JP5137466B2 - 非水電解質一次電池および非水電解質一次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
つまり、本発明の非水電解質一次電池において、正極活物質は、以下の式(1):
Mn1-xNixO2-y (1)
(式中、0.2≦x≦0.5および0≦y≦0.5である。)
で表されるマンガンニッケル複合酸化物を含む。
低温における放電では、電極の分極が増大して、放電電圧が低下するのであるから、正極がそれを補うほどの高い電位を有すれば、放電電圧を、低温でも機器の要求する電圧を下回らないようにすることが可能となる。検討の結果、上記マンガンニッケル複合酸化物は、従来の二酸化マンガンおよびフッ化黒鉛よりも高い放電電位を示すことが分かった。よって、上記マンガンニッケル複合酸化物を正極活物質として用いた非水電解質一次電池は、高い放電電圧を有するため、低温においても、機器の要求する電圧(例えば、2.2V)を下回らない放電電圧を長期間維持することができる。
Mn1-xNixO2-y (1)
(式中、0.2≦x≦0.5および0≦y≦0.5である。)
で表されるマンガンニッケル複合酸化物を含む。
(a)γ相二酸化マンガン型あるいはβ相二酸化マンガン型の結晶構造を有するマンガンニッケル複合酸化物。
(b)γ相二酸化マンガン型とβ相二酸化マンガン型との混晶状態の結晶構造を有するマンガンニッケル複合酸化物。
(c)粉末X線回折測定において、0.692±0.005nm、0.490±0.005nm、0.309±0.005nm、0.240±0.005nm、0.183±0.005nm、0.153±0.005nm、および0.135±0.005nmの面間隔dに相当する少なくとも7本のX線回折ピークを示すマンガンニッケル複合酸化物。
(d)粉末X線回折測定において、0.473±0.005nm、0.244±0.005nm、0.215±0.005nm、0.167±0.005nm、0.148±0.005nm、および0.141±0.005nmの面間隔dに相当する少なくとも6本のX線回折ピークを示すマンガンニッケル複合酸化物。
上記のような結晶構造を有するマンガンニッケル複合酸化物を用いることにより、正極の電位を高くすることができる。なお、上記のなかでも、放電容量がより高いため、γ相二酸化マンガン型の結晶構造を有するマンガンニッケル複合酸化物が好ましい。この場合、マンガンニッケル複合酸化物には、γ相二酸化マンガン型の結晶構造のみが含まれてもよいし、γ相二酸化マンガン型の結晶構造のマンガンニッケル複合酸化物と、それ以外の他の結晶構造のマンガンニッケル複合酸化物が含まれてもよい。なお、両者で特性はほとんど変わらないため、γ相二酸化マンガン型の結晶構造のマンガンニッケル複合酸化物と、それ以外の他の結晶構造のマンガンニッケル複合酸化物との混合比は、特に限定されない。
なお、マンガン化合物とニッケル化合物とを機械的に混合した混合物を原料に用いた場合、組成が不均質なマンガンニッケル複合酸化物が得られることが多い。
マンガンとニッケルとを含む水酸化物共沈物は、例えば、硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液にアルカリ水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)の水溶液とを攪拌しながら混合し、生成した沈殿物を水洗して得ることができる。
ニッケルとマンガンとを含む原料において、ニッケルとマンガンとの合計に対するニッケルの原子比は、0.01〜0.5であることが好ましい。
従来から知られているマンガンニッケル複合酸化物(例えば、NiMnO3、Ni2MnO4など)におけるマンガンの価数は4価であり、ニッケルの価数は2価である。つまり、空気中、大気圧下でのマンガンニッケル複合酸化物の加熱合成において、ニッケルは2価となる。このため、3価以上の高価数のニッケルを含むマンガンニッケル複合酸化物を得るには、高い酸素ガス圧力でニッケルの酸化を促進する必要がある。
雰囲気に含まれる酸素ガスの圧力の上限は、反応容器の耐圧上限に制限される。現在のところ、反応容器の耐圧上限は、200MPa程度である。本発明において、酸素ガスの圧力が200MPaを超える雰囲気を用いて、マンガンニッケル複合酸化物の合成を行っていないが、より高い圧力に耐えられる反応容器を用いることができれば、好適な結果が得られると予測される。
なお、式(1)のマンガンニッケル複合酸化物において、酸素の量(2−y)は、Niの量、雰囲気に含まれる酸素ガスの圧力等を調節することにより、制御することができる。
