JP5139050B2 - 使い捨てトレーニングパンツ - Google Patents
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例えば、特許文献1には、液透過性内面シート、不透液性外面シート及びこれら両シート間に介在された吸収性コアを具備し、前記内面シート上に湿潤保持シートを、該内面シートに部分的に接合させると共に該内面シートから部分的に浮き上がった状態に設けたトレーニングパンツが記載されている。
特許文献1には、湿潤保持シートにおける、内面シートから浮き上がった部分に吸収された排泄液は、コアに吸収されることが少なく、その浮き上がり部分にほとんど残留するため、幼児がその浮き上がり部分から湿潤を感知することが記載されている。
本発明の一実施形態である使い捨てトレーニングパンツ1(以下、単にトレーニングパンツ1ともいう)は、図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の防漏シート3及び両シート2、3間に介在配置された吸収体4を有する吸収性本体8と、該吸収性本体8の防漏シート3側に位置して該吸収性本体8を固定している外装体9とを備えている。トレーニングパンツ1は、着用者の腹側に配される腹側部31と背側に配される背側部32とその間に位置する股下部33とを有しており、腹側部31の両側縁部31a,31bと背側部Bの両側縁部32a,32bとが互いに接合されることによって、図1に示すように、一対のサイドシール部34,34、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6が形成されている。
上層22を構成するシート材物として不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度は1〜10dtex、特に1〜3dtexであることが、液残り、肌触りの向上等の点から好ましい。
下層23を構成するシート材物として不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度は1〜20dtex、特に2〜10dtexであることが、空間の強度確保の点から好ましい。
また、上層22を構成するシート状物は、繊度が小さく且つ坪量が大きい方が、液残り・液の拡散性の点から好ましい。
また、下層23を構成するシート状物は、繊度や坪量が大きい方が、空間保持性・クッション性の点から好ましい。
下層23より上層22の繊度が小さくまた坪量が大きいほうが、上層シートへの液残りの点から好ましい。
本実施形態のトレーニングパンツ1によれば、肌当接面を形成する、表面シート2の上層22が平坦であることや、該上層22と吸収体4との非接触状態が安定に維持されること、更には上層22と下層23との間に空洞を有していること、上層22と下層23が熱融着により接合され上層22が部分的にフィルム化されていること等から、排尿後に上層22上又は上層22中を平面方向に拡散し易く、また上層22中に液残りし易いため、表面シート2に広範囲に液残りを有する状態になる。また、上層22が平坦であるため、湿潤状態の上層22が広い面積で肌に接触する。そのため、パンツ1が少量の液を吸収した状態でも、濡れたことを幼児が容易に感知することができる。
他方、座った時・就寝時などに、表面シート2により高い圧力が加わった場合には、加圧下でも空間形状が維持されるため、上層22中に残った液は凸部25の側面を介して吸収体に移行するが、吸収体からの液戻りの影響を受けにくい。そのため、尿が肌に長時間接触することなく肌トラブルも生じにくい。
上層22は、下層23に接合されている部分(接合部24)が、繊維の溶融によりフィルム化していることが好ましい。フィルム化していることによって、上層22上を液が一層拡散しやすくなり湿潤領域が広がるので、濡れたことを幼児が容易に感知することができる。
下層23の坪量は、伸長時(凸部形成前)10〜100g/m2、特に10〜30g/m2、凸部形成時10〜150g/m2、特に10〜40g/m2、であり伸長時に上層シートより坪量が小さいことが、表面シートの液残りの点から好ましい。
上層22及び下層23を含めた表面シート2の全体の坪量は、20〜300g/m2(凸部形成時)、特に20〜60g/m2(凸部形成時)であることが好ましい。
X方向(MD)での凸部5,5間の長さC(図4参照)は、0.1〜20mm、特に0.5〜5mmであることが好ましい。
本実施形態のトレーニングパンツ1は、このようにして得た表面シート2を、下層23側が吸収体4側となるようにして吸収体4上に配置する以外は、常法に従って製造することができる。
図7に示す表面シート2Aは、着用者の肌側に向けられたシート状物からなる上層22と、吸収体4側に配されシート状物からなる下層23とを有する。表面シート2Aにおいては、該表面シート2Aの一方向(X方向)に、凹部26及び凸部25とが交互に且つ一列をなすように形成されていると共に該列が前記一方向と直交する方向(Y方向)に多列に形成されている。隣り合う列における凹部26及び凸部25の位置は、それぞれX方向に半ピッチ分ずれている。
