該流入口の口列の方向と実質的に平行とならぬように配列した流出口から流出されると同時に該C板上で円周方向に10、11、12、13等のように配列していた接合ポリマー細流は2個づつが図5の10’、11’や12’、13’等々の流出孔のような位置へ並べかえられる。この並べかえは次のD板により接合ポリマー細流の十分に規制した引き伸ばしを行い、各ポリマー成分が等しい長さになるように再分割を行うために重要な工程である。
【0015】
C板を出たポリマー流はC板の下に設けられたD板に穿設された同心円状環溝の入口18、19,20、21へ入る。当該D板を通過するポリマー細流は円環状溝の円周方向へ、引き伸ばしの起点と終点を規制して引き伸ばされたあと、円環状スリットの円周方向に並べて穿設された多数の細孔22、23,24、25等によってその細孔数に等しい、つまりこの例の場合4個の円環状溝の合計216個のポリマー細流に分割される。
【0016】
次にD板を通過して形成されたポリマー微細流はD板の下へ設けられた紡糸口金凹部へ流入する。このとき1個の紡糸口金凹部へはD板の1ブロック内たとえばイ、ロ、ハ、ニの内に位置する18個の細孔から流出する18個のポリマー微細流がいずれのブロックでも同数流入することによって集合がなされ、ついで当該紡糸口金凹部に1個づつ穿設された吐出孔から吐出される。
【0017】
本方法においてD板で各ポリマー成分が等しい長さになる様に再分割する手段としてD板の円環状溝で円周方向へポリマー細流を引き伸ばしの起点と終点を規制して引き伸ばすとは、具体的には次のようなことである。
すなわち、引き伸ばしは円環状溝ヘのポリマー細流の供給位置すなわち引き伸ばし起点及び終点を(D板の下部へ設置せしめる)紡糸口金境界部の真上に位置せしめることである。たとえばこの場合、紡糸口金には隣接する紡糸口金凹部の境界線が円周を12等分するように配置しているので、その1つおきの位置の真上に当るD板の円環状溝ヘポリマー細流を供給して引き伸ばしの起点とする。つまり、1円環状溝当り円周方向に60度間隔で6個所から供給する。そうすれば、それぞれのポリマー細流は供給点を起点として円環状溝を円周方向へ60度づつ流れて引き伸ばしが完了することになる。したがって、引き伸ばしの終点はやはり別の隣接する紡糸口金境界部の真上の位置に必然的に決まってしまう。
【0018】
本発明によればD枚からのポリマー微細流を紡糸口金上面で分離するに際し、紡糸口金上面の複数の凹部により規制して1個の吐出孔へ導くから、D板よりの1つのポリマー微細流が複数の吐出孔に分れて流れ込む割合が減少できる。さらに、D板上でポリマー細流の引き伸ばしの起点と終点が規制されているのでD板細孔でなされるポリマー細流の分割において各ポリマー成分が等しい長さに再分割され、異なる隣り合わせの起点から引き伸びてきた2つのポリマー細流が同じ1個のD板細孔中で分割を受けることがなくなる、つまり1個のD板細孔中では1つのポリマー細流のみが分割をうけるのでポリマ一微細流中の島相となる成分の数は各D板細孔中で完全に等しい、すなわちA板とB板とによってなされた多層化接合の島成分の層数に等しくなる。したがって、混合によって生成する海島構造中の島数は各ホール間でのばらつきが少なくなる。以上の様に、各種プレートが上記のような機能を発揮して十分な混合ができるのは、各種の混合プレートを図3、図5、図7、図9のようにピンによって相互の位置が一定となるように規制した時にのみであることは云うまでもない。
【0019】
本例における混合の制御がいかにすれば可能となるかについて途べる。
それは、▲1▼のA板とそれに続くB板によってなされる多層化において、一方の成分(島相となる成分)の層の数:S、▲6▼のD板に続く紡糸口金凹部の1区画内に入るD板細孔から流出して集合を行なうポリマー微細流の数:U(これはD板の1ブロック内に穿設した細孔数のことである。)とすると、紡糸口金凹部を流れるポリマー微細流中の島成分数つまり海島状態形成後の島数(1フィラメント当り)をIとすると、IとSとUとの間には(1)式のような関係が成立すると考えられる。
I=S・U ・・・・(1)
【0020】
次にS=5、U=40となる場合において実際に海成分をポリエチレン(高圧法)とし、島成分をポリエチレンテレフタレートとして混合及び紡糸を行なった。その結果、各ホールの島数がほぼ200個である海島構造をもったマルチフイラメントが得られたた。この例でフィラメント数は5である。これはS、Uを(1)に代入して求められた計算値にほぼ一致していた。すなわち、本発明の方法によって得られる海島構造繊維の混合の程度、海島状態はS、Uを任意に選択することによって自在に制御できることがわかる。したがって、この混合制御は極めて容易かつ広い範囲で可能であり、本発明の海島構造繊維の製造方法の優れていることがわかる。