加熱温度が、600℃(上限)より高くなると、マンガンニッケル複合酸化物Mn1-xNixO2-y(式中、0.01≦x≦0.5および0≦y≦0.5)は酸素を放って分解してしまい、活物質として機能しない物質となる。
例えば、マンガンとニッケルとを含む水酸化物共沈物を、200℃〜400℃で加熱することにより、γ相とβ相との混晶状態の二酸化マンガンと同様の結晶構造を有するマンガンニッケル複合酸化物を得ることができる。
マンガンとニッケルを含む炭酸塩共沈物を、400〜600℃で加熱することにより、粉末X線回折測定において、0.692±0.005nm、0.490±0.005nm、0.309±0.005nm、0.240±0.005nm、0.183±0.005nm、0.153±0.005nm、および0.135±0.005nmの面間隔に相当する少なくとも7本のX線回折ピークを示す新規な結晶構造を有するマンガンニッケル複合酸化物を得ることができる。
なお、上記のような面間隔に相当する回折ピークを示す結晶構造は、前者が正方晶系でその格子定数aが0.487nmであり、格子定数cが1.420nmである場合と一致し、後者が正方晶系でその格子定数aが0.978nmであり、格子定数cが0.286nmである場合と一致する。しかし、これらのマンガンニッケル複合酸化物の晶系と格子定数は、現時点では明確に断言できない。
本発明に係る非水電解質一次電池は、上記マンガンニッケル複合酸化物を正極活物質として含む正極、負極、リチウムイオン伝導性の非水電解質、および正極と負極との間に配置されたセパレータを含む。
電池外で合金を合成する場合、リチウムとリチウム以外の元素とが予め合金化される。得られた合金を負極活物質として用いて、電池が作製される。
電池内で合金を合成する場合、例えば、リチウム(またはリチウム以外の金属)を負極に含ませるとともに、正極と対向する負極の表面部分に、リチウム以外の元素からなる金属箔(またはリチウム箔)を圧着して、電池を作製する。これにより、電池組立中または組立後に、電池内で、リチウムとリチウム以外の元素との合金化を進行させることができる。
[マンガンニッケル複合酸化物の合成]
硫酸マンガン(関東化学(株)製の特級試薬)と硫酸ニッケル(関東化学(株)製の特級試薬)との混合水溶液を調製した。前記混合水溶液において、硫酸塩の合計濃度は1mol/Lであり、マンガンとニッケルとの原子比は0.5:0.5とした。
得られた混合水溶液を、反応容器に収容された過剰量の水酸化ナトリウム(関東化学(株)の特級試薬)を含む水溶液(水酸化ナトリウム濃度4mol/L)に、攪拌しながら、徐々に滴下した。
反応液を静置した後に、その上澄み液を捨て、イオン交換水を補充する操作を、上澄み液が中性になるまで繰り返した。反応容器の底部に生成したマンガンとニッケルとの水酸化物共沈物を乾燥して、マンガンとニッケルとを含む原料とした。得られた原料において、マンガンとニッケルとの原子比は0.5:0.5であった。
原料を、酸素ガスの圧力が200MPaである雰囲気中、250℃で20時間加熱処理して、マンガンニッケル複合酸化物を得た。なお、本実施例および以下の実施例において、酸素ガスの圧力が200MPaの場合には、酸素ガスのみからなる雰囲気中で熱処理を行った。以下に説明するような酸素ガスの圧力が0.02〜20MPaの場合には、酸素ガスとアルゴンガスとからなる雰囲気中で熱処理を行った。
得られたマンガンニッケル複合酸化物のX線回折チャートを、銅管球を装備した粉末X線回折装置(フィリップス社製のX’Pert)を用いて、測定した。得られたX線回折チャートの回折ピークの位置から面間隔dを求め、既知の化合物のそれと照合して、結晶構造を調べた。
得られたマンガンニッケル複合酸化物を、王水に溶解した。得られた溶液を、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析に供して、マンガンニッケル複合酸化物の構成元素の量を定量した。ICP分析には、(株)島津製作所製のICPS−1000IIIを用いた。ICP発光分析によりマンガンニッケル複合酸化物に含まれるマンガンとニッケルの含量(重量)を求め、残りを酸素の含量(重量)として、これらの値から複合酸化物の組成(モル比)を求めた。
得られたマンガンニッケル複合酸化物を100重量部と、導電材であるケッチェンブラックを5重量部と、結着剤であるポリテトラフルオロエチレンを5重量部とを十分に混合して、正極合剤を得た。この正極合剤を、直径20mm、厚み3.0mmのディスク状に成形し、減圧乾燥して、正極を得た。
厚み1.0mmの金属リチウムからなるフープから、直径20mmのディスクを打抜き、負極を得た。
