JP5326932B2 - 薄膜バラン - Google Patents

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Description

本発明は、不平衡−平衡の信号変換を行なうバラン(バラントランス)に関し、特に、小型薄型化に有利な薄膜プロセスにより形成された薄膜バランに関する。
無線通信機器は、アンテナ、フィルタ、RFスイッチ、パワーアンプ、RF−IC、バラン等の各種高周波素子によって構成される。これらのなかで、アンテナやフィルタ等の共振素子は、接地電位を基準とした不平衡型の信号を取り扱う(信号伝送を行う)が、高周波信号の生成や処理を行なうRF−ICは、平衡型の信号を取り扱う(信号伝送を行う)ため、両者を電磁気的に接続する場合には、不平衡−平衡変換器として機能するバランが使用される。
近時、携帯電話や携帯端末等の移動体通信機や無線LAN機器等に用いられるバランとして、更なる小型薄型化が切望されている。このようなバランとしては、互いに対向配置された不平衡伝送線路と平衡伝送線路によって電磁結合を形成し、不平衡伝送線路の一方端が不平衡端子に接続され、且つ、他方端がキャパシタを介して接地端子に接続された構成を有するもの(特許文献1)が提案されている。
特開2006−270444号公報
ところで、薄膜バランの通過特性として、その共振周波数は下記式(1);
fr=1/{2π(L・C)1/2} …(1)、
で表される。ここで、式中、frは共振周波数を示し、L(L成分)は、不平衡伝送線路と平衡伝送線路部で形成される共振回路の等価的なインダクタンスを示し、C(C成分)は、同キャパシタンスを示す。
ところが、バランを小型薄型化するには、不平衡伝送線路や平衡伝送線路を形成するコイル等の巻回数や線路長が不可避的に低減されてしまうため、共振回路のインダクタンスLが低下してしまい、式(1)から明らかなように、共振周波数fr(通過帯域の周波数)が高周波化してしまう。通常、無線通信等で使用されるバランの周波数の通過特性(所定周波数の減衰特性)は、それが搭載される通信機器やシステムの構成、規格、仕様等から要求仕様が定められており、バランの特性として特に重要である。具体的には、例えば、通過特性として共振周波数frのピーク値が2400〜2500MHz(2.4GHz帯域)といった数値が指定され、かかる周波数帯域での減衰量を十分に低く抑えるような仕様設計がなされる。しかし、上述の如く、バランの小型薄型化によって共振周波数frが高周波化すると、上記特許文献1に記載されたチップ型バランのような構成では、かかる要求仕様を満足することが困難となってしまう。
そこで、上記式(1)より、共振回路のキャパシタンスCを増大させることにより、共振周波数frの高周波化が抑止され得るが、本発明者の知見によれば、上記特許文献1に記載されたバランのようにキャパシタを設け、キャパシタンスCを単に増大させるだけでは、入力信号に対する所望の通過特性や、出力信号に対する所望の平衡特性(出力信号の振幅差や位相差)を得ることができず、その要求仕様を満足することが困難なことがある。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、要求されるバランの諸特性を維持しつつ、小型薄型化することができる薄膜バランを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の薄膜バランは、不平衡伝送線路と、不平衡伝送線路に対向し且つ電磁結合する平衡伝送線路と、平衡伝送線路と対向する不平衡伝送線路の一部と対向し、且つ、キャパシタを構成するキャパシタ電極と、不平衡伝送線路およびキャパシタ電極に接続された不平衡端子とを備える。
このような構成では、薄膜バランの共振回路にキャパシタが導入されることから、薄膜バランの共振周波数が低周波数側にシフトされる。従って、薄膜バランの小型化に伴う共振周波数の高周波化が抑制される。また、キャパシタの平衡伝送線路と対向する不平衡伝送線路の一部と対向するようにキャパシタ電極を設けることにより、薄膜バランの平衡特性を向上させることが可能であることが判明した。
