JP5135977B2 - ボイラ - Google Patents

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Description

この発明は、蒸気ボイラ、温水ボイラ、廃熱ボイラまたは排ガスボイラなどの各種ボイラに関するものである。
多管式のボイラとして、下記特許文献1に開示されるものが知られている。この種のボイラは、環状に形成した上部管寄せと下部管寄せとの間に、多数の水管が同心円筒状に配列されて構成される缶体を備える。このような缶体では、内側水管列よりも内側が燃焼室とされ、それよりも外側が燃焼ガス流路とされる。
従って、缶体上部に設置したバーナから燃焼室内へ向けて燃料の燃焼を行うと、燃焼ガスは燃焼室の下部で反転して、内側水管列と外側水管列との間を通って、排ガスとして缶体上部から煙道へ排出される。この間、燃焼ガスは、各水管内の水と熱交換し、各水管内の水の加熱が図られる。
特開平2−75805号公報 (第2図、第3図)
上述した缶体構造のボイラにおいて、伝熱面積を増加させるために、内側水管列の外周面、および/または、外側水管列の内周面に、水管から略水平に延出して横ヒレなどを設けたい場合がある。しかしながら、特に油焚きのボイラの場合、横ヒレなどを設けると、その箇所には、使用に伴い煤が付着し易い。そして、煤が付着することにより、伝熱性能が低下したり、圧力損失が増大したりする。
また、付着した煤を必要に応じて洗浄水で洗浄しようとしても、外側水管列の上端部には、燃焼ガスを缶体外へ導出するために、隣接する外側水管間に隙間があるので、その隙間から缶体カバー側へ洗浄水が漏れ出てしまう不都合がある。
この発明が解決しようとする課題は、缶体カバー側への水漏れを防止しつつ、所望時に煤洗浄が可能なボイラを提供することにある。また、簡易な構成で、効率よく煤洗浄が可能なボイラを提供することを課題とする。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、上部管寄せの中央部に下方へ向けてバーナが設けられ、このバーナにおいて液体燃料を燃焼させる油焚きのボイラであって、上部管寄せと下部管寄せとの間に円筒状に配列されて内側伝熱管列を構成する複数の内側伝熱管と、前記内側伝熱管列を取り囲むように、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に円筒状に配列されて外側伝熱管列を構成すると共に、同心円筒状に配列される前記内側伝熱管列と前記外側伝熱管列との周方向へ行くに従って、前記各内側伝熱管と互い違いに配置される複数の外側伝熱管と、前記内側伝熱管列の下端部を残して、隣接する前記内側伝熱管間の隙間を閉塞するよう設けられる複数の内側縦ヒレと、前記外側伝熱管列の上端部を残して、隣接する前記外側伝熱管間の隙間を閉塞するよう設けられる複数の外側縦ヒレと、前記内側伝熱管列と前記外側伝熱管列との隙間に設けられ、隣接する前記内側伝熱管とその間に配置される前記外側伝熱管とに囲まれた領域に、上方から洗浄パイプを挿入可能とするガイドパイプと、前記内側伝熱管列の外周面を構成する面において、前記各内側伝熱管から外方へ延出して設けられる内側横ヒレと、前記外側伝熱管列の内周面を構成する面において、前記各外側伝熱管から外方へ延出して設けられる外側横ヒレとを備えることを特徴とするボイラである。
請求項1に記載の発明によれば、外側伝熱管列の上端部には、隣接する外側伝熱管間に隙間があるが、隣接する内側伝熱管とその間に配置される外側伝熱管とに囲まれた領域に洗浄パイプが挿入されるので、外側伝熱管列の外側への洗浄水の漏れが防止される。このようにして、外側伝熱管列の外側への水漏れを防止しつつ、所望の煤洗浄が可能となる。
さらに、請求項2に記載の発明は、前記内側横ヒレは、前記内側伝熱管列の周方向一方へ行くに従って上方へ傾斜して設けられ、前記外側横ヒレは、前記外側伝熱管列の周方向一方へ行くに従って上方へ傾斜して設けられ、前記洗浄パイプは、前記周方向一方へ洗浄水を噴出させることを特徴とする請求項1に記載のボイラである。
