JP5134478B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5134478B2
JP5134478B2 JP2008239318A JP2008239318A JP5134478B2 JP 5134478 B2 JP5134478 B2 JP 5134478B2 JP 2008239318 A JP2008239318 A JP 2008239318A JP 2008239318 A JP2008239318 A JP 2008239318A JP 5134478 B2 JP5134478 B2 JP 5134478B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
film
liquid crystal
light
crystal display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008239318A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009093166A (ja
Inventor
健太郎 豊岡
義明 久門
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2008239318A priority Critical patent/JP5134478B2/ja
Publication of JP2009093166A publication Critical patent/JP2009093166A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5134478B2 publication Critical patent/JP5134478B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、TNモード用液晶表示装置に関する。
従来、TNモード液晶表示装置用の光学補償シートとして、ポリマーフィルムからな透明支持体上に、液晶組成物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートが種々提案されている。
例えば、特許文献1には、透明支持体および5乃至85度の平均傾斜角で配向しているディスコティック液晶性分子から形成された光学異方性層を有し、ディスコティック液晶性分子の傾斜角がディスコティック液晶性分子と透明支持体面との距離に伴って変化している光学補償シートであって、透明支持体が、光学的に正の一軸性または光学的二軸性を有し、最大屈折率の方向が透明支持体面と実質的に平行であるポリマーフィルムからなり、そして、透明支持体の最大屈折率の方向がディスコティック液晶性分子の円盤面の法線を透明支持体面に投影して得られる線の平均方向と実質的に平行または直交しているように配置されていることを特徴とする光学補償シートが、TNモード液晶表示装置の光学補償用に提案されている。この光学補償シートは、TNモード液晶セルを正確に光学的に補償し、斜め方向に生じる光漏れを軽減し得る。
また、TNモード液晶表示装置の視野角をさらに拡大するために、所定の光拡散フィルムを利用する技術も提案されている(特許文献2)。
上記光学補償シートを用いることによって、TNモード液晶表示装置の視野角特性は改善され、パーソナルコンピューター(PC)等の表示モニターとして実用されている。しかし、PC用の表示モニターでは、基本的に、PC利用者の視野角の範囲において高コントラストや高色再現性を達成していれば充分であるのに対し、テレビ(TV)やTV機能付きPCでは、その表示画面を複数の観察者が様々な位置から観察する場合が多く、従来のPCの表示モニターが満足する視野角特性では、TV(又はTV機能付きPC用の表示モニター)では、充分ではない。
より広視野角化する一つの手段として、上記した通り、光拡散フィルムを利用することが挙げられる。しかし、本発明者が種々検討した結果、上記従来のTNモード液晶表示装置の視野角をTV用途にも充分な程度に拡大するために、光拡散フィルムを利用すると、正面コントラスト(表示面の法線方向におけるコントラスト)が低下するという問題があることがわかった。
その他、正面コントラストの改善に関連する技術については、特許文献3及び4に記載がある。
特開2001−100031号公報 特開2003−43218号公報 特許第3321559号公報 特開2002−108305号公報
本発明は、正面コントラストが高く、しかも広視野角特性(下方向階調反転及び視野角に依存した色味変化が軽減された)のTNモード液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 液晶セル、該液晶セルを挟んで配置された一対の表示面側及び背面側偏光板、並びに前記背面側偏光板の外側に配置されたバックライトを有するTNモード液晶表示装置であって、前記表示面側偏光板が、光拡散フィルムを有し、該光拡散フィルムの散乱光プロファイルが、出射角0°(フィルム法線方向)の光強度に対して、散乱強度が最大となる方位角において極角30°方向の散乱光強度が0.05%以上であり、正面コントラストが800以上であることを特徴とするTNモード液晶表示装置。
[2] 正面コントラストが、1000以上であることを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] 前記光拡散フィルムの内部ヘイズが、45%以上であることを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置。
[4] 前記光拡散フィルムが、異方性光散乱フィルムであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
[5] 前記表示面側及び背面側偏光板がそれぞれ、直線偏光膜、該直線偏光膜と前記液晶セルとの間に配置された、ポリマーフィルム、及び液晶性組成物から形成された光学異方性層を有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 前記液晶表示装置を黒表示させたときに、正面から極角60°方向の全方位角の平均輝度をT_b(60)とし、白表示時の正面輝度をT_w(0)としたときに、下記一般式(1)を満たすことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
式(1)
T_w(0)/T_b(60)≧ 500
[7] 前記表示面側及び背面側偏光板のそれぞれに含まれる前記ポリマーフィルムが、前記直線偏光膜の透過軸方向と平行の面内遅相軸を有する二軸性のポリマーフィルムであることを特徴とする[5]又は[6]の液晶表示装置。
[8] 前記ポリマーフィルムの面内レターデーション(Re)及び厚み方向のレタデーション(Rth)が、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とする[5]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
式(2) 40nm≦Re≦140nm
式(3) 20nm≦Rth≦100nm
[9] 前記表示面側及び背面側偏光板のそれぞれにおいて、前記光学異方性層の面内遅相軸が前記直線偏光膜の透過軸と平行でも垂直でもなく、前記表示面側及び背面側偏光板を通過する波長λnmの光の透過率Iを、それぞれに含まれる前記直線偏光膜の透過軸に対して角度θ(0°≦θ≦360°)の方向に透過軸を有する検光子を用いて測定した場合に、角度θに対して測定される透過率Iが、下記式(4)に最も合うように決定される前記表示面側及び背面側偏光板の波長λnmの見かけのレターデーションをそれぞれ、Re_f1(λ)及びRe_f2(λ)とし、並びにRe_ft(λ)=Re_f1(λ)+Re_f2(λ)と定義したときに、前記液晶セルの黒表示時の波長λnmの残留レターデーションRe_c(λ)とRe_ft(λ)とが、下記式(5)を満たすことを特徴とする[5]〜[8]のいずれかの液晶表示装置。
Figure 0005134478
[10] Re_c(λ)とRe_ft(λ)とが、下記式(6)を満たすことを特徴とする[9]の液晶表示装置。
式(6):
0.95≦{Re_ft(450nm)/Re_ft(650nm)}/{Re_c(450nm)/Re_c(650nm)}≦1.05
[11] 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向状態に固定されたディスコティック液晶化合物を含有することを特徴とする[5]〜[10]のいずれかの液晶表示装置。
[12] 入力信号に応じてバックライト光量を調整する手段を有することを特徴とする[1]〜[11]のいずれかの液晶表示装置。
[13] 前記バックライトが複数の領域に分割されており、各領域ごとに光量を調整できることを特徴とする[12]の液晶表示装置。
[14] 前記バックライトが、LEDからなることを特徴とする[12]又は[13]の液晶表示装置。
本発明によれば、正面コントラストが高く、しかも広視野角特性(下方向階調反転及び視野角に依存した色味変化が軽減された)のTNモード液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(商品名、王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRにおいて算出される。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRにおいて算出される。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(1)及び数式(2)によりRthを算出することもできる。
Figure 0005134478
Figure 0005134478
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRにより算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRにおいてnx、ny、nzが算出される。この算出されたnx、ny、nzによりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
また、本明細書において、測定波長を特に付記しない場合は、波長550nmにおけるRe及びRthであるとする。また、本明細書では「正面」とは、表示面の法線方向をいい、その方向を極角0°とする。
本発明の液晶表示装置の一例の概念模式図を図1に示す。図1に示すTNモード液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、保護フィルム(1a)、直線偏光膜(2a)、保護フィルム(3a)、光学異方性層(4a)、液晶セルの下基板(5a)、ネマチック液晶層(6)、液晶セルの上基板(5b)、光学異方性層(4b)、保護フィルム(3b)、直線偏光膜(2b)、保護フィルム(1b)、さらにその外側に光拡散フィルム7を有する。保護フィルム(1a)、直線偏光膜(2a)、保護フィルム(3a)、及び光学異方性層(4a)が背面側偏光板(8a)を構成し、並びに光拡散フィルム(7)、保護フィルム(1b)、直線偏光膜(2b)、保護フィルム(3b)、及び光学異方性層(4b)が表示面側偏光板(8b)を構成する。一対の直線偏光膜(2a及び2b)は、それぞれの透過軸を直交にして配置され、光学異方性層(4a及び4b)は、例えば、液晶性組成物から形成され、黒表示時、即ち、電圧印加時にネマチック液晶層(6)に残留する複屈折性を補償する作用を有する。保護フィルム(3a及び3b)は、直線偏光膜(2a及び2b)を保護するとともに、光学異方性層(4a及び4b)が自己支持性のない塗布により形成された層である場合は、該層を支持する機能を有する。
表示面側偏光板8bの光拡散フィルム7は、直線偏光膜2bを通過した光を散乱させる。光拡散フィルム7からの散乱光は、そのプロファイルが、出射角0°(フィルム法線方向)の光強度Iに対して、散乱強度が最大となる方位角において極角30°方向の散乱光強度I30、即ち、I30/I、が0.05%以上である。本発明の液晶表示装置では、極角30°方向の散乱光強度を上記範囲とすることにより、正面コントラストを低下させずに、具体的には正面コントラストを800以上に維持しつつ、下方向階調反転及び視野角に依存したカラーシフトを軽減し、広視野角を達成している。同観点から、I30/Iは、0.05〜0.3%であるのが好ましく、0.05〜0.2%であるのがより好ましく、0.05〜0.15%であるのがさらに好ましい。本発明の液晶表示装置は、正面コントラスト800以上を達成可能であり、好ましくは1000以上を達成する。
