本発明の目的は、水中に空気を吹き出すための機器により船倉容量が減少することが防がれる船舶を提供することである。
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の一の観点による船舶は、船体(80)と、少なくとも一つのブロワ(13A、13B)と、前記少なくとも一つのブロワから供給される加圧空気を前記船体の船底(81)から吹き出して前記船体と海水との摩擦抵抗を低減する少なくとも一つの空気吹き出し部(100C、100P、100S)と、前記加圧空気を冷却する少なくとも一つのエアクーラ(17A、17B)とを具備する。前記船体の船首部(2)の舷側に少なくとも一つの区画室(95P、96P、95S、96S)が設けられる。前記少なくとも一つのブロワ及び前記少なくとも一つのエアクーラは、前記少なくとも一つの区画室に設置される。
ブロワ及びエアクーラが設置される区画室が船首部の舷側に設けられるため、船倉容量の減少が防がれる。また、船底から吹き出される加圧空気を冷却するため、船体表面の塗装膜の劣化が抑制される。
前記少なくとも一つの空気吹き出し部は、前記船底の左舷部(81p)に設けられた左舷空気吹き出し部(100P)と、前記船底の右舷部(81s)に設けられた右舷空気吹き出し部(100S)と、前記船底の中央部(81c)に設けられた中央空気吹き出し部(100C)とを含む。前記少なくとも一つの区画室は、前記船首部の左舷に設けられた左舷区画室(95P、96P)と、前記船首部の右舷に設けられた右舷区画室(95S、96S)とを含む。前記少なくとも一つのブロワは、前記左舷空気吹き出し部及び前記右舷空気吹き出し部に加圧空気を供給する第1ブロワ(13A)と、前記中央空気吹き出し部に加圧空気を供給する第2ブロワ(13B)とを含む。前記少なくとも一つのエアクーラは、前記第1ブロワから供給される前記加圧空気を冷却する第1エアクーラ(17A)と、前記第2ブロワから供給される前記加圧空気を冷却する第2エアクーラ(17B)とを含む。 前記左舷区画室及び前記右舷区画室の一方に前記第1ブロワ及び前記第1エアクーラが設置される。前記左舷区画室及び前記右舷区画室の他方に前記第2ブロワ及び前記第2エアクーラが設置される。
左舷区画室及び右舷区画室の一方に第1ブロワ及び第1エアクーラが設置され、左舷区画室及び右舷区画室の他方に第2ブロワ及び第2エアクーラが設置されるため、船舶の横方向の重量バランスが確保される。
上記船舶は、前記少なくとも一つのブロワから前記少なくとも一つの空気吹き出し部に供給される前記加圧空気の供給量を調整する複数のオリフィス(36P、36S)又は複数の空気流量調整弁(31P、31S)を更に具備する。前記複数のオリフィス又は前記複数の空気流量調整弁は前記船体の隔壁(54、56P、56S)に沿って配置される。
複数の空気流量調整弁が隔壁に沿って配置される場合、点検者の立ち位置を容易に確保できる。したがって、複数の空気流量調整弁の点検が容易である。
前記左舷区画室と前記右舷区画室とを相互に接続する通路(95C)が前記船体に設けられる。
通路が設けられるため、左舷区画室及び右舷区画室の機器の点検及び保守が容易である。
上記船舶は、前記第1ブロワを制御する第1制御盤(10A)と、前記第2ブロワを制御する第2制御盤(10B)とを更に具備する。前記通路は、前記船体の中央に配置される。前記第1制御盤及び前記第2制御盤は、前記船体の横隔壁(54)に沿うように前記通路に設置される。
したがって、第1ブロワ及び第2ブロワを制御するための配線を短くすることができる。
上記船舶は、前記少なくとも一つのブロワを駆動する少なくとも一つのモータ(19A、19B)を更に具備する。前記少なくとも一つのモータは前記少なくとも一つのブロワに直結される。
前記空気流量調整弁群は前記少なくとも一つの区画室に設置される。
本発明の他の観点による船舶は、船体(80)と、ブロワ(13A、13B)と、前記ブロワから供給される加圧空気を前記船体の船底(81)から吹き出して前記船体と海水との摩擦抵抗を低減する空気吹き出し部(100C、100P、100S)とを具備する。前記船体の船首部(2)の舷側に第1区画室(95P、95S)が設けられる。前記ブロワは前記第1区画室に設置される。
ブロワが設置される第1区画室が船首部の舷側に設けられるため、船倉容量の減少が防がれる。
前記ブロワは前記船体の喫水線(DLWL)より低い位置に配置される。
上記船舶は、前記加圧空気を冷却するエアクーラ(17A、17B)を更に具備する。前記エアクーラは、前記第1区画室又は前記第1区画室に隣接する第2区画室(96S、96S)に設置される。