【0021】
さらに本発明の混合の進行について示す。▲1▼のA板でa、b各々の成分はa成分海成分6層、b成分島成分5層となって、これがサイドバイサイドにはり合わせられてA板に続くB板凹部へ流入し、B板凹部の中心部にその孔列がA板の円環状溝の円周方向となるようにに穿設された24個のポリマー流入孔で24個の微細な流れに分割される。このa成分6層、b成分5層づつからなる24個の微細な流れはそれぞれB板の流入孔の出口からそれに対応した部分をポリマー流入口とするC板の24個の溝へ流入してC板中を流れ当該流入口の口列と実質的に平行とならないように配列したC板の流出口で2個づつがC板の半径方向に配列したそのような組が12組すなわちC板全体として24個穿設された流出口より流出して、次にC板の流出口と対応した位置をポリマー流の入口とする円環状溝を穿設したD枚に入り、D板を通過する時に流れは円環状溝の円周方向へ十分に引き伸ばされたあと円環状溝の円周方向に並べて穿設された200個の細孔によって分割される。このときC板の流出口の位置はD板の円環状溝におけるポリマー細流の引き伸ばしの定点となるところであり、1つの円環状溝の円周全体に6個が60度間隔で位置している。したがって、必然的にポリマー細流の引き伸ばしは、60度間隔で隣接するポリマー細流の引き伸ばしの起点で終了することとなる。つまりポリマー細流のD板円環状溝の引き伸ばしがその起点と終点が規制されてなされる。この200個の微細なポリマー流は、D板に続く紡糸口金上部の凹部で規制された集合をする。
【0022】
このポリマー微細流はD板円環状溝中の細孔に流入した直後は、a、b2つのポリマー成分が交互配列したサイドバイサイドにはり合されているが、流出時からD板につづく紡糸口金上部の凹部に流入する過程でa、bポリマーの相溶性、凝集力、流動挙動の差によって一方の成分中に他方の成分が分散した状態(この場合、a成分中にb成分が分散した状態)、すなわち海島状態へと変化を始め、紡糸口金に達する時点で完全な海島構造となる。この場合、D板の細孔の出口から流出する200個の微細流は各々5個のb成分からなる分散相をもっているので紡糸口金全体としては5×200=1000個の分散相つまり島相を有することとなり、また口金凹部1個については200/5=40個の微細流つまり40×5=200個の島相を有することになり、口金の1ホールを流れる流れには200個の分散相つまり島相が分配される上述の如く混合は進行しているわけである。
【0023】
ここで▲1▼のA板とそれに続くB板によってなされる多層化において、一方の成分(島相となる成分)の層の数:Sは、任意の値に設定することが可能であるが、スピンパックの直径とポリマー溶融粘度と紡出量を勘案して4〜6とするのが望ましい、また、▲6▼のD板に続く紡糸口金凹部の1区画内に入るD板細孔から流出して集合を行なうポリマー微細流の数:Uは、2以上の任意の値に設定することが可能であるが、スピンパックの直径とD番に穿設される細孔の直径から2〜5個の範囲においては紡糸口金上部の凹部の中央に位置させることが可能であるが、それ以上の細孔を穿設する場合においては隣接する紡糸口金上部の凹部の境界線上にも細孔が位置する事となり、該境界線上に位置する細孔からの微細流は隣接する紡糸口金上部の凹部のいずれかに流入することとなる。
【0024】
このため、U=2〜5程度のC板、D板を用いてフィラメントを得ようとする場合は、I=S・Uの計算値にほぼ等しい島数が安定的に得られるが、およそU=6以上のC板、D板を用いてフィラメントを得る場合においては、I=S・Uの計算値に対してプラスマイナス20%以内の島数のばらつきが生じることとなる。このような適度のばらつきが後述するように、人工皮革用の繊維として用いる場合に極めて優れていることとなる。
また、およそU=6以上のC板、D板を用いてフィラメントを得る場合においては、D板からの微細流は、十分な数となるため円形の紡糸口金上部の凹部に対して均一な分布を持って流入し、得られる島形状はほぼ円形のものとなる。
【0025】
