以下、本発明の実施の形態について詳しく説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
なお、本明細書中において範囲を示す「A〜B」は、「A以上、B以下」であることを示す。
〔1.トナー〕
通常、レーザー光はトナーの表面に照射されると、その一部がトナー表面に反射され、残りがトナー内部に入射される。ここで、トナー表面の凸凹が大きいと、表面で反射される光量が多くなり、トナー内部に入射される光量が減少する。その結果、顔料に吸収される光量が減少し、レーザー光のみでトナーを加熱、溶融し記録材に定着させることが困難となる。
また、着色剤として顔料のみを用い、結着樹脂中に分散された顔料だけでレーザー光を吸収する構成では、顔料に当たらないで通過する光や反射される光が発生する。そのため、トナー内部に入射させた光を、着色剤に充分に吸収させることができない。但し、染料は耐光性に劣る。
本発明のトナーは、トナーの色の吸収波長域に波長をもつレーザー光を、記録材上の未定着のトナー像に照射し、光のエネルギーを用いてトナー像のトナーを溶融させてトナー像を記録材上に定着させる定着装置にて扱われるトナーであって、トナーの形状係数SF‐2が105≦SF‐2≦115であり、着色剤として顔料とトナーの結着樹脂に可溶な染料とを含み、かつ、着色剤における上記染料の含有率X(%)が10≦X≦30である。
トナーの形状係数SF‐2を105≦SF‐2≦115としているので、滑らかなトナー表面を有するものとなり、トナー表面で反射される光を少なくして、トナー内部により多くの光を入射させることができる。
ここで、トナーの球状係数SF‐2を115以下としているのは、115を超えると、トナー表面で反射される光を効果的に減らすことができず、トナー内部に入射される量が不十分となるためである。
また、形状係数SF‐2を105以上としているのでは、105未満となると、トナー表面が滑らかになりすぎ、クリーニングが困難となるためである。
また、着色剤として、顔料と共に、トナーの結着樹脂に可溶な染料を用いているので、トナーの主体である結着樹脂そのものが着色される。その結果、顔料に当たらなかった光も、トナー内部の着色剤に充分に吸収させることができる。
そして、着色剤における染料の含有率X(%)を10≦X≦30としているので、顔料に比して耐光性の劣る染料を用いてはいても、耐光性を確保できる。
染料の含有量を着色剤全体の30%を超える量とすると、耐光性の劣る染料の割合が多くなり、トナー全体としての耐光性が悪くなるため、30%以下としている。また、染料の含有量を着色剤全体の10%以上に規定しているのでは、10%未満では、染料の含有量が少なすぎて、顔料に吸収されなかった光を充分に吸収することができないためである。
これにより、光吸収効率が高く、各色トナーの吸収波長域に設定されたレーザー光を照射してトナーを定着させるレーザー定着システムのみで、十分な定着性を確保でき、且つ赤外線吸収剤添加に起因する色再現性の悪化のない画像を得ることができるトナーを提供することができる。
以下は、本発明のトナーの構成について詳細を説明する。トナーを構成する基本成分としては、熱特性を支配する結着樹脂,色を支配する着色材,離型剤や帯電制御剤などのその他の成分が挙げられる。
(1.1)結着樹脂
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン及びスチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと言う)等のアクリル樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等を挙げることができる。
トナーにおける結着樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、トナー全体重量の85%以上を占めることが一般的であり、樹脂の物性によるトナー粒子の特性への影響は大きい。そのため、トナー設計の際、使用する樹脂の軟化点・ガラス転移点などを測定し、適切なものを選択する必要がある。
(1.2)着色剤
着色剤としては、例えば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、及びブラックトナー用着色剤等を挙げることができる。
そして、本発明のトナーにおいては、着色剤として顔料と染料の両方を用いている。顔料は、染料に比べて耐光性及び発色性に優れている。染料は、耐光性に劣るものの、樹脂に可溶なものが多く、樹脂に溶かすことで、樹脂を着色させることができる。
イエロートナー用着色剤における顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74などのアゾ系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料が挙げられる。
イエロートナー用着色剤における染料としては、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料が挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤における顔料としては、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤における染料としては、C.I.ソルベントレッド18、C.I.ソルベントレッド24、C.I.ソルベントレッド27、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、などの油溶性染料が挙げられる。
シアントナー用着色剤における顔料としては、I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16などが挙げられる。
シアントナー用着色剤における染料としては、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70などの油溶性染料が挙げられる。
上記ブラックトナー用着色剤としては、例えば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、及びアセチレンブラック等のカーボンブラック(顔料)を挙げることができる なお、着色剤として、顔料と染料の両方を用いるにあたり、顔料及び染料は1種類に限定されるものではなく、同色系の顔料を複数、同色系の染料を複数併用することもできる。
また、顔料は、マスターバッチとして用いられることが好ましい。顔料のマスターバッチは、例えば、結着樹脂の溶融物と顔料とを混練することによって製造することができる。マスターバッチに用いられる結着樹脂としては、トナーの結着樹脂と同種の樹脂、又はトナーの結着樹脂に対して良好な相溶性を有する樹脂が用いられる。マスターバッチにおける結着樹脂と顔料との使用割合は、特に限定されるものではないが、結着樹脂が100重量部に対して着色剤が30重量部以上100重量部以下の範囲内で用いられることが好ましい。マスターバッチの粒径は、特に限定されるものではないが、例えば、粒径2〜3mm程度に造粒されて用いられることが好ましい。
また、トナーにおける着色剤の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、結着樹脂が100重量部に対して着色剤が4重量部以上20重量部以下の範囲内であることが好ましい。これにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、且つ、高着色力を有するトナーを得ることができる。一方、トナーにおける着色剤の含有量が20重量部を超えると、着色剤のフィラー効果によって、トナーの定着性が低下する虞がある。