一方の舷側区画室(95P)内のブロワ(13A)よりの加圧空気を船底左右舷用の空気吹き出し部(100P、100S)に供給し、他方の舷側区画室(95S)内のブロワよりの加圧空気を船底央部の空気吹き出し部(100C)に供給する。
したがって、ブロワを比較的、狭隘な空間に合理的に配置することができ、カーゴスペースを損なうことがない。
船底左右舷用の空気吹き出し部(100P、100S)への空気供給圧に比べ、船底央部の空気吹き出し部(100C)への空気供給圧を大きくする。
船底左右舷用の空気吹き出し部(100P、100S)と船底央部の空気吹き出し部(100C)は、喫水が異なる。各空気吹き出し部に同一のブロワから加圧空気を供給する場合は、喫水が浅い空気吹き出し部(100P、100S)ばかりに加圧空気が供給されない様、オリフィス等を設けて、加圧空気の流れを妨げる必要がある。これに対し、上記船舶は、第1のブロワ(13A)を用いて空気吹き出し部(100P、100S)に加圧空気を供給し、第2のブロワ(13B)を用いて空気吹き出し部(100C)に加圧空気を供給しており、オリフィス等での喫水差の調整を行わないため、同一のブロワから各吹き出し部に加圧空気を供給する場合に比べ、省エネルギーである。
左舷側に第1オリフィス(36P)又は第1空気流量調整弁(31P)を設置して、前記第1オリフィス又は前記第1空気流量調整弁を経た加圧空気を左舷側の空気吹き出し部(100P)に供給し、右舷側に第2オリフィス(36S)又は第2空気流量調整弁(31S)を設置して、前記第2オリフィス又は前記第2空気流量調整弁を経た加圧空気を右舷側の空気吹き出し部(100S)に供給する。
本発明の更に他の観点による船舶の改造方法は、船首部(2)舷側の喫水(DLWL)より下方位置の区画室(95P、95S)内にブロワ(13A、13B)を設置し、船底(81)に前記ブロワよりの加圧空気の吐出部(100P、100S、100C)を設けることを含む。
本発明によれば、水中に空気を吹き出すための機器により船倉容量が減少することが防がれる船舶が提供される。
添付図面を参照して、本発明による船舶を実施するための形態を以下に説明する。以下の説明において船舶はフェリーであるが、船舶はフェリー以外の船舶であってもよい。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る船舶を説明する。
図1Aを参照して、本実施形態に係る船舶90は、船体80と、空気潤滑システム1と、上部構造71と、舵72と、プロペラ88とを備える。船体80の船長方向(縦方向)、船幅方向(横方向)及びそれらいずれにも垂直な方向が、それぞれx方向、y方向及びz方向として示されている。尚、用語「船底」は、船体80の計画満載喫水線DLWLより下の部分を意味する。
船体80は、船首部2と、1甲板91と、1甲板91より高い位置に設けられた中甲板94と、中甲板94より高い位置に設けられた2甲板92と、2甲板92より高い位置に設けられた3甲板93と、船倉83と、ランプ85とを備える。1甲板91は例えば船底甲板である。2甲板92は例えば車両甲板である。3甲板は例えば上甲板である。2甲板92は計画満載喫水線DLWLより高い位置に配置され、中甲板94は計画満載喫水線DLWLより低い位置に配置される。2甲板92は、船倉83の床面を形成する。ランプ85は、自動車99が船倉83に乗り降りするために使用される。船首部2は、船首部船底81を備える。船首部船底81は、船首部船底中央部81cと、船首部船底右舷部81sとを備える。船首部船底中央部81cに船体外板4cが設けられる。船首部船底右舷部81sに船体外板4sが設けられる。
空気潤滑システム1は、空気吹き出し部100Cと、空気吹き出し部100Sと、海水取入用のシーチェスト5とを備える。空気吹き出し部100C及びシーチェスト5は、船首部船底中央部81cに配置される。空気吹き出し部100Sは、船首部船底右舷部81sに配置される。空気吹き出し部100C及びシーチェスト5は、1甲板91より低い位置に設けられる。空気吹き出し部100Sは、1甲板91より高く且つ中甲板94より低い位置に設けられる。
図1Bを参照して、船首部船底81は、船首部船底左舷部81pを備える。船首部船底左舷部81pに船体外板4pが設けられる。船首部船底左舷部81p及び船首部船底右舷部81sは、船体80の舷側の一部を形成している。空気潤滑システム1は、船首部船底左舷部81pに配置された空気吹き出し部100Pを備える。空気吹き出し部100Pは、空気吹き出し部100Sと同様に、1甲板91より高く且つ中甲板94より低い位置に設けられる。シーチェスト5及び空気吹き出し部100Cは、例えば、センターラインC上に配置され、船体80の船底の平坦な部分としての船底平坦部70に配置される。船底平坦部70は船首部船底中央部81cを含む。船首部船底中央部81cは、船首部船底81のy方向(船幅方向)の最深位置に配置される。シーチェスト5は空気吹き出し部100Cより船首側に配置される。船首部船底左舷部81p及び船首部船底右舷部81sは、船体80の舷側に配置される。下から見てシーチェスト5は、空気吹き出し部100P及び100Sの間に配置される。