請求項2に記載の発明によれば、内側横ヒレと外側横ヒレとは、水平ではなく、両伝熱管列の周方向一方へ行くに従って上方へ傾斜して設けられる。このような構成の場合、両伝熱管列の隙間を上方へ流れるガスは、各横ヒレの作用により、周方向一方へ若干向かいつつ上方へ流れる。そして、そのようなガスの流れは、各横ヒレの半分だけに煤が付き易い状況となる。そこで、洗浄パイプは、周方向一方へ洗浄水を噴出させることで、煤洗浄を効果的に行うことができる。
この発明のボイラによれば、缶体カバー側への水漏れを防止しつつ、所望時に煤洗浄が可能となる。また、簡易な構成で、効率よく煤洗浄が可能となる。
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
この発明のボイラは、その種類を特に問わないが、たとえば、蒸気ボイラ、温水ボイラ、廃熱ボイラまたは排ガスボイラである。いずれの場合も、ボイラは、多管式ボイラとされ、典型的には多管式貫流ボイラとされる。また、この発明のボイラは、バーナにより液体燃料を燃焼させる油焚きのボイラが好ましい。
ボイラは、上部管寄せと下部管寄せとの間を複数の伝熱管で接続して構成される缶体を備える。上部管寄せと下部管寄せとは、上下に離隔して平行に配置され、それぞれ中空の円環状とされる。各伝熱管は、垂直に配置され、上部管寄せと下部管寄せとの間を接続する。すなわち、各伝熱管は、上端部が上部管寄せに接続される一方、下端部が下部管寄せに接続される。
各伝熱管は、上部管寄せと下部管寄せとの間に、それらの周方向へ沿って配列されることで、円筒状の伝熱管列を構成する。この際、伝熱管列は、同心円筒状に配列される内側伝熱管列と外側伝熱管列との二列とされる。但し、場合により、内側伝熱管列と外側伝熱管列とに加えて、他の伝熱管または伝熱管列を設けてもよい。内側伝熱管列を構成する内側伝熱管と、外側伝熱管列を構成する外側伝熱管とは、同一本数とされ、缶体の周方向へ行くに従って、内側伝熱管と外側伝熱管とが互い違いに配置される。
内側伝熱管列は、複数の内側伝熱管が円筒状に配列されると共に、隣接する内側伝熱管間の隙間が下端部を残して内側縦ヒレで閉塞されて構成される。内側伝熱管列の下端部には、内側縦ヒレが設けられないことで、内側伝熱管間に隙間が形成される。この隙間を内列連通部という。
外側伝熱管列は、複数の外側伝熱管が円筒状に配列されると共に、隣接する外側伝熱管間の隙間が上端部を残して外側縦ヒレで閉塞されて構成される。外側伝熱管列の上端部には、外側縦ヒレが設けられないことで、外側伝熱管間に隙間が形成される。この隙間を外列連通部という。
缶体には、伝熱面積を増加させるために、内側伝熱管列の外周面、および/または、外側伝熱管列の内周面に、各伝熱管から外方へ延出して横ヒレなどを設けることができる。たとえば、各内側伝熱管の上下方向設定領域には、内側伝熱管列の外周面を構成する面に、内側横ヒレを上下に離隔して複数設けることができる。また、各外側伝熱管の上下方向設定領域には、外側伝熱管列の内周面を構成する面に、外側横ヒレを上下に離隔して複数設けることができる。
缶体は、上端部にバーナが設けられ、下端部が耐火材で閉塞される。これにより、内側伝熱管列よりも内側は燃焼室とされ、この燃焼室内へ向けてバーナから燃料の燃焼が可能とされる。但し、廃熱ボイラや排ガスボイラとする場合には、缶体は、上下方向一方が閉塞され、上下方向他方の開口部から排ガスが導入される。つまり、この場合には、内側伝熱管列よりも内側は、排ガスの導入空間とされる。
このような構成であるから、燃焼ガスまたは排ガスは、内側伝熱管列の下端部の内列連通部を介して、内側伝熱管列と外側伝熱管列との隙間へ導入され、外側伝熱管列の上端部の外列連通部から放射状に導出される。外側伝熱管列の外周部には、少なくとも上部に円筒状の缶体カバーが設けられ、この缶体カバーを介して、排ガスは煙道へ導出される。
