JP2004197284A - 海島型複合繊維用口金装置および該口金装置を用いた海島型複合繊維の製造方法。 - Google Patents

海島型複合繊維用口金装置および該口金装置を用いた海島型複合繊維の製造方法。 Download PDF

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Hideo Tani
秀男 谷
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KASEN NOZURU SEISAKUSHO KK
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Abstract

【解決課題】海成分ポリマーを精緻に分配することにより、高密度島成分の繊度を均一にでき、また、口金の加工が容易で、組立て・分解・洗浄時の取扱性の良い海島型複合繊維用口金装置とその口金装置を用いた紡糸方法を提供する。
【解決手段】上部分配板31、下部分配板32および集合口金33から構成され、上部分配板31と下部分配板32の間に形成される計量間隙3eおよび複合流孔3g両端の圧力差を制御し、海成分ポリマーと島成分ポリマーの分配を良好にし、さらに集合口金33の吐出孔にかかる圧力を制御することにより島繊度が均一な海島型複合繊維を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の島成分ポリマーが海成分ポリマー中に各々独立に分散してなる海島型複合繊維を製造する口金装置及び該口金による海島型複合繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数の島成分ポリマーを海成分ポリマーにより取り囲んでなる海島型複合繊維を製造する口金装置は種々提案されている。
【0003】
このような口金装置としては、例えば、図7に示すように、島成分供給管(以下、パイプという)1bが集合口金12の集合部1cに挿入された、非常に長いパイプのものが用いられていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この口金装置は、まず海成分供給孔1aより供給された海成分ポリマーSが、林立するパイプ1bの間を通って、パイプ1bの外周を取り囲むようにして下方へと流下する。そして、海成分ポリマーSによって囲まれたパイプ1bから島成分ポリマーIを供給することによって海島型複合繊維を形成するものである。当該口金装置によれば図9に示すような、海成分ポリマーSの中に島成分ポリマーIが独立・分散した海島型繊維が得られる。
【0005】
しかしながら、上記口金装置に用いられるパイプ1bは、例えば、直径0.6mm、長さ15mmというように非常に細長くする必要があり、加工時間が嵩む上、口金装置の組立て・分解時および洗浄時に誤ってパイプを毀損する可能性があり、取扱性の面においても好ましくない。
【0006】
斯かる問題を解消すべく、例えば、図8に示すように、パイプの長さを短くし、パイプが埋設された口金板21と集合口金23との間に複合流を形成するための計量プレート22を設置した口金装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
図8に示す口金装置では、まず、海成分供給孔2aより供給された海成分ポリマーが林立するパイプ2bの間を通って計量プレート22の各複合流形成孔2cに流れ込む。そして、島成分ポリマーをパイプ2bより導き、複合流形成孔2cに供給する。ここで、各複合流形成孔2cにおいて島成分ポリマーが海成分ポリマーによって被覆された芯鞘型複合流が形成される。この芯鞘型複合流の複数本を集合口金23において集め、吐出孔2dより紡出し、海島型複合繊維を得るというものである。
【0008】
図8に示す口金装置によっても図9に示す海島型複合繊維を得ることが出来るのであるが、同様に口金板にパイプを埋設しており、口金加工性および取扱性は飛躍的に向上しているとは言えない。そこで、パイプを使用せずに海島型繊維を得る口金装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、単繊維中の島成分の数が15本/フィラメント程度までの低密度のものであれば安定した海島型繊維を形成し得るが、単繊維中の島成分の数が例えば100本/フィラメントというように高密度になると、図10に示すように、島成分同士が融着するという不具合を生じることがあった。
