JP5137720B2 - 光重合性組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及び、液晶表示素子 - Google Patents

光重合性組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及び、液晶表示素子 Download PDF

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Description

本発明は、光重合性組成物、特にカラーフィルタ用着色パターンの形成に有用な光重合性組成物、それを用いてなるカラーフィルタ、その製造方法、及び、そのカラーフィルタを備える液晶表示素子に関する。
光重合性組成物としては、例えば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物に光重合開始剤を加えたものがある。このような光重合性組成物は、光を照射されることによって重合硬化するため、光硬化性インキ、感光性印刷版、カラーフィルタ、各種フォトレジスト等に用いられている。
また、光重合性組成物としては、例えば、光の照射により酸を発生し、発生した酸を触媒とする他の態様もある。具体的には、発生した酸を触媒とする色素前駆体の発色反応を利用して、画像形成、偽造防止、エネルギー線量検出のための材料に用いられたり、発生した酸を触媒とする分解反応を利用した半導体製造用、TFT製造用、カラーフィルタ製造用、マイクロマシン部品製造用等のポジ型レジストなどに用いられたりしている。
近年、特に短波長(365nmや405nm)の光源に感受性を有する光重合性組成物が種々の用途から望まれており、そのような短波長の光源に対して優れた感度を示す化合物、例えば、光重合開始剤に対する要求が高まってきている。しかしながら、一般的に、感度に優れた光重合開始剤は安定性に欠けることから、感度向上と同時に経時安定性も満たす光重合開始剤が望まれている。
そこで、光重合性組成物に用いられる光重合開始剤として、種々のものが提案されている(例えば、非特許文献1、特許文献1〜3参照。)。しかし、光重合性組成物としては、経時安定性に優れると共に、さらなる優れた感度を有するものが望まれているのが現状である。
一方、液晶表示素子用カラーフィルタは、カラーフィルタの高着色濃度・薄膜化への要求がある。高着色濃度を得るために着色剤を多量に添加すると、感度が不足してしまい、全体的にパターンの欠落が発生する傾向がある。なお、この欠落をなくすためには、より高エネルギーの光照射が必要なため、露光時間が長くなり、製造上の歩留まり低下が顕著になる。以上のことからも、カラーフィルタ用の着色感放射線性組成物に関しては、着色剤を高濃度で含有しつつも良好なパターン形成性を得る必要があるという点から、感度が高いことが望まれているのが現状である。
一方、露光工程、現像工程の生産性を上げるために、レーザー光で露光し、パターン成形することが提案されている(特許文献4参照)。レーザーは通常用いられている水銀ランプと異なり、直進性が高く、出力も大きく、また焦点を絞ることも可能であり、露光工程でのパターン形成のマスクが不要であるという特徴を持つものとして期待されている。しかしながら、上記した先行技術をもってしても、現像工程で画素表面が粗れたり、感度不足のためパターンの安定性が十分でない等、カラーフィルタに要求される特性を満足するものではなかった。また、カラーフィルタのトータルとしてのコストを下げるという点で、露光装置としては、大きなフォトマスクを使用しないものが提案されている。(特許文献5,6参照)しかし、具体的な材料の提示はなく、それらの装置に適合した、かつ高感度の材料の提案が望まれていた。
ブルース M.モンロー(Bruce M.Monroe)ら著,ケミカル レビュー(Chemical Reviews),第93巻,(1993年) 米国特許第4134813号明細書 特開平1−253731号公報 特開平6−308727号公報 特開2003−287614号公報 特開2008−76709号公報 特開2008−51866号公報
本発明の第1の目的は、経時安定性に優れ、高感度で硬化し、更に、加熱経時による着色を抑制しうる硬化膜を形成可能な光重合性組成物、特に、カラーフィルタの着色パターンを形成するのに有用な光重合性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記光重合性組成物を用いてなる、パターン形状及び膜性の良好な着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、更には、該カラーフィルタを備えた液晶表示素子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の増感色素合物と特定の光重合開始剤を併用することで、高感度を有し、かつ、経時安定性にも優れるとの知見を得た。前記課題を解決するための具体的手段を以下に示す。
<1> (A1)下記一般式(I)で示される増感色素と、(A2)α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤と、(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、(C)着色剤と、(E)アルカリ可溶性樹脂とを含有する光重合性組成物。
Figure 0005137720
(一般式(I)中、Xは、O、S、又はNRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは、0、又は1を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を示す。R、R、R、及びRは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R又はRと、R又はRと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。)
<2> 前記(C)着色剤が顔料であり、且つ、(D)顔料分散剤を更に含有することを特徴とする<1>に記載の光重合性組成物。
<3> カラーフィルタの着色パターン形成に用いられる<2>に記載の光重合性組成物。
<4> 支持体上に、<3>に記載の光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
<5> 支持体上に、<3>に記載の光重合性組成物を塗布して光重合性組成物層を形成する工程と、前記光重合性組成物層をパターン露光する工程と、露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。
<6> 前記パターン露光が紫外光レーザー光源を用いてなされることを特徴とする<5>記載のカラーフィルタの製造方法。
<7> <4>に記載のカラーフィルタを備えた液晶表示素子。
本発明の光重合性組成物は、感度が高く、経時安定性に優れ、更に、加熱経時による着色を抑制しうる硬化膜を形成することが可能である。この詳細な機構は不明であるが、本発明においては、(A2)α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類から選ばれる重合開始剤と、(A1)特定の増感色素とを併用する開始系を採用しており、この特定増感色素は、三重項励起エネルギーが高く、α−アミノケトン類やアシルフォスフィンオキシド類等の重合開始剤に対して効率良く三重項エネルギー移動を起こすため、高感度で硬化しうるものと考えられる。また、特定増感色素は、一般的に使用されるチオキサントン系化合物よりも溶解性が高く、結晶性が低いため、光重合性組成物の溶液としての安定性に優れるものと考えられる。さらに、この特定増感色素は可視光領域に吸収を有しないため、着色硬化膜を形成する場合、色再現性に優れるという利点をも有するものである。
本発明によれば、経時安定性に優れ、高感度で硬化し、更に、加熱経時による着色を抑制しうる硬化膜を形成可能な光重合性組成物を提供することができる。この光重合性組成物は、良好なパターン形成性を有するカラーフィルタの着色パターン形成に有用である。
また、本発明によれば、上記光重合性組成物を用いてなる、パターン形状及び膜性が良好な着色パターンを備えたカラーフィルタ、及び、該カラーフィルタを高い生産性で製造しうる製造方法、更には、該カラーフィルタを備えた液晶表示素子を提供することができる。
<増感色素>
〔(A1)一般式(I)で示される増感色素〕
本発明の光重合性組成物は、下記一般式(I)で表される化合物に属する1種以上の特定増感色素を含有することを要する。
Figure 0005137720
前記式(I)において、XはO、S、又は、NRを表し、ここでRは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。好ましくはアルキル基、又はアシル基である。nは0又は1を表す。
Xとしては、O又はSであることが好ましく、Sであることがより好ましい。ここで、nが0の場合、R及びRと結合した炭素原子(CR)は存在せず、ヘテロ原子を含むXと、R及びRと結合した炭素原子と、が直接結合して、Xを含む5員のヘテロ環を構成することになる。
、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、または一価の置換基を表す。
、R、R、R、R、R、R及びRが1価の置換基を表す場合の、1価の置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基などが挙げられ、なかでも、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。