(1.3)その他の成分
本発明のトナーは、結着樹脂及び着色剤以外に、離型剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい。
離型剤は、トナーを記録材に定着させる際にトナーに離型性を付与するために添加される。したがって、離型剤を用いない場合と比較して高温オフセット開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。また、トナーを定着させる際の加熱によって離型剤を溶融させ、定着開始温度を低下させ、耐ホットオフセット性を向上させることができる。
本発明に用いられる離型剤としては、特に限定されるものではなく、この分野で常用されるものを用いることができる。例えば、パラフィンワックス及びその誘導体、ならびにマイクロクリスタリンワックス及びその誘導体等の石油系ワックス:フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、低分子ポリプロピレンワックス及びその誘導体、ならびにポリオレフィン系重合体ワックス及びその誘導体等の炭化水素系合成ワックス:カルナバワックス及びその誘導体、エステル系ワックス等を挙げることができる。離型剤は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
離型剤の使用量は、特に限定されるものではなく、広い範囲から適宜選択可能であるが、結着樹脂が100重量部に対して離型剤が0.2重量部以上20重量部以下の範囲内で用いることが好ましい。結着樹脂が100重量部に対して離型剤が20重量部よりも多く含まれると、感光体上へのフィルミング、キャリアへのスペントが起こりやすくなるおそれがある。また、結着樹脂が100重量部に対して離型剤が0.2重量部未満であると、離型剤の機能を十分発揮できないおそれがある。
離型剤の融点は、特に限定されないが、離型剤の融点が高すぎると、離型剤添加によるトナーの定着性(離型性)改善の効果を得ることができない。また、離型剤の融点が低すぎると、トナーの保存性等を悪化させてしまう。そのため、離型剤の融点は、30〜120℃の範囲内であることが好ましい。
トナー用の帯電制御剤は、トナーに好ましい帯電性を付与するために添加される。本発明に用いられる帯電制御剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の正電荷制御用又は負電荷制御用の帯電制御剤を用いることができる。
上記正電荷制御用の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、及びアミジン塩等を挙げることができる。
また、上記負電荷制御用の帯電制御剤としては、例えば、オイルブラック及びスピロンブラック等の油溶性染料:含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸及びその誘導体の金属錯体及び金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウム等)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸等を挙げることができる。
上記正電荷制御用の帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上の正電荷制御用の帯電制御剤を併用して用いてもよい。同様に、上記負電荷制御用の帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上の負電荷制御用の帯電制御剤を併用して用いてもよい。相溶性を有する帯電制御剤を用いる場合は、結着樹脂が100重量部に対して上記相溶性帯電制御剤が0.5重量部以上5重量部以下の範囲内で用いることが好ましく、結着樹脂が100重量部に対して上記相溶性帯電制御剤が0.5重量部以上3重量部以下の範囲内で用いることがより好ましい。結着樹脂が100重量部に対して、非相溶性の帯電制御剤が5重量部よりも多く含まれると、キャリアが汚染されてしまい、トナー飛散が発生する。また、非相溶性の帯電制御剤の含有量が0.5重量部未満であると、トナーに十分な帯電特性を付与することができない。
(1.4)トナー粒子の製造方法
本発明のトナーは、トナーの製法は特に限定されるものではなく乾式製法や湿式製法で作成できる。従来公知のトナー製造方法、例えば、溶融混練粉砕法によって製造することができる。当該溶融混練粉砕法とは、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及びその他の添加剤等を乾式混合する混合工程と、当該混合工程で得られた混合物を溶融混練する融解混練工程と、当該融解混練工程で得られた溶融混練物を冷却して固化させる冷却工程と、当該冷却工程で得られた固化物を機械的に粉砕する粉砕工程と、粉砕したトナー粒子を所望のサイズ以外のものを除去する分級工程と、トナー粒子を球形化する球形化処理とを含む。
上記混合工程において、乾式混合に用いられる混合機としては、特に限定されるものではなく、公知の混合機を用いることができる。例えば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)等を挙げることができる。
また、上記融解混練工程において、上記混合工程で得られた混合物は、結着樹脂の溶融温度以上の温度に加熱しながら攪拌して混練される。上記「結着樹脂の溶融温度以上の温度」とは、通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度である。上記融解混練工程において用いられる混練機としては、特に限定されるものではなく、例えば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミル等の一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、例えば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)等の1軸もしくは2軸の押出機、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)等のオープンロール方式のものを挙げることができる。
また、上記粉砕工程において、溶融混練物を冷却して得られる固化物の粉砕には、カッターミル、フェザーミル又はジェットミル等が用いられる。これらの粉砕機は、単独で用いてもよいし、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、固化物をカッターミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕することによって、所望の体積平均粒子径を有するコア粒子が得られる。
上記分級工程では、得られた粗粉に対し、分級機を用いて過粉砕トナーを除去する分級処理を実施することで、所望の体積平均粒径を有するトナー粒子を得ることができる。分級機としては、ロータリー式分級機などの市販されているものを用いることもでき、例えば、TSPセパレータ(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)等を用いることができる。
