以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る家庭用電気製品である圧力炊飯方式の炊飯器を示す。この炊飯器は、電磁誘導加熱される内鍋10を着脱可能に収容する炊飯器本体11と、該炊飯器本体11に回動可能に取り付けた蓋体23とを備えたものである。
前記炊飯器本体11は、筒形状をなす胴体12と、該胴体12の下端開口を閉塞する底体13と、前記胴体12の上端開口を覆うように取り付ける肩体14とからなる外装体を備えている。この肩体14は、その略中央に内鍋10を着脱可能に配置するための開口部15を備え、この開口部15の正面側(図1中左側)に、蓋体23の閉塞状態を維持するための孔からなる係合受部16が設けられている。また、肩体14の開口部15には、筒状をなす内胴17と、非導電性材料からなる受け皿状の保護枠18とが配設されている。この保護枠18の下部外周面には、第1加熱手段である誘導加熱コイル19がフェライトコア20を介して配設されている。また、内胴17の外周部には、第2加熱手段である胴ヒータ21が配設されている。さらに、保護枠18には、該保護枠18を貫通して内部の内鍋10の温度を検出するための温度検出手段である内鍋用温度センサ22が配設されている。
前記蓋体23は、肩体14の背部に形成されたヒンジ受部に開閉(回動)可能に取り付けられ、炊飯器本体11の開口部15を閉塞するものである。この蓋体23は、炊飯器本体11の外装体と共に外表面材を構成する上板24と、該上板24の底を閉塞する下板35と、該下板35の下面に着脱可能に装着される内蓋56とを備えている。そして、この蓋体23の内部には、内鍋10内と外部とを連通する排気通路が設けられ、この排気通路に内鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧するための圧力投入手段であるリリーフ弁60が設けられている。
前記上板24には、その前部に蓋体23を開放操作するための操作部材27を回動可能に装着する装着孔25が設けられている。また、上板24の背部には、蒸気口ユニット30の配設凹部26が設けられている。
ここで、前記操作部材27は、装着孔25から露出されるロック解除操作部28を備え、その内面に、後述するロック部材37をロック解除方向に回転させるための押圧部29を設けたものである。この操作部材27は、図示しないキックバネによって上向きに付勢されている。
また、前記蒸気口ユニット30は、受け皿状の下ケース31と、該下ケース31に着脱可能に取り付けられる上ケース32と、これらケース31,32間をシールする蒸気口パッキン33とを備えている。そして、上板24の配設凹部26に配置し、下ケース31に設けた接続部34を後述する下板35の被接続部47に着脱可能に接続するものである。
図1および図2に示すように、下板35は、前記肩体14の上側の凹状の窪み形状と対応する形状をなす。この下板35の背部には、肩体14のヒンジ受部に軸によって回動可能に軸着されるヒンジ接続部36が設けられている。また、下板35の前部にはロック部材37が回動可能に取り付けられている。
前記ロック部材37は、蓋体23を炊飯器本体11に対して閉塞した状態に維持するためのもので、図3に示すように、金属板を屈曲加工することにより形成されている。このロック部材37には、その両側面に下板35に対して軸着するための軸部38が設けられている。また、ロック部材37の下端縁両側には、肩体14の係合受部16に着脱可能に係合し、肩体14の樹脂壁を挟んで内鍋10のフランジ部に係止する一対の係合爪部39がL字形状をなすように設けられている。さらに、ロック部材37には、上端中央に背面(ヒンジ接続部36)側上向きに傾斜して延び、前記操作部材27の押圧部29が当接する受部40が設けられている。なお、このロック部材37は、図示しない付勢手段であるキックバネによって図1に示す係合位置に付勢されている。
また、下板35の底には、図1に示すように、金属製のヒータカバー41を介して第3加熱手段である蓋ヒータ42が配設されるとともに、第2の温度検出手段である蓋体用温度センサ(図4参照)43が配設されている。また、下板35には、内蓋56に配設されたリリーフ弁60を収容し、排気通路の入り口部を構成する収容部44が設けられている。この収容部44は、下端開口のドーム形状のもので、正面側には駆動用開口部45が設けられ、この駆動用開口部45にパッキン46が配設されている。さらに、配設凹部26の下部に位置するように、蒸気口ユニット30の接続部34を着脱可能に接続する被接続部47が設けられている。
そして、下板35には、収容部44の正面側にリリーフ弁60の駆動手段であるソレノイド48が配設されている。このソレノイド48は、2ポジションソレノイドであり、通電の有無により進退するロッド49の先端に、パッキン46を介してリリーフ弁60の球状部材65を押圧する押圧部材50が配設されている。本実施形態のソレノイド48は、通電によりロッド49が図1中左向きに後退する一方、通電が遮断されることによりスプリング51の付勢力で図1中右向きに進出するように構成している。
前記押圧部材50には、ソレノイド48の駆動力を利用して蓋体23を開放不可能にロックする移動部材52が配設されている。この移動部材52は、図2に示すように矩形状の枠体からなり、ソレノイド48に通電されると、ロッド49が後退することにより押圧部材50を介してロック部材37の側に移動する一方、ソレノイド48に対する通電が遮断されると、ロッド49が進出することによりロック部材37から離反するように移動する。具体的には、この移動部材52は、ロック部材37の移動領域、即ち、受部40の下部である回動領域に一部が進入する第1移動位置であるロック位置(図6(B)参照。)と、ロック部材37の移動領域から完全に後退(離反)した第2移動位置であるアンロック位置(図6(A)参照。)と、の間を移動可能なものである。そして、移動部材52は、該移動部材52がロック位置に移動した状態で、ロック部材37の受部40との間に僅かな隙間(遊び)のみが形成される肉厚で形成されている。この隙間は、移動部材52がこのロック位置に移動している状態で、ロック部材37が回動されることにより、受部40が移動部材52に当接した状態で、ロック部材37の係合爪部39と肩体14の係合受部16とが、蓋体23が開放することのない予め設定した十分な係合代を確保できる寸法に設定されている。即ち、この隙間分、ロック部材37が回動した状態で、係合爪部39と係合受部16との係合代を十分に確保するように構成している。