図1に示すような直径24.5mm、厚み5.0mmのコイン型のリチウム一次電池(CR2450)を、以下のようにして作製した。
まず、正極12を、電池ケース11の内底面に載置した。正極12の上に、ポリプロピレン製の不織布からなるセパレータ13を被せた。
次に、非水電解質を、電池ケース11内に注液した。非水電解質は、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの体積比1:1の混合溶媒に、過塩素酸リチウムを1モル/リットルの濃度で溶解することにより調製した。
次いで、内面に負極14が圧接され、端部の周囲にガスケット15が配された封口板16で、電池ケース11の開口を塞いだ。このとき、正極12と負極14とを、セパレータ13を介して対向するように配置した。こうして、電池1−1−1を得た。
マンガンとニッケルとの原子比が0.6:0.4である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池1−1−2を得た。
マンガンとニッケルとの原子比が0.7:0.3である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池1−1−3を得た。
マンガンとニッケルとの原子比が0.8:0.2である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池1−1−4を得た。
マンガンとニッケルとの原子比が0.9:0.1である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池1−1−5を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.99:0.01である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池1−1−6を作製した。
硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液の代わりに、硫酸マンガン水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、比較電池1−1−1を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.4:0.6である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、マンガンニッケル複合酸化物を得た。このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、比較電池1―1―2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を20MPaとしたこと以外は、実施例1−1−1〜1−1−4、参考例1−1−1〜1−1−2および比較例1−1−1〜1−1−2と同様にして、それぞれ、電池1−2−1〜1−2−6および比較電池1−2−1〜1−2−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を2MPaとしたこと以外は、実施例1−1−1〜1−1−4、参考例1−1−1〜1−1−2および比較例1−1−1〜1−1−2と同様にして、それぞれ、電池1−3−1〜1−3−6および比較電池1−3−1〜1−3−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.1
MPaとしたこと以外は、実施例1−1−1〜1−1−4、参考例1−1−1〜1−1−2および比較例1−1−1〜1−1−2と同様にして、それぞれ、電池1−4−1〜1−4−6および比較電池1−4−1〜1−4−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.0
2MPaとしたこと以外は、実施例1−1−1〜1−1−4および参考例1−1−1〜1−1−2と同様にして、比較電池1−5−1〜1−5−6を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.5:0.5である硝酸マンガンと硝酸ニッケルとの混合水溶液(硝酸塩の合計濃度1mol/L)を作製した。この混合水溶液を、80℃の空気中で噴霧乾固して、粉末状の硝酸塩混合物(原料)を得た。この原料を、酸素ガスの圧力が200MPaである酸素雰囲気中、250℃で、20時間、熱処理して、マンガンニッケル複合酸化物を得た。
上記マンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池2−1−1を作製した。
硝酸マンガンと硝酸ニッケルとの混合水溶液におけるマンガンとニッケルとの原子比を、0.6:0.4、0.7:0.3、0.8:0.2、0.9:0.1、または0.99:0.01に変更したこと以外、実施例2−1−1と同様にして、電池2−1−2〜2−1−6を作製した。
硝酸マンガンと硝酸ニッケルとの混合水溶液の代わりに、硝酸マンガン水溶液を用いたこと以外、実施例2−1−1と同様にして、比較電池2−1−1を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.4:0.6となる硝酸マンガンと硝酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例2−1−1と同様にして、比較電池2−1−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を20M
Paとしたこと以外は、実施例2−1−1〜2−1−4、参考例2−1−1〜2−1−2および比較例2−1−1〜2−1−2と同様にして、それぞれ、電池2−2−1〜2−2−6および比較電池2−2−1〜2−2−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を2MP
aとしたこと以外は、実施例2−1−1〜2−1−4、参考例2−1−1〜2−1−2および比較例2−1−1〜2−1−2と同様にして、それぞれ、電池2−3−1〜2−3−6および比較電池2−3−1〜2−3−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.1
MPaとしたこと以外は、実施例2−1−1〜2−1−4、参考例2−1−1〜2−1−2および比較例2−1−1〜2−1−2と同様にして、それぞれ、電池2−4−1〜2−4−6および比較電池2−4−1〜2−4−2を得た。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.0
2MPaとしたこと以外は、実施例2−1−1〜2−1−4および参考例2−1−1〜2−1−2と同様にして、比較電池2−5−1〜2−5−6を得た。
マンガンとニッケルとの原子比が0.5:0.5である酢酸マンガンと酢酸ニッケルとの混合水溶液(酢酸塩の合計濃度1mol/L)を、80℃の空気中で噴霧乾固して、粉末状の酢酸塩混合物(原料)を得た。
この原料を、酸素ガスの圧力が200MPaである酸素雰囲気中、250℃で、20時間、熱処理して、マンガンニッケル複合酸化物を得た。
このマンガンニッケル複合酸化物を用いて、実施例1−1−1と同様にして、電池3−1−1を得た。
酢酸マンガンと酢酸ニッケルとの混合水溶液におけるマンガンとニッケルとの原子比を、0.6:0.4、0.7:0.3、0.8:0.2、0.9:0.1、または0.99:0.01としたこと以外、実施例3−1−1と同様にして、電池3−1−2〜3−1−6を作製した。
酢酸マンガンと酢酸ニッケルとの混合水溶液の代わりに、酢酸マンガン水溶液を用いたこと以外、実施例3−1−1と同様にして、比較電池3−1−1を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.4:0.6である酢酸マンガンと酢酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例3−1−1と同様にして、比較電池3−1−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を20MPaとしたこと以外は、実施例3−1−1〜実施例3−1−4、参考例3−1−1〜3−1−2および比較例3−1−1〜3−1−2と同様にして、それぞれ、電池3−2−1〜3−2−6および比較電池3−2−1〜3−2−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を2MPaとしたこと以外は、実施例3−1−1〜3−1−4、参考例3−1−1〜3−1−2および比較例3−1−1〜3−1−2と同様にして、それぞれ、電池3−3−1〜3−3−6および比較電池3−3−1〜3−3−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.1
MPaとしたこと以外は、実施例3−1−1〜3−1−4、参考例3−1−1〜3−1−2および比較例3−1−1〜3−1−2と同様にして、それぞれ、電池3−4−1〜3−4−6および比較電池3−4−1〜3−4−1を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.0
2MPaとしたこと以外は、実施例3−1−1〜3−1−4および参考例3−1−1〜3−1−2と同様にして、比較電池3−5−1〜3−5−6を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.5:0.5である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液(硫酸塩の合計濃度1mol/L)を、反応容器に収容された過剰量の炭酸ナトリウムを含む水溶液(炭酸ナトリウム濃度3mol/L)に、攪拌しながら、徐々に滴下した。前記以外は、実施例1−1−1と同様にして、マンガンとニッケルとの炭酸塩共沈物(原料)を得た。この原料を用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、電池4−1−1を作製した。
硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液におけるマンガンとニッケルとの原子比を、0.6:0.4、0.7:0.3、0.8:0.2、0.9:0.1または0.99:0.01としたこと以外、実施例4−1−1と同様にして、電池4−1−2〜4−1−6を作製した。
硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液の代わりに、硫酸マンガン水溶液を用いたこと以外、実施例4−1−1と同様にして、比較電池4−1−1を作製した。
マンガンとニッケルとの原子比が0.4:0.6である硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液を用いたこと以外、実施例4−1−1と同様にして、比較電池4−1−2を作製した。
原料を加熱するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を20MPaとしたこと以外は、実施例4−1−1〜4−1−4、参考例4−1−1〜4−1−2および比較例4−1−1〜4−1−2と同様にして、それぞれ、電池4−2−1〜4−2−6および比較電池4−2−1〜4−2−2を作製した。
原料を加熱するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を2MPaとしたこと以外は、実施例4−1−1〜4−1−4、参考例4−1−1〜4−1−2および比較例4−1−1〜4−1−2と同様にして、それぞれ、電池4−3−1〜4−3−6および比較電池4−3−1〜4−3−2を作製した。
原料を加熱するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.1MPaとしたこと以外は、実施例4−1−1〜4−1−4、参考例4−1−1〜4−1−2および比較例4−1−1〜4−1−2と同様にして、それぞれ、電池4−4−1〜4−4−6および比較電池4−4−1〜4−4−2を作製した。
原料を加熱するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.02
MPaとしたこと以外は、実施例4−1−1〜4−1−4および参考例4−1−1〜4−1−2と同様にして、比較電池4−5−1〜4−5−6を作製した。
実施例4−1−1で用いた炭酸塩共沈物(原料)を、酸素ガスの圧力が200MPaである酸素雰囲気中、450℃で、20時間、熱処理して、マンガンニッケル複合酸化物を作製した。前記以外、実施例4−1−1と同様にして、電池5−1−1を作製した。
硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液におけるマンガンとニッケルとの原子比を、0.6:0.4、0.7:0.3、0.8:0.2、0.9:0.1、または0.99:0.01としたこと以外、実施例5−1−1と同様にして、電池5−1−2〜電池5−1−6を作製した。
硫酸マンガンと硫酸ニッケルとの混合水溶液の代わりに、硫酸マンガン水溶液を用いたこと以外、実施例5−1−1と同様にして、比較電池5−1−1作製した。
