JP5137315B2 - インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
また、水と共に反応性モノマーや着色剤等を含有するインク組成物と凝集物を生じさせる凝集剤を含有する凝集溶液とを用い、記録媒体上に前記凝集溶液を付着させた後に前記インク組成物を付着させることが記載されたものがある(例えば、特許文献5参照)。さらに、光重合開始剤を含有する反応液を全面付与した後にモノマー含有のインク組成物を付与し、紫外線照射を行なうことが記載されたものもある(例えば、特許文献6参照)。
(1) 少なくとも画像を形成するための少なくとも1種の第1の液体Aと、前記第1の液体Aと組成が異なる少なくとも1種の第2の液体Bとから構成されるインクセットであって、少なくとも液体A又はBのいずれかひとつの液体に、同一分子内にオキシラン環及びオキセタン環を有するカチオン重合性化合物として下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含むことを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
(3) 少なくとも液体A又はBのいずれかひとつの液体に、重合性もしくは架橋性材料を架橋反応させる重合開始剤を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載のインクジェット記録用インクセットである。
(5) 前記親油性溶剤は、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒であることを特徴とする(4)に記載のインクジェット記録用インクセットである。
(7) 前記第2の液体Bが着色剤を含有しないか、又は、含有する場合には、着色剤の含有量が1質量%未満であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
(9) 前記第1の液体Aを少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて、前記液滴a1と前記液滴a2とを重なり部分をもって打滴することで画像を記録することを特徴とする(8)に記載のインクジェット記録方法である。
(11) 前記第2の液体Bの付与後、前記液体A(少なくとも前記第1の液滴a1)が打滴されるまでの打滴間隔が5μ秒以上400m秒以下である(8)〜(10)のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法である。
(13) 前記第1の液体A打滴までの間は第2の液体Bを液体状に保持することを特徴とする(8)〜(12)のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法である。
(14) 前記液体A(少なくとも前記第1の液滴a1)の打滴後に活性エネルギーを前記画像に与えて前記重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋する(8)〜(13)のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法である。
≪インクジェット記録用インクセット≫
本発明のインクジェット記録用インクセットは、少なくとも画像を形成するための少なくとも1種の第1の液体Aと、前記第1の液体Aと組成が異なる少なくとも1種の第2の液体Bとから構成されるインクセットであって、少なくとも液体A又はBのいずれかひとつの液体に、同一分子内にオキシラン環及びオキセタン環を有するカチオン重合性化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする。
尚、本明細書中では、液体A又は液体Bを、単に「インク組成物」ということがある。
本発明の重合性化合物は同一分子内に3員の環状エーテルであるオキシラン環、及び4員の環状エーテルであるオキセタン環を有していれば如何なる重合性化合物であってもかまわない。これらの置換基は酸存在下で開環重合をし得る置換基である。
前記カチオン重合性化合物を含む液体の含水率は、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.02〜5.0質量%であることが更に好ましく、0.02〜2.5質量%であることが特に好ましい。
上記範囲内であれば、硬化性、基材への密着性、形成した画像の耐久性、耐水性、インクの長期保存性(特にノズル内に滞留するインクの保存性)を良好に保つことができる。
前記液体の含水率を0.01〜5.0質量%とする手段としては、疎水性の高い化合物を選択するなど、含水率をできる限り小さくすることが有効である。また、このように素材を選択するだけでなく、インクと外気とを遮断する方法もあるが、通常は、インク製造の最終段階において、加温処理、脱水処理、減圧処理など、物理的に脱水処理を行うことが好ましい。
尚、本発明におけるインクの含水率は、hiranuma aquacounter AQ200(平沼産業株式会社製)により、カールフィッシャー法にて測定した値を意味する。
同一分子内にオキシラン環及びオキセタン環を有するカチオン重合性化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
X及びYはそれぞれ独立にアルキレン基または単結合を表し、該アルキレン基としては炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがさらに好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることが特に好ましい。
X−L−Yで表される基の主鎖を構成する原子の数が3又は4であることが更に好ましい。ここで、「主鎖を構成する原子」には、X、LまたはYに置換しうる置換基を構成する原子はもちろん、X、LまたはY中の水素原子をも含まない。例えばアルキレン基の場合、主鎖を構成する原子とはアルキレン基を構成する炭素原子のみをいい、アルキレン基を構成する水素原子は含まない。
本発明による効果を、より効果的に達成できる点で、前記R1が水素原子またはアルキル基であって、前記R2が水素原子またはアルキル基であって、前記R3が水素原子またはアルキル基であって、前記R4がアルキル基であって、前記R5が水素原子またはアルキル基であって、前記R6が水素原子またはアルキル基であって、前記R7が水素原子またはアルキル基であって、前記R8が水素原子またはアルキル基であって、Xがアルキレン基であって、Yがアルキレン基であって、Lが酸素(−O−)連結基またはカルボニルオキシ連結基(−CO2−)である態様が好ましい。
48%水酸化ナトリウム水溶液1.5L、エピクロロヒドリン1.0L、テトラブチルアンモニウム硫酸水素30gを室温で攪拌し、ここへ3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン350gを2時間かけてゆっくりと滴下した。さらに室温で6時間攪拌し、反応溶液を氷水にあけて酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物を減圧蒸留にて精製した。2.5mmHgにて100℃〜105℃の留分として450gの化合物I−1を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.47(dd,2H),4.38(d,2H),3.82(dd,1H),3.67(d,1H),3.60(d,1H),3.41(dd,1H),3.17−3.15(m,1H),2.80(dd,1H),2.61(dd,1H),1.76(q,2H),0.90(t,3H).