本発明における海島構造繊維のもう一つの特徴としてあげられることに、得られた海島繊維断面における島成分の分布がある。特公昭44−18369号公報等で提案されている多芯々鞘紡糸装置で得た多島繊維においては、口金部分で芯成分ポリマーを流す細管を同心円状に高密度に配列することでのみ、得られる島数の増加が可能であり、従って得られた海島繊維の断面における島成分の分布も必然的に同心円状のものとなってしまう。一方、本発明における海島構造繊維においては、D板に同心円状に多数穿設した細孔から流出する微細流を、扇形のブロック単位で口金に導くため、U=6以上の微細流を複数列の円環状溝が穿設されたD板を用い集合せしめてフィラメントを得る場合においては、島成分の分布に規則性が乏しくなり、ほぼランダムに分布した状態となる。
【0026】
図11に示す繊維断面は、D板が4列の円環状溝からなり、S=5、U=40の場合に得られる海島構造の一例である。D板からの微細流が十分な数であるため円形の紡糸口金上部の凹部に対して均一な分布を持って微細流が流入し、ランダムに均一な分布をしている。しかし、得られる島分布は、部分的にA板、B板で得られる5島単位での集合が確認できる。また、個々の島の形状はほぼ円形になっている。
さらに、2種のポリマーは、A板、B板、C板、D板にて接合と分割が繰り返し行われた後に、D板に続く紡糸口金上部の凹部で集合をする。このポリマー微細流はD板円環状溝中の細孔に流入した直後は、a、b2つのポリマー成分が交互配列したサイドバイサイドに貼り合されているが、D板からの流出時からD板につづく紡糸口金上部の凹部に流入する過程でa、bポリマーの相溶性、凝集力、流動挙動の差によって一方の成分中に他方の成分が分散した状態(この場合、a成分中にb成分が分散した状態)、すなわち海島状態へと変化を始め、紡糸口金に達する時点で完全な海島構造となる。
【0027】
このような混合を安定的に実現するためには、本発明混合方法においては▲1▼A板、▲2▼B板、▲3▼C板、▲4▼D板及び、▲5▼紡糸口金のプレート5枚をこの順序でノズルパックへ組み込む外に、使用するポリマー種類、紡糸温度、混合比率およびD板の下に設けられた紡糸口金凹部での滞留時間を適正化する必要がある。
本発明においては、A板、B板、C板、D板にて2種のポリマーの接合と分割が繰り返し行われるが、本発明のように海成分ポリマーとしてポリエチレンまたはポリスチレンを使用する場合は、島成分としてはポリエチレンまたはポリスチレンのSP値を島成分のSP値で割った値が0.9より小さいSP値を有するポリマーが使用できる。ポリエチレンまたはポリスチレンのSP値を島成分のSP値で割った値が0.9より大きい場合は、ポリエチレンまたはポリスチレンと海成分ポリマーの相溶性が大となるため上述のD板下部から微細流が流出した時点からの、サイドバイサイドの貼合せ状態から海島状態への変化がなされず、均一な海島構造を得ることが困難となる。
【0028】
本発明で海成分として用いられるポリエチレンとしては、密度0.910〜0.925の低密度ポリエチレンとして市販されているものが、その取扱い性、溶融特性、紡糸性、延伸性、溶解除去性等の観点から好ましい。また、かかるポリエチレンのJIS K 6760で測定したメルトインデックスは10〜160g/10minの範囲にあり、実際の紡糸温度におけるMFRが20〜100g/10minの範囲にあるものが用いられ、30〜45g/10minの範囲にあるものがより好ましい。これは、本発明の紡糸方法が、2種のポリマーの相溶性、凝集力、流動挙動によって最終的に海島構造を得ようとするものであり、海成分ポリマーと島成分ポリマーの溶融粘度比を適正化する以外に、それらのポリマーの絶対粘度自体を低めに設定する必要があり、紡糸温度におけるMFRは20g/10min以上である必要がある。2種のポリマーの絶対粘度を低めに設定することで、ポリマー流路の壁面からの抵抗の影響が低くなり、安定した海島構造の実現が可能となるのである。また、海島構造の安定性とは別の要因で紡糸温度におけるMFRは100g/10min以下である必要がある。紡糸温度でのMFRが100g/minを越える場合には曳糸性が極端に悪くなり、紡糸原糸の捲き取りが困難となるためである。
【0029】
また、ポリスチレンは、通常工業的に利用されているポリスチレンはいずれも使用でき、紡糸のしやすさ、抽出の容易さの点で、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレンとアクリル酸の高級アルコールエステルおよび/またはメタクリル酸の高級アルコールエステルとの共重合体等が使用できるが、低分子量ポリスチレン、α−メチルスチレンオリゴマー等の可塑剤を添加して溶融粘度を本発明の紡糸方法に適した溶融粘度に調節することが必要となる。また、かかるポリスチレンのMFRはその取扱い性、溶融特性、紡糸性、温水浴中延伸性、溶解除去性等の観点からポリエチレンの場合と同程度の範囲にあるものが好ましい。