缶体カバーは、外側伝熱管列の上端部の外列連通部からの排ガスを受け入れて煙道へ導くものであればその構成を問わないが、典型的には、外側伝熱管列を取り囲むように、上部管寄せと下部管寄せとの間に設けられる円筒状の部材である。この際、缶体カバーは、上端部において、上部管寄せとの隙間が封止され、下端部において、下部管寄せとの隙間が封止される。そして、缶体カバーの周側壁の上部には、周方向一部に煙道が接続される。この際、缶体カバーの上部を大径部としておき、外側伝熱管列の上端部から放射状に排出される排ガスを、缶体カバーの大径部に受け入れた後、煙道へと導く構成としてもよい。
ボイラ(特に油焚きボイラ)は、使用に伴い、缶体に煤が付着する。この煤は、内側伝熱管列の外周面や、外側伝熱管列の内周面に付着する。特に、内側横ヒレや外側横ヒレなどの拡大伝熱面を設けた場合には、その箇所に煤が付着して、伝熱性能が低下したり、圧力損失が増大したりする。そこで、この発明のボイラは、所望時に、洗浄により煤の除去が可能とされている。
具体的には、缶体の周方向複数箇所には、上部管寄せを貫通してガイドパイプが設けられている。このガイドパイプは、通常、上端部がプラグで閉じられているが、所望時には、そのプラグを取り外して、洗浄パイプを缶体内へ挿入可能とされている。洗浄パイプを介して、缶体内へ洗浄水を噴出させることで、各伝熱管や各横ヒレなどの洗浄が可能とされる。
内側伝熱管列の外周部や外側伝熱管列の内周部を洗浄可能とするために、ガイドパイプは、缶体の平面視において、内側伝熱管列と外側伝熱管列との隙間に配置される。前述したように、缶体の周方向へ行くに従って、内側伝熱管と外側伝熱管とは互い違いに配置されるが、隣接する内側伝熱管とその中間で缶体の径方向外側に配置される外側伝熱管とに囲まれた領域に、ガイドパイプが設けられる。これにより、洗浄パイプから洗浄水を噴出させても、外列連通部から洗浄水が外方の缶体カバーへ漏れ出るのが防止される。すなわち、仮に、隣接する外側伝熱管とその中間で缶体の径方向内側に配置される内側伝熱管とに囲まれた領域にガイドパイプを設けた場合には、外側伝熱管列の上部には外列連通部が形成されているので、缶体上部の洗浄を行う際、外列連通部から洗浄水が外方へ漏れ出てしまうが、この発明のボイラによればそのような不都合が抑制される。
ところで、内側伝熱管列と外側伝熱管列との隙間を上方へ向かうガスを攪拌させて、熱伝導性を向上するために、内側横ヒレおよび外側横ヒレを、缶体の周方向一方へ行くに従って上方へ傾斜させたい場合がある。この場合、両伝熱管列の隙間を上方へ流れるガスは、各横ヒレの作用により、周方向一方へ若干向かいつつ上方へ流れることになる。従って、このような燃焼ガスの流れは、各横ヒレの半分だけに煤を付き易い状況を生むことになる。そこで、このような缶体に対しては、洗浄パイプは、洗浄水を周方向一方へ噴出させればよい。
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のボイラの一実施例を示す概略縦断面図であり、洗浄時の状態を示している。また、図2は、そのII−II断面図である。本実施例のボイラ1は、円筒状の缶体2を備えた多管式貫流ボイラである。缶体2は、上部管寄せ3と下部管寄せ4との間を、円筒状に配列された多数の水管(伝熱管)5,5,…、6,6,…で接続して構成される。
上部管寄せ3と下部管寄せ4とは、上下に離隔して平行に配置され、それぞれ中空の円環状とされている。また、上部管寄せ3と下部管寄せ4とは、それぞれ水平に配置されると共に、同一軸線上に配置される。
各水管5,6は、垂直に配置され、上端部が上部管寄せ3に接続される一方、下端部が下部管寄せ4に接続される。各水管5,6は、上部管寄せ3と下部管寄せ4との周方向へ順次に配列されることで、円筒状の水管列を構成する。本実施例では、内側水管列7と外側水管列8とが同心円筒状に配列される。内側水管列7は、円筒状に配列された内側水管5,5,…にて構成される。一方、外側水管列8は、内側水管列7を取り囲むように、円筒状に配列された外側水管6,6,…にて構成される。
内側水管5と外側水管6とは、缶体2の周方向へ行くに従って互い違いに配置される。すなわち、缶体2の平面視において、同心円に配置される両水管列7,8の共通中心と、隣接する内側水管5,5の各中心とを結ぶ線でできる角を二等分する線上に、外側水管6が配置される。