図9に示す第1のロール11は、同モジュールの平歯車からなる第1の歯車11c及び第2の歯車11dを複数枚組み合わせ、これらの歯車を回転軸15に同心状に取り付けてロール状に形成したものである。各歯車11c,11dは何れも同じ歯幅を有している。各歯車11c,11dはその中心が開口しており、その開口部に回転軸15が挿入される。各歯車11c,11d及び回転軸15にはそれぞれ切り欠き部(図示せず)が形成されており、該切り欠き部にキー(図示せず)が挿入される。これによって各歯車11c,11dの空回りが防止される。
表面シート2Aは、図9に示す第1のロール11及び周面に第1のロール11の凹凸形状と噛み合い形状となっている第2のロール12を用いる以外は、表面シート2と同様にして製造することができる。
例えば上述した表面シート2においては、凸部25及び接合部24の列は、隣り合う列と凸部25の位置が半ピッチずつずれて配置されていたが、半ピッチ以外のピッチでずれた状態、散点状に配置されていてもよい。また、上述した表面シート2Aにおいては、凸部25及び凹部26の列は、隣り合う列と凸部25の位置が半ピッチずつずれて配置されていたが、半ピッチ以外のピッチでずれた状態、散点状に配置されていてもよい。
また、表面シートの下層23によって形成される凸部25は、上述した表面シート2,2Aの凸部25のように、散点状に形成されたものに代えて、凸条部と、凸条部間の溝部とを有するであっても良い。
本発明の表面シートは、全域に、上層22及び下層23の積層構造や凸部25、接合部24を有するものに限られず、着用者の液排泄部に対向する部位等の一部分のみに、そのような構造を有するものであっても良い。例えば、図11中の斜線を付した部分Pのみがそのような構造を有するものであっても良い。
図12〜図14は、本発明の他の実施形態における図3(a)相当図である。
図12に示す実施形態のように、表面シート2において、下層23を構成するシートの幅は、上層22を構成するシートの幅より小さくても良い。その場合、形成された凹凸形状部の幅は吸収体の幅より小さく吸収体中央部にあることが、排尿部のみ液残りが生じ幼児は濡れたことがわかる一方、排尿部以外は液残りが少なく肌トラブルが生じにくくなることの点から好ましい。
図13に示す実施形態のように、表面シート2は、その幅を吸収体幅より小さくし、その両端に別の不織布2S,2Sを接着させて液透過性内面シートとすることもできる。その場合、表面シートの両端に撥水性不織布を用いると、表面シート2からのみ液が透過するため、表面シート2への液残り量が多くなり幼児は濡れたことがよくわかる。
図14に示す実施形態のように、表面シート2は、液透過性内面シート2U上に配置することもできる。また、表面シート2を液透過性内面シート上に排尿部のみに部分的に配置することで、表面シート2が液透過内面シートより肌側に向けて突出し肌と接触し易く、且つ排尿部のみ液残りが生じ幼児は濡れたことがよくわかるが、排尿部以外の領域は液残りが少なくなり肌トラブルが生じにくくなる。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
エアースルー不織布A(芯PET/鞘PE・坪量;18g/m2・繊度;2.2dtex)を上層に用い、エアースルー不織布B(芯PET/鞘PE・坪量;18g/m2・繊度;4.4dtex(67%)、2.2dtex(33%))を下層に用いて、表面シートを製造した。尚、上層に用いた不織布A、下層に用いた不織布Bは、何れも親水化処理したものを用いた。
得られた表面シートを、吸収体上に、凸部を有する下層側を吸収体側に向けて積層し、評価用サンプルを得た。吸収体には、パルプ繊維(坪量;130g/m2)と高吸水性ポリマー(坪量;104g/m2)を混合しティッシュペーパで被覆したものを用いた。
比較例1は、上層繊維と下層繊維の熱融着によるぬれ感への影響を確かめるために作製した。実施例1と同様にして得た表面シートを、吸収体上に、平坦な上層側を吸収体側に向けて積層し、さらにその上に、実施例1で上層に用いた不織布Aを積層(層間は非接合)して、評価用サンプルを得た。吸収体は、実施例1と同じものを用いた。
比較例2は、クッション性による加圧後のさらっと感への影響を確かめるために作製した。エアースルー不織布(芯PET/鞘PE・坪量;25g/m2・繊度;3.3dtex(48%)、2.2dtex(52%))を、一対のロール間に噛み込ませて凸部5が溝状に連なった形状に立体賦形した。得られた不織布を、吸収体上に積層し、さらにその上に、実施例1で上層に用いた不織布Aを、層間は非接合にして積層して、評価用サンプルを得た。吸収体は、実施例1と同じものを用いた。尚、不織布は親水化処理したものを用いた。
比較例3は、空洞や熱融着部のぬれ感への影響を確認するために作製した。実施例1で上層、下層に用いた不織布をそれぞれ上層、下層に用い、吸収体上に積層して、評価用サンプルを得た。吸収体は、実施例1と同じものを用いた。
〔比較例4〕
比較例4は、空洞のぬれ感への影響と熱融着部による液広がりへの影響を確認するために作製した。実施例1で上層、下層に用いた不織布をそれぞれ上層、下層に用いて積層し、さらに下層側から直径1mmの円状に5mmの間隔で熱融着させて表面シートを作製した。得られた表面シートを吸収体上に積層し、評価用サンプルを得た。吸収体は、実施例1と同じものを用いた。
得られた各評価用サンプル上に、40gの人工尿をロートを用いて2.7g/sで注入した。1分間放置後、各サンプルの湿潤領域の広さを、表面シートに残った液の面積Sより評価した。
〔評価基準〕
大:S>30cm2
中:25 cm2<S≦30 cm2
