JP5141351B2 - 能動型騒音制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のエンジン等の回転機器から発生する振動騒音を能動的に低減する能動騒音低減装置に関するものである。
従来の能動騒音低減装置においては、適応ノッチフィルタを利用した適応制御を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。図8は、この特許文献1に記載された従来の能動騒音低減装置の構成と等価な構成を示すものである。
図8において、能動騒音低減装置を実現するための離散演算は離散演算処理部29において実行される。エンジン回転数検出器14はエンジン回転数に比例した周波数をもつパルス列をエンジンパルスPとして出力する。たとえばこのエンジンパルスPはクランク角センサーの出力を取り出すことによって作成される。制御周波数検出部15は、エンジンパルスPを基に制御周波数fを算出し出力する。基準信号生成部16は、正弦波1周期を所定等分した各ポイントの正弦値を1/√2倍したものをメモリ上に保持する正弦波テーブル17を有し、選択手段18により正弦波テーブル17からデータを選択し、周波数が制御周波数fに等しい正弦波基準信号x1[n]と余弦波基準信号x2[n]とを生成し出力する。参照信号生成部24は、スピーカ22からマイクロフォン23までの伝達特性値を模擬した正弦波基準信号補正値テーブル25(周波数f〔Hz〕のときの正弦波基準信号補正値をC1[f]と表す)と余弦波基準信号補正値テーブル26(周波数f〔Hz〕のときの余弦波基準信号補正値をC2[f]と表す)とを利用し、正弦波参照信号r1[n]と余弦波参照信号r2[n]とを生成し出力する。第1の1タップディジタルフィルタ19は、内部に保持するフィルタ係数W1[n]によりx1[n]をフィルタリングし、正弦波制御信号y1[n]を生成する。第2の1タップディジタルフィルタ20は、内部に保持するフィルタ係数W2[n]により余弦波基準信号x2[n]をフィルタリングし、余弦波制御信号y2[n]を生成する。電力増幅器21はy1[n]とy2[n]とを加算した制御信号z[n]を増幅する。スピーカ22は電力増幅器21からの出力信号を騒音打ち消し音として出力する。マイクロフォン23は騒音と騒音打ち消し音とが干渉した結果生じる音を誤差信号ε[n]として検出する。第1の適応制御アルゴリズム演算部27は正弦波参照信号r1[n]と誤差信号ε[n]を基に、例えば最急降下法の一種であるLMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づいてフィルタ係数W1[n]を逐次更新する。同様に、第2の適応制御アルゴリズム演算部28は余弦波参照信号r2[n]と誤差信号ε[n]を基に、フィルタ係数W2[n]を逐次更新する。この係数W1及びW2の更新式は、
W1[n]=W1[n−1]―μ×r1[n]×ε[n] …(1)
W2[n]=W2[n−1]―μ×r2[n]×ε[n] …(2)となる。ここでμは収束係数と呼ばれる定数であり、係数W1及びW2が最適値に収束する時間に関係するものである。上述の処理を所定周期で繰り返すことにより、騒音を低減させることができる。
特開2004−361721号公報
しかしながら、上記従来の構成では、正弦波制御信号y1[n]と余弦波制御信号y2[n]を合成して制御信号z[n]を算出する際にデータのオーバフローを避けるために、正弦波テーブルでは正弦値を1/√2倍した値を保持する。このため、z[n]は制御対象騒音の位相が45度、135度、225度、315度の時しか最大出力を出せず、常
に最大限の騒音低減効果を発揮できないという問題があった。さらに、エンジンパルスPの周波数が誤差を持つ等の原因で、制御周波数fが実際に発生している制御対象騒音の周波数とずれた時、騒音低減効果が低くなる問題があった。
本発明は、制御対象騒音の位相がいかなる場合でも最大限の騒音低減効果を発揮でき、かつ制御周波数fが実際に発生している制御対象騒音の周波数とずれたときでも最適な騒音低減効果が得られる能動型騒音制御装置を提供することを目的とする。