化合物I−1の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、3.5mPa・sであった。
48%水酸化ナトリウム水溶液160mL、エピクロロヒドリン100mL、テトラブチルアンモニウム硫酸水素4.3gを室温で攪拌し、ここへ3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン25gを30分かけてゆっくりと滴下した。さらに室温で6時間攪拌し、反応溶液を氷水にあけて酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物をクロマトグラフィーにて精製し、30.5gの化合物I−2を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.53(dd,2H),4.36(d,2H),3.82(dd,1H),3.62(d,1H),3.57(d,1H),3.45(dd,1H),3.17−3.15(m,1H),2.80(dd,1H),2.61(dd,1H),1.35(s,3H).
化合物I−2の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、4.1mPa・sであった。
48%水酸化ナトリウム水溶液150mL、エピクロロヒドリン100mL、テトラブチルアンモニウム硫酸水素3.7gを室温で攪拌し、ここへ3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン25gを30分かけてゆっくりと滴下した。さらに室温で7時間攪拌し、反応溶液を氷水にあけて酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物をクロマトグラフィーにて精製し、32.4gの化合物I−3を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.48(dd,2H),4.40(d,2H),3.64−3.58(m,3H),3.41(d,1H),2.75(dd,1H),2.61(dd,1H),1.77(q,2H),1.38(s,3H),0.95(t,3H).
化合物I−3の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、5.9mPa・sであった。
DMF250mLへ水素化ナトリウム13.7gを0℃にて加え、ここへ攪拌しながら3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン26gをゆっくりと滴下した。30分攪拌した後、クロチルクロリド22.7gを滴下し、6時間攪拌した。反応溶液を氷水にあけて酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物をクロマトグラフィーにて精製し38.1gを得た。
続いて得られた化合物17.0gと酢酸エチル300mL、炭酸水素ナトリウム42g、水300mL、アセトン58gを室温で攪拌し、ここへOXONE(アルドリッチ社製)65gを水300mLに溶かし、30分かけて滴下した。室温で10時間攪拌した後、水層を廃棄し酢酸エチル層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、食塩水、水で洗浄し硫酸マグネシウムにて乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物をクロマトグラフィーにて精製し、7.5gの化合物I−4を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.48(dd,2H),4.40(d,2H),3.78−3.42(m,4H),2.95(m,2H),1.77(q,2H),1.38(d,3H),0.95(t,3H).
化合物I−4の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、6.2mPa・sであった。
DMF215mLへ水素化ナトリウム12.9gを0℃にて加え、ここへ攪拌しながら3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン25gをゆっくりと滴下した。30分攪拌した後、1−クロロ−3−メチル−2−ブテン24.8gを滴下し、4時間攪拌した。反応溶液を氷水にあけて酢酸エチルにて抽出し、酢酸エチル層を水洗、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物をクロマトグラフィーにて精製し38.4gを得た。
続いて得られた化合物18.1gと酢酸エチル300mL、炭酸水素ナトリウム42g、水300mL、アセトン58gを室温で攪拌し、ここへOXONE(アルドリッチ社製)65gを水300mLに溶かし、30分かけて滴下した。室温で10時間攪拌した後、水層を廃棄し酢酸エチル層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、食塩水、水で洗浄し硫酸マグネシウムにて乾燥した。酢酸エチルを留去し、残留物をクロマトグラフィーにて精製し、11.9gの化合物I−5を得た。
1H−NMR(300MHz,CDCl3,δ):4.48(dd,2H),4.40(d,2H),3.78−3.52(m,4H),2.98(t,1H),1.77(q,2H),1.35(s,3H),1.31(s,3H),0.94(t,3H).