【0030】
島成分として用いられるポリマーの代表例としては、6ナイロン、66ナイロン、12ナイロン及び6ナイロンと12ナイロンの共重合ナイロンの如きポリアミド、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン-2,6−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどのジオール化合物とから合成されるポリエステルなどが挙げられ、特に6−ナイロンやポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートが好ましい。また、上記ポリエステル成分に、ポリアルキレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、メトキシポリアルキレングリコール、ビスフェノールA、スルホイソフタル酸などを共重合したものでもよい。さらにオキシカルボン酸の自己縮合により合成されるポリエステルおよび反復構造単位の70%以上がオキシカルボン酸ポリマーであるようなポリエステルも使用できる。
【0031】
上述の2種のポリマーのサイドバイサイドの貼合せ状態から、一方の成分中に他方の成分が分散した海島状態への構造変化は、2種のポリマーのSP値の比(海成分のSP値/島成分のSP値)、混合比率、および紡糸温度におけるMFRによって大きな影響を受ける。すなわち、SP値の比が大きい場合には貼合せ状態から海島構造へ容易に構造変化が生じる、同様に海成分比率が大きい場合、および島成分ポリマーのMFRが大きい場合(溶融粘度が低い場合)にもサイドバイサイドの貼合せ状態から海島構造への構造変化は容易に生じる。海成分ポリマーがポリエチレン、島成分ポリマーが6ナイロンまたはポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、ポリエチレンのSP値が7.9であるのに対して6ナイロンのSP値は13.2、ポリエチレンテレフタレートのSP値は10.7である。この場合、ポリエチレンと6ナイロンの組み合わせの方がポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとの組み合わせよりSP値の比が大きくなるため、安定に海島構造を得ようとする場合、ポリエチレンと6ナイロンの組み合わせの方が、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートの場合に比べて糸断面における海成分面積比率を少なくすることが可能である。また、繊維断面における海島面積比率を一定とした場合には、2種のポリマーのSP値の比に応じて安定な紡糸が可能な島成分ポリマーのMFRの下限は限定されてしまう。このことは本発明においては使用可能な海成分ポリエチレンまたはポリスチレンのMFRの範囲が限られているため、結果として紡糸可能な2種のポリマーのMFRの比(海成分のMFR/島成分のMFR)には上限が存在することとなる。この場合、MFRの比が増加して安定な海島構造が得られない場合には、海成分比率を増加させることで海島構造を再び安定化させることが可能であるが、MFRの比が7より大きい場合においては、海成分比率を増加せしめても安定な海島構造が得られないことを見いだした。また、MFRの比の下限値は、0.9以上である。これは、海成分の溶融粘度が島成分の溶融粘度よりも高くなるとサイドバイサイドの貼合せ状態から海島構造への構造変化は不安定となり、低粘度成分が本質的に海成分に変化しやすい現象を表している。MFRの比が0.9というのは実験的に検証して安定な海島構造が得られる下限値である。
【0032】
さらに、サイドバイサイドの貼合せ状態から海島構造への構造変化は、微細流がD板から流出し、紡糸口金上部の凹部に流入し紡糸口金に達するまでのポリマーの滞留時間によって大きく左右される。すなわち2成分ポリマーのSP値の比が大きく、しかも溶融粘度の比が小さく、サイドバイサイドの貼合せ状態から安定な海島構造への構造変化が容易に生じるポリマーの組み合わせにおいても、サイドバイサイドの貼合せ状態から海島構造への構造変化を生じるためには少なくとも10秒、好ましくは20秒以上の滞留時間が必要である。