このように構成した移動部材52は、ロック部材37の係合爪部39が肩体14の係合受部16に十分な係合代で係合した状態(以下「正常係合状態」と称する。)では、ロック位置に移動可能である。そして、このロック位置に移動することにより、ロック解除操作部28の操作によるロック部材37の係合解除方向への移動を阻止する。また、移動部材52は、係合爪部39と係合受部16との係合代が正常係合状態より少なく不十分で、内鍋10の内圧が高くなると蓋体23が開放する可能性がある状態(以下「異常係合状態」と称する。)では、ロック部材37の受部40に干渉(図9参照。)することにより、ロック位置への移動が阻止される。なお、この第3移動位置であるハーフロック位置に移動した状態で、ロック解除操作部28が操作されると、ロック部材37の係合解除方向への移動を許容してしまう。
そして、本実施形態の蓋体23には、移動部材52の移動位置を検出する位置検出手段として、下板35における移動部材52の横に、マイクロスイッチ53が設けられている。また、移動部材52には、このマイクロスイッチ53の可動接片54を押圧することにより、オン信号を出力させるための検知部材として突出部55が設けられている。そして、このマイクロスイッチ53は、移動部材52がロック位置に移動した状態で、可動接片54が図示しない固定接片に接触することにより、マイコン79にオン信号を出力する構成としている。
前記内蓋56は、金属製の内蓋本体57と、蓋パッキン58と、樹脂枠59とを備え、ヒータカバー41の下部に着脱可能に配設されるものである。この内蓋56には、下板35の収容部44内に配置されるリリーフ弁60が一体的に配設されている。
前記内蓋本体57は、放熱板の役割をなすもので、収容部44と対応する位置には内鍋10内と連通する開口部が設けられている。前記蓋パッキン58は、内鍋10の開口内周部に密着してシールするものである。前記樹脂枠59は、内蓋本体57の外周部に挟み込むことによって、蓋パッキン58を内蓋本体57との間に離脱不可能に装着するものである。
前記リリーフ弁60は、台形筒状をなす弁座部材61と、該弁座部材61を覆うカバー63と、これらの内部に収容された球状部材65とを備えている。弁座部材61は、内鍋10内が沸騰状態で、該内鍋10の内圧が大気圧と同等になるように排気可能な開口面積の通気孔62を備えている。カバー63は、収容部44の駆動用開口部45に対応し、パッキン46を介してソレノイド48の押圧部材50を進退可能に挿通する挿通孔64を備えている。球状部材65は、転動して通気孔62を閉塞することにより、内鍋10内の空気が外部に排気されるのを防止し、内鍋10内を大気圧より高い圧力に加圧可能とする。また、押圧部材50に押圧されて排気通路の閉塞を解除(開放)することにより、内鍋10の内圧を大気圧に戻す(平衡)ものである。本実施形態では、この球状部材65は、内鍋10内の圧力が1.30atmに昇圧すると、その圧力で通気孔62上から離反するように転動する重量のものを使用している。
なお、前記内蓋56を装着した蓋体23は、通気孔62を有する弁座部材61内、挿通孔64を有するカバー63内、カバー63と収容部44との隙間から、内蓋本体57とヒータカバー41との隙間、被接続部47内、および、蒸気口ユニット30内を経た経路が、内鍋10内と外部とを連通させる排気通路を構成する。
前記炊飯器において、肩体14の正面上部には、ユーザが炊飯条件を入力したり、該炊飯器の動作状態を表示するための操作パネル66が配設されている。この操作パネル66は、図4に示すように、中央に表示手段である液晶表示板67を備えている。この液晶表示板67の中段には、予約時刻や炊飯に要する残時間などを示す数値セグメント68が設けられている。そして、この数値セグメント68の上部には、無洗米の選択状態であるか否かを文字で示す無洗米セグメント69が設けられるとともに、その横に数値セグメント68の表示が炊飯に要する残時間(分)であることを文字で示すあとセグメント70が設けられている。また、数値セグメント68の下部には、2種の予約炊飯を「予約」、「1」および「2」という文字および数字で示す予約セグメント71が設けられている。さらに、この予約セグメント71の横には、内鍋10内を加圧しており内圧が予め設定した基準圧力より高いという圧力状態を文字で示す圧力表示部である圧力セグメント72が設けられている。さらにまた、この圧力セグメント72の横には、数値セグメント68の表示が炊飯に要する時間の単位を文字で示す分セグメント73が設けられている。そして、この液晶表示板67の周囲には、炊飯メニューの選択状態を示すために三角形状をなす複数の印セグメント74が設けられている。
また、操作パネル66には、液晶表示板67の周囲において、印セグメント74の横に位置するように、複数の炊飯メニューとして、白米の「ふつう」、「もちもち」および「しゃっきり」、そして、他の「熟成炊き」、「白米急速」、「炊きこみ」、「すしめし」、「おかゆ」、「おこわ」、「玄米」、「玄米活性」という文字表示75が設けられている。さらに、液晶表示板67の下側部には、2種の保温温度の選択状態を表示するために、「標準」および「高め」という文字で示す保温表示部76が設けられるとともに、それぞれに対応するLED77が設けられている。
さらに、操作パネル66は、入力手段である複数のスイッチ78a〜78hを備えている。液晶表示板の右側には、炊飯処理の実行スイッチである炊飯スイッチ78aと、予約炊飯の選択スイッチである予約スイッチ78bと、現在時刻や炊飯時刻などを変更するためのアップスイッチ78cおよびダウンスイッチ78dと、が設けられている。また、液晶表示板67の左側には、炊飯および保温処理や選択状態を解除(停止)するためのとりけしスイッチ78eと、炊飯メニューを選択するためのメニュースイッチ78fと、無洗米であるか否かを選択するための無洗米スイッチ78gと、保温処理の実行スイッチであるとともに保温処理のモードを選択するための保温選択スイッチ78hと、が設けられている。
このように構成した圧力炊飯器は、外装体と保護枠18との間に制御基板(図示せず)が配設され、この制御基板に実装した制御手段であるマイコン79により、予め設定したプログラムに従って制御が実行される。具体的には、マイコン79には、不揮発性の記憶手段であるROM80が内蔵され、このROM80に、炊飯および保温処理を含む複数の実行プログラム、および、各実行プログラムで使用する設定データ(データテーブル)などが記憶されている。
本実施形態では、実行スイッチである炊飯スイッチ78aの操作を検出すると、液晶表示板67によって設定された炊飯条件に基づいて、ROM80に記憶された炊飯プログラムに従って、予熱、中ぱっぱ、沸騰維持、および、2度炊きを含むむらしの各工程からなる炊飯処理を実行した後、引き続いて、炊き上げたご飯を所定温度に保温する保温処理を実行する。そして、炊飯処理では、中ぱっぱ工程を開始すると同時に、ソレノイド48への通電を開始し、内鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧可能な状態とする。この際、マイクロスイッチ53により移動部材52がロック位置に移動したか否か、即ち、移動部材52の移動量に基づいて、ロック部材37の係合爪部39が肩体14の係合受部16に安全な係合代で係合しているか否か、および、蓋体23を開放不可能なロック状態としたか否か、を検査する検査工程を実行する。そして、移動部材52のロック位置への移動を検出した場合には、ソレノイド48への通電を継続することにより、排気通路を閉塞して内鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧する加圧炊飯(調理)モードで炊飯処理(通常の第1処理)を実行(継続)する。また、移動部材52のロック位置への移動を検出しない場合には、ソレノイド48への通電を遮断し、排気通路を閉塞することのない常圧炊飯(調理)モードで炊飯処理(非常の第2処理)を実行する。
次に、マイコン79による第1実施形態の制御について具体的に説明する。
まず、ユーザが炊飯器を購入した状態では、マイコン79は、一次電池(図示せず)による3Vの電力でバックアップモードで動作している。そして、電源コードを商用電源に接続することにより5Vの電力が投入されると、スイッチ78a〜78hが操作されるまで待機し、いずれかの操作を検出すると、その入力処理を実行する。
そして、炊飯スイッチ78aの操作を検出すると、マイコン79は、図5に示すように、まず、ステップS1で、誘導加熱コイル19に通電を開始し、内鍋10の温度が約50℃程度となるように温度調節して加熱する予熱工程を実行する。
そして、予め設定した時間が経過することにより予熱工程が終了すると、ステップS2で、ソレノイド48への通電を開始してリリーフ弁60をオンすることにより内鍋10内を加圧可能な状態とした後、ステップS3で、ロック部材37の係合状態検査工程を実行する。
この係合状態検査工程は、ソレノイド48への通電を開始した後、予め設定した時間以内にマイクロスイッチ53がオン状態になるか否かを検出するものである。具体的には、図6(A)および図2に示すように、ソレノイド48への非通電状態では、ロッド49はスプリング51による付勢力で進出し、球状部材65を通気孔62から離反させ、それに連動して移動部材52もロック部材37の受部40から離反した状態となっている。
そして、図6(B)および図7に示すように、ロック部材37の係合爪部39が係合受部16に十分に係合している正常係合状態で、ソレノイド48へ通電が開始されると、ロッド49が後退することにより、球状部材65が通気孔62上に転動し、該通気孔62を閉塞する。また、連動して移動部材52が前方へ移動し、ロック部材37の受部40の移動領域である下部に進入する。その結果、移動部材52の突出部55が可動接片54を押圧することにより、マイクロスイッチ53がオン信号を出力する。よって、マイコン79は、この信号が入力されることにより、ロック部材37が正常係合状態であり、移動部材52によってロック部材37を開放操作不可能なロック状態となっていることを認識できる。
一方、図8および図9に示すように、ユーザによる蓋体23の閉塞操作が不十分であり、ロック部材37の係合爪部39が係合受部16に十分に係合していない異常係合状態では、ソレノイド48へ通電が開始されると、ロッド49が後退することにより、球状部材65を通気孔62上に転動させて、該通気孔62を閉塞することができる。しかし、連動して移動部材52が前方へ移動すると、異常係合状態のロック部材37の受部40に移動部材52が干渉することによりハーフロック位置で停止し、該移動部材52が受部40の下部に進入することができない。その結果、移動部材52の突出部55が可動接片54を十分に押圧することができないため、マイクロスイッチ53はオン信号を出力することはない。よって、マイコン79は、所定時間が経過しても、マイクロスイッチ53からオン信号が入力されないことにより、ロック部材37が異常係合状態であり、移動部材52によってロック部材37をロック状態としていないことを認識できる。
このようにして係合状態検査工程の実行が完了すると、マイコン79は、図5に示すように、ステップS4で、マイクロスイッチ53からの入力信号により、正常係合状態を検出した場合には、ステップS5で、圧力セグメント72を点灯させた後、ステップS6で、加圧炊飯モードによる第1処理を実行する。また、異常係合状態を検出した場合には、ステップS7で、ソレノイド48への通電を遮断し、内鍋10内への圧力投入を解除した後、ステップS8で、常圧炊飯モードによる第2処理を実行する。
第1処理では、図10(A)に示すように、まず、ステップS6−1,S6−2で、第1昇温工程と第1容量判別工程とを並行処理する。ステップS6−1の第1昇温工程は、誘導加熱コイルに対して100%(フルパワー)の電力で通電し、内鍋10内の米飯を含む水を沸騰させるものである。また、ステップS6−2の第1容量判別工程は、加熱中の内鍋10の温度の上昇勾配により、内鍋10内に収容された炊飯容量を判別するものである。
第1昇温工程が終了すると、ステップS6−3で、蓋体用温度センサ43の入力値に基づいて誘導加熱コイル19を制御して第1沸騰維持工程を実行する。予め設定した時間が経過することにより第1沸騰維持工程が終了すると、ステップS6−4で、誘導加熱コイル19に対する通電量を上げて第1炊き上げ工程を実行する。
第1炊き上げ工程で、検出温度に基づいて内鍋10内のドライアップを検出すると、ステップS6−5の第1むらし工程と、ステップS6−6の圧力セグメント表示変更処理とを並行処理する。ステップS6−5の第1むらし工程は、ソレノイド48への通電を遮断し、内鍋内への圧力投入を解除する。そして、胴ヒータ21および蓋ヒータ42に通電を開始する一方、誘導加熱コイル19への通電は遮断するものである。ステップS6−6の圧力セグメント表示変更処理は、ソレノイド48への通電の遮断による圧力投入解除時の温度から、内鍋10内が大気圧と平衡する圧力(対応する温度)に降下するまでの時間を設定し、その設定時間の経過後に圧力セグメント72の表示を消灯するものである。
予め設定した時間が経過することにより、表示変更処理を含むむらし工程が終了するとリターンして炊飯処理を終了する。そして、続いて保温処理に移行する。
一方、第2処理では、図10(B)に示すように、まず、ステップS8−1,S8−2で、第1処理と同様の第2昇温工程と第2容量判別工程とを並行処理する。
第2昇温工程が終了すると、ステップS8−3で、蓋体用温度センサ43の入力値に基づいて誘導加熱コイル19を制御して第2沸騰維持工程を実行する。この第2沸騰維持工程は、第1処理の第1沸騰維持工程と比較すると、内鍋10内の温調温度や通電率が異なるものである。そして、予め設定した時間が経過することにより第2沸騰維持工程が終了すると、ステップS8−4で、誘導加熱コイル19に対する通電量を上げて第2炊き上げ工程を実行する。この第2炊き上げ工程は、第1処理の第1炊き上げ工程と比較すると、ドライアップしたと判断する温度が異なるものである。
第2炊き上げ工程で、内鍋10内のドライアップを検出すると、ステップS8−5の第2むらし工程を実行する。このステップS8−5の第2むらし工程は、ソレノイド48への通電を並行処理しない点で第1むらし工程と相違するものである。
そして、予め設定した時間が経過することにより、第2むらし工程が終了するとリターンして炊飯処理を終了する。その後、続いて保温処理に移行する。
このように、本実施形態の炊飯器では、マイクロスイッチ53によって移動部材52の移動位置を検出することより、簡単な構成でロック部材37の係合爪部39と炊飯器本体11の係合受部16との係合状態を確実に検出できる。また、正常係合状態では通常の第1処理を実行し、異常係合状態では非常の第2処理を実行する。そして、第1処理としては、リリーフ弁60によって内鍋10内を大気圧より高い圧力に昇圧して炊飯を行う加圧炊飯モードを実行し、第2処理としては、排気通路を閉塞することなく炊飯を行う常圧炊飯モードを実行する。そのため、制御の実行中に蓋体23が意図することなく開放することを確実に防止したうえで、いずれの状態でも炊飯を実現できる。
また、本実施形態の移動部材52は、ロック解除操作部28の操作によるロック部材37の係合解除方向への移動を阻止するものであるため、マイクロスイッチ53によってロック位置への移動を確認することにより、蓋体23を開放不可能なロック状態としていることも確実に検出できる。そのため、製品の安全性を高めることができる。即ち、ロック部材37が正常係合状態であり、移動部材52でロック部材37のロック解除方向への移動を確実に阻止している場合には、加圧調理モードを実行するため、確実な安全対策が必要な状況での安全性を確保できる。一方、ロック部材37が異常係合状態であり、移動部材52でロック部材37のロック解除方向への移動を阻止していない場合には、常圧調理モードを実行するため、比較的安全対策が緩和な状況では、内鍋10内の圧力で蓋体23が不意に開放することを防止できる。しかも、移動部材52は、リリーフ弁60を駆動するソレノイド48を駆動手段として兼用しているため、部品点数の削減を図り、コストダウンを図ることができる。
(第1実施形態の変形例)
なお、この第1実施形態の炊飯器では、第2処理は、排気通路を閉塞することなく炊飯を行う常圧炊飯モードを実行する構成としたが、第1処理である加圧炊飯モードを停止する構成としてもよい。このようにしても、制御の実行中に蓋体23が開放することを確実に防止し、安全性を確保できる。
但し、この場合には、この第2処理の実行中、即ち、停止中に、ユーザが蓋体23の閉塞状態を直し、炊飯スイッチ78aの再操作を検出すると、係合状態検査工程を再び実行し、正常係合状態であることを確認した場合で、かつ、第1処理である炊飯処理による炊き上げ状態に影響が及ばない程度の時間(10分)以内である場合に、第1処理(炊飯処理)を継続して実行することが好ましい。このようにすれば、常圧炊飯モード用のプログラムを搭載する必要がないため、ROM80の容量を削減でき、コストダウンを図ることができる。また、排気通路を閉塞することなく炊飯を行う常圧炊飯モードでも、少なからず内鍋10の内圧は大気圧より高くなるため、この状態で蓋体23を開放できるという状況をなくすことができる。その結果、製品の安全性を確保できる。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の炊飯器のマイコン79による制御を示す。この第2実施形態では、マイクロスイッチ53によるロック部材37の係合状態検査工程を、炊飯スイッチ78aの操作を受け付けた直後に実行するようにした点で、第1実施形態と大きく相違している。
即ち、第2実施形態のマイコン79は、炊飯スイッチ78aの操作を検出すると、図11に示すように、まず、ステップS10で、ソレノイド48への通電を開始してリリーフ弁60をオンすることにより内鍋10内を加圧可能な状態とした後、ステップS11で、ロック部材37の係合状態検査工程を第1実施形態と同様に実行する。
係合状態検査工程が完了すると、ステップS12で、ソレノイド48への通電を遮断してリリーフ弁60をオフする。その後、ステップS13で、マイクロスイッチ53からの入力信号により正常係合状態を検出した場合には、ステップS14に進み、加圧炊飯モードによる第1処理を実行する。また、異常係合状態を検出した場合には、ステップS15に進み、常圧炊飯モードによる第2処理を実行する。
なお、第2実施形態の第1処理は、図10(A)に示す第1実施形態の第1処理に、図5に示すステップS1の予熱工程、ステップS2の圧力投入手段のオン、および、ステップS5の圧力セグメント72の点灯、を付加したものである。また、第2実施形態の第2処理は、図10(B)に示す第1実施形態の第2処理に、図5に示すステップS1の予熱工程を付加したものである。
このように構成した第2実施形態の炊飯器は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。なお、炊飯スイッチ78aは、予約炊飯の実行(確定)スイッチを兼用するものである。そして、第2実施形態では、炊飯スイッチ78aの操作直後に係合状態検査工程を実行できるため、ユーザが予約炊飯を実行した際に蓋体23の異常係合状態を検出することができる。よって、実際の炊飯処理の実行時に異常を検出することによる不都合を回避できる。
(第2実施形態の変形例)
なお、この第2実施形態では、第1実施形態の変形例と同様に、第2処理は、第1処理である加圧炊飯モードを停止する構成としてもよい。このようにしても、制御の実行中に蓋体23が開放することを確実に防止し、安全性を確保できる。しかも、第1実施形態の変形例と比較すると、実質的な炊飯処理は全く実行していないうえ、炊飯スイッチ78aを操作した直後であるため、ユーザが蓋体23の閉塞状態を直して炊飯スイッチ78aの再操作させることが可能であるうえ、炊飯処理による炊き上げ状態に影響が及ぶことはない。また、常圧炊飯モード用のプログラムが必要ないため、コストダウンを図ることができる。
(第3実施形態)
図12および図13は、第3実施形態の炊飯器を示す。この第3実施形態では、蓋体23の開閉状態を検出する蓋状態検出手段として、図12に示すように、蓋体23の下板35に磁石81が配設されるとともに、炊飯器本体11における蓋体23の閉塞状態で磁石81と上下に対応する位置にリードスイッチ(図示せず)が配設されている。このリードスイッチは、蓋体23が閉塞されると、対向位置の磁石81の磁力で接点が閉じ(オン)、蓋体23が開放されると、接点が開く(オフ)ことにより、蓋体23の開閉状態を検出できる。
そして、この第3実施形態のマイコン79は、マイクロスイッチ53によるロック部材37の係合状態検査工程を、炊飯スイッチ78aの操作を受け付ける前に予め実行するようにした点で、第1および第2実施形態と大きく相違している。
即ち、第3実施形態のマイコン79は、ユーザが炊飯器を購入した状態では、一次電池(図示せず)による3Vの電力でバックアップモード(以下のステップS21)で動作している。
この状態で、マイコン79は、図13に示すように、ステップS20で、電源回路を介してゼロクロスパルスが入力されか否かにより、商用電源に接続されているか否かを検出する。そして、商用電源への接続を検出しない場合にはステップS21の停電処理を継続する。また、商用電源が投入され、ゼロクロスパルスが入力されることにより商用電源からの通電を検出した場合には、ステップS22に進む。
ステップS22では、停電前の状態と停電復帰時の状態とに基づいた停電復帰処理を実行してステップS23に進む。具体的には、この停電復帰処理では、停電前の状態が炊飯処理の実行中であった場合で、停電時間が10分未満である場合には、停電前の状態から炊飯処理を継続して実行する。また、停電前がそれ以外の状態では、予約炊飯を含む炊飯処理および保温処理のいずれも実行していない待機状態とするものである。
ステップS23では、蓋体23が開放操作されているか否かを示すフラグfが0であるか否かを検出する。そして、fが0(閉塞状態)である場合にはステップS24に進み、fが1(開放状態)である場合にはステップS26に進む。
ステップS24では、リードスイッチからの入力信号により蓋体23が開放されたか否かを検出する。そして、蓋体23の開放を検出した場合にはステップS25に進み、fに1を入力して蓋体23が開放されていることを記憶してステップS26に進む。また、蓋体23の開放を検出しない場合にはステップS29に進む。
ステップS26では、リードスイッチからの入力信号により蓋体23が閉塞されたか否かを検出する。そして、蓋体23の閉塞を検出した場合にはステップS27に進み、fに0を入力して蓋体23が閉塞されていることを記憶した後、ステップS28で、ソレノイド48に対して所定時間通電を行うことにより、第1実施形態と同様に、ロック部材37の係合状態検査工程を実行してステップS29に進む。また、蓋体23の閉塞を検出しない場合には、そのままステップS29に進む。
ステップS29では、いずれかのスイッチ78a〜78hが操作されたか否かを検出する。そして、いずれかのスイッチ78a〜78hの操作を検出すると、ステップS30に進み、いずれのスイッチ78a〜78hの操作も検出しない場合には、そのままステップS20に戻る。
ステップS30では、操作を検出したスイッチ78a〜78hが炊飯スイッチ78aであるか否かを判断する。そして、炊飯スイッチ78aでない場合にはステップS31に進み、操作を検出したスイッチ78b〜78hに対応するスイッチ受付処理を実行してステップS20に戻る。また、炊飯スイッチ78aである場合にはステップS32に進む。
ステップS32では、ステップS28での係合状態検査工程での結果が正常係合状態であるか否かを読み込む。そして、正常係合状態である場合にはステップS31に進み、炊飯スイッチ78aの操作を受け付けて、予約炊飯を含む炊飯処理を実行(第1処理)させる。また、異常係合状態である場合にはステップS33に進み、炊飯スイッチ78aの操作を受け付けることなく、エラー音等を出力する第2(報知)処理を実行する。
このように、第3実施形態では、炊飯スイッチ78aの操作と略同時にユーザに蓋体23の閉塞状態に異常があるか否かを認識させることができる。そのため、ユーザの使用上の利便性を向上できるうえ、予め設計した制御を確実に実行させることができる。
(第3実施形態の変形例)
なお、第3実施形態では、実行スイッチである炊飯スイッチ78a以外のスイッチ78b〜78hの操作を検出した場合でも、前記と同様に正常係合状態であるか否かを読み込み、ユーザに報知を行う構成としてもよい。このように、ユーザが炊飯器の近傍に確実に存在する状態で、ユーザに報知を行うことにより、ユーザの利便性を向上することができる。
(第3実施形態の他の変形例)
また、第3実施形態では、マイコン79は、電池からの3Vの電力によるバックアップモードの実行状態で商用電源が投入されると、電源回路を介してゼロクロスパルスが入力されることにより、商用電源からの電力で動作を開始する。そして、その直後のステップS22の停電復帰処理で、蓋体23の開閉状態を検出する。そして、閉状態を確認すると、係合受部16と係合爪部39の係合状態検査工程を実行する構成としてもよい。このようにすれば、特に、停電により炊飯処理が一時的に停止され、この際にユーザが蓋体23を開閉することにより異常係合状態となった場合に、その状態を確実に検出できる。その結果、意図しない蓋体23の開放を確実に防止できるとともに、設計通りの制御(炊飯処理)を実行させることができる。
(第4実施形態)
図14から図20は、第4実施形態の炊飯器を示す。この第4実施形態では、1個の位置検出手段により、移動部材52の移動位置を検出するとともに、蓋体23の開閉状態を検出できるようにした点で、各実施形態と大きく相違している。なお、本実施形態では、蓋体23は、圧力投入手段であるリリーフ弁60に加え、圧力調整手段である調圧弁(図示せず)を搭載している。この調圧弁は、ソレノイド85の駆動により内鍋10内の圧力を段階的に変圧するもので、ソレノイド85の先端には、調圧弁を下向きに押圧する押下部材86が配設されている。
具体的には、第4実施形態の位置検出手段は、図14から図16に示すように、移動部材52に検知部材として揺動部材87を配設し、この揺動部材87の近接および離反を非接触式センサであるフォトインタラプタ98によって検出する構成としている。
前記揺動部材87は、図17(A),(B)に示すように、棒状に延びる検知部88を備えている。この検知部88の先端には、ロック位置でフォトインタラプタ98の発光部99と受光部100との対向空間内の検出領域を除く位置に突出し(図17(C)参照)、対向空間内に残存した状態をなすように突出部89が設けられている。この揺動部材87には、下向きに突出する釣合部90が設けられ、この釣合部90の上部に装着孔91が設けられている。この釣合部90の下端には、別体の錘92が配設され、検知部88が水平方向に延びた状態で釣り合うように構成している。
この揺動部材87は、移動部材52に一体的に設けた保持機構である保持部93に揺動可能に配設される。この保持部93は、移動部材52の側部に突設されており、一対の支持壁94A,94Bを備えている。これら支持壁94A,94Bの上部には、装着孔91に対応する装着孔95が設けられ、これらに別体のピン96を貫通させることにより、揺動部材87を揺動可能に装着している。また、支持壁94A,94Bには、装着孔95の上端後側、即ち、検知部88が突出する側に、検知部88に対して所定の隙間をもって位置し、該検知部88が当接することにより揺動部材87の回動を停止するストッパ部97が架設されている。このストッパ部97は、揺動部材87の検知部88が当接した状態で、フォトインタラプタ98の対向空間内の検出領域を除く位置に一部が進入した状態を維持するように構成している(図17(D)参照)。
この保持部93に保持させた揺動部材87は、検知部88が支持壁94A,94Bに対して直交(水平)方向に延びた第1可動位置から、検知部88がストッパ部97に当接した第2可動位置にかけて移動可能である。そして、この揺動部材87は、蓋体23を閉塞した状態で移動部材52がソレノイド48によってロック位置に移動されると、第1可動位置を保持した状態で、保持部93を介してロック部材37の側に移動する。また、揺動部材87は、蓋体23が開放されると、錘92が下側に位置する状態を保持しようとすることにより、ピン96を支点として第2可動位置に回動する。但し、この回動は、検知部88がストッパ部97に当接した状態で停止する。
前記フォトインタラプタ98は、揺動部材87の検知部88の近接および離反を非接触状態で検出するもので、発光素子を配設した発光部99と、受光素子を配設した受光部100とを備えている。これら発光部99と受光部100とは対向配置され、これらの対向空間の一部が検出領域を構成する。このフォトインタラプタ98は、検出領域に遮蔽物である検知部88が存在しない状態では、発光素子の光を受光素子が受光可能であり、検出領域に検知部88が進入した状態では、発光素子の光を受光素子が受光できない。そして、検知部88の検出状態を意味する受光状態または非受光状態を、所定の信号としてマイコン79に出力する。
このフォトインタラプタ98は検出基板101に実装され、揺動部材87の検知部88と対応する高さに設置されている。ここで、受光部100の実質的な検出部は、対向面に設けた露出孔100aの内部に位置する。そのため、この露出孔100aの軸方向の同一形状領域が、検出領域を構成する。この露出孔100aは、図17(C)に示すように、移動部材52がロック位置にある状態で、揺動部材87の突出部89の上方に位置され、この突出部89では発光部99からの受光路を遮断しないように構成している。また、露出孔100aは、図17(D)に示すように、検知部88がストッパ部97に当接した第2可動位置で、検知部88の下端より下側に位置され、この第2可動位置で検知部88により受光路を遮断しないように構成している。そして、このフォトインタラプタ98は、移動部材52がアンロック位置およびハーフロック位置に移動した状態では検知部88で受光路を遮断し、移動部材52がロック位置に移動した状態では突出部89が受光路下に位置し、検知部88で受光路を遮断しない位置に設置されている。即ち、移動部材52がアンロック位置からハーフロック位置までの移動距離(間隔)をS1、アンロック位置からロック位置までの移動距離をS2とすると、これらはS1<S2である。そのため、その移動距離S1以下の領域が、フォトインタラプタ98の非検出領域となるように設置する。これにより、移動部材52を介して揺動部材87が距離S1を越えて移動すると、検知部88が非検出領域から逸脱し、その状態を検出できるように構成している。
また、第4実施形態のマイコン79は、ソレノイド48への通電状態でのフォトインタラプタ98からの入力信号に基づいて、係合爪部39と係合受部16との係合状態を判断(検出)し、ソレノイド48への非通電状態でのフォトインタラプタ98からの入力信号に基づいて、蓋体23の開閉状態を判断する。
具体的には、炊飯器本体11に対して蓋体23を略水平方向に位置するように閉塞し、ソレノイド48を介して移動部材52をアンロック位置に移動させている状態では、揺動部材87は図16に示す状態をなす。この状態では、揺動部材87の検知部88がフォトインタラプタ98の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ98はオフ信号を出力する。そのため、マイコン79は、図20に示すように、ソレノイド48を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ98がオフ信号を出力した状態を検出することにより、蓋体23を閉塞した状態を判断できる。
