JPH0590101U - 竪型ボイラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内外２重の水管群を有する竪型ボイラの熱効
率を向上させることと、全水管に均一に熱吸収を与える
ことにより局部的な過熱を防止する。 【構成】 内側水管群の各水管３の間に放射伝熱面バッ
フル７を設ける。外側水管群の各水管４の間に接触電熱
面バッフル９を設ける。内外の水管群の間に内側燃焼ガ
ス流路１９を設け、外側水管群とその外側の断熱ジャケ
ット１０の間に外側燃焼ガス流路２１を設ける。内側水
管で囲まれた燃焼室３１とガス流路１９を、下部の連通
部２０で連通させる。内外の燃焼ガス流路１９、２１を
上端の連通部２２で連通させ、ガス流路２１の下端を排
気口１４に連通させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は竪型ボイラ、特に高圧蒸気を発生させるための竪型ボイラに関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の竪型ボイラは、上下に中空ドーナツ状の管寄せドラムを設け、この上下 の管寄せドラムを円筒状に配置した縦方向の多数の水管で連通させ、この水管群 の内側を燃焼室として、燃焼室内に吹き込んだ燃焼ガスを各水管の間を連通させ て水管中の水を加熱したのち、ボイラの外周に設けた排気口から排出させるもの である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の竪型ボイラは一般に低圧（１０kg/cm²）用で、その各水管 上下端は、ドーナツ状管寄せドラムの方へ１回だけ屈曲して、隣接する水管の間 が相当広くなっているため、燃焼室から、水管の間を抜けて排気口へ向かう燃焼 ガスの流速が遅くなり伝熱効率が悪いという問題があった。

【０００４】 また、従来の竪型ボイラで内外２重の水管群を設けたものも種々提案されてい るが、その何れもが、内部の燃焼室で発生させた燃焼ガスが周囲の水管群の間を 放射状に連通して排気口から流出していくので燃焼ガスと水管の接触が十分でな い。従って熱交換が不十分となり、かつ局部的に過熱する部分が生じるおそれが あり、熱効率が悪く、耐用性もよくないなどの問題があった。 この考案の課題は上記の問題を解決して、内外の水管群と燃焼ガスとが十分に 接触して、十分な熱交換を行うことにより熱効率が高く、かつ耐用性の大きい竪 型ボイラを得ることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するために、この考案は円形横断面の多数の縦方向の水管を 千鳥状で内外２重の縦向き円筒状に配置してその上下端を中空ドーナツ状の上下 の管寄せドラムに連通させることにより、水管群で囲まれた燃焼室を構成すると ともに、この水管群の外側を円筒状の断熱ジャケットで囲み、かつ、前記各水管 の上下端部にそれぞれ３回の曲げ加工を施すことにより各水管の端部が管寄せド ラムの方に向くようにほぼ円弧状の湾曲部を設け、湾曲部以外の水管の直線部の 内側の水管と外側の水管の隣接部の隙間を燃焼ガスの流速が十分に速くなるよう に、水管の外径の約１／１０と狭くした竪型ボイラを改良して、その内側の各水 管の間に、それぞれ放射伝熱面バッフルを設け、外側の各水管の間には接触伝熱 面バッフルを設け、上記放射伝熱面バッフルと接触伝熱面バッフル間に、下端の 連通部により上記燃焼室の下端に通じる筒状の内側燃焼ガス流路を形成し、上記 接触伝熱面バッフルと上記断熱ジャケットの間には上端が連通部により上記内側 燃焼ガス流路に通じる外側燃焼ガス流路を形成し、この外側燃焼ガス流路の下端 を排気口に連通させ、上記内側燃焼ガス流路を上記外側燃焼ガス流路より狭くし た構成としたのである。

【０００６】

【作用】

燃焼室内に吹き込まれた燃焼ガスは、その周囲に配置されている多数の内側の 各水管と接触して内側の水管内の水と熱交換しつつ内側の放射伝熱面バッフルに 沿って下降し、このバッフルの下端の連通部から、狭い内側燃焼ガス流路を速い 速度で上昇する。

【０００７】 この間燃焼ガスは内外の水管内の水と熱交換を行いながら上端の連通部から外 側燃焼ガス流路に入り、この流路を下降しつつ外側水管と接触伝熱面バッフルに 接触しつつ、外側水管内の水と熱交換したのち、排気口から煙道へと排出される 。