【0033】
本発明の多島繊維の紡糸方法は、原理的には先に提案された特開昭50−36717号公報、特開昭50−71909号公報、特開昭51−139919号公報、特開昭53−98411号公報及び特開昭61−19806号公報等に記載された技術と混合しようとするポリマー成分の化学的物理的性質を十分に考慮し利用している点では全く同じであるが、得られる繊維の海島構造の均一安定化および生産安定性において著しい改良がなされたものである。
【0034】
すなわち、前記発明の方法及び装置を用いて、ポリマー種類、紡糸温度、混合比率を変更して繰返し海島構造繊維の紡糸を実施したところ、フィラメントヤーンを構成するいくつかのフィラメントにおいては海島構造の逆転および島形状の乱れに起因する2個以上の島の接着が生じることが多く、必ずしも海島構造の安定性及び均一性において満足できるものではなかった。
【0035】
本発明はその様な海島構造の乱れを減少させるために、ポリマーのSP値、溶融粘度、紡糸口金での滞留時間、海島比率についての検討を行い、海島構造の乱れを可能な限り小さくしたものであって、実際にこの繊維を織物、編み物素材およびスエード調人工皮革に用いた時の利用価値が著しく向上した。
【0036】
本発明は、上述の如く混合のために用いる構造プレート数が紡糸口金を含めて5枚とこれまで提案してきた方法、装置の簡素化、小型化の実現を可能にしたものであり、S、Uを任意にかえることて容易にかつ正確に島数のコントロールができ、しかも極めてコンパクトである。これは、本発明は実際に混合に供するポリマーの溶融時の化学的、物理的性質を十分に利用して目的とする混合状態を実現しようとしたので装置は上述の如く簡単化できたもので、保守、整備は通常の溶融紡糸口金と同様な取扱いができ、特別な配慮や困難は全くない。
【0037】
本発明の紡糸方法によって得られた海島構造繊維を延伸して得られる海島構造繊維は個々の島成分(以下島相とする)の太さが平均0.001〜0.5デニールで、その形状がほぼ円形で、太さがほぼ均一であることから、海成分のポリマー(以下海相とする)を溶解除去することによって通常紡糸では得ることが困難とされている微細で島形状が均一で、さらに島数の多い海島構造繊維を得ることができ、これは人工皮革用、とくにスエード調人工皮革素材繊維として有用である。さらにスウェード及びベロア調フィラメント織物編み物素材としても適している。島成分の太さが0.5デニールを越えると、人工皮革素材として用いることができず、一方0.001デニールより小さいと人工皮革とした場合に従来の混合紡糸繊維との差が見られなくなる。好ましくは0.005〜0.05デニールの範囲である。さらに本発明の繊維は、島数についても繊維間で最大値と最小値が平均島数に対してそれぞれプラス10%〜プラス20%、マイナス10%〜マイナス20%の範囲にあること、すなわち繊維間で島数においてわずかのばらつきが見られることより、このようなわずかのばらつきが、人工皮革とした場合、特にスエード調の人工皮革とした場合に、天然皮革に極めて類似した自然なものとする。なお本発明において、島数は40〜500の範囲である。島数が40より少ない場合には、従来公知の多数の細管から島成分ポリマーを流し多芯芯鞘紡糸する方法と比べて本発明の方法の優位性が少なくなり、また500を越える場合には、従来方法の混合紡糸方法との比較において、優位性がなくなる。好ましくは100〜300の範囲の島数である。
【0038】
本発明の海島構造繊維から人工皮革を製造する方法としては、本発明の繊維を延伸、カットした後にウェッブを作成し、それをニードルパンチングや水流絡合等により絡合不織布とし、それにポリウレタンで代表される弾性重合体を含浸したのち繊維中の海成分を抽出除去し、或いは該絡合不織布から繊維の海成分を抽出除去したのち弾性重合体を含浸して、得られる繊維シートの表面をサンドペーパー等で毛羽立てることにより得られる。
【0039】
また本発明で得られる繊維は、海島共存する状態においても繊維均斉度が非常に良好であることから、従来の海島構造をもった繊維においては不可能とされていた織物用フィラメント繊維として取扱いが十分に可能である。また織物用フィラメントとして利用する場合は、海成分の融点より5℃以上高い温度で通常のローラープレート延伸するだけでフィラメントは相互に融着して、製織時に無糊付けで経糸として利用できるという特徴を有する。しかも、海成分除去後は島成分が構成単位となる極細マルチフィラメントを極めて容易に得ることができる。