また、ユーザが炊飯器本体11に対して蓋体23の開放操作を行うと、蓋体23は、図18(A)に示す傾斜した状態を経て、図18(B)に示す略上向きに延びる位置まで回動する。そして、揺動部材87が保持部93のストッパ部97に当接するまでは、図18(A)に示すように、揺動部材87の検知部88は、水平方向に延びた状態を維持する。また、蓋体23の開放状態では、図18(B)に示すように、揺動部材87の検知部88がフォトインタラプタ98の検出領域から離反し、該フォトインタラプタ98はオン信号を出力する。そのため、マイコン79は、図20に示すように、ソレノイド48を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ98がオン信号を出力した状態を検出することにより、蓋体23を開放した状態を検出できる。
さらに、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部39と係合受部16とが正常係合状態である場合に、ソレノイド48をロック作動させると、移動部材52を介して揺動部材87は図19(A)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材87の検知部88がフォトインタラプタ98の検出領域から離反しているため、該フォトインタラプタ98はオン信号を出力する。そのため、マイコン79は、図20に示すように、ソレノイド48を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ98がオン信号を出力した状態を検出することにより、係合爪部39と係合受部16とが正常係合状態であることを検出できる。
そして、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部39と係合受部16とが異常係合状態である場合に、ソレノイド48をロック作動させると、移動部材52を介して揺動部材87は図19(B)に示す状態に位置する。この状態では、揺動部材87の検知部88がフォトインタラプタ98の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ98はオフ信号を出力する。そのため、マイコン79は、図20に示すように、ソレノイド48を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ98がオフ信号を出力した状態を検出することにより、係合爪部39と係合受部16とが異常係合状態であることを検出できる。
このように、第4実施形態の炊飯器は、1個のセンサ98で、係合爪部39と係合受部16との係合状態、および、蓋体23の開閉状態を判断できる。そのため、第3実施形態と比較して製品コストの増大を抑制できるとともに、大型化を防止できる。しかも、揺動部材87には、移動部材52をロック位置に移動させた状態で、発光部99と受光部100との対向空間内の検出領域を除く位置に突出する突出部89を設けている。また、揺動部材87は、ストッパ部97に当接した状態で、発光部99と受光部100との対向空間内の検出領域を除く位置に一部が進入した状態を維持するように構成としている。そのため、移動部材52が第2移動位置から第1移動位置に移動する際、および、揺動部材87が第2作動位置から第1作動位置に揺動する際に、揺動部材87の検知部88が発光部99または受光部100の筐体に干渉することを防止できる。その結果、揺動部材87の作動不良を防止できる。
なお、第4実施形態の検査工程では、まず、ソレノイド48によるロック作動を実行することなく、アンロック作動状態でフォトインタラプタ98からの入力信号を確認することにより、蓋体23の開閉状態を判断する。その後、蓋閉状態である場合には、ロック作動させた状態でフォトインタラプタ98からの入力信号を確認することにより、係合爪部39と係合受部16との係合状態を判断する構成とする。
そして、炊飯開始直後の予熱工程、第1処理でのリリーフ弁60の作動開始時(昇温工程等)、および、予約炊飯の予約スタート時に、蓋体23の開閉状態を含む、係合爪部39と係合受部16との係合状態の検査工程を行うことにより、ユーザの誤使用による異常炊飯を防止できる。例えば、ユーザは、「炊きこみ」を選択した場合、炊飯処理の実行中に蓋体23を開放して具を内鍋10に入れることがある。また、通常の白米メニューを選択していても、途中で蓋体23を開放することが考えられる。そして、検査工程で蓋体23が開放していることを検出した際には、炊飯処理を一時的に停止させたり、完全に停止させたりすることができる。また、蓋体23を異常係合状態で閉塞している場合がある。そのため、炊飯開始直後だけでなく、リリーフ弁60の作動時に、蓋体23の開閉状態と、係合爪部39と係合受部16との係合状態とを検査することにより、迅速に異常を判断できる。
また、第3実施形態と同様に、炊飯処理を実行していない状態で、蓋体23の閉塞を検出した直後にソレノイド48をオン、オフさせて検査工程を実行することにより、いずれかのスイッチ78a〜78hを操作した直後に、異常係合状態をユーザに報知することができる。
(第4実施形態の変形例)
なお、第4実施形態では、揺動部材87は、水平方向に延びる検知部88と、垂直方向に延びる釣合部90とからなる逆L字形状に形成したが、図21に示すように、垂直方向に垂下する検知部88のみにより構成してもよい。また、揺動部材87の検知部88は、水平方向に延びる構成に限られず、所定角度で傾斜する構成としてもよい。このようにしても、第4実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
(第5実施形態)
図22および図23(A),(B),(C)は第5実施形態の炊飯器を示す。この第5実施形態では、検知部材を転動可能な球状部材102により構成した点で、第4実施形態と相違している。
この第5実施形態の保持機構は、移動部材52に対して配設した容器103からなる。この容器103は、球状部材102を転動可能に収容するもので、移動部材52に対して蓋体23のヒンジ接続部36の側に向けて上向きに傾斜して延びるように設けられている。この容器103の下部には、球状部材102より直径が小さい透光孔104が設けられている。なお、容器103は、全体をヒンジ接続部36の側に向けて傾斜させるのではなく、球状部材102が接触する下側の転動面だけをヒンジ接続部36の側に向けて上向きに傾斜させてもよい。