内側水管列7には、下端部の設定領域を残して、隣接する内側水管5,5間の隙間を閉塞するように、内側縦ヒレ9が設けられる。つまり、内側水管5,5間の隙間は、下端部の設定領域を残して、内側縦ヒレ9にて閉塞される。内側水管列7は、内側縦ヒレ9が設けられない下端部において、隣接する内側水管5,5間に隙間が空けられる。この隙間から構成される内列連通部10を介して、内側水管列7の内側と外側とは連通される。
外側水管列8には、上端部の設定領域を残して、隣接する外側水管6,6間の隙間を閉塞するように、外側縦ヒレ11が設けられる。つまり、外側水管6,6間の隙間は、上端部の設定領域を残して、外側縦ヒレ11にて閉塞される。外側水管列8は、外側縦ヒレ11が設けられない上端部において、隣接する外側水管6,6間に隙間が空けられる。この隙間から構成される外列連通部12を介して、外側水管列8の内側と外側とは連通される。
ところで、図示例では、各内側水管5の下端部は、それより上部よりも小径部13に形成されている。これは、内列連通部10を通過する燃焼ガスの流量を所望に確保するためである。従って、内列連通部10を通過する燃焼ガスの流量を所望に確保できる場合には、小径部13はなくてもよい。内列連通部10の大きさは、隣接する内側水管5,5間の隙間と、内側縦ヒレ9の下端部の高さ位置にも左右されるため、小径部13を設ける代わりに、これら寸法を調整してもよい。一方、図示例では、各外側水管6の上端部には、小径部は形成されていないが、各内側水管5と同様に小径部を形成してもよい。
図3は、図1におけるIII−III断面の部分拡大図である。また、図4は、図1におけるIV−IV断面の部分拡大図である。図1から図4に示すように、各内側水管5には、所望により、その外周面から突出する拡大伝熱面をさらに設けてもよい。図示例では、各内側水管5には、内側水管列7の外周面を構成する面に、内側横ヒレ14,15が設けられる。この際、各内側水管5には、上方領域に上方内側横ヒレ14が設けられ、下方領域に下方内側横ヒレ15が設けられる。
具体的には、各内側水管5の上半分の領域には、内側水管列7の外周面を構成する面に、内側水管5の径方向外側へツバ状に延出して、複数の上方内側横ヒレ14が設けられる。図示例では、上下に等間隔に多数の上方内側横ヒレ14が設けられる。そして、各上方内側横ヒレ14には、所望により、図3に示すように、熱応力を緩和する切欠き16が先端部に形成される。一方、各内側水管5の下半分で小径部13を除いた領域には、内側水管列7の外周面を構成する面に、内側水管5の径方向外側へツバ状に延出して、複数の下方内側横ヒレ15が設けられる。図示例では、上下に等間隔に多数の下方内側横ヒレ15が設けられる。各上方内側横ヒレ14と同様に、各下方内側横ヒレ15にも、所望により、熱応力を緩和する切欠き(図示省略)を先端部に形成してもよい。上方内側横ヒレ14や下方内側横ヒレ15は、内側水管5の外周面からの延出長さを特に問わない。但し、内側水管5の過熱を防止するために、下方内側横ヒレ15は、上方内側横ヒレ14よりも、内側水管5の外周面からの延出長さが短く形成されるのが好ましい。典型的には、下方内側横ヒレ15は、上方内側横ヒレ14の半分以上の長さに形成されるが、上方内側横ヒレ14よりも短く形成される。
また、同様に、各外側水管6には、所望により、その外周面から突出する拡大伝熱面をさらに設けてもよい。図示例では、各外側水管6には、外側水管列8の内周面を構成する面に、外側横ヒレ17,18が設けられる。この際、各外側水管6には、上方領域に上方外側横ヒレ17が設けられ、下方領域に下方外側横ヒレ18が設けられる。