上記球形化工程では、分級されたトナー粒子を球形化する。球形化する手段としては、衝撃式球形化装置及び熱風式球形化装置を挙げることができる。衝撃式球形化装置としては、市販されているものを用いることもでき、例えば、ファカルティ(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)等を用いることができる。熱風式球形化装置としては、市販されているものも用いることができ、例えば、表面改質機メテオレインボー(商品名、日本ニューマチック工業株式会社製)等を用いることができる。
(1.5)トナー粒子の形状係数
本発明において、トナーの形状係数を示すSF−2は、以下のようにして得た値であると定義する。即ち、トナー粒子の表面にスパッタ蒸着によって金属膜(Au膜、膜厚0.5μm)を形成して金属被膜粒子を形成し、この金属被膜粒子を、走査型電子顕微鏡(商品名:S−570、株式会社日立製作所製)を用いて、加速電圧5kV、倍率1000倍の条件において、無作為に200〜300個を抽出して写真撮影を行う。次に、撮影した写真データを、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)を用いて画像解析する。画像解析ソフト「A像くん」の粒子解析パラメータは以下の通りである。
小図形除去面積:100画素、
収縮分離:回数1
小図形:1
回数:10
雑音除去フィルタ:無
シェーディング:無
結果表示単位:μm
これによって得られた非球形粒子の最大長(絶対最大長)MXLNG、周囲長PERI及び図形面積(投影面積)AREAを用いて、下記の式(A)、(B)より算出して得られた値をトナーの形状係数SF−1、形状係数SF−2と定義する。
形状係数SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4)…(A)
形状係数SF−2={(PERI)2/AREA}×(100/4π) …(B)
形状係数SF−1は、上記式(A)で表される値であり、粒子の形状の球形度(丸さの度合い)を示すものである。SF−1の値が100の場合に粒子の形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。また、形状係数SF−2は上記式(B)で表される値であり、粒子の表面形状の凹凸度を示すものである。なお、溶融混練−粉砕法で生成されるトナー粒子は、不定形であり、通常、トナー粒子の形状係数SF−1は150を超えており、また、形状係数SF−2は140を超えている。
〔2.現像剤〕
本発明のトナーを用いて、一成分現像剤、二成分現像剤を作ることができる。本発明のトナーを一成分現像剤として用いる場合、キャリアを用いることなく上記トナーのみで用いる。また上記一成分現像剤として用いる場合、ブレード及びファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させて、スリーブ上にトナーを付着させることによってトナーを搬送し、画像形成を行う。
また、本発明のトナーを二成分現像剤として用いる場合、上記トナーをキャリアとともに用いる。つまり、本発明に係る二成分現像剤は、光の吸収光率が高い前記トナーとキャリアとを含む。そのため、長期にわたり十分な定着性を確保でき、かつ赤外線吸収剤の添加に起因する色再現性の悪化がない画像を得ることが可能な二成分現像剤となる。
上記キャリアとしては、この分野で常用されるものを用いることができる。例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独又は複合フェライト及びキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、又は樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリア等を挙げることができる。
上記被覆物質としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末等を挙げることができる。また、樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、及びフェノール樹脂等を挙げることができる。いずれも、トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いてもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
上記キャリアの形状は、球形又は扁平形状であることが好ましい。また、キャリアの粒径については、特に限定されるものではないが、高画質化を考慮すると、10〜100μmの範囲内であることが好ましく、20〜50μmの範囲内であることがさらに好ましい。さらにキャリアの抵抗率は、108Ω・cm以上であることが好ましく、1012Ω・cm以上であることがさらに好ましい。なお、上記「キャリアの抵抗率」は、キャリアを0.50cm2の断面積で底面に電極を有する容器に入れてタッピングした後に、容器内に詰められたキャリア粒子に1kg/cm2の荷重を掛け、上記荷重と底面電極との間に1000V/cm2の電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることから得られる値をいう。上記抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、10〜60emu/gの範囲内であることが好ましく、15〜40emu/gの範囲内であることがさらに好ましい。上記「磁化強さ」は現像ローラの磁束密度によるが、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、キャリアの磁化強さが10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また上記「磁化強さ」が60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、非接触現像では像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に限定されるものではなく、トナー及びキャリアの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm2)を用いる場合、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。また二成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
〔3.現像装置及び画像形成装置〕
本発明の一実施形態として、本発明のトナーを含む一成分現像剤又は二成分現像剤を用いて現像を行う現像装置及び、該現像装置を備えた画像形成装置を提供する。
