JP5139620B2 - 微生物を検出する方法 - Google Patents

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    • C12Q1/689Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms for bacteria

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、試料中の微生物を検出し、数えあげ及び/又は同定する方法に関する。より具体的には、本発明は 16S rDNA 又はその対応する 16S rRNA 又はその同族体、機能的等価物又は誘導体の全部又は一部と関連するヌクレオチド配列の存在を検出することにより、試料中の総微生物含量を測定する方法を提供する。本発明の該ヌクレオチド配列は如何なる微生物の指標としても使用でき、従って試料中の総微生物含量の指標である普遍的な標的配列を表す。この普遍的標的配列は属又は種に特異的とするようにそれを変えることもでき、あるいはこの普遍的標的は配列分析又は遺伝子プローブ技法によりその後分析されうる微生物のDNA又はRNAを捕捉するために使用されうる。該普遍的標的配列は任意の微生物に由来するゲノム配列を増幅するための普遍的プライマー及びプローブとして、試料中の微生物を総微生物を検出しそして数えあげるための手段として、及び試料中の微生物を属又は種のレベルで同定するための手段として設計するのにとりわけ有用である。このような使用は環境保護、生物的環境浄化、医学的診断及び産業微生物学の方法を改良できる。本発明はさらに単離型の普遍的標的配列及び/又はそれにハイブリダイズできるプライマー又はプローブ、及び試料中の総微生物含量を検出するためのキットに関する。
【0002】
発明の背景
本明細書中で著者により参照した出版物の書誌的事項は本明細書の末尾にまとめてある。
【0003】
本明細書における先行技術への参照は、この先行技術がオーストラリア国又は如何なる他の国における普通の一般的知識の一部を構成するということを認めるものでも如何なる形の示唆を与えるものでもなく、またそう解すべきではない。
【0004】
DNA技術の迅速に進展する精緻化のため、医学的及び関連する健康産業、農業及び園芸分野を含む一連の学問分野における、そして環境試料中の関連するゲノム配列のスクリーニングにおける研究及び開発は大いに促進している。細菌共同体の特性決定への分子的取り組みの適用はとりわけ重要である。このような取り組みは微生物を検出するための培養を媒介とする技法により課される限界を克服する。微生物集団の培養できない部分が全ての微生物共同体の主要な構成部分を占めていることは知られている(1,2,3)。
【0005】
培養に依存する細菌数の計算方法は、細菌がイン・ビトロでその代謝的及び生理学的必要条件が再生され得る場合のみ培養され得るので偏りが生ずることが知られている。これらの技法は結果を得るまで数日間かかるので、迅速な診断決定が必要な状況では不適当である。口腔内の多様な微生物生育環境などの複雑な培養条件の面倒な微生物共同体が研究対象である場合は、従来からの微生物培養技法による細菌の数え方は誤った結果を生ずることもある。
【0006】
細菌を検出するための蛍光に基づく方法も細菌を数えるために使用することができる。例えば、フローサイトメトリーは食物産業やバイオテクノロジー産業などの産業分野で使用される純粋培養物の迅速且つ自動的な計数に適用することができる。しかしながら、ほとんどの細菌は、蛍光抗体又は蛍光色素(4)などの蛍光標識化技法を用いて標的細菌を人為的に修飾することなしには、フローサイトメトリーを用いて細菌相互間を又は細胞破砕物との間を分離するには光学的にあまりに類似しすぎている。この蛍光性DNA染料であるジアミジノフェニルインドール(5)は、例えば、複雑な細菌集団を数えるために使用できる。しかしながら、細菌細胞の大きさの相違、細菌の同時凝集、及び異種の汚染物質(例えば、泥、食物、歯垢、歯の象牙質)の存在などが、直接顕微鏡又は蛍光顕微鏡を用いて計数を行なうとき問題とはならないにしても意味のある計数を困難とし得る(4)。
【0007】
細菌の迅速計数は種々の分子的アプローチ(1,2,3,6)を用いて達成することもできる。しかしながら、目的の細菌を検出するために多数のプライマーが要求されるのが一般的である。競争的PCR(7,8)などの技法は労働集約的であり、試験試料それぞれについての多数の反応から得られる結果を分析することが必要である。従って、微生物の検出及び計数のための改良された分子的アプローチを開発する必要がある。
【0008】
アプライド・バイオシステムズにより開発されたTaqMan(登録商標)システムなどの実時間PCRはDNA増幅の各ラウンドの間における蛍光原性プローブの放出及び検出に基づく。それは、ゲル電気泳動や放射活性ハイブリダイゼーションなどのPCR後の処理の必要性のないDNAの迅速な検出及び定量を可能とする(9)。さらに、組み込まれた96穴方式は同時に分析できる試料の数を大きく増加させる。この方法はプライマー伸長の間に Taqポリメラーゼ( アンプリタック・ゴールド, PEバイオシステムズ(フォスターシティ, CA, USA))の5’エキソヌクレアーゼ活性を使用して該PCRプライマーの間の標的DNAにハイブリダイズした二重に標識した蛍光原性プローブを切断する。切断の前に、該プローブの5’末端にある6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)などのレポーター色素を蛍光共鳴エネルギー移転を通じて6−カルボキシ−テトラメチルローダミン(TAMRA)により消光する。消化の後、FAMが放出される。その結果生ずる518nmの蛍光を生成物蓄積の対数相の間実時間で連続的に測定する。その蛍光は標的配列のコピー数に比例する。
【0009】
本発明に至る研究において、本発明者らは、試料内の総細菌量を普遍的に検出及び定量させる一組のオリゴヌクレオチド類をプライマー及びプローブの形で開発した。これらのプライマー及びプローブは 16S rDNA 又は 16S rRNA に対するものであり、真核生物又は古細菌でない全ての微生物を検出し計数するための実時間PCR又は類似の若しくは関連する技法と共に便利に用いられる。普遍的プライマー−プローブセットの開発は、特定微生物に対して特異的なプライマーの開発を必要とすることなく、迅速且つ正確な微生物量の測定を可能とする。しかしながら、このような特異的プライマーは属又は種のレベルで微生物を同定するために追加的に用いてもよい。本発明は微生物の存在について生物相全体をスクリーニングする場合にとりわけ有用な核酸抽出手順をさらに提供する。
【0010】
発明の概要
本明細書を通じて、文脈が別義を要求しない限り、語「含む("comprise") 又は“comprises" 又は "comprising" などの変形」は述べられた要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群を含むことを意味するが他の如何なる要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群を排除することを意味するものではないと理解されるものである。
【0011】
ヌクレオチド及びアミノ酸の配列は配列番号:(SEQ ID NO:) により言及される。この配列番号:は配列同定子<400>1や<400>2などに数により対応している。配列表は明細書の後に置かれる。
【0012】
本発明は、とりわけ実時間PCR又は類似の若しくは関連した技法により総細菌量を見積もるべく微生物由来の 16S rDNA 又は 16S rRNA を増幅するための一組の普遍的プライマー及びプローブの設計及び評価を提供する。該普遍的プライマー及びプローブは、真核生物又は古生物を検出しないが、検出できる微生物の範囲でいえば広範囲特異性を可能とする。所与の生息地で最も優勢であるように思われる細菌を表すDNA標準は総細菌量をより正確に測定するために有用である。総微生物に由来するゲノム物質に対する普遍的プライマー及びプローブは、微生物の属又は種の同定及び計数を可能とするように修飾することができる。または、あるいはそれに加えて、普遍的プライマー/プローブは微生物の 16S rDNA 又は 16S rRNA のための罠として用いてもよく、次いで 16S rDNA 又は 16S rRNA は配列決定され又は属又は種に特異的なプローブ又はプライマーにより検査(interrogate)される。核酸抽出手順も本発明に従って提供される。該普遍的プライマー及びプローブは医学的、農産業及び他の産業において広範囲の用途を有する。
【0013】
したがって、本発明の一つの側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が2種以上の微生物の中に実質的に保存されている標的ヌクレオチド配列を増幅する工程を含むものであり、該増幅が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成するのに十分な時間及び条件の下でなされるものである方法を意図する。
【0014】
本発明の別の一つの側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又はその同族体若しくは誘導体若しくは機能的等価物を含む又はそれと関連する標的ヌクレオチド配列を増幅する工程を含むものであり、該増幅が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成するのに十分な時間及び条件の下でなされるものである方法を提供する。
【0015】
本発明のさらに別の一側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成する時間及び条件の下で、 16S rDNA 又は 16S rRNA を規定する又はそれと関連するヌクレオチド配列を実時間PCR又は同等の技法に付する工程を含む方法に関する。
【0016】
本発明のさらに別の一側面は 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又は同族体若しくは誘導体若しくはその機能的等価物の全部若しくは一部を含む標的配列の相補鎖にハイブリダイズした前向き及び逆向きプライマー、及びその5’末端が蛍光原レポーター分子によりそしてその3’末端が該蛍光原分子を消光できる分子により標識化されたオリゴヌクレオチドプローブを含む複合体であって、該オリゴヌクレオチドプローブが該前向き及び逆向きプライマーの間に納まっている該 16S rDNA 若しくは 16S rRNA の一部にハイブリダイズしているものである複合体を提供する。
【0017】
本発明のさらなる別の一側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が該試料中のDNAを、16S rDNA若しくは 16S rRNA 又はその同族体若しくは誘導体若しくは機能的等価物を含む若しくはそれと関連するDNAを増幅するために選択されたプライマー及び該プライマーの間に収められたヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブを含むプライマー−プローブセットを用いる実時間PCRに付する工程を含むものであり、該プローブの5’末端が蛍光原レポーター分子によりそしてその3’末端が該蛍光原分子を消光できる分子により標識化されているものであり、該増幅工程が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成する時間及び条件のもとでなされるものである方法を意図する。
【0018】
本発明のなお別の一側面は試料中の特定の微生物又は微生物の優勢な特定の属又は種を同定する方法であって、 16S rDNA 又は 16S rRNA 内のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するプライマー(単数又は複数)により該試料中のDNA又はRNAを捕捉する工程、次いで該捕捉したDNA又はRNAをヌクレオチド配列決定に付し及び/又は属又は種に特異的なプローブによる検査(interrogation)に付す工程、そして次に特定の配列又はプローブ検査のパターンにより微生物を決定する工程を含む方法を提供する。
【0019】
本発明の一層さらなる別の一側面は区画室型のキットであって、16SrDNA又は16SrRNAを含む又はそれと関連する、DNAの増幅反応に関与できる1以上のプライマーを含むように適応された1区画室、その5’末端が蛍光原レポーター分子によりそしてその3’末端が該蛍光原分子を消光できる分子により標識化されているプローブを含む別の1区画室、そして任意選択的に増幅反応を行なうための試薬を含むように適応された別の1区画室及び任意選択的に細胞から核酸を抽出するために適応された1区画室を含むキットに関する。
【0020】
本発明のさらなる一側面は微生物細胞を含む試料から核酸物質を抽出する方法であって、該細胞の濃縮試料を酵素消化に付す工程、及び該細胞をSDSの存在下で溶解する工程、次いで該核酸物質を精製する工程を含む方法を意図する。
【0021】
本発明の別の一側面は微生物細胞を含む試料から核酸物質を抽出する方法であって、該細胞の濃縮試料を圧力を介する破壊、酵素的分解に付する工程、次いでSDSの存在下で該細胞を溶解する工程、そして次に該核酸物質を精製する工程を含む方法をさらに提供する。
【0022】
本発明のさらに別の一側面は、試料中の微生物を測定する方法であって、
任意選択的に該細胞の濃縮試料を圧力媒介破壊ののち酵素分解に付する工程及び次に該細胞をSDSの存在下で溶解する工程、及び次に該核酸物質を精製する工程、
該核酸物質を、 16S rDNA 又は 16S rRNA 内の保存されたヌクレオチド配列にハイブリダイズできる前向き及び逆向きプライマーの存在下で増幅する工程、
任意選択的に、レポーター分子で標識化されたプローブの存在下で増幅生成物の存在を検出する工程、及び総微生物含量を測定する工程、及び
任意選択的に、該増幅された生成物を単離する工程、及びこの単離された生成物を配列決定するか又は該増幅された生成物を遺伝子検査に付して存在する微生物の属又は種を同定する工程、
を含む方法を意図する。
【0023】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、ほとんど全ての原核微生物の中に保存されている 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又はその同族体若しくは機能的等価物若しくは誘導体と関連する若しくはそれを含むヌクレオチド配列の同定に一部その基礎を置く。これらの保存されたヌクレオチド配列を同定すれば、試料中の総微生物含量の検出及び定量が可能となる。この文脈で「機能的等価物」という用語は総微生物含量を測定するためにも使用されうる他の保存配列を含んでいる。本発明はこれらの保存された配列に基づくプライマー及びプローブを提供する。これらは、それらが真核生物や古生物由来のDNAとは実質的に交差反応することなく、微生物の核酸分子にハイブリダイズでき及び/又はこれらを増幅できるという意味で「普遍的」である。この普遍的プライマー又はプローブは同一属又は同一種に特異的となるように修飾してもよく、又は増幅された核酸物質を検査できるように他の属又は種に特異的なプライマー又はプローブと組み合わせて使用してもよい。この普遍的プライマー及びプローブは特定微生物を同定する際の助けとするため、又は特定微生物の優勢を属レベル若しくは種レベルで決定するため、とりわけ配列決定される原核生物の核酸物質のための「罠」として使用してもよい。
【0024】