化合物I−5の25℃における粘度をRE80型粘度計(商品名、東機産業株式会社製)を用いて測定したところ、6.9mPa・sであった。
本発明で用いられる一般式(I)で表される化合物は、単独で用いるだけでなく複数混合して用いても、他のカチオン重合性化合物と混合して用いてもよい。一般式(I)で表される化合物と他のカチオン重合性化合物の総量は、インク組成物の総量に対して70質量%以上99質量%以下が好ましく、75質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下が最も好ましい。
一般式(I)で表される化合物の重合性化合物の総量に対する割合としては、任意に設定できるが、硬化性や粘度、硬化物の物性の観点から5質量%以上90質量%以下が好ましく、10質量%以上80質量%以下がより好ましく、15質量%以上70質量%以下が特に好ましい。
本発明においてsp値とは、種々の溶剤、溶質に対して定義されるものであり、溶剤/溶剤間、溶剤/溶質間における溶けやすさを示す値である。この値は、溶剤と溶剤とが混ざり合う場合、溶剤に溶質が溶ける場合のエネルギーの変化から算出されるものであり、本発明で用いたsp値は、具体的には、東北大学 R.L.smithによるsp値計算プログラムにより計算して得られるものである。計算に際しては、25℃を基準とし、炭素原子を含まない化合物を除き、ポリマーやポリエチレン鎖等の構成単位については結合手を持つ飽和の繰り返し単位(例えばスチレンの場合は−CH2−CH(C6H5)−)とし、水(H2O)は47.8として計算される。
sp値が35以下であると、第2の液体Bは、例えば後述するように重合性もしくは架橋性材料を含む第1の液体A(液滴a1、液滴a2・・・)との間の親和性が増大し、第1の液滴a1及び液滴a2を互いに重なり部分を有して付与したときの液滴同士の合一を抑止でき、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生を効果的に防止することができる。尚、液滴a1及び液滴a2については、後述のインクジェット記録方法の説明で詳述する。
sp値の調整は、後述の親油性溶剤、重合性材料などを用いて好適に調整が可能であり、例えば液滴中の親油性溶剤の割合を高めることでよりsp値を下げることができる。
本発明において表面張力は、SURFACE TENSIONMETER(協和界面化学株式会社製)で、測定した値を意味する。
本発明のインクジェット記録用インクセットに含まれる液体Aと液体Bとは、被記録媒体上に目的の大きさの記録液ドットを形成する観点から、下記の条件(A)、(B)、及び(C)の全てを満たすことが好ましい。
(A)液体Bの表面張力は、インクジェット記録用インクセットに含まれるいずれかの液体Aの表面張力よりも小さい。
(B)液体Bに含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、
γs(0)−γs(飽和)>1mN/m
の関係を満たす。
(C)液体Bの表面張力は、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2
の関係を満たす。
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさの記録液ドットを形成するためには、液体Bの表面張力γsは、インクジェット記録用インクセットに含まれる液体Aの表面張力γkよりも小さくすることが好ましい。
さらに、着滴から露光までの間の記録液ドットの拡大をより効果的に防ぐ観点から、γs<γk−3(mN/m)がより好ましく、γs<γk−5(mN/m)が特に好ましい。
また、フルカラーの画像を印字する場合は、画像の鮮鋭性を向上させる観点から、液体Bの表面張力γsは、少なくとも視感度の高い着色剤を含有する記録液の表面張力よりも小さくすることが好ましく、インクジェット記録用インクセットに含まれる全ての記録液の表面張力より小さいことがより好ましい。なお、ここで視感度の高い着色剤とは、マゼンタ、または、ブラック、または、シアンの色を呈する着色剤が挙げられる。
また、液体Aの表面張力γkと液体Bの表面張力γsとの値が上記の関係を満たしていても、両者の値が15mN/m未満であるとインクジェット打滴時に液滴の形成が困難になり不吐出が生じる場合がある。一方、50mN/mを超えると、インクジェットヘッドとの濡れ性が悪くなり不吐出の問題が生じる場合がある。したがって、吐出適正の観点から、液体Aの表面張力γkと液体Bの表面張力γsとは、15mN/m以上50mN/m以下が好ましく、18mN/m以上40mN/m以下がより好ましく、20mN/m以上38mN/m以下が特に好ましい。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃にて測定した値である。
本発明において、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、液体Bは少なくとも1種類以上の界面活性剤を含有することが好ましい。なお、この場合は、液体Bに含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、下記の条件(B)を満たすことが好ましい。
γs(0)−γs(飽和)>1mN/m …条件(B)
さらに、液体Bの表面張力は、下記の条件(C)の関係を満たすことが好ましい。
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2 …条件(C)
例えば、液体B(例1)を構成する成分が、高沸点溶媒(フタル酸ジエチル、和光純薬工業(株)製)、重合開始剤(TPO−L、下記の開始剤−1)、フッ素系界面活性剤(メガファック F475、大日本インキ化学工業(株)製)、炭化水素系界面活性剤(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)とした場合、γs(0)、γs(飽和)1(フッ素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)2(炭化水素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)、および、γs(飽和)最大は、下記の通りとなる。
以上より、それらを纏めると下記のようになる。
γs(0)=36.7mN/m
γs(飽和)1=20.2mN/m(フッ素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)2=30.5mN/m(炭化水素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)最大=30.5mN/m
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2=33.6mN/m
の関係を満たすことが好ましい。
なお、前記条件(C)については、着滴から露光までの間のインク滴の拡大をより効果的に防ぐ観点から、液体Bの表面張力としては、
γs<γs(0)−3×{γs(0)− γs(飽和)}/4
の関係を満たすことがより好ましく、
γs≦γs(飽和)
の関係を満たすことが特に好ましい。