【0009】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0010】
【特許文献1】
特公昭48−28361号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2001―192924号公報
【0012】
【特許文献3】
特公昭51−37374号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、島成分ポリマーを供給するためのパイプを用いないことにより、加工性、組立て・分解時および洗浄時等の取扱性の良い口金装置であって、島成分の数が多い場合でも良好な海島型複合繊維を製造することができる海島型複合繊維用口金装置及び該口金装置を用いた海島型複合繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る海島型複合繊維用口金装置の第1の手段は、上部分配板、下部分配板、及び集合口金を有する海島型複合繊維用口金であって、前記上部分配板は、島成分ポリマーを分配供給する複数の分配孔群と、海成分ポリマーを供給する複数の海成分供給孔とを有し、前記下部分配板は、前記各分配孔と同一軸線上に穿設され島成分ポリマーを芯とし海成分ポリマーを鞘とする芯鞘型複合流を孔内に形成するための複数の複合流孔群を有し、前記集合口金は、前記下部分配板の複合流孔から吐出された複数の芯鞘型複合流を集め、下方へ漸次細化させつつ流下させ紡出させる吐出孔を有し、前記上部分配孔と下部分配孔との間に、前記各々の複合流孔内へその周囲から海成分ポリマーを分配供給するための海成分分配室を有し、さらに、該海成分分配室内に、前記複合流孔群を含む凸部を形成し、隣り合う複合流孔の間に海成分ポリマーの通る海成分分配用凹溝を形成して海成分ポリマーが前記海成分分配用凹溝の溝壁を越流して前記複合流孔に流入するように構成するとともに、前記凸部の突端と前記海成分分配室内天壁との間に海成分ポリマーの通る所定間隙を形成し、前記所定間隙の流入口における海成分ポリマーの圧力と該所定間隙から前記複合流孔へ流出する複合流の前記複合流孔流入口における圧力との圧力差をΔPa、前記所定間隙を流れる海成分ポリマーの速度をυ1、前記海成分分配用凹溝を流れる海成分ポリマーの速度をυ2とした場合、下記式(1)および(2)
0.2MPa≦ΔPa≦2MPa ・・・(1)
1.2≦υ1/υ2≦2.5 ・・・(2)
を同時に満足するように構成されていることを特徴とする海島型複合繊維用口金装置により達成される。
【0015】
本発明の第2の手段は、上記第1の手段において、前記吐出孔の出口と入口との圧力差をΔPSとし、前記複合流孔の出口と入口との圧力差をΔPbとした場合、下記式(3)および(4)
0.2MPa ≦ΔPb≦1MPa ・・・(3)
1MPa ≦ΔPS≦6MPa ・・・(4)
を同時に満足するように構成されていることが好ましい。
【0016】
また、海成分ポリマーの流量と粘度によって上記圧力差ΔPaは変動するため、斯かる変動を調整するために、本発明の第3の手段は、上記第1又は第2の手段において、上部分配板と下部分配板との接合面間に、前記間隙を調整するためのスペーサを設けて、前記変動を調整できるようにしておくことが好ましい。
【0017】
また、本発明の上記目的は、上記第1〜第3の手段の何れかの口金装置を用いて製造することを特徴とする海島型複合繊維の製造方法により達成される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る海島型複合繊維用口金装置の好ましい実施形態について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
まず、本発明の第1実施形態について、図1〜7を参照して説明する。図1は口金装置の一部を拡大して示す断面図であって図2〜4のA−A断面に対応し、図2は上部分配板を図1のB視方向から見た平面図、図3は下部分配板を図1のC視方向から見た平面図、図4は集合口金を示す平面図である。なお、図1〜図6を通し、同様の構成部分には同符号を付した。
【0020】
口金装置30は、図1に示すように、上部分配板31、下部分配板32、及び集合口金33をその順に接合してある。
【0021】