本発明の一実施形態である画像形成装置100の構成を、図1に示す断面図を参照しながら説明する。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能及びファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラー又はモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモード及びFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置100は、トナー像形成部7と、転写部8と、定着装置4と、記録媒体供給部5と、排出部6とを含む。トナー像形成部7を構成する各部材及び転写部8に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)及びイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。以降、本明細書中において、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成部7は、感光体ドラム11と、帯電部12と、露光ユニット13と、現像装置14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電部12、現像装置14及びクリーニングユニット15は、感光体ドラム11の回転方向まわりに、この順序で配置される。帯電部12は、現像装置14及びクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動部により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、例えば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などを挙げることができる。感光層は、例えば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。
帯電部12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性及び電位に帯電させる。帯電部12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを用いることが可能である。本実施の形態において、帯電部12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるが、これに限定されるものではない。例えば、帯電部12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラム11とが圧接するように帯電ローラを配置してもよく、帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いてもよい。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電部12と現像装置14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb、c、m、yの各色情報の光に分岐し、帯電部12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、例えば、レーザー照射部及び複数の反射ミラーを備えるレーザースキャニングユニットを使用できる。他にもLED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
ここで、本発明の一実施形態である現像装置14の構成を、図2に示す断面図を参照しながら説明する。現像装置14は、本発明のトナーを含む二成分現像剤を用いて現像を行う。
現像装置14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容し、且つ現像ローラ22、供給ローラ23、撹拌ローラ24などのローラ部材、又はスクリュー部材を収容して、これらを回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラ22が設けられる。
現像ローラ22は、感光体ドラム11との圧接部又は最近接部において感光体ドラム11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ22表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ22表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御することができる。
供給ローラ23は現像ローラ22を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ22周辺にトナーを供給する。撹拌ローラ24は供給ローラ23を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ23周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成してもよい。
また、図1に示すクリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、例えば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置100においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるが、特に限定されるものではなく、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成部7によれば、帯電部12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像装置14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写部8は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b、c、m、y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。
フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ26は図示しない駆動部によってその軸線回りに回転駆動が可能なように設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動して回転可能なように設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、且つ図示しない駆動部によってその軸線回りに回転駆動が可能なように設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。
転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動部によって軸線回りに回転駆動が可能なように設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給部5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着装置4に送給される。転写部8によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