また、本発明者が検討した結果、液晶表示装置を黒表示させたときに、正面から極角60°方向の全方位角の散乱光が、黒表示時の正面輝度を上昇させ、正面コントラストの低下の要因になることを見出した。従って、本発明の液晶表示装置の黒表示時の、正面から極角60°方向の全方位角の散乱光の平均輝度をT_b(60)とした場合に、T_b(60)はより低いのが好ましい。具体的には、白表示時の正面輝度をT_w(0)としたときに、T_w(0)/T_b(60)≧ 500を満足していると、正面コントラストをより改善することができるので好ましく、T_w(0)/T_b(60)が600以上であるとより好ましい。上限値については特に制限はないが、一般的には、T_w(0)/T_b(60)は800以下程度となる。T_b(60)を低下させるためには、図1中に示した例では、保護フィルム(3a、3b)として、所定の範囲のRe及びRthを示す二軸性ポリマーフィルムを用い、その面内遅相軸を直線偏光膜(2a、2b)の透過軸方向と平行にして配置する。かかる二軸性ポリマーフィルムの詳細については、後述する。
また、表示面側及び背面側偏光板(8b、8a)の全体のレターデーションによって、液晶層6の黒表示時の残留複屈折性を補償できれば、正面コントラストをより向上できるので好ましい。図1において、光学異方性層(4a、4b)を、その面内遅相軸を、直線偏光膜(2a、2b)の透過軸と平行でも垂直でもなく(即ち、偏光軸と平行ではなく)、交差させて(好ましくは0.2〜4.0°で交差させて、より好ましくは0.3〜2.0°で交差させて)配置するとともに、表示面側及び背面側偏光板(8b、8a)の見かけのレターデーションの和(Re_ft(λ)=Re_f1(λ)+Re_f2(λ))と、液晶層(6)の黒表示時の波長λnmの残留レターデーション、Re_c(λ)、との和がほぼ0となるように、具体的には下記式(5)を満足するように、それぞれの光学特性を調整すると、黒表示時の液晶層の残留レターデーションを補償でき、黒表示時の光漏れをより軽減し、より高いコントラストを達成できる。さらに、Re_c(λ)及びRe_ft(λ)の可視光域における波長依存性がほぼ等しくなるように、具体的には下記式(6)を満足するように、それぞれの光学特性を調整すると、黒表示時の色味付きをより軽減できるので好ましい。
式(5):
|Re_ft(550nm)+Re_c(550nm)|≦1.5nm
式(6):
0.95≦{Re_ft(450nm)/Re_ft(650nm)}/{Re_c(450nm)/Re_c(650nm)}≦1.05
より正確に液晶層の黒表示時の残留複屈折性を補償し、正面コントラストをより向上させるためには、|Re_ft(550nm)+Re_c(550nm)|は0〜1.0nmであるのが好ましく、0〜0.5nmであるのがより好ましい。また、正確に液晶層の黒表示時の残留複屈折性を補償し、色味付きをより軽減するためには、{Re_ft(450nm)/Re_ft(650nm)}/{Re_c(450nm)/Re_c(650nm)は、1であるのが好ましい。
ここで、表示面側及び背面側偏光板の見かけのレターデーション、Re_f1(λ)及びRe_f2(λ)は、表示面側及び背面側偏光板のそれぞれを通過する波長λnmの光の透過率Iを、それぞれに含まれる直線偏光膜の透過軸に対して角度θ(0°≦θ≦360°)の方向に透過軸を有する検光子を用いて測定した場合に、角度θに対して測定される透過率Iが、下記式(4)に最も合うように決定される値をいう。
Figure 0005134478
具体的には、例えば、以下の方法で測定することができる。
測定サンプルの偏光板を、光学異方性層を検光子側にして配置して、偏光子の透過軸と、検光子の透過軸とを同一平面上に投影した際になす角θを0°≦θ≦360°の範囲で変化させながら、偏光板の下部(検光子が配置されている側とは反対側)から波長λ(但しλは可視光域)の光を入射し、検光子からの出射光の強度を測定する。その測定値から透過率Iを算出し、θに対してプロットして得られた曲線が上記式[1]に最も合うように最適化して、Reを決定する。なお式中の定数Kは、θを変化させたときの最大透過率によって決定する。これらの測定及び計算は、市販の光学測定系を用いて自動的に行うことができる。例えば、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を利用すると、θを変化させて偏光板の透過率を自動的に測定することができ、かつ測定された透過率とθとの関係から、見かけのレターデーションを自動的に算出させることができる。但し、KOBRA 21ADHでは、上記式[0]に基づいて最適化が行われるので、測定に際しては、偏光子透過軸と光学異方性層の面内遅相軸のなす角度φを入力する必要があり、φ=45°を入力して測定することで、上記式[1]に最も合う見かけのレターデーションReを得ることができる。
また、黒表示時にはバックライト光量を下げ、及び白表示時にはバックライト光量を上げる等、入力信号に応じて、バックライト(BL)の光量を調整すると、より正面コントラストを高めることができるので好ましい。具体的な制御方法としては、特開2002−108305号公報等に記載されている通り、γ調整とバックライト調光の連動を同時に行い、入力映像信号のダイナミックレンジを拡大して制御する方法を利用することができる。本制御を可能とするためには、例えば、バックライトをLED等で構成し、複数の領域に分割し、各領域ごとに光量を調整することができる。
以下、本発明の液晶表示装置に用いられる種々の部材について詳細に説明する。
[光拡散フィルム]
本発明では、光拡散フィルムとして、散乱光プロファイルの出射角0°(フィルム法線方向)の光強度に対して、散乱強度が最大となる方位角において極角30°方向の散乱光強度が0.05%以上となるものが好ましい。上限は特にないが、正面コントラストをより高くするために、0.2%以下であることが好ましい。前記条件を満たす光拡散フィルムとしては、高内部散乱フィルム又は異方性光散乱フィルムが挙げられる。
また、本発明では、内部ヘイズが45%以上の光拡散フィルムを用いるのが好ましく、50%〜90%が好ましく、55%〜80%が特に好ましい。上記範囲の内部ヘイズの光拡散フィルムを用いると、外光がある中での黒しまりを保ちつつ、極角30°方向の散乱強度を効率的に増加できるので好ましい。
[高内部散乱フィルム]
高内部散乱フィルムとは、表面ヘイズが10%以下で内部ヘイズが45%以上と高いことを特徴とする散乱フィルムのことをいう。高内部散乱フィルムは、少なくとも一層の光拡散層を有する。
(光拡散層)
光拡散層は、透光性樹脂と、透光性樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する透光性粒子とを含む層である。透光性粒子と透光性樹脂の屈折率差、透光性粒子の粒子径、透光性粒子の含有量により散乱光プロファイル及びヘイズ値を調整することができる。透光性粒子として、同一粒径及び同一材質の透光性粒子のみを用いてもよいし、粒径及び/又は材質の異なる複数種の透光性粒子を用いてもよい。後者のほうが、散乱光プロファイル及びヘイズ値を調整できる点で好ましい。
透光性粒子の屈折率と、光拡散層の主成分である透光性樹脂の屈折率(後述する、層の屈折率調整のために無機微粒子等を透光性樹脂に添加した場合は、その光学的な平均屈折率)との差が0.03〜0.30であることが好ましい。屈折率差が0.03未満の場合は、両者の屈折率の差が小さすぎて、光拡散効果を得にくく、屈折率差が0.30よりも大きい場合は、光拡散性が大きすぎて、フィルム全体が白化する。屈折率差は、0.06〜0.25がより好ましく、0.09〜0.20が最も好ましい。
本発明においては、視角特性改善ために適度な散乱性を得るために、透光性粒子(第1の透光性粒子)の粒子径は、0.5〜3.5μmが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましく、0.6〜1.8μmであることがさらに好ましい。拡散効果が大きければ大きい程、視角特性は向上する。しかし、表示品位という点で正面の明るさを維持するためには、出来る限り透過率を高めることも必要である。前記粒子径を0.5μm未満とした場合、散乱の効果が大きく、視角特性は向上するが、後方散乱が大きくなり明るさの減少が大きい。一方、3.5μmを超える場合は、散乱効果が小さくなり、視角特性の向上は小さくなっていく。
また、拡散効果付与を主目的としない透光性粒子(第2の透光性粒子)をさらに添加することも好ましい。拡散フィルムの表面に凹凸を設け、映り込み防止機能を設ける等に用いられる。第2の透光性粒子の粒子径は第1の透光性粒子の粒子径より大きいことが好ましく、2.5μm〜10.0μmであることが更に好ましい。これにより、好適な表面散乱を付与することができる。良好な表示品位を達成するには、外光の写り込みを防止することも重要である。表面のヘイズ値が低いほど外光による白ちゃけ感が小さくなり、明瞭なディスプレイ表示を得ることができるが、表面ヘイズ値が低すぎると、映り込みが大きくなるため、最外層に光拡散層の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率層を設け、低反射率化することも好ましい。表面ヘイズ値を制御するには、第2の透光性粒子により樹脂層表面に適度な凹凸を設けることが好ましいが、この限りではない。粒子径を2.5μm以下にした場合、所望の表面凹凸を設ける場合に、層の厚みを薄くせざるを得ず、膜硬度の点で好ましくなく、一方、10μm以上にした場合、粒子1個1個の重量が大きくなるため、塗布液中の粒子沈降安定性の点で必ずしも好ましくない。従って、第2の透光性粒子の粒子径は、2.7〜9.0μmが好ましく、3.0〜8.0μmがより好ましい。
第2の透光性粒子の屈折率は、光拡散層の主成分である透光性樹脂の屈折率との差が第1の透光性粒子より小さいことが好ましい。
前記光拡散層の表面凸凹は、表面粗さRaが0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることが更に好ましく、0.2μm以下であるのがよりさらに好ましい。表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定は、JIS−B0601に準じて行うことができる。
光拡散層のヘイズ値、特に透過光の拡散に寄与が大きい内部散乱へイズ(内部ヘイズ)は、視角特性改良効果と強い相関関係がある。バックライトから出射された光が視認側の偏光板表面に設置された光拡散層で拡散されることにより、視角特性が改善される。しかし、拡散され過ぎると正面輝度が減少するため、光拡散層の内部ヘイズは、45%以上が好ましく、50%〜90%がより好ましく、55%〜80%が特に好ましい。内部散乱へイズを上昇させる方法として、拡散性付与を目的とする透光性粒子の塗布量を上げる、同一塗布量の場合は粒子径を下げる、さらには、粒子と樹脂の屈折率差を大きくするなどの方法がある。
表示品位を上げる(視角特性改善)ためには、前記光拡散層のゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度を特定の範囲内にするのが特に好ましい。ゴニオフォトメータの散乱光プロファイルの出射角0°の光強度に対する30°の散乱光強度は、0.05〜0.3%であることが好ましく、0.05〜0.2%であることがより好ましく、0.05〜0.15%であることが特に好ましい。この範囲にすることで、正面輝度の低下が少なく必要な視角特性改善効果を得ることができる。この散乱光プロファイルは上記の内部ヘイズの好ましい範囲と同時に満たすことが更に好ましい。
前記光拡散フィルムの表面散乱起因のヘイズ(表面ヘイズ)は、映り込み低減と白茶け感低減の両立の観点から、0.1〜30%が好ましく、10%以下が好ましく、5%以下が特に好ましい。外光による白茶け感低減を重視するのであれば、4%以下が好ましく、2%以下が更に好ましい。表面ヘイズを低減すると映り込みが大きくなるため、低屈折率層を設け、5度入射における積分反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を3.0%以下にすることが好ましく、2.0%以下がより好ましく、さらに好ましくは1.0%以下である。本発明における、表示品位を上げる(視角特性改善)ことに関しては、前述の内部散乱性の調整が必要であるが、同時に表面ヘイズ及び/又は反射率を好適な範囲にすることで、明室下でのコントラストが改善され、より好ましい効果を発現できる。
