JP5135573B2 - 接着性複合体組成物の接着方法、その方法を用いた積層板の製造方法並びに反応性皮膜形成材 - Google Patents

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Description

本願発明は、各種用途に使用される電子機器及びコンピューター制御製品に使用され、低誘電体で1GHz以上の周波数に対応可能な接着性複合体組成物の接着方法、その方法を用いた積層板の製造方法並びに反応性皮膜形成材に関するものである。
近年、情報処理の高速化にともない信号伝播速度を高速化する必要があり、このために比誘電率の低い材料としてポリフェニレンエーテル(PPE)基板を用いることが知られている(たとえば特許文献1,2参照)。また、情報通信分野では、無線通信機器の増大とチャンネル数の増加により電波の周波数帯が高周波化ならびに狭帯域化しており、具体的には1GHz以上の高周波帯域の信号を高速処理可能な高周波数信号処理基板やビルトアップ法による高密度化多層プリント基板の開発が求められている。
このような1GHz以上の高周波特性を有する高周波数信号処理基板を製造するためには、PPEに平滑な表面を有する導体である金属箔を接着させることが重要である。これまで、PPEと導体である金属箔、たとえば銅箔とを接着させる方法として、黒化処理した銅箔をPPEフィルムに熱圧着する方法が知られているが、この方法で得られた基板は銅箔とPPEフィルムの接着強度が非常に低く、実用上さらなる接着強度が望まれている。また、黒化処理によって銅箔表面が粗くなってしまい、このような粗化銅箔は周波数の高い電気信号を減衰させてしまい、目的とする高周波特性を実現することは困難であった。
特開2005−082793号公報 特開2005−008829号公報
そこで、本願発明は、以上のとおりの背景よりなされたものであって、低誘電体で1GHz以上の高周波に対応可能な接着性複合体組成物の接着方法、その方法を用いた積層板の製造方法並びに反応性皮膜形成材を提供することを課題としている。
本願発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
本願発明の接着性複合体組成物の接着方法は、次式(I)
Figure 0005135573
(式中、Mはアルカリ金属である。)
で表されるトリアジントリチオール化合物を含む溶液中に導体金属箔を浸漬してその表面に反応性皮膜を生成させた後、ポリフェニレンエーテルにトリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物が必須成分として含有してなる接着性複合体組成物と前記導体金属箔とを加熱圧着して接着性複合体組成物と導体金属箔とを接着することを特徴とする。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、前記式(I)で表されるトリアジントリチオール化合物の式中のMは、Li,Na,KまたはCsであってよい。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、トリアジントリチオール化合物を含む溶液のトリアジントリチオール化合物の濃度は0.1〜1000mg/dmの範囲であってよい。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、トリアジントリチオール化合物を含む溶液のトリアジントリチオール化合物の濃度は1〜100mg/dmの範囲であってよい。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、トリアジントリチオール化合物を含む溶液に三級アミン類が添加されていてよい。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、三級アミン類は、トリエタノールアミンであってよい。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、前記導体金属は、表面の平均粗さ(Ra)が1μm以下の表面粗度を有する導体金属であってよい。
上記接着性複合体組成物の接着方法において、80℃〜200℃の温度範囲で加熱圧着してもよい。
本願発明の積層板の製造方法は、上記方法で前記接着性複合体組成物と前記導体金属箔とを接着して、前記接着性複合体組成物の片面または両面に前記導体金属箔を積層配置することを特徴とする。
本願発明の反応性皮膜形成材は、ポリフェニレンエーテルにトリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物を必須成分として含有してなる接着性複合体組成物と導体金属箔とを加熱圧着して、接着性複合体組成物と導体金属箔とを接着させるために導電金属箔の表面に浸漬により形成される反応性皮膜を形成するための反応性皮膜形成材であって、次式(II)
Figure 0005135573
(式中、Mはアルカリ金属である。)
で表されるトリアジントリチオール化合物と三級アミン類とを含む溶液であり、前記トリアジントリチオール化合物の濃度が1〜100mg/dmの範囲であることを特徴とする。