なお、一般式(I)におけるR、R、R、R、R、R、R及びRが1価の置換基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものがより好ましい。
同様に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
、R、R、及び、Rは、それぞれ隣接する2つが互いに連結、例えば、縮合、して環を形成していてもよい。
これらが環を形成する場合の環構造としては、5〜6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士がさらに組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。さらにこれらの環構造は、前記一般式(I)において、R乃至Rが1価の置換基を表す場合に例示した置換基をさらに有していてもよい。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
n=1の場合、RまたはRと、RまたはRは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。脂肪族環の環員数は、3〜6員環が好ましく、さらに好ましくは5員環、もしくは6員環が好ましい。
より好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(I−A)で示される増感色素が挙げられる。
Figure 0005137720
前記式(I−A)において、XはO又はSを表す。nは0又は1を表す。R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。R1A、R2A、R3A、及び、R4Aは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5AまたはR6Aと、R7AまたはR8Aは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらに好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(I−B)で示される増感色素が挙げられる。
Figure 0005137720
前記式(I−B)において、XはO又はSを表す。R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。また、R1B、R2B、R3B、及び、R4Bは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5BまたはR6Bと、R7BまたはR8Bは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
さらに好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(I−C)で示される増感色素が挙げられる。
Figure 0005137720
前記式(I−C)において、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
1C、R2C、R3C、及び、R4Cは、それぞれ隣接する2つが互いに縮合して5〜6員環の脂肪族環、芳香族環を形成していてもよく、これらの環は、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士がさらに組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。さらにこれらの環構造は、前記一般式(I)において、R、R、R、R、R、R、R及びRが1価の置換基を表す場合に例示した各置換基をさらに有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。R5CまたはR6Cと、R7CまたはR8Cは互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
またR1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cの少なくとも一つはハロゲン原子であることが好ましい。ハロゲン原子の好ましい置換位置としてはR1C、R2C、R3C、R4Cがあげられ、R2Cが最も好ましい。好ましいハロゲン原子の数としては好ましくは一つ、または二つ、さらに好ましくは一つである。
さらに、R2Cは水素以外の置換基であることが好ましく、中でもアルキル基、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、が好ましく、特にアルキル基、ハロゲン原子が好ましく、その場合、光源とのマッチングがよく高感度である。
7C及びR8Cのいずれかは水素以外の置換基であるほうが好ましく、両方とも水素以外の置換基であることがさらに好ましい。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基があげられ、中でもアルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがアルキル基である場合、そのアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数が1〜4個のものがより好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがアシルオキシ基である場合、そのアシルオキシ基としては、炭素数2〜10個の脂肪族アシルオキシ基が好ましく、炭素数が2〜5個の脂肪族アシルオキシ基がより好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがアルコキシカルボニル基である場合、そのアルコキシカルボニル基としては炭素数2〜10個の脂肪族アルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数が2〜5個のアルコキシカルボニル基がより好ましい。
本発明に好適に用いることのできる、特定増感色素の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−133)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005137720
Figure 0005137720
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Figure 0005137720
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なお、本発明に係る特定増感色素は、例えば、特開2004−189695公報、「Tetrahedron」第49巻,p939(1993年)、「Journal of Organic Chemistry」 p893(1945年)、及び、「Journal of Organic Chemistry」 p4939(1965年)などに記載の公知の方法によって合成することができる。
本発明の光重合性組成物における特定増感色素の含有量は、光重合性組成物に対して固形分で、0.05〜30質量%程度が好ましく、0.1〜20質量%であることがさらに好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。
なお、この特定増感色素は、可視光領域における吸収が殆どないため、効果を発現しうる量を添加しても光重合性組成物の色相に影響を与える懸念がないという利点をも有するものである。
含有量について、後述する(A2)重合開始剤との関連において述べれば、(A2)特定重合開始剤:(A1)特定増感色素の質量比で200:1〜1:200、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、20:1〜1:5の量で含まれることが好適である。
〔その他の増感色素〕
本発明においては、前記した特定増感色素に加え、公知の増感色素を本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができる。その他の増感色素は、特定増感色素に対して、特定増感色素:他の増感色素の質量比で1:5〜100:1、好ましくは、1:1〜100:1、より好ましくは、2:1〜100:1の量で添加することが可能である。
併用しうる公知の増感色素の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、特にまたイソプロピルチオキサントン、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンなどが挙げられる。
併用可能な光増感剤のさらなる例は、下記のとおりである。
(1)チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジ−エチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−〔2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル〕チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
(2)ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;
(3)3−アシルクマリン
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニルビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ〔f〕クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