前記透光性粒子は、単分散の有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズの設計が容易となる。前記透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、透光性樹脂との屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。有機微粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.52〜1.57)、メラミンビーズ(屈折率1.57〜1.65)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、スチレンビーズ(屈折率1.60)、架橋ポリスチレンビーズ(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ(屈折率1.68)等が用いられる。無機微粒子としては、シリカビーズ(屈折率1.44〜1.46)、アルミナビーズ(屈折率1.63)等が用いられる。透光性粒子は、透光性樹脂100質量部に対して5〜30質量部含有させるとよい。
上記のような透光性粒子の場合には、樹脂組成物(透光性樹脂)中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、透光性樹脂に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性樹脂としては、主として紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、熱硬化型樹脂の3種類が使用される。ハードコート性を付与するためには、電離放射線硬化型樹脂が主成分であることが好ましい。光拡散層の厚さは通常1.5〜30μm、好ましくは3〜20μmとすると良い。光拡散層がハードコート層としての機能を兼ねる場合が一般的であるが、光拡散層の厚さが1.5μmよりも薄くなると、ハードコート性が十分でなくなる方向であり、一方、30μmよりも厚くなると、カールや脆性の点で好ましくない方向である。透光性樹脂の屈折率は、低屈折率層を設ける場合は、好ましくは1.46〜2.00であり、より好ましくは1.48〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。なお、透光性樹脂の屈折率は、透光性粒子を含まずに測定した光拡散層平均の値である。光拡散層の屈折率が小さすぎると反射防止性が低下する。大きすぎると、反射光の色味が強くなり、好ましくない方向である。この点から上記範囲が好ましい。光拡散層の屈折率の設定は、反射防止性と反射光色味の点から所望の値に設定することができる。
該透光性樹脂に用いるバインダーは、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、分子内に二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンの誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが含まれる。これらのなかでも、少なくとも3つの官能基を有するアクリレートもしくはメタアクリレートモノマー、さらには少なくとも5つの官能基を有するアクリレートモノマーが、膜硬度、即ち耐傷性の観点で好ましい。ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物が市販されており、特に好ましく用いられる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、各種の重合開始剤その他添加剤と共に溶剤に溶解して調製した塗布液を、表面に塗布及び乾燥後、電離放射線又は熱による重合反応を進行させて、硬化させることができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わり又はそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
透光性樹脂は、上記バインダポリマーに加えて、これに高屈折率を有するモノマー及び/又は高屈折率を有する金属酸化物超微粒子等から形成されることが好ましい。高屈折率モノマーの例には、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4‘−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子の例には、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる粒径100nm以下、好ましくは50nm以下の微粒子を含有することが好ましい。高屈折率を有する金属酸化物超微粒子としてはAl、Zr、Zn、Ti、In及びSnから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物超微粒子が好ましく、具体例としては、ZrO2、TiO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITO等が挙げられる。これらの中でも、特にZrO2が好ましく用いられる。高屈折率のモノマーや金属酸化物超微粒子の添加量は、透光性樹脂の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。
上記のような電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。これらの開始剤は単独で使用しても、混合して使用してもよい。その他、「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。また、市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(127,184,500,651,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
(低屈折率層)
上記した通り、前記高内部散乱フィルムは、光拡散層とともに、該光拡散層よりも屈折率が低い低屈折率層を有していてもよい。低屈折率層は、光拡散層のより外側であって、光拡散層に隣接させて配置するのが好ましい。低屈折率層を形成することで、反射防止性能が得られ、外光の映り込みが抑えられ、明室環境下でのコントラストをより向上させることができる。
前記低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.50であるのが好ましく、1.25〜1.45であるのがより好ましく、1.30〜1.40であるのが更に好ましい。前記手屈折率層の形成に用いる材料については特に制限はない。例えば、含フッ素化合物を主成分として含有する硬化性組成物、又は分子内に複数個の結合性基を有するモノマーと低屈折率の粒子とを含有する硬化組成物等を硬化させて形成することができる。より具体的には、好ましい硬化物組成の例には、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、などが含まれる。
(透明基板)
前記高内部散乱フィルムは、前記光拡散層を支持する透明基板を有していてもよい。例えば、透明基板の表面に、光拡散層形成用塗布液を塗布して、前記光拡散層を形成することができる。透明基板には、透明ポリマーフィルム、及び透明ガラス板などを用いることができる。透明ポリマーフィルムとしては、セルロースエステルフィルム(例、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、代表的には富士フイルム社製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム(例、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム)、ポリスチレンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィンフィルム(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましく、特にトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。透明基板の厚みは、薄型化ニーズ及びハンドリング性(搬送適性)の観点から、20〜200μmが好ましく、30〜100μmがより好ましく、35〜90μmがさらに好ましく、40〜80μmよりさらに好ましい。
なお、透明基板がポリマーフィルムからなる場合は、直線偏光膜の保護フィルムとして利用することもできる。具体的には、ポリマーフィルムとその上に光拡散層とを有する光拡散フィルムを、そのポリマーフィルムの裏面(光拡散層が形成されていない側の面)を直線偏光膜の表面と貼り合せて、該ポリマーフィルムを保護フィルムとして利用してもよい。
[異方性光散乱フィルム]
異方性光散乱フィルムとは、方位角により拡散角が相違するものであり、これを用いることで斜視での黒浮きを抑制できてコントラストを向上させることができ、下方向等の補償不足を生じやすい方向での階調反転を生じない角度を拡大することができる。また複屈折層に基づく色付きも低減することができる。散乱異方性フィルムは、例えばルミスティ(商品名、住友化学社製)やスペックルを記録したフィルムからなるスペックルグラムとして得ることができ、また複屈折特性が相違する微小領域を分散含有する透光性樹脂からなるフィルムとして得ることができる。
以下代表的な異方性光散乱フィルムの態様について説明する。特に好ましくは第1の態様である。
(異方性光散乱フィルムの第1の態様)
本発明に使用可能な異方性光散乱フィルムの第1の態様は、フィルム内部に屈折率が互いに異なる部分が不規則な形状・厚さで分布したフィルムである。例えば、屈折率の高低が濃淡模様に形成された部分(屈折率の異なる部分)を有し、且つその部分が、フィルムの厚さ方向に対して傾斜して層状に分布しているフィルムが好適に用いられる。この例の異方性光散乱フィルムは、上記傾斜方向に沿った角度で入射する光に対しては光散乱が生じ、上記傾斜方向に対して垂直な角度で入射する光に対しては、単なる透明フィルムとして機能するので、光散乱性に入射角度選択性を持つ。前記屈折率が異なる部分が、層状に傾斜している方向においては、屈折率の分布が一様であってもよいし、また、層状に傾斜している方向においては、屈折率の分布が不規則であってもよい。また屈折率の異なる部分が、それぞれ大きさが不規則であり、それぞれの形状が、縦長(あるいは、横長)となっており、それぞれの部分による光散乱特性が、横長(あるいは、縦長)となることで、光散乱特性に異方性を持つことが好ましい。かかる異方性光散乱フィルムは、特開2000−171619号公報に開示されている。
前述の通り、前記第1の態様の異方性光散乱フィルムに入射した光は、入射角度によって散乱光として透過する。図2は、異方性光散乱フィルム(2)への入射光(r1)が、散乱光として透過する様子を示した概念図である。透過光(r2)は、散乱光の最大散乱方向(a)を示す。θは、最大散乱方向を示す透過光(r2)と異方性光散乱フィルム(2)の法線方向(Z軸)のなす最大散乱角度である。最大散乱角度は20°〜50°の範囲にあることが好ましい。
前記第1の態様の異方性光散乱フィルムに用いる材料は、上記条件に当てはまるように、屈折率差が0.001〜0.2の範囲で適宜選択し、同様にフィルム厚みも前記屈折率差に応じて1000μm〜1μmの範囲で適宜選択することができる。屈折率の異なる部分の大きさは、光散乱を生じさせるためにランダムで規則性はないが、必要な散乱性を持たせるために、その平均の大きさは直径で0.1μm〜300μmの範囲内で適宜選択される。
前記第1の態様の異方性光散乱フィルムは、たとえば、ランダムマスクパターンを利用して作製することができる。具体的には、UV光源から出た紫外光を、コリメート光学系により平行光とし、マスク原版を照射する。マスク原版は、ガラス基板とランダムパターンであるクロムパターンとからなる。マスク原版のUV照射側と反対の面には、感光材料を密着させて配置し、マスク原版のパターンを感光材料に露光照射する。この際、UV平行光とマスク原版とは所定角度αだけ傾いて配置されているため、パターン露光は感光材料中で、所定角度傾いてなされることになる。この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾斜角度(すなわち、入射角度依存性の最大散乱角度θ)に相当することになる。使用する感光材料は、UV光の露光部と未露光部とに屈折率の変化が生じる形態で記録可能な感光材料であり、記録しようとする濃淡模様より高い解像力を持ち、その厚みの方向にもパターンを記録できるような材料である。このような記録材料としては、体積型ホログラム用感光材料が利用でき、アグファ社製ホログラム用銀塩感光材料8E56乾板、デュポン社製ホログラム用感光材料HRFフィルム又は重クロム酸ゼラチン、ポラロイド社製DMP−128記録材料などが挙げられる。またランダムパターンを持つマスク原版は、計算機を用いた乱数計算から作製した白黒パターンデータを、所謂フォトリソグラフィーの手法によりガラス基板上の金属クロムパターンとしてエッチングしたものを用いることができる。もちろんマスク原版の作成方法としては、上記方式に限定されるものではなく、リス乾板を使った写真手法などにより作製しても同様なマスクを作製できる。