本発明の能動型騒音制御装置は、騒音源に起因する制御すべき騒音の周波数を検出する制御周波数検出手段と、前記制御周波数検出手段で決定した制御周波数と同一の周波数の正弦波を生成する正弦波生成手段と、前記正弦波生成手段からの正弦波が入力される1タップディジタルフィルタと、前記1タップディジタルフィルタからの出力信号が入力され前記騒音源に起因する制御すべき騒音と干渉させるための制御信号を出力させる制御信号生成手段と、前記制御信号生成手段から出力される前記制御信号と前記騒音源に起因する制御すべき騒音との干渉の結果生じる誤差信号を検出する誤差信号検出手段と、前記1タップディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する係数更新手段と、前記正弦波生成手段の位相を補正する位相補正手段と、前記制御信号検出手段の制御周波数を補正する制御周波数補正手段とを備え、前記係数更新手段と前記位相補正手段は、前記誤差信号を利用してそれぞれ前記フィルタ係数と前記位相を更新することにより、前記騒音源に起因する制御すべき騒音を低減するように構成され、特に前記係数更新手段は、前記誤差信号と、制御周波数における制御信号生成手段から誤差信号検出手段までの伝達特性の位相特性とに基づいて、前記フィルタ係数を更新するように構成され、前記位相補正手段は、前記誤差信号と、制御周波数における制御信号生成手段から誤差信号検出手段までの伝達特性の位相特性とに基づいて、前記正弦波生成手段の位相を決定するように構成され、前記制御周波数補正手段は、前記位相補正手段が算出した位相補正量の累積値に基づいて、前記制御周波数補正手段の制御周波数を補正するように構成され、前記正弦波生成手段は、離散化された正弦値1周期分を保持する正弦波テーブルの読み出し位置を所定の周期で移動させ、さらに前記読み出し位置を前記位相補正手段が決定した位相補正量だけ移動させるように構成されていることを特徴とする。
本発明の能動型騒音制御装置は、制御信号z[n]を算出する際に信号の合成処理が発生しないため、正弦波テーブルが保持する値は1/√2倍しておく必要が無く、正弦値そのものでかまわない。したがって、制御信号z[n]は制御対象騒音の位相がいかなる場合でも最大値で出力できるという作用効果が得られる。また、制御周波数fが実際に発生している制御対象騒音の周波数とずれた時に、制御周波数fを騒音の周波数に近づける方向に補正することで、より最適な騒音低減効果を実現できるという作用効果が得られる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における能動騒音低減装置について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における能動騒音低減装置のブロック図である。
図1において、エンジン回転数検出器1は車両に搭載された騒音源としてのエンジンの回転数に比例した周波数を持つパルス列をエンジンパルスPとして出力する。制御周波数検出手段2は制御周波数補正量fcomp[n]〔Hz〕を内部に備え、エンジンパルスPから算出した予測制御周波数fep[n]〔Hz〕と制御周波数補正量fcomp[n]とに基づ
いて制御周波数f[n]〔Hz〕を算出する。正弦波テーブル3は正弦波1周期を所定等分した各ポイントの正弦値をメモリ上に保持する。正弦波生成手段4は位相補正量Δθ[n]〔ポイント〕を内部に備え、正弦波テーブルの現在位置を示すポインタp[n]〔ポイント〕を更新する。1タップディジタルフィルタ5はフィルタ係数W[n]を内部に備え、ポインタp[n]と正弦波テーブル3とを利用して制御信号z[n]を出力する。電力増幅器6は制御信号z[n]を増幅する。制御信号生成手段としてのスピーカ7は電力増幅器6からの出力信号を騒音打ち消し音として出力する。誤差信号検出手段としてのマイクロフォン8はエンジン振動に起因して発生する制御対象騒音と騒音打ち消し音とが干渉した結果生じる音を誤差信号ε[n]として検出する。