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、液体Bは少なくとも1種類の界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明でいう界面活性剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブチルカルビトール、シクロヘキサノン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、メタノール、水、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、好ましくは、ヘキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、特に好ましくは、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質である。
上記に列挙した溶媒に対して、ある化合物が強い表面活性を有する物質か否かは、下記の手順によって判断することができる。
(手順)
上記に列挙した溶媒から1種類の溶媒を選択し、該溶媒の表面張力γ(0)溶媒を測定する。前記γ(0)溶媒を求めた溶媒と同じ液に該化合物を添加し、該化合物の濃度を0.01質量%ずつ増加させ、表面張力の変化が0.01mN/m以下になったときの溶液の表面張力γ(飽和)溶媒を測定する。前記γ(0)溶媒と前記γ(飽和)溶媒の関係が、
γ(0)溶媒 − γ(飽和)溶媒 > 1 mN/m
であれば、該化合物は該溶媒に対して強い表面活性を有する物質であると判断する。
これらの界面活性剤の添加量はインク全体量の0.2重量%から10重量%までの添加量が好ましく、0.5重量%から8重量%が更に好ましく、1重量%から5重量%が特に好ましい。また、液体Aへの添加量は液体Bへの添加量より少ないことが好ましい。
本発明おける第1の液体A(第1の液滴a1、液滴a2・・・)は、被記録媒体上に予め付与された後述の第2の液体Bの上に打滴して記録画像を構成するものである。
第1の液体Aは、重合性もしくは架橋性材料を含有することが好ましい。更に必要に応じて着色剤、重合開始剤、増感色素、共増感剤、親油性溶剤、その他成分を用いて構成することができる。以下、これらの各成分について説明する。
本発明における重合性もしくは架橋性材料は、後述する重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合もしくは架橋反応を生起し、硬化する機能を有するものである。
重合性化合物は反応速度や、インク物性、硬化膜物性等を調整する目的で1種または複数を混合して用いることができる。また、重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
本発明において重合性もしくは架橋性材料として用いられる光カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
本発明においては、重合性もしくは架橋性材料として光ラジカル開始剤から発生する開始種により重合反応を生じる各種公知のラジカル重合性モノマーを使用することも好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
重合性材料の、第1の液体又は必要に応じて第2の液体中における含有量としては、各液滴の全固形分(質量)に対して、50〜99.6質量%の範囲が好ましく、70〜99.0質量%の範囲がより好ましく、80〜99.0質量%の範囲がさらに好ましい。
また、液滴中における含有量としては、各液滴の全質量に対して、20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲が特に好ましい。
第1の液体Aには、着色剤の少なくとも一種を含有することができ、単色の若しくは多色の可視画像の記録が可能な構成とすることができる。
なお、着色剤は、第1の液体A以外の第2の液体B又はその他の液体に含有してもよい。
好ましくは第一の液体A中の含有量が1〜30質量%であり、更に好ましくは1.5〜25質量%であり、特に好ましくは2〜15質量%である。
また、第二の液体B中の含有量は1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。さらに、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
着色剤の分散を行う際には、市販の分散剤を利用することができる。分散剤としては高分子分散剤が好ましく、高分子分散剤としては、efka社の4000シリーズ等の高分子分散剤、Zeneca社のSolsperseシリーズ、BYK−chemie社のdisperbykシリーズ等が挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物中における着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
着色剤はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
本発明における第1の液体A及び/又は第2の液体Bには、重合性化合物を含有する態様においてラジカル重合、若しくは、カチオン重合の重合開始剤を含有することが好ましく、光重合開始剤を含有することが特に好ましい。
本発明における重合開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物であり、中でも、露光という簡便な手段で重合開始させることができるという観点から前記光ラジカル発生剤、又は光酸発生剤であることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
光重合開始剤の他の例である(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
2種の重合開始剤を組み合わせたものの具体例としては、例えば、下記「重合開始剤−2」(Irg250、チバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジブトキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
式(X)中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは一般式(IX)に示したものと同義である。
式(XI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または−NR67−を表す。R64、R65及びR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、及びR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
さらに本発明のインク組成物には、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号公報記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明における第1の液体A及び第2の液体B(好ましくは第2の液体B)は、親油性溶剤を含有することができる。