また、前記第1の態様の異方性光散乱フィルムは、スペックルパターンを利用して作製することができる。具体的には、レーザー光源から出たレーザー光で、すりガラスを照射する。すりガラスのレーザー照射側と反対の面には、所定距離をおいて感光材料を配置し、すりガラスで透過散乱したレーザー光が作り出す複雑な干渉パターンであるスペックルパターンが感光材料に露光照射される。この際、すりガラスと感光材料は所定角度αだけ傾いて配置されているため、スペックルパターンは感光材料中で、所定角度傾いて露光されることになる。この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾き(すなわち、入射角度依存性の最大散乱角度θ)に相当することになる。記録に使用するレーザー光源は、アルゴンイオンレーザーの514.5nm、488nm及び457.9nmの波長のうち、感光材料の感度に応じて適宜選択して使用することができる。また、アルゴンイオンレーザー以外でもコヒーレント性のよいレーザー光源であれば使用可能であり、例えばヘリウムネオンレーザーやクリプトンイオンレーザーなどが使用できる。
(異方性光散乱フィルムの第2の態様)
本発明に使用可能な異方性光散乱フィルムの第2の態様は、透光性ポリマーの1種又は2種以上と、微小領域を形成するための前記透光性ポリマーとは複屈折特性が相違する材料、例えばポリマー類や液晶類等の透明性に優れる適宜な材料、の1種又は2種以上を混合して、透光性ポリマー中に当該材料を微小領域の状態で分散含有するフィルムを形成した後、必要に応じ延伸処理等による適宜な配向処理で複屈折性が相違する領域を形成して作製されるフィルムである。第2の態様の異方性光散乱フィルムでは、透光性ポリマーとその中に分散された微小領域との屈折率差、及び配向処理によって形成する複屈折性の分布を調整することで、上記条件を満足する散乱プロファイルを示す異方性光散乱フィルムを作製することができる。
前記の透光性ポリマーとしては、透明性であればいずれも使用することができる。例えば、ポリエステル類;ポリスチレン及びアクリロニトリル・スチレン共重合体(ASポリマー類)等のポリスチレン類;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、シクロ系又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン等のポリオレフィン類;ポリカーボネート類;ポリ(メタ)アクリル類;塩化ポリビニル類;セルロースアシレート類;ポリアミド類;ポリイミド類;ポリスルホン類;ポリエーテルスルホン類;ポリエーテルエーテルケトン類;ポリフェニレンスルフィド類;ポリビニルアルコール類;塩化ポリビニリデン類;ポリビニルブチラール類;ポリアリレート類;ポリオキシメチレン類;シリコーン系樹脂;ポリウレタン類;それらの2種以上のブレンド;物;及びフェノール系やメラミン系、アクリル系やウレタン系、ウレタンアクリル系やエポキシ系やシリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型のポリマー類;等が挙げられる。
前記透光性ポリマーは、成形歪み等による配向複屈折を生じ難い材料であってもよいし(等方性ポリマー)、生じやすい材料であってもよい(異方性ポリマー)。可視光域での透明性に優れるポリマーを用いるのが好ましい。
次に、本発明に使用可能な偏光板について説明する。
[偏光板]
本発明では、表示面側には上記光拡散フィルムを有する偏光板を用い、背面側には、光拡散フィルムを有していない以外は、表示面側偏光板と同一の構成の偏光板を用い、表示面側及び背面側偏光板を、液晶セルを中心として、対称的に配置する。表示面側及び背面側に用いられる偏光板は、直線偏光膜と、その一方の面に、下記の光学補償フィルムを有する偏光板を用いるのが好ましい。
[光学補償フィルム]
本発明に使用される偏光板は、直線偏光膜を含み、その液晶セル側に配置される保護フィルムとして、ポリマーフィルム及びその上に液晶性組成物から形成した光学異方性層を有する光学補償フィルムを有しているのが好ましい。
(ポリマーフィルム)
前記ポリマーフィルムは、塗布によって形成される光学異方性層を支持する支持体として機能するとともに、ポリビニルアルコール等からなり高吸水性の直線偏光膜を保護する機能を有する。ポリマーフィルムが二軸性ポリマーフィルムであり、その面内遅相軸を直線偏光膜の透過軸と平行にして積層され、且つそのRe及びRthが下記式(2)及び(3)を満足していると、上記した通り、TNモード液晶表示装置に用いた際に、黒表示時の法線方向から極角60°の全方位の平均輝度T(60)を低減できるので好ましい。
式(2) 40nm≦Re≦140nm
式(3) 20nm≦Rth≦100nm
前記ポリマーフィルムのReは、50〜120nmであるのがより好ましく、60〜100nmであるのがさらに好ましい。また、Rthは30〜90nmであるのがより好ましく、40〜80nmであるのがさらに好ましい。
前記ポリマーフィルムは、光透過性、具体的には可視光域の光に対して透過率80%以上、のポリマーフィルムであるのが好ましい。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、例えば上記式(3)及び(4)を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。例えば、変性ポリカーボネートや変性シクロオレフィンポリマーや、側鎖にアセチル基を有するセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)等が、延伸等により上記Reの逆波長分散性を発現するものとして好ましく用いられる。
前記セルロースアシレートフィルムの材料として用いられるセルロースアシレートのアシル置換基は、例えばアセチル基単独からなるセルロースアシレートであっても、複数のアシル置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物を用いてもよい。セルロースアシレートの好ましい例は、全アシル化度が2.3〜3.0であり、2.4〜2.95がより好ましい。
また、アセチル基とともに、他の脂肪酸エステル残基を有する混合脂肪酸エステルも好ましい。脂肪酸エステル残基の脂肪族アシル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。中でも、アセチル基とともに、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、及びヘキサノイル基から選ばれるアシル基を有するセルロースアシレートを用いるのが好ましく、その置換度が、下記式(1)〜(3)を満足するセルロースアシレートを用いるのがより好ましい。
(1) 2.0 ≦X+Y ≦3.0
(2) 0 ≦X ≦2.0
(3) 1.2 ≦Y ≦2.9
式(1)〜(3)中、Xはセルロースアシレート中のアセチル基の置換度を示し、Yは、セルロースアシレート中のプロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、及びヘキサノイル基から選ばれるアシル基の置換度の総和を示す。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムは、溶液流延法、または溶融流延法により製造されるのが好ましい。溶液流延法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、 米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施すことによって、Re、Re逆波長分散性を発現する。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。
本発明では、上記した通り、前記ポリマーフィルムは、可視光域において、Reが逆分散波長依存性を示すのが好ましい。かかる性質のポリマーフィルムを作製するためには、セルロースアセテートプロピオネートとセルロースアセテートとを含む組成物を溶融製膜法で製膜した後、延伸処理を施すのが好ましい。
また、セルロースアシレート(好ましくはセルロースアセテート)と、下記の式(I)で表されるRe発現剤とを含有する組成物を、溶液製膜法にて製膜し、所望により延伸処理して作製するのが好ましい。ここで、「Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する性質を有する化合物である。
Figure 0005134478
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜1
6族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、Re発現剤としては、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005134478
一般式(II)中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す。)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に置換基を表す。nは0〜2の整数を表す。
一般式(I)又は(II)において、L1及びL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 0005134478
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(I)又は(II)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)又はS−である。
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
以下に、一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を示すが、前記Re発現剤の例は以下の具体例に限定されるものではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 0005134478
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515−526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
また、式(I)で表される化合物に代えて、又はそれとともに、下記式(II)で表される化合物をRe発現剤として用いてもよい。
(II) Ar1−L1−Ar2
式(II)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
式(I)において、L1 は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、二価の飽和ヘテロ環基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8であることがさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルケニレン基およびアルキニレン基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることがさらに好ましく、2〜4であることがさらにまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。二価の飽和ヘテロ環基は、3員〜9員のヘテロ環を有することが好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子またはゲルマニウム原子が好ましい。飽和ヘテロ環の例には、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、1,3−チアゾリジン環、1,3−オキサゾリジン環、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環および1,3,2−ジオキサボロランが含まれる。特に好ましい二価の飽和ヘテロ環基は、ピペラジン−1,4−ジイレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイレンおよび1,3,2−ジオキサボロラン−2,5−ジイレンである。