【0040】
【実施例】
次に本発明を実施例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれら記載例に限定されるものではない。なお本発明で言う島数は、人工皮革の基材に用いられている海島構造繊維を任意に100本取り出し、その断面顕微鏡写真から島数を数え、それを繊維本数で割った値、すなわち平均値である。また本発明で規定する島数の分布は、その際の個々の繊維の島数が最大のものが平均値を100とした場合に110〜120の間にあり、かつ最小のものが80〜90の範囲にあり、そのような値となる場合が大半であることを意味する。
【0041】
実施例1
315℃におけるMFRが22g/10minのポリエチレンテレフタレートと50g/10minの高圧法低密度ポリエチレン(MFRの比:2.27、SP値の比:0.74)を別々の押出機により溶融押出し、ギアポンプで計量して重量比75:25で本発明混合装置に導入し、混合装置はA板で円環スリット状をなすポリマー流出口を11個同心円状にもつもの(S=5)とB板でその凹部の中心部に24個のポリマー流入孔をもちしかもそれらの孔からなる孔列が前記A板のスリット状流出口の円周の方向と一致するものとC板において、当該C板に穿設されたC板の半径方向に配列した1組のポリマー流出口が2個のもので12組のポリマー流出ロが円周状に配置されたものと、4個の同心円状円環溝をもち4個の溝中の細孔の総数が200個で1ブロック内に40個づつ5ブロックが穿設されたD板と、紡糸口金凹部を5個穿設した紡糸口金とを上記のような順に設置したものを用いた。このときD板に同心円上に4列に穿設した細孔は、隣接する紡糸口金凹部の境界線上にも位置することとなり、境界線上の細孔からの微細流は隣接する紡糸口金凹部のいずれかに流入することとなる。本実施例ではS(すなわちA板ての島成分の層数)=5、U(D板に穿設された細孔数で紡糸口金凹部の1個対応する個数)=40、V(口金オりフィス数)=5である。紡糸は口金温度は315℃とし、口金ホール数=5、ポリマーのノズル凹部での滞留時間が20秒となるような吐出量で紡糸した。
【0042】
得られた多島繊維を任意の位置でカットし、100個の断面にて島の個数の分布を測定した結果、174〜233島の範囲を有していた。島形状は紡糸口金凹部にD板からの微細流が約40個流入しており、紡糸口金凹部にはほぼ均一な分布を持って微細流が流入しているため島形状はほぼ円形のものとなっており、島成分の分布に規則性は見いだせなかった。島直径の長径と短径の比をフィラメント10本について測定した平均値は1.03であった。
紡糸は3日間の連続運転を繰返し12回行なった。多島繊維の混合状態は紡糸中全く安定であった。海島構造すなわち島数、島形状は紡糸開始から紡糸の終るまで全テスト12回の繰返しにおいて全く変化することがなかった。期間中ビス落ちや多島繊維の紡糸に発生しやすいとされている吐出ポリマー流のニ一イングによる断糸はほとんどなく紡糸調子は良好であったが、これは本発明で混合されるポリマーは装置内での分割、接合が均一であるため、吐出ポリマーのニーイングやバルーニングがほとんど解消されるためであろう。
また、得られた紡糸原糸を延伸した後に海成分を除去して得られた極細フィラメントのデニールは0.025デニールであった。
【0043】
実施例2
275℃におけるMFRが32.0g/10minの6ナイロンと、35.0g/10minの高圧法低密度ポリエチレン(MFRの比:1.09、SP値の比:0.60)を重量比70:30にて使用する以外は実施例1と同様な設備、方法を用いて紡糸を行った。
各フィラメント間での島数は171〜233島の範囲であり、島形状はほぼ円形(長径/短径比:1.06)でフィラメント断面における島成分の分布には規則性は見いだせなかった。
紡糸は3日間の連続運転を繰返し12回行なった。多島繊維の混合状態は紡糸中全く安定であった。海島構造すなわち島数、島形状は紡糸開始から紡糸の終るまで全テスト12回の繰返しにおいて全く変化することがなかった。
また、得られた紡糸原糸を延伸した後に海成分を除去して得られた極細フィラメントのデニールは0.018デニールであった。
【0044】
実施例3
290℃におけるMFRが12.0g/10minの6ナイロンと、42.0g/10minの高圧法低密度ポリエチレン(MFRの比:3.50、SP値の比:0.60)を重量比60:40にて使用する以外は実施例1と同様な設備、方法を用いて紡糸を行った。