上記反応性皮膜形成材において、前記式(II)で表されるトリアジントリチオール化合物の式中のMは、Li,Na,KまたはCsであってよい。
上記反応性皮膜形成材において、三級アミン類は、トリエタノールアミンであってよい。
以上のとおりの本願発明によれば、平滑な表面を有する導体金属箔、より具体的には、その表面の平均粗さ(Ra)が1μm以下の導体金属箔と強固に接着させることができる接着性複合体組成物の接着方法及び反応性皮膜形成材が提供される。さらに、この接着方法で接着性複合体組成物と導体金属箔とを接着させて得た積層板は、低誘電体で1GHz以上の周波数に対応可能な高周波数信号処理基板またはビルトアップ法による高密度化多層プリント基板を製造することができる。
本願発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
本願発明の接着性複合体組成物は、ポリフェニレンエーテル(PPE)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)および過酸化物が必須成分として含有している。
本願発明におけるポリフェニレンエーテルは、たとえば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルなどを例示することができ、プリント基板等に一般的に用いられるものであれば特に制限されるものではない。
また、過酸化物は、上記ポリフェニレンエーテルを上記トリアリルイソシアヌレートで三次元化するために使用され、PPE樹脂に一般的に用いられるものであれば特に制限されるものではない。たとえば、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α’―ジ(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどを挙げることができる。
以上のトリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物は、たとえば、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、トリアリルイソシアヌレートが10〜150質量部、過酸化物が0.1〜20質量部の範囲で含有されていることが好ましい。トリアリルイソシアヌレートが10質量部未満の場合には、最終的に得られる樹脂の耐熱性(硬度、強度など)が劣る場合があるので好ましくなく、150質量部を超える場合には、樹脂成分が減少するため脆くなる場合があり膜形成能が低下するので好ましくない。過酸化物が0.1質量部未満の場合には、この接着性複合体組成物を加熱したときにクロロホルム不溶化率が十分に高くならず、20質量部を超える場合には、この接着性複合体組成物を加熱して得られる樹脂フィルムの作成段階で表面がゲル化して接着阻害を起こす場合があるので好ましくない。より好適には、過酸化物が1〜10質量部の範囲であることが考慮される。この場合、1質量部以上含有されていることでクロロホルム不溶化率が90%以上とすることができる。このように過酸化物が含有されていることによって、PPE樹脂組成物のガラス転移温度を180℃程度まで上昇させることができ、また、このPPE樹脂組成物から得られる基板を不溶不融にして、260℃で5分間の熱履歴にも耐えるようにすることができるのである。
本願発明の接着性複合体組成物は、以上のポリフェニレンエーテル粉末、トリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物を含有するものであるが、たとえば、これらポリフェニレンエーテル粉末、トリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物をニーダーやバンバリーミキサー等の混合機に入れ、20〜80℃程度の温度で5〜60分間混合して樹脂ペーストを調製し、これをアプリケータやロールを用いてフェライト板に塗膜を形成した後、130℃20分間オーブン中で加熱して透明な樹脂フィルムとしたものであってもよい。もちろん加熱条件はこれに限定されるものではない。また、得られる樹脂フィルムの膜厚は、20〜1000μmの範囲であることが考慮される。
なお、樹脂フィルム作成時において、樹脂ペーストに布を含浸させてこれを加熱することで、より補強された樹脂フィルムを製造することができる。このような布としては、ガラス織布、ポリエステル織布、レーヨン織布、ナイロン織布、ポリエチレン織布、綿織布、ビニロン織布、カーボン織布などを例示することができる。
本願発明の接着性複合体組成物の接着方法は、前記式(I)で表されるトリアジントリチオール化合物を含む溶液中に導体金属箔を浸漬して(以下、トリアジントリチオール処理ともいう)その表面に反応性皮膜を生成させた後、上記の接着性複合体組成物とこの導体金属箔とを加熱圧着して接着性複合体組成物と導体金属箔とを接着することを特徴としている。
ここで、式(I)中のMは、Li,Na,KまたはCsなどを挙げることができる。また、トリアジントリチオール化合物は、たとえば水、あるいはアルコール類、アセトン、トルエンなどの有機溶剤に溶解して用いられる。具体的には、トリアジントリチオールモノアルカリ塩水溶液が考慮され、この水溶液に導体金属箔を浸漬することで、反応性皮膜(接着層)であるアモロファスのトリアジンチオール金属塩(3CNSM)を導体金属箔表面に生成することができる。