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
L−7:−O−CO−二価の飽和ヘテロ環基−CO−O−
L−8:−CO−O−二価の飽和ヘテロ環基−O−CO−
式(I)の分子構造において、L1 を挟んで、Ar1 とAr2 とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式(II)で表される化合物がさらに好ましい。
(II)Ar1 −L2 −X−L3 −Ar2
式(II)において、Ar1 およびAr2 は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義および例は、式(I)のAr1 およびAr2 と同様である。
式(II)において、L2 およびL3 は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることがさらにまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。
2 およびL3 は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
式(II)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。
以下に、式(I)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 0005134478
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を、前記Re発現剤として用いてもよい。
また、Re発現剤として、一種の化合物を単独で、又は二種類以上の化合物を混合して用いることができる。Re発現剤として互いに異なる二種類以上の化合物を用いると、レターデーションの調整範囲が広がり、容易に所望の範囲に調整できるので好ましい。
前記Re発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
また、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加してもよい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(II)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
Figure 0005134478
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に前記一般式(II)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
Figure 0005134478
前記セルロースアシレートフィルムは、紫外線吸収剤を含有していてもよい。特に、置換度が前記式(1)〜(3)を満足するセルロースアシレート(より好ましくは、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP))と紫外線吸収剤とを含有する組成物から形成されたセルロースアシレートフィルムに、フィルム長手に対して直交する方向に延伸処理を施してもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記ポリマーフィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
また、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP))を溶融押出し法で作製したCAPフィルムを、温度100〜120℃でフィルム長手方向に、延伸倍率50〜70%で延伸処理を施すことによって作製されたCAPフィルムを用いることもできる。
また、上記式(I)で表されるRe発現剤と、全アシル化度が2.3〜3.0であるTACとを含有する組成物を溶液流延法により製膜し、その後、長手方向に対して直交する方向に、温度140〜190℃で、延伸倍率15〜35%で延伸処理を施すことにより作製したTACフィルムを用いることもできる。
前記ポリマーフィルムの厚みについては特に制限されないが、一般的には、30〜120μmであるのが好ましく、30〜100μmであるのがより好ましい。
(光学異方性層)
前記光学異方性層は、硬化性液晶組成物から形成するのが好ましく、円盤状液晶化合物の少なくとも一種を含有する硬化性液晶組成物から形成するのが好ましい。前記光学異方性層の光学特性は、黒表示時の液晶層の複屈折性を補償するように調整される。また、上記した通り、光学異方性層の面内遅相軸は、直線偏光膜の透過軸に対して平行でもなく垂直でもなく交差させて(好ましくは0.2〜4.0°、より好ましくは0.3〜2.0°に交差させ)、且つ表示面側及び背面側偏光板の見かけのレターデーションの和や、その波長依存性が、黒表示時の液晶層の残留レターデーションとの関係で、上記式(5)及び(6)を満足する様に、光学特性を調整するのが好ましい。
前記光学異方性層の作製に用いられる円盤状液晶化合物としては、特開2006−76992号公報中の段落番号[0052]、及び特開2007−2220号公報中の段落番号[0040]〜[0063]に記載の化合物が適しており、例えば下記一般式(DI)で表される化合物が好ましい。これらは、高い複屈折性を示すので好ましい。下記一般式(DI)表される化合物の中でも、ディスコティック液晶性を示す化合物が好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示す化合物が好ましい。
Figure 0005134478
また、前記円盤状液晶化合物の好ましい例には、特開2005−301206号公報に記載の化合物も含まれる。
前記光学異方性層は、液晶化合物を少なくとも一種含有する組成物を、表面(例えば、配向膜表面)に配置し、液晶化合物の分子を所望の配向状態とし、重合により硬化させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。固定する配向状態は、ハイブリッド配向状態であるのが好ましい。ハイブリッド配向とは、層の厚み方向で液晶分子のダイレクタの方向が連続的に変化する配向状態をいう。棒状分子の場合は、ダイレクタは長軸方向、円盤状分子の場合はダイレクタは円盤面の任意の径となる。
液晶性化合物の分子を所望の配向状態とするため、及び組成物の塗布性もしくは硬化性の良化のために、前記組成物は一種以上の添加剤を含んでいてもよい。
液晶化合物(特に棒状液晶化合物)の分子をハイブリッド配向させるために、層の空気界面側の配向を制御し得る添加剤(以下、「空気界面配向制御剤」という)を添加してもよい。該添加剤として、フッ化アルキル基及びスルホニル基等の親水性基を有する低分子量もしくは高分子量の化合物が挙げられる。使用可能な空気界面配向制御剤の具体例には、特開2006−267171号公報等に記載の化合物が含まれる。
また、前記組成物を塗布液として調製し、塗布により前記光学異方性層を形成する場合は、塗布性の良化のために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系化合物が好ましく、具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物が挙げられる。また市販の「メガファックF780」(大日本インキ製)などを用いてもよい。
また、前記組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。前記重合開始剤は、熱重合開始剤であっても光重合開始剤であってもよいが、制御が容易である等の観点から、光重合開始剤が好ましい。光の作用によりラジカルを発生させる光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が好ましい。アセトフェノン系化合物としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシメチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4'−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、p−ジメチルアミノアセトン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン等が挙げられる。ベンジル系化合物としては、例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーズケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。このような芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン系化合物及びベンジル系化合物が、硬化特性、保存安定性、臭気等の面で特に好ましい。これらの芳香族ケトン類からなる感光性ラジカル重合開始剤は、1種又は2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができる。
また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン等が含まれる。
光重合開始剤は複数種を組み合わせてもよく、使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。液晶化合物の重合のための光照射は紫外線を用いることが好ましい。
前記組成物は、重合性液晶化合物とは別に、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンアクリレートを用いると、耐久性が改善されるので好ましい。
前記非液晶性の重合性モノマーは、非液晶性成分であるので、その添加量が、液晶化合物に対して15質量%を超えることはなく、0〜10質量%程度であるのが好ましい。
前記光学異方性層は、前記組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、例えば、支持体上に形成された配向膜の表面に塗布し、乾燥して溶媒を除去するとともに、液晶化合物の分子を配向させ、その後、重合により硬化させて、形成することができる。
塗布方法としてはカーテンコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スロットコーティング法、ロールコーティング法、スライドコーテティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、ワイヤーバー法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜を乾燥する際には、加熱してもよい。塗膜を乾燥して溶媒を除去すると同時に、塗膜中の液晶化合物の分子を配向させて、所望の配向状態を得る。
次に、紫外線照射等によって重合を進行させて、配向状態を固定化し、前記光学異方性層を形成する。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100mJ/cm2〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
前記光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
前記光学異方性層は、配向膜を利用して形成するのが好ましい。利用可能な配向膜の例としては、ポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等が挙げられる。
(直線偏光膜)
直線偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、本発明にはいずれを使用してもよい。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
(保護フィルム)
前記直線偏光膜の前記光学補償フィルムとの貼合面と反対該の表面に貼合される保護フィルムは、光透過性、具体的には可視光に対する光透過率が80%以上の、ポリマーフィルムが用いることが好ましい。保護フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム、及びポリオレフィンを含むポリオレフィンフィルムが好ましい。セルロースアシレートフィルムの中でも、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。また、ポリオレフィンフィルムの中でも、環状ポリオレフィンを含むポリノルボルネンフィルムが好ましい。