上部分配板31は、図1及び図2に示すように、島成分ポリマーIを分配供給する分配孔群34と、海成分ポリマーを供給する複数の海成分供給孔3bとを有している。各々の分配孔群34には、規則的に配列された複数個の分配孔3aが形成されている。
【0022】
下部分配板32には、図1及び図3に示すように、島成分ポリマーIを芯とし海成分ポリマーSを鞘とする芯鞘型複合流を形成するための複数の複合流孔3gが、各分配孔3aと同一軸線上に穿設され、複合流孔群35を形成している。複合流孔3gの直径は、例えば、0.35〜0.55mmであり、上部分配板31の分配孔3aの直径の1.17〜1.83倍とされる。
【0023】
集合口金33は、図1及び図4に示すように、下部分配板32の複合流孔3gから吐出された複数の芯鞘型複合流を集め、下方へ漸次細化させつつ流下させ紡出させる吐出孔3iを備えている。
【0024】
上部分配孔31と下部分配孔32との間には、複合流孔3g内へその周囲から海成分ポリマーを分配供給するための海成分分配室3cが形成されている。
さらに、海成分分配室3c内には、複合流孔群35を包含する凸部3fが形成され、隣り合う複合流孔3gの間に海成分ポリマーの通る海成分分配用凹溝3dが形成されている。凸部3fの突端と海成分分配室3c内の天壁との間には、海成分ポリマーの通る所定間隙(「計量間隙」とも言う。)3eが形成されている。また、図示例において、凸部3fの周囲は、海成分分配用凹溝3dと同じ深さまで削り込まれ、海成分分配用凹溝3dの溝底面と同一面3jを形成している。
【0025】
なお、上記口金装置30では、下部分配板32に凹所を形成することにより海成分分配室3cを形成しているが、これに限らず、例えば、図6に示すように、上部分配板31に凹所を形成することにより海成分分配室3c′を形成することもできる。
【0026】
また、上記実施形態では、円柱形状をした口金装置について説明したが、立方体又は直方体の外形状をした口金装置であっても良い。
【0027】
上記構成を有する海島型複合繊維用口金装置30では、図外のギアポンプによって流量が正確に計量された海成分ポリマーSが、上部分配板31に穿孔された海成分供給孔3bを通じて、海成分分配室3cに供給される。一方、島成分ポリマーIも、図外のギアポンプによって、流量制御されつつ上部分配板31の分配孔3aに供給される。なお、ギアポンプによって送られる海成分ポリマーSの流量は、例えば、7.2〜14.4cm3/秒であり、ギアポンプによって送られる島成分ポリマーIの流量は、例えば16.8〜33.6cm3/分である。
【0028】
海成分供給孔3bを通じて海成分分配室3cに供給された海成分ポリマーは、海成分分配室3cを満たし、次いで海成分分配用凹溝3dを満たし、突起部3fを越流して複合流孔3gに流入する。これと同時に、複合流孔3gには、分配孔3aから島成分ポリマーIが供給され、海成分ポリマーSが島成分ポリマーIを包み込みながら、複合流孔3gで芯鞘型複合流を形成し流下する。
【0029】
複合流孔3gを流下した芯鞘型複合流は、複数本を束にして集合口金33の漏斗部3hで集められ、細化させながら下方へ導き、吐出孔3iによって紡出される。
【0030】
ここで重要なことは、各流路を流れるポリマーの圧力関係と流速関係である。島成分ポリマーが高密度分布(例えば、単繊維あたりに島成分が50〜100本)である場合においても安定した紡糸を得るには、所定間隙3eの流入口における海成分ポリマーの圧力Pa-1と所定間隙3eから複合流孔3gへ流出する複合流の複合流孔流入口における圧力Pa-2との圧力差(Pa-2−Pa-1)をΔPa、所定間隙3eを流れる海成分ポリマーの速度をυ1、海成分分配用凹溝3dを流れる海成分ポリマーの速度をυ2とした場合、下記式(1)および(2)を同時に満足することが必要となる。
【0031】
0.2MPa ≦ΔPa≦2MPa ・・・(1)
1.2≦υ1/υ2≦2.5 ・・・(2)
図示例の構成を有する口金装置30において、圧力差ΔPaは下記計算式(A)によって算出することができる。
【0032】
【数1】
Figure 2004197284
【0033】
ここで、
η1:上部分配板と下部分配板との計量間隙を通過する海成分ポリマーの粘度(Pa・s)、
1:計量間隙を通過する海成分ポリマーの流量(cm3/秒)
であり、L1、W1、t1は、図5を参照して、
1:計量間隙の長さ(cm)
1:計量間隙の幅(cm)
1:計量間隙の隙間(cm)
である。
【0034】