親油性溶剤は、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生防止に効果的であると共に、第1の液体及び第2の液体のsp値を既述の範囲に調整することができる。
「親油性」とは、水100ccに対して1g以下の溶解性を有する化合物をいう。
以下、本発明において好適な高沸点有機溶媒について説明する。
式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R1、R2及びR3は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルが好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
R6はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R6は更に、アルコキシカルボニル基が好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルが好ましい。
dは0又は1である。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
R7はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R4について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R4について挙げたアリール基、−(CH2)2−、
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
R9はf価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基又はf価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに連結した炭化水素基(例えば前記R7について挙げた基、1−メチル−2−メトキシエチル、2−ヘキシルデシル)が好ましく、これらの中でも、R9は特に、2−エチルヘキシル、2−ヘキシルデシル、1−メチル−2−メトキシエチル、
R10はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)7−、−(CH2)8−、
R11は炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R4について挙げた脂肪族基、アリール基)が好ましく、これらの中でも、R11は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
R13及びR14は、水素原子、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、シクロペンチル、シクロプロピル)又は炭素原子数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が好ましく、これらの中でも、R13及びR14は特に、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、n−テトラデシル、フェニルが好ましい。
R13とR14とが互いに結合し、Nとともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R12とR13とが互いに結合し、Nとともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
R16はハロゲン原子(好ましくはCl)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基{より好ましくは、アルキル基(例えば前記R15について挙げたアルキル基)、炭素原子数3〜18(更に好ましくは5〜17)のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)}、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)又は炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)であり、これらの中でも、R16は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基がより好ましく、特に炭素原子数1〜12の脂肪族基が好ましい。
hは1〜2の整数である。
R19の好ましい例は、前記R16と同じであり、これらの中でもR19は、更にアルキル基及びアルコキシ基がより好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜5の整数である。
R20とR21とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環としては、3〜10員環が好ましく、5〜7員環が特に好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
ここで、高沸点有機溶媒の沸点は、減圧蒸留時の沸点から常圧に換算した値である。なお、下記具体例において、沸点の記載のないものは170℃で沸騰しないことが確認されたものであり、25℃における粘度の記載のないものは25℃で固体であることを表す。
上記した成分以外に、公知の添加剤などを目的に応じて併用することができる。
〜貯蔵安定剤〜
本発明における第1の液体A及び第2の液体B(好ましくは第1の液体Aに)には、保存中における好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性もしくは架橋性材料と共存させて用いることが好ましく、また、含有する液滴又は液体あるいは共存の他成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性が良い場合には、適当量添加してもよい。
前記導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
本発明においては、既述の高沸点溶剤以外の溶剤を用いることができる。溶剤としては、液(インク)の極性や粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整、及び印字性能の調整などの目的で使用できる。
なお、溶剤は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことが、速乾性及び線幅の均一な高画質画像を記録する点で好ましいことから、中でも既述した高沸点有機溶媒を用いた構成とするのが望ましい。
さらに、ポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
液物性調整のためにノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤や、有機フルオロ化合物などを添加することもできる。また、メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製)などのフッ素系界面活性剤を添加することもできる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