保護フィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
(偏光板の作製)
本発明に用いられる表示面側及び背面側偏光板は、ロール・トゥ・ロール方式で作製することができる。例えば、長尺状のセルロースアシレートフィルム等のポリマーフィルムの表面に配向膜形成用塗布液を連続的に塗布し、長手方向に対して所定の交差角、好ましくは0.2〜4.0°、より好ましくは0.3〜2.0°、の方向にラビング処理を実施して、配向膜を連続的に形成する。該ラビング処理面に、重合性円盤状液晶を含有する硬化性液晶組成物の塗布液を連続的に塗布し、乾燥して、円盤状液晶を所望の配向状態とし、その状態で重合を進行させて、光学異方性層を連続的に形成して、光学補償フィルムを連続的に作製する。長尺状の光学補償フィルムを一旦ロール形態に巻き取り、長尺状の直線偏光膜のロール、及び長尺状の保護フィルムのロールを、ロール・トゥ・ロール方式で貼り合せることで作製することができる。表示面側偏光板では、別途又はロール・トゥ・ロールで同時に、光拡散性フィルムを、保護フィルムのさらに外側に貼り合せる。長尺状に作製された偏光板は、ロール形態に巻かれた状態で、搬送・保管等され、実際に液晶表示装置に用いる際に、所定の大きさに切断される。勿論、前記偏光板は、それぞれの部材をあらかじめ所定の大きさに切断し、貼り合せて作製されたものであってもよい。
[液晶表示装置]
本発明のTNモード液晶表示装置は、正面コントラストを低下させることなく、広視野角特性を満足するので、特に、TVやTV機能付きPC用の表示モニターに利用することができる。
本発明のTNモード液晶表示装置は、正面コントラストが800以上である。好ましくは1000以上、より好ましくは1500以上である。上限値については制限されないが、TNモード液晶表示装置の正面コントラストの上限値は、一般的には、800程度といわれている。また、TV等用の液晶表示装置には、白黒表示のコントラスト比が10以上の視野角が320度を越えること、カラー表示用のTV等では、さらに、画面法線方向を0°とし、極角0〜60°の視野角において、ΔCu’v’(u’v’(CIELAB空間における色座標)空間上の軌跡から、正面のu’v’値と最も距離の離れた地点でのu’v’との距離を意味する)が0.06以下であること、が要求される。また、下方向で階調反転の起こらない領域が極角50°以上であることが要求される。本発明の液晶表示装置は、いずれの特性も満足し得る優れた視野角特性を示す。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<光拡散フィルム1(高内部散乱フィルム)の作製>
(光拡散層用塗布液1の調製)
下記塗布液1を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して光拡散層用塗布液1を調製した。
Figure 0005134478
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート[日本化薬(株)製]
・イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
(低屈折率層用塗布液の調製)
・ゾル液の調製
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液を得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
・分散液Aの調製
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水の9gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
・低屈折率層用塗布液の調製
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(特開2005−89536号公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1))固形分として41.0gをメチルイソブチルケトン500gに溶解し、更に、分散液Aを260質量部(シリカ+表面処理剤固形分として52.0質量部)、DPHA 5.0質量部、イルガキュア127(光重合開始剤、チバスペシャルティーケミカルス製)2.0質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して低屈折率層用塗布液を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.36であった。
(光拡散層の形成)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、光拡散層用塗布液1を直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.2%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8.0μmの光拡散層を形成し、その後、巻き取った。
(低屈折率層の形成)
上記の様にして形成した光拡散層の上に、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液をバックアップロール上のハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、その後巻き取った。この様にして、光拡散フィルム1を作製した。乾燥・硬化条件を以下に示す。
乾燥:90℃で60秒間乾燥した。
硬化:窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量400mJ/cm2の紫外線を照射した。
<光拡散フィルム2(異方性光散乱フィルム)>
光拡散フィルム2として、凸版印刷株式会社製の異方性光散乱フィルム(厚み25μm、商品名SDFフィルム(ディフューザー))を用いた。
<光拡散フィルム3(異方性光散乱フィルム)の作製>
光拡散フィルム3として、異方性散乱素子であるルミスティフィルム(住友化学製)を用いた。
<光拡散フィルム4(比較例サンプル)>
光拡散フィルム4として、富士フイルム(株)製のCV FILM(CV L 02 80)を用いた。
<光拡散フィルム1〜4の散乱光強度評価>
自動変角光度計GP−5型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて、入射光に対して各光拡散フィルムを垂直に配置し、全方位に渡って散乱光強度プロファイルを測定した。出射角0°の光強度Iに対して、散乱光強度が最大となる方位角における出射角30°方向の散乱光強度I30の比率(散乱光強度(I30/I))を求めた。また、光拡散フィルム1及び4の内部ヘイズを測定した。結果を下記表に示す。
Figure 0005134478
<光学補償フィルム1の作製>
(支持体S−1の作製)
下表に記載の各成分を混合して、セルロースアシレート組成物を調製した。これを、真空排気付き2軸混練押出し機を用い、スクリュー回転数300rpm、混練時間40秒間、押出し量200kg/hrでダイから押出し60℃の水中で固化した後、裁断し直径2mm、長さ3mmの円柱状のペレットを得た。その後、前記ペレットを用い、特開2007−2216号公報の実施例1に記載と同様の手法で溶融製膜し、85μmのセルロースアシレートフィルムを得た。このフィルムをMD方向に110℃で65%延伸し、支持体S−1を作製した。なお、MD方向とは、搬送方向を意味する。延伸後のフィルムの厚さは64μであった。この支持体S−1として用いたセルロースアシレートフィルムのReは85μm、及びRthは55μmであった。
Figure 0005134478
<配向膜の作製>
鹸化処理をした支持体S−1上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。乾燥後の配向膜の厚みは、1.1μmであった。
Figure 0005134478
Figure 0005134478
<配向処理>
配向膜を塗設した支持体S−1に対して延伸方向に対して90°にラビング処理されるようにラビングロールを設定し、450rpmで回転させて、配向膜設置表面にラビング処理を施した。
<光学異方性層の塗設>
支持体S−1のラビング処理面に、下記表に示した組成の塗布液を#1.6のワイヤーバーで塗布した。その後、120℃の恒温槽中で90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。次に、80℃で160W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間紫外線照射し架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。得られた光学異方性層の、波長550nmで測定したReレターデーション値は28nmであった。膜厚は0.5μmであった。このようにして光学補償フィルムC−1を作製した。
Figure 0005134478
下記表に示す通り、各成分の組成を代え、及び塗布時の条件を代えた以外は、同様にして光学補償シートC−1、及びC−1a〜C−1fをそれぞれ作製した。なお、下記表中に記載のない成分については、上記組成と同一である。
Figure 0005134478
Figure 0005134478
<偏光板の作製>
(P−1及びP−1’の作製)
まず、延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて直線偏光膜を作製した。
その後、上記で作製した光拡散フィルム1に鹸化処理を行い、ビニルアルコール系接着剤を用いてセルローストリアセテートフィルムを直線偏光膜表面側にして直線偏光膜の片側に貼り付けた。さらに、この直線偏光膜の他方の面には、上記で作製した光学補償フィルムC−1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、支持体S−1の裏面(光学異方性層が形成されていない側の表面)を直線偏光膜の表面側にして貼り付け、光拡散フィルム1付き偏光板P−1を作製した。
なお、光拡散フィルム1付き偏光板P−1の対向偏光板として、光拡散層等を形成していないトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)を、直線偏光膜の一方の表面に上記と同様にして貼合し、他方の面に上記と同様にして光学補償フィルムC−1を貼合して、偏光板P−1’を作製した。
(P−2及びP−3の作製)
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて直線偏光膜を作製した。その後、トリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ビニルアルコール系接着剤を用いて直線偏光膜の片側に貼り付けた。さらにこの直線偏光膜の他方の面には、実施例1で作製した光学補償フィルムC−1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、支持体S−1の裏面(光学異方性層が形成されていない側の表面)を前記直線偏光膜の表面側にして貼り付けた。前記トリアセチルセルロースフィルム上に、光拡散フィルム2をアクリル系粘着剤を介して積層し、光拡散フィルム2付き偏光板P−2を作製した。この時、散乱光強度が最大となる方位角が液晶セルの下方向にくるように偏光板に貼り合せた。
光拡散フィルム2に代えて、光拡散フィルム3を用いた以外は、上記と同様にして光拡散フィルム3付き偏光板P−3を作製した。
(P−4の作製)
光拡散フィルムとして、富士フイルム(株)製のCV FILM(CV L 02 80)(光拡散フィルム4)を用いた以外は、実施例1の光拡散フィルム1付き偏光板P−1と同様にして光拡散フィルム4付き偏光板P−4を作製した。
<偏光板見かけのRe評価>
得られた偏光板P−1〜P−4及びP−1’の見かけのレターデーションをKOBRA
21ADH(王子計測機器(株)製)にて偏光子透過軸と光学補償フィルム遅相軸のなす角度を45°と入力して、算出した。P−1〜P−4及びP−1’の見かけのレターデーションはいずれも0nmであった。
<TNモード液晶表示装置の作製>
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W エイサー社製)に設けられている一対の偏光板(上側偏光板、及び下側偏光板)を剥がし、代わりに、表示面側偏光板として、作製した光拡散フィルム付き偏光板P−1〜P−4のそれぞれを、光学補償フィルムC−1が液晶セル側となるように粘着剤を介してとして貼り付け、及び背面側偏光板として、いずれについても偏光板P−1’を光学補償フィルムC−1が液晶セル側となるように貼り付けた。このとき、背面側偏光板に含まれる直線偏光膜の透過軸と、表示面側偏光板に含まれる直線偏光膜の透過軸とを直交にして、各偏光板を配置した。