なお、圧力差ΔPaを図において例示すると、図5に示すX点における圧力(Pa-1)とY点における圧力(Pa-2)との差(Pa-2−Pa-1)である。
【0035】
計量間隙を精緻に制御することによって、上記計算式(A)に従い、圧力差ΔPaが精密に制御されるのである。そして、計量間隙3eに生じる圧力差ΔPaを精緻に制御することで、高密度島成分を有する場合であっても海成分ポリマーを均一に分配することが可能になる。
【0036】
また、紡糸する糸の銘柄に応じて海成分ポリマーの材料を変更すると、ポリマー材料によって粘度が異なるため、上記計算式(A)において、流量(Q)を一定にしても、圧力差ΔPaが変動することになる。そのような変動を調整するため、図1に示すように、上部分配板31と下部分配板32との接合面間に、薄板によって形成されたスペーサ40を設け、計量間隙の間隙(t1)を調整することにより、圧力差ΔPaを調整することができる。即ち、斯かるスペーサ40を変更することにより、紡糸する糸の銘柄に対応して複数の口金装置を製作しなくてもよいというメリットがある。なお、スペーサ40の厚みは、例えば、0.05〜0.20mmとすることができる。
【0037】
圧力差ΔPaは、上記(1)式に示すよう0.2MPa≦ΔPa≦2.0MPa、の範囲にあることが必要であり、より好ましくは、2MPa≦ΔPa≦1.5MPaさらに好ましくは0.3MPa ≦ΔPa≦1MPaである。
【0038】
圧力差ΔPaがΔPa<0.2MPaのように非常に低い場合は、海成分ポリマーは海成分分配用凹溝3dの隅々まで充満されずに、複合流孔群35の周囲近傍に位置する計量間隙3eのみを通じて複合流孔3gに流れ込み、糸条中央付近に流れ込まず、図10に示すように島成分ポリマーI同士が融着してしまう可能性が高くなる。
【0039】
一方、圧力差ΔPaが、ΔPa>2MPaとなるとその高圧力に耐えうる口金を製作しなければならず、装置自体が非常に重厚なものとなり加工性および取扱性の観点から好ましくない。
【0040】
従って、海成分ポリマーの良好な分配および口金の取扱性等の観点から当該計量間隙3eに生じる圧力差は0.2MPa ≦ΔPa≦2MPaの範囲が望ましい。
【0041】
また、計量間隙3eを通過する時の海成分ポリマーの速度をυ1とし、海成分分配用凹溝3dを通過する時の海成分ポリマーの速度をυ2とすると、その速度比υ1/υ2が1.2≦υ1/υ2≦2.5となるように口金の仕様を決定しなければならない。
【0042】
速度比υ1/υ2=1.2とするには、例えば、島成分ポリマーIの流量を32.4cm3/秒、海成分ポリマーSの流量を13.9cm3/秒とした場合、計量間隙t1=0.05mm、海成分分配用凹溝の幅W2(図3参照)=0.25mmとすればよい。
【0043】
速度比υ1/υ2が1.2に満たない場合は、海成分分配用凹溝3dにおける圧力と計量間隙3eにおける圧力の大小関係に反転が生じ、海成分ポリマーの流れに乱れが発生する。従って、速度比υ1/υ2を1.2以上とすることが必要である。
【0044】
次に、下部分配板32に形成されている複合流孔3gの両端の圧力差ΔPbと、集合口金33に形成されたの吐出孔3iの両端の圧力ΔPsとの関係である。
【0045】
まず、複合流孔3g両端の圧力差ΔPbであるが、この圧力差ΔPbは下記式(3)の範囲内にあることが望ましい。
【0046】
0.2MPa ≦ΔPb≦1MPa ・・・(3)
より望ましくは、0.2MPa ≦ΔPb≦0.5MPaである。
【0047】
圧力差ΔPbが、ΔPb<0.2MPaの場合は、海成分ポリマーおよび島成分ポリマーの流動に対して管内の流動抵抗が小さく、そのために各ポリマーは流れが容易な複合流孔を選択して流れ、本来この複合流孔3gの目的とする芯鞘型複合流の形成において分配不良、即ち島成分の融着を惹起することがあるからである。
【0048】
また、ΔPb>1MPaとなると上記したように重厚な口金を製作しなければならないため加工性の面において不利なものとなる。従って、上記圧力範囲にあることが必要となる。
【0049】
圧力差ΔPbは、ポアズイユ(Poiseuille)の法則を利用して、下記式(B)によって計算することができる。
【0050】
【数2】
Figure 2004197284
【0051】
ここで、
η3:下部分配板の複合流孔を通過する芯鞘型複合流の粘度(Pa・s)
3:下部分配板の複合流孔の長さ(cm)
3:下部分配板の複合流孔を通過する芯鞘型複合流の流量(cm3/sec)