ここで、本発明の一実施形態である定着装置4の構成を、図3に示す模式図を参照しながら説明する。定着装置4は、転写部8よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられた、レーザー定着装置80より構成される。レーザー定着装置80は、レーザー光を発生するレーザー光源81と、レーザー光源81から照射されたレーザー光を反射して無端ベルト61上を走査露光する回転多面鏡82とを備えている。レーザー光源81は、異なる波長を発振波長とする四本のレーザー光を、それぞれ別々に出力できるように構成されている。また、回転多面鏡82は、例えば正六角面体で構成されており、図3中矢印方向に定速回転する。駆動ローラ62は図示しない駆動部によってその軸線回りに回転駆動が可能なように設けられ、その回転駆動によって、無端ベルト61を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ63は駆動ローラ62の回転駆動に従動して回転可能なように設けられ、無端ベルト61が弛まないように一定の張力を無端ベルト61に付与する。なお、レーザー光源81と回転多面鏡82との間の光路には、コリメータレンズやシリンダーレンズ等を設けることができる。また、回転多面鏡82と無端ベルト61との間には、fθレンズ、折り返しミラー、反射ミラー等を設けることができる。
レーザー定着装置80が、用紙P上に保持されたトナーに対し、それぞれ異なる光を照射することで、用紙にトナーを非接触定着させることが可能となっている。また、レーザー定着装置80は用紙P上のトナー形成部位に局所的に光を照射するようになっている。
レーザー定着装置80のレーザー光源81に設けられるY定着レーザー81Y、M定着レーザー81M、C定着レーザー81C、K定着レーザー81Kの発光波長は、例えばY定着レーザー81Yは、イエロートナーの可視領域の吸収ピーク(例えば430nm)の波長で発光する。また、M定着レーザー81Mは、マゼンタトナーの可視領域の吸収ピークに対応する(例えば565nm)の波長で発光する。さらに、C定着レーザー81Cは、シアントナーの可視領域の吸収ピークに対応する(例えば620nm)の波長で発光する。K定着レーザー81Kの波長は黒トナーの吸収波長である。なお、黒トナーの吸収ピークに対応するK定着レーザー81Kの発光波長については、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。
レーザーの強度としては、1.5W/cm2以上630W/cm2以下の範囲であることが好ましい。なおレーザーの強度が1.5W/cm2よりも弱い場合には、レーザー照射によるトナーの溶融が不十分となるために定着率が低下する。一方、定着露光エネルギーが630W/cm2よりも強くなると、レーザー照射によりトナーや用紙(記録材)Pに焦げが生じるために定着率が低下する。
用紙Pが通過する間、Y定着レーザー81Yからのレーザー光は回転多面鏡82によって走査され、用紙P上に保持されたイエロートナーに選択的に照射される。すると、Y定着レーザー81Yの発光波長はイエロートナーの吸収波長に対応しているため、Y定着レーザー81Yから照射されるレーザー光が用紙P上のイエロートナーによって吸収される。
続いて、M定着レーザー81Mからのレーザー光は回転多面鏡82によって走査され、用紙P上に保持されたイエロートナーに選択的に照射される。すると、Y定着レーザー81Yの発光波長はイエロートナーの吸収波長に対応しているため、Y定着レーザー81Yから照射されるレーザー光が用紙P上のイエロートナーによって吸収され、光の吸収によって発熱したイエロートナーが溶融する。
続いて、C定着レーザー81Cからのレーザー光は回転多面鏡82によって走査され、用紙P上に保持されたマゼンタトナーに選択的に照射される。すると、M定着レーザー81Mの発光波長はマゼンタトナーの吸収波長に対応しているため、M定着レーザー81Mから照射されるレーザー光が用紙P上のマゼンタトナーによって吸収され、光の吸収によって発熱したマゼンタトナーが溶融する。
続いて、K定着レーザー81Kからのレーザー光は回転多面鏡82によって走査され、用紙P上に保持されたシアントナーに選択的に照射される。すると、C定着レーザー81Cの発光波長はシアントナーの吸収波長に対応しているため、C定着レーザー81Cから照射されるレーザー光が用紙P上のシアントナーによって吸収され、光の吸収によって発熱したシアントナーが溶融する。
上記のように、用紙P上のトナーには、各色トナーの最大吸収波長に対応するレーザー光が照射され、その結果、トナー像が用紙P上に定着され画像が形成される。
また、図1に示す記録媒体供給部5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体としては、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。
レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置100内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給部5によれば、自動給紙トレイ35又は手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
排出部6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着装置4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、例えば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、例えば、記録媒体を判定する記録媒体判定手段、トナーの付着量を制御する付着量制御手段、トナーの定着条件を制御する定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などを挙げることができる。
上記外部機器には、画像情報の形成又は取得が可能であり、且つ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を用いることができる。例えば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などを挙げることができる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)及び各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、上記演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部及び演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例におけるトナー、及びその材料の物性の測定方法について記載する。
[トナーの体積平均粒径]
トナーの体積平均粒径は、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター株式会社製)によって測定した粒径の粒度分布を求め、算出した。
[結着樹脂のガラス転移点(Tg)]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、樹脂1gを昇温速度毎分10℃で加熱し、DSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移を示す吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)とした。
[結着樹脂の軟化点(Tm)]
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重10kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化点とした。