位相特性テーブル9はスピーカ7からマイクロフォン8までの伝達特性の位相特性値を前記正弦波テーブル3の相対的なポイント移動量に換算した値を周波数毎に保持する。係数更新手段10はポインタp[n]と制御周波数f[n]と正弦波テーブル3と位相特性テーブル9と誤差信号ε[n]とを利用して、1タップディジタルフィルタ5のフィルタ係数W[n]を更新する。位相補正手段11はポインタp[n]と制御周波数f[n]と正弦波テーブル3と位相特性テーブル9と誤差信号ε[n]とを利用して、正弦波生成手段4の位相補正量Δθ[n]を決定する。制御周波数補正手段12は位相補正手段11が決定した位相補正量Δθ[n]を利用して、制御周波数検出手段2の制御周波数補正量fcomp[n]を決定する。離散演算処理部13はソフトウェアにより構成される。
次に、本装置の具体的な動作を説明する。制御周波数f[n]の算出とポインタp[n]の更新と制御信号z[n]の生成と誤差信号ε[n]の検出とフィルタ係数W[n]の更新と位相補正量Δθ[n]の決定と制御周波数補正量fcomp[n]の決定は、すべて同一の周期で実行され、それぞれn周期後の値を表す。以降では、周期をT〔秒〕として説明する。
制御周波数検出手段2は、まず、例えばエンジンパルスPの立ち上がりエッジ毎に割り込みを発生させ、立ち上がりエッジ間の時間を測定し、測定結果をもとに予測制御周波数fep[n]を算出する。次に、予測制御周波数fep[n]と制御周波数補正量fcomp[n]とに基づいて、式(3)にしたがって制御周波数f[n]を算出する。
f[n]=fep[n]+fcomp[n] …(3)
正弦波テーブル3は、正弦波1周期をN等分し、各ポイントの正弦値を所定ビットで離散化した値をメモリ上に保持する。0ポイント目からN−1ポイント目までの正弦値をbビットで離散化して格納した配列をs[m](0≦m<N)で表すとき、関係式(4)が成り立つ。
s[m]=int(2b-1×sin(360×m/N)) …(4)
ただし、int(x)はxの整数部を表し、sin関数の角度の単位は〔度〕とする。例えば、N=3000の場合のs[m]のグラフと表をそれぞれ図2と(表1)に示す。
Figure 0005141351
正弦波生成手段4は、制御周波数f[n]と位相補正量Δθ[n]とに基づいて、式(5)にしたがってポインタp[n]を更新する。
p[n]=(p[n−1]+(f[n]×N×T)+Δθ[n])
mod N …(5)
ただし、「x mod y」はxをyで割ったときの余りを表す。ここで、あらかじめN×T=1となるようにNとTを選んでおけば、式(5)におけるNとTの乗算は不要である。さらに、通常“f[n]+Δθ[n]<N”であることを考慮すると、式(5)は式(6)のように書き換えることができる。
(p[n−1]+f[n]+Δθ[n]<N)の時:
p[n]=p[n−1]+f[n]+Δθ[n]
(p[n−1]+f[n]+Δθ[n]≧N)の時:
p[n]=p[n−1]+f[n]+Δθ[n]−N …(6)
以降ではN×T=1が成り立つものとして説明する。
1タップディジタルフィルタ5は、制御信号z[n]を式(7)により生成する。
z[n]=W[n]×s[p[n]] …(7)
位相特性テーブル9は、スピーカ7からマイクロフォン8までの伝達特性の位相特性値(グラフの例:図3)を正弦波テーブル3の相対的なポイント移動量に換算した値を、配列c[k]としてメモリ上に保持する(kは周波数〔Hz〕)。k〔Hz〕のときの位相特性値をphase[k]〔度〕とすると、関係式(8)が成り立つ。
c[k]=int(N×phase[k]/360) …(8)
例えば、N=3000で、制御対象騒音周波数の範囲が30Hzから100Hzまでの場合のc[k]の様子を(表2)に示す。
Figure 0005141351
係数更新手段10は、例えば最急降下法の一種であるLMS(Least Mean Square)アルゴリズムにより、式(9)と式(10)にしたがってフィルタ係数W[n]を更新する。
(0≦p[n]+c[f[n]]<N)の時:
r1[n]=s[p[n]+c[f[n]]]
(p[n]+c[f[n]]≦N)の時:
r1[n]=s[p[n]+c[f[n]]−N]
