JP5131495B2 - 薄膜バラン - Google Patents
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次に、薄膜バランの一実施例における各配線層M1,M2,M3のパターンについて詳細に説明する。以下の実施例では、線路部L1〜L4としてコイル部C1〜C4を用いたものである。
図6は、本発明の実施例2の薄膜バラン1Bにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。図6に示す実施例2では、コイル部C3とコイル部C4とを繋ぐ配線32Bの構造が実施例1の薄膜バラン1Aの配線32Aの構造とは異なっており、配線32Bが、実施例1の配線32Aよりも更に上側に迂回するように形成されている。すなわち、配線32Bは、スルーホールTH3からスルーホールTH1の近傍まで延在し、スルーホールTH1の近傍からスルーホールTH2の近傍まで配線31と平行又は略平行に延在し、スルーホールTH2の近傍からスルーホールTH4まで延在して形成されている。
図7は参考例の薄膜バラン1Rにおける配線層M2を概略的に示す水平断面図であり、図8は参考例の薄膜バラン1Rにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M2,M3以外の構成は、実施例1と同様である。薄膜バラン1Rは、図7及び図8に示すように、配線層M2及び配線層M3には、実施例1のスルーホールTH5の代わりに、スルーホールTH6が形成されている。これは、薄膜バラン1RだけでなくLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)で作製されるバランにおいても、伝送線路の長さによって位相特性が影響を受けることから、GNDラインを含めコイル部C3とコイル部C4の長さはできる限り同じ長さで設計することが望ましく、また、GNDラインは長ければ長いほど余計なL成分をもち、電気的特性に影響を及ぼすことが多いため、できるだけGNDラインは短い方が望ましいことによる。よって、スルーホールTH3,TH4を接続する配線32Rの中心からGNDライン33を引き出して最短の距離でスルーホールTH6を経由して配線層M2のGND電極40に電気的に接続している構造を有する薄膜バラン1Rを、本発明の効果を検証するための参考例として用意した。
以上説明した薄膜バラン1A,1B,1Rについて、挿入損失特性、位相バランス特性、出力バランス特性、及び反射損失特性をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数を2400〜2500MHzとした。図10は、挿入損失特性の評価結果を示す図であり、図11は位相バランス特性の評価結果を示す図であり、図12は出力バランス特性の評価結果を示す図であり、図13は反射損失特性の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1A,E1B,E1Rが、それぞれ、薄膜バラン1A,1B,1Rの評価結果を示す。
図14は、本発明の実施例3の薄膜バラン1Cにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。図14に示す実施例3では、コイル部C3とコイル部C4とを繋ぐ配線32Cの構造が上述した実施例1,2の薄膜バラン1A,1Bの配線32A,32Bの構造とは異なっており、配線32Cの方がより顕著に平衡伝送線路の磁場を弱める方向に作用させる構造とした。具体的には、配線32Cが、コイル部C3及びコイル部C4のコイル導体の開口部に対向する領域に配置されるように、スルーホールTH3からスルーホールTH1の近傍までコイル部C3のコイル導体の開口部上を迂回するように延在し、スルーホールTH1の近傍からスルーホールTH2の近傍まで延在し、スルーホールTH2の近傍からスルーホールTH4までコイル部C4のコイル導体の開口部上を迂回するように延在して形成されている。
図15は、本発明の実施例4の薄膜バラン1Dにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。図15に示す実施例4では、薄膜バラン1Dは、上述した実施例3の薄膜バラン1Cの構造から更に平衡伝送線路の磁場を弱める方向に作用させる構造とした。具体的には、配線32Cが、スルーホールTH3からスルーホールTH1の近傍までコイル部C3のコイル導体の開口部上であり且つ該開口部の中央を迂回するように延在し、スルーホールTH1の近傍からスルーホールTH2の近傍まで延在し、スルーホールTH2の近傍からスルーホールTH4までコイル部C4のコイル導体の開口部上であり且つ該開口部の中央を迂回するように延在して形成されている。
以上説明した薄膜バラン1C,1Dについて、挿入損失特性、位相バランス特性、出力バランス特性、及び反射損失特性をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数を2400〜2500MHzとした。図16は、挿入損失特性の評価結果を示す図であり、図17は位相バランス特性の評価結果を示す図であり、図18は出力バランス特性の評価結果を示す図であり、図19は反射損失特性の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1C,E1D,E1Rが、それぞれ、薄膜バラン1C,1D,1Rの評価結果を示す。
図20は、本発明の実施例5の薄膜バラン1Eにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。図20に示す実施例5では、薄膜バラン1Eは、上述した実施例4の薄膜バラン1Cの構造とは異なり、コイル部C3とコイル部C4とを繋ぐ配線32Eが、コイル部C4のコイル導体の開口部に対向する領域のみに配置されている。具体的には、スルーホールTH3からスルーホールTH1の近傍まで延在し、スルーホールTH1の近傍からスルーホールTH2の近傍まで延在し、スルーホールTH2の近傍からスルーホールTH4までコイル部C4のコイル導体の開口部上であり且つ該開口部の中央を迂回するように延在して形成されている。
薄膜バラン1Eについて、上述の薄膜バラン1D,1Rと比較するために、挿入損失特性、位相バランス特性、出力バランス特性、及び反射損失特性をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数を2400〜2500MHzとした。図21は、挿入損失特性の評価結果を示す図であり、図22は位相バランス特性の評価結果を示す図であり、図23は出力バランス特性の評価結果を示す図であり、図24は反射損失特性の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1E,E1D,E1Rが、それぞれ、薄膜バラン1E,1B,1Rの評価結果を示す。
これらの結果により、実施例5の薄膜バラン1Eは、参考例の薄膜バラン1Rに比べて、挿入損失特性、位相バランス特性、及び反射損失特性の改善が確認されたが、実施例4の薄膜バラン1Dに比べると、挿入損失特性、出力バランス特性、及び反射損失特性の改善幅が小さいことがわかる。よって、コイル部C3とコイル部C4とを繋ぐ配線32E(L成分)が片方のコイル部C4のコイル導体の開口部に対向する領域に配置されていても改善の効果はあるが、コイル部C3とコイル部C4双方のコイル導体の開口部に対向する領域に配置されている方が好ましいことが確認された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な形が可能である。例えば、不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、及び接地端子Gの配置は、図示の位置に限定されない。また、薄膜バランを構成する多層配線構造は、図示の層数未満であってもよく、図示の層数より多くてもよい。さらに、絶縁性基板100上の配線層の順序が逆になった構造であってももちろんよい。またさらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々のコイル配置やコイル形状を採用することができ、例えば、コイル部C3とコイル部C4の配線が平衡伝送線路の磁場を弱めるように作用するのであれば、円形状でも楕円形上でも、六角形のような六角形状であってもよい。またさらに、GNDライン33は、上記の各実施形態のように、配線32(L成分)とコイル部C3との間に接続される場合に制限されず、例えば、配線32(L成分)とコイル部C4との間に接続されていてもよい。
Claims (2)
- 第1のコイル部及び第2のコイル部を有する不平衡伝送線路と、
前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部のそれぞれに対向配置され且つ電磁結合する第3のコイル部及び第4のコイル部を有する平衡伝送線路と、
前記第1のコイル部の一端に接続された不平衡端子と、
前記第3のコイル部に接続された第1の平衡端子と、
前記第4のコイル部に接続された第2の平衡端子と、
前記第3のコイル部及び前記第4のコイル部に接続された接地端子と、
を備え、
前記第3のコイル部及び前記第4のコイル部は同一の階層に形成されており、
該階層と異なる階層にて前記第3のコイル部と前記第4のコイル部とがL成分を介して電気的に接続されており、
前記L成分の少なくとも一部が、前記第3のコイル部及び前記第4のコイル部の双方のコイル導体の開口部上を迂回するように延在し、且つ、該双方のコイル導体の開口部に対向する領域に配置されている、
薄膜バラン。 - 前記接地端子と前記第4のコイル部との間に前記L成分が配置されている、
請求項1に記載の薄膜バラン。
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