[離型剤の融点]
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで昇温させ、次いで200℃から20℃に急冷させる操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度を離型剤の融点として求めた。
表1に、実施例1〜23における、使用した顔料、染料、各材料の配合量、及び球形化処理の熱風温度を記載する。
〔実施例1〕
ポリエステル(結着樹脂、商品名:FC1494、三菱レーヨン株式会社製、ガラス転移点(Tg)62℃、軟化点(Tm)127℃)83.0重量部、マスターバッチ(顔料;C.I.Pigment Red 122を40.0重量%含有)10.0重量部、染料C.I.Solvent Red 27 1.0重量部、パラフィンワックス(離型剤、HNP11、日本精鑞株式会社製、融点68℃)4.0重量部、アルキルサリチル酸金属塩(帯電制御剤、商品名:BONTRON E−84、オリエント化学株式会社製)2.0重量部を、混合器(商品名:ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社製)によって10分間混合した後、二軸押出混練機(商品名:PCM65、株式会社池貝製)にて溶融混練した。この溶融混練物をカッティングミル(商品名:VM−16、菱興産業株式会社製)で粗粉砕した後、カウンタジェットミルで微粉砕した後、ロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)にて過粉砕トナーを分級除去し、体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を作製した。トナー全体に対する着色剤の割合は5%(5重量部)であり、着色剤全体に対する染料の割合(重量の割合)は20%である。
そして、分級後のトナー粒子の球形化処理を、熱風式球形化装置である表面改質機メテオレインボー(商品名、日本ニューマチック工業株式会社製)にて実施した。表面改質機メテオレインボーでは、粉砕物(分級後のトナー粒子)の投入量を毎時3.0kgとし、熱風の供給量を毎分900L、熱風の温度を180℃とし、冷却空気の供給圧力を0.15MPaとし、二次エア噴射ノズルからの空気の供給量を毎分230Lとした。また、冷却エア取入口と、衝突部材との距離Lは2.0cmであった。このようにして球形化処理を行った実施例1のトナー粒子のトナー形状係数SF‐2は115であった。
これにより、トナー形状係数SF‐2が115で、着色剤全体に対する染料の割合が20%である実施例1のトナー粒子を得た。
〔実施例2〕
分級処理まで実施例1と同じ条件で作成した体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を、表面改質機メテオレインボーを用いて、熱風の温度条件を200℃に変更して球形化処理を行い、実施例2のトナー粒子を得た。なお、球形化処理において変更したのは、熱風の温度のみである。熱風温度200℃で球形化処理を行った実施例2のトナー粒子のトナー形状係数SF‐2は110であった。
これにより、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%である実施例2のトナー粒子を得た。
〔実施例3〕
分級処理まで実施例1と同じ条件で作成した体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を、表面改質機メテオレインボーを用いて、熱風の温度条件を230℃に変更して球形化処理を行い、実施例3のトナー粒子を得た。なお、球形化処理において変更したのは、熱風の温度のみである。熱風温度230℃で球形化処理を行った実施例3のトナー粒子のトナー形状係数SF‐2は105であった。
これにより、トナー形状係数SF‐2が105で、着色剤全体に対する染料の割合が20%である実施例3のトナー粒子を得た。
〔実施例4〕
ポリエステルを83.8重量部、マスターバッチを8.3重量部、染料を1.5重量部として、着色剤全体に対する染料の割合(重量の割合)を30%とした以外は、実施例1と同じ条件で体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を作成し、表面改質機メテオレインボーを用いて、実施例2と同じ、熱風の温度条件200℃にて球形化処理を行い、実施例4のトナー粒子を得た。
これにより、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が30%である実施例4のトナー粒子を得た。
〔実施例5〕
ポリエステルを82.3重量部、マスターバッチを11.3重量部、染料を0.5重量部として、着色剤全体に対する染料の割合(重量の割合)を10%とした以外は、実施例1と同じ条件で体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を作成し、表面改質機メテオレインボーを用いて、実施例2と同じ、熱風の温度条件200℃にて球形化処理を行い、実施例5のトナー粒子を得た。
これにより、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が10%である実施例5のトナー粒子を得た。
〔実施例6〜8〕
染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Red 49を用いた以外は実施例2,4,5と同じ条件でトナー粒子を作成し、実施例6,7,8のトナー粒子を得た。
これにより、実施例2,4,5とは、染料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%、30%、10%である、実施例6,7,8のトナー粒子を得た。
〔実施例9〜11〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Yellow 74を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Yellow 15を用いた以外は実施例2,4,5と同じ条件でトナー粒子を作成し、実施例9,10,11のトナー粒子を得た。
これにより、実施例2,4,5とは、染料,顔料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%、30%、10%である、実施例9,10,11のトナー粒子を得た。
〔実施例12〜14〕
染料として、C.I.Solvent Yellow 15に換えてC.I.Solvent Yellow 21を用いた以外は実施例9,10,11と同じ条件でトナー粒子を作成し、実施例12,13,14のトナー粒子を得た。
これにより、実施例9,10,11とは、染料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%、30%、10%である、実施例12,13,14のトナー粒子を得た。
〔実施例15〜17〕
染料として、C.I.Solvent Yellow 15に換えてC.I.Solvent Yellow 19を用いた以外は実施例9,10,11と同じ条件でトナー粒子を作成し、実施例15,16,17のトナー粒子を得た。
これにより、実施例9,10,11とは、染料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%、30%、10%である、実施例15,16,17のトナー粒子を得た。