空気吹き出し部100C、100P、及び100Sは、空気潤滑システム1が生成した加圧空気を水中に吹き出す。空気吹き出し部100C、100P及び100Sから吹き出された空気により形成される気泡で船体80が覆われて、船体80と周囲の海水との間の摩擦抵抗が低減される。空気吹き出し部100C、100P、及び100Sが船首部船底81に配置されるため、船体80の気泡で覆われる面積が大きくなる。船舶90がやせ型船の場合、空気吹き出し部100P及び100Sを設けることが船体80の気泡で覆われる面積を大きくする上で特に有効である。
空気潤滑システム1は、水圧に抗して空気を水中に吹き出すために空気を加圧して加圧空気を生成する。加圧する過程で空気の温度が上昇するため、加圧空気を冷却せずに水中に吹き出すと、船体80の塗装膜の劣化が加速されるおそれがある。シーチェスト5から取り入れた海水を用いて加圧空気を冷却してから水中に吹き出すことで、塗装膜の劣化が抑制される。
シーチェスト5が空気吹き出し部100Cより船首側に配置されるため、空気吹き出し部100Cが吹き出した空気がシーチェスト5から取り入れられる海水に混入することが防止される。更に、船首部船底81のy方向(船幅方向)の最深位置にシーチェスト5が配置され、下から見てシーチェスト5が空気吹き出し部100P及び100Sの間に配置されるため、空気吹き出し部100P及び100Sが吹き出した空気がシーチェスト5から取り入れられる海水に混入することが防止される。そのため、加圧空気を冷却する効率が低下することが防止される。
以下、図2を参照して、空気潤滑システム1を説明する。
空気潤滑システム1は、空気吹き出し部100P及び100Sに加圧空気を供給するために、ストレーナ11Aと、サイレンサ12Aと、ブロワ(送風機)13Aと、伸縮継手14Aと、防熱配管15Aと、サイレンサ16Aと、エアクーラ17Aと、空気戻しライン18Aと、空気供給ライン20Pと、空気供給ライン20Sと、空気流量調整弁群30Pと、空気流量調整弁群30Sとを備える。ストレーナ11Aの出口はサイレンサ12Aを介してブロワ13Aの入口に接続される。ブロワ13Aの出口は、伸縮継手14A、防熱配管15A、及びサイレンサ16Aを介してエアクーラ17Aの空気入口に接続される。エアクーラ17Aの空気出口は、空気戻しライン18Aを介してブロワ13Aに接続され、空気供給ライン20Pを介して空気吹き出し部100Pに接続され、空気供給ライン20Sを介して空気吹き出し部100Sに接続される。ストレーナ11A、サイレンサ12A、ブロワ13A、伸縮継手14A、防熱配管15A、及び空気流量調整弁群30Pは、船体80の(水密)区画室95Pに配置される。サイレンサ16A及びエアクーラ17Aは、船体80の(水密)区画室96Pに配置される。空気流量調整弁群30Sは、船体80の(水密)区画室95Sに配置される。
空気吹き出し部100Pは、リセス121P及び122Pと、空気吹き出しチャンバ131P〜134Pとを備える。リセス121P及び122Pは、船首部船底左舷部81pに設けられる。リセス121Pはリセス122Pより船首側に設けられる。空気吹き出しチャンバ131P及び132Pは、リセス121P内に配置される。空気吹き出しチャンバ133P及び134Pは、リセス122P内に配置される。空気供給ライン20Pは、分岐ライン21P〜24Pを備える。分岐ライン21P〜24Pは、それぞれ空気吹き出しチャンバ131P〜134Pに接続される。空気流量調整弁群30Pは、分岐ライン21P〜24Pにそれぞれ設けられた複数の空気流量調整弁31Pを備える。複数の空気流量調整弁31Pは、分岐ライン21P〜24Pの上流側部分に設けられる。空気流量調整弁31Pは、遠隔操作弁である。分岐ライン21P〜24Pの下流側部分にはそれぞれ複数の開閉弁32Pが設けられる。分岐ライン21Pの開閉弁32P及び分岐ライン22Pの開閉弁32Pは、リセス121P内に配置される。分岐ライン23Pの開閉弁32P及び分岐ライン24Pの開閉弁32Pは、リセス122P内に配置される。