以上のトリアジンチオール化合物を含む溶液は、たとえばトリアジンチオール化合物の濃度が0.1〜1000mg/dmの範囲であることが好ましい。0.1mg/dm未満では接着させるための十分な皮膜を生成するのに時間がかかり過ぎる場合があり、1000mg/dm以上では表面にアモロファスのトリアジントリチオール金属塩が生成されなくなり、高密度の皮膜が生成し接着が阻害されるので好ましくない。より好ましくは、皮膜形成時間や形成される皮膜の密度等を考慮すると、1〜100mg/dmの範囲である。
以上のトリアジントリチオール化合物を含む溶液には、トリアジントリチオール化合物や形成される反応性皮膜の安定性を確保する目的で三級アミン類が添加されていてもよい。このような三級アミンを添加することによって、導体金属箔と接着性複合体組成物とが十分な接着強度を有するように安定して製造することができる。
具体的な三級アミン類としては、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアニリン、N−エチルイミダゾール等を例示することができるが、取り扱い性や入手のし易さ等を考慮するとトリエタノールアミンが好適に用いられる。この三級アミン類は、トリアジントリチオールモノアルカリ塩1モルに対して、0.01〜10モル、好ましくは0.1〜1モルの割合で添加することが考慮される。このような範囲の三級アミン類で添加することによって、その効果を十分に発揮することができる。
本願発明における導体金属箔は、通常のプリント配線板等に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、たとえば、金、銅、アルミニウムなどを挙げることができ、その導体金属箔の厚さとしては、たとえば10〜100μmの範囲のものであってよい。厚さが100μmを超える場合には製造されるプリント配板が重くなりすぎる場合があり、厚さ10μm未満ではたとえば高周波数信号処理基板として用いたときに通信量に問題が生じる場合があるので好ましくない。
また、導体金属箔表面の平均粗さ(Ra)としては1μm以下のもの、さらには0.5μm以下のものが好ましく用いられる。導体金属箔の電気信号の減衰率は導体金属箔表面の平均表面粗さが関係する表皮効果として知られており、1GHz以上の高周波電気信号が送られるときには、少なくとも1μm以下の平均表面粗さが必要であるとされている。本願発明の接着性複合体組成物の接着方法は、以上のように平均粗さが1μm以下の平滑な導体金属箔であっても強固に接着させることが可能であるため、このような導体金属箔を接着させることで1GHz以上の周波数に対応可能な積層板を得ることができる。
上記トリアジントリチオール処理は、その処理溶液中に0〜100℃の範囲の温度で1〜200秒間程度浸漬させることで、アモロファスなトリアジントリチオール金属塩(3CNSM)の反応性皮膜を効果的に生成することができる。0℃未満の温度では皮膜の生成速度が遅くなり生産性が劣ってしまうため好ましくない。100℃を超える場合には結晶性の高密度の反応性皮膜が生成する傾向が高まるため好ましくない。より好適な温度としては20〜70℃の範囲が考慮され、これによって反応性皮膜をより一層効果的に生成することができる。
本願発明は、以上のようにして導体金属箔表面に反応性皮膜を生成させた後、この導体金属箔と上記樹脂フィルムとを加熱圧着させるものであるが、このとき、樹脂フィルムにおけるTAICの−CHCH=CH基(アリル基)と導体金属箔表面に生成された反応性皮膜の−SM基との間で界面結合が生成する。このため、樹脂フィルムと導体金属箔とが強固に接着された積層板とすることができる。なお、導体金属箔は、樹脂フィルムの片面または両面に加熱圧着されていてもよい。
加熱圧着条件としては、具体的には1〜20kg/cmの荷重下で、80〜200℃の温度範囲でプレス加熱することが考慮される。1kg/cm未満の荷重下では樹脂フィルムと導体金属箔との間から完全に空気を除去することができず十分に接着させることができない場合がある。また、20kg/cmを超える荷重下では樹脂フィルムを所定の膜厚に保持することができない場合があるため好ましくない。80℃未満の温度では樹脂フィルムにおけるTAICのアリル基と導体金属箔表面の反応性皮膜の−SM基との間で界面反応が起こりにくく、200℃を超える温度ではTAICの硬化反応が界面から進行して導体金属箔と樹脂フィルム間の界面反応が起こりにくくなるため好ましくない。
加熱圧着時間は一般的には1分以上とすることができる。1分未満では導体金属箔と樹脂フィルム間の界面反応が十分に起こらないため好ましくない。加熱圧着時間の上限は、導体金属箔と樹脂フィルム間の界面反応がおよそ完結するまでの時間であることが考慮され特に制限されるものではないが、一般的には200分程度である。
本願発明のプリント配線板は、上記の積層板の導体金属箔表面にエッチング加工などして導体パターンを作製し、回路形成することによってプリント配線板を得ることができる。そしてこのようにして得られたプリント配線板によって、誘電率が2.4〜2.8、誘電正接が0.003〜0.006の範囲の低誘電体であり、1〜20GHzの範囲の高周波数に対応可能な高周波数信号処理基板またはビルトアップ法による高密度化多層プリント基板を製造することができる。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本願発明が限定されることはない。また、以下の実施例においては、導体金属箔として銅箔を使用したが、これに限定されることなく、金箔やアルミニウム箔であっても同効物を提供することができる。
<実施例1><比較例1〜4>
PPE(ポリジメチルフェニルエーテル、三菱エンジニアリングプラスチック社、YPX−100)、TAIC(トリアリルイソシアヌレート、日本化成(株))、DCP(ジクミルペルオキシド、試薬)を表1の配合量でベンチニーダー(入江商会(株)製)に入れ、60℃で20分間ブレンドした。得られたPPEペーストをフェライト板(クロムめっき鋼板)上に20g取り、アプリケータにて膜を引き熱オーブン(旭テクノグラス(株)製電気定温機AFO−82)で130℃で20分間加熱すると、82.2μmのPPE樹脂フィルム、平均表面粗さRa:0.19〜0.21(原子間力顕微鏡、デジタルインスツルメント社製 Nano ScopeIII,分解能:1nm)が得られた。また、PPE樹脂フィルムの誘電率は2.65であった。誘電率は樹脂フィルムの表面に金蒸着を行い銀ペーストで端子を取り、インピーダンス測定器(Agilent Technology(株)製Impedance Analyzer 4294A)を用い、AC500mV、1kHz〜1MHzの周波数で静電容量を測定し、計算して求めた。
次に、電解銅箔(40×60×0.05mm、福田金属箔粉(株)製、両面の平均粗さRa:0.19〜0.21μm)はアセトン洗浄(20℃、5sec)、1%−HCl水溶液洗浄(20℃、5sec)、及び1%−NaOH水溶液洗浄(20℃、5sec)後、水洗とエタノール洗浄を行い、ドライヤーで乾燥した。トリアジントリチオールのモノナトリウム50mg/dmとトリエタノールアミン40mg/dmを1dmの脱気したイオン交換水に溶解して処理液とした。電解銅箔は50℃の処理液に30秒間浸漬後、水洗乾燥した。得られた処理電解銅箔のRaは0.21μmであった。
PPE樹脂フィルム(40×40×0.08mm)を2枚の処理電解銅箔で両面から挟み、2kg/cmの荷重をかけて、160℃で20分間加熱プレスした。得られたPPE−Cu接着物に1cm幅の切身を入れ、5mm/minの引張速度で剥離試験(島津オートグラフ AGS−1kND)を行った。剥離試験の評価は、剥離強度が0.40(kN/m)以上のものを「◎」(接着強度が良好)、0.10(kN/m)以上で0.40(kN/m)未満のものを「○」(実用上問題ないレベル)、0.05(kN/m)以上で0.10(kN/m)未満のものを「△」(接着強度が弱く、実用上問題があるレベル)、0.05(kN/m)未満を「×」(ほとんど接着していない、あるいは接着していない)として評価した。
また、比較例1,3において、PPE樹脂フィルムの作成は、樹脂とDCPをクロロホルムに溶解し、フラットシャーレ中で溶剤を揮散させてPPE樹脂フィルムを作成した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005135573
比較例1〜4ではPPE樹脂フィルムの必須成分を調べたものであるが、PPEの他にTAICとDCPの1成分がなくとも、PPE樹脂フィルムはたとえ銅箔が処理されていても接着しないことが確認された。またPPE樹脂フィルムにTAICとDCPの2成分が含まれていても、銅箔が処理されていなければ、比較例4に示されるように接着しないことも確認された。したがって、PPE樹脂フィルムと銅箔が接着するためにはPPE樹脂フィルムにTAICとDCPの2成分が含まれていることが重要である。そして、銅箔をトリアジントリチオールで処理することも重要である。
PPEの誘電率は2.45であるが、TAIC(誘電率:2.50)及びDCPを添加すると若干変化するが、誘電率2.7以下を維持し、1GHz以上の高周波時代に対応できる樹脂組成物であることが分かる。また、銅箔の平均表面粗さについて、1GHz以上の高周波電気信号が送られるためには少なくとも1μm以下であることが必要である。今回使用した銅箔は鏡面研磨した物を使用してあるが、Ra:0.2μm以下に下げることが十分可能であり、またトリアジントリチオール処理しても表面粗さの変動はRa:0.02μm以下であり、PPE樹脂の使用と合わせて20GHz程度までは対応可能である。
<実施例2〜10>
表2に示した配合で実施例1と同様にしてPPE樹脂フィルムとTTN(トリアジントリチオール)処理銅箔を作成し、樹脂フィルムの誘電率、および処理銅箔の表面粗さを測定した。なお、処理液はトリアジントリチオールのモノナトリウム塩1モルに対してトリエタノールアミン1モルの割合となるようにした。
次に、これらを表2の条件で接着して剥離強度を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0005135573