3:下部分配板の複合流孔の直径(cm)
である。
【0052】
上記圧力差ΔPbは、上記式(B)からわかるように、圧力を最も支配する項はd3(孔径)である。孔径を目的とする圧力となるように穿孔することで、圧力の精緻制御が可能となり、良好な海島型複合繊維が得られるのである。
【0053】
また、集合口金33の吐出孔3iにかかる圧力差ΔPSは紡出時の流量ムラを低減するため、および各ポリマーを均一に分配させるという点から、下記式(4)に定める範囲内にあることが好ましい。
1MPa ≦ΔPs≦6MPa ・・・(4)
好ましくは2MPa ≦ΔPs≦4MPaの範囲にあることが好ましい。当該圧力範囲にない場合、例えばΔPs<1MPaのように圧力が低い場合は、下部分配板32での各ポリマーの分配不良の原因となると共に、紡出時の流量ムラを引き起こす原因となる。また、ΔPs>6MPaとなると上記したように重厚な口金を製作しなければならないため加工性の面において不利なものとなる。従って、上記圧力範囲にあることが必要となる。
【0054】
圧力差ΔPsは、下記式(C)によって計算することができる。
【0055】
【数3】
Figure 2004197284
【0056】
ここで、
η2:集合口金の吐出孔を通過する海島型複合流の粘度(Pa・s)
2:集合口金の吐出孔の長さ(cm)
2:集合口金の吐出孔を通過する海島型複合流の流量(cm3/sec)
2:集合口金の吐出孔の直径(cm)
である。
【0057】
以上、説明した如く圧力関係及び流速関係を維持することにより、図7に示すように島成分ポリマーが均一に海成分ポリマー中に独立・分散した海島型複合繊維が得られるのである。
【0058】
【実施例】
島成分ポリマーにポリエチレンテレフタレート(固有粘度(IV)=0.64)、海成分ポリマーに共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度(IV)=0.77)を用いて通常の溶融方法にて溶融紡糸し、3000m/分の巻き取り速度で、20分間巻き取り、単繊維当たりの繊度が8dtex/フィラメントの未延伸糸を得た。単繊維当たりの島成分の数は、37本とした。
【0059】
その糸条を各圧力条件における島成分ポリマーの融着状態を観察した。その評価をまとめたのが表1及び表2である。
【0060】
なお、この実験において、実施例及び比較例は、同じ口金を使用し、図1と同様の構成を有する口金を使用した。なお、実施例10は、ΔPsが上記式(4)の範囲外にあり、実施例11は、ΔPbが上記式(3)の範囲外にある。比較例1〜4は、何れも、ΔPa及びυ1/υ2が上記式(1)及び(2)の範囲外にあり、さらに、比較例2はΔPsが上記式(4)の範囲外、比較例3はΔPbが上記式(3)の範囲外、比較例4はΔPs及びΔPbが何れも上記式(4)及び(3)の範囲外にある。
【0061】
【表1】
Figure 2004197284
【0062】
【表2】
Figure 2004197284
【0063】
表1及び表2から、本発明の実施例は、比較例に比べ、島成分の融着数がゼロであるか、或いは少ないことが分かる。
【0064】
実施例10及び11は、ΔPa、υ1/υ2については、本発明の所定範囲(上記式(1)及び(2))にあるが、ΔPsが1MPaより小さいか或いはΔPbが0.2MPaより小さいため、島成分の融着が少し発生している。
【0065】
しかしながら、実施例10及び実施例11は、比較例1〜4に比べて島成分の融着数は少ない。なお、ΔPaとυ1/υ2とは相関関係があり、ΔPaの値が小さくなると、υ1/υ2の値も小さくなり、その逆も成り立つ。そのため、比較例1〜4では、ΔPaが上記式(1)の範囲から外れる場合に、υ1/υ2も同様に上記式(2)の範囲から外れている。
【0066】
このことから、ΔPa≧0.2MPa及びυ1/υ2≧1.2の双方を満たさなければ、島成分の融着数が増すことが分かる。
【0067】
以上のことから、ΔPaが上記式(1)を満たし且つυ1/υ2が上記式(2)を満たすことにより、海島型複合繊維の島成分の融着不良が減少し、更に、ΔPbが上記式(3)を満たし且つΔPSが上記式(4)を満たすことで、更に、島成分の融着不良を減少させることが分かり、図9に示すような島成分ポリマーが均一に海成分ポリマー中に独立・分散した海島型複合繊維が得られた。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高密度島成分を有する海島型複合繊維であっても、安定した紡糸を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る海島型複合繊維用口金装置の一実施形態を一部拡大して示す縦断面図であり、図2〜図4のA−A線断面に対応している。