(p[n]+c[f[n]]<0)の時:
r1[n]=s[p[n]+c[f[n]]+N] …(9)
W[n]=W[n−1]−μ1×r1×ε[n] …(10)
ここで、μ1はW[n]の収束速度を最急降下法における収束速度を決定するパラメータであり、値が大きいほど収束は速くなる。なお、式(10)の計算結果が負の数になる場合は、W[n]の符号を反転させ、式(11)にしたがってp[n]を180度分進ませる。
(p[n]<N/2)の時: p[n]=p[n]+N/2
(p[n]≧N/2)の時: p[n]=p[n]−N/2 …(11)
これにより、W[n]を常に正の値にでき、後述する位相補正量Δθ[n]の算出が簡単化される。
位相補正手段11は、式(12)と式(13)にしたがって、位相補正量Δθ[n]を算出する。
(0≦p[n]+c[f[n]]+N/4<N)の時:
r2[n]=s[p[n]+c[f[n]]+N/4]
(p[n]+c[f[n]]+N/4≦N)の時:
r2[n]=s[p[n]+c[f[n]]+N/4−N]
(p[n]+c[f[n]]+N/4<0)の時:
r2[n]=s[p[n]+c[f[n]]+N/4+N] …(12)
Δθ[n]=−μ2×r2[n]×ε[n] …(13)
ここで、μ2は位相補正量決定の程度を決定するパラメータであり、値が大きいほど収束は速くなる。
制御周波数補正手段12は、まず位相補正手段11が決定した位相補正量Δθ[n]の累積値Δθaccum[n]を式(14)にしたがって更新する。
Δθaccum[n]= Δθaccum[n−1]+Δθ[n] …(14)
次に、位相補正量の累積回数が規定回数Naccum達した時、制御周波数補正量fcomp[n]を更新し、Δθaccum[n]を0にリセットする。
制御周波数補正量fcomp[n]の決定方法としては、例えば式(15)のような算出式に基づく方法がある。
fcomp[n]=Δθaccum ÷ Naccum …(15)
上述の手順によりフィルタ係数W[n]を一定値に収束させ、位相補正量Δθ[n]を0に収束させ、制御周波数補正量fcomp[n]を一定値に収束させることにより、制御対象騒音を低減させることができる。
ここで、式(13)による位相補正量算出式で制御周波数の騒音が減少するメカニズムについて説明する。従来例で説明した騒音制御装置においてはLMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づいてフィルタ係数W1[n]、W2[n]を逐次更新している。その更新式は以下に示されるものであった。
W1[n]=W1[n−1]−μ×r1[n]×ε[n] …(1)
W2[n]=W2[n−1]−μ×r2[n]×ε[n] …(2)
このように一般的には正弦波参照信号r1[n]、余弦波参照信号r2[n]には低減すべき騒音の周波数の正弦波信号及び余弦波信号と誤差信号ε[n]との積を利用している。これは正弦波、余弦波の直交性を利用したものであり、長い期間の逐次更新(即ちn→∞)では誤差信号ε[n]の中で正弦波参照信号r1[n]及び余弦波参照信号r2[n]の周波数と同じ周波数成分の積が累積し、他の周波数成分の積の累積値は0となる。このことからW1[n]及びW2[n]は誤差信号ε[n]の中で正弦波参照信号r1[n]及び余弦波参照信号r2[n]の周波数と同一の周波数成分を低下させるように係数更新が行われ、最終的に誤差信号の中で正弦波参照信号及び余弦波参照信号の周波数と同一の周波数成分が0となった時にW1[n]及びW2[n]の平均的な係数更新は0となりW1[n]、W2[n]は収束する。ここで見方を変えると、W1[n]とW2[n]は、制御対象騒音が低減されるように制御信号z[n]の振幅と位相を調整しているともいえる。制御信号の振幅と位相はそれぞれ、
振幅:√(W1[n]2+W2[n]2
位相:tan-1(W2[n]/W1[n])
となる。