具体的には、各外側水管6の上半分の領域には、外側水管列8の内周面を構成する面に、外側水管6の径方向外側へツバ状に延出して、複数の上方外側横ヒレ17が設けられる。図示例では、上下に等間隔に多数の上方外側横ヒレ17が設けられる。そして、各上方外側横ヒレ17には、所望により、図3に示すように、熱応力を緩和する切欠き19が先端部に形成される。一方、各外側水管6の下半分の領域には、外側水管列8の内周面を構成する面に、外側水管6の径方向外側へツバ状に延出して、複数の下方外側横ヒレ18が設けられる。図示例では、上下に等間隔に多数の下方外側横ヒレ18が設けられる。各上方外側横ヒレ17と同様に、各下方外側横ヒレ18にも、所望により、熱応力を緩和する切欠き(図示省略)を先端部に形成してもよい。上方外側横ヒレ17や下方外側横ヒレ18は、外側水管6の外周面からの延出長さを特に問わない。但し、外側水管6の過熱を防止するために、下方外側横ヒレ18は、上方外側横ヒレ17よりも、外側水管6の外周面からの延出長さが短く形成されるのが好ましい。典型的には、下方外側横ヒレ18は、上方外側横ヒレ17の半分以上の長さに形成されるが、上方外側横ヒレ17よりも短く形成される。
本実施例では、内側横ヒレ14,15および外側横ヒレ17,18は、缶体2の平面視において重ならないように大きさ、形状および配置が調整されている。また、上方内側横ヒレ14と上方外側横ヒレ17の他、下方内側横ヒレ15と下方外側横ヒレ18とは、いずれも水平状態に設置してもよいが、缶体2の周方方向一方へ行くに従って上方へ傾斜して設けるのがよい。本実施例では、内側横ヒレ14,15および外側横ヒレ17,18は、各水管5,6の軸方向(垂直方向)に対し同一の設定角度だけ傾斜して設けられる。この傾斜角度は、たとえば80度に設定される。このようにして、各横ヒレ14,15,17,18を水平状態から傾斜させる場合には、内側水管列7と外側水管列8との間の燃焼ガス流路20を上方へ流れる燃焼ガスを攪拌させて、燃焼ガスから各水管5,6への伝熱性を高めることができる。但し、横ヒレ14,15,17,18の設置の有無、設置領域および設置位置、設置個数、形状や大きさなどは適宜に変更可能である。
上部管寄せ3の下面および下部管寄せ4の上面には、各管寄せ3,4と各水管5,6との接続部を覆うように、耐火材21が設けられる。この際、下部管寄せ4側の耐火材21は、下部管寄せ4の中央部をも閉塞するように設けられる。下部管寄せ4側の耐火材21の中央部には、円柱状または円錐台状の凹部22を形成するのがよい。
上部管寄せ3と下部管寄せ4との間にはさらに、外側水管列8を取り囲むように、円筒状の缶体カバー23が設けられる。缶体カバー23は、上端部において、上部管寄せ3との隙間が封止され、下端部において、下部管寄せ4との隙間が封止される。缶体カバー23の周側壁上部には、周方向の所望箇所に煙道24が接続される。図示例では、缶体カバー23の上端部は、大径部25に形成されており、この大径部25の周側壁に煙道24が接続される。
外側水管列8と缶体カバー23との間の円筒状隙間には、下方の設定領域に断熱材26が充填される。断熱材26は、その種類を特に問わないが、たとえばセラミックファイバーまたはロックウールである。図示例の場合、外列連通部12よりも下方領域の外側水管列8と、大径部25よりも下方領域の缶体カバー23との間に、断熱材26が充填される。
上部管寄せ3の中央部には、下方へ向けてバーナ27が設けられる。このバーナ27には、燃料が供給されると共に、燃焼用空気が供給される。本実施例のボイラ1は、バーナ27へ供給される燃料が液体燃料とされ、油焚きのボイラとされる。バーナ27を作動させることで、缶体2内において燃料の燃焼が行われる。この際、内側水管列7の内側は、燃焼室28として機能する。
燃焼室28での燃料の燃焼による燃焼ガスは、内列連通部10を介して、内側水管列7と外側水管列8との間の燃焼ガス流路20へ導出される。そして、その燃焼ガスは、外列連通部12を介して、外側水管列8の上部から放射状に導出され、缶体カバー23に受け入れられる。その後、排ガスとして、缶体カバー23に接続された煙道24を介して、外部へ排出される。この間、燃焼ガスは、各水管5,6内の水と熱交換し、各水管5,6内の水の加熱が図られる。これにより、上部管寄せ3から蒸気を取り出すことができ、その蒸気は気水分離器(図示省略)などを介して、蒸気使用設備(図示省略)へ送られる。