また、液晶表示装置を黒表示にした状態で、液晶セルの残留レターデーションを測定したところ、550nm波長で3nm(即ち、Re_c(550)=3nm)であった。また、450nmと650nmでのReの比Re(450)/Re(650)は1.17であった。
<表示性能評価>
次に、25℃60%RHに制御された部屋で1週間放置した前記液晶表示装置を測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L0)から白表示(L7)までの8段階で輝度、色味を評価した。
なお、下表においてΔCu’v’は、正面から60°視角を傾けたときのu’v’空間上での距離を示す。(u’v’:CIELAB空間における色座標)
ΔCu’v’=((u’(正面)−u’(60°))2+(v’(正面)−v’(60°))20.5
コントラストはコントラスト比(白表示時の透過率/黒表示時の透過率)から算出した値である。また、正面から極角60°方向の全方位角の平均輝度をT_b(60)とし、白表示時の正面輝度をT_w(0)としたときのT_w(0)/T_b(60)の値を算出した。結果を下記表に示す。
<評価基準>
[ΔCu’v’の評価基準]
○ ΔCu’v’が、0.02未満
△ ΔCu’v’が、0.02〜0.06
× ΔCu’v’が、0.06を超える
[下方向階調反転の評価基準]
○ L1−L2の階調が反転する角度が、50°以上
△ L1−L2の階調が反転する角度が、40〜50°
× L1−L2の階調が反転する角度が、40°未満
Figure 0005134478
上記表に示した結果から、光拡散フィルムの散乱光強度比I30/Iが、0.05%以上である光散乱フィルム付き偏光板を用いた液晶表示装置1〜3は、いずれも優れた視野角特性を示したことが理解できる。光拡散フィルムを配置しない場合は、液晶表示装置の正面コントラストは、800程度であるので、液晶表示装置1〜3は、正面コントラストを低下させずに、優れた広視野角特性を達成していることが理解できる。
液晶表示装置1〜3の作製において、光学補償フィルムC−1を、上記光学補償フィルムC−1a〜C−1fに代えた以外は、同様にして液晶表示装置をそれぞれ作製した。同様に評価したところ、正面コントラスト、下方向解消反転、及びΔCu’v’のいずれについても、液晶表示装置1〜3の評価結果と同等であった。
[実施例2]
<光学補償フィルムC−2の作製>
上記光学補償フィルムC−1の作製において、配向膜をラビング処理する際に、ディスコティック液晶の配向方向が支持体S−1の長手方向(延伸方向)に直交する方向に対して、1.4°ずれるようにラビング処理をした以外は、光学補償フィルムC−1と同様にして、光学異方性層を形成し、光学補償フィルムC−2を作製した。
<光拡散フィルム1付き偏光板P−5の作製>
光学補償フィルムC−1を光学補償フィルムC−4に代えた以外は、光拡散フィルム1付き偏光板P−1と同様にして、光拡散フィルム1付き偏光板P−5を作製した。このとき、偏光板に含まれる直線偏光膜の吸収軸と支持体S−1の遅相軸方向(延伸方向)が直交するようにした。
また、光学補償フィルムC−1を光学補償フィルムC−4に代えた以外は、偏光板P−1’と同様にして、偏光板P−5’を作製した。このとき、偏光板に含まれる直線偏光膜の吸収軸と支持体S−1の遅相軸方向(延伸方向)が直交するようにした。
得られた光拡散フィルム1付き偏光板P−5、及び偏光板P−5’の見かけのレターデーションを測定したところ、いずれも−1.5nmであった。即ち、Re_ft(550nm)=−3nmであった。
<液晶表示装置No.5の作製>
また、得られた偏光板P−5を、表示面側偏光板として、及び得られた楕円偏光何P−5’を背面側偏光板として、下記のバックライト光量調整機能付きのTN液晶表示装置に貼り合わせて、表示性能を評価した。なお、用いた液晶セルは液晶表示装置No.1〜3と同一のものである。この液晶表示装置のバックライトは、表示の階調信号に応じて、白に近い階調ではバックライト光量を増大させ、黒に近い階調では光量を減少させるような調整機能をもった液晶表示装置である。バックライトは、10×10領域に面内で分割されたLEDバックライトを用いた。なお、偏光板を貼り付ける際は、偏光板吸収軸をそれぞれ隣接する側の液晶セルラビング方向と平行になるようにした。
結果を下記表に示す。下記表には、液晶表示装置No.1の評価結果も併せて示した。
Figure 0005134478
上記表に示す結果から、表示面側及び背面側偏光板の見かけのレターデーションの和、Re_ft(550nm)が、式(5)及び式(6)を満足していると、さらに正面コントラストが向上すること、及び表中具体的には示していないが、ΔCu’v’もより減少した。さらに、液晶表示装置No.5は、バックライトの光量も調整しているので、より正面コントラストが改善されていることが理解できる。
[実施例3]
<光学補償フィルムC−3及びC−4の作製>
(支持体S−2の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
────────────────────────────────────
セルロースアセテート溶液組成(質量部) 内層 外層
────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100 100
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8 7.8
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9 3.9
メチレンクロライド(第1溶媒) 293 314
メタノール(第2溶媒) 71 76
1−ブタノール(第3溶媒) 1.5 1.6
シリカ微粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
0 0.8
下記レターデーション上昇剤 1.7 0
────────────────────────────────────
Figure 0005134478
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルムS−2について、光学特性を測定した。
得られたセルロースアセテートの幅は1340mmであり、厚さは80μmであった。Reは6nmで、Rthは90nmであった。また、遅相軸はMD方向(搬送方向)にあった。
(光学補償フィルムC−3の作製)
実施例1と同様にして配向膜を形成した後、S−2のMD方向に平行にラビング処理を施した。また、#2.5のワイヤーバーを使用した以外は、実施例1と同様にして光学異方性層を形成し、光学補償フィルムC−3を作製した。得られた光学異方性層のReは45nm、膜厚は0.8μmであった。
(偏光板P−6及びP−6’の作製)
光学補償フィルムC−1に代えて、光学補償フィルムC−3を用いた以外は、光拡散フィルム1付き偏光板P−1と同様にして、光拡散フィルム1付き偏光板P−6を作製した。このとき、偏光板に含まれる直線偏光膜の吸収軸と、支持体S−2の面内遅相軸方向は平行になるようにした。
また、光学補償フィルムC−1に代えて、光学補償フィルムC−3を用いた以外は、偏光板P−1’と同様にして、偏光板P−6’を作製した。
得られた偏光板P−6及びP−6’の見かけのレターデーションを測定したところ、いずれも0nmであった。
(液晶表示装置No.6の作製)
得られた光拡散フィルム1付き偏光板P−6を、表示面側偏光板として、及び偏光板P−6’を、背面側偏光板として、TN液晶表示装置に貼り合わせた。その際、偏光板吸収軸をそれぞれ隣接する側の液晶セルラビング方向と平行になるようにした。
(光学補償フィルムC−4の作製)
光学補償フィルムC−3の作製において、光学異方性層のディスコティック液晶の配向方向が支持体S−2のMD方向に対して1°ずれるようにラビング処理をした以外は、光学補償フィルムC−3と同様にして光学補償フィルムC−3を作製した。
(偏光板P−7及びP−7’の作製)
光学補償フィルムC−1に代えて、光学補償フィルムC−4を用いた以外は、光拡散フィルム1付き偏光板P−1と同様にして、光拡散フィルム1付き偏光板P−7を作製した。このとき、偏光板に含まれる直線偏光膜の吸収軸と、支持体S−2の面内遅相軸方向は平行になるようにした。
また、光学補償フィルムC−1に代えて、光学補償フィルムC−4を用いた以外は、偏光板P−1’と同様にして、偏光板P−7’を作製した。
また、得られた偏光板P−7及びP−7’の見かけのレターデーションを測定したところ、いずれも−1.5nmであった。
(液晶表示装置No.7の作製)
また、得られた光拡散フィルム1付き偏光板P−7を、表示面側偏光板として、及び得られた偏光板P−7’を、背面側偏光板として、TN液晶表示装置に貼り合わせて表示性能を評価した。その際、偏光板吸収軸をそれぞれ隣接する側の液晶セルラビング方向と平行になるようにした。
(液晶表示装置No.8の作製)
液晶表示装置No.6の作製において、液晶表示装置のバックライトが、表示の階調信号に応じて、白に近い階調ではバックライト光量を増大させ、黒に近い階調では光量を減少させるような調整機能をもった液晶表示装置を使用した以外は、液晶表示装置No.6と同様にして、液晶表示装置No.8を作製した。バックライトは、10×10領域に面内で分割されたLEDバックライトを用いた。
表示性能の結果を下記表に示す。下記表には、液晶表示装置No.1の評価結果も併せて示した。
Figure 0005134478
上記表に示す結果から、T_w(0)/T_b(60)が式(1)を満足せず、500未満の液晶表示装置No.6は、500以上である液晶表示装置No.1と比較して、正面コントラストが低くなっている。一方、液晶表示装置No.7は、T_w(0)/T_b(60)は500未満で式(1)を満足していないが、表示面側及び背面側偏光板の見かけのレターデーションの和、Re_ft(550nm)が、式(5)及び式(6)を満足しているので、並びに液晶表示装置No.8は、バックライトの光量を調整しているので、正面コントラストが、液晶表示装置No.1と同等に高く、且つ液晶表示装置No.1と同等の優れた広視野角特性を示した。
本発明のTNモード液晶表示装置の一例の構成を示す概念模式図である。 本発明に利用可能な光拡散フィルムの一例である異方性光散乱フィルム(2)への入射光(r1)が、散乱光として透過する様子を示した概念図である。
符号の説明
BL バックライト
1a、1b、3a、3b 保護フィルム
2a、2b 直線偏光膜
4a、4b 光学異方性層
5a 液晶セルの下基板
5b 液晶セルの上基板
6 液晶層
7 光拡散フィルム
8a 背面側偏光板
8b 表示面側偏光板

Claims (12)

  1. 液晶セル、該液晶セルを挟んで配置された表示面側及び背面側偏光板、並びに前記背面側偏光板の外側に配置されたバックライトを有するTNモード液晶表示装置であって、前記表示面側偏光板が、光拡散フィルムを有し、該光拡散フィルムの散乱光プロファイルが、出射角0°(フィルム法線方向)の光強度に対して、散乱強度が最大となる方位角において極角30°方向の散乱光強度が0.05%以上であり、正面コントラストが800以上であり、
    前記表示面側及び背面側偏光板がそれぞれ、直線偏光膜、該直線偏光膜と前記液晶セルとの間に配置された、ポリマーフィルム及び液晶性組成物から形成された光学異方性層を有し、
    前記表示面側及び背面側偏光板のそれぞれにおいて、前記光学異方性層の面内遅相軸と前記直線偏光膜の透過軸とが0.2〜4.0°で交差しており、
    前記表示面側及び背面側偏光板を通過する波長λnmの光の透過率Iを、それぞれに含まれる前記直線偏光膜の透過軸に対して角度θ(0°≦θ≦360°)の方向に透過軸を有する検光子を用いて測定した場合に、角度θに対して測定される透過率Iが、下記式(4)に最も合うように決定される前記表示面側及び背面側偏光板の波長λnmの見かけのレターデーションをそれぞれ、Re_f1(λ)及びRe_f2(λ)とし、並びにRe_ft(λ)=Re_f1(λ)+Re_f2(λ)と定義したときに、前記液晶セルの黒表示時の波長λnmの残留レターデーションRe_c(λ)とRe_ft(λ)とが、下記式(5)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
    Figure 0005134478