一方、本発明においては、制御信号z[n]の振幅に相当するフィルタ係数W[n]は従来どおりの方法で更新する一方で、制御信号z[n]の位相は制御信号z[n]より90度先に進んだ直交成分と誤差信号ε[n]の積“r2[n]×ε[n]”を利用して位相補正量Δθ[n]を直接算出することにより更新する。図4と図5は位相補正方向決定の様子である。r2[n]×ε[n]の符号が正であるときは、図4のように制御信号z[n]を負の方向に位相補正する。一方、r2[n]×ε[n]の符号が負であるときは
、図5のように制御信号z[n]を正の方向に位相補正する。すなわち、式(13)のように制御信号z[n]の直交成分の符号とは逆の方向に制御信号z[n]の位相を補正することにより、制御信号z[n]は誤差信号ε[n]と逆位相の信号に近づくように更新され、制御対象騒音の低減効果は大きくなる。
次に、式(15)により制御周波数補正量fcomp[n]が正しく算出できるメカニズムについて説明する。適応ノッチフィルタは、制御信号z[n]の周波数が実際に発生している制御対象騒音の周波数とずれた時、後者の周波数に近づけようとして、自身の位相特性θ(t)を追従させる(適当な時刻をt=0とする)。すなわち、
騒音(t) = Rnoise×sin(360×fnoise×t)
制御信号(t)=−Rctrl ×sin(360×fctrl ×t+θ(t))
…(16)
と表す時、適応ノッチフィルタは
360×fnoise×t = 360×fctrl ×t + θ(t) …(17)
となるようにθ(t)を更新し続ける。式(18)より、制御信号と騒音との周波数のずれfdiffは、
fdiff = fnoise − fctrl
= θ(t)÷(360×t) …(18)
と表すことができる。さらに t = Naccum×T の時を考えると、
fdiff = θ(Naccum×T)÷(360×Naccum×T)
= (N×θ(Naccum×T)÷360)÷ Naccum …(19)
ここで、「N×θ(Naccum×T)÷360」は、適応ノッチフィルタのNaccum×T〔秒〕後の位相特性を正弦波テーブルのポイント単位表示にしたものに他ならない。したがって、前記の式(15)の制御周波数補正値の算出式は妥当であるといえる。
一方、制御周波数補正量fcomp[n]を式(20)に基づいて更新する方法も考えられる。
(Δθaccum ≧ X)の時:
fcomp[n]=fcomp[n−1]+Δf
(Δθaccum ≦ −X)の時:
fcomp[n]=fcomp[n−1]−Δf
(−X < Δθaccum < X)の時:
fcomp[n]=fcomp[n−1] …(20)
上記算出式は除算を用いない更新式であり、除算命令を持たない演算装置を使用する場合に有効である。ただし、式(20)による制御周波数補正量fcomp[n]の算出方法は、式(15)による方法に比べて、最適な補正値に到達するまでに時間を要する。
なお、Naccumの値は、大きければ大きいほど安定して制御周波数を補正可能であるが、最適な補正値に到達するまでの時間は長くなる。
ここで、本発明と特許文献1に記載の方法を、騒音低減効果の観点から比較する。特許文献1に記載の方法では、正弦波制御信号y1[n]と余弦波制御信号y2[n]を合成して制御信号z[n]を算出する際にデータのオーバフローを避けるために、正弦波テーブルでは正弦値を1/√2倍した値を保持する必要があった。このため、制御信号z[n]は制御対象騒音の位相が45度、135度、225度、315度の時しか最大出力を出
せず、常に最大限の騒音低減効果を発揮できないという問題があった。この様子の例を図6に示す。制御信号z[n]は、図6(A)では最大値で出力できるが、図6(B)と(C)では最大値で出力できない。これに対し、本発明では制御信号z[n]を算出する際に信号の合成処理が発生しないため、正弦波テーブルが保持する値は1/√2倍しておく必要が無く、正弦値そのものでかまわない。したがって、制御信号z[n]は制御対象騒音の位相がいかなる場合でも最大値で出力できる。この様子の例を図7に示す。図7(A)〜(C)のいずれの場合においても、制御信号z[n]は最大値で出力できる。