(4)3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレンベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
(5)アントラセン
9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン、
(6)他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−ナフトラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α−(パラ−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
<重合開始剤>
本発明の光重合性組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明においては、以下に詳述する特定重合開始剤を含有することを特徴とするが、さらに、公知の重合開始剤を併用することもできる。本発明における重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
〔(A2)α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤〕
以下、本発明の特徴的な成分である特定重合開始剤について詳細に説明する。
本発明に好適に使用される重合開始剤は、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される光重合開始剤である。
特定重合開始剤であるα−アミノケトン系化合物は、以下の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0005137720
前記一般式(1)中、Arは、−SR13あるいは−N(R7E)(R8E)で置換されているフェニル基であり、ここで、R13は水素原子または、アルキル基を表す。
1DとR2Dはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。R1DとR2Dは互いに結合して炭素数2〜9のアルキレン基を構成してもよい。R3DとR4Dはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ置換された炭素数2〜4のアルキル基、又は、炭素数3〜5のアルケニル基を表す。ここで、R3DとR4Dとは互いに結合して炭素数3〜7のアルキレン基を形成してもよく、そのアルキレン基は、アルキレン鎖中に、−O−あるいは−N(R12)−を含むものであってもよく、ここでR12は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
7EとR8Eはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ置換された炭素数2〜4のアルキル基、又は、炭素数3〜5のアルケニル基を表す。ここで、R7EとR8Eとは互いに結合して炭素数3〜7のアルキレン基を形成してもよく、そのアルキレン基は、アルキレン鎖中に、−O−あるいは−N(R12)−を含むものであってもよい。ここで、R12は前記したものと同義である。
前記α−アミノケトン類に包含される化合物の例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、例えばイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の如き市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン類に包含される化合物であり、本発明に好適に使用しうる。
本発明に好ましく用いられるアシルフォスフィンオキシド類に包含される化合物としては、下記一般式(2)又は、一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005137720
前記一般式(2)中、R5D及びR6Dは、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、複素環基を表し、R7Dは、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表す。
5D、R6D又はR7Dが脂肪族基を表す場合の脂肪族基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
ここでアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。また、アルキル基は、置換基を有していても無置換であってよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のM等が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有する置換アルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有する置換アラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
5D、R6D又はR7Dが芳香族基を表す場合の芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記R5D又はR6Dが脂肪族オキシ基を表す場合の脂肪族オキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシエトキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
5D又はR6Dが芳香族オキシ基を表す場合の芳香族オキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、オクチルオキシフェニルオキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R5D、R6D又はR7Dが複素環基を表す場合の複素環基としては、N、O又はS原子を含む複素環基が好ましく、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピロリル基等が挙げられる。
Figure 0005137720
前記一般式(3)中のR8D及びR10Dは、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、複素環基を表し、R9Dは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環基を表す。前記R8D、R9D又はR10Dで表される、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、前記一般式(2)における場合と同様の置換基が挙げられる。
前記一般式(3)におけるアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基としては、前記一般式(2)で挙げたものを同様に挙げることができる。
前記一般式(2)又は(3)で表されるアシルフォスフィンオキシド系化合物としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
具体的なアシルフォスフィンオキシド系化合物の例としては、以下に示す化合物(例示化合物(P−1)〜(P−26))が挙げられるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 0005137720
Figure 0005137720
Figure 0005137720
なお、前記例示化合物中、例えば、(P−2)[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド]は、Darocur TPO(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製)の商品名で入手可能であり、(P−19)[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド]は、Irgacure 819(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製)の商品名で入手可能である。
本発明の光重合性組成物における(A2)特定重合開始剤の含有量は、固形分換算で、0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
〔他の重合開始剤〕
本発明の光重合性組成物は、光重合開始剤として、少なくとも上記特定重合開始剤を含むことを要するが、本発明の効果を損なわない限りにおいて、他の光重合開始剤を併用して用いてもよい。