したがって、本発明の一つの側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が二つ以上の微生物の種の中に実質的に保存されている標的ヌクレオチド配列を増幅する工程を含むものであり、該増幅が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成するのに十分な時間及び条件の下でなされるものである方法を意図する。
【0025】
微生物含量を「測定する」という言及は、微生物含量の見積もり、定量、計数又は他の方法により微生物含量のレベルを誘導することを含む。微生物含量の該レベルは一般に総微生物含量として言及され、培養され得る微生物並びに培養され得ない微生物を含む。総微生物含量のレベルは、便宜的に、特定容積当たりの微生物細胞の数、特定容積当たりの微生物細胞の湿重量又は乾燥重量、又は試料中の細胞の総数の他の適当な指標により表される。細胞の数はミリリッター当たり、マイクロリッター当たり、又は 25 若しくは 50 マイクロリッター当たりで表されるのが便利である。微生物の数はDNAの特定の量に相当するものなどのように間接的にも測定されうる。例えば、大腸菌のDNAの 0.496ピコグラムは試料中の約 100の大腸菌細胞に相当する。用語「測定する」は、特定の微生物を同定することでもあり、又は属若しくは種のレベルで特定微生物の優勢を確認することでもある。例えば、これはヌクレオチド配列により及び/又は種−若しくは属特異的なプローブによる核酸の検査により行いうる。
【0026】
用語「微生物」はその最も広い意味で用いられ、グラム陰性好気性細菌、グラム陽性好気性細菌、グラム陰性微好気性細菌、グラム陽性微好気性細菌、グラム陰性通性嫌気性細菌、グラム陽性通性嫌気性細菌、グラム陰性嫌気性細菌、グラム陽性嫌気性細菌、グラム陽性無胞子細菌及びアクチノマイシーテスを含む。本明細書における微生物への言及には、バージーズ・マニュアル・オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー(12)に列挙された原核生物群の構成員が含まれるとするのが便利である。用語「微生物」又は「微生物の」は一般的に細菌又は細菌のに関連し、真核生物又は古生物の構成員には関連しない。
【0027】
本発明は表3に列挙された微生物に特に関係するが、本発明は保存された標的ヌクレオチド配列を保持する微生物細胞のすべてに及ぶ。
【0028】
用語「試料」は、生体試料、医学的試料、農業的試料、産業的試料及び環境的試料を含むその最も広い意味で用いられる。例えば、試料はヒト、動物又は昆虫起源の培養液、生検液又は組織から誘導してもよく、土壌、河川、温泉、植物、南極大陸、空気又は地球外試料などの天然環境由来の試料並びに廃棄場所や油流出地域、又は芳香族分子若しくは錯体分子の汚染や農薬汚染などの産業現場由来の試料でもよい。これらの試料は食物、食物成分、食物由来物及び/又はミルクなどの酪農業で形成される食物生産物を含む食物構成要素を含んでもよい。試料は液体、固体、スラリー、空気、蒸気、水滴、又はエアロゾル又はこれらの組み合わせでもよい。
【0029】
標的ヌクレオチド配列は一般に標的DNA又はRNAの配列である。該標的がRNA配列である場合、この配列は逆転写を受け相補的DNA配列(cDNA)を形成せねばならない。該標的ヌクレオチド配列はDNAであり、2以上の微生物種の中に保存されていることが便利である。とりわけ好ましい実施態様では、該標的配列は 16S rDNA などの、これに限定されないが、リボソームDNA(rDNA) 又は 16S rRNA などの、これに限定されないが、リボソームRNA (rRNA) である。後者に関しては、適当な微生物細胞は 16S rDNA 又は 16S rRNA を含む又はこれに関連する保存された配列を含む任意の細胞である。本明細書で「 16S rDNA 」又は「 16S rRNA 」と言うときは、その任意の同族体又は誘導体並びにその機能的等価物への言及も含まれる。 16S rDNA の「同族体」には 16S rRNA などのRNA型も含まれ、その逆も真である。
【0030】
したがって、本明細書の好ましい側面は、試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又はその同族体若しくは誘導体若しくは機能的等価物を含み若しくはこれらと関連する標的ヌクレオチド配列を増幅する工程を含むものであり、該増幅工程が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成するのに十分な時間及び条件の下でなされるものである方法を提供する。
【0031】
本発明は、非増幅核酸分子からの1本鎖鋳型に基づいて直接行いうるが、好ましい実施態様では、該鋳型核酸分子は増幅に付された核酸分子から得たものである。増幅反応は、中でも、PCR、ローリング・サークル増幅、及びQβレプリカーゼに基づく増幅を含む任意の範囲が採用されうる。
【0032】
好ましい増幅条件は実時間で結果を生じるもの、実時間PCRである。次いで、増幅生成物を本明細書で閾値濃度(CT ) として言及された特定の量まで測定する。このCT は総標的配列(例えば、 16S rDNA )に比例し、したがって総細菌含量に比例する。一般に、標準曲線はCT を与える条件の下で増幅生成物のレベルを決定することによりCT 及びpgで表されたDNAの既知の量に基づいて調製され、この標準曲線は次に微生物標的配列の量、したがって微生物レベルを決定する。実時間PCRの使用は好ましいが、本発明は関連する技術の利用を許容する。
【0033】
したがって、本発明の別の一側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又はその同族体若しくは誘導体若しくは機能的等価物を規定する又はそれらと関連するヌクレオチド配列を、該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成する時間及び条件の下で、実時間PCRに付する工程を含む方法に向けられる。
【0034】
増幅生成物の該レベルはCT により規定されることが好ましい。
【0035】
実時間PCRなどの増幅の時間及び条件は、好ましい実施態様では、CT が記録されるような条件である。これらの条件は標準曲線の調製のための条件と同一である。
【0036】
特に好ましい実施態様では、該増幅は一組のプライマー(前向き及び逆向き)及びその5’末端が蛍光原レポーター分子によりそしてその3’末端が消光分子により標識化されているプローブオリゴヌクレオチドを用いて行なわれる。該消光分子は蛍光原レポーター分子からのシグナル放射を阻害する。プローブオリゴヌクレオチドは前向きプライマー及び逆向きプライマーがハイブリダイズする領域の間の該標的配列の領域にハイブリダイズする。ポリメラーゼが該プローブオリゴヌクレオチドがハイブリダイズしている鎖に沿って移動するにつれ、該プローブの5’末端は該ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により切断され、こうして消光部分の分離により蛍光原シグナルの放射を可能とする。
【0037】
したがって、別の一実施態様では、本発明は、 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又はその同族体若しくは誘導体若しくは機能的等価物の全部若しくは一部を含む標的配列の相補鎖にハイブリダイズした前向きプライマー及び逆向きプライマー、及びその5’末端が蛍光原レポーター分子によりそしてその3’末端が該蛍光原分子を消光できる分子により標識化されているオリゴヌクレオチドプローブを含む複合体であって、該オリゴヌクレオチドプローブが該前向きプライマーと逆向きプライマーの間に納まっている該 16S rDNA の一部にハイブリダイズしているものである複合体を提供する。
【0038】
本発明の好ましいプライマー及びプローブは下記の特性の少なくとも一つを示す。即ち、
(i) プライマーについては約 58 ℃と約60℃の間、そしてプローブについては約68℃と70℃の間のDNAの融点(Tm )を有する、
(ii) 約30と80%の間のGC含量を有する、
(iii) プライマー又はプローブ中に僅か3個しか連続したGを含まない、
(iv) プライマーの3’末端における最後の5個のヌクレオチド中に僅か2個しかGCを含まない、
(v) プローブの5’末端にGを含まない、
(vi) プローブの選択はGよりもCをより多く含む鎖からなされるべきである、及び
(vii) アンプリコンの長さは約50と約 150bpの間にあるべきである、
である。
【0039】
最も好ましい実施態様では、プライマー−プローブセットは以下のものである。即ち、
普遍的 前向きプライマー:
TCCTACGGGAGGCAGCAGT(配列番号:1)
普遍的 逆向きプライマー:
GGACTACCAGGGTATCTAATCCTGTT(配列番号:2)
普遍的 プローブ:
CGTATTACCGCGGCTGCTGGCAC(配列番号:3)
である。
【0040】
したがって、本発明の別の一側面は試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が該試料中のDNAを 16S rDNA 若しくは 16S rRNA 又は同族体若しくは誘導体若しくはその機能的等価物を含む若しくはそれと関連するDNAを増幅するために選択されたプライマー及び該プライマーの間に収められたヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブを含むプライマー−プローブセットを用いる実時間PCRに付する工程を含むものであり、該プローブの5’末端が蛍光原レポーター分子によりそしてその3’末端が該蛍光原分子を消光できる分子により標識化されているものであり、該増幅工程が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成する時間及び条件のもとでなされるものである方法を意図する。
【0041】
該前向きプライマー及び逆向きのプライマー及びプローブはそれぞれ配列番号:1、配列番号:2及び配列番号:3により規定されるものであり、又は低度の厳格条件下で配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3の相補型にそれぞれハイブリダイズする、及び/又は配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3又はそれらの相補型に少なくとも約 70 %の類似性を示す前向きプライマー及び逆向きプライマー及びプローブであることが好ましい。該プローブはその5’末端が蛍光性色素、例えば6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)など、これに限定されないが、のレポーター分子で標識化されているのが便利である。該3’末端は6−カルボキシ−テトラメチルローダミン(TAMRA)など、これに限定されないが、の消光分子で標識化されるのが便利である。
【0042】
本明細書で用いられるとき、用語「類似性」には、ヌクレオチドレベルで比較される配列間の完全な一致が含まれる。特に好ましい実施態様では、ヌクレオチド配列の比較は類似性よりもむしろ同一性のレベルでなされる。
【0043】
二つ以上のポリヌクレオチドの間の配列関係を記述するために用いられる用語には、「参照配列」、「比較窓」、「配列類似性」、「配列同一性」、「配列類似性の百分率」、「配列同一性の百分率」、「実質的に類似な」及び「実質的に同一な」が含まれる。「参照配列」は長さが少なくとも 12 モノマー単位であるが、しばしば15〜18モノマー単位である。二つのポリヌクレオチドはそれぞれ、(1)これら二つのポリヌクレオチド間が類似する配列(即ち、完全長のポリヌクレオチド配列の一部のみ)及び(2)これら二つのポリヌクレオチド間で異なる配列、を含みうるので、二つ(又はそれ以上)のポリヌクレオチド間の配列の比較は通常、配列類似性の局部的領域を同定し比較するため「比較窓」の上で二つのポリヌクレオチド配列を比較することにより実施される。「比較窓」は、参照配列と比較される、通常12個の連続したヌクレオチドの概念的なセグメントを指す。この比較窓は、該二配列の最適な整列のため(付加又は欠失を含まない)参照配列と比較して約20%以下の付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含みうる。比較窓を整列するための配列の最適な整列はアルゴリズムのコンピュータ化履行(ウィスコンシン・ジェネティックス・ソフトウェア・パッケージ・リリース7.0、ジェネティックス・コンピュータ・グループ、サイエンス・ドライブ・マディソン575番地、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)又は精査により実施されうる。そして最良の整列(即ち、比較窓の上で最も高い相同性百分率値となる整列)が選択される種々の方法のいずれかにより作成される。例えばアルツチュルら(1997)により開示されたプログラムのBLASTファミリーも参照されうる。配列分析の詳細な議論はアウスベルら(1998)の単元19.3に見出され得る。
【0044】
本明細書で用いられる「配列類似性」及び「配列同一性」という用語は、配列が比較窓の上でヌクレオチドごとの基準で同一であること又は機能的若しくは構造的に類似している程度を指す。従って、「配列同一性の百分率」は、例えば、比較窓の上で最適に整列した二つの配列を比較し、同一な核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)が両配列に生ずる位置の数を決定し、合致する位置の数を得て、この合致する位置の数を比較窓中の位置の総数(即ち、窓のサイズ)で割り、そしてその結果に100を乗じて、配列同一性の百分率を得ることにより算出される。本発明の目的のためには、「配列同一性」は、該ソフトウェア添付の参照マニュアルで用いられるような標準的なデフォルトを用いて、例えば、ウィスコンシン・ジェネティックス・ソフトウェア・パッケージ中のGAP又はDNASISコンピュータプログラム(ウィンドウズ(登録商標)用2.5版、日立ソフトウェアエンジニアリング社、南サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ合衆国から入手可能)などの他のプログラムにより算出された「合致百分率」を意味すると理解される。同様なコメントが配列類似性に関して適用される。
【0045】
本明細書における低度の厳格性についての言及は、ハイブリダイゼーションにおいて少なくとも約0%から少なくとも約15%v/v までのホルムアミド及び少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩、並びに洗浄条件において少なくとも約1Mから少なくとも約2Mまでの塩を包含し網羅する。一般的に、低度の厳格性は約25〜30℃から約42℃までである。この温度は変更してもよく、より高い温度を用いてホルムアミドに替えたり、及び/又は別の厳格条件としたりできる。ハイブリダイゼーションにおいて少なくとも約16%v/v から少なくとも約30%v/v までのホルムアミド及び少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩、並びに洗浄条件において少なくとも約0.5Mから少なくとも約0.9Mまでの塩を包含し網羅する中度の厳格条件、又はハイブリダイゼーションにおいて少なくとも約31%v/v から少なくとも約50%v/v までのホルムアミド及び少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mまでの塩、並びに洗浄条件において少なくとも約0.01Mから少なくとも約0.15Mまでの塩を包含し網羅する高度の厳格条件など、必要ならば、代わりの厳格条件が適用されうる。一般的に、洗浄はTm=69.3+0.41(G+C)%(20)で実施される。しかしながら、二重らせんDNAのTmはミスマッチ塩基対の数が1%増加するごとに1℃ずつ低下する(21)。ホルムアミドはこれらのハイブリダイゼーション条件において任意選択的である。従って、厳格条件の特に好ましいレベルは下記のように定義する。即ち、低度の厳格条件は25〜42℃で6×SSC緩衝液、0.1%w/v ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であり、中度の厳格条件は20℃から65℃の範囲の温度で2×SSC緩衝液、0.1%w/v SDSであり、高度の厳格条件は少なくとも65℃の温度で0.1×SSC緩衝液、0.1%w/v SDSである。