空気吹き出し部100Sは、リセス121S及び122Sと、空気吹き出しチャンバ131S〜134Sとを備える。リセス121S及び122Sは、船首部船底右舷部81sに設けられる。リセス121Sはリセス122Sより船首側に設けられる。空気吹き出しチャンバ131S及び132Sは、リセス121S内に配置される。空気吹き出しチャンバ133S及び134Sは、リセス122S内に配置される。空気供給ライン20Sは、分岐ライン21S〜24Sを備える。分岐ライン21S〜24Sは、それぞれ空気吹き出しチャンバ131S〜134Sに接続される。空気流量調整弁群30Sは、分岐ライン21S〜24Sにそれぞれ設けられた複数の空気流量調整弁31Sを備える。複数の空気流量調整弁31Sは、分岐ライン21S〜24Sの上流側部分に設けられる。空気流量調整弁31Sは、遠隔操作弁である。分岐ライン21S〜24Sの下流側部分にはそれぞれ複数の開閉弁32Sが設けられる。分岐ライン21Sの開閉弁32S及び分岐ライン22Sの開閉弁32Sは、リセス121S内に配置される。分岐ライン23Sの開閉弁32S及び分岐ライン24Sの開閉弁32Sは、リセス122S内に配置される。
ブロワ13Aは、ストレーナ11A及びサイレンサ12Aを介して吸いこんだ空気を加圧して加圧空気を生成する。ストレーナ11Aはブロワ13Aに吸い込まれる空気から異物を除去する。サイレンサ12Aは、騒音を低減する。加圧する過程で空気の温度が上昇するため、ブロワ13Aの出口における加圧空気は高温である。加圧空気は、ブロワ13Aから伸縮継手14A、防熱配管15A、及びサイレンサ16Aを介してエアクーラ17Aに流入する。伸縮継手14Aは、ブロワ13Aの振動の伝播を防止する。防熱配管15Aは、高温の加圧空気により区画室95Pの温度が上昇することを防止する。サイレンサ16Aは、騒音を低減する。エアクーラ17Aは、シーチェスト5から取り入れられた海水を用いて加圧空気を冷却する。空気戻しライン18Aは、冷却された加圧空気の一部をブロワ13Aに戻す。空気供給ライン20Pは、冷却された加圧空気の他の一部を空気吹き出しチャンバ131P〜134Pに供給する。空気吹き出しチャンバ131P〜134Pは、加圧空気を船首部船底左舷部81pから水中に吹き出す。空気流量調整弁群30Pは、空気吹き出しチャンバ131P〜134Pに供給される加圧空気の流量を調整する。空気流量調整弁群30Pを構成する複数の空気流量調整弁31Pの個々の開度調整により、空気吹き出しチャンバ131P〜134Pの設置位置に対応する空気流量調整を行うと共に、水深に比例して空気圧調整制御を行う。空気供給ライン20Sは、冷却された加圧空気の更に他の一部を空気吹き出しチャンバ131S〜134Sに供給する。空気吹き出しチャンバ131S〜134Sは、加圧空気を船首部船底右舷部81sから水中に吹き出す。空気流量調整弁群30Sは、空気吹き出しチャンバ131S〜134Sに供給される加圧空気の流量を調整する。空気流量調整弁群30Sを構成する複数の空気流量調整弁31Sの個々の開度調整により、空気吹き出しチャンバ131S〜134Sの設置位置に対応する空気流量調整を行うと共に、水深に比例して空気圧調整制御を行う。
空気潤滑システム1は、空気吹き出し部100Cに加圧空気を供給するために、ストレーナ11Bと、サイレンサ12Bと、ブロワ(送風機)13Bと、伸縮継手14Bと、防熱配管15Bと、サイレンサ16Bと、エアクーラ17Bと、空気戻しライン18Bと、空気供給ライン20Cと、空気流量調整弁31Cとを備える。ストレーナ11Bの出口はサイレンサ12Bを介してブロワ13Bの入口に接続される。ブロワ13Bの出口は、伸縮継手14B、防熱配管15B、及びサイレンサ16Bを介してエアクーラ17Bの空気入口に接続される。エアクーラ17Bの空気出口は、空気戻しライン18Bを介してブロワ13Bに接続され、空気供給ライン20Cを介して空気吹き出し部100Cに接続される。ストレーナ11B、サイレンサ12B、ブロワ13B、伸縮継手14B、防熱配管15Bは、区画室95Sに配置される。サイレンサ16B及びエアクーラ17Bは、船体80の(水密)区画室96Sに配置される。
空気吹き出し部100Cは、リセス120Cと、空気吹き出しチャンバ131C及び132Cとを備える。リセス120Cは、船首部船底中央部81cに設けられる。空気吹き出しチャンバ131C及び132Cは、リセス120C内に配置される。空気供給ライン20Cは、分岐ライン21C及び22Cを備える。分岐ライン21C及び22Cは、それぞれ空気吹き出しチャンバ131C及び132Cに接続される。空気流量調整弁31Cは、空気供給ライン20Cに設けられる。空気流量調整弁31Cは、遠隔操作弁である。分岐ライン21C及び22Cにはそれぞれ複数の開閉弁32Cが設けられる。開閉弁32Cは、リセス120C内に配置される。リセス122P、リセス122S、及びリセス120Cは、一つの水密区画を形成するように互いに接続されている。
ブロワ13Bは、ストレーナ11B及びサイレンサ12Bを介して吸いこんだ空気を加圧して加圧空気を生成する。ストレーナ11Bはブロワ13Bに吸い込まれる空気から異物を除去する。サイレンサ12Bは、騒音を低減する。加圧する過程で空気の温度が上昇するため、ブロワ13Bの出口における加圧空気は高温である。加圧空気は、ブロワ13Bから伸縮継手14B、防熱配管15B、及びサイレンサ16Bを介してエアクーラ17Bに流入する。伸縮継手14Bは、ブロワ13Bの振動の伝播を防止する。防熱配管15Bは、高温の加圧空気により区画室95Sの温度が上昇することを防止する。サイレンサ16Bは、騒音を低減する。エアクーラ17Bは、シーチェスト5から取り入れられた海水を用いて加圧空気を冷却する。空気戻しライン18Bは、冷却された加圧空気の一部をブロワ13Bに戻す。空気供給ライン20Cは、冷却された加圧空気の他の一部を空気吹き出しチャンバ131C及び132Cに供給する。空気吹き出しチャンバ131C及び132Cは、加圧空気を船首部船底中央部81cから水中に吹き出す。空気流量調整弁31Cは、空気吹き出しチャンバ131C及び132Cに供給される加圧空気の流量を調整する。
空気潤滑システム1は、海洋生物付着防止装置44と、海洋生物付着防止液供給ライン46と、弁47と、複数の弁48とを備える。海洋生物付着防止液供給ライン46は海洋生物付着防止装置44の出口に接続される。海洋生物付着防止液供給ライン46に弁47が設けられる。弁47は、遠隔操作弁である。海洋生物付着防止液供給ライン46は、弁48をそれぞれ介して分岐ライン21P〜24Pに接続され、弁48をそれぞれ介して分岐ライン21S〜24Sに接続され、弁48を介して空気供給ライン20Cに接続される。
次に、図3を参照して、空気潤滑システム1を説明する。空気潤滑システム1は、海水ポンプ41及び42と、空気抜き管43と、海洋生物付着防止液供給ライン45とを備える。海水ポンプ41の入口はシーチェスト5に接続される。海水ポンプ41の出口は、エアクーラ17Aの海水入口及びエアクーラ17Bの海水入口に接続される。海水ポンプ42の入口はシーチェスト5に接続される。海水ポンプ42の出口は海洋生物付着防止装置44の入口に接続される。海洋生物付着防止液供給ライン45は、海洋生物付着防止装置44の出口とシーチェスト5とを接続する。空気抜き管43の一端はシーチェスト5に接続され、空気抜き管43の他端は、3甲板93より高い位置に配置される。エアクーラ17A及び17Bは、中甲板94より高く且つ2甲板92より低い位置に配置される。海水ポンプ41、海水ポンプ42、及び海洋生物付着防止装置44は、1甲板91より高く且つ中甲板94より低い位置に配置される。
船外からシーチェスト5に海水が取り入れられる。空気抜き管43は、海水と一緒にシーチェスト5内に流入した空気を大気中に放出する。海水ポンプ41は、シーチェスト5から海水を吸い込んでエアクーラ17A及び17Bに供給する。エアクーラ17A及び17Bは、海水を用いて加圧空気を冷却する。海水は、加圧空気の冷却に用いられた後、船外に排出される。
海水ポンプ42は、シーチェスト5から海水を吸い込んで海洋生物付着防止装置44に供給する。海洋生物付着防止装置44は、海水を電気分解して海洋生物付着防止液を生成する。海洋生物付着防止液は、次亜塩素酸ソーダを含む水溶液であり、殺菌作用を有する。海洋生物付着防止装置44は、海洋生物付着防止液供給ライン45を介して海洋生物付着防止液をシーチェスト5に供給する。海洋生物付着防止装置44は、海洋生物付着防止ライン46を介して海洋生物付着防止液を空気吹き出しチャンバ131C、132C、131P〜134P、131S〜134Sに供給する。海洋生物付着防止液により、シーチェスト5内、エアクーラ17A及び17B内、及び、空気吹き出しチャンバ131C、132C、131P〜134P、131S〜134S内に藻類や貝類(フジツボ、ムラサキ貝等)のような海洋生物が付着することが防止される。次亜塩素酸ソーダを含む水溶液は自然分解によりもとの海水に戻るため、次亜塩素酸ソーダを含む水溶液が船外に流出しても周囲の海水が汚染されることが防がれる。尚、海洋生物付着防止装置44は、空気吹き出しチャンバ131C、132C、131P〜134P、131S〜134Sへの海洋生物付着防止液の供給を空気吹き出しチャンバ131C、132C、131P〜134P、131S〜134Sが空気を吹き出していないときだけ行うことが好ましく、シーチェスト5への海洋生物付着防止液の供給を常時行うことが好ましい。