併用可能な公知の重合開始剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン類又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパノン、ジアルコキシアセトフェノン類、α−ヒドロキシ−又は4−アロイル−1,3−ジオキソラン類、ベンゾインアルキルエーテル類及びベンジルケタール類、例えば、ベンジルジメチルケタール、グリオキサル酸フェニル及びその誘導体、二量体グリオキサル酸フェニル、ペルエステル類、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル類(例えば、EP 1126,541に記載されるような)、ハロメチルトリアジン類、例えば、2−〔2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル〕−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共同開始剤系、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールと組合せたオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール;フェロセニウム化合物又はチタノセン類(titanocenes)、例えば、ジシクロペンタジエニル−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピロロ−フェニル)チタン;例えば、GB 2,339,571に記載されるようなO−アシルオキシムエステル化合物との混合物を使用することもできる。共同開始剤として、ホウ酸化合物を使用することもできる。
本発明の光重合性組成物における重合開始剤の含有量は、後述する(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで重合開始剤の含有量とは、特定重合開始剤及び併用しうる他の重合開始剤を含む重合開始剤の総含有量を意味する。なお、重合開始剤の総量に占める(A2)特定重合開始剤の割合は、効果の観点から、50質量%以上であることが好ましい。
<(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(重合性化合物)>
本発明の光重合性組成物は、(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、適宜、重合性化合物と称する)を含有することを特徴とする。
〔(B)重合性化合物〕
本発明の光重合性組成物に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R)OH (A)
(ただし、一般式(A)中、R及びRは、それぞれ、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、光重合性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、光重合性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料、染料)等、アルカリ可溶性樹脂等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
〔(C)着色剤〕
本発明の光重合性組成物は(C)着色剤を含有する。着色剤を含有することにより、所望の色相の着色光重合性組成物を得ることができる。
なお、光重合性組成物は、短波長の光源である365nmや406nmの光源に優れた感度を有する化合物を含有するため、着色剤を高濃度に含有する場合にも高感度で硬化することができる。
光重合性組成物において用いられる着色剤は特に限定されるものではなく、目的に応じて従来公知の種々の染料や顔料を1種又は2種以上混合して用いることができ、これらは光重合性組成物の用途に応じて適宜選択される。本発明の硬化性着色組成物をカラーフィルタ製造に用いる場合であれば、カラーフィルタの色画素を形成するR、G、B等の有彩色系の着色剤、及びブラックマトリクス形成用に一般に用いられている黒色系の着色剤のいずれをも用いることができる。
以下、光重合性組成物に適用しうる着色剤について、好ましい用途であるカラーフィルタの着色パターン形成用途に好適な着色剤を例に挙げて詳述する。
有彩色系の顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、なるべく細かいものの使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 31, 53, 83, 93, 99, 108, 109, 110, 138, 139, 147, 150, 151, 154, 155, 167, 180, 185, 199, ;
C.I.ピグメント オレンジ36, 38, 43, 71;
C.I.ピグメント レッド81, 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177,209, 220, 224, 242, 254, 255, 264, 270;
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32, 39;
C.I.ピグメント ブルー 1, 2, 15, 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;
C.I.ピグメント グリーン 7, 36, 37;
C.I.ピグメント ブラウン 25, 28;
C.I.ピグメント ブラック 1, 7;
カーボンブラック等を挙げることができる。
本発明では、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものを好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は光重合性組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料との親和性の良さが影響しているものと推定される。
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
C.I.ピグメント イエロー 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185,
C.I.ピグメント オレンジ36, 71,
C.I.ピグメント レッド 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264,
C.I.ピグメント バイオレット 19, 23, 32,
C.I.ピグメント ブルー 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22,
60, 66,
C.I.ピグメント ブラック 1
これら有機顔料は、単独若しくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独又はそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料又はペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメント レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメント レッド155、C.I.ピグメント レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメント レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメント イエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:51以上では主波長が短波長よりになり、NTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:30の範囲が最適である。なお、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、又は、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメント グリーン7、36、37とC.I.ピグメント イエロー83、C.I.ピグメント イエロー138、C.I.ピグメント イエロー139、C.I.ピグメント イエロー150、C.I.ピグメント イエロー180又はC.I.ピグメント イエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。上記質量比が100:5未満では400nm〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり色純度を上げることが出来ない場合がある。また100:150を越えると主波長が長波長よりになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。上記質量比としては100:30〜100:120の範囲が特に好ましい。
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメント ブルー15:6とC.I.ピグメント バイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:30が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン単独又は混合が用いられ、カーボンとチタンカーボンとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンカーボンとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:61以上では、分散安定性が低下する場合がある。
光重合性組成物において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解した状態の着色組成物を得ることができる。
光重合性組成物に含有される着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
また、水又はアルカリ現像を行うことでパターンを形成するレジスト系用途に適用する場合には、現像により光未照射部のバインダーや染料を完全に除去しうるという観点では、酸性染料及び/又はその誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も光重合性組成物の使用目的に応じて適宜選択して使用することができる。
酸性染料は、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有するものであれば特に限定されないが、有機溶剤や現像液に対する溶解性、塩基性化合物との塩形成性、吸光度、組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等の必要とされる性能の全てを考慮して選択される。
以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、
acid alizarin violet N;acid black 1,2,24,48;acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40,45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green 1,3,5,9,16,25,27,50;acid orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid
red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243;Food Yellow 3;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
この中でも酸性染料としては、acid black 24;acid blue 23,25,29,62,80,86,87,92,138,158,182,243,324:1;acid orange 8,51,56,63,74;acid red 1,4,8,34,37,42,52,57,80,97,114,143,145,151,183,217;acid violet 7;acid yellow 17,25,29,34,42,72,76,99,111,112,114,116,184,243;acidgreen 25等の染料及びこれらの染料の誘導体が好ましい。
また、上記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料及びこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
なかでも、着色剤としては、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾメチン系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、アンスラピリドン系から選ばれる着色剤であることが好ましい。
光重合性組成物において使用しうる着色剤は、染料、若しくは、平均粒子径r(単位nm)は、20≦r≦300、好ましくは125≦r≦250、特に好ましくは30≦r≦200を満たす顔料が望ましい。このような平均粒子径rの顔料を用いることにより、高コントラスト比であり、かつ高光透過率の赤色及び緑色の画素を得ることができる。ここでいう「平均粒子径」とは、顔料の一次粒子(単微結晶)が集合した二次粒子についての平均粒子径を意味する。
また、本発明において使用しうる顔料の二次粒子の粒子径分布(以下、単に「粒子径分布」という。)は、(平均粒子径±100)nmに入る二次粒子が全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上であることが望ましい。
前記した平均粒子径及び粒子径分布を有する顔料は、市販の顔料を、場合により使用される他の顔料(平均粒子径は通常、300nmを越える。)と共に、好ましくは分散剤及び溶媒と混合した顔料混合液として、例えばビーズミル、ロールミル等の粉砕機を用いて、粉砕しつつ混合・分散することにより調製することができる。このようにして得られる顔料は、通常、顔料分散液の形態をとる。
光重合性組成物に含有される着色剤の含有量としては、光重合性組成物の全固形分中、30〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%がより好ましく、50〜80質量%が更に好ましい
着色剤の含有量が上記範囲において、光重合性組成物をカラーフィルタの着色パターン形成に用いる場合でも、適度な色度が得られ、且つ、十分な光硬化性が発現されるために高強度の硬化膜が形成され、アルカリ現像の際の現像ラチチュードも十分に確保できる。本発明では光重合性組成物中に着色剤を高濃度に含有する場合であっても、顕著に感度向上効果が発揮される。
〔(D)顔料分散剤〕
光重合性組成物が(C)着色剤として顔料を含有する場合、該顔料の分散性を向上させる観点から、(D)顔料分散剤を添加することが好ましい。
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
本発明に用いうる顔料分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
光重合性組成物における分散剤の含有量としては、顔料100質量部に対して、1〜80質量部であることが好ましく、5〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部であることが更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対して、5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜80質量部の範囲がより好ましい。
また、顔料誘導体を使用する場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対し1〜30質量部の範囲にあることが好ましく、3〜20質量部の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量部の範囲にあることが特に好ましい。
光重合性組成物において、着色剤としての顔料と分散剤とを用いる場合、硬化感度、色濃度の観点から、着色剤及び分散剤の含有量の総和が、光重合性組成物を構成する全固形分に対して30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
〔(E)アルカリ可溶性樹脂〕
本発明の光重合性組成物には、(E)アルカリ可溶性樹脂を含有する。これを含有することにより、光重合性組成物層の形成時に膜の均一が向上し、パターン形成においてアルカリ現像を行う場合にも優れた現像ラチチュードが実現する。
本発明に用いうる(E)アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
上記の線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、さらに側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中では特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
このほか、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
上記以外に、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の具体的な構成単位については、特に(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。ここで(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(CO
OR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数
6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、等を挙げることができる。
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR、CH=C(
)(COOR)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及
びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH=CR、CH=C(R)(COOR)である。
本発明で用いうるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
光重合性組成物において用いうるアルカリ可溶性樹脂を合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
光重合性組成物中の(E)アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは、2〜12質量%であり、特に好ましくは、3〜10質量%である。
本発明の光重合性組成物には、前記必須成分である(A1)、(A2)、(B)、(C)、(E)の各成分及び所望により併用される(D)成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて公知の添加剤を併用することができる。以下、このような添加剤について説明する。
〔(F)重合禁止剤〕
光重合性組成物には、光重合性組成物の製造中或いは保存中において、(B)重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、光重合性組成物の全固形分に対し約0.01〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5〜約10質量%が好ましい。
〔(G)密着向上剤〕
光重合性組成物には、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
密着向上剤の添加量は、光重合性組成物の全固形分中0.5〜30質量%が好ましく、0.7〜20質量%がより好ましい。
〔(H)希釈剤〕
光重合性組成物は、希釈剤として、種々の有機溶剤を用いてもよい。
ここで使用する有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。有機溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
〔その他の添加剤〕
更に、光重合性組成物に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とアルカリ可溶性樹脂との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
上記構成の本発明の光重合性組成物は、保存安定性が良好であり、高感度で硬化し、色再現性に優れた着色硬化膜を形成しうるために、種々の用途に適用することができる。また、形成された着色硬化膜は、加熱経時させた場合においても変色(退色や所望されない着色)を抑制することができるという利点を有する。
即ち、本発明の光重合性組成物によれば、硬化膜を200℃で1時間加熱した場合においても、加熱前後の色差ΔEabを5以下とすることができる。
ここで、硬化膜の加熱経時による着色を評価するためには、色差ΔEabを用いればよい。例えば、色差ΔEabは、大塚電子(株)製MCPD−3000で測定することができる。
評価の際の条件としては、まず、本発明の光重合性組成物を超高圧水銀灯プロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)で10mJ/cm〜2500mJ/cmの範囲の種々の露光量で露光し、硬化膜を形成する。そして、所望により現像を行った後、硬化膜を200℃で1時間加熱する。
この硬化膜の加熱前後の色差ΔEabを測定することで、硬化膜の加熱経時による着色状態を評価することができる。
このような特徴を有する本発明の光重合性組成物は、高感度で硬化し、形成された着色硬化膜の加熱経時による色安定性が良好であるため、液晶表示素子に用いられるカラーフィルタの着色パターン形成に特に有用である。
<カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、支持体上に、本発明の前記光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して着色光重合性組成物層を形成する工程(以下、適宜「着色光重合性組成物層形成工程」と略称する。)と、前記着色光重合性組成物層をマスクを介して露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
具体的には、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を、直接又は他の層を介して支持体(基板)上に塗布して、光重合性組成物層を形成し(着色光重合性組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、各色(3色或いは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明のカラーフィルタを製造することができる。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
〔着色光重合性組成物層形成工程〕
着色光重合性組成物層形成工程では、支持体上に、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を塗布して着色光重合性組成物層を形成する。
本工程に用いうる支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものもある。
また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
支持体上への本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
カラーフィルタ用光重合性組成物の塗布膜厚としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
支持体上に塗布されたカラーフィルタ用光重合性組成物は、通常、70℃〜110℃で2分〜4分程度の条件下で乾燥され、着色光重合性組成物層が形成される。
〔露光工程〕
露光工程では、前記着色光重合性組成物層形成工程において形成された着色光重合性組成物層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ〜1500mJが好ましく10mJ〜1000mJがより好ましく、10mJ〜800mJが最も好ましい。
本発明のカラーフィルタは、本発明のカラーフィルタ用光重合性組成物を用いているため、形成された着色パターンが支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。従って、液晶表示素子に好適に用いることができる。
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザー光源、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
<レーザー光源を用いた露光工程>
本発明におけるレーザー光源を用いた露光方式では、光源として紫外光レーザーを用いる。レーザーは英語のLight Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出により光の増幅)の頭文字である。反転分布をもった物質中でおきる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器および増幅器、励起媒体として結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー、液体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどの公知の紫外光に発振波長を有するレーザーを用いることができる。その中でも、レーザーの出力および発振波長の観点から、固体レーザー、ガスレーザーが好ましい。
本発明に用いることのできる波長としては、300nm〜380nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である紫外光レーザーがレジストの感光波長に合致しているという点で好ましい。
具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
被露光物(パターン)の露光量としては、1mJ/cm〜100mJ/cmの範囲であり、1mJ/cm〜50mJ/cmの範囲がより好ましい。露光量がこの範囲であると、パターン形成の生産性の点で好ましい。
本発明に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、340〜370mにピーク波長を有するUV−LEDである。
紫外光レーザーは平行度が良好で、露光の際にマスクを使用しないで、パターン露光ができるが、パターン形状が出力光の形状、プロファイルの影響を受ける。そのため、マスクを用いてパターンを露光した方が、パターンの直線性が高くなるので好ましい。
〔現像工程〕
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
現像液に用いるアルカリとしては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7− ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物を濃度が0.001〜1
0質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、上述した、光重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
以上説明した、着色光重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を行い、着色パターンを形成する。この着色パターンにより画素、ブラックマトリックスを構成することができるため、このような工程を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
〔表示素子〕
また、上記のほかに、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板(以下、「TFT方式液晶駆動用基板」という。)上本発明の着色光重合性組成物からなる着色パターンを形成し、カラーフィルタを作製することができる。本発明によれば、高感度で硬化し、膜性に優れると共に、加熱や経時による変色の抑制された着色パターンが形成されるため、本発明のカラーフィルタは表示素子用として好適であり、本発明のカラーフィルタを備える表示素子は、色再現性と耐久性に優れる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<鎖上に複素環を有する高分子化合物の合成例>