【０００８】 一方、下方の管寄せドラムに流入した水は各水管中を上昇する間に、上記のよ うな燃焼ガスと熱交換を行って高圧の蒸気となり、上部の管寄せドラムを経て蒸 気管へと抜けていく。

【０００９】

【実施例】

図において、１、２は上下に配置した中空ドーナツ状の管寄せドラム、３は上 下のドラム１、２の間に円筒状に配置した多数の垂直の内側水管、４は水管３の 間の部分の外側に位置させて千鳥状となるように配置した多数の垂直の外側水管 である。

【００１０】 各内側水管３の上下端には湾曲部５がそれぞれ設けてあるが、この湾曲部５は ドラム１、２の中心に向かうように曲げ加工を施した接続部ａと、この接続部ａ に続いて円弧状に曲げ加工を施した弧状部ｂに続いて管３を反対方向に弧状に曲 げ加工を施した反曲部ｃの３回の曲げ加工により形成したものである。

【００１１】 また、外側水管４の上下端も上記と同様の３回の曲げ加工を施した湾曲部６を 有するもので、管寄せドラム１、２に対して内外の水管３、４の接続部ａがドラ ム１、２の横断面の中心に向くようにそれぞれ溶接して上下ドラム１、２を水管 ３、４により連通させ、かつ水管３、４の大部分を占める垂直の部分は図２、図 ３のように、内側水管３同士および外側水管４同士の隣接隙間ｅは例えば水管３ 、４の外径の約１／３と比較的広いが内外の水管３、４の間の隙間ｆは水管３、 ４の外径の約１／１０と小さくする。

【００１２】 上記各内側水管３の間には放射伝熱面バッフル７を設け、外側水管４の間にも 接触伝熱面バッフル９を設ける。１０は外側水管４群を囲む中空円筒状の断熱ジ ャケットで、その内外は鋼板などの金属板１１、１２からなり、内側の金属板１ １の下部内側は大径として外側水管４群との間に大径の環状空間１３を設け、こ の空間に通じる排気口１４を設ける。 さらに、外側の金属板１２の外側に、円筒状の金属板１５を同芯に設けて金属 板１２、１５間も筒状空間として断熱効果をもたせる。

【００１３】 １６、１７は、上下の環状耐火材で、各水管３、４の上下の湾曲部５、６はこ の耐火材中に埋め込まれている。また、下部の耐火材１７は同材料の底板で閉鎖 されている。上記放射伝熱面バッフル７の上端は上部の耐火材１６中に埋め込み 、同バッフル７の下端と下部の耐火材１７の上面との間は十分に離してバッフル ７、９間の内側燃焼ガス流路１９の下端を内側水管４群内の燃焼室３１に通じる 連通部２０を設ける。

【００１４】 また、接触伝熱面バッフル９はその下端を下部の耐火材１７中に埋め込み、同 バッフル９の上端と上部の耐火材１６の下面の間は十分に離して内側燃焼ガス流 路１９をバッフル９の外側の外側燃焼ガス流路２１に通じる連通部２２とする。

【００１５】 また、上記外側燃焼ガス流路２１の下端は前記環状空間１３を介して上記排気 口１４に通じている。

【００１６】 上記の耐火材１６の中央の開口には石油などを燃料とするバーナ２５を取付け 、上部の管寄せドラム１には安全弁取付用フランジ２６と蒸気管取付用フランジ ２７を設け、下部の管寄せドラム２には給水管２９と、通常は閉じておくドレン 管３０を設ける。

【００１７】 なお、実施例では外側をエアジャケット３６とし、バーナファン３２の吸入口 に連通する吸込管３３をジャケット３６の上端に連結し、同ファン３２の吐出口 に連結した送気管３４をバーナ２５の外筒３５に連結して、ジャケット３６の下 部の吸入口から吸い込んだ外気をジャケット３６内を経て外筒３５内に導くよう にしてあるが、例外として、ジャケット３６内に断熱材を充填する場合もある。

【００１８】 上記の実施例において、図示省略してある給水ポンプにより給水管２９を経て 下部の管寄せドラム２内に給水して各水管３、４の下から約２／３程度に水面が ある状態としてバーナ２５を始動し、燃焼ガスを燃焼室３１に吹き込む。