  2. 正面コントラストが、1000以上であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記光拡散フィルムの内部ヘイズが、45%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記光拡散フィルムが、異方性光散乱フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記液晶表示装置を黒表示させたときに、正面から極角60°方向の全方位角の平均輝度をT_b(60)とし、白表示時の正面輝度をT_w(0)としたときに、下記一般式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
    式(1)
    T_w(0)/T_b(60)≧ 500
  6. 前記表示面側及び背面側偏光板のそれぞれに含まれる前記ポリマーフィルムが、前記直線偏光膜の透過軸方向と平行の面内遅相軸を有する二軸性のポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記ポリマーフィルムの面内レターデーション(Re)及び厚み方向のレタデーション(Rth)が、下記式(2)及び(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
    式(2) 40nm≦Re≦140nm
    式(3) 20nm≦Rth≦100nm
  8. Re_c(λ)とRe_ft(λ)とが、下記式(6)を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
    式(6):
    0.95≦{Re_ft(450nm)/Re_ft(650nm)}/{Re_c(450nm)/Re_c(650nm)}≦1.05
  9. 前記光学異方性層が、ハイブリッド配向状態に固定されたディスコティック液晶化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 入力信号に応じてバックライト光量を調整する手段を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記バックライトが複数の領域に分割されており、各領域ごとに光量を調整できることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  12. 前記バックライトが、LEDからなることを特徴とする請求項1又は1に記載の液晶表示装置。
JP2008239318A 2007-09-19 2008-09-18 液晶表示装置 Expired - Fee Related JP5134478B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008239318A JP5134478B2 (ja) 2007-09-19 2008-09-18 液晶表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007242106 2007-09-19
JP2007242106 2007-09-19
JP2008239318A JP5134478B2 (ja) 2007-09-19 2008-09-18 液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009093166A JP2009093166A (ja) 2009-04-30
JP5134478B2 true JP5134478B2 (ja) 2013-01-30

Family

ID=40665168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008239318A Expired - Fee Related JP5134478B2 (ja) 2007-09-19 2008-09-18 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5134478B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5529672B2 (ja) 2009-11-30 2014-06-25 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP5611575B2 (ja) 2009-11-30 2014-10-22 富士フイルム株式会社 Va型液晶表示装置
JP5297360B2 (ja) 2009-11-30 2013-09-25 富士フイルム株式会社 Va型液晶表示装置
JP2013109332A (ja) * 2011-10-24 2013-06-06 Fujifilm Corp 液晶表示装置
WO2013061971A1 (ja) * 2011-10-25 2013-05-02 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
WO2013061965A1 (ja) * 2011-10-25 2013-05-02 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP5879278B2 (ja) 2012-01-30 2016-03-08 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP5879277B2 (ja) * 2012-01-30 2016-03-08 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP5701286B2 (ja) * 2012-12-28 2015-04-15 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
WO2015137396A1 (ja) * 2014-03-14 2015-09-17 シャープ株式会社 光拡散部材、光拡散部材作製用母材、これを用いた表示装置、および光拡散部材の製造方法
JP7465118B2 (ja) * 2020-03-06 2024-04-10 リンテック株式会社 積層体および光拡散制御フィルム

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3668107B2 (ja) * 2000-07-31 2005-07-06 株式会社東芝 液晶表示装置
JP4462522B2 (ja) * 2000-09-11 2010-05-12 日東電工株式会社 液晶表示装置
JP2003248121A (ja) * 2001-12-20 2003-09-05 Fuji Photo Film Co Ltd 偏光板およびそれを用いた液晶表示装置
JP2003279992A (ja) * 2002-03-26 2003-10-02 Casio Comput Co Ltd 液晶表示素子
JP2003295167A (ja) * 2002-04-01 2003-10-15 Toppan Printing Co Ltd 液晶表示装置
JP4284221B2 (ja) * 2003-03-31 2009-06-24 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
JP2005010509A (ja) * 2003-06-19 2005-01-13 Fuji Photo Film Co Ltd 光拡散フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2005201960A (ja) * 2004-01-13 2005-07-28 Seiko Epson Corp 液晶装置および投射型表示装置
JP4687507B2 (ja) * 2005-03-09 2011-05-25 カシオ計算機株式会社 液晶表示素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009093166A (ja) 2009-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5134478B2 (ja) 液晶表示装置
US7976914B2 (en) Resin film, production method thereof, polarizing plate and liquid crystal display device
US8313814B2 (en) Cellulose acylate film, method of producing the same, cellulose derivative film, optically compensatory film using the same, optically-compensatory film incorporating polarizing plate, polarizing plate and liquid crystal display device
JP5061066B2 (ja) ポリマーフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
US7471360B2 (en) Liquid crystal display device
JP2009063983A (ja) 光学フィルム、及びそれを有する偏光板
US8350996B2 (en) Optical compensation sheet, polarizing plate and TN-mode liquid crystal display device
JP4759365B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP2006113175A (ja) 光学フィルム、偏光板及び表示装置
US20080226888A1 (en) Cellulose Acylate Film, Polarizing Plate and Liquid Crystal Display Device Using the Same
JP2008083307A (ja) 偏光板、偏光板の製造方法、及び液晶表示装置
JP2008262161A (ja) 光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP2007264480A (ja) 液晶表示装置
JP2008020896A (ja) 樹脂フィルム、その製造方法、偏光板および液晶表示装置
WO2016158298A1 (ja) 位相差フィルム、円偏光フィルム、および、画像表示装置
JP2011186358A (ja) ポリマーフィルム、その製造方法、それを用いた位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP4855081B2 (ja) 位相差板、偏光板及び液晶表示装置
JP5565281B2 (ja) 斜め延伸フィルムの製造方法、及び光学フィルムの製造方法
US10850478B2 (en) Optical laminate, polarizing plate, method of manufacturing polarizing plate, and image display device
JP2006091613A (ja) 光学補償シート、その製造方法、偏光板、及び液晶表示装置
US20090202748A1 (en) Resin film, production method thereof, polarizing plate and liquid crystal display device
JP2005266800A (ja) 偏光板およびそれを用いたvaモード型液晶表示装置
JP5185039B2 (ja) 光学フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP7259232B2 (ja) 表示パネル、画像表示装置及び表示パネルの紫外線吸収層の選別方法
JP2009199070A (ja) 偏光板及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121106

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121109

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151116

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5134478

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees