JP4338327B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品及びその表面シートに関し、更に詳しくは、ドライ感や通気性に優れた吸収性物品及びその表面シートに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本出願人は先に特開平5−228173号公報において、凸状曲面からなる頂部と、凹状曲面からなる底部と、該頂部及び該底部を連結する曲面状の壁部とを具備し、該頂部、該壁部及び該底部により形成された無数の孔部を有する吸収性物品の表面シートを提案した。この表面シートは、一旦吸収された液が肌側に戻るおそれがなく、吸収された液の色が表面に現れないという利点を有する。しかし、この表面シートでは、底部は、その繊維密度が高くフィルム状構造となっていることから、頂部に残留している液が吸収体へ移動しずらい場合があり、べたつきが発生することがあった。
【0003】
特開昭62−57975号公報には、ポリエチレン等のプラスチックフィルムからなり、該フィルムがその表面側から裏面側に延出して形成された多数の開孔と、該開孔を構成する側壁のフィルム及び該開孔間のフィルムに形成された該開孔よりも小径の多数の開孔とを有する吸収性物品の表面シートが記載されている。しかし、この表面シートは、プラスチックフィルム製なので硬く、良好な風合いのものとはならない。また、この表面シートは、吸収性物品に組み込まれた場合、小径の開孔が吸収体と接触しない構造となっているので、該小径の開孔に残留した液が吸収体へ移動しずらく、べたつきが発生し易い。
【0004】
従って、本発明は、液が残留しにくく、べたつき感のない表面シート及び吸収性物品を提供することを目的とする。
また本発明は、肌との接触面積が小さく、ドライ感を有する表面シート及び吸収性物品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、
前記表面シートは、多数の凸部及び凹部を有し、少なくともその肌対向面が不織布から構成されており、前記凸部の頂部及び/又はその近傍において、少なくとも前記不織布に開孔が形成されている吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0006】
また本発明は、多数の凸部及び凹部を有し、少なくともその肌対向面が不織布から構成されており、前記凸部の頂部及び/又はその近傍において、少なくとも前記不織布に開孔が形成されている吸収性物品の表面シートを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の一例としての生理用ナプキンが示されている。また図2には、図1に示される生理用ナプキンにおける表面シートの要部拡大断面図が示されている。
【0008】
図1に示すように、本実施形態の生理用ナプキン1は縦長の形状をしており、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3、及び両シート間に介在された液保持性の吸収体4を有している。表面シート2は、吸収体4の上面全域を覆っている。更に表面シート2は、吸収体4の左右両側縁から下面側に折り込まれて、吸収体4の下面における左右両側部を覆っている。そして、吸収体4の下面に折り込まれた表面シート2が、ホットメルト粘着剤等の所定の接合手段によって裏面シート3と接合されている。また、表面シート2及び裏面シート3は何れも吸収体4の前後端縁から外方に延出しており、延出した表面シート2と裏面シート3とが、ヒートシール等の所定の接合手段によって接合されている。裏面シート3の外面には、ナプキン1を着衣に固定するための粘着剤(図示せず)が塗布されている。粘着剤は、ナプキン1の幅方向へ延びるストライプ状に複数本塗布されている。
【0009】
裏面シート3及び吸収体4としては、吸収性物品の技術分野において公知のものを特に制限無く用いることができる。例えば裏面シート3としては、液不透過性である合成樹脂製のフィルムを用いることができる。斯かるフィルムは透湿性を有していてもよい。吸収体としては、パルプと高吸収性ポリマーの粒子との混合物や、高吸収性ポリマーの粒子がパルプに結合してなる吸収紙などを用いることができる。
【0010】
而して、本実施形態のナプキン1においては、図1及び図2に示すように、表面シート2が多数の凸部21及び凹部22を有している。凸部21と凹部22とは、表面シート2の略全域に亘り、交互に且つ規則的に配列している。凸部21は凸状曲面からなり、一方凹部22は凹状曲面からなっている。斯かる凸状曲面と凹状曲面とは、曲面を描くように滑らかに連接している。凸部21及び凹部22は何れも扁平な半球状の形状をしており、凹部22は凸部21を反転させた形状となっている。
【0011】
表面シート2は、肌対向面となる第1の層23と、該第1の層23の吸収体対向面側に配された第2の層24との2層構造となっている。第1の層23は不織布から構成されている。一方第2の層24は、液透過性を有する所定のシート材から構成されている。シート材の詳細については後述する。両層23,24は、圧着、融着又はこれらの組み合わせ等の所定の接合手段によって部分的に接合されている。表面シート2を多層構造とし且つ部分的に接合することで、同坪量の単層構造のシートよりも、柔らかさを維持しつつ、凹凸形状を保持し得るという二律背反の条件を満たすことができるという利点がある。以下、表面シート2における肌対向面を表面ともいい、また吸収体対向面を裏面ともいう。
【0012】
表面シート2においては、凸部21の頂部21aに、該表面シート2を貫通する開孔25aが形成されている。また、凸部21の頂部近傍21bに、やはり表面シート2を貫通する開孔25bが形成されている。更に、凹部22においては、その底部22aに、表面シート2を貫通する開孔25cが形成されている。
【0013】
本実施形態における表面シート2が以上の構成を有していることにより、以下の(a)〜(c)の効果が主として奏される。
(a)少なくとも凸部21の頂部及び/又はその近傍に、開孔が形成されていることで、着用者の肌に最も接する部分である凸部21の頂部及び/又はその近傍の通気性が良好となり、表面シート2が肌にべたつかなくなる。更に、液の透過性、特に粘性の高い液の透過性が良好となる。液の透過性は、凹部22の底部22aにも開孔が形成されていることで一層良好となる。
(b)表面シート2が多数の凸部21及び凹部22を有しているので、着用者の肌との接触面積が低減し、ドライ感が得られる。
(c)表面シート2の肌対向面が風合いの良好な不織布から構成されているので、表面シート2の肌触りが良好となり、快適な装着感が得られる。
【0014】
図2に示すように、表面シート2を構成する第1の層23と第2の層24とは部分的に接合されている。そして、両層の接合部以外の部位は離間可能になっている。その結果、本実施形態においては、開孔25a,25b,25cの周囲における表面シート2の内部に、第1の層23と第2の層24とで画成される扁平な空間26が形成されている。空間26は、開孔を取り囲むように実質的に連続して形成されており、円環状の空間となっている。これによって、ナプキン1の装着中に着用者の動作に連れて表面シート2が動く場合、第1の層23と第2の層24とで別々の動きをすることができ、柔らかい感覚を着用者に与えられる。
【0015】
第1の層23と第2の層24との接合の程度は、ナプキン1の着用中に着用者の動作に連れて表面シート2が動いた場合に、両層が剥離しない程度であればよい。また、両層の接合の程度は、表面シート2の凹凸形状が保持され得る程度であることが好ましい。
【0016】
図2に示すように、開孔25a,25b,25cは、表面シート2がその表面側から裏面側に向かって延出して形成されている。これにより、各開孔は立体形状となっている。その結果、開孔の周縁は、表面シート2の表面及びその近傍には存せず、裏面側に位置することになる。また、各開孔の周縁では、第1の層23と第2の層24とが接合されて、繊維密度が高くなっている。各開孔の周縁の繊維密度が高いことで、毛管現象に起因して液が該周縁に集まり易くなる。そして、凸部21の頂部21a及びその近傍21bに形成された開孔25a,25bでは、液が集まっている前記周縁が表面シート2の裏面側に位置しているので、表面シート2の表面側はドライな状態となり、肌にべたつきにくくなる。また、開孔の周縁は、開孔の工程によって一般に硬くなり易いが、その硬い部位が表面シート2の裏面側に位置することになるので、表面シート2の風合いが損なわれなくなる。一方、凹部22の底部22aに形成された開孔25cでは、液が集まっている前記周縁が吸収体4に良好に接するので、液が吸収体4へ円滑に移動し、これによっても表面シート2が肌にべたつきにくくなる。
【0017】
表面シート2における個々の凸部21は、平面視してその面積が5〜350mm2、特に15〜50mm2であることが、ナプキン1の使用時における着用者の身体との接触面積の低減を維持し、ドライ感を得る点から好ましい。同様の理由により、3cm四方の正方形を考えたときに、個々の凸部21は、表面シート2の何れの場所においても、前記正方形中に1〜60個、特に3〜30個存することが好ましい。
【0018】
表面シート2全体の面積に対する凸部21の面積の割合(以下、凸部面積率という)は、15〜60%、特に25〜45%であることが、ナプキン1の使用時における着用者の身体との接触面積の低減を維持し、ドライ感を得る点から好ましい。
【0019】
個々の凸部21の面積及び凸部面積率は次の方法で測定される。先ず、三菱鉛筆(株)社製のスタンプ台〔ユニスタンプHSP−2G(商品名)〕のスタンプ面を表面シート2の表面側に載せ、その上に2kgの重りを載せて30秒間放置する。スタンプ台及び重りを取り除いた後、表面シート2の表面側の画像を取り込む。画像の取り込みには、光源〔サンライトSL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5:LPL(株)社製〕、レンズ(24mm/F2,8Dニッコールレンズ)、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔スペクトラ3200;カノーブス(株)社製〕を用いた。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフト(ver.3.08)で二値化処理する。二値化処理された画像から、スタンプで着色された部分の面積の平均値を求め、これを凸部21一個の面積とする(但し、スタンプで着色された部分が連続パターンの場合には、一パターンの面積とする。)。次に、スタンプで着色された部分の全面積を画像の全面積で除すことで凸部面積率(%)を求める。凸部の面積の測定が困難な場合は、スタンプで着色された部分を画面上で塗りつぶす等の補助的な処理を行う。
【0020】
表面シート2に形成された開孔の径は、表面シート2の通気性及び液透過性を十分に確保し、ドライ感を得る点から、0.5〜3mm、特に1〜2mmであることが好ましい。この場合、凸部21の頂部21a及びその近傍21bに形成されている開孔25a,25bと、凹部22の底部22aに形成されている開孔25cとの開孔径は同じでもよく、或いは異なっていてもよい。特に、開孔を形成したことに起因する肌触りの低下を防止し、またドライ感を得る点から、凸部21の頂部21a及びその近傍21bに形成されている開孔25a,25bの径は、凹部22の底部22aに形成されている開孔25cの径の10〜100%、とりわけ30〜70%であることが好ましい。
【0021】
表面シート2全体の面積に対する、凸部21の頂部21a及びその近傍21bに形成されている開孔25a,25bの面積の割合(以下、凸部開孔面積率という)は、1〜15%、特に3〜10%であることが、表面シート2の通気性及び液透過性の確保並びに凸部21の形状維持の点から好ましい。また、表面シート2全体の面積に対する全開孔(開孔25a,25b,25c)の面積の割合(以下、全開孔面積率という)は、1〜30%、特に8〜20%であることが、表面シート2の通気性及び液透過性を確保して、ドライ感を向上させる点から好ましい。
【0022】
開孔の径、凸部開孔面積率及び全開孔面積率は次の方法で測定される。前述した光源、スタンド、レンズ、CCDカメラ及びビデオボードを用い、表面シート2の表面側の画像を取り込む。取り込まれた画像を前述した画像解析ソフトで二値化処理する。二値化処理された画像から、開孔の円相当径を求め、これを開孔径とする。また、二値化処理された部分のうち、凸部に形成された開孔の全面積を画像の全面積で除すことで凸部開孔面積率(%)を求める。同様に、二値化処理された部分の全面積を画像の全面積で除すことで全開孔面積率(%)を求める。開孔径の測定が困難な場合は、画面上で開孔の部分を塗りつぶす等の補助的な処理を行う。
【0023】
表面シート2における第1の層23を構成する不織布としては、例えばエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布などが挙げられ、特に風合いの点からエアスルー不織布やスパンボンド不織布を用いることが好ましい。不織布が疎水性の場合には、所定の親水化処理を施すことが好ましい。不織布の坪量は、5〜50g/m2、特に10〜25g/m2であることが、十分な強度の確保、凸部21及び凹部22の成形性の確保、並びに凸部21及び凹部22の風合いの維持の点から好ましい。
【0024】
不織布を構成する繊維としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンからなる繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなる繊維、ポリアミドからなる繊維などの単一繊維、及びこれらの樹脂を構成材料とする芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることができる。繊維径は、0.5〜6dtex、特に1〜3dtexであることが、不織布の肌触りが良好になる点から好ましい。繊維長は、不織布の製造方法に応じて長繊維及び短繊維の何れもが用いられる。
【0025】
表面シート2における第2の層24を構成するシート材としては、液透過性のものが用いられる。シート材の例としては、不織布、ポリウレタン等の弾性材料から構成される発泡シート、乾式パルプシート、紙などが挙げられる。これらのうち、表面シート2の風合いや液透過性の向上の点から、不織布や乾式パルプシートを用いることが好ましい。
【0026】
シート材として不織布が用いられる場合、その詳細は、前述した第1の層23を構成する不織布と同様である。シート材として乾式パルプシートが用いられる場合、該乾式パルプシートとしては坪量が30〜60g/m2、特に40〜50g/m2のものであることが、該乾式パルプシートの肌触り及び吸液性が良好になる点から好ましい。乾式パルプシートは、エアレイ法によってパルプをシート状に堆積させ、所定のバインダーによってパルプ間を結合させて得られるシートである。
【0027】
表面シート2は、多数の凸部21及び凹部22を有していることから、嵩高な構造となっている。その結果、表面シート2は、その厚みが好ましくは0.3〜3mm、更に好ましくは0.5〜2mmといった厚みの大きなものとなる。厚みは次の方法で測定される。表面シート2を50mm×50mmの大きさの矩形状に切り出し測定片を採取し、30mmφの大きさの円形測定子を取り付けたMitutoyo Corp.製のハンド厚み計ID−C112CB(商品名)を使用して厚みを測定する(荷重約0.11N/cm2)。5枚の測定片について厚みを測定し、その平均値を表面シート2の厚みとする。
【0028】
表面シート2は、その坪量が、20〜80g/m2、特に25〜60g/m2であることが、肌触り(柔らかさ及び滑らかさ)を良くし、ドライ感を向上させる点から好ましい。
【0029】
表面シート2は、次の方法で好ましく製造される。まず、第1の層23を構成する不織布と、第2の層24を構成するシート材とを重ね合わせる。次に、所定の開孔手段によって第1の層23及び第2の層24を貫通する開孔を多数形成する。然る後、所定の凹凸賦形手段によって多数の凸部及び凹部を形成し、表面シートが得られる。
【0030】
開孔手段としては、例えば所定温度に加熱された穿孔ピンと、該ピンが挿入される受け部材とを備えた開孔装置を用いることができる。この場合、径の異なる穿孔ピンを2種類用いることで、凸部21の頂部21aに形成される開孔25aの径と、凹部22の底部22aに形成される開孔25cの径とを異ならせることができる。開孔装置の具体例としては、本出願人の先の出願に係る特開平6−330443号公報の図1〜図11に記載の装置を用いることができる。
【0031】
凹凸賦形手段としては、例えば所定温度に加熱されたスチールマッチエンボス(噛み合わせエンボス)装置を用いることができる。スチールマッチエンボス装置を用いると、第1の層23と第2の層24との接合を部分的に行うことが容易となり、前述した空間26を有する表面シート2を容易に製造できる。即ち、スチールマッチエンボスにおける強く噛み合わされる部位において両層が接合される。従って、第1の層23と第2の層24との接合部位は、スチールマッチエンボスにおけるエンボス(噛み合わせ)の形状によって所望の部位とすることができる。スチールマッチエンボス装置の具体例としては、本出願人の先の出願に係る特開2001−20168号公報の図2(a)及び(b)に記載の装置を用いることができる。
【0032】
表面シート2の製造方法の別法として、開孔の形成と凸部及び凹部の形成とを同時に行う方法がある。この方法では、前述したスチールマッチエンボス装置における下側ロール凹部に開孔形成用の穿孔ピンが取り付けられ、また上側ロール凸部に該穿孔ピンを受けとめる凹状のくぼみが形成されたものを用いることにより表面シート2を形成する。
【0033】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては、開孔25a,25b,25cの何れもが、表面シート2がその表面側から裏面側に向かって延出して形成された立体形状となっているが、これに代えて図3(a)に示すように、凸部21の頂部21aに形成された開孔25a及び凹部22の底部22aに形成された開孔25cのみが、表面シート2がその表面側から裏面側に向かって延出して形成された立体形状となっていてもよい。或いは、図3(b)に示すように、何れの開孔も立体形状となっていなくてもよい。
【0034】
また、図3(b)に示すように、凹部22の底部22aの近傍に開孔25dが更に形成されていてもよい。また、図3(c)に示すように、凸部21の頂部21aにのみ開孔25aが形成されていてもよい。更に、図3(d)に示すように、第1の層23及び第2の層24のうちの第1の層23にのみ開孔25aが形成されていて、第2の層24には開孔が形成されていなくてもよい。但し、その場合には、第1の層23の厚みを大きくすることが望ましい。
【0035】
また、前記実施形態においては、表面シート2は、第1の層23及び第2の層24の2層構造であったが、これに代えて不織布からなる第1の層23のみで表面シートを構成してもよい。或いは、必要に応じ、3層以上の多層構造でもよい。
【0036】
本発明は、前述した生理用ナプキンに限られず、失禁パッドや使い捨ておむつなどの他の吸収性物品にも同様に適用できる。
【0037】
【実施例】
〔実施例1〕
以下の表1に示す第1の層及び第2の層を重ね合わせ、穿孔ピン及び該ピンの受け部材を備えた開孔装置を用いて両層を貫通する開孔を形成した。穿孔ピンは125℃に加熱されていた。次いで、90℃に加熱されたスチールマッチエンボス装置によって多数の凸部及び凹部を形成し、図2に示す表面シートを得た。
【0038】
得られた表面シート、並びにポリプロピレン製のフィルムからなる裏面シート及びパルプと高吸収性ポリマーの粒子とからなる吸収体を用いて、図1に示す生理用ナプキンを得た。
【0039】
〔実施例2〕
凹部22の底部22aに形成する開孔25cの径を表1に示す値とする以外は実施例1と同様にして図2に示す表面シートを得、得られた表面シートを用いて生理用ナプキンを得た。
【0040】
〔実施例3〕
第1の層及び第2の層として表1に示すものを用い、且つ開孔の径を表1に示す値とする以外は実施例1と同様にして図2に示す表面シートを得、得られた表面シートを用いて生理用ナプキンを得た。
【0041】
〔実施例4〕
表面シートの製造装置として、スチールマッチエンボス装置における下側ロール凹部に開孔形成用の穿孔ピンが取り付けられ、また上側ロール凸部に該穿孔ピンを受けとめる凹状のくぼみが形成されたものを用いた。以下の表1に示す第1の層及び第2の層を重ね合わせ、前記装置を用いて多数の凸部及び凹部を形成すると共に、該凸部の頂部に開孔を形成した。開孔形成用の穿孔ピンを有する下側ロールは110℃に加熱しておき、該穿孔ピン受けとめる凹状のくぼみを有する上側ロールは90℃に加熱しておいた。これ以外は実施例1と同様にして図3(c)に示す表面シートを得、得られた表面シートを用いて生理用ナプキンを得た。
【0042】
〔実施例5〕
第1の層として表1に示すものを用い、第2の層は用いない以外は実施例1と同様にして図2に示す表面シートを得、得られた表面シートを用いて生理用ナプキンを得た。
【0043】
〔比較例1〕
特開平5−228173号公報の第5頁右欄45行〜第6頁左欄21行に記載の方法に準じ、表1に示す不織布から表面シートを製造した。この表面シートは、凹部の底部にのみ開孔を有するものであった。得られた表面シートを用い、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
【0044】
〔比較例2〕
特開昭62−57975号公報の第5図及び第5A図〜第5C図に示す装置を用いて、同公報の第5D図に示す構造の表面シートを得た。得られた表面シートを用い、実施例1と同様にして生理用ナプキンを得た。
【0045】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた表面シートにおける個々の凸部の面積、凸部面積率、開孔径、凸部開孔面積率、全開孔面積率、表面シートの厚みを前述の方法で測定した。その結果を表1に示す。また、表面シートの風合いを以下の方法で評価した。更に、表面シートの液通過時間を以下の方法で測定した。これらの結果を表2に示す。
【0046】
〔表面シートの風合い〕
表面シートを見えない状態にして、20人の女性に表面シートを触らせ、その風合いを評価させた。風合いは、(1)柔らかさ、(2)滑らかさ及び(3)耐べたつきの3つの感触で評価させた。評価は5段階数値で行い、20人の平均値をとった。数値は大きいほど良好であること示す。
(1)柔らかさ
5;柔らかい、4:やや柔らかい、3;どちらともいえない、2:やや硬い、1:硬い
(2)滑らかさ
5;滑らか、4:やや滑らか、3;どちらともいえない、2:ややざらつく、1:ざらつく
(3)耐べたつき
5;さらっとしている、4:ややさらっとしている、3;どちらともいえない、2:ややべたつく、1:べたつく
【0047】
〔液通過時間〕
図4に示す装置を用いる。表面シートを縦50mm、横50mmにカットした試料片30を作る。次いで、試料片30を、内径35mmのガラス管31,31で上下両側から挟持固定する。この時、測定中に液が横から滲み出さないように、シリコンゴムを介してクリップ32で両側から固定する。グリセリン85重量%水溶液33を10mlのビーカー34に10g取り、上側のガラス管31中に静かに注入する。グリセリン水溶液33を注入した後、ガラス管31の開口面積に対し、試料片30の面が50%以上現れるまでの時間を計測し、これを液通過時間とする。グリセリン85%水溶液は、グリセリン〔和光純薬工業(株)〕85gにイオン交換水15gを混合した後、食用青色1号〔東京化成工業(株)〕0.01gを添加して調製した。
【0048】
【表1】
Figure 0004338327
【0049】
【表2】
Figure 0004338327
【0050】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、各実施例の表面シートは、風合いが良好であり、しかも液透過性が高いことが判る。これに対して各比較例の表面シートは、風合いが悪く、液透過性も低いことが判る。各比較例の表面シートは、特にべたつき感が大きいことが判る。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、通気性が高く、また液が残留しにくく、べたつき感のない表面シート及び吸収性物品が得られる。
また本発明によれば、液の透過性が高い表面シート及び吸収性物品が得られる。
また本発明によれば、肌との接触面積が小さく、ドライ感を有する表面シート及び吸収性物品が得られる。
更に本発明によれば、肌触りが良好であり、快適な装着感がある表面シート及び吸収性物品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性物品の一例としての生理用ナプキンを示す斜視図である。
【図2】図1に示される生理用ナプキンにおける表面シートの要部拡大断面図である。
【図3】表面シートの他の形態を示す要部拡大断面図である。
【図4】液通過時間の測定に用いられる装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
21 凸部
21a 頂部
22 凹部
22a 底部
23 第1の層
24 第2の層
25a,25b,25c,25d 開孔

Claims (2)

  1. 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、
    前記表面シートは、スチールマッチエンボスによって形成された扁平な半球状の形状の多数の凸部及び凹部を有し、肌対向面となる不織布及び該不織布の吸収体対向面側に配されたシート材からなる多層構造であり、
    前記凸部の頂部及び/又はその近傍並びに前記凹部の底部において、前記表面シートを貫通する開孔が形成されており、
    前記不織布と前記シート材とが前記開孔の周縁において部分的に接合されて、両者の接合部以外の部位では両者が離間可能になっているとともに、該開孔は、該表面シートがその表面側から裏面側に向かって延出して形成された立体形状となっており、該開孔の周縁が該表面シートの裏面側に位置している吸収性物品。
  2. 前記不織布と前記シート材とが離間して、前記開孔の周囲における前記表面シートの内部に、前記不織布と前記シート材とにより画成される空間が形成されている請求項記載の吸収性物品。
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