第5実施形態の位置検出手段は、第4実施形態と同様に、発光部99と受光部100とを有するフォトインタラプタ98により構成している。そして、このフォトインタラプタ98は、発光部99と受光部100とが容器103の透光孔104の両側で対向するように構成されている。
このように構成した第5実施形態では、第4実施形態と同様に、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、ソレノイド48を介して移動部材52をアンロック位置に移動させている状態では、球状部材102は、容器103の傾斜により図22に示すように下端(第1可動位置)に位置する。この状態では、球状部材102がフォトインタラプタ98の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ98はオフ信号を出力する。そのため、マイコン79は、ソレノイド48を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ98がオフ信号を出力した状態を検出することにより、蓋体23を閉塞した状態を判断できる。
また、ユーザが炊飯器本体11に対して蓋体23を開放した場合には、球状部材102は、図23(A)に示すように、自重により透光孔104から離間した第2可動位置に移動した状態をなす。この状態では、球状部材102がフォトインタラプタ98の検出領域から離反しているため、該フォトインタラプタ98はオン信号を出力する。そのため、マイコン79は、ソレノイド48を駆動していないオフ状態で、フォトインタラプタ98がオン信号を出力した状態を検出することにより、蓋体23を開放した状態を検出できる。
さらに、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部39と係合受部16とが正常係合状態である場合に、ソレノイド48をロック作動させると、移動部材52を介して球状部材102は図23(B)に示す状態に位置する。この状態では、球状部材102および容器103がフォトインタラプタ98の検出領域から離反しているため、該フォトインタラプタ98はオン信号を出力する。そのため、マイコン79は、ソレノイド48を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ98がオン信号を出力した状態を検出することにより、係合爪部39と係合受部16とが正常係合状態であることを検出できる。
そして、炊飯器本体11に対して蓋体23を閉塞し、係合爪部39と係合受部16とが異常係合状態である場合に、ソレノイド48をロック作動させると、移動部材52を介して球状部材102は図23(C)に示す状態に位置する。この状態では、球状部材102がフォトインタラプタ98の検出領域に進入しているため、該フォトインタラプタ98はオフ信号を出力する。そのため、マイコン79は、ソレノイド48を駆動しているオン状態で、フォトインタラプタ98がオフ信号を出力した状態を検出することにより、係合爪部39と係合受部16とが異常係合状態であることを検出できる。
なお、本発明の家庭用電気製品は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、各実施形態では、移動部材52を平面視矩形状をなす単独の枠体により構成したが、図24および図25に示すように、矩形状をなす枠部材82と、該枠部材82が当接することにより回動する回動部材83とで構成し、ソレノイド48が通電されると、枠部材82が蓋体23の前方に向けて移動することにより回動部材83に当接し、該回動部材83の先端(一部)がロック部材37の受部40の移動領域に進入する構成としてもよい。この場合、回動部材83には、図24に示す後退位置に付勢するキックバネを配設することが好ましい。
また、各実施形態では、第1移動位置(ロック位置)に移動させた移動部材52の一部をロック部材37の移動領域に進入させ、その進入部分にロック部材37の受部40が当接することにより、操作部材27によるロック部材37の移動を阻止し、蓋体23を開放できないように構成したが、図26(A),(B)に示すように、ロック解除操作部28に直接当接する当接部84を移動部材52に設け、操作部材27の移動を阻止することにより、ロック部材37の移動を阻止する構成としてもよい。即ち、正常係合状態の係合受部16と係合爪部39との係合を解除できないようにするロック構造は、各実施形態のように、移動部材52によりロック部材37を回動できないようにしてもよいうえ、移動部材37により操作部材27自体を操作できないようにしてもよい。
さらに、各実施形態では、リリーフ弁60を動作させるソレノイド48のロッド49に移動部材52を配設し、リリーフ弁60の開閉動作に連動してロック部材37をロックおよびアンロックする構成としたが、専用のソレノイド(駆動手段)を設けてもよい。勿論、ソレノイド48の代わりにモータで駆動してもよい。
さらにまた、各実施形態では、ロック部材37および操作部材27を蓋体23に配設したが、炊飯器本体11に該ロック部材37および操作部材27を配設し、蓋体23に係合受部16を設けてもよい。
しかも、各実施形態では、マイクロスイッチ53またはフォトインタラプタ98により、ロック位置に移動した状態を検出する構成としたが、検出手段を複数個配設することにより、アンロック位置への移動状態を検出可能としたり、ロック位置からアンロック位置までの間を多段階に検出可能に構成してもよい。
また、第4および第5実施形態では、発光部99と受光部100とを対向配置したフォトインタラプタ98を用い、検知部材である揺動部材97および球状部材102により発光部99から受光部100への透光を遮断することにより、近接および離反状態を検出する構成としたが、揺動部材97および球状部材100を反射性を有する材料により構成し、これら受光部100の受光路に進入することにより受光可能となり、オン信号を出力する構成としてもよい。
そして、各実施形態では、ロック部材37の係合状態を移動部材52の移動位置を検出することにより検出可能とした家庭用電気製品として炊飯器を例に挙げて説明したが、自動製パン機や電気ポット、開閉可能な蓋体23を有するその他の家庭用電気製品でも同様に適用可能である。