原料を熱処理するときの温度を450℃したこと以外、比較例4−1−2と同様にして、比較電池5−1−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を20MPaとしたこと以外は、実施例5−1−1〜5−1−4、参考例5−1−1〜5−1−2および比較例5−1−1〜5−1−2と同様にして、電池5−2−1〜電池5−2−6および比較電池5−2−1〜5−2−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を2MPaとしたこと以外は、実施例5−1−1〜5−1−4、参考例5−1−1〜5−1−2および比較例5−1−1〜5−1−2と同様にして、電池5−3−1〜5−3−6および比較電池5−3−1〜5−3−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.1MPaとしたこと以外は、実施例5−1−1〜5−1−4、参考例5−1−1〜5−1−2および比較例5−1−1〜5−1−2と同様にして、電池5−4−1〜5−4−6および比較電池5−4−1〜5−4−2を作製した。
原料を熱処理するときの混合雰囲気(Ar+O2)に含まれる酸素ガスの分圧を0.0
2MPaとしたこと以外は、実施例5−1−1〜5−1−4および参考例5−1−1〜5−1−2と同様にして、比較電池5−5−1〜5−5−6を作製した。
電解合成法により量産されている電池用二酸化マンガン(三井金属鉱業(株)製)を正極活物質として用いたこと以外、実施例1−1−1と同様にして、比較電池6を作製した。
(放電容量)
上記実施例および比較例の各電池を、−40℃環境に3時間以上放置して、電池の温度を−40℃にした。その電池を、8mAの一定電流で、電池電圧が2.2Vに低下するまで放電し、放電容量を求めた。結果を表6〜10に示す。
上記実施例および比較例の各電池を、−40℃環境に3時間以上放置して、電池の温度を−40℃にした。その電池を、8mAで0.5秒間放電し、そののちに2分間休止するパターンを繰り返す間欠放電に100時間供した。その間欠放電における電池のパルス電圧の最低値を、表6〜10に示す。
さらに、熱処理を行う雰囲気中の酸素ガスの圧力が0.02MPaの場合、および熱処理を行う雰囲気中の酸素ガスの圧力が0.1〜200MPaであってもマンガンとニッケルの合計に対する酸素の原子比が1.5よりも小さい場合には、マンガンニッケル複合酸化物は、不純物として酸化ニッケル(NiO)を含んでいた。
なお、ニッケルの量が最も少ないマンガンニッケル複合酸化物(つまり、Mn0.99Ni0.01O2-y)を含む電池の場合でも、パルス電圧の最低値は、比較例の電池のそれと比較して、高い値であった。
12 正極
13 セパレータ
14 負極
15 ガスケット
16 封口板
Claims (5)
- 正極活物質を含む正極、負極、非水電解質および前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータを備え、
前記正極活物質は、以下の式(1):
Mn1-xNixO2-y (1)
(式中、0.2≦x≦0.5および0≦y≦0.5である。)
で表されるマンガンニッケル複合酸化物を含み、
前記マンガンニッケル複合酸化物が、γ相二酸化マンガン型の結晶構造またはβ相二酸化マンガン型の結晶構造を有する、非水電解質一次電池。 - 前記マンガンニッケル複合酸化物が、γ相二酸化マンガン型の結晶構造とβ相二酸化マンガン型の結晶構造との混晶を含む、請求項1に記載の非水電解質一次電池。
- 前記マンガンニッケル複合酸化物が、粉末X線回折チャートにおいて、0.692±0.005nm、0.490±0.005nm、0.309±0.005nm、0.240±0.005nm、0.183±0.005nm、0.153±0.005nm、および0.135±0.005nmの面間隔dに相当する少なくとも7本のX線回折ピークを示す、請求項1に記載の非水電解質一次電池。
- 前記マンガンニッケル複合酸化物が、粉末X線回折チャートにおいて、0.473±0.005nm、0.244±0.005nm、0.215±0.005nm、0.167±0.005nm、0.148±0.005nm、および0.141±0.005nmの面間隔dに相当する少なくとも6本のX線回折ピークを示す、請求項1に記載の非水電解質一次電池。
- 請求項1記載の非水電解質一次電池の正極活物質の製造方法であって、マンガンとニッケルとを0.8:0.2〜0.5:0.5の原子比で含む原料を、酸素ガスの圧力が0.1MPa以上200MPa以下の雰囲気中で加熱する工程を含み、前記マンガンとニッケルとを含む原料が、マンガンとニッケルとを含む炭酸塩共沈物、マンガンとニッケルとを含む水酸化物共沈物、マンガンを含む硝酸塩とニッケルを含む硝酸塩との混合物、またはマンガンを含む有機酸塩とニッケルを含む有機酸塩との混合物である、製造方法。
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