また、特許文献1に記載の方法では、エンジンパルスPの周波数が誤差を持つ等の原因で制御周波数fが実際に発生している制御対象騒音の周波数とずれた時、騒音低減効果が低くなる問題があった。これに対し、本発明ではエンジンパルスPをもとに算出した予測制御周波数fep[n]を、実際に発生している制御対象騒音の周波数に近づける方向に補正することで、より最適な騒音低減効果を実現できる。
なお、本発明においては、制御周波数検出手段2と正弦波生成手段4と1タップディジタルフィルタ5と係数更新手段10と位相補正手段11と制御周波数補正手段12とをそれぞれ複数個用意することにより、制御対象騒音の複数次数成分を消音させることも可能である。
本発明にかかる能動騒音低減装置は、制御対象騒音の位相がいかなる場合でも最大限の騒音低減効果を発揮でき、かつ制御周波数が実際に発生している制御対象騒音の周波数とずれたときでも最適な騒音低減効果が得られる能動騒音低減装置として有用である。
本発明の実施の形態1における能動騒音低減装置を説明するためのブロック図 同能動騒音低減装置における正弦波テーブルの例を示すグラフ 同能動騒音低減装置におけるスピーカからマイクまでの伝達特性の位相特性値の例を示すグラフ 同能動騒音低減装置における制御信号の位相補正の様子を示す図(その1) 同能動騒音低減装置における制御信号の位相補正の様子を示す図(その2) 従来の能動騒音低減装置における制御信号の出力の大きさを示すブロック図 本発明の実施の形態1における制御信号の出力の大きさを示すブロック図 従来の能動騒音低減装置の構成を示すブロック図
符号の説明
1 エンジン回転数検出器(騒音源)
2 制御周波数検出手段
3 正弦波テーブル
4 正弦波生成手段
5 1タップディジタルフィルタ
6 電力増幅器
7 スピーカ(制御信号生成手段)
8 マイクロフォン(誤差信号検出手段)
9 位相特性テーブル
10 係数更新手段
11 位相補正手段
12 制御周波数補正手段
13 離散演算処理部

Claims (5)

  1. 騒音源に起因する制御すべき騒音の周波数を検出する制御周波数検出手段と、前記制御周波数検出手段で決定した制御周波数と同一の周波数の正弦波を生成する正弦波生成手段と、前記正弦波生成手段からの正弦波が入力される1タップディジタルフィルタと、前記1タップディジタルフィルタからの出力信号が入力され前記騒音源に起因する制御すべき騒音と干渉させるための制御信号を出力させる制御信号生成手段と、前記制御信号生成手段から出力される前記制御信号と前記騒音源に起因する制御すべき騒音との干渉の結果生じる誤差信号を検出する誤差信号検出手段と、前記1タップディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する係数更新手段と、前記正弦波生成手段の位相を補正する位相補正手段とを備え、前記係数更新手段と前記位相補正手段は、前記誤差信号を利用してそれぞれ前記フィルタ係数と前記位相を更新することにより、前記騒音源に起因する制御すべき騒音を低減するように構成された能動型騒音制御装置。
  2. 前記係数更新手段は、前記誤差信号と、制御周波数における制御信号生成手段から誤差信号検出手段までの伝達特性の位相特性とに基づいて、前記フィルタ係数を更新するように構成された請求項1記載の能動型騒音制御装置。
  3. 前記位相補正手段は、前記誤差信号と、制御周波数における制御信号生成手段から誤差信号検出手段までの伝達特性の位相特性とに基づいて、前記正弦波生成手段の位相を決定するように構成された請求項1記載の能動型騒音制御装置。
  4. 前記制御周波数検出手段の制御周波数を補正する制御周波数補正手段を備え、前記制御周波数補正手段は、前記位相補正手段が算出した位相補正量の累積値に基づいて、前記制御周波数検出手段の制御周波数を補正するように構成された請求項1記載の能動型騒音制御装置。
  5. 前記正弦波生成手段は、離散化された正弦値1周期分を保持する正弦波テーブルの読み出し位置を所定の周期で移動させ、さらに前記読み出し位置を前記位相補正手段が決定した位相補正量だけ移動させるように構成された請求項1記載の能動型騒音制御装置。
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