実施例3と比較してMFRの比が大きくなっているため海成分比率を40%より少なくすると海島構造の乱れが発生したが、40%以上の比率においては海島構造は安定であった。60:40の比率にて3日間の連続運転を繰返し12回行なった。多島繊維の混合状態は紡糸中全く安定であった。海島構造すなわち島数、島形状は紡糸開始から紡糸の終るまで全テスト12回の繰返しにおいて全く変化することがなかった。
各フィラメント間での島数は172〜232島の範囲であり、島形状はほぼ円形(長径/短径比:1.04)でフィラメント断面における島成分の分布には規則性は見いだせなかった。
また、得られた紡糸原糸を延伸した後に海成分を除去して得られた極細フィラメントのデニールは0.015デニールであった。
【0045】
実施例4
300℃におけるMFRが6.8g/10minの6ナイロンと、46.0g/10minの高圧法低密度ポリエチレン(MFRの比:6.76、SP値の比:0.60)を重量比50:50にて使用する以外は実施例1と同様な設備、方法を用いて紡糸を行った。
実施例4と比較してMFRの比がさらに大きくなっているため海成分比率を50%より少なくすると海島構造の乱れが発生したが、50%以上の比率においては海島構造は安定であった。50:50の比率にて3日間の連続運転を繰返し12回行なった。多島繊維の混合状態は紡糸中全く安定であった。海島構造すなわち島数、島形状は紡糸開始から紡糸の終るまで全テスト12回の繰返しにおいて全く変化することがなかった。
各フィラメント間での島数は174〜230島の範囲であり、島形状はほぼ円形(長径/短径比:1.02)でフィラメント断面における島成分の分布には規則性は見いだせなかった。
また、得られた紡糸原糸を延伸した後に海成分を除去して得られた極細フィラメントのデニールは0.013デニールであった。
【0046】
実施例5
300℃におけるMFRが28g/10minのポリエチレンテレフタレートと38g/10minのポリスチレン(MFRの比:1.36、SP値の比:0.85)の組み合わせを用いて、実施例1と同様な設備、方法を用いて紡糸を行った。得られた多島繊維の島数の変動は172〜230の範囲であり、島直径の長径と短径の比は、1.03であった。
紡糸は3日間の連続運転を繰返し12回行なった。多島繊維の混合状態は紡糸中全く安定であった。海島構造すなわち島数、島形状は紡糸開始から紡糸の終るまで全テスト12回の繰返しにおいて全く変化することがなかった。
また、得られた紡糸原糸を延伸した後に海成分を除去して得られた極細フィラメントのデニールは0.022デニールであった。
以上の実施例1〜5で得られたデータを表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例6
実施例2ので得られた紡糸原糸を延伸温度70℃、延伸速度100m/分で延伸して、単繊維デニールが5.0デニールの延伸糸を得た。
得られた延伸糸に機械捲縮を付与し、繊維長51mmに切断し、カ−ドで解繊した後クロスラップウェバ−でウェブとした。次に、1バーブニードルを用いて第1バーブの不織布貫通量が5mmとなる針深度にてパンチ密度2300P/cm 2 のニ−ドルパンチを行い、目付600g/m 2 の繊維絡合不織布とした。この繊維絡合不織布に表面平滑化処理を行った後にポリエ−テル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン組成物13部、N,N'−ジメチルホルムアミド(以下DMFとする)87部の組成液を含浸し、DMF40%水溶液中で凝固し、水洗し、次いで、極細繊維発生型繊維中のポリエチレンをパ−クレンで処理して除去し、6ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ約1.4mmの繊維質基体を得た。繊維質基体を厚さ方向に2分割し、分割面をサンドペ−パ−でバフィングして厚さ0.6mmに厚み合わせを行った後、他の面をエメリ−バフ機で処理してナイロン極細繊維立毛面を形成し、更に茶色に染色した後、仕上げをしてスエ−ド調人工皮革を得た。
得られたスエード調人工皮革は、高級なヌバック調の外観と深みのある色合いを合わせ持ち、従来の複合紡糸繊維や混合紡糸繊維では得られない極めて天然皮革に類似した物となった。
【0049】
比較例1