図4を参照して、区画室95P及び96Pは、船首部2の左舷に設けられ、区画室95S及び96Sは、船首部2の右舷に設けられる。区画室95P及び96Pは互いに隣接する。区画室95S及び96Sは互いに隣接する。区画室95Pは区画室96Pの船首側に配置される。区画室95Sは区画室96Sの船首側に配置される。船体80は、区画室95Pと区画室95Sとを相互に接続する通路95Cと、バラストタンク75とを備える。船体80は、縦隔壁56P及び56Sと、横隔壁51P、52P、51S、52S、53、及び54とを備える。通路95Cは、船体80の中央に配置される。通路95Cは、区画室95Pと区画室95Sとの間に配置される。横隔壁52Pは、区画室95P及び96Pの間に配置される。横隔壁52Sは、区画室95S及び96Sの間に配置される。中甲板94は、区画室95P、96P、95S、及び96Sの床と通路95Cの床とを形成する。2甲板92は、区画室95P、96P、95S、及び96Sの天井と通路95Cの天井とを形成する。船体外板4pは、区画室95P及び96Pの外側の壁を形成する。縦隔壁56Pは、区画室95P及び96Pの内側の壁を形成し、通路95Cの左舷側の壁を形成する。船体外板4sは、区画室95S及び96Sの外側の壁を形成する。縦隔壁56Sは、区画室95S及び96Sの内側の壁を形成し、通路95Cの右舷側の壁を形成する。横隔壁51Pは、区画室96Pの船尾側の壁を形成する。横隔壁52Pは、区画室96Pの船首側の壁を形成し、区画室95Pの船尾側の壁を形成する。横隔壁51Sは、区画室96Sの船尾側の壁を形成する。横隔壁52Sは、区画室96Sの船首側の壁を形成し、区画室95Sの船尾側の壁を形成する。横隔壁53は、通路95Cの船尾側の壁を形成する。横隔壁54は、区画室95P、区画室95S、及び通路95Cの船首側の壁を形成する。バラストタンク75は横隔壁54の船首側に配置される。縦隔壁56Pの区画室95Pと通路95Cとの間の部分に、人が通ることができる開口59Pが形成されている。縦隔壁56Sの区画室95Sと通路95Cとの間の部分に、人が通ることができる開口59Sが形成されている。区画室95P、区画室95S、及び通路95Cは、一つの水密区画室を形成する。区画室96P及び区画室96Sは、一つの水密区画室を形成する。横隔壁51P、51S、52P、52S、及び54は、例えば、水密隔壁である。
空気潤滑システム1は、ブロワ13Aを駆動するモータ19Aと、ブロワ13Bを駆動するモータ19Bと、ブロワ13Aを制御する制御盤10Aと、ブロワ13Bを制御する制御盤10Bとを備える。モータ19Aはブロワ13Aに直結される。モータ19Bはブロワ13Bに直結される。制御盤10Aは、例えば、モータ19Aを制御するインバータパネルである。制御盤10Bは、例えば、モータ19Bを制御するインバータパネルである。
区画室95Pに、ブロワ13Aと、モータ19Aと、空気流量調整弁群30Pとが設けられる。空気流量調整弁群30Pは、隔壁54に沿って配置される。区画室96Pに、エアクーラ17Aが設置される。区画室95Sに、ブロワ13Bと、モータ19Bと、空気流量調整弁群30Sとが設けられる。空気流量調整弁群30Sは、隔壁54に沿って配置される。通路95Cに、制御盤10A及び10Bが設けられる。制御盤10A及び10Bは、横隔壁54に沿うように配置される。ブロワ13A及び13Bと制御盤10A及び10Bとは、同一水密区画の同一水平レベルに配置される。空気潤滑システム1全体の制御を行う制御盤(不図示)は、操舵室(不図示)又は機関制御室(不図示)に配置される。
空気潤滑システム1の機器が設置される区画室95P、96P、95S、及び96Sが船首部2の舷側に設けられるため、船舶90に空気潤滑システム1を設けることにより船倉容量が減少することが防がれる。船体80内の舷側近傍のスペースは船倉として利用しにくいためである。空気吹き出し部100C、100P、及び100Sに空気を供給するための空気配管を短くするため、空気潤滑システム1の機器を船首部2に配置することが好ましい。船舶90がやせ型船の場合であっても、中甲板94を1甲板91と2甲板93との間の高さに設けることで、空気潤滑システム1の機器を船首部2に設置するための床面積を確保することができる。したがって、中甲板94を設けることは、船舶90が、フェリーのように船速が速く船体がやせ型船の場合に有効である。
区画室95Pにブロワ13Aが設置され、区画室95Sにブロワ13Bが設置されるため、船舶90の横方向の重量バランスが確保される。区画室95Pにモータ19Aが設置され、区画室95Sにモータ19Bが設置されるため、船舶90の横方向の重量バランスが確保される。区画室96Pにエアクーラ17Aが設置され、区画室96Sにエアクーラ17Bが設置されるため、船舶90の横方向の重量バランスが確保される。
尚、区画室95Pが十分大きい場合、サイレンサ16A及びエアクーラ17Aを区画室95Pに設置してもよい。区画室95Sが十分大きい場合、サイレンサ16B及びエアクーラ17Bを区画室95Sに設置してもよい。