小:S≦25 cm2
〔結果〕
結果を以下に示した。
実施例1:41cm2(大)
比較例1:20cm2(小)
比較例2:26cm2(中)
比較例3:17cm2(小)
比較例4:34cm2(大)
得られた各評価用サンプル上に、40gの人工尿をロートを用いて2.7g/sで注入した。1分間放置後、各サンプルの濡れ性を、30秒間加圧(3.5kPa)したときにろ紙に吸収される液量の測定より評価した。
〔結果〕
結果を以下に示した。
実施例1:2.4g
比較例1:1.4g
比較例2:3.1g
比較例3:2.9g
比較例4:3.1g
得られた各評価用サンプル上に、40gの人工尿をロートを用いて2.7g/sで注入した。1分間放置後、各サンプルの濡れ性を、手触りにより評価した。(N=1)
〔結果〕
結果を以下に示した。
実施例1:◎よく濡れている
比較例1:△湿っている
比較例2:○濡れている
比較例3:○濡れている
比較例4:◎よく濡れている
得られた各評価用サンプル上に、40gの人工尿をロートを用いて2.7g/sで注入した。1分間放置し、30秒間加圧した。その後、各サンプルの加圧後のさらっと感を、30秒間加圧(3.5kPa)したときにろ紙に吸収される液量により評価した。
〔結果〕
結果を以下に示した。
実施例1:0.1g
比較例1:0.1g
比較例2:2.0g
比較例3:1.1g
比較例4:2.0g
得られた各評価用サンプル上に、40gの人工尿をロートを用いて2.7g/sで注入した。1分間放置し、30秒間加圧した。その後、各サンプルのさらっと感を、手触りにより評価した。
〔結果〕
結果を以下に示した。
実施例1:◎さらっとしている
比較例1:◎さらっとしている
比較例2:×濡れている
比較例3:×濡れている
比較例4:×濡れている
比較例1は、実施例1と異なり熱融着部が存在しないため、液拡がり面積が小さくなり、湿っている状態であった。また加圧をすることにより、実施例1と同様に空間形状が維持されるため、表面シートに残った液が吸収体に移行され、また吸収体から戻ってくる液の影響を受けにくく、さらっとした状態になった。
比較例2は、実施例1と異なり熱融着部が存在しないため、液拡がり面積がやや小さくなり、濡れている状態であった。また加圧により、実施例1と異なり空間形状がつぶれてしまい吸収体から戻ってくる液の影響を受けるため、加圧後もぬれている状態であった。
比較例3は、実施例1と異なり熱融着部が存在しないため、液拡がり面積が小さくなり、湿っている状態であった。実施例1と異なり空間が存在しないため、加圧により吸収体から戻ってくる液の影響を受けるため、加圧後もぬれている状態であった。
比較例4は、熱融着部が存在するため、液拡がり面積が大きくなり、よく濡れている状態であった。しかしながら、実施例1と異なり空間が存在しないため、加圧により吸収体から戻ってくる液の影響を受けるため、加圧後もぬれている状態であった。
2,2A 表面シート
22 上層
23 下層
24 接合部
25 凸部
26 凹部
3 防漏シート
4 吸収体
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
7 側方カフス
8 吸収性本体
9 外装体
11 第1のロール
12 第2のロール
13 吸引孔
14 アンビルロール(第3のロール)
15 回転軸
16 歯車群
17 凸部
18 凹部
19 空隙部
20 開口部
21 吸引路
Claims (6)
- 液透過性の表面シート、防漏シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備する使い捨てトレーニングパンツにおいて、
前記表面シートは、着用者の肌側に配されたシート状物からなる上層と、前記吸収体側に配されたシート状物からなる下層とを有し、該上層と該下層とが熱融着により部分的に接合されて多数の接合部が形成されており、該上層は、実質的に平坦であり、該下層は、前記接合部以外の部分が前記吸収体側に向けて突出して、内部が空洞の多数の凸部を形成している部分を有しており、
排尿される付近は、前記表面シートが前記吸収体と接着されていない、使い捨てトレーニングパンツ。 - 前記表面シートは、排尿される付近以外の部分が前記吸収体と接着されている、請求項1記載の使い捨てトレーニングパンツ。
- 前記上層は、高密度部を有している請求項1又は2記載の使い捨てトレーニングパンツ。
- 前記上層は、前記接合部の周囲に高密度部を有している請求項1〜3の何れか1項記載の使い捨てトレーニングパンツ。
- 前記上層は、前記接合部の周囲に高密度部が環状に形成されている請求項4記載の使い捨てトレーニングパンツ。
- 請求項1記載の使い捨てトレーニングパンツの製造方法であって、
前記表面シートの製造工程が、周面が凹凸形状となっている第1のロールと、第1のロールの凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2ロールとの間に噛み込ませて、立体賦形された下層を得る工程、及び立体賦形された下層を、第1又は第2のロールの周面に保持しつつ、上層と合流させ、該ロールの凸部と周面が平滑な第3のロールとの間で、上層及び下層を加熱及び加圧し、前記接合部を形成する工程を含む、使い捨てトレーニングパンツの製造方法。
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