300℃におけるMFRが6.8g/10minの6ナイロンと17.0g/10minの高圧法低密度ポリエチレン(MFRの比:2.50、SP値の比:0.60)を使用する以外は実施例1と同様な設備、方法を用いて紡糸を行った。ポリエチレンのMFRが低すぎるために、海成分比率を70%まで増加しても紡糸開始直後に海島構造の乱れが生じて均一な構造の多島繊維を得ることが出来なかった。
【0050】
比較例2
300℃におけるMFRが6.3g/10minの6ナイロンと46.0g/10minの高圧法低密度ポリエチレン(MFRの比:7.30、SP値の比:0.60)を使用する以外は実施例1と同様な装置、方法を用いて紡糸を行った。MFRの比が大きすぎるために、海成分比率を70%まで増加しても紡糸開始直後に海島構造の乱れが生じて均一な構造の多島繊維を得ることが出来なかった。
【0051】
比較例3
紡糸口金凹部におけるポリマーの滞留時間が8秒となる吐出量で紡糸する以外は実施例2と同様の装置、方法を用いて紡糸を行った。海成分比率を70%まで増加しても紡糸開始直後に海島構造の乱れが生じて均一な構造の多島繊維を得ることが出来なかった。
【0052】
比較例4
320℃におけるMFRが22g/10minのポリプロピレンと52g/10minのポリエチレンの組み合わせ(MFRの比:2.36、SP値の比:0.97)を用いて、実施例1と同様な設備、方法を用いて紡糸を行った。海成分比率を70%まで増加しても紡糸開始直後に海島構造の乱れが生じて均一な構造の多島繊維を得ることが出来なかった。以上の比較例1〜4で得られたデータを表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明の、海島構造繊維およびその製造方法によると、従来の混合紡糸繊維と比較して島成分の均斉度に優れ、かつ従来の複合紡糸繊維と比べて島成分の本数が多い海島構造繊維を、ノズル形状を複雑化することなく得ることができ、得られた海島繊維は特にスエード調人工皮革素材として用いた場合に、天然皮革と類似した極めて自然な物となる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるA板の1例の平面図
【図2】第1図のA−A’線での断面図
【図3】B板の1例の平面図
【図4】第3図のB−B’線での断面図
【図5】C板の1例の平面図
【図6】C板のC−C’線での断面図
【図7】D板の1例の平面図
【図8】D板のD−D’線での断面図
【図9】本発明に用いられる紡糸口金の1例の平面図
【図10】図9の紡糸口金のE−E’線での断面図
【図11】本発明繊維の1例の断面図
Claims (2)
- 繊維断面が海島構造を有し、該島成分が太さ0.001〜0.5デニールで長さ方向に連続しており、かつ繊維横断面には平均40〜500の島が存在しており、さらに島数の最大値と最低値が平均島数に対してそれぞれプラス10%から20%、マイナス10%から20%の範囲に存在していて、かつ繊維断面における島成分の分布が同心円状になっていない海島構造繊維からなることを特徴とする人工皮革の基材。
- 海成分としてポリエチレンまたはポリスチレンを用い島成分として他のポリマーを用い、該海成分となるポリマーと該島成分となるポリマーをそれぞれ別々に溶融し、それぞれの溶融流を形成した後、両ポリマー流を接合して接合流を形成し、該接合流の分割、並べかえと接合を繰り返してノズルから吐出させた後で延伸してなる海島構造繊維から人工皮革の基材を製造するに際し、下記の条件(1)〜(4)を満足することによって、個々の繊維断面において島成分が太さ0.001〜0.5デニールで長さ方向に連続し、繊維横断面には島数が40〜500で、かつ同心円状に分布していない状態であり、かつ島数の最大値と最低値が平均島数に対してそれぞれプラス10%から20%、マイナス10%から20%の範囲に存在している海島構造繊維から人工皮革の基材を製造することを特徴とする人工皮革の基材の製造方法。
(1)海成分の溶解度パラメーター(以下SP値)/島成分SP値≦0.9
(2)紡糸温度における海成分ポリマーのメルトフローレイト(以下MFR):20〜100g/10min(MFRは、オリフィス口径:2.0mmφ、荷重:325gで測定)
(3)紡糸温度における海成分ポリマーと島成分ポリマーのMFRの比:0.9≦海成分MFR/島成分MFR≦7.0
(4)再分割されたポリマー微細流を規制して集合せしめた時点から紡糸口金より吐出するまでの、紡糸口金におけるポリマーの滞留時間:T
T≧10sec
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