前記1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
本発明においては、既述の第1の液滴a1を打滴する前に予め、被記録媒体上に、該被記録媒体上における少なくとも第1の液滴a1、液滴a2で打滴形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に、第1の液滴a1、液滴a2、・・・(第1の液体A)と組成の異なる第2の液体Bを付与しておく。
第2の液体Bは、重合開始剤、親油性溶剤を含有することも好ましい態様である。更に必要に応じて着色剤、増感色素、共増感剤、その他成分を用いて構成することができる。これらの成分の詳細については、前述のとおりである。好ましい態様としては液体Bには着色剤が1質量%以下であることであり、0.5質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、前述のインクジェット記録用インクセットを用い、前記第2の液体Bを前記第1の液体Aで形成される前記画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め前記被記録媒体に付与しておくことを特徴とする。ここで、前記第1の液体Aを少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて、前記液滴a1と前記液滴a2とを重なり部分をもって打滴することで所望の画像を記録する態様が好ましい。
なお、浸透性の記録媒体は、10plの液滴を被記録媒体上に滴下した場合に全液量が浸透するまでの時間が100m秒以下である媒体であり、具体的には普通紙、多孔質紙などである。
塗布装置を用いて、第2の液体Bを被記録媒体上に塗布し、その後に液滴a1及び液滴a2(第1の液体A)をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様は好適である。
また、インクジェットノズルは、特に制限はなく、公知のノズルから目的等に応じて適宜選択することができる。なお、インクジェット記録方式については後述する。
インクジェットノズルによって第2の液体Bを液滴b1、液滴b2、液滴b3、・・・液滴bxにて噴射し、その後に第1の液滴a1、液滴a2、液滴a3、・・・液滴ax(第1の液体A)をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様は好適である。インクジェットノズルについては、前記同様である。
本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適である。
なお、インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
中でも、重なり率は、20%以上80%以下であるのが好ましく、30%以上70%以下であるのが好ましい。
また、第2の液体Bについても液滴サイズは第1の液体Aと同様の範囲が好ましい。
エネルギーの付与は、活性光の照射、又は加熱によって好適に行なうことができる。
硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般には1〜500mJ/cm2程度である。
加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行なうことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱手段等が好適である。加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
被記録媒体としては、非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体を用いることもできる。
非浸透性の記録媒体としては、例えば、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。また、機能付加の目的で、これら材質を複数組み合わせて複合化した基材も使用できる。
<シアン顔料分散物の調製>
PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)16g、ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル} エーテル(OXT−221;東亞合成(株)製)48g、及びBYK−168(ビックケミー社製)16gを混合し、スターラーで1時間攪拌した。攪拌後の混合物をアイガーミルにて分散し、顔料分散物P−1を得た。
ここで、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間1時間とした。
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、第1の液体Aとして、インクジェット記録用液体A−1を調製した。インクジェット記録用液体A−1のsp値は18、表面張力は32N/m、含水率は1質量%であった。
・上記の顔料分散物P−1 ・・・ 3.75g
・ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル・・・0.825g
・1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−
オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000
ダイセル・サイテック(株)製) ・・・8.925g
・下記重合開始剤−2
(Irg250、チバスペシャリティーケミカルズ社製) ・・・ 1.5g
液体A−1中の1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000ダイセル・サイテック(株)製)の2/5を下記表1に示す例示化合物(一般式(I)で表される化合物)に置き換えた以外は液体A−1と同様の方法で、第1の液体Aとして、液体A−2〜A−8を調製した。表1に更に各液体のSP値、表面張力、含水率を示した。
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、第2の液体Bとして、インクジェット記録用インクの液体B−1を調製した。液体B−1のsp値は19、表面張力は23mN/m、含水率は1質量%であった。
・ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル・・・4.18g
・1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−
オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000
ダイセル・サイテック(株)製) ・・・ 9.77g
・9,10−ジブトキシアントラセン ・・・ 0.75g
・メガファックF475(大日本インキ化学工業
株式会社製) ・・・ 0.3g
液体B−1中の1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000ダイセル・サイテック(株)製)の2/5を下記表2に示す例示化合物(一般式(I)で表される化合物)に置き換えた以外は液体B−1と同様の方法で、第2の液体Bとして、液体B−2〜B−8を調製した。表2に更に各液体のSP値、表面張力、含水率を示した。
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して1液型のインクジェット記録用の比較インク液A−0を調製した。液体A−0のsp値は19、表面張力は32N/mであった。
・ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル・・・ 0.6g
・1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−
オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000
ダイセル・サイテック(株)製) ・・・ 8.4g
・上記重合開始剤−1 ・・・ 1.5g
・9,10−ジブトキシアントラセン ・・・0.75g
調製したインクジェット記録用液体A−1、液体B−1をインクジェットプリンタ(東芝テックヘッド(CA3)搭載冶具:打滴周波数:4.8KHz、ノズル数:318、ノズル密度150npi(ノズル パー インチ)ドロップサイズ6pl〜42plまで7段階に可変、のヘッドを2つ配列し、300npiにしたヘッドセットを4組搭載)に装填した。以下、液体A−1及び液体B−1の組み合わせを「インクセットA−1/B−1」ということがある。
液体B−1を装填したヘッドセットからは42plのドロップサイズで、被記録媒体上全面に均一に描画した。その上に液体A−1を装填したヘッドからライン状の描画を行った。また100μm間隔の格子状のパターンを描画した。また、別途、5ポイントの文字で「あいうえお」と言う文字の描画を行った。被記録媒体として、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(商品名:PPL/レーザープリンタ用ゼロックスフィルム OHP FILM、富士ゼロックス(株)製;以下、PETシートという。)を用いた。
得られた画像については、下記の評価を行なった。評価結果は下記表3に示す。なお、上記で調製した各液について、「A−」の液をA液(第1の液体A)、「B−」の液をB液(第2の液体B)という。
−1.ライン品質の評価−
ラインの品質を下記評価基準にしたがって評価した。但し、比較インク液A−0は1液のみをライン状に打滴した。
〈評価基準〉
A :ドット形状が保持され、均質なライン形状が得られた。
B :各ドットの独立性がなく、ところどころ隣接する液滴間の合一による線幅の乱れが認められた。
C :各ドットの独立性がなく、全体的に隣接する液滴間の合一による線幅の乱れが認められた。
格子のゆがみを評価した。
〈評価基準〉
A:ゆがみの無い良好な画質である。
B:ラインの乱れ由来のゆがみが生じている。
C:ゆがみが若干生じている。
D:大きなゆがみが生じている。
文字のゆがみを評価した。
〈評価基準〉
A:ゆがみの無い良好な文字品質である。
B:ラインの乱れ由来のゆがみが生じている。
C:ゆがみが若干生じている。
D:大きなゆがみが生じている。
紫外線の照射直後、画像面(記録面)を指で触り、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:ベタツキはなかった。
B:若干ベタツキが認められた。
C:著しくベタツキが認められた。
ライン状の画像が記録されたPETシート及びアート紙について、紫外線照射後30分経過した後の画像を消しゴムで10往復擦ったときの変化を観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:擦過による濃度低下は全くなかった。
B:擦過による濃度低下が僅かに認められた。
C:擦過により著しく濃度が低下した。
ライン状の画像が記録されたPETシートに対して、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いてキセノン光(85,000Lux)を1週間照射し、照射前後の濃度をマイクロデンシトメーター(機種名:MICRO−PHOTOMETER MPM−No.172、メーカー名:ユニオン オプティカル(株)製)にて測定して色素残存率〔%〕を求め、下記評価基準にしたがって5段階評価した。
〈評価基準〉
A:色素残存率が90%以上であった。
B:色素残存率が89〜80%であった。
C:色素残存率が79〜70%であった。
D:色素残存率が69〜50%であった。
E:色素残存率が49%未満であった。
ライン状の画像が記録されたPETシートをオゾン濃度5.0ppm条件下に1週間保存し、保存前後での画像の濃度をマイクロデンシトメーター(機種名:MICRO−PHOTOMETER MPM−No.172、メーカー名:ユニオン オプティカル(株)製)にて測定して色素残存率(%)を求め、下記評価基準にしたがって5段階評価した。なお、オゾン耐性の評価はPETシート上の画像のみについて行なった。
〈評価基準〉
A:色素残存率が90%以上であった。
B:色素残存率が89〜80%であった。
C:色素残存率が79〜70%であった。
D:色素残存率が69〜50%であった。
E:色素残存率が49%未満であった。
しかしながら、本発明以外のモノマーで構成されるインクセットや1液型のインクを用いた比較例1、2では、格子のゆがみ、文字のゆがみが生じた。
また、A−0はノズルに液を詰めっぱなしにした場合にノズル固化が生じた。これに対し、A−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−7、A−8、B−1、B−2、B−3、B−4、B−5、B−6、B−7、B−8はノズル固化が起こらず、吐出安定性に優れていた。
前記液体B−1の調製において、ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル、及び1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000ダイセル・サイテック(株)製)を、高沸点有機溶媒の例示化合物S−9に置き換えた以外はB−1と同様にして、液体B−1−2を調製した。さらに、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6のインクセットに用いられている液体B−2〜B−8を、B−1−2に置き換えて、実施例8〜11及び14並びに参考例12及び13のインクセットとした。
実施例8〜11及び14並びに参考例12及び13のインクセットについて、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様にライン品質、格子ゆがみ、文字品質の評価を行ったところ、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様に本発明の効果が確認できた。
前記液体B−1の調製において、ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル、及び1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000ダイセル・サイテック(株)製)を、高沸点有機溶媒の例示化合物S−15に置き換えた以外はB−1と同様にして、液体B−1−3を調製した。さらに、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6のインクセットに用いられている液体B−2〜B−8を、B−1−3に置き換えて、実施例15〜18及び21並びに参考例19及び20のインクセットとした。
実施例15〜18及び21並びに参考例19及び20のインクセットについて、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様にライン品質、格子ゆがみ、文字品質の評価を行ったところ、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様に本発明の効果が確認できた。
前記液体B−1の調製において、ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル、及び1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000ダイセル・サイテック(株)製)を、高沸点有機溶媒の例示化合物S−21に置き換えた以外はB−1と同様にして、液体B−1−4を調製した。さらに、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6のインクセットに用いられている液体B−2〜B−8を、B−1−4に置き換えて、実施例22〜25及び28並びに参考例26及び27のインクセットとした。
実施例22〜25及び28並びに参考例26及び27のインクセットについて、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様にライン品質、格子ゆがみ、文字品質の評価を行ったところ、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様に本発明の効果が確認できた。
前記液体B−1の調製において、ビス{[1−エチル(3−オキセタニエル)]メチル}エーテル、及び1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン(Cel3000ダイセル・サイテック(株)製)を、高沸点有機溶媒の例示化合物S−32に置き換えた以外はB−1と同様にして、液体B−1−5を調製した。さらに、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6のインクセットに用いられている液体B−2〜B−8を、B−1−5に置き換えて、実施例29〜32及び35並びに参考例33及び34のインクセットとした。
実施例29〜32及び35並びに参考例33及び34のインクセットについて、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様にライン品質、格子ゆがみ、文字品質の評価を行ったところ、実施例1〜4及び7並びに参考例5及び6と同様に本発明の効果が確認できた。
Claims (14)
- 少なくとも画像を形成するための少なくとも1種の第1の液体Aと、前記第1の液体Aと組成が異なる少なくとも1種の第2の液体Bとから構成されるインクセットであって、少なくとも液体A又はBのいずれかひとつの液体に、同一分子内にオキシラン環及びオキセタン環を有するカチオン重合性化合物として下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含むことを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
〔式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、複素芳香族基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、又はシリル基を表す。
Lは2価の連結基として、酸素(−O−)又はカルボニルオキシ(−CO2−)を表す。
X及びYはそれぞれ独立にアルキレン基または単結合を表す。
但し、X−L−Yで表される基の主鎖を構成する原子の数は3又は4である。〕 - 前記カチオン重合性化合物を含む液体の含水率が0.01〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 少なくとも前記液体A又はBのいずれかひとつの液体に、重合性もしくは架橋性材料を架橋反応させる重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記第2の液体Bが、親油性溶剤を含み、前記親油性溶剤の含有量が前記第2の液体Bの全質量の50質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記親油性溶剤は、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記第1の液体Aが、着色剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記第2の液体Bが着色剤を含有しないか、又は、含有する場合には、着色剤の含有量が1質量%未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクセットを用い、前記第2の液体Bを前記第1の液体Aで形成される前記画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め被記録媒体に付与しておくことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記第1の液体Aを少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて、前記液滴a1と前記液滴a2とを重なり部分をもって打滴することで画像を記録することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 前記重なり部分における重なり率が10%以上90%以下である請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第2の液体Bの付与後、前記液体Aが打滴されるまでの打滴間隔が5μ秒以上400m秒以下である請求項8〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 打滴された前記液体Aの液滴サイズが、0.1ピコリットル以上100ピコリットル以下である請求項8〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記第1の液体A打滴までの間は第2の液体Bを液体状に保持することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記液体Aの打滴後に活性エネルギーを前記画像に与えて前記重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋する請求項8〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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