区画室95P及び95Sを接続する通路95Cが設けられているため、区画室95P及び95Sに設置される空気潤滑システム1の機器の点検及び保守が容易である。ここで、駆動部を有する機器は、異音や異常振動を頻繁に点検する必要があるため、ブロワ13A、モータ19A、空気流量調整弁群30P、ブロワ13B、モータ19B、及び空気流量調整弁群30Sを区画室95P及び95Sに配置することは重要である。
空気流量調整弁群30P及び30Sが横隔壁54に沿って配置されるため、点検者の立ち位置を容易に確保できる。したがって、空気流量調整弁群30P及び30Sの点検が容易である。また、分岐ライン21P〜24P及び21S〜24Sの上流側部分を形成する配管を隔壁54に沿って上下に延びるように配置することで、配管の施工が容易になり、配管と船殻部材とが干渉しなくなり、配管を真直ぐにすることができる。尚、空気流量調整弁群30P及び分岐ライン21P〜24Pの上流側部分を形成する配管は縦隔壁56Pに沿って配置されてもよく、空気流量調整弁群30S及び分岐ライン21S〜24Sの上流側部分を形成する配管は縦隔壁56Sに沿って配置されてもよい。
通路95Cが船体80の中央に配置され、制御盤10A及び10Bが横隔壁54に沿うように通路95Cに設置されるため、ブロワ13A及び13Bを制御するための配線(制御盤10Aとモータ19Aとを接続する配線及び制御盤10Bとモータ19Bとを接続する配線)を短くすることができる。
図5を参照して、船体80は(水密)区画室97を備える。区画室97の床は1甲板91により形成され、区画室97の天井は中甲板94により形成される。縦隔壁56Pは区画室97の左舷側の壁を形成する。縦隔壁56Sは区画室97の右舷側の壁を形成する。横隔壁53は区画室97の船尾側の壁を形成する。横隔壁54は区画室97の船首側の壁を形成する。海水ポンプ41及び42と、海洋生物付着防止装置44とが船体80内の比較的低い位置に設けられた区画室97に設けられる。したがって、海水ポンプ41及び42がシーチェスト5の近くに配置される。尚、区画室97がシーチェスト5の真上に配置されることが好ましい。
図6を参照して、2甲板92の区画室95Pの天井を形成している部分にハッチ62が形成されている。区画室95P内に階段又は梯子61が設けられる。船員は2甲板92からハッチ62及び階段又は梯子61を通って中甲板94に降りることができる。船倉容量を確保するために、ハッチ62は舷側の近傍に設けられることが好ましい。尚、ハッチ62及び階段又は梯子61は、区画室95Sに対応して設けられても良い。リセス121Pの区画及びリセス122Pの区画は、中甲板94、縦隔壁56P、及び船体外板4pに囲まれている。リセス121Sの区画及びリセス122Sの区画は、中甲板94、縦隔壁56S、及び船体外板4sに囲まれている。船体80は(水密)区画室98を備える。区画室98の天井は1甲板91により形成される。区画室97の床にあたる1甲板91には、区画室97を区画室98に接続する開口(不図示)が形成されている。区画室97の天井にあたる中甲板94には、区画室97を通路95Cに接続する開口(不図示)が形成されている。したがって、区画室98、区画室97、区画室95P、区画室95S、及び通路95Cは、一つの水密区画室を形成する。
図7を参照して、空気吹き出しチャンバ131Pの構造を詳細に説明する。空気吹き出しチャンバ131Pは、両端(両側)が開放(開口)された筒部150と、複数の空気吹き出し孔140aが形成された空気吹き出し板140と、空気流入口160aが形成された蓋160と、拡散板170と、ねじ部品180とを備える。空気吹き出し板140は、筒部150の一方側を閉じるように筒部150に取り付けられる。例えば、空気吹き出し板140は筒部150に溶接される。空気吹き出し板140は、船体外板4p、又は、船体外板4pと同一面を形成するように接合される板材である。拡散板170は、所定の距離を隔てて空気流入口160aと向かい合うように、蓋160に取り付けられている。蓋160は、筒部150の一方側を閉じるように筒部150に取り付けられる。ねじ部品180は、蓋160を着脱可能に筒部150に取り付ける。拡散板170は、所定の距離を隔てて複数の空気吹き出し孔140aと向かい合う。空気流入口160aに分岐ライン21Pが接続される。
分岐ライン21Pを通って供給される加圧空気は、空気流入口160aから筒部150内に流入する。その流入空気は、拡散板170にぶつかって拡散した後、空気吹き出し孔140aから水中に吹き出す。拡散板170により、空気流入口160aの正面に配置される空気吹き出し孔140aから吹き出される空気流量が多くなることが防止され、その結果、複数の空気吹き出し孔140aから均一に空気が吹き出される。
更に、蓋160が脱着可能であるため、空気吹き出しチャンバ131Pの点検や保守が容易である。
空気吹き出しチャンバ132P〜134Pも空気吹き出しチャンバ131Pと同様に構成される。ただし、空気吹き出しチャンバ132Pの空気流入口160aは分岐ライン22Pに接続され、空気吹き出しチャンバ133Pの空気流入口160aは分岐ライン23Pに接続され、空気吹き出しチャンバ134Pの空気流入口160aは分岐ライン24Pに接続される。
空気吹き出しチャンバ131S〜134Sも空気吹き出しチャンバ131Pと同様に構成される。ただし、空気吹き出しチャンバ131Sの空気流入口160aは分岐ライン21Sに接続され、空気吹き出しチャンバ132Sの空気流入口160aは分岐ライン22Sに接続され、空気吹き出しチャンバ133Sの空気流入口160aは分岐ライン23Sに接続され、空気吹き出しチャンバ134Sの空気流入口160aは分岐ライン24Sに接続される。空気吹き出しチャンバ131S〜134Sの空気吹き出し板140は船体外板4s、又は、船体外板4sと同一面を形成するように接合される板材である。
空気吹き出しチャンバ131C及び132Cも空気吹き出しチャンバ131Pと同様に構成される。ただし、空気吹き出しチャンバ131Cの空気流入口160aは分岐ライン21Cに接続され、空気吹き出しチャンバ132Cの空気流入口160aは分岐ライン22Cに接続される。空気吹き出しチャンバ131C及び132Cの空気吹き出し板140は船体外板4c、又は、船体外板4cと同一面を形成するように接合される板材である。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る船舶を説明する。本実施形態に係る船舶は、以下の説明を除いて第1の実施形態に係る船舶と同様に構成される。
図8Aを参照して、本実施形態に係る空気潤滑システム1において、空気流量調整弁群30Pがオリフィス群35Pで置き換えられ、空気流量調整弁37Pが空気供給ライン20Pに設けられる。オリフィス群35P及び空気流量調整弁37Pは、区画室95Pに配置される。空気流量調整弁37Pは、空気供給ライン20Pの分岐部より上流側に設けられる。オリフィス群35Pは、分岐ライン21P〜24Pの上流側部分にそれぞれ設けられた複数のオリフィス36Pを備える。オリフィス群35Pは、横隔壁54又は縦隔壁56Pに沿って配置される。
図8Bを参照して、本実施形態に係る空気潤滑システム1において、空気流量調整弁群30Sがオリフィス群35Sで置き換えられ、空気流量調整弁37Sが空気供給ライン20Pに設けられる。オリフィス群35S及び空気流量調整弁37Sは、区画室95Sに配置される。空気流量調整弁37Sは、空気供給ライン20Sの分岐部より上流側に設けられる。オリフィス群35Sは、分岐ライン21S〜24Sの上流側部分にそれぞれ設けられた複数のオリフィス36Sを備える。オリフィス群35Sは、横隔壁54又は縦隔壁56Sに沿って配置される。
以上、実施の形態を参照して本発明による船舶を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、左舷に設けられたブロワ13A及びエアクーラ17Aを用いて左舷の空気吹き出し部100P及び右舷の空気吹き出し部100Sに加圧空気を分岐供給し、右舷に設けられたブロワ13B及びエアクーラ17Bを用いて中央の空気吹き出し部100Cに加圧空気を供給しているが、ブロワ13A及びエアクーラ17Aを右舷に、ブロワ13B及びエアクーラ17Bを左舷に設けてもよい。或いは、空気吹き出し部100P及び100Sに空気を供給するために二つのブロワを用意し、空気吹き出し部100Pに空気を供給する一方のブロワを左舷に設け、空気吹き出し部100Sに空気を供給する他方のブロワを右舷に設けてもよい。上記船舶は、船首部2の舷側の喫水DLWLより下方位置の区画室95P及び95S内にブロワ13A及び13Bを設置し、船底81にブロワ13A及び13Bよりの加圧空気の吐出部100P、100S、及び100Cを設ける船舶の改造方法により製造することができる。
空気吹き出し部100P及び100Sへの空気供給圧に比べて空気吹き出し部100Cへの空気供給圧を大きくすることが好ましい。ここで、空気吹き出し部100P及び100Sと空気吹き出し部100Cは、喫水が異なる。各吹き出し部に同一のブロワから加圧空気を供給する場合は、喫水が浅い空気吹き出し部100P及び100Sばかりに加圧空気が供給されない様、オリフィス等を設けて、加圧空気の流れを妨げる必要がある。これに対し、上記の場合は、ブロワ13Aを用いて空気吹き出し部100P及び100Sに加圧空気を供給し、ブロワ13Bを用いて空気吹き出し部100Cに加圧空気を供給しており、オリフィス等での喫水差の調整を行わないため、同一のブロワから各吹き出し部に加圧空気を供給する場合に比べ、省エネルギーである。