〔実施例18〜20〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Blue 15を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Blue 70を用いた以外は実施例2,4,5と同じ条件でトナー粒子を作成し、実施例18,19,20のトナー粒子を得た。
これにより、実施例2,4,5とは、染料,顔料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%、30%、10%である、実施例18,19,20のトナー粒子を得た。
〔実施例21〜23〕
染料として、C.I.Solvent Blue 70に換えてC.I.Solvent Blue 55を用いた以外は実施例18,19,20と同じ条件でトナー粒子を作成し、実施例21,22,23のトナー粒子を得た。
これにより、実施例9,10,11とは、染料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%、30%、10%である、実施例21,22,23のトナー粒子を得た。
表2に、比較例1〜15における、使用した顔料、染料、各材料の配合量、及び球形化処理の熱風温度を記載する。
〔比較例1〕
分級処理まで実施例1と同じ条件で作成した体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を、表面改質機メテオレインボーを用いて、熱風の温度条件を170℃に変更して球形化処理を行い、比較例1のトナー粒子を得た。なお、球形化処理において変更したのは、熱風の温度のみである。熱風温度170℃で球形化処理を行った比較例1のトナー粒子のトナー形状係数SF‐2は117であった。
これにより、トナー形状係数SF‐2が117で、着色剤全体に対する染料の割合が20%である比較例1のトナー粒子を得た。
〔比較例2〕
分級処理まで実施例1と同じ条件で作成した体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を、表面改質機メテオレインボーを用いて、熱風の温度条件を240℃に変更して球形化処理を行い、比較例2のトナー粒子を得た。なお、球形化処理において変更したのは、熱風の温度のみである。熱風温度2400℃で球形化処理を行った比較例1のトナー粒子のトナー形状係数SF‐2は102であった。
これにより、トナー形状係数SF‐2が102で、着色剤全体に対する染料の割合が20%である比較例2のトナー粒子を得た。
〔比較例3〕
ポリエステルを83.9重量部、マスターバッチを8.5重量部、染料を1.6重量部として、着色剤全体に対する染料の割合(重量の割合)を32%とした以外は、実施例1と同じ条件で体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を作成し、表面改質機メテオレインボーを用いて、実施例2と同じ、熱風の温度条件200℃にて球形化処理を行い、比較例3のトナー粒子を得た。
これにより、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が32%である比較例3のトナー粒子を得た。
〔比較例4〕
ポリエステルを82.1重量部、マスターバッチを11.5重量部、染料を0.4重量部として、着色剤全体に対する染料の割合(重量の割合)を8%とした以外は、実施例1と同じ条件で体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を作成し、表面改質機メテオレインボーを用いて、実施例2と同じ、熱風の温度条件200℃にて球形化処理を行い、比較例4のトナー粒子を得た。
これにより、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が8%である比較例4のトナー粒子を得た。
〔比較例5〕
染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてDirect Red 75を1.0重量部を用いた以外は実施例2と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例5のトナー粒子を得た。
これにより、実施例2とは、染料の種類のみが異なる、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が20%ある、比較例5のトナー粒子を得た。比較例5で使用したDirect Red 75は、結着樹脂に難溶で分子分散していなかった。
〔比較例6,7〕
染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Red 49を用いた以外は、比較例3,4と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例6,7のトナー粒子を得た。
これにより、実施例6〜8と同じ、染料及びトナー形状係数SF‐2を有するものの、着色剤全体に対する染料の割合が32%、8%と異なる、比較例6,7のトナー粒子を得た。
〔比較例8〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Yellow 74を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Yellow 15を用いると共に、また、ポリエステルを84.0重量部、マスターバッチを8.4重量部、染料を1.7重量部として、着色剤全体に対する染料の割合(重量の割合)を33%とした以外は、実施例1と同じ条件で体積平均粒径5.5μmのトナー粒子を作成し、表面改質機メテオレインボーを用いて、実施例2と同じ、熱風の温度条件200℃にて球形化処理を行い、比較例8のトナー粒子を得た。
これにより、実施例9〜11と同じ、顔料、染料及びトナー形状係数SF‐2を有するものの、着色剤全体に対する染料の割合が33%と異なる、比較例8のトナー粒子を得た。
〔比較例9〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Yellow 74を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Yellow 15を用いた以外は比較例4と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例9のトナー粒子を得た。
これにより、実施例9〜11と同じ、顔料、染料及びトナー形状係数SF‐2を有するものの、着色剤全体に対する染料の割合が8%と異なる、比較例9のトナー粒子を得た。
〔比較例10〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Yellow 74を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Yellow 21を用いた以外は比較例3と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例10のトナー粒子を得た。
これにより、顔料としてC.I.Pigment Yellow 75を使用し、実施例12〜14と同じ染料を用いた、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が32%である比較例10のトナー粒子を得た。