【0046】
該プライマー及びプローブは同一属特異的又は同一種特異的とするために修飾してもよい。または、あるいはさらに、プライマー又はプローブは、例えばプライマー/プローブ検査(interrogation)により微生物の属又は種を特異的に規定するために用いることができる。前者に関しては、普遍的プライマー/プローブセットを 16S rDNA /rRNA又はその同族体、等価物若しくは誘導体のための罠として使用しうる。次いでそれを微生物の属若しくは種又は優勢な微生物の属若しくは種の同定にかける。例えば、好気性微生物、嫌気性微生物又は特定の栄養要求若しくは特徴を持つ微生物又は抗生物質耐性微生物などの特定の型の微生物については試料にバイアスをかけるために、何らかの部分的な予備的選択を行なってもよい。
【0047】
したがって、本明細書の別の一側面は試料中の特定の微生物又は特定の属若しくは種の優勢な微生物を同定する方法であって、16S rDNA又は 16S rRNA 内のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するプライマーに該試料中のDNA又はRNAを捕捉する工程、及び次いで該捕捉されたDNA又はRNAをヌクレオチド配列決定及び/又は属若しくは種特異的プローブによる検査にかける工程、及び次いで特定の配列又はプローブ検査のパターンにより該微生物を決定する工程を含む方法を意図する。
【0048】
関連する実施態様では、試料中でその属まで微生物を同定する方法であって、該試料中のDNAを、 16S rDNA 又は 16S rRNA を含む若しくはそれと関連するDNAを増幅するために選択されたプライマー及び該プライマーの間に納まっているヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブを含むプライマー−プローブセットを用いる実時間PCRにかける工程であり、該プローブが属特異的プローブにより同定されるか又はその後に同定されるかのいずれかの該微生物に特異的である工程を含む方法が提供される。
【0049】
好ましい実施態様では、該プライマーは属特異的プローブでもある。
【0050】
一つの特定の有用な実施態様では、該プライマー/プローブセットは核酸物質を捕捉するために用いられる。この核酸物質は次いで優勢な微生物の属若しくは種を決定するためにクローニングされそして配列決定される。次いで、該優勢な微生物を研究するか又は培養するための決断がなされる。このことは、培養を困難にする面倒な培養条件を要求する嫌気性細菌の研究ではとりわけ有用である。これは、通常の手順を用いる培養が困難である歯垢由来の嫌気性細菌を単離し同定するのにさらに一層有用である。DNA又はRNAを抽出し、普遍的プライマーによるPCRにかけ、次いで増幅された断片を単離し、配列決定し、そして該生物をBLAST/GAP又は他のコンピュータ分析により同定しうる。
【0051】
本明細書で「プライマー」又は「プローブ」と言うときは、構造、大きさ又は機能に関して如何なる制限をも付してはならない。該プライマーは増幅用分子として使用してもよく、又はハイブリダイゼーションの目的のためのプローブとして用いてもよい。該分子の好ましい形は増幅用のプライマーとしてのものである。
【0052】
本明細書で「核酸プライマー」と言うときは、少なくとも3ヌクレオチドを含むデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの配列への言及も含む。一般に、核酸プライマーは約3から約 100のヌクレオチド、好ましくは約5から約 50 ヌクレオチド、より一層好ましくは約5から約 25 ヌクレオチドを含む。50ヌクレオチド未満を持つプライマーは本明細書で「オリゴヌクレオチド・プライマー」とも呼ばれる。本発明のプライマーは、例えば、ヌクレオチドの段階的付加反応により合成的に製造されてもよく、又は他の核酸分子の断片、部分、一部若しくは伸長生産物であってもよい。用語「プライマー」はその最も一般的な意味で使用され、増幅目的に使用される場合、DNAポリメラーゼによるDNA合成の開始のための遊離の3’ヒドロキシル基を提供できる任意の長さのヌクレオチドを含む。DNA合成はプライマーを伸長させて、該プライマーがハイブリダイズした核酸鎖に相補的なプライマー伸長生産物を生ずる。該プライマー又はプローブは標的DNA又はRNA由来の捕捉用若しくは固定用の部分とも考えられる。
【0053】
ハイブリダイズしたプライマーの伸長生産物を生ずる伸長は、本明細書では用語「増幅」の中に含められる。増幅は一般にプライマーのハイブリダイゼーション及び伸長により伴われる偏性のサイクルの中で生ずる。本発明は約1サイクルから約 120サイクルまで、好ましくは約2サイクルから約 70 サイクルまで、さらにより好ましくは約5サイクルから約 40 サイクルまでを含み、約 10 、15、20、25、及び30サイクルを含む。
【0054】
とりわけ好ましい実施態様では、試料の調製はヌクレアーゼ阻害剤の存在下で行なわれる。
【0055】
検定は幾つかの形態のいずれかで行なわれる。一つの例では、検定の固定化型が意図される。一つの実施態様では、標的DNA/RNAを捕捉させるために一般的プライマーを固体支持体に固定化する。溶液相の前向き及び逆向きのプライマー及びプローブを次に用いて実時間PCRまたは関連する若しくは同等の技法により行なう。代わりの実施態様では、前向き又は逆向きのプライマーの一つが捕捉分子として用いられる。
【0056】
本明細書のこの側面によれば、細菌の存在について試験されるべき核酸試料を、固定化された核酸捕捉分子を含む室、ウェル若しくは他の容器に添加する。該捕捉分子は、標的ヌクレオチド配列又は標的配列を含む核酸分子内のヌクレオチド配列のいずれかの一部に実質的に相補的なヌクレオチド配列を含む。用語「捕捉分子」及び「プライマー」は互換的に使用されうる。
【0057】
該捕捉分子は任意の便利な手段により固相に固定化されうる。該固体相は核酸プライマー又は他の捕捉分子を固定するために誘導体化できる表面を持つ如何なる構造であってもよい。該固体相はミクロタイターウェルの側面又は計量棒の側面などの平面物質であることが好ましい。
【0058】
固定された核酸分子は一般にハイブリダイゼーションにより標的核酸分子を捕捉することができる必要があり、任意選択的に増幅反応に関与できる必要がある。または、固定された核酸分子は増幅された核酸分子を捕捉する。
【0059】
核酸分子を固体支持体に結合させる方法は、当分野でよく知られている。該プライマーを固体相に連結するプロセスには、アマイド結合、アミデート結合、チオエーテル結合及び固相上へのアミノ基の導入が含まれる。固相への結合の例は、国際特許出願番号PCT/AU92/00587〔WO93/09250〕に見出すことができる。
【0060】
固定されたプライマーは増幅のための溶液相プライマーの一つと関係する。または、「一般的」プライマーは標的配列を含む核酸分子を増幅するため固体支持体に固定される。次いで該標的配列の特異的増幅が溶液相プライマーにより達成できる。後者の実施態様に関しては、該溶液は二つの溶液相プライマー及び標識化プローブを含むであろう。
【0061】
固定されたプライマーは、微生物若しくは優勢な微生物の属若しくは種を同定することを目的として、その後のクローニング及び/又は配列決定(一般に増幅の後)、及び/又はプローブ若しくはプライマーによる検査のために、標的DNA又はRNAを捕捉するためにも使用しうる。
【0062】
本発明の方法は、特定核酸分子を検出しそれにより細菌の量を定量する、効率的、費用効果的且つ正確な検出手段を提供する。
【0063】
上述のように、本発明の普遍的なプライマー及びプローブは微生物に由来する総標的物質の罠としても有用である。このような捕捉された物質は、次に配列決定し、又はクローニングして配列決定し、及び/又はプライマー/プローブ検査にかけてもよい。従って、本発明は、培養することが困難な細菌、生菌培養計数法により実際には全て検出されないで残るか又は低く見積もられるであろう細菌、または凝集した若しくは共凝集した状態の細菌又は虫歯試料中などの媒体物質と混ざりあった細菌であって蛍光検出及び/又は顕微鏡計数も実用的ではない細菌を試料から検出する能力を提供する。さらに、本発明の普遍的プライマー及びプローブの適用は、生命に危険な臨床状況でしばしば経験される時間制約内でのウイルス感染から細菌の迅速な識別を可能とする。これは、例えば、脳炎を評価し、微生物脳炎とウイルス脳炎を識別する際にとりわけ有用である。臨床微生物学において、本発明は、より有効な治療計画に導く、感染における優勢な細菌の捕捉及び同定を可能とする。本方法の任意のそして全ての適用は本発明によって包含される。
【0064】
本発明は、環境保護、生物的環境浄化、医学的診断、水質制御又は食物の品質制御を含む特定の利用により、医学、農業及び工業産業を含むある範囲の産業に適用可能である。
【0065】
本発明のさらに別の一側面は、区画型のキットであって、16SrDNA 又は16SrRNAを含み又はそれと関連するDNAの増幅反応に関与できる一つ以上のプライマーを含むように適応された一区画、その5’末端で蛍光原性レポーター分子により標識され且つその3’末端で該蛍光原性分子を消光できる分子により標識されたプローブを含む別の一区画及び任意選択的に増幅反応を行なうための試薬を含むように適応された別の一区画及び任意選択的に細胞由来の核酸の抽出を行なうように適応された一区画を含むキットに関する。
【0066】
代わりの実施態様では、該キットは二つ以上のウェルを持ち該ウェルにプライマーを含む試薬を含むミクロタイター皿を含む。
【0067】
該プライマーの一つ以上は該区画に固定化されていてもよい。
【0068】
該キットは便宜的に自動化使用又は半自動化使用のために適応されていてもよい。
【0069】
該キットは核酸抽出のための区画を含んでいてもよい。
【0070】
該キットは総原核生物の検出だけでなく他の微生物又は特定の細菌をも検出できるようなプライマー又はプローブの配置を含んでもよい。
【0071】
本発明は普遍的プライマー/プローブセットによる増幅のため、核酸物質を抽出するための抽出手順をさらに提供する。
【0072】
従って、本発明は微生物細胞を含む試料から核酸物質を抽出する方法であって、該細胞の濃縮試料を酵素的消化に付す工程、及び該細胞をSDSの存在下で溶解する工程、次いで該核酸物質を精製する工程を含む方法を意図する。
【0073】
該酵素処理はプロテイナーゼK及びリゾチーム及び/又はムタノリシン又はそれらの同等物を用いる処理を含むことが好ましい。該溶解した細胞はRNアーゼでも処理されることが好ましい。DNA又はRNAは次に特異的に単離するのが便利である。
【0074】
この方法は単一工程DEPC法と呼ばれる。
【0075】
二工程DEPC法は本発明によりさらに意図される。これは酵素処理の前にDEPCの存在下で圧力媒介細胞溶解(音波処理など)工程又は氷上でのインキュベーションを含みうるであろう。
【0076】
従って、本発明は、微生物細胞を含む試料から核酸物質を抽出する方法であって、該細胞の濃縮試料をDEPCの存在下に圧力媒介破砕又は氷上でのインキュベーションに付した後酵素分解に付する工程、及び次にSDSの存在下で該細胞を溶解する工程、及び次に該核酸物質を精製する工程を含む方法をさらに提供する。
【0077】
該圧力媒介破砕は音波処理であることが好ましい。この二工程法の他の好ましい側面は一工程法と同じである。
【0078】
とりわけ好ましい実施態様では、試料中の特定の細菌を計数しそして任意選択的に同定するため、該一工程又は二工程抽出法が普遍的プライマー/プローブセットと組み合わせて使用される。
【0079】
従って、本発明は試料中の微生物を測定する方法であって、
任意選択的に該細胞の濃縮試料をDEPCの存在下で圧力媒介破砕又は氷上インキュベーションに付した後酵素的分解に付し、次に該細胞をSDSの存在下で溶解し、次に該核酸物質を精製する工程、
該核酸物質を、16S rDNA 又は 16S rRNA 内の保存されたヌクレオチド配列にハイブリダイズできる前向き及び逆向きプライマーの存在下で増幅する工程、
任意選択的にレポーター分子で標識されたプローブの存在下で増幅生成物の存在を検出し、総微生物含量を測定する工程、及び
任意選択的に該増幅生成物を単離し、該単離された生成物を配列決定するか又は存在する微生物の属若しくは種を同定するため該増幅生成物を遺伝子検査に付する工程、
を含む方法を意図する。
【0080】
本発明は下記の非限定的実施例によりさらに説明する。
【0081】
実施例1
細菌の株及び培養条件
大腸菌JM109 株、NM522 株、及びXL 1ブルー株(ストラタジーン,ラホーヤ,CA, USA)は先の研究から入手した。スタフィロコッカス・アウレウスATCC 12600株、ATCC 9144 株、ATCC 12598株、ATCC BM 10458 株、及びATCC BM 1014株、スタフィロコッカス・エピデルミディス ATCC 35983 株及び ATCC 14990 株、スタフィロコッカス・ヘモリティクス ATCC 29970 株及びS.ヘモリティクス−インフィルトレイティブ・ケラティチス単離物、スタフィロコッカス・シュレフェリ ATCC 43808 株、シュードモナス・アエルギノーザ ATCC 19660 株、ATCC 15442株、 ATCC 6294株、ATCC 6206 株、シュードモナス・フルオレッセンス−インフィルトレイティブ・ケラティチス単離物、シュードモナス・プチダ−レンズサリーン単離物、シュードモナス・ストゥツェリ−インフィルトレート単離物、シュードモナス・アルカリゲネス実験室単離物、シュードモナス・スピーシーズ、及びセラチア・マルセッセンス ATCC 274 株は、オーストラリア国、ユニバーシティ・オブ・ニュー・サウス・ウェールズのコ−オペラティブ・リサーチ・センター・フォア・アイ・リサーチ・アンド・テクノロジーから供与された。大腸菌、スタフィロコッカス、シュードモナス及びセラチア種は全てルーリア・ブルタニ・ブロス中で 37 ℃で生育させた。ストレプトコッカス・ミュータンス LT 11及びストレプトコッカス・サングイス ATCC 10556 株は 95% N2/5% v/v CO2の下でブレイン・ハート・インフュージョン・ブロス( オキソイド, ベイシングストーク, UK) 上で37℃で生育させた。フソバクテリウム・ヌクレアトゥム ATCC 25586 株、フソバクテリウム・ネクロホルム ATCC 25286 株、アクチノミセス・イスラエリイ ATCC 12102 株、及びアクチノミセス・ナエスルンディイ ATCC 12104 株はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ロックビル,MD, USA)から入手し、嫌気性の部屋 (85%v/v N2、5 %v/v CO2 、10%v/v H2) でブレイン・ハート・インフュージョン・ブロス中で37℃で生育させた。ポルフィロモナス・ギンギヴァリス ATCC 33277 、プレヴォテッラ・メラニノゲニカ ATCC 25845 、プレヴォテッラ・ロエシェイイ ATCC 15930 、ペプトストレプトコッカス・ミクロス ATCC 33270 及びペプトストレプトコッカス・アナエロビウス ATCC 27337 は、1% w/vヘミン、0.4% w/vメナディオン及び 2% v/v ウマ血清を含むCDCブロス(1% v/vトリプチケースペプトン、ディフコ・ベクトン・ディッキンソン, MD, USA 、1% v/v トリプチケースソイブロス, ディフコ・ベクトン・ディッキンソン, MD, USA 、0.5% w/v塩化ナトリウム、1% w/v酵母エキス,オキソイド, ベイシングストーク, UK、0.04% w/v L-システイン, シグマ・ケミカル, セントルイス, MO, USA)上で嫌気性の部屋(85 %v/v N2、5 %v/v CO2 、10%v/v H2) で 37 ℃で生育させた。ポリフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis) ATCC 35406株 (アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ロックビル,MD, USA)から入手) も嫌気性の部屋で生育させた。 IDRカルチャー・コレクションから入手したラクトバチルス・アシドフィルス ATCC 4356株及びラクトバチルス・ラムノーザス ATCC 7469株は微嫌気性条件下(95% v/v N2, 5% v/v CO2 )でMRSブロス(オキソイド, ベイシングストーク, UK) 中で 37 ℃で生育させた。
【0082】
実施例2
虫歯の供給源
苦痛を持ちその症状から開放されるために抜歯を要請した患者で無作為に選択した者からインフォームド・コンセントにより20の虫歯を得た。患者は4か月以内に重要な医学的疾病又は抗微生物治療を受けた病歴が報告された場合は本研究から除かれた。冠状エナメル質及び象牙質の虫歯を持つ回復不可能な歯を、生きており可逆的歯髄炎(苦痛及び熱及び冷刺激に過度に敏感)の臨床症状を持つことが示された臨床診断試験に基づいて研究に含めるため選択した。
【0083】
抜歯の直後に、それぞれの歯を還元性の移送液(reduced transport fluid (RTF))(24)の容器に入れ、85% N2, 5% CO2 及び 10% H2 v/v/v を含む 37 ℃の嫌気性の部屋に移した。カリエス病巣の上を覆う表面の歯垢及び破砕物を除去し、その表面をRTF で数回濯いだ。滅菌した鋭利なエキスカベータを用いて、各歯から全ての軟化しそして虫歯になった象牙質を小さな断片として集めた。試料採取は抜歯の 20 分以内に完了した。
【0084】
実施例3
虫歯象牙質中のコロニー形成単位の測定
各歯から抽出された虫歯象牙質をそれぞれ秤量し、10 mg 湿重量 (ml RTF) -1の象牙質の標準懸濁液を嫌気性の部屋(実施例2を参照)内で 37 ℃で調製した。象牙質断片をRTF中で 20 秒間まずボルテックス攪拌し次いで2mlガラスホモジナイザー中で手で 30 秒間ホモジナイズすることにより均一に分散させた。これらの懸濁液の 10 -3から 10 -6 までの連続希釈の試料 (100 μl) をRTF中で調製し、そして1μg/mlメナディオン、5μg/mlヘミン(haemin) 、400 μg/mlのL−システイン(シグマ)及び5%v/vウマ血(アーミル・メディア)(10)を含むトリプティケース・ソイ・アガー(オクソイド)上に2連でプレートした。このプレートを 85% N2 、5% CO 2 及び 10% H2 v/v/v を含む嫌気性の部屋で 37 ℃で 14 日間インキュベートし、総微生物量( 象牙質の mg 湿重量当たりの) を測定するためにコロニー形成単位の数を計数した。使用しなかった分散虫歯象牙質試料は−80℃で凍結した。
【0085】
実施例4
イン・ビトロ培養物からの生細菌の測定
大腸菌、P.アエルギノーザ及びS.アウレウスの培養物の生細胞数を、LB寒天平板上のLBブロス中で生育した適当な培養物の10-6希釈を 100μl塗布しそして 37 ℃で 24 時間好気的にインキュベーションした後コロニー数を計数することにより測定した。
【0086】
実施例5
細菌培養物由来のDNAの抽出
QIAmp DNA ミニキット(キアゲン,クリフトンヒル,VIC)を製造者の説明書に従って用いるか又は凍結−煮沸法を用いるかの何れかで個々の細菌種からDNAを単離した。後者の場合、250 μlの培養物からの細菌細胞を遠心分離(14,000 ×g,室温で 2分間) により取得し、10mMリン酸緩衝液pH6.7 の45μl中に再懸濁した後−20℃で凍結した。この凍結細胞を次に煮沸中の水浴で10分間加熱した。
【0087】
実施例6
虫歯象牙質から嫌気性細菌のDNAの抽出
虫歯象牙質の凍結した均一懸濁液を氷上で融解し、80μlの試料を抜取り、100 μlの ATL緩衝液 (キアゲン) 及び 400μgのプロテイナーゼK (キアゲン) と混ぜた。この試料を 10 秒間ボルテックス攪拌し、次いで 10 分毎に10秒間定期的に攪拌しながら40分間56℃でインキュベートして該細胞を完全に溶解させた。この手順は細菌が酸素に曝されるとグラム陽性嫌気性菌の細胞壁の完全性が傷つけられるという発見(11)と整合するように、グラム陰性嫌気性細菌及びグラム陽性嫌気性細菌の両方からDNAを抽出するために発見された。ストレプトコッカス、ラクトバチルス、及びアクチノミセスを含む他の微好気性又は条件付きグラム陽性細菌はこの手順によって溶解されなかった。200 μgのRNアーゼ(シグマ)を添加した後、この試料を37℃でさらに10分間インキュベートした。次いでRNAの汚染のないDNAを QIAmp DNAミニキット(キアゲン) を用い製造者の説明書に従って精製した。
【0088】
実施例7
他の細菌のDNAの供給源
レジオネラ・ニューモフィラのセログループ4 ATCC 33156株、セログループ5 ATCC 33216株、セログループ6 ATCC 33215株、セログループ1 ノックスビル-1 ATCC 33153 株、フィラデルフィア-1、並びにレジオネラ・アニサ、レジオネラ・ボゼマニイ・セログループ-2、レジオネラ・ロンディネーンシス、レジオネラ・マセアチェルニイ及びレジオネラ・ワルテルシイからのDNAはサウスオーストラリア、インスティチュート・オブ・メディカル・アンド・ベテリナリ・サイエンス、インフェクシャス・ディジーシーズ・ラボラトリーから供与された。そしてミコバクテリウム・ツバーキュロシス H37RV株からのDNAはオーストラリア、ニューサウスウェールズ、ウェストミード・ホスピタル、マイクロバイオロジー・ラボラトリーから供与された。
【0089】
実施例8
DNA配列決定分析
普遍的プライマー−プローブセットの構築のために分析されたBergey's Manual(登録商標) オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー(12)に概述されたほとんどの細菌のグループの 16S rDNA 配列群には以下のものが含まれる(括弧内ははゲンバンク受託番号)。即ち、バクテロイデス・フォルシサス(AB035460) 、P. ギンギヴァリス(POYRR16SC) 、P.メラニノゲニカ(PVORR16SF) 、サイトファーガ・バルチカ(CBA5972) 、カンピロバクター・ジェジュニ(CAJRRDAD)、ヘリコバクター・ピロリ(HPU00679)、トレポネマ・デンティコラ(AF139203)、T. パリドゥム(TRPRG16S)、レプトトリックス・モビリス(LM16SRR) 、チオミクロスピラ・デニトリフィカンス(TDE243144) 、ナイセリア・メニンギティディス(AF059671)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(ACNRRNAJ)、ヘモフィルス・インフルエンザエ(HIDNA5483) 、大腸菌(ECAT1177T) 、サルモネラ・チフィ(STRNA16) 、ビブリオ・コレラエ(VC16SRRNA) 、コクシエラ・ブルネティイ(D89791)、L.ニューモフィラ(LP16SRNA)、P.アエルギノーザ(PARN16S) 、カウロバクター・ビブリオイデス(CVI009957) 、ロドスピリルム・ルブルム(RR16S107R) 、ニトロバクター・ウィノグラドスキー(NIT16SRA)、ウォルバキア・スピーシーズ(Wolbachia species)(WSP010275)、ミクソコッカス・ザンツス(MXA233930) 、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(CD16SRDNA) 、M.ツバーキュロシス(MTRRNOP) 、ストレプトミセス・コエリコラー(SC16SRNA)、A.オドントリティクス(AO16SRD) 、バチルス・ズブチリス(AB016721)、S.アウレウス(SA16SRRN)、リステリア・モノシトゲネス(S55472)、エンテロコッカス・フェカリス(AB012212)、L.アシドフィルス(LBARR16SAZ)、S.ミュータンス(SM16SRNA)、クロストリディウム・ボツリヌム(CBA16S)、P.ミクロス(PEP16SRR8) 、ヴェイロネッラ・ディスパー(Veillonella dispar)(VDRRNA16S) 、F.ヌクレアツム(X55401)、クラミディア・トラコマティス(D89067)、及びマイコプラズマ・ニュウモニアエ(AF132741)である。これらの 16S rDNA 配列をオーストラリアン・ナショナル・ゲノミック・インフォメーション・サービス(ANGIS, http://www.angis.org.au)を介してアクセスしたGCGプログラム Pileup (22)を用いて整列させた。同一の領域は普遍的プローブ及びプライマー(図1A、1B、1C)の設計のために手作業で評価し、次いでこれもANGISを介してアクセスしたデータベース類似性検索プログラムBLAST(23)を用いて他の細菌の遺伝子との交差ハイブリダイゼーションの可能性をチェックした。適当なプライマー/プローブの組み合わせを決定するためアプライド・バイオシステムズにより供給されたプライマー・エクスプレス・ソフトウエアはこの課題には限られた価値しかなく、プライマー−ダイマー構造又は内部ヘアピン構造のチェックにしか用いなかった。一旦設計されると、プローブ配列及びプライマー配列(表1)はアプライド・バイオシステムズにより合成された。
【0090】
実施例9
PCRの条件
実時間PCRによるDNAの増幅及び検出は光学グレードの96穴プレートを用い、ABI−PRISM 7700 配列検出システム(PE バイオシステムズ, フォスターシティ, CA, USA)を用いて行なった。虫歯象牙質中の嫌気性グラム陽性細菌の優勢な細菌群の量を測定するため、このPCR反応を、TaqMan (登録商標) PCR コア・リエージェント・キット PE バイオシステムズ( フォスターシティ, CA, USA)を用い、これにPEバイオシステムズ (フォスターシティ, CA, USA)から供給を受けた1×PCR緩衝液中の 200μMの各dNTP、3.5 mMのMgCl2 、0.625Uのアンプリタックゴールドを添加し、300 nMの前向き及び逆向きプライマー及び 175nMの蛍光原性プローブを用いて総容量 25 μlで3連で行なった。または、普遍的前向き及び逆向きプライマーの各100 nM及び蛍光原性プローブを含む TaqMan(登録商標) ユニバーサルPCR マスターミックス(PE バイオシステムズ, フォスターシティ, CA, USA)を用いた。DNAの増幅の反応条件は50℃で 2分、95℃で10分、及び95℃で15秒及び60℃で 1分の40サイクルであった。データは PE バイオシステムズ (フォスターシティ, CA, USA)からのシークェンス・ディテクション・システム・ソフトウェアを用いて分析し、2 連の試料の平均値として表した。
【0091】
実施例10
DNA単離手順
(i) 音波処理: 室温で 14,000 ×gで 2分間でペレット状とした細菌細胞を
ガラスビーズを含む10mMリン酸緩衝液pH6.7 中に再懸濁し、ブランソ
ン・ソニファイア・モデル250 を用い、75ワットで 5分、10分及び15分間
音波処理した。時間間隔毎に部分標本を採取した。
(ii) 凍結−融解法: 該細胞ペレットを10mMリン酸緩衝液pH6.7 中に再懸
濁し、−20℃で凍結し、融解した後、その一部をPCR反応に使用した。
(iii) 凍結−煮沸法: 室温で 14,000 ×gで 2分間でペレット状とした細菌細
胞を10mMリン酸緩衝液pH6.7 中に再懸濁し、−20℃で凍結し、そして
PCR反応に使用する前に煮沸水中に10分間置いた。
(iv) 酵素法: 室温で 14,000 ×gで 2分間でペレット状とした細菌細胞をリ
ゾチーム及びムタノリシン(それぞれ最終濃度 1mg/ml で) を含む10mM
リン酸緩衝液pH6.7 中に再懸濁し、60℃で30分間インキュベートし、そ
してSDS(最終濃度 1% w/v)で溶解した。
(v) QIAmp DNA ミニキット法: 総細胞DNAを細菌の培養物から製造者の説
明書の通り QIAmp DNAミニキット(キアゲン) により抽出した。
(vi) ZnCl2 /EDTA/DEPC法: 室温で 14,000 ×gで 2分間でペ
レット状とした細菌細胞をリゾチーム及びムタノリシン(それぞれ最終濃
度 1mg/ml で) 及び5mMのZnCl2 又は 100mMのEDTA又は 20
mMのDEPCを含む10mMリン酸緩衝液pH6.7 中に再懸濁した。60℃
で30分間インキュベートした後、該細胞を1% w/v SDS (最終濃度) で
溶解した。細菌培養物からのDNAを QIAmp DNAミニキットを用い、製造
者の説明書の通りに精製した。
【0092】
実施例11
ヌクレアーゼからの保護
DNAの精製調製物及びP.ギンギヴァリスの細胞抽出物を、ZnCl2 (5mM)又はEDTA(100 mM) 又はDEPC(20mM) 又はウサギ筋アクチン( 1 μg/ ml) 又はジピリジル(2mM/5mM) の存在下又は非存在下で60℃で30分間インキュベートして、ヌクレアーゼ阻害剤としてのそれらの効果を評価した。部分標本を 1% w/v アガロース・ゲル電気泳動によりチェックした。
【0093】
実施例12
普遍的プライマー及びプローブの設計
アプライド・バイオシステムズはプライマー及びプローブを設計するための幾つかの指針を設定した。これらの指針には、DNAの融点(Tm )がプライマーについては58-60 ℃、そしてプローブについては 68-70℃の間にあるべきであること、G+C含量が30-80%であるべきこと、プライマー又はプローブいずれかに4連続Gが存在すべきでないこと、プライマーの3’末端の最後の5個のヌクレオチドには僅か2個しかGCが存在すべきでないこと、プローブの5’末端にはGは存在しないこと、プローブはGよりCを多く持つ鎖から選択すべきこと、そしてアンプリコンの長さは50-150bpの間にあるべきことという事実が含まれる。
【0094】
本発明者らは次いで、アプライド・バイオシステムズにより設定された指針の少なくとも大部分に実質的に適合し且つ広範囲の細菌種を検出するであろう、16SrDNA の配列に基づく普遍的プライマー及びプローブのセットを設計した。本発明者らの手では、これらの基準の全てに合致することは不可能であった。しかしながら、普遍的プライマー−プローブセットに対する本発明者らの最終選択は理想的なものから二つの点でしか逸れていなかった。これらはアンプリコンの長さ及び前向きプローブの最後の5個のヌクレオチドにおけるGCの数であった。実時間PCRにより原核生物のための普遍的検出システムとして作用するように設計されたプライマー−プローブセットは、大腸菌 16S rRNA 遺伝子上の残基331 から 797にわたる 466bpのアンプリコンを形成した(表1)。選択されたプローブ及びプライマーの配列は、代表的細菌 16S rRNA 遺伝子として整列された(図1)全てのグループの原核生物(12)で高度に保存されていた。
【0095】
選択された細菌 16S rRNA配列の多数の整列は、F.ヌクレアツム (そのヌクレオチドは知られていない)の前向きプライマーにおける二つの不適合及びP.ミクロスの前向きプライマーの5’末端における欠失を示すが、これらの不一致は、実時間PCRの間、許容された。何故なら、両方の属とも普遍的プライマー−プローブセットを用いて定量できたからである(表2)。
【0096】
原核生物に対する特異性を確認するため、本発明者らはANGISを介して入手可能な幾つかの入手可能な真核生物及び古生物のデータベースを調査した。BLAST調査の結果は、僅か1個の重要なヒット、即ち逆向きプローブによってしか検出されなかった特定の乳癌細菌系統(BT029)のそれ、を示した。しかしながら、ベータ−アクチン検出キット中でアプライド・バイオシステムズにより提供されたヒトDNA試料はこのプライマー−プローブセットにより増幅されず、全く負の結果を与えた。
【0097】
実施例13
大腸菌rDNAを検出する際の普遍的プライマー−プローブセットの感度
TaqMan (登録商標) 技法は、レポーター色素の蛍光における増加が閾値に達する点でPCRサイクルを決定する。これは、閾値サイクル(CT )として知られ、標的DNAの量に比例し、従って試料中の細菌の数に比例する。本発明者らは大腸菌 rDNA の検出に基づく標準グラフを作成した。ここでは、一つの大腸菌細胞は理論的に 4.96 fgのDNAの検出に等しいとされる(図2)。大腸菌を標準として用いると、大腸菌DNAの 238 fg ( 大腸菌細胞の 48 個に相当する) と大腸菌DNAの 2.38 ng (大腸菌細胞の4.8 ×105 に相当する) の間で矛盾なく検出された。しかしながら、これは大腸菌ゲノム上の rDNA のコピー数を考慮に入れていない。低い方の検出限界 (即ち、4.8 細胞から48細胞の間) に関する制限は PE バイオシステムズ (フォスターシティ, CA, USA)により提供される TaqMan(登録商標) PCR コア・リエージェント・キットを使用するか又は TaqMan(登録商標) ユニバーサル PCRマスター・ミックスを使用するかにより変化する。これはPCRに使用される酵素標品中か化学試薬中のいずれかの細菌DNAの汚染によるものと考えられる(13〜16)。これは試薬ミックス中の rDNA の普遍的プライマー−プローブセット及び大腸菌DNAを添加しない負の対照を用いる検出により本研究で確認された観察でもある(図3)。PCRの40サイクルは該普遍的プライマー−プローブセットで利用可能であるが、鋳型なしの対照では、蛍光シグナルはCT が 33 と38の付近で一貫して検出された。
【0098】
実施例14
広範囲検出及び細菌数の相対的測定
与えられた種に対する相対的総細菌量を決定するために、本発明者らは試験試料についてのCT 値を既知量の大腸菌DNAから作成された標準グラフ(図2)と比較した。この標準グラフは内部標準として使用するために試験試料と同時に蓄積されたデータから調製するのが好ましかった。該標準曲線を用いることにより、試料中のDNAの相対濃度及び細菌の相対数の両方が選択された全ての種、Bergey's Manual(登録商標) オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー(12)に列挙された細菌の主要グループを表す種、について求めることができた(表2)。これらの種のそれぞれについて、大腸菌DNAを標準として用いた場合、pgのDNA当たり 2.00 ×102 ( 範囲は 1.98-2.06×102 ) の細菌の値に小さな変動があった。このことはDNAの供給源が検出のレベルに影響を与えなかったこと、そして該プライマー−プローブセットがDNAをそれから抽出した細菌種に無関係にDNAを検出する際に等しく有効であったことを示す。同様な結論が同じ種の異なる株を実時間PCRにより検出した場合にも引き出された(表3)。
【0099】
実施例15
DNA相対濃度の測定に及ぼす標準DNAの供給源の効果
大腸菌以外のDNA標準との比較は、rDNAコピー数並びに世代時間(td )がこの数に及ぼす乗数効果の変化により、検出されるDNAの相対量に相違を生ずる筈である。これを確認するため、急速に増殖する3種の好気性細菌、S.アウレウス、大腸菌及びP.アエルギノーザ(20-50 分のオーダーのイン・ビトロtd を持つ) 及びゆっくり増殖する口腔の2種の絶対嫌気性菌であるP.メラニノゲニカ及びP.エンドドンタリス(イン・ビトロで 5-15 時間のオーダーのtd を持つ) の間で比較を行なった。標準として5個のDNAそれぞれを用いて実時間PCRにより見積もられたDNAの相対量はA260 nm(100%に設定) で測定されたDNAの量に関連していた。それぞれの場合に、添加したDNAの既知の量と実時間PCRによる似たDNAの比較はほぼ 100% であろうと予測されるであろう。2例において、そうではなかった。P.アエルギノーザとP.メラニノゲニカの両者については、ほぼ2倍の量のDNAが検出された。これは、一部にはDNAの相対量が、CT を求めるために用いられる水平閾値線の任意の設定に基づく、アプライド・バイオシステムズにより提供されたシークェンス・ディテクション・システム・バージョン1.6.3 ソフトウェアにより計算されたという事実によるものであった( 図3参照)。従って、この水平閾値線は、これら二つの値をできるだけ 100%に近づけるように調整され、DNAの相対量を計算し直した(表4)。
【0100】
予想されるように、DNAの相対量の変動は、標準DNAが評価対象である該種のそれと異なる場合に観察された(表4)。しかしながら、重大な誤差(>3倍)は、急速に増殖する好気性細菌がゆっくり増殖する絶対嫌気性細菌のDNA標準と比較された場合(過大評価)又は逆に絶対嫌気性細菌が急速に増殖する好気性細菌のDNAと比較された場合(過少評価)にのみ観察された(表4)。
【0101】
これらの値の一つ、P.メラニノゲニカのDNAを用いて検出されたS.アウレウスのDNAの量の値は、予想されたよりもほぼ2倍大きかった。しかしながら、この値は、CT 対(DNA)のグラフにおける横軸の対数目盛りにより重大な誤差が起こり得る低いCT 値から計算された。極端に高い及び低いCT 値では、DNAの相対量の見積もりに2倍の誤差が起こり得る。この固有の2倍誤差を考慮に入れることにより、且つその後にDNAの相対量についての該25の値の一つを2の因子だけ変更することにより(表4の脚注‡を参照)、表4のデータは異なる種における 16S rRNA オペロンのコピー数の比の見積もりを可能とした。S.アウレウス、大腸菌、P.アエルギノーザ、P.エンドドンタリス、及びP.メラニノゲニカそれぞれのコピー数についての 23 : 13 : 10 : 2 : 1 ( 直近の整数にして) という平均比は、修正されたデータと合致した。これは、急速に増殖する好気性細菌であるS.アウレウス、大腸菌及びP.アエルギノーザは 16S rRNA オペロンの既知の染色体補体(chromosomal complement) をほぼ2倍持っていることを示唆した。このデータは、絶対嫌気性細菌が染色体当たり僅か一つ又は二つの 16S rRNA オペロンしか持たないことも予想させた。正確なコピー数は現在は知られていない。
【0102】
実施例16
実時間PCRを用いる人工的イン・ビトロ混合物中の
細菌の生細胞数及び細菌の相対評価の比較
混合培養中の細菌の総数を評価するのに普遍的プライマー−プローブセットを使用する場合の有効性を決定するため、3種の細菌、大腸菌、P.アエルギノーザ及びS.アウレウスをイン・ビトロで定常期まで別々に増殖させ、これらの三つの培養物を等量づつ(2ml)混合した。大腸菌、P.アエルギノーザ及びS.アウレウスの定常期におけるコロニー形成単位の数を寒天平板上での連続希釈により求め、普遍的プライマー−プローブセット及び標準として大腸菌DNAを用いる実時間PCRにより測定された相対細菌量と比較した。大腸菌の単一染色体中における 16S rRNA オペロンのコピー数が7であり、一方P.アエルギノーザ中のそれが4であり、S.アウレウスのそれが9であるという事実、且つ、大腸菌の標準DNAに対して、P.アエルギノーザが過少に評価されそしてS.アウレウスが過大に評価されるであろうという予想にもかかわらず、使用した方法に関係なく(表5)細菌数の評価には一致が見られた。
【0103】
実施例17
実時間PCRによる虫歯象牙質中の嫌気性細菌の数と
総嫌気性菌のコロニー数との比較
虫歯象牙質中の嫌気性細菌の量を評価する場合に普遍的プローブ・プライマーセットを用いる価値は、20の臨床試料において嫌気的に増殖させた細胞から得られたP.メラニノゲニカ ATCC 25845 株のDNAを標準として用いて決定された。該試料のそれぞれについての総嫌気性コロニーの数について比較がなされた。実時間PCRにより決定された嫌気性細胞の平均数は象牙質のmg当たり3.6 ×108 ( 範囲は象牙質のmg当たり 1.1×108 〜1.1 ×109)であったが、総生細胞数の平均数は象牙質のmg当たり 1.1×107 ( 範囲は象牙質のmg当たり 2.0×106 〜3.7 ×107 ) であった。この結果は培養に基づく技法は虫歯象牙質中の総細菌量を過少評価したことを示した。何故なら、実時間PCRにより該試料中に検出された嫌気性細菌の数は平均してコロニー計数により検出されたものよりも40倍高かったからである。後者には条件付きグラム陽性細菌も含まれていたという事実にもかかわらずである(表6)。
【0104】
実施例18
細菌DNAの単離のための細菌細胞の音波処理
多工程の試料調製計画を用いるDNAの損失をなくすため、細菌細胞懸濁液を音波処理して実時間PCRを用いる定量のために細胞からDNAを放出させた。ガラスビーズを用いて細胞を音波処理した場合にDNAはより効率的に放出された。S.ミュータンス及びP.ギンギヴァリスの音波処理物は適当な濃度まで希釈し、普遍的プライマー−プローブセットを用いるDNAの定量のために ABI-PRISM 7700 シークェンス・ディテクション・システム中でチェックした。音波処理の効果を凍結−融解又は凍結−煮沸を用いるDNA単離と比較した。図4に示すように、凍結−煮沸技法は大部分のDNAを放出させた。音波処理時間を増加させてもS.ミュータンスからのDNA回収にはほとんど効果を示さなかったが、P.ギンギヴァリスの回収にはマイナスの効果を示した。
【0105】
実施例19
アガロース・ゲル電気泳動で見た場合の
P.ギンギヴァリス中のヌクレアーゼ類の存在
P.ギンギヴァリス中にヌクレアーゼ類が存在することを、1%w/vアガロースゲル電気泳動を用いてチェックした。外来性の精製したP.ギンギヴァリスのDNAを、図5Aに示したDNA単離画分のそれぞれと共に50℃で30分間インキュベートし、1 %w/vアガロースゲル電気泳動にかけると、図5Aに見られるように、無傷のDNAは凍結培養物を煮沸した後にのみ検出され得た。
【0106】
実施例20
個々の細菌集団及び混合細菌集団における定量に及ぼす
ヌクレアーゼの決定的な役割及びZnCl 2 の効果
大腸菌又はS.ミュータンスの存在下又は非存在下でP.ギンギヴァリスから単離されたDNAを、DNAの定量のために、普遍的プライマー−プローブセット及び試料の適当な希釈を用いて、 ABI-PRISM 7700 シークェンス・ディテクション・システム中でチェックした。5mMのZnCl2 の存在下におけるDNAの定量値の有意の増加が個々の細菌集団及び混合細菌集団において明らかであった(図6a、6b)。
【0107】
実施例21
無希釈試料を用いる定量に及ぼすZnCl 2 及びSDS除去の効果
無希釈又は低希釈試料におけるZnCl2 及びSDSの妨害を除去するため、DNA試料を ABI-PRISM 7700 シークェンス・ディテクション・システム中で分析する前に、ヌクレアーゼ阻害剤及び細胞溶解剤をそれぞれ除去することが必要であった。リゾチーム及びムタノリシン( それぞれ最終濃度 1mg/ ml) 及び 5mMのZnCl2 を含む10mMリン酸緩衝液pH6.7 中に再懸濁されたP.ギンギヴァリスの細胞ペレットを60℃で30分間インキュベートし、次いで 1%w/v SDSで溶解した後、QIAmp DNA ミニキットを用いてDNAの精製を行なった。DNAの定量は無希釈試料中ではできなかった。これはおそらくPCR反応を妨害しうるであろう無希釈試料中の高濃度のZnCl2 によるものであった。QIAmp DNA ミニキットを用いるDNAの精製は図7に見られるように定量されたDNAの量を回復させた。
【0108】
実施例22
pGEM(登録商標)−Tイージー・ベクター・システム中の
B.トリオニ dsX 遺伝子挿入物を用いる内部陽性対照
TaqMan (登録商標) 外来性内部陽性対照は、試料調製の後のDNA回収の効率を測定し該反応におけるPCR阻害剤の効果を評価するために ABI-PRISM 7700 シークェンス・ディテクション・システムと共に用いられるように設計されたものである。前向きプライマー5’GGAAGGTAAGTTGCATTTCAGCA3’(配列番号:4)、逆向きプライマー5’GCGTACTTATCATGGTAAATTAAGTCAATT3’(配列番号:5)及び蛍光原性プローブVIC−TCCCGTTACAAAATCGTGTTTACATCGTATACTCG(配列番号:6)をバクテロセッラ・トリオニのdsX遺伝子の報告された配列(ゲンバンク受託番号AF040077) からプライマー・エクスプレス・ソフトウェア (アプライド・バイオシステムズ, フォスターシティ, CA, USA)を用いて設計した。この内部陽性対照(IPC-BT-PG)のためのプローブ配列は、5’末端を蛍光色素FAMで標識化されている種特異的なプローブ及び普遍的なプローブからIPCを識別させるために蛍光色素VICで5’末端を標識化した。
【0109】
pGEM(登録商標)−Tイージー中のB.トリオニのdsX遺伝子挿入物はPCRにより確認され、2% w/vアガロースゲル電気泳動で見られるように89bpのアンプリコンを形成した。このキメラプラスミドは ABI-PRISM 7700 シークェンス・ディテクション・システム中で蛍光シグナルを与えた。これは該アンプリコン中のプローブの内部位置を確認させる(図8)。
【0110】
実施例23
内部陽性対照の存在下でP.ギンギヴァリスのDNAの単離
(250 μl培養、140,000 ×gで室温 2分間遠心分離で得られた) P.ギンギヴァリス細胞のペレットを、リゾチーム及びムタノリシン(それぞれ1mg/ml最終濃度)、5mMのZnCl2 及び内部陽性対照(pGEM (登録商標)-T イージー・ベクター・システム中のB.トリオニ dsX遺伝子挿入物) を含む 10 mMリン酸緩衝液pH6.7 に再懸濁し、60℃で30分間インキュベートし、次いで 1% w/v SDSで溶解した。同一量の培養物ペレットを内部陽性対照を含む10mMリン酸緩衝液pH6.7 にも再懸濁し、−20℃で凍結した。この凍結試料を10分間煮沸した。該試料を希釈した後、部分標本を ABI-PRISM 7700 シークェンス・ディテクション・システムでチェックした。これらの試料が5mMのZnCl2 (表7に見られるように)を含むリン酸緩衝液中で煮沸されたか又は単離された場合にP.ギンギヴァリス及び内部陽性対照について、より高い量のDNA(より低いCT 値)が見積もられたが、一方、P.ギンギヴァリスDNA及び内部陽性対照はヌクレアーゼ類が凍結−融解試料又は10mMリン酸緩衝液中で活性であった場合は低下( より高いCT 値)した。従って、該内部陽性対照は試料調製の後のDNA回収の効率を決定するために使用することができよう。
【0111】
実施例24
歯周歯垢試料中のポルフィロモナス・ギンギヴァリスの
実時間PCR見積もりの配列に基づく同定による評価
実時間PCRを用いて、疾患部位歯周歯垢試料中での総細菌量との比較におけるポルフィロモナス・ギンギヴァリスの寄与度をP.ギンギヴァリス特異的及び普遍的プライマー−プローブセットを用いて評価した。
【0112】
本発明者らは疾患部位のヒト歯周歯垢試料から単離されたDNAから466bp断片のDNAを増幅するために単一の普遍的プライマー対を用いた。使用した該プライマーとプローブは表1に示す。分析した57クローンのうち、ポルフィロモナス・ギンギヴァリス、バクテロイデス・フォルシザス (Bacteroides forsythus)、プレヴォテッラ・タネラエ(Prevotella tannerae) 、ロチア・デントカリオサ(Rothia dentocariosa)は種レベルで同定されたが、プレヴォテッラ、フソバクテリウム (Fusobacteria) 、カトネッラ(Catonella)、クロストリディウム、デスルホブブス (Desulfobubus) 、カンピロバクター、カプノサイトファーガ (Capnocytophaga) 及びトレポネマ (Treponema)は属レベルで同定され得た。フソバクテリウム(31.6%) と共にP.ギンギヴァリス (29.8%) 、続いて B. フォルシザス(10.5 %) 、プレヴォテッラ(7%) 及びトレポネマ (3.5 %) の優勢は配列に基づく同定で明らかである(表14A)。他の種は全て分析された57クローン当たり1クローンであった。P.ギンギヴァリスの数(P.ギンギヴァリスのプライマー−プローブセット、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9を用いる)を総細菌量(普遍的プライマー−プローブセットを用いる)と比較して見積もるため、同じ歯垢試料から単離されたDNAを実時間PCR技法を用いて分析した。この疾患部位歯垢試料中の総細菌量 (4.8 ×1011) に対する P. ギンギヴァリスの細胞(1.4 ×1011) は、 P. ギンギヴァリスが総細菌量の29%を占めることを示した(表14B)。この例は、配列決定によるその後の分析のために微生物の 16S rDNA を捕捉する普遍的プライマーの価値を示すものである。これらのデータは配列に基づく同定との極めて近い合致を示し、これら二つの結果を確認するものである。従って、歯周歯垢試料中の P. ギンギヴァリスの量を見積もるために実時間PCR技法を使用することは、臨床治療モダリティーにおいて大きな助けとなる。
【0113】
実施例25
ヌクレアーゼ活性の阻害及びPCR阻害剤の除去は
実時間PCRにより細菌を定量する際の効率を改良する
微好気性グラム陽性生物であるストレプトコッカス・ミュータンス、ラクトバチルス・アシドフィルス及びアクチノミセス・イスラエリイ、グラム陽性嫌気性菌であるペプトストレプトコッカス・ミクロス、及びグラム陰性嫌気性菌であるフソバクテリウム・ヌクレアツム、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ギンギヴァリス及びプレヴォテッラ・メラニノゲニカを含む口腔の混合叢の代表からのDNAを抽出し安定化する方法を実時間PCRを用いる定量について評価した。
【0114】
DNAはグラム陰性菌及び嫌気性の P. ミクロスから容易に抽出されたが、微好気性グラム陽性菌は、リゾチーム、ムタノリシン及びプロテイナーゼKと組み合わせて 56 ℃で消化することを必要とした。P.ギンギヴァリスは試験した種の全てからの及びミバエの B. トリオニに由来した内部陽性対照からのDNAを広範に分解した強力な広範囲スペクトルDNアーゼ活性を放出したことが注目された。DNアーゼの阻害剤は効果に差異がありそしてグラム陽性生物からのDNAの放出に必要なヒドロラーゼを種々の程度で阻害する。この異種のグループの生物群のための一致した方法は、ヌクレアーゼ阻害剤であるジエチルピロカーボネート(DEPC)で前処理し、ヒドロラーゼで消化し、そしてグラム陰性生物及びグラム陽性生物からDNAを放出させるためにドデシル硫酸ナトリウム(SDS) を添加することであった。添加したDEPC及びSDS及び他の潜在的PCR阻害剤を除去するためのその後のDNA精製は、試料中のDNA従って細菌の数を正確に定量するためにも必要であった。試料調製の後のDNAの回収の効率は該試料中に内部陽性対照として作用する外来性DNA(B.トリオニ由来のもの) の既知の量を含めることにより評価された。この標準は、認識されていないヌクレアーゼ活性がDEPCに耐性でありうる他の微生物との組み合わせに対しても対照を提供する。
【0115】
下記の方法及び材料が用いられた。
【0116】
(i) 実時間PCRのための内部陽性対照の構築
内部陽性対照として作用するキメラプラスミドを構築した。実時間PCRにより検出された、このキメラプラスミド中のDNAの部分は、オーストラリア国、NSW 、シドニー大学、ミバエ研究センターで凍結(-80℃) 貯蔵物から得たクイーンズランドミバエ、バクトロセッラ・トリオニ (Bactrocerra tryoni) に起源をゆうするものであった。ゲノムDNAは 30 匹のミバエから抽出し(17)、そのdsX遺伝子(ゲンパンク受託番号 No. AF040077)のヌクレオチド37と 126の間の領域を、4 μgのB.トリオニDNA、DNAのこのセグメントを実時間PCRで検出するために設計された前向き及び逆向きプライマー(表1)の各 100nM、200 nMの各デオキシリボヌクレオチド3 リン酸塩、3.5 mMのMgCl2 及び1×PCR緩衝液中に溶解した 2.5 Uのアンプリタック・ゴールド(アプライド・バイオシステムズ) を用いるPCR(FTS-320 サーマル・シーケンサー・コルベット・リサーチ、NSW 、オーストラリア) により増幅した。このPCR反応は 50 μlの容量で、95℃で10分、その後 95 ℃で15秒及び60℃で 1分の40サイクルを行なった。全部で50μlの反応容積からのPCRアンプリコン(89bp) を Wizard(登録商標)PCR Preps DNA精製システム( プロメガ社, マジソン,WI) を用いて精製した。この精製したPCR生成物を製造者の説明書に従ってpGEM(登録商標)−Tイージーベクター(プロメガ社)中にクローニングした。コンピテントな大腸菌XLブルー1を電気穿孔法(2.45 V) によりバイオ−ラドジーンパルサーを用いて該キメラプラスミドで形質転換した。組換え体を、100 μg/ml のアンピシリン、 1 mM のイソプロピル−β−D −1−チオガラクトシド及び100 μg/ml の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X-Gal)を含むLB寒天平板上で選択した。dsX 遺伝子についての 89 bpのPCRアンプリコンを保持するキメラプラスミドを、 Wizard(登録商標) プラス SV Minipreps DNA精製システム (プロメガ社) を用いて単離し、IPC−BTと名付けた。
【0117】
(ii) プライマー−プローブセットの設計
ポルフィロモナス・ギンギヴァリスの種特異的定量のために、プライマー−プローブセットを、オーストラリアン・ナショナル・ゲノミック・インフォメーション・サービス(ANGIS, http://www.angis.org.au) を介してアクセスした 16S rDNA データベースから設計した。この P. ギンギヴァリス種特異的プライマー−プローブセット(配列番号:7及び配列番号:8)(表1)は、二重に標識された蛍光原性プローブ(配列番号:9)のための内部部位を持つ P. ギンギヴァリスの 16S rDNA 配列 (ゲンバンク受託番号 No. L16492)中のヌクレオチド589 から739 に及ぶ 150bpのアンプリコンを形成した。このプライマー−プローブセットはアプライド・バイオシステムズ(フォスターシティ,CA) による推奨指針を満たした。
【0118】
普遍的プライマー−プローブセットの設計は上に記載した。この普遍的プライマー−プローブセット(表1)は二重に標識された蛍光原性プローブに対する内部部位を持つ大腸菌 16S rRNA 遺伝子(ゲンバンク受託番号 No. ECAT1177T) 上の残基 331から残基 797に及ぶ 466bpアンプリコンを形成した。
【0119】
プライマー−プローブセットは外来的に付加された内部陽性対照であるIPC−BTを検出できるようにも設計された。このプライマー−プローブセット(表1)は、プライマー・エクスプレス・ソフトウェア(アプライド・バイオシステムズ)を用いて B. トリオニの dsX遺伝子の配列から設計された。該プライマー−プローブセットは dsX遺伝子上のヌクレオチド37からヌクレオチド126 に及ぶ 89bp 領域を増幅した。IPC−BTのためのプローブ配列は 5' 末端がレポーター蛍光色素FAMで標識された種特異的プローブ及び普遍的プローブからそれを識別するために、5'末端がレポーター蛍光色素VICで標識された(表1)。
【0120】
(iii) DNA単離手順
細菌を溶解することによりDNAを放出させる幾つかの方法を評価した。これらには、以下のものが含まれる。
【0121】
(a) 音波処理:
P.ギンギヴァリス又は S. ミュータンス (約109 細胞) を遠心分離 (14,000×g、2 分間、18-20 ℃) により収穫し、50mgのガラスビーズ(直径0.10-0.11mm)を含む200 μl の 10mM リン酸緩衝液 pH 6.7 中に再懸濁した後、ブランソン・ソニファイアー (モデル250,ブランソン・ウルトラソニックス社, ダンベリ, CT) を用い75 Wで 5、10又は15分間音波処理を行なった。各時間間隔で部分標本(50μl)を採取し、1000倍希釈して実時間PCRのために使用した。DNAの定量は、普遍的プライマー−プローブセット(表1)を利用し、先に記述したような大腸菌DNAの既知の量により形成された標準グラフに基づいて行なった。
【0122】
(b) 凍結−融解法:
P.ギンギヴァリス又は S. ミュータンス (約109 細胞) を遠心分離 (14,000×g、2 分間、18-20 ℃) により収穫し、200 μl の 10mM リン酸緩衝液 pH 6.7 中に再懸濁し、−20℃で凍結させた。融解させた後、該試料を100 倍希釈し、実時間PCRに5μl の部分標本を使用した。DNAの定量は、上(a)に記述したように、普遍的プライマー−プローブセットを利用した。
【0123】
(c) 凍結−煮沸法:
P.ギンギヴァリス又は S. ミュータンスの細胞 (約109 細胞) を収穫し、再懸濁しそして上記のように−20℃で(2-16 時間) 凍結させた後、10分間煮沸した。室温(18-20℃) まで冷却した後、試料を100 倍希釈し、(a)に記載したように5μl の部分標本を普遍的プライマー−プローブセットを用いる実時間PCRに使用した。
【0124】
(d) 酵素法:
単独又は S. ミュータンスか大腸菌のいずれか(各細菌種の約2.5 ×108 ) と混合した P. ギンギヴァリスを遠心分離 (14,000×g、2 分間、18-20 ℃) により収穫し、 1mg/ml のリゾチーム及び 1mg/ml のムタノリシンを含む10mMのリン酸緩衝液 pH 6.7 の 45 μl(P.ギンギヴァリス細胞単独の場合) 又は 90 μl (S. ミュータンスか大腸菌細胞と組み合わせたP.ギンギヴァリスの場合) のいずれか中に再懸濁した。60℃で30分間インキュベートした後、1% w/vSDSの存在下で該細菌を溶解した後、100 倍希釈し、5 μl の部分標本を実時間PCRに使用した。DNAの定量は(a)に記述したように普遍的プライマー−プローブセットを利用した。
【0125】
(e) ZnCl 2 法:
単独又は S. ミュータンスか大腸菌のいずれか(各細菌種の約2.5 ×108 ) と混合した P. ギンギヴァリスを収穫し、5mMのZnCl2 の存在下で上の(d)で述べたように再懸濁した。60℃で30分間インキュベートした後、該細胞を1% w/vSDSの存在下で溶解した後、100 倍希釈し、5 μl の部分標本を実時間PCRに使用した。DNAの定量は(a)に記述したように普遍的プライマー−プローブセットを利用した。
【0126】
(f) QIAmp DNA ミニキットから ATL 緩衝液を用いるDNAの単離
細菌培養物(各細菌種の約5×108 ) をビフュージ・ピコ( ヘラエウス) 中で13,000×rpm 5 分間でペレットとした。この細胞ペレットを 180μl のATL緩衝液(キアゲン)及び 400μg のプロテイナーゼK(キアゲン)中に再懸濁した。この細胞懸濁液を10分毎にときどき10秒間攪拌しながら56℃で40分間インキュベートした。RNアーゼ(200 μg)を添加した後、さらに10分間37℃でインキュベーションした。DNAは製造者の説明に従って QIAmp DNAミニ・キット(キアゲン)を用いて精製した。
【0127】
(g) 一工程DEPC法によるDNAの単離
細菌培養物(各細菌種の約5×108 ) をビフュージ・ピコ( ヘラエウス) 中で13,000×rpm 5 分間でペレットとした。この細胞ペレットを 10mM のリン酸ナトリウム pH 6.7 、20mMのDEPC、リゾチーム(最終濃度 5mg/ml)、ムタノリシン( 最終濃度: 1000U/0.48mg/ml)及び400 μg のプロテイナーゼK(キアゲン)を含む 200μl の緩衝液中に再懸濁した。この細胞懸濁液を10分毎に10秒間ときどき攪拌しながら56℃で40分間インキュベートした。SDS(最終濃度: 1% w/v) で細胞を溶解した。RNアーゼ(200 μg)を添加した後、さらに37℃で10分間インキュベートした。DNAは製造者の説明に従って QIAmp DNAミニ・キット(キアゲン)を用いて精製した。
【0128】
(h) 一工程DEPC法による混合細菌培養中のDNAの単離
細菌培養物(各細菌種の約2.5 ×108 ) をビフュージ・ピコ( ヘラエウス) 中で13,000×rpm 5 分間でペレットとした。細胞ペレットを 10mM のリン酸ナトリウム pH 6.7 、20mMのDEPC、リゾチーム(最終濃度 5mgタンパク質/ml)、ムタノリシン( 最終濃度: 1000U/0.48mgタンパク質/ml)及び400 μg のプロテイナーゼK(キアゲン)を含む 200μl の緩衝液中に再懸濁した。この細胞懸濁液を10分毎に10秒間ときどき攪拌しながら56℃で40分間インキュベートした。細胞をSDS(最終濃度: 1% w/v) で溶解した。RNアーゼ(200 μg)を添加した後、さらに37℃で10分間インキュベートした。DNAは製造者の説明に従って QIAmp DNAミニ・キット(キアゲン)を用いて精製した。
【0129】
(i) 二工程DEPC法によるDNAの単離
細菌培養物(各細菌種の約5×108 ) をビフュージ・ピコ( ヘラエウス) 中で13,000×rpm 5 分間でペレットとした。細胞ペレットを、27.8 mM のDEPCを含む 144μl の緩衝液 (10mMのリン酸ナトリウム pH 6.7)中に再懸濁した。細胞懸濁液を 10 分間氷上でインキュベートし、ブランソン・ソニファイアー( モデル250,ブランソン・ウルトラソニックス社, ダンベリ, CT) を用い75 Wで 6分間パルス方式又は連続方式で音波処理した後、酵素ミックス[ リゾチーム( 最終濃度: 5mg タンパク質/ml)、ムタノリシン( 最終濃度: 1000U/0.48mgタンパク質/ml ) 及び400 μg のプロテイナーゼK(キアゲン)] の56μl を添加した。この細胞懸濁液を10分毎に10秒間ときどき攪拌しながら56℃で40分間インキュベートした。細胞をSDS(最終濃度: 1% w/v) で溶解した。RNアーゼ(200 μg)を添加した後、さらに37℃で10分間インキュベートした。DNAは製造者の説明に従って QIAmp DNAミニ・キット(キアゲン)を用いて精製した。
【0130】
(j) ヌクレアーゼ活性の検出
QIAmp DNAミニ・キット(上の(f)を参照)を用いて精製した、外来性の、P.ギンギヴァリスDNA(300-400ng) を上の(a)〜(c)に記述した手順のそれぞれに従って細菌を溶解することにより調製された 300-400ngのDNAを含む試料に添加した後、50℃で30分間インキュベートした。フソバクテリウム・ヌクレアツム、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ギンギヴァリス、プレヴォテッラ・メラニノゲニカ及びペプトストレプトコッカス・ミクロス及び大腸菌 (ATL 緩衝液及び QIAmp DNAミニ・キットを用いて調製したもの) 及びストレプトコッカス・ミュータンス (一工程DEPC法を用いて調製したもの)からの外来性DNAを、 P. ギンギヴァリス凍結−融解抽出物((b)で記述した手順)と共に50℃で30分間インキュベートした。DNA分解の程度は 1% w/v アガロースゲル上で試料を電気泳動させた後可視的に決定された
【0131】
(k) PCR阻害剤としてのZnCl 2
ZnCl2 が実時間PCRの阻害剤として働くか否かを決定するため、上の(e)で述べた方法を用いて P. ギンギヴァリスの2連の試料の二組(約5×108 及び約5×107 細胞)からDNAを抽出した。DNAの2連試料の各組の一つは QIAmp DNAミニ・キット(キアゲン)を用いて精製した。全ての試料を続いて理論的に同量のDNAを含むように希釈した後、普遍的プライマー−プローブセットを用いて実時間PCRによる分析にかけた。
【0132】
(l) 内部陽性対照の存在下での P. ギンギヴァリスDNAの単離
P. ギンギヴァリス(約2.5 ×108 細胞) から、 1μl IPC−BTの存在下で上の(e)で記述した方法を用いてDNAを抽出した。適当な希釈の後、 P. ギンギヴァリスDNA及びIPC−BTのDNAの量を、それぞれ特異的 P. ギンギヴァリスプライマー−プローブセット及びIPC−BTプライマー−プローブセットを用いて測定した。
【0133】
(m) 実時間PCRのための条件
実時間PCRによるDNAの増幅及び検出は、96穴プレート方式を用い、ABI PRISM 7700シーケンス・ディテクション・システム( アプライド・バイオシステムズ, フォスターシティ, CA) を利用して行なった。該PCRは2連で、普遍的プライマーの各 300nM及び普遍的プローブの100nM 又は内部陽性対照(表1)のためのプライマー及びプローブそれぞれ 100 nM を含む 25 μl 反応容積中で、TaqMan(登録商標) PCR コア試薬キット (アプライド・バイオシステムズ) を用いて行った。DNAの増幅のための反応条件は 95 ℃で10分、及び95℃で15秒と60℃で1 分間の40サイクルであった。データはアプライド・バイオシステムズにより提供されたシークェンス・ディテクション・ソフトウェア・バージョン1.6.3 を用いて分析した。
【0134】
(n) 生菌計数
P. ギンギヴァリスは嫌気的条件下でCDCブロス中で37℃で 4日間増殖させ、S.ミュータンスはBHIブロス中、5% CO2下37℃で16-18 時間増殖させた。CDCブロスで10-6希釈まで希釈した P. ギンギヴァリスの培養物(100 μl)をCDC寒天上に接種し、37℃で 4日間嫌気的条件下でインキュベートし、コロニーを計数した。S.ミュータンスの培養物(100 μl)はBHIブロス中に10-6希釈まで希釈し、BHI寒天上に接種し、5% CO2下37℃で16-18 時間インキュベートし、そしてコロニーを計数した。
【0135】
下記の結果が得られた。
【0136】
(I) DNAの単離のための細菌細胞の調製
全ての細菌のDNAを入手するため、細菌細胞懸濁液を音波処理して、実時間PCRを用いる定量化のためのDNAを放出させた。DNAは細胞がガラスビーズを用いて音波処理された場合により効果的に放出された。音波処理の効果を凍結−融解法及び凍結−煮沸法を用いるDNA単離と比較した。凍結−融解法は P. ギンギヴァリス細胞及び S. ミュータンス細胞から最少のDNAを放出させたが、凍結−煮沸法は S. ミュータンス細胞からではなく P. ギンギヴァリス細胞から最大のDNAを放出させた。このことは試料を煮沸することがグラム陽性細菌からではなくグラム陰性細菌からのDNAの効果的な放出法であり得るということを示す。対照的に、5分から15分までの音波処理時間の増加は S. ミュータンス細胞の定量化には有意の変化を与えなかったが P. ギンギヴァリス細胞の定量化には有害な効果を示した。
【0137】
(II) P.ギンギヴァリスにおけるヌクレアーゼ類の存在
アガロースゲル電気泳動(1 % w/v) は P. ギンギヴァリス中におけるヌクレアーゼ類の存在を確認した。凍結−融解された P. ギンギヴァリス培養物の存在下で50℃で30分間インキュベートした場合、外来性の P. ギンギヴァリスDNAは完全に分解され、観察できなかった。しかしながら、同じ条件下で、凍結した P. ギンギヴァリス培養物を煮沸した後には、無傷のDNAが検出された。凍結−融解された P. ギンギヴァリス培養物の存在下における外来性 P. ギンギヴァリスDNAの分解は、該試料を50℃で30分間インキュベートする前に5mMのZnCl2 を添加することにより防止できた。フソバクテリウム・ヌクレアツム、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ギンギヴァリス、プレヴォテッラ・メラニノゲニカ、及びペプトストレプトコッカス・ミクロス及びストレプトコッカス・ミュータンスからの外来性DNAは凍結−融解された P. ギンギヴァリス培養物の存在下で完全に分解された(図5B)。
【0138】
(III) ABI-PRISM シーケンス・ディテクション・システム (ABI-SDS) を用いる
5mM ZnCl 2 によるヌクレアーゼ分解に対する保護
大腸菌細胞又は S. ミュータンス細胞の存在下で P. ギンギヴァリス細胞から単離されたDNAを、普遍的プライマー−プローブセットを用いるABI−SDS上で定量した。5mMのZnCl2 の存在下で試料が調製された場合、個々の細菌集団及び混合細菌集団について、定量されたDNA量の有意の増加が明らかであった。
【0139】
(IV) PCR阻害剤としてのZnCl 2 の効果
DNAが5mMのZnCl2 の存在下で単離され且つABI−SDS上で5μlを使用する前に100 倍希釈された場合、ZnCl2 はそのPCR反応を阻害しなかった。純粋培養の結果で見られるように、該PCR反応でのZnCl2 の最終濃度 0.005mMはその増幅反応をほとんど妨害せず、QIAmp DNA ミニキットの使用の前後で定量されたDNAの量には有意の変化はなかった。しかしながら、ABI−SDS上で5μlを使用する前に(10倍希釈培養物を使用する場合のように)DNAを10倍希釈すると、該PCR反応におけるZnCl2 の最終濃度が 0.05 mMとなり、 P. ギンギヴァリスDNAの増幅を阻害した。
【0140】
(V) 内部陽性対照(IPC−BT)
ユニークな非細菌DNAを含むキメラプラスミドを混合細菌試料に添加すると、試料調製後のDNA回収の効率の測定及び実時間PCRの間の反応混合物中に存在する潜在的なPCR阻害剤の検出の両方が可能となった。pGEM (登録商標)-T イージー中の B. トリオニ dsX遺伝子挿入物は、PCRにより確認され、2% w/vアガロースゲル電気泳動上で可視化された89bpアンプリコンを形成した。
【0141】
(VI) IPC−BTの存在下でのP.ギンギヴァリスDNAの単離
ソフトウェアの限界のため、FAM標識化プローブ( P. ギンギヴァリス用又は普遍的)により形成された標準グラフは、IPC−BT検出用のプローブの上のレポーター色素がVIC標識されているので、IPC−BTを定量するためには使用できなかった。これは結果をCT 値の言葉で表す必要を生じさせた。内部陽性対照の存在下での P. ギンギヴァリスDNAの単離及びその定量に及ぼすヌクレアーゼ類の効果(CT 値で表される)は表8に示す。DNAが凍結−融解法により又はZnCl2 の非存在下で単離された場合(より高いCT 値)における、 P. ギンギヴァリスDNA及びIPC−BTを該試料中に存在する細菌ヌクレアーゼ類の作用により同時に分解した。これに反して、凍結−煮沸法又はZnCl2 法によるDNAの単離は、ヌクレアーゼ類によるDNAの分解に対して保護を与えた(より低いCT 値)。同一試料を混ぜることは、 P. ギンギヴァリスDNA及びIPC−BTのレベルに対しCT 値では有意の変化を示さなかった(表8)。
【0142】
(VII) QIAamp・DNAミニキットからのATL緩衝液を用いるDNAの
単離
QIAmp DNA ミニキットからの ATL緩衝液により、グラム陰性細菌であるフソバクテリウム・ヌクレアツム、ポルフィロモナス・エンドドンタリス、ポルフィロモナス・ギンギヴァリス、プレヴォテッラ・メラニノゲニカ、及び嫌気性グラム陽性細菌であるペプトストレプトコッカス・ミクロスからDNAを回収することができた。しかしながら、ストレプトコッカス・ミュータンス、アクチノミセス・イスラエリイ、及びラクトバチルス・アシドフィルスからのDNA回収はほとんど無視できるほどであった(表9)。
【0143】
(VIII) 一工程DEPC法によるDNAの単離
見ることができるように(表10)、DEPCの非存在下で、ポルフィロモナス・ギンギヴァリスDNAは顕著に分解される。ストレプトコッカス・ミュータンスからのDNAの回収は細胞壁処理により10倍を超えて改良された。しかしながら、ペプトストレプトコッカス・ミクロスから回収されたDNAの量はDEPCの存在下で約5倍まで低下した。このグループの残りの細菌からのDNA回収は比較的影響を受けなかった。
【0144】
(IX) 一工程DEPC法によるDNAの単離に基づくP.ギンギヴァリス細胞
とS.ミュータンス細胞の生菌数の比較
ATL法及び一工程DEPC法によるDNA回収の効率及びこれらの数値に基づいて計算された P. ギンギヴァリス細胞の数は同等であった。しかしながら、該生菌数は実時間PCRに基づいて見積もられた相対細胞数よりも10倍小さかった。 S. ミュータンスについては、ml当たりの生細胞の数は、実時間PCRに基づいて見積もられたml当たりの細胞数と同等であった(表11)。
【0145】
(X) 一工程DEPC法による混合細菌培養物中のDNAの単離
DEPCの非存在下では、混合培養物はDNA単離の間にDEPCが存在する場合と比べDNA回収がより低いと報告された(表12)。
【0146】
(XI) 二工程DEPC法によるDNAの単離
細胞壁処理酵素の前にDEPCの存在下で細菌懸濁液をインキュベートすると、ペプトストレプトコッカス・ミクロスからのDNAの回収が改良された(表10中のデータを表13中のデータと比較する)。(連続音波処理ではなく)6分パルスの音波処理はA.イスラエリイのDNAの回収を3倍改良し、他の全ての細菌から回収されたDNAの量は同等であった(表10中のデータを表13中のデータと比較する)。
【0147】
実施例26
歯垢叢から得た細菌の配列決定に基づく同定
本方法は歯垢由来の細菌を培養する工程及びこれらの細菌が標準的培養法により容易に同定できないことを決定する工程を含む。DNAは二工程DEPC法により単離され、そして普遍的プライマーを用いるPCRに付される。この増幅生成物を精製し、配列決定し、そしてBLAST/GAP分析にかける。
【0148】
特に、DNAは細菌培養物から二工程DEPC法を用いて単離された。PCR反応は普遍的プライマーセットを用いて行なわれた。増幅された生成物 466bpを精製し、普遍的前向きプライマーを用いて配列決定された。DNA配列(4-2 に対しては 431 bp 、2-2-1 及び 1-2-1に対しては 400 bp 、6-5 及び10-34 に対しては 386 bp 、4-2-1 に対しては 382 bp)は、WebANGISを介するNR核酸データベースを用いて調査されたBLASTであった。高得点の細菌配列はGAPプログラムにかけて類似性%及び同一性%を確認した。培養物の同定は、指示された各培養のアンプリコン長を用いて 98.5 〜99%以上の同一配列 (同定数で特定されたとき) に基づいてなされた。その結果は表15に示してある。さらに、ストレプトコッカス及びアクチノミセスのDNAの単離は図9A及び図9Bに示してある。
【0149】
当業者は本明細書に記載された発明が具体的に記載されたもの以外に改変及び修飾を受け易いことを認めるはずである。本発明はこのような改変及び修飾の全てを含むものと理解すべきである。本発明はまた本明細書で言及し又は指摘した工程、特徴、組成物及び化合物の全てを、個々に又は集合的に包含し、そして該工程又は特徴の任意の二つ以上の任意のそして全ての組み合わせを包含する。
【0150】
【表1】
Figure 0005139620
【0151】
【表2】
Figure 0005139620
【0152】
a 微生物の順序はバージーズ・マニュアル・オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー(12)に基づいている。
b 理論値からの推定:0.496 ピコグラムの大腸菌DNA=100 大腸菌細胞
c 細菌数/pgDNAは殆ど全ての細菌について一定である。何故なら、全ての値は大腸菌DNAを用いる標準グラフから内挿されるからである。しかしながら、ゲノムの大きさにより、細菌数/pgDNAは異なるであろう。従って、各DNA試料は標準グラフのCT 範囲内に入るまで希釈され、平均定量値は2連実験から機械的に評価された。
【0153】
【表3】
Figure 0005139620
【0154】
【表3−1】
Figure 0005139620
【0155】
a 微生物の順序はバージーズ・マニュアル・オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー(12)に基づいている。
b 理論値からの推定:0.496 ピコグラムの大腸菌DNA=100 大腸菌細胞。各DNA試料は標準グラフのCT 範囲内に入るように希釈された。
c 細菌数/pgDNAは殆ど全ての細菌について一定である。何故なら、全ての値は大腸菌DNAを用いる標準グラフから内挿されるからである。しかしながら、ゲノムの大きさにより、細菌数/pgDNAは異なるであろう。従って、各DNA試料は標準グラフのCT 範囲内に入るまで希釈され、平均定量値は2連実験から機械的に評価された。
【0156】
【表4】
Figure 0005139620
【0157】
* 種特異的標準DNAグラフ(CT 対〔DNA〕)は 238 fg 〜2.38 ng の範囲内の大腸菌DNAから、25 fg 〜2.5 ngの範囲内の P. アエルギノーザDNAから、27.5 fg 〜2.75 ng の範囲内の S. アウレウスDNAから、1.12 pg 〜112 ngの範囲内の P. メラニノゲニカDNAから、及び 240 fg 〜24 ng の範囲内の P. エンドドンタリスDNAからそれぞれ作成された。2 連の測定の平均値が示してある。2連間の変動は下線を引いた場合を除き 2.7%以下であった。例外の場合は、大腸菌DNA標準及び P. メラニノゲニカDNA標準に対する値は4.8 %まで変動し、 P. アエルギノーザDNA標準に対する値は15.9%まで変動した。
† DNAの濃度は分光学的に測定し、100 %に規格化した後、実時間PCRによる測定のため 100〜1000倍の範囲で希釈した。
‡ コンピュータソフトウェアにより決定された数値の1/2(説明については本文を参照)。