(重合体1の合成)
化合物M−11(下記構造) 27.0g、メチルメタクリレート 126.0g、メタクリル酸 27.0g、および1−メトキシ−2−プロパノール 420.0gを、窒素置換した三つ口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温する。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、V−65)を1.69g加え、90℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらに、V−65を1.69g加え、3時加熱攪拌の後、重合体1の30質量%溶液を得た。
得られた重合体1の重量平均分子量を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、2.0万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、98mgKOH/gであった。
なお、重量平均分子量,および,数平均分子量を求めるゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)測定の条件は以下である。
使用カラム:TSKgel MultiporeHXL−M
(細孔多分散型リニアカラム)東ソー製
溶離液:THF
流量:1.0ml/min
温度:40℃
検出条件:RI
システム:高速 GPC 装置一式 (東ソ− HLC−8220)
(重合体2の合成)
化合物M-6(下記構造) 27.0g、メチルメタクリレート 126.0g、メタクリル酸 27.0g、および1-メトキシ-2-プロパノール 420.0gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、撹拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて撹拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して90℃まで昇温する。これに2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製V−65)を1.80g加え、90℃にて2時間加熱撹拌を行った。2時間後、さらにV−65を1.80g加え、3時加熱撹拌の後、重合体2の30質量%溶液を得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、得られた高分子化合物の重量平均分子量を測定した結果、2.1万であった。また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、99mgKOH/gであった。
Figure 0005137720
(被覆顔料1の調製)
顔料(C.I.Pigment Red254 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
CROMOPHTAL RED BP) 50g、塩化ナトリウム 500g、上記した重合体1の30質量%溶液 20g、およびジエチレングリコール100gをステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、9時間混練した。次に、この混合物を約3リットルの水中に投入し、ハイスピードミキサーで約1時間撹拌した後に、ろ過、水洗して塩化ナトリウムおよび溶剤を除き、乾燥して被覆顔料1を調製した。
(被覆顔料2の調製)
前記被覆顔料1の調整において用いた、Pigment Red254の代わりに、C.I.Pigment Green 36(日本ルーブリゾール社製 Monastral Green 6Y−CLを用い、また重合体1の30質量%溶液に代えて重合体2の30質量%溶液を用いた他は、被覆顔料1の調製と同様にして被覆顔料2を調製した。
(被覆顔料3の調製)
被覆顔料2の調整において、Pigment Green 36に代えてC.I.Pigment Green 7(BASF社製 HELIOGEN Green L8730を用いた。その他は被覆顔料2の調製と同様にして、被覆顔料3を調製した。
(被覆顔料4の調製)
被覆顔料2の調整において用いた、Pigment Green 36に代えて、C.I.Pigment Blue 15:6(BASF社製 HELIOGEN Blue L6700Fを用いた他は被覆顔料2の調製と同様にして、被覆顔料4を調製した。
(被覆顔料5の調製)
被覆顔料2の調整において用いた、Pigment Green 36に代えて、C.I.Pigment Violet 23(Clariant社製 HOSTAPERM VIOLET RL−NFを用いて、他は被覆顔料2の調製と同様にして、被覆顔料5を調製した。
(被覆顔料6、7の調製)
被覆顔料1の調整で、混練時間を9時間のところを、それぞれ7時間、5時間にして、被覆顔料6、および被覆顔料7を調製した。
(被覆顔料8の調製)
被覆顔料2の調整において用いた、Pigment Green 36に代えて、ランクセス社製黄色顔料 E4GN-GTを用いた他は被覆顔料2の調製と同様にして被覆顔料8を調製した。
(顔料の1次粒子径の分布測定)
顔料の1次粒子径の分布は、透過型電子顕微鏡で測定し、0.08μm以下の粒子サイズの粒子の占める割合を表1に示した。
(顔料の被覆度の評価)
得られた顔料10gを1−メトキシ−2−プロパノール 100mL中に投入し、振とう機にて室温で3時間、振とうさせた。その後、遠心分離機にて、80,000rpm、8時間かけて顔料を沈降させた。上澄み液部分の固形分を乾燥法から求めた。顔料から遊離した高分子化合物の量を求め、処理に使用した高分子化合物との比から、遊離率(%)を算出した。その結果、上記で得た被覆顔料1〜8は、いずれも20質量%以下の遊離量を示し、高分子化合物により表面を被覆された顔料であることがわかった。
(顔料分散液の調製)
被覆顔料1の顔料相当分35部に対し、分散剤としてディスパービックbyk161(ビックケミー社製)7.0部、溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート 200部の組成にて、ホモジナイザーを用いて回転数3,000r.p.m.で3時間撹拌して混合し、混合溶液を調製し、さらに0.1mmφジルコニアビーズを用いたビーズ分散機ウルトラアペックスミル(寿工業社製)にて6時間分散処理を行なった。
同様に、被覆顔料種と分散剤の量とを、表1のように変更して、顔料分散液2〜12を得た。ただし顔料分散液8における被覆顔料4と被覆顔料5の使用量の比は、95:5とし、合計の顔料相当分が35部となるように配合した。顔料とともに分散液に使用されることになる被覆高分子の量も表1に記した。なお、表1中、顔料や高分子化合物、分散剤の含有量は質量部で表す。
また顔料分散液12は、被覆顔料を用いる代わりにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製 CROMOPHTAL RED BPを、そのまま用いた。
Figure 0005137720
(実施例1)
得られた(C)顔料分散液1にさらに以下の組成の成分を添加し、撹拌混合して本発明の硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
・(E)アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレートとメタクリル酸
(=70/30[モル比])との共重合体 重量平均分子量=30,000
20.8部
・(B)重合性化合物:日本化薬社製 カヤラッドDPHA 20部
・(A2)重合開始剤:Darocur TPO 4部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・(A2)重合開始剤:Irgacure 379 2部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・(A1)特定増感色素(I-14:下記構造): 2部
・(B)多官能エポキシ化合物:大日本インキ化学工業社製 エピクロン695 5部
・界面活性剤:(下記構造物1) 1.0部・溶剤(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート/エチルエトキシ
プロピオネート=8/2) 400部
Figure 0005137720
実施例1の硬化性組成物の組成において、顔料の種類と量、アルカリ可溶性樹脂の量、重合性化合物の量、重合開始剤の種類と量、および多官能エポキシ化合物の量を表2のように変更して、実施例2〜9、および比較例1の硬化性組成物を調整した。
Figure 0005137720
(実施例10および11)
顔料分散液11又は12にさらに以下の組成の成分を添加し、撹拌混合して本発明の硬化性組成物(カラーレジスト液)を調製した。
・(E)アルカリ可溶性樹脂:ベンジルメタクリレートとメタクリル酸
(=70/30[モル比])との共重合体 重量平均分子量=8,000
(45質量%濃度のプロピレングリコール物メチルエーテル溶液) 19.09部
・(B)重合性化合物:日本化薬社製 カヤラッドDPHA 35.75部
・(A2)重合開始剤:Darocur TPO 8部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・(A2)重合開始剤:Irgacure 379 4部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・(A1)特定増感色素(I-14:下記構造): 4部
・(B)多官能エポキシ化合物:DIC((株))社製エピクロン695 3.75部