〔比較例11〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Yellow 74を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Yellow 21を用いた以外は比較例4と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例11のトナー粒子を得た。
これにより、顔料としてC.I.Pigment Yellow 76を使用し、実施例12〜14と同じ染料を用いた、トナー形状係数SF‐2が110で、着色剤全体に対する染料の割合が8%である比較例11のトナー粒子を得た。
〔比較例12,13〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Blue 15を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Blue 70を用いた以外は、比較例3,4と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例12,13のトナー粒子を得た。
これにより、実施例18〜20と同じ、顔料、染料及びトナー形状係数SF‐2を有するものの、着色剤全体に対する染料の割合が32%、8%と異なる、比較例12,13のトナー粒子を得た。
〔比較例14,15〕
マスターバッチとして、顔料;C.I.Pigment Red 122に換えて、C.I.Pigment Blue 15を40.0重量%含有したものを使用し、染料として、C.I.Solvent Red 27に換えてC.I.Solvent Blue 55を用いた以外は、比較例3,4と同じ条件でトナー粒子を作成し、比較例14,15のトナー粒子を得た。
これにより、実施例21〜23と同じ、顔料、染料及びトナー形状係数SF‐2を有するものの、着色剤全体に対する染料の割合が32%、8%と異なる、比較例14,15のトナー粒子を得た。
そして、このように形成した実施例1〜23、及び比較例1〜15のトナー粒子100部に対して、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル社製)を1.2重量部添加し、実施例1〜23、及び比較例1〜15のトナーとした。
さらに、実施例1〜23、比較例1〜15の各トナーについて、キャリアとして、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアを用いて、現像剤中のトナーの濃度が7%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合して、二成分現像剤を作製し、以下の項目の評価測定を行った。
表3に実施例1〜23の評価結果を示し、表4に比較例1〜15の評価結果を示す。また、評価方法を以下に記載する。
[定着性の評価方法]
市販の複写機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)の定着装置を、図3示すような定着装置(Y定着レーザー:430nm、M定着レーザー:565nm、C定着レーザー:620nm、K定着レーザー:780nm、出力:30W)に改変したものを使用し、実施例、比較例で得られたトナーを用い、トナーの付着量が1.2mg/cm2(二層分相当)になるように調整したベタ画像をレーザ定着し、評価画像を作成した。
作成した評価用画像の表面を、学振式堅牢度試験において、1kgの荷重を載せた砂消しゴム(商品名:ライオン 消しゴム ギャザ砂、株式会社ライオン事務器製)を用いて、14mm/sの速度で3往復分擦過した。擦過前後の光学反射密度(像濃度)を反射濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)を用いて測定し、定着率を算出した。定着率は、下記(1)式を用いて求めた。
定着率(%)=[(擦過後の像濃度)/(擦過前の像濃度)]×100 …(1)
式(1)により得られた定着率が70%以上であれば、十分な定着性を有するトナーであると評価した。
[クリーニング性の評価方法]
クリーニング性は、画像形成前(初期)、5,000(5K)枚印字後、10,000(10K)枚印字後の各段階において、形成された画像における画像部と非画像部との境界部の鮮明度、感光体ドラムの回転方向へのトナー漏れによって形成される、スジの有無を目視で観察することで評価した。
[耐光性の評価方法]
定着後の画像に紫外線カーボンフェードメータ(FAL-AU :スガ試験機(株))を用いて、ブラックパネル温度50℃の条件で、紫外線を24時間照射した後、CIB−LABに基づいた座標値L* ,a* ,b* を、それぞれ色差計(ZE 6000 日本電色工業(株)製)を用いて測定し、紫外線照射前と照射後の同じトナーの色差ΔEab* を求め、耐光性を評価した。3以下を良好とした。
表3,4中、○は判定基準を満足することを表し、×は判定基準を満足していないことを表す。
実施例1〜3に示すように、トナーの形状係数SF‐2が105、110、105である場合、着色剤全体に対し20%の染料を含有させることで、70%以上の定着率を確保できる。また、定着率は、トナーの形状係数SF‐2の値が小さくなる、つまり、滑らかになるほど、高くなる。
一方、比較例1に示すように、トナーの形状係数SF‐2が117となると、着色剤全体に対し20%の染料を含有していても、定着率が60%と低下し、充分な定着性を確保できない。また、比較例2より、トナーの形状係数SF‐2が102となると、90%もの高い定着率を示すものの、画像形成前(初期)からスジが現れてしまい、クリーニング特性が許容範囲を下回る。
これらより、トナーの形状係数SF‐2は、105≦SF‐2≦115の範囲とする必要があることを確認した。
また、実施例2,4,5に示すように、トナーの形状係数SF‐2が110である場合、着色剤全体に対する染料の含有率20%、10%、30%において、70%以上の定着率と、クリーニング性を確保できる。また、定着率は、染料の含有率が高くなるほど、高くなる。そして、実施例6〜23に示すように、他の染料を用いても、着色剤全体に対する染料の含有率が20%、10%、30%において、高い定着性を確保できる。
一方、比較例3より、たとえ、トナーの形状係数SF‐2が110であったとしても、着色剤全体に対する染料の含有率を32%とすると、耐光性を確保できなくなることがわかる。そして、比較例6,8,10,12,14に示すように、他の染料を用いても、着色剤全体に対する染料の含有率が32%以上となると、耐光性を確保できなくなる。
また、比較例4より、たとえ、トナーの形状係数SF‐2が110であったとしても、着色剤全体に対する染料の含有率が8%であると、定着性を確保できなくなる。そして、比較例7,9,11,13,15に示すように、他の染料を用いても、着色剤全体に対する染料の含有率が8%以下となると、定着性を確保できなくなる。
これらより、着色剤全体に対する染料の含有率X%は、10≦X≦30の範囲とする必要があることを確認した。
また、比較例5に示すように、トナーの結着樹脂に難溶な染料では、着色剤全体に対し、20%の染料を含有していても、光の吸収効率が悪いため、定着性を確保できない。これより、トナーの結着樹脂に溶解可能な染料の選択が必要であることを確認した。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。