JP2005229838A - 偏性嫌気性グラム陰性菌の検出・識別方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の方法では検出できなかった、ビールを混濁させ得る偏性嫌気性グラム陰性菌を検出する方法、当該菌を含めた様々なビール混濁菌を同時に検出・識別する方法を提供する。
【解決手段】 マレフィラス・シェルビシェ由来の特定な塩基配列からなるポリヌクレオチドを明らかにし、オリゴヌクレオチドからなるマレフィラス・シェルビシェ検出用プライマーセットを用いて増幅・検出を行うことで、マレフィラス・シェルビシェの検出を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏性嫌気性グラム陰性菌の検出・識別方法に関する。
近年のビールの生ビール化への流れは、ビール鮮度という新たな価値観をもたらした。こうした背景から、ビール製造会社にとっては、ビールの製造から出荷までの時間を劇的に短縮するために、ビールを混濁させる菌(ビール混濁菌)の汚染を迅速かつ正確に判定する必要が高まっている。
偏性嫌気性菌であるペクチネータス属菌(Pectinatus)及びメガスフェラ属菌(Megasphera)は、製品ビールの嫌気度が高まるにしたがって汚染事故の原因菌としての危険度が増すため、これらの菌群を迅速かつ正確に検出することが望まれている。これらの菌群の検出方法として、従来より、抗原抗体反応を利用した検出法(例えば、非特許文献1参照)、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)による検出法(例えば、特許文献1参照)、FISH法(蛍光in situハイブリッド形成法)による検出法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
特再平09−820071号公報 特開2001−145492号公報 J. Am. Soc. Brew. Chem.: 51(4), 158-163,1993
しかしながら、本発明者らは、ビールを混濁させる新規な偏性嫌気性グラム陰性菌を発見し、上記従来技術の方法では当該菌を検出できない可能性があることを見出した。
したがって、本発明の目的は、従来の方法では検出できなかった、ビールを混濁させ得る偏性嫌気性グラム陰性菌を検出する方法を提供することにある。本発明の目的は、さらに、当該菌を含めた様々なビール混濁菌を同時に検出・識別する方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、配列番号1に示す塩基配列の全部又は一部からなるポリヌクレオチドを提供する。
また、本発明は、配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなる、マレフィラス・シェルビシエ(Malephilus cerevisiae)検出用プライマーセット、並びに、当該プライマーセットを用いて核酸断片を増幅する工程、及び、得られた核酸断片を検出する工程を含むことを特徴とする遺伝子増幅法によるマレフィラス・シェルビシエ(Malephilus cerevisiae)の検出方法を提供する。
さらに、本発明は、配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなるビール混濁菌の検出・識別用プライマーセット、配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号7に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなるビール混濁菌の検出・識別用プローブセット、当該プライマーセット及び当該プローブセットを含むことを特徴とするビール混濁菌の検出・識別用キット、並びに、当該プライマーセットを用いて核酸断片を増幅する工程、及び、得られた核酸断片と請求項4記載のプローブセットとのハイブリッドの融解温度を測定する工程を含むことを特徴とするビール混濁菌の検出・識別方法を提供する。
本発明者らは、既知の方法では検出できないビールを混濁させ得る偏性嫌気性グラム陰性菌であるマレフィラス・シェルビシエ(Malephilus cerevisiae)を分離することに成功し、Malephilus cerevisiae SBC8034株(未承認名)の16S リボソーマルRNA遺伝子(16S rRNA遺伝子)の塩基配列が配列番号1に示す塩基配列であることを明らかにした。本菌株は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されており、その寄託番号はFERM BP−08528である。
Malephilus cerevisiae検出用プライマーセットを用いることにより、Malephilus cerevisiaeの16S rRNA遺伝子を特異的に増幅することができるため、Malephilus cerevisiaeを検出することが可能となる。
また、ビール混濁菌の検出・識別用プライマーセットを用いることにより、様々なビール混濁菌の16S rRNA遺伝子を増幅することができる。そして、得られた核酸断片とビール混濁菌の検出・識別用プローブセットとのハイブリッドを形成させ、当該ハイブリッドの融解温度を測定することにより、核酸断片の由来している混濁菌の種類の違いによって融解温度が異なるため、融解温度の違いによりビール混濁菌の検出及び識別することが可能となる。
従来の方法では検出できなかった、ビールを混濁させ得る偏性嫌気性グラム陰性菌を検出する方法、当該菌を含めた様々なビール混濁菌を同時に検出・識別する方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<ポリヌクレオチド>
まず、本発明のポリヌクレオチドについて説明する。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1に示す塩基配列の全部又は一部からなることを特徴とするが、配列番号1に示す塩基配列の相補配列の全部又は一部からなるポリヌクレオチドをも含む。ここで、配列番号1は、ビールを混濁させ得る偏性嫌気性グラム陰性菌であるMalephilus cerevisiaeの16S rRNA遺伝子の塩基配列を表わす。本発明のポリヌクレオチドは、以下に述べるように、Malephilus cerevisiaeを検出する上で有用であり、Malephilus cerevisiae検出用プライマー、プライマーにより増幅された核酸断片、検出用プローブ等として使用可能である。また、本発明のポリヌクレオチドは蛍光物質等により化学修飾されていてもよい。
本発明のポリヌクレオチドがMalephilus cerevisiae検出用プライマー又は検出用プローブとして使用される場合には、ヌクレオチドの長さが15〜25であるオリゴヌクレオチドであることが望ましい。プライマーの設計は、当業者であれば容易に行うことができ、必要があれば、プライマー設計支援ソフトウェアを利用して設計することも可能である。
なお、本発明において「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」とは、DNA、RNA及びPNA(ペプチド核酸)を含む意味で用いられる。また、本発明のポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドは、例えば、ホスホロアミダイト法等の公知の方法により合成することが可能である。
<Malephilus cerevisiaeの検出>
次に、本発明のMalephilus cerevisiae検出用プライマーセット及びそれを用いたMalephilus cerevisiaeの検出方法について説明する。本発明のMalephilus cerevisiae検出用プライマーセットは、配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなることを特徴とし、両オリゴヌクレオチドはMalephilus cerevisiaeの16S rRNA遺伝子に特異的な塩基配列を有していることから、Malephilus cerevisiaeの16S rRNA遺伝子を特異的に増幅することができるため、Malephilus cerevisiaeを特異的に検出することが可能である。
本発明の検出方法によりMalephilus cerevisiaeの検出を行うには、まず、試料(例えば、ビールや発泡酒などの麦芽飲料)から核酸を抽出する。核酸の抽出は、当技術分野で公知の方法を使用することによりでき、具体的には例えば、フェノール抽出及びエタノール沈殿を行う方法、ガラスビーズを用いる方法などによりDNAを抽出することができ、AGPC法やグアニジン・塩化セシウム超遠心法などによりRNAを抽出することができる。
次に、得られた核酸を鋳型とし、前記プライマーセットを用いて核酸断片を増幅する。増幅方法として、当技術分野で公知の増幅方法を用いることができるが、特に、PCR法又はRT−PCR法が好ましい。PCR法では、抽出されたDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼにより、16S rRNA遺伝子のうちプライマーセットに挟まれた部分の塩基配列からなる核酸断片が増幅される。PCR法では、変性、アニーリング、相補鎖合成からなるサイクルを繰り返すことにより核酸断片(二本鎖DNA)が、各工程の温度や時間、サイクル数等のPCRの最適条件は、当業者であれば用意に決定することができる。RT−PCR法では、抽出されたRNAを鋳型として、逆転写酵素によりcDNAを合成し、得られたcDNAを鋳型としてPCR法を行うものである。
次に、増幅された核酸断片を検出する。すなわち、増幅された核酸断片がMalephilus cerevisiaeに特異的なものか否かを判定する。検出は、当技術分野で公知の方法により行うことができ、例えば、Malephilus cerevisiaeに特異的にハイブリダイズするプローブを用いたハイブリダイゼーションにより行うことが可能である。また、増幅された核酸断片の融解温度を測定することにより、核酸断片を検出することも可能である。
融解温度の測定は、当技術分野で公知の方法により行うことができるが、例えば、増幅された核酸断片を含む溶液にSYBR Green Iなどの核酸染色試薬を添加し、溶液の温度を上昇させながら蛍光強度を連続的に測定し、得られた融解温度曲線を分析することにより融解温度を測定することが可能である。核酸染色試薬は核酸断片を増幅する反応溶液に混ぜておくことができるため、核酸断片の増幅反応が終了後ただちに核酸断片を検出することができる。したがって、1つのチューブやキャピラリー内で、核酸断片を増幅する工程と得られた核酸断片を検出する工程とを連続して行えるため、核酸染色試薬を用いて増幅された核酸断片の融解温度を測定する方法が特に好ましい。また、本方法は、検出感度が高いという利点もある。
本発明のMalephilus cerevisiae検出用プライマーセットにより増幅されるMalephilus cerevisiae由来の核酸断片の融解温度は約88℃であり、試料の融解温度と比較することにより、試料中にMalephilus cerevisiaeが含まれているか否かの判定を行うことができ、Malephilus cerevisiaeの検出が可能である。
<ビール混濁菌の検出・識別>
最後に、本発明のビール混濁菌の検出・識別用プライマーセット、プローブセット及びキット並びにそれらを用いたビール混濁菌の検出・識別方法について説明する。
本発明のビール混濁菌の検出・識別用プライマーセットは、それぞれ配列番号8、3及び6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、16S rRNA遺伝子のユニバーサルプライマーである。本発明のプライマーセットを用いることにより、様々なビール混濁菌の核酸断片を増幅することが可能である。
本発明のビール混濁菌の検出・識別用プローブセットは、それぞれ配列番号4、7、5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする。本プローブセットは、以下に述べるように、様々なビール混濁菌の核酸断片を検出するのに用いることができ、ビール混濁菌を検出・識別することが可能である。
本発明のビール混濁菌の検出・識別用キットは、前記プライマーセットと前記プローブセットを含むことを特徴とする。本キットは、さらに、反応バッファー、dNTP混合物、酵素などを含んでいてもよく、DNA抽出試薬などを含んでいてもよい。
本発明の検出・識別方法によりビール混濁菌を検出・識別するには、まず、試料(例えば、ビールや発泡酒などの麦芽飲料)から核酸を抽出する。核酸の抽出は、前述と同様の方法により行うことができる。
次に、得られた核酸を鋳型とし、前記プライマーセットを用いて核酸断片を増幅する。増幅は、前述と同様の方法により行うことができ、PCR法又はRT−PCR法が好ましい。
次に、得られた核酸断片と前記プローブセットとのハイブリッドを形成させ、ハイブリッドの融解温度を測定する。融解温度の測定原理の概要は次のとおりである。配列番号4及び7に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、それぞれ5’末端が蛍光物質であるLC Red640及びLC Red705で標識されている(以下、それぞれ「Red640プローブ」及び「Red705プローブ」という。)。一方、配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、3’末端がFITCで標識されている(以下、「FITCプローブ」という。)。そして、各プローブは、FITCプローブの3’末端とRed640プローブ及びRed705プローブの5’末端とが近接してビール混濁菌の核酸断片とハイブリダイズするように設計されている。核酸断片にFITCプローブとRed640プローブ(又はRed705プローブ)とがともにハイブリダイズしている状態で、ハイブリッドにFITCの励起波長の光を照射すると、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)が生じ、Red640(又はRed705)の蛍光波長の光が観察される。この状態から温度を上昇させていくと、FITCプローブ及び/又はRed640プローブ(又はRed705プローブ)が融解して核酸断片から剥がれていき、それに従ってFRETが生じなくなりRed640(又はRed705)の蛍光強度が減少していく。そして、各温度における蛍光強度を測定し、横軸に温度をとり、縦軸に蛍光強度(変化率も含む)をとれば、融解曲線が得られる。このようにして得られた融解曲線を解析することにより、ハイブリッドの融解温度を求めることができる。
FITCプローブ及び/又はRed640プローブ(又はRed705プローブ)は、核酸断片とのミスマッチの程度がビール混濁菌の種類によって差が生じるように設定してある。したがって、ビール混濁菌の種類によって、ハイブリッドの示す融解曲線及び融解温度が異なるため、その違いに基づいてビール混濁菌の種類を判別することが可能である。具体的には、Malephilus cerevisiaeは約65℃、Megasphaera cerevisiaeは約48℃及び約56℃、Pectinatus frisingensisはで約63℃、Pectinatus cerevisiiphilusは約54℃の融解温度を示す。試料の融解温度とこれらの融解温度を比較することにより、試料中に含まれているビール混濁菌の検出・識別を行うことができる。
なお、本発明のプローブセットは、核酸断片を増幅する反応溶液に混ぜておくことができるため、核酸断片の増幅反応が終了後ただちに融解温度を測定することができる。したがって、本発明のビール混濁菌の検出・識別方法は、1つのチューブやキャピラリー内で核酸断片を増幅する工程と融解温度を測定する工程を連続して行えるという利点がある。
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1) M. cerevisiaeの植菌によるビールの混濁
M. cerevisiae SBC8034株を、0.2%のリンゴ酸を添加したGAM寒天培地(日水製薬社)で増殖させた。M. cerevisiae SBC8034株の1白金耳量を瓶入りの全麦芽ビール(pH4.5、苦味価30、アルコール5%、容量350mL)に植菌し、ビール瓶に打栓をし、30℃にて約1ヶ月間培養を行ったところ、ビールが混濁した。
表1は培養1ヶ月後の混濁ビール中の有機酸の濃度(ppm)を示したものである。M. cerevisiae SBC8034株を植菌した混濁ビールは、正常ビールに比べ、リンゴ酸やコハク酸の濃度が約2倍になっていた。
Figure 2005229838
(実施例2) 16S rRNA遺伝子のシークエンス
(ゲノムDNAの調製)
M. cerevisiae SBC8034株を、0.2%のリンゴ酸を添加したGAM寒天培地に植菌し、30℃にて、7〜14日間、嫌気培養を行った。なお、嫌気培養は、タバイエスペック社製の嫌気培養装置を用い、N:H:CO=90:5:5という条件で行った。嫌気培養したM. cerevisiae SBC8034株の菌体から、DNA抽出液PrepMan Ultra(アプライド・バイオシステムズジャパン社)を用いて、DNAの抽出を行った。
(16S rRNA遺伝子の増幅・解析)
上記方法により調製したDNA抽出液について、MicroSeq Full Gene 16S rDNAキット(アプライド・バイオシステムズジャパン社)を用いて、M. cerevisiae SBC8034株の16S rRNA遺伝子のシークエンスを行った。シークエンスの結果得られたM. cerevisiae SBC8034株の16S rRNA遺伝子配列を配列番号1に示す。本遺伝子配列は、ビールを混濁させる偏性嫌気性グラム陰性菌であるペクチネータス属菌及びメガスフェラ属菌の遺伝子配列とは、明らかに異なっていた。さらに、GenBank等のデータベース検索を行ったが、登録されている何れの遺伝子配列とも一致しなかった。従って、M. cerevisiaeはビールを混濁させる新規な偏性嫌気性グラム陰性菌であることが明らかとなった。
(実施例3)リアルタイムPCRを用いたM. cerevisiaeの検出および識別
実施例2と同様の方法により、ビールを混濁させ得る様々な菌株からDNAを抽出し、得られたDNA抽出液について、配列番号2及び3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、表2に示した反応試薬の組成でPCRを行った。
Figure 2005229838
反応装置にLightCyclerクイックシステム330(ロッシュ・ダイアグノスティックス社製)を用い、95℃で10分間処理した後、1サイクルを95℃で15秒間、50℃で5秒間、72℃で20秒間とし、それを40サイクル繰り返すことによりPCRを行った。
PCR終了後引き続いて95℃まで温度を上昇させた後、直ちに65℃まで冷却し、同温度を15秒間保持した後、20℃/秒の割合で95℃まで温度を上昇させた。この加熱の間、530nmの蛍光強度を0.2℃毎に測定し、その値の一次微分の負の値(−dF/dT)をプロットして生じるピークにより融解温度を決定した。
表3に様々な菌株のPCR産物に対して融解温度約88℃のピークが出現したか否かを示す。表3から明らかなように、M. cerevisiaeのみに約88℃の融解温度を示すピークが観察された。このことから、配列番号2及び3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを用いることにより、M. cerevisiaeを特異的に検出できることが明らかとなった。
なお、使用した一部の菌株(サッポロビール分離株)については、実施例2と同様の方法により、16S rRNA遺伝子配列からの菌種決定を行った。
Figure 2005229838
(実施例4)リアルタイムPCRを用いた偏性嫌気性グラム陰性菌の検出および識別
実施例2と同様の方法により調製した様々な菌株のDNA抽出液について、プライマーとして配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(16S rRNA遺伝子のユニバーサルプライマー、5’-TGGAGAGTTTGATCCTGGCTC-3’)並びに配列番号3及び6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用し、プローブとして配列番号4の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(3’末端をリン酸化し、5’末端をLC Red640でラベルしてある)、配列番号7の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(3’末端をリン酸化し、5’末端をLC Red705でラベルしてある)及び配列番号5の塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(3’末端をFITCでラベルしてある)を使用し、表4に示した反応試薬の組成でPCRを行った。
Figure 2005229838
反応装置に、LightCyclerクイックシステム330(ロッシュ・ダイアグノスティックス社製)を用い、95℃で10分間処理した後、1サイクルを95℃で15秒間、50℃で5秒間、72℃で20秒間とし、それを40サイクル繰り返すことによりPCRを行った。
PCR終了後引き続いて95℃まで温度を上昇させた後、直ちに40℃まで冷却し、同温度を15秒間保持した後、20℃/秒の割合で95℃まで温度を上昇させた。この加熱の間、640nm及び710nmの蛍光強度を0.2℃毎に測定し、その値の一次微分の負の値(−dF/dT)をプロットして生じるピークにより融解温度を決定した。
その結果、M. cerevisiae SBC8034株は640nmで約65℃、Megasphaera cerevisiae JCM6129株は640nmで約48℃及び約56℃、Pectinatus frisingensis VTT-E-79100株は710nmで約63℃、P. cerevisiiphilus VTT-E-79105株は710nmで約54℃の融解温度を示すピークが観察された。図1及び図2は、蛍光強度の変化率(−dF/dT)と温度(℃)との関係を表わす融解曲線である。図1は640nmにおける(a)Megasphaera cerevisiae JCM6129株及び(b)M. cerevisiae SBC8034株の融解曲線を、図2は710nmにおける(c)P. cerevisiiphilus VTT-E-79105株及び(d)Pectinatus frisingensis VTT-E-79100株の融解曲線を示す。上記の4つの菌株以外の菌株は、融解曲線においてピークを示さなかった。なお、本実施例において用いた菌株は表3に示した菌株と同一である。
以上より、上記プライマーおよびプローブを用いることにより、同時に複数の偏性嫌気性グラム陰性菌の検出・識別をすることが可能であることが確認された。
640nmにおける(a)Megasphaera cerevisiae JCM6129株及び(b)M. cerevisiaeSBC8034株の融解曲線である。 710nmにおける(c)P. cerevisiiphilus VTT-E-79105株及び(d)Pectinatus frisingensis VTT-E-79100株の融解曲線である。

Claims (7)

  1. 配列番号1に示す塩基配列の全部又は一部からなるポリヌクレオチド。
  2. 配列番号2に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなる、マレフィラス・シェルビシエ(Malephilus cerevisiae)検出用プライマーセット。
  3. 配列番号8に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号3に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号6に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなるビール混濁菌の検出・識別用プライマーセット。
  4. 配列番号4に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号7に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号5に示す塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとからなるビール混濁菌の検出・識別用プローブセット。
  5. 請求項3記載のプライマーセット及び請求項4記載のプローブセットを含むことを特徴とするビール混濁菌の検出・識別用キット。
  6. 請求項2記載のプライマーセットを用いて核酸断片を増幅する工程、及び、得られた核酸断片を検出する工程を含むことを特徴とする遺伝子増幅法によるマレフィラス・シェルビシエ(Malephilus cerevisiae)の検出方法。
  7. 請求項3記載のプライマーセットを用いて核酸断片を増幅する工程、及び、得られた核酸断片と請求項4記載のプローブセットとのハイブリッドの融解温度を測定する工程を含むことを特徴とするビール混濁菌の検出・識別方法。
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