ボイラ1の使用に伴い、缶体2内には煤が付着するおそれがある。この煤は、内側水管列7の外周面や、外側水管列8の内周面に付着する。特に、内側横ヒレ14,15や外側横ヒレ17,18などの拡大伝熱面に付着し易い。これらの箇所に煤が付着すると、伝熱性能が低下したり、圧力損失が増大したりする。そこで、本実施例のボイラ1は、所望時に、洗浄により煤の除去が可能とされている。この洗浄は、上部管寄せ3を貫通して設けたガイドパイプ29から、洗浄パイプ30を差し込んで行われる。
ガイドパイプ29は、図2に示すように、缶体2の平面視において、内側水管列7と外側水管列8との隙間に配置される。この際、隣接する内側水管5,5とその中間で缶体2の径方向外側に配置される外側水管6とに囲まれた領域に、ガイドパイプ29が設けられる。より具体的には、隣接する上方内側横ヒレ14,14と、その中間で缶体2の径方向外側に配置される上方外側横ヒレ17とに囲まれた領域に、ガイドパイプ29が設けられる。
ガイドパイプ29は、缶体2の周方向に等間隔に複数設けられる。隣接する内側水管5,5とその中間の外側水管6とに囲まれた領域は、隣接する内側水管5,5間に順次に出現するが、図2ではその一つおきにガイドパイプ29が設置される。但し、隣接する内側水管5,5間のすべてにガイドパイプ29を設けてもよい。内側水管5,5とその中間の外側水管6とに囲まれた領域であれば、どのような間隔で缶体2にガイドパイプ29を設けるかは適宜に設定される。
いずれにしても、各ガイドパイプ29は、上下に細長い筒材から構成される。典型的には、上下に細長い円筒材から構成され、上部管寄せ3を上下に貫通して設けられる。その際、ガイドパイプ29の外周面が上部管寄せ3の上下と溶接されて、両者の隙間が確実に封止される。ガイドパイプ29は、上端部が上部管寄せ3から上方へ少し突出し、下端部が上部管寄せ3側の耐火材21から下方へ少し突出した状態で設けられる。ガイドパイプ29の上端部には、プラグ(図示省略)が着脱可能に設けられており、プラグが付けられた状態でボイラ1は運転される。これにより、ボイラ1の運転中、燃焼ガスがガイドパイプ29を介して漏れ出るのが防止される。
一方、洗浄により煤を除去したい場合には、プラグを取り外して、細長い円筒状の洗浄パイプ30を、ガイドパイプ29を介して缶体2内へ差し込めばよい。洗浄パイプ30の外径は、ガイドパイプ29よりも小径とされている。洗浄パイプ30の基端部(上端部)へは、ポンプ(図示省略)を介して洗浄液が供給可能とされ、その洗浄液は洗浄パイプ30の先端部(下端部)から噴出可能とされる。たとえば、洗浄パイプ30の先端部は、直径方向に対向した二箇所が、先端側へ行くに従って互いに近接する傾斜面(図示省略)に形成されており、その二つの傾斜面の一方または双方に、一または複数の噴出穴が形成されている。但し、洗浄パイプ30の先端部のノズルの構成は、適宜に変更可能である。たとえば、洗浄パイプ30の先端部からは、周方向および/または上下方向に、複数の噴出穴を等間隔に形成してもよい。
ガイドパイプ29を介して缶体2内へ洗浄パイプ30を差し込んだ状態で、ポンプを作動させると、洗浄パイプ30の先端部の噴出穴から洗浄水を高圧で噴出させることができる。そして、ガイドパイプ29に対し洗浄パイプ30を上下に移動させることで、缶体2内の上下方向全域を洗浄することができる。洗浄パイプ30は、隣接する内側水管5,5とその中間の外側水管6とに囲まれた領域に挿入されるので、缶体2の上部を洗浄中にも、洗浄液が外列連通部12から外方へ漏れ出るのが防止される。
また、ガイドパイプ29に対し洗浄パイプ30を周方向へ相対回転させることで、洗浄パイプ30の先端部の噴出穴の周方向位置を調整することができる。洗浄パイプ30の上端部に、噴出穴の位置を示す印を付けておけば、噴出穴の位置を確認しながら作業することができる。