【００１９】 燃焼室３１に吹き込まれた燃焼ガスは燃焼室３１の周囲の各放射伝熱面バッフ ル７と内側水管３とに接触して、放射伝熱によりこの内側の水管３内の水と熱交 換しつつ、放射伝熱面バッフル７に沿って下降し、このバッフル７の下端の連通 部２０から、狭い隙間からなる内側燃焼ガス流路１９を速度を上げながら上昇す る。

【００２０】 この間に燃焼ガスは内外の水管３、４内の水と熱交換を行い、上端の連通部２ ２から外側燃焼ガス流路２１に入り流速が遅くなってこの流路２１を下降しつつ バッフル９と接触して接触伝熱により外側水管４内の水と熱交換したのち、環状 空間１３を経て、排気口１４から煙道へと排出される。

【００２１】 上記のように燃焼ガスは水管３、４の外側およびバッフル７、９に接触しつつ 下降→上昇→下降と三方向に方向転換しながら流れて放射伝熱と接触伝熱により 水管３、４内の水を急速に加熱して蒸発させるので、管寄せドラム２へ連続的に 給水することにより各水管３、４内の下から約２／３以上の部分は約２０kg/cm² 以上の高圧蒸気となって上部の管寄せドラム１に集められ、フランジ２７に連結 した蒸気管へと送り出される。

【００２２】

【効果】

この考案は上記のように内外２重の水管群の間と、外側水管群とその外側の断 熱ジャケットの間に設けた内側および外側の燃焼ガス流路を燃焼ガスが流れるの であるが、内側の水管の間には放射伝熱面バッフルが設けてあるから、バーナか ら噴出する高温の燃焼ガスからの放射伝熱により内側水管内の水が過熱されると ともに内側燃焼ガス流路においては内側水管と外側水管の間隔が少ないのでガス の流速が高められて、放射伝熱から接触伝熱に移行した高温の燃焼ガスによる伝 熱効果が向上する。

【００２３】 したがって、全部の水管に平均に熱吸収を与えることができ、局部的な過熱が なくなり、ボイラの耐用性を向上させるとともに、熱効率も向上するものである 。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の縦断正面図

【図２】図１のＡ−Ａ線の横断平面図

【図３】図２の一部を切欠した拡大横断平面図

【符号の説明】

１、２ 管寄せドラム ３ 内側水管 ４ 外側水管 ５、６ 湾曲部 ７ 放射伝熱面バッフル ９ 接触伝熱面バッフル １０ 断熱ジャケット １４ 排気口 １９ 内側燃焼ガス流路 ２０ 連通部 ２１ 外側燃焼ガス流路 ２２ 連通部 ２５ バーナ ３６ エアジャケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円形横断面の多数の縦方向の水管を千鳥
   状で内外２重の縦向き円筒状に配置してその上下端を中
   空ドーナツ状の上下の管寄せドラムに連通させることに
   より、水管群で囲まれた燃焼室を構成するとともに、こ
   の水管群の外側を円筒状の断熱ジャケットで囲み、か
   つ、前記各水管の上下端部にそれぞれ３回の曲げ加工を
   施すことにより各水管の端部が管寄せドラムの方に向く
   ようにほぼ円弧状の湾曲部を設け、湾曲部以外の水管の
   直線部の内側の水管と外側の水管の隣接部の隙間を燃焼
   ガスの流速が十分に速くなるように、水管の外径の約１
   ／１０と狭くした竪型ボイラにおいて、内側の各水管の
   間に、それぞれ放射伝熱面バッフルを設け、外側の各水
   管の間には接触伝熱面バッフルを設け、上記放射伝熱面
   バッフルと接触伝熱面バッフル間に、下端の連通部によ
   り上記燃焼室の下端に通じる筒状の内側燃焼ガス流路を
   形成し、上記接触伝熱面バッフルと上記断熱ジャケット
   の間には上端が連通部により上記内側燃焼ガス流路に通
   じる外側燃焼ガス流路を形成し、この外側燃焼ガス流路
   の下端を排気口に連通させ、上記内側燃焼ガス流路を上
   記外側燃焼ガス流路より狭くした竪型ボイラ。