・ジエチルアミノベンゾフェノン 2.00部
・N−フェニルメルカプトベンズイミダゾール 1.88部
・界面活性剤:DIC((株))社製 メガファックF−781F 0.21部
・溶剤(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート/エチルエトキシ
プロピオネート=8/2) 400.0部
Figure 0005137720
(TFT基板の作成)
特許第3264364号公報記載の方法でTFT基板を作成した。即ち、アクティブマトリクス基板に、ゲート信号線並びに付加容量電極を形成し、この上にゲート絶縁膜を形成し、半導体層、及びチャネル保護層を形成し、TFTのソース、及びドレインとなるn+Si層を形成した。
得られた各硬化性組成物を上記TFT基板に、プリベーク後の膜厚が2.4μmとなるようにスピン塗布し、90℃のオーブンで60秒間乾燥させた(プリベーク)。その後、塗膜の全面に高圧水銀灯を備えた露光機により、60mJ/cmにて(照度20mW/cm)露光し、露光後の塗膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて覆い、60秒間静止した。静止後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。そして、上記のように光硬化処理及び現像処理が施された塗膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上にカラーフィルタ構成用の着色樹脂被膜を形成し、着色基板を作製した。
得られた着色基板を用いて以下の評価を行い、結果を表3にまとめた。なお液保存性には光重合性組成物自体を用いて評価した。その他の評価は全てTFTのないカラーフィルタ基板での評価をおこなった。
〔NMP耐性〕
形成された着色膜のN−メチルピロリドンに対する耐溶剤性を、溶剤浸漬後の変色及び膨潤に対する耐性として評価した。
[色度変化]
各着色基板の分光特性を大塚電子(株)製分光測光器MCPD−2000によって測定した後、各試験片を50℃のNMP(N−メチルピロリドン)溶剤に10分間浸漬する。次いで、純水でリンスし、85℃60分乾燥した後、再度分光特性を測定し、NMP浸漬によってどれだけ色度が変化したかをΔEabで表した。ここでΔEabとは、L*U*V*表色系における色差を意味する。色差の変化△Eabの値を測定し、以下に示す評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
◎: △Eabが2未満
○: △Eabが2以上3未満
△: △Eabが3以上5未満
×: △Eabが5以上
[膨潤耐性]
各着色基板をN−メチルピロリドン(溶剤)中に60℃で30分間浸漬し、経過後取り出して着色基板表面の表面粗さを光学顕微鏡で観察し、以下に示す評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
◎:全く変化しなかった。
○:浸漬前からの変化はなかった。溶液が微妙に着色した。
△:表面に若干の変化がみられた。溶液が着色した。
×:表面がざらざら状に変化してしまった。溶液が着色した。
〔ITO蒸着〕
インジウムチンオキシド(ITO)を常法に従い、蒸着(膜厚1400Å、蒸着温度200℃)した後、硬化膜の表面荒れ、しわの発生状況を光学顕微鏡で詳細に観察した。
[表面あれ]
表面粗さを、原子間力顕微鏡(AFM)、セイコーインスツルメンツ株式会社製のSPA−400AFMにてRa値を測定し、以下に示す評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
◎: 3nm未満
○: 3〜8nm未満
△: 8〜10nm未満
×: 10nm以上
[しわ]
光学顕微鏡(500倍)にて硬化膜表面の観察を行い、以下に示す評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
◎: 表面が非常に平滑である。
○: 平滑である。
△: 微妙な凹凸が見られる。
×: 凹凸が見られる。
〔経時安定性〕
得られた硬化性組成物を50℃で14日間間保存し、現像時間の変化を測定し、以下に示す評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
現像時間の評価は、ガラス基板上に塗布された感材を現像し、ガラス基板が残渣なく
クリアになる時間を評価した。
◎: 現像時間に変化なし。
○: 現像時間の遅れが5秒未満であった。
△: 現像時間が5以上10秒未満遅くなった。
×: 現像時間が10秒以上遅くなった。
〔コントラスト〕
着色基板の着色樹脂被膜の上に偏光板を置いて着色樹脂被膜を挟み込み、偏光板が平行時の輝度と直交時の輝度とをトプコン(株)社製のBM−5を用いて測定し、平行時の輝度を直交時の輝度で除して得られる値(=平行時の輝度/直交時の輝度)を、コントラストを評価するための指標とした。
−評価基準−
◎: 8000以上。
○: 6000以上8000未満。
△: 4000以上6000未満。
×: 4000未満。
〔感度〕
基板上に塗布し評価用感光層を作製した。尚、硬化性組成物は調液後すぐに使用した。次いで、実施例で用いた露光装置で、15段ステップウエッジパターン(ΔlogE=0.15)を用いて露光(60mJ/cm)し、現像した。現像条件は実施例1と同じとした。そして、現像後のベタ段(現像により厚さが変化していない段数)の段数を目安として、以下に示す評価基準にしたがって評価した。
−評価基準−
◎: 11段以上であった場合
○: 8〜10段であった場合
△: 6〜8段であった場合
×: 5段以下であった場合
<強制加熱経時での着色評価>
露光、及び現像後の光重合性組成物層(着色パターン)を、ホットプレートで200℃、1時間加熱し、下記基準に基づいて加熱前後の色差ΔEabを、大塚電子(株)製MCPD−3000で評価した。色差が小さいほど加熱による着色が抑制され、好ましい。
−評価基準−
○:ΔEab≦5
△:5<ΔEab<8
×:ΔEab≧8
〔総合評価〕
以上の評価をもとに、△、×が1項目もない水準を◎と判定した。×が1項目でもあれば×、×が全くなく△がある水準は△として総合評価した。
Figure 0005137720
表3より明らかなように、本発明の光重合性組成物は、液の保存安定性に優れ、高感度で硬化すると共に、これを用いて形成された着色パターンは、膜性に優れており、NMP耐性、ITO蒸着に対する耐性が良好で、且つ、コントラストも良好であり、加熱による着色が抑制されていることがわかる。
(実施例12)
実施例1の組成物を用いて露光工程を以下のものに変更したこと以外は同様の評価を行ったところ、実施例1と同様の良好な結果が得られた。この結果より、レーザー露光機によるパターン露光でも、高圧水銀灯による露光と同様に、本発明の優れた効果が得られることがわかる。
(露光工程)
レーザー露光装置としてEGIS(ブイテクノロジー(株)、YAGレーザーの第3高調波 波長355nm、パルス幅6nsec)を用い、感光性樹脂組成物層表面に対し、約1mJ/cmのパルス照射を20回、フォトマスクを通して行った。
(比較例2)
比較例1の組成物を用いて実施例12と同様の操作、評価を行ったところ、比較例1と表面あれ以外は同様の結果であり、液保存性や感度に劣るものであり、さらに、このようなレーザーによる露光条件では、表面あれについては評価△であり、表面荒れについては水銀灯による露光よりもさらに悪化していることがわかる。

Claims (7)

  1. (A1)下記一般式(I)で示される増感色素と、(A2)α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤と、(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、(C)着色剤と、(E)アルカリ可溶性樹脂とを含有する光重合性組成物。
    Figure 0005137720

    (一般式(I)中、Xは、O、S、又はNRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは、0、又は1を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を示す。R、R、R、及びRは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R又はRと、R又はRと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。)
  2. 前記(C)着色剤が顔料であり、且つ、(D)顔料分散剤を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の光重合性組成物。
  3. カラーフィルタの着色パターン形成に用いられる請求項2に記載の光重合性組成物。
  4. 支持体上に、請求項3に記載の光重合性組成物を用いてなる着色パターンを有するカラーフィルタ。
  5. 支持体上に、請求項3に記載の光重合性組成物を塗布して光重合性組成物層を形成する工程と、前記光重合性組成物層をパターン露光する工程と、露光後の前記光重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程と、
    を含むカラーフィルタの製造方法。
  6. 前記パターン露光が紫外光レーザー光源を用いてなされることを特徴とする請求項5記載のカラーフィルタの製造方法。
  7. 請求項4に記載のカラーフィルタを備えた液晶表示素子。
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