ところで、上方内側横ヒレ14と上方外側横ヒレ17とを、前述したように缶体2の周方向一方(図3においては時計方向(右側))へ行くに従って上方へ傾斜させた場合には、図3において白抜き矢印で示すように、両水管列7,8の隙間を上方へ流れるガスは、各横ヒレ14,17の作用により、周方向一方へのみ若干向かいつつ上方へ流れることになる。従って、このような燃焼ガスの流れは、各横ヒレ14,17の半分だけに煤を付き易い状況を生むことになる。そこで、このような缶体2に対しては、図3において破線で示すように、洗浄パイプ30は、洗浄水を周方向一方へ噴出させるだけでもよい。このことは、下方内側横ヒレ15と下方外側横ヒレ18についても、同様である。
このような作業が各ガイドパイプ29を介して順次に(場合により並行して)行うことで、缶体2内の煤(特に各横ヒレ14,15,17,18に付着した煤)の除去が図られる。洗浄パイプ30から噴出された水は、缶体2内に溜まるので、排水ポンプ(図示省略)で吸引排出される。ところで、洗浄液としては、単なる水の他、薬液であってもよい。
本発明のボイラ1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例において、バーナ27を設ける代わりに、内側水管列7の内側に排ガスを導入すれば、廃熱ボイラや排ガスボイラとすることができる。また、前記実施例において、下方内側横ヒレ15および下方外側横ヒレ18は、内側水管5または外側水管6から径方向外側へ突出するピン状のスタッドとしてもよい。その場合、スタッドは、内側水管5または外側水管6の周方向に等間隔に複数設けられると共に、上下にも等間隔に多数設けられる。
本発明のボイラの一実施例を示す概略縦断面図である。 図1のII−II断面図である。 図1におけるIII−III断面の部分拡大図である。 図1におけるIV−IV断面の部分拡大図である。
符号の説明
1 ボイラ
2 缶体
3 上部管寄せ
4 下部管寄せ
5 内側水管(内側伝熱管)
6 外側水管(外側伝熱管)
7 内側水管列(内側伝熱管列)
8 外側水管列(外側伝熱管列)
9 内側縦ヒレ
11 外側縦ヒレ
14 内側横ヒレ(上方内側横ヒレ)
15 内側横ヒレ(下方内側横ヒレ)
17 外側横ヒレ(上方外側横ヒレ)
18 外側横ヒレ(下方外側横ヒレ)
29 ガイドパイプ
30 洗浄パイプ

Claims (2)

  1. 上部管寄せの中央部に下方へ向けてバーナが設けられ、このバーナにおいて液体燃料を燃焼させる油焚きのボイラであって、
    上部管寄せと下部管寄せとの間に円筒状に配列されて内側伝熱管列を構成する複数の内側伝熱管と、
    前記内側伝熱管列を取り囲むように、前記上部管寄せと前記下部管寄せとの間に円筒状に配列されて外側伝熱管列を構成すると共に、同心円筒状に配列される前記内側伝熱管列と前記外側伝熱管列との周方向へ行くに従って、前記各内側伝熱管と互い違いに配置される複数の外側伝熱管と、
    前記内側伝熱管列の下端部を残して、隣接する前記内側伝熱管間の隙間を閉塞するよう設けられる複数の内側縦ヒレと、
    前記外側伝熱管列の上端部を残して、隣接する前記外側伝熱管間の隙間を閉塞するよう設けられる複数の外側縦ヒレと、
    前記内側伝熱管列と前記外側伝熱管列との隙間に設けられ、隣接する前記内側伝熱管とその間に配置される前記外側伝熱管とに囲まれた領域に、上方から洗浄パイプを挿入可能とするガイドパイプと
    前記内側伝熱管列の外周面を構成する面において、前記各内側伝熱管から外方へ延出して設けられる内側横ヒレと、
    前記外側伝熱管列の内周面を構成する面において、前記各外側伝熱管から外方へ延出して設けられる外側横ヒレと
    を備えることを特徴とするボイラ。
  2. 前記内側横ヒレは、前記内側伝熱管列の周方向一方へ行くに従って上方へ傾斜して設けられ、
    前記外側横ヒレは、前記外側伝熱管列の周方向一方へ行くに従って上方へ傾斜して設けられ、
    前記洗浄パイプは、前記周方向一方へ洗浄水を噴出させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のボイラ。
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