TAICの量を変化させると、PPF樹脂フィルムの強度は減少(実施例2:350kg/cmから実施例4:40kg/cm)するが、ガラス転移温度Tgは高く(実施例2:Tg=120℃から実施例4:Tg=180℃)なった。DCPの添加量を増量(実施例6)すると、極性成分が増加するため誘電率が増加する傾向にある。TTNの処理濃度と温度が高いと、被膜の充填密度が高くなりアリル基と反応しがたくなるため、接着強度が減少(実施例8)する傾向にある。接着温度が高くなると、界面層のアリル基の硬化反応が進行して界面層のアリル基濃度が減少するので、処理銅箔の−SCuとPPE樹脂フィルムの−CHCH=CH基の界面反応量が減少し、結果として接着強度が減少(実施例10)する。
<実施例11〜23>
TAICやDCPの配合量、処理液におけるトリアジントリチオールモノナトリウム塩の濃度、接着時の加熱温度を変えて、実施例1と同様にしてPPE樹脂フィルムとTTN処理銅箔を作成し、これらを接着して剥離強度を測定した。なお、処理液はトリアジントリチオールのモノナトリウム塩1モルに対してトリエタノールアミン1モルの割合となるようにした。これらの結果を表3に示す。
Figure 0005135573
これらの結果から、十分な接着強度を確保するためには、PPE樹脂100質量部に対してTAIC10〜150部、DCP0.1〜20質量部なかでもDCP1〜10質量部とすることが有効であることが確認された。また、処理液におけるトリアジントリチオールのモノナトリウムの濃度が0.1〜1000mg/dmなかでも1〜100mg/dm、あるいは接着時の加熱温度が80〜200℃の温度範囲で加熱することも有効であることが確認された。

Claims (12)

  1. 次式(I)
    Figure 0005135573
    (式中、Mはアルカリ金属である。)
    で表されるトリアジントリチオール化合物を含む溶液中に導体金属箔を浸漬してその表面に反応性皮膜を生成させた後、ポリフェニレンエーテルにトリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物が必須成分として含有してなる接着性複合体組成物と前記導体金属箔とを加熱圧着して接着性複合体組成物と導体金属箔とを接着することを特徴とする接着性複合体組成物の接着方法。
  2. 前記式(I)で表されるトリアジントリチオール化合物において、式中のMは、Li,Na,KまたはCsであることを特徴とする請求項1に記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  3. トリアジントリチオール化合物を含む溶液において、トリアジントリチオール化合物の濃度は0.1〜1000mg/dmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  4. トリアジントリチオール化合物を含む溶液において、トリアジントリチオール化合物の濃度は1〜100mg/dmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  5. トリアジントリチオール化合物を含む溶液に三級アミン類が添加されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  6. 三級アミン類は、トリエタノールアミンであることを特徴とする請求項5に記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  7. 前記導体金属は、表面の平均粗さ(Ra)が1μm以下の表面粗度を有する導体金属であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  8. 80℃〜200℃の温度範囲で加熱圧着することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の接着性複合体組成物の接着方法。
  9. 請求項1から8のいずれかの方法で前記接着性複合体組成物と前記導体金属箔とを接着して、前記接着性複合体組成物の片面または両面に前記導体金属箔を積層配置することを特徴とする積層板の製造方法。
  10. ポリフェニレンエーテルにトリアリルイソシアヌレートおよび過酸化物を必須成分として含有してなる接着性複合体組成物と導体金属箔とを加熱圧着して、接着性複合体組成物と導体金属箔とを接着させるために導電金属箔の表面に浸漬により形成される反応性皮膜を形成するための反応性皮膜形成材であって、
    次式(II)
    Figure 0005135573
    (式中、Mはアルカリ金属である。)
    で表されるトリアジントリチオール化合物と三級アミン類とを含む溶液であり、前記トリアジントリチオール化合物の濃度が1〜100mg/dmの範囲であることを特徴とする反応性皮膜形成材。
  11. 前記式(II)で表されるトリアジントリチオール化合物において、式中のMは、Li,Na,KまたはCsであることを特徴とする請求項10に記載の反応性皮膜形成材。
  12. 三級アミン類は、トリエタノールアミンであることを特徴とする請求項10または11に記載の反応性皮膜形成材。
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