【図2】図1の口金装置の上部分配板を示す平面図であり、図1のB−B視に対応している。
【図3】図1の口金装置の下部分配板を一部拡大平面図とともに示す平面図であり、図1のC−C視に対応している。
【図4】図1の口金装置の集合口金を示す平面図であり、図1のD−D視に対応している。
【図5】図5(a)は、図1の一部をさらに拡大して示す縦断面図であり、図5(b)は、図5(a)のE−E視に対応する平面図である。
【図6】本発明に係る海島型複合繊維用紡糸口金の変更形態を一部拡大して示す縦断面図である。
【図7】従来の海島型複合繊維用口金装置を示す縦断面図である。
【図8】従来の他の海島型複合繊維用口金装置を示す縦断面図である。
【図9】島成分ポリマーが海成分ポリマーに均一に独立・分散している海島型複合繊維を示す断面図である。
【図10】島成分同士が融着した海島型複合繊維を示す断面図である。
【符号の説明】
10 口金装置
11 上部口金
12 集合口金
1a 海成分供給孔
1b パイプ
1c 集合部
20 口金装置
21 口金板
22 計量プレート
23 集合口金
2a 海成分供給孔
2b パイプ
2c 複合流形成孔
2d 吐出孔
30 口金装置
31 上部分配板
32 下部分配板
33 集合口金
3a 分配孔
3b 海成分供給孔
3c 海成分分配室
3d 海成分分配用凹溝
3e 計量間隙
3f 突起部
3g 複合流孔
3h 漏斗部
3i 吐出孔
40 スペーサ

Claims (4)

  1. 上部分配板、下部分配板、及び集合口金を有する海島型複合繊維用口金であって、
    前記上部分配板は、島成分ポリマーを分配供給する複数の分配孔群と、海成分ポリマーを供給する複数の海成分供給孔とを有し、
    前記下部分配板は、前記各分配孔と同一軸線上に穿設され島成分ポリマーを芯とし海成分ポリマーを鞘とする芯鞘型複合流を孔内に形成するための複数の複合流孔群を有し、
    前記集合口金は、前記下部分配板の複合流孔から吐出された複数の芯鞘型複合流を集め、下方へ漸次細化させつつ流下させ紡出させる吐出孔を有し、
    前記上部分配孔と下部分配孔との間に、前記各々の複合流孔内へその周囲から海成分ポリマーを分配供給するための海成分分配室を有し、
    さらに、該海成分分配室内に、前記複合流孔群を含む凸部を形成し、隣り合う複合流孔の間に海成分ポリマーの通る海成分分配用凹溝を形成して海成分ポリマーが前記海成分分配用凹溝の溝壁を越流して前記複合流孔に流入するように構成するとともに、前記凸部の突端と前記海成分分配室内天壁との間に海成分ポリマーの通る所定間隙を形成し、
    前記所定間隙の流入口における海成分ポリマーの圧力と該所定間隙から前記複合流孔へ流出する複合流の前記複合流孔流入口における圧力との圧力差をΔPa、前記所定間隙を流れる海成分ポリマーの速度をυ1、前記海成分分配用凹溝を流れる海成分ポリマーの速度をυ2とした場合、下記式(1)および(2)を同時に満足するように構成されていることを特徴とする海島型複合繊維用口金装置。
    0.2MPa≦ΔPa≦2MPa ・・・(1)
    1.2≦υ1/υ2≦2.5 ・・・(2)
  2. 前記吐出孔の出口と入口との圧力差をΔPSとし、前記複合流孔の出口と入口との圧力差をΔPbとした場合、下記式(3)および(4)を同時に満足するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の海島型複合繊維用口金装置。
    0.2MPa ≦ΔPb≦1 MPa ・・・(3)
    1MPa ≦ΔPS≦6MPa ・・・(4)
  3. 上部分配板と下部分配板との接合面間に、前記間隙を調整するためのスペーサを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の口金装置。
  4. 上記請求項1〜3の何れかに記載の口金装置を用いて製造することを特徴とする海島型複合繊維の製造方法。
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