【0158】
【表5】
Figure 0005139620
【0159】
* データは2連の測定値の平均値である。2連の間の変動は 5.2%以下であった。
† 238 fg〜2.38 ng の範囲内の大腸菌DNAにより作成された標準グラフに基づく。DNAの2回希釈のそれぞれについての2連の測定値の平均が示してある。2連の間の変動は、下線の1希釈を除き 3.0%を超えなかった。例外は変動が8.8 %であった。
‡ この混合培養は大腸菌培養、 P. アエルギノーザ培養及び S. アウレウス培養の等容量から構成された。
** 上記の3培養それぞれで測定された生細胞数から推定された。
【0160】
【表6】
Figure 0005139620
【0161】
* DNA抽出法は嫌気性グラム陰性細菌及び嫌気性グラム陽性細菌を溶解するが、条件付きグラム陽性細菌は溶解しない。
† 82.9 fg 〜8.29 ng の範囲内の P. メラニノゲニカDNAにより作成された標準グラフに基づいたもの。ここで、2.36 fg の P. メラニノゲニカDNAは1 個の細胞を表す。データは3連の測定値の平均値である。該平均値の標準偏差は下線部を除き1.0 %未満で変動した。下線部の変動は 1.7〜4.4 %の範囲内であった。
‡ データは2連の測定値の平均値である。2連の間の変動は 10.0 %未満であった。
** この比は、条件付きグラム陽性細菌を含む総コロニー計数に対して実時間PCRにより検出された嫌気性細菌におけるn倍の増加を表す。
【0162】
【表7】
Figure 0005139620
【0163】
【表8】
Figure 0005139620
【0164】
a 内部陽性対照(IPC-BT) のインプット値はCT :16においてであった。
b 閾値サイクル:より高いCT 値はDNAの低い量を示し、より低いCT 値は高いDNA量を示す。
c レポーター色素FAMのみが読まれる。
d レポーター色素VICのみが読まれる。
e 同一PCR反応−ウェルが P. ギンギヴァリス並びにIPC−BTに対するプライマー及びプローブセットを含んでいた。
【0165】
【表9】
Figure 0005139620
【0166】
【表10】
Figure 0005139620
【0167】
【表11】
Figure 0005139620
【0168】
a P.ギンギヴァリスの培養は嫌気的条件下でCDC寒天平板上で生育させ、S.ミュータンスの培養は 5% CO 2 の下でBHI寒天平板の上で生育させた。
b 100 個の P. ギンギヴァリス細胞=0.250 pgのDNAそして100 個の S. ミュータンス細胞=0.237 pgのDNAと考えて、P.ギンギヴァリスDNAを標準グラフ(3600 pg から0.36 pg までの範囲) として用いる。
【0169】
【表12】
Figure 0005139620
【0170】
【表13】
Figure 0005139620
【0171】
【表14A】
Figure 0005139620
【0172】
P.ギンギヴァリスのDNA(3600 pg〜0.36 pg)を歯垢試料中のDNAの相対評価のための標準グラフとして使用した。
100 個の P. ギンギヴァリス細胞=0.250 pgのDNA。
【0173】
【表14B】
Figure 0005139620
【0174】
【表15】
Figure 0005139620
【0175】
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【配列表】
Figure 0005139620
Figure 0005139620
Figure 0005139620
Figure 0005139620

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、バージーズ・マニュアル・オブ・デターミナティブ・バクテリオロジー(12)により定義された原核生物の群のほとんどを代表する細菌の 16S rDNA から得た普遍的プライマー−プローブセットで使用される配列の保存を示す図である。(A)19bpの前向きプライマーの保存を示す rDNA の整列(太字で輪郭)。(B)23bpプローブ配列の保存を示す rDNA の整列(太字で輪郭) 。(C)26bp逆向きプライマーの保存を示す rDNA の整列(太字で輪郭)。
【図2】 図2は、大腸菌のDNAを用いる標準曲線を示すグラフ表示である。
【図3】 図3は、実時間PCRを用いる大腸菌DNAの検出における普遍的プローブ及びプライマーの感受性を示すグラフ表示である。精製した大腸菌DNAを、16.9〜36.3の範囲のCT (閾値サイクル)値を表す、 2380 pg、238 pg、23.8 pg 、2.38 pg 、238 fg、23.8 fg の量で鋳型として用いた。ここで、蛍光シグナル(ΔRn )の量と太字の閾値水平線との切片は所与の試料に対するCT 値を表す。CT 37.7における蛍光シグナルは鋳型なしの対照に相当し、市販の試薬における細菌DNAの汚染を表す。
【図4】 図4は、DNAの単離に及ぼす細菌細胞の音波処理の効果を示すグラフ表示である。
【図5A】 図5Aは、P.ギンギヴァリスにおけるヌクレアーゼの存在を示す写真である。(1)凍結/融解した試料、(2)凍結/融解−煮沸試料、(3)ムタノリシン(mutanolysin)で処理した凍結/融解試料、(4)ムタノリシンで処理した凍結/融解−煮沸試料、(5)3分間音波処理した試料、(6)6分間音波処理した試料、(7)3分間音波処理し且つムタノリシンで処理した試料、及び(8)6分間音波処理し且つムタノリシンで処理した試料。
【図5B】 図5Bは、P.ギンギヴァリスの凍結/融解試料によるDNAの分解を示す写真である。(1)フソバクテリウム・ヌクレアトゥム(Fusobacterium nucleatum)のDNA、(2)ラクトバチルス・アシドフィルスのDNA、(3)ポルフィロモナス・ギンギヴァリス(Porphyromonas gingivalis) のDNA、(4)プレヴォテッラ・メラニノゲニカ(Prevotella melaninogenica)のDNA、(5)ストレプトコッカス・ミュータンスのDNA、(6)ペプトストレプトコッカス・ミクロス(Peptostreptococcus micros)のDNA、(7)ポルフィロモナス・エンドドンタリス(Porphyromonas endodontalis) のDNA、及び(8)大腸菌のDNA。
【図6A】 図6Aは、ヌクレアーゼの重要な役割及びP.ギンギヴァリス及びP.ギンギヴァリス+S.ミュータンスの定量に及ぼすZnCl2 の効果を示すグラフ表示である。
【図6B】 図6Bは、ヌクレアーゼの重要な役割及びP.ギンギヴァリス及びP.ギンギヴァリス+大腸菌の定量に及ぼすZnCl2 の効果を示すグラフ表示である。
【図7】 図7は、無希釈試料を用いるDNAの定量に及ぼすZnCl2 及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の除去の効果を示すグラフ表示である。
【図8】 図8は、pGEM(登録商標)−T Easyベクター系におけるB.トリオニ(B. tryoni)dsX遺伝子挿入物を用いる内部陽性対照を示すグラフ表示である。
【図9A】 図9Aは、ATL緩衝液及び二工程DEPC法を用いるDNAの単離を示す写真である。ストレプトコッカスとして同定された細菌。(1)ATL緩衝液を用いてS.ミティス(S. mitis) 、(2)ATL緩衝液を用いてS.インターメディウス(S. intermedius) 、(3)ATL緩衝液を用いてS.インターメディウス、(4)ATL緩衝液を用いてS.コステラトゥス(S. costellatus) 、(5)二工程DEPC法を用いてS.ミティス、(6)二工程DEPC法を用いてS.インターメディウス、(7)二工程DEPC法を用いてS.インターメディウス、及び(8)二工程DEPC法を用いてS.コステラトゥス。
【図9B】 図9Bは、ATL緩衝液及び二工程DEPC法を用いるDNAの単離を示す写真である。アクチノマイセスとして同定された細菌。(1)ATL法によりA.ヴィスコズス(A. viscosus)、(2)二工程DEPC法によりA.ヴィスコズス、(3)ATL法によりA.ゲオルギアエ(A. georgiae)、及び(4)二工程DEPC法によりA.ゲオルギアエ。

Claims (35)

  1. 試料中の総微生物含量を測定する方法であって、該方法が前向きプライマーとして配列番号:1で規定されるオリゴヌクレオチドを用い、逆向きプライマーとして配列番号:2で規定されるオリゴヌクレオチドを用いて16S rDNA及び16S rRNAから選択される標的配列を増幅する工程を含むものであり、該増幅が該試料中の微生物のレベルに比例する増幅生成物のレベルを形成するのに十分な時間及び条件の下でなされるものである方法。
  2. 該増幅生成物が、配列番号:3に記載されたヌクレオチド配列又は高度の厳格条件下で配列番号:3若しくはその相補物にハイブリダイズできるヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドをプローブとして用いて検出されるものである、請求項1記載の方法。
  3. 該標的配列が16S rDNAである、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 該標的配列が16S rRNAである、請求項1又は請求項2記載の方法。
  5. 該試料が生物学的、医学的、農学的、産業的、又は環境的試料である、請求項1又は請求項2記載の方法。
  6. 該医学的試料が、培養液、生検体液若しくは生検組織、口腔若しくは他の試料から集めた標本若しくは試料である、請求項5記載の方法。
  7. 該生物学的試料が動物又は昆虫又は植物由来のものである、請求項5記載の方法。
  8. 該医学的試料が口腔由来のものである、請求項6記載の方法。
  9. 該試料が環境的試料である、請求項5記載の方法。
  10. 該環境的試料が、土壌、河川、温泉、植物、南極大陸、空気、又は地球外の試料、並びに廃棄場所及び油流出領域などの産業場所又は芳香族分子若しくは錯体分子の汚染及び農薬の汚染に由来する試料である、請求項9記載の方法。
  11. 該試料が食物、食物成分、食物由来物及び/又はミルクなどの酪農業中で形成される食物生産物を含む食物構成要素を含むものである、請求項5記載の方法。
  12. 該試料が液体、固体、スラリー、空気、蒸気、液滴、エアロゾル、又はこれらの組み合わせである、請求項5記載の方法。
  13. 該増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものである、請求項1記載の方法。
  14. 該増幅が実時間PCRによるものである、請求項1又は請求項2記載の方法。
  15. 試料中の微生物をその属により同定する方法であって、該方法が、該試料中のDNAを、16S rDNA又は16S rRNA又はその同族体若しくは誘導体若しくは機能的等価物を含み又はこれらと関連するDNAを増幅するために選択されたプライマー対と、該プライマー対のに納まっているヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブとを含むプライマー-プローブセットを用いる実時間PCRに付する工程を含んでおり、該プローブが同定されるべき該微生物か又は属特異的プローブによりその後に同定される微生物のいずれかに特異的であり、該プライマーが配列番号:1で規定される前向きプライマー及び配列番号:2により規定される逆向きプライマーを含むものである方法。
  16. 該増幅されたDNAが16S rDNAである、請求項15記載の方法。
  17. 該増幅されたDNAが16SrRNAである、請求項15記載の方法。
  18. 該属特異的プローブが種特異的プローブでもある、請求項15記載の方法。
  19. 該16S rDNAが増幅されるものである、請求項15記載の方法。
  20. 該16S rRNAが増幅されるものである、請求項15記載の方法。
  21. 該試料が生物学的、医学的、農学的、産業的又は環境的試料である、請求項15記載の方法。
  22. 該医学的試料が培養液、生検体液若しくは生検組織、口腔若しくは他の試料から集めた標本若しくは試料である、請求項21記載の方法。
  23. 該生物学的試料が動物、昆虫又は植物由来のものである、請求項21記載の方法。
  24. 該医学的試料が口腔由来のものである、請求項21記載の方法。
  25. 該試料が環境的試料である、請求項21記載の方法。
  26. 該環境的試料が、土壌、河川、温泉、植物、南極大陸、空気、又は地球外の試料、並びに廃棄場所及び油流出領域などの産業場所又は芳香族分子若しくは錯体分子の汚染及び農薬の汚染に由来する試料である、請求項25記載の方法。
  27. 該試料が、食物、食物成分、食物由来物及び/又はミルクなどの酪農業中で形成される食物生産物を含む食物構成要素を含むものである、請求項21記載の方法。
  28. 該試料が液体、固体、スラリー、空気、蒸気、液滴、エアロゾル、又はこれらの組み合わせである、請求項21記載の方法。
  29. 該増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものである、請求項21記載の方法。
  30. 該増幅が実時間PCRによるものである、請求項21記載の方法。
  31. 試料中の総微生物含量の測定における、配列番号:1で規定される核酸分子および配列番号:2で規定される核酸分子の使用。
  32. 試料中の総微生物含量の測定における、配列番号:1で規定される核酸分子、配列番号:2で規定される核酸分子、および配列番号:3で規定される核酸分子の使用。
  33. 区画型のキットであって、配列番号:1および配列番号:2で規定されるプライマー対を含むように適応された一区画、ならびにその5'末端で蛍光原性レポーター分子により標識され且つその3'末端で該蛍光原性分子を消光できる分子により標識された配列番号:3で規定されるプローブを含む別の一区画を含むキット。
  34. 試料中の特定の微生物又は優勢な微生物の特定の属若しくは種を同定する方法であって、16S rDNA若しくは16S rRNA内のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するプライマーで該試料中のDNA若しくはRNAを捕捉する工程、及び次いで該捕捉されたDNA若しくはRNAを、ヌクレオチド配列決定及び/又は属若しくは種特異的プローブによる検査に付する工程、及び次いで特定の配列又はプローブ検査の様式により該微生物を決定する工程を含む方法であって、該プライマーが配列番号:1で規定される前向きプライマー及び配列番号:2により規定される逆向きプライマーを含むものである方法。
  35. 試料中の微生物を測定する方法であって、
    微生物の濃縮試料を圧力媒介破壊に付する工程、又はDEPCの存在下で氷上でインキュベートしたのち酵素分解に付する工程、及び次に該微生物をSDSの存在下で溶解する工程及び次に核酸物質を精製する工程、
    該核酸物質を16S rDNA若しくは16S rRNA内の保存されたヌクレオチド配列にハイブリダイズできる前向き及び逆向きプライマーの存在下で増幅する工程であって、前向きプライマーが配列番号:1で規定され、逆向きプライマーが配列番号:2で規定される工程、
    レポーター分子で標識されたプローブの存在下で増幅された生成物の存在を検出する工程及び総微生物含量を測定する工程、及び
    該増幅生成物を単離する工程、及び該単離された生成物の配列決定をするか又は該増幅された生成物を遺伝子検査に付して存在する微生物の属又は種を同定する工程、
    を含む方法。
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