かかる作用機序の詳細は未だ不明ではあるが、以下のように推定される。キャパシタの平衡伝送線路と対向する不平衡伝送線路の一部は、平衡伝送線路との電磁結合(カップリング)が支配的な部位であるところ、この部位にキャパシタ電極を対向させてキャパシタを構成することにより、不平衡伝送線路における平衡伝送線路とのカップリング状態が有意に変化し得る。すなわち、不平衡伝送線路の所定の位置にキャパシタ(キャパシタンス)を導入することにより、不平衡伝送線路における平衡伝送線路とのカップリングに寄与する部位自体が変化し得る。さらに、このようにキャパシタを導入することにより、伝送線路全体の特性インピーダンスが変化し得る。そして、かかるカップリングに寄与する部位の変化及び特性インピーダンスの変化に起因して、薄膜バランの平衡特性が好適に改善されるものと推定される。ただし、作用はこれに限定されない。
なお、上記の本願発明の構成には、不平衡伝送線路の一部とそれに対向するキャパシタ電極との間に、不平衡伝送線路に接続する他方のキャパシタ電極が配置される場合も含まれる、好ましくは、不平衡伝送線路の一部が他方のキャパシタ電極を兼ねる方が有用である。これにより、他方のキャパシタ電極の配置のための新たな層を必要としないので、製造プロセスの工数を削減することにも繋がり、生産性の向上及び工程管理の簡素化が可能となる。
また、上記課題を解決するため、本発明の薄膜バランは、第1の線路部及び第2の線路部を有する不平衡伝送線路と、第1の線路部及び第2の線路部のそれぞれに対向し且つ電磁結合する第3の線路部及び第4の線路部を有する平衡伝送線路と、第4の線路部と対向する第2の線路部の一部と対向し、且つ、キャパシタを構成するキャパシタ電極と、第1の線路部及びキャパシタ電極に接続された不平衡端子とを備える。このようにしても、上述したのと同様の作用が奏される。
好ましくは、第3の線路部と対向する第1の線路部の一部と対向し、キャパシタを構成するキャパシタ電極をさらに有し、不平衡端子は、第1の線路部、並びに、第2の線路部の一部と対向するキャパシタ電極、及び、第1の線路部の一部と対向するキャパシタ電極に接続されている。このような構成により、第4の線路部と第2の線路部とのカップリングに加えて、第3の線路部と第1の線路部とのカップリングに寄与する部位が変化し得る。従って、かかる構成により、2つのカップリングを調整することができることから、薄膜バランの平衡特性の改善にさらに寄与するものと推定される。ただし、作用はこれに限定されない。
さらに、上記課題を解決するため、本発明の薄膜バランは、不平衡端子と、一端が不平衡端子に接続され他端が開放端となる不平衡回路と、不平衡回路に電磁結合する平衡回路と、を備え、開放端を除く不平衡回路の一部にキャパシタが接続され、キャパシタは不平衡端子にも接続されているものである。
このような構成では、薄膜バランの共振回路にキャパシタが導入されることから、薄膜バランの共振周波数が低周波数側にシフトされるので、薄膜バランの小型化に伴う共振周波数の高周波化が抑制される。また、不平衡伝送線路の開放端よりも内側の領域は、その開放端に比べて平衡伝送線路との電磁結合(カップリング)が相対的に強い部位であり、この部位にキャパシタ電極を対向させてキャパシタを構成することにより、不平衡伝送線路における平衡伝送線路とのカップリングに寄与する部位が変化し得る。さらに、キャパシタの導入により全体の伝送線路の特性インピーダンスが変化し得る。このように、カップリングに寄与する部位の変化及び特性インピーダンスの変化が、薄膜バランの平衡特性の改善に寄与するものと推定される。ただし、作用はこれに限定されない。
本発明によれば、平衡伝送線路と対向する不平衡伝送線路の一部と不平衡端子との間にキャパシタを導入することによって、小型化に伴う薄膜バランの高周波化を抑制しつつ、薄膜バランの平衡特性を向上させることができ、薄膜バランのより一層の小型薄型化を達成することが可能となる。
本発明の薄膜バランの一実施形態の構成を示す等価回路図である。 薄膜バランの一実施形態の構成を示す垂直断面図である。 薄膜バラン1Aの配線層M0における水平断面図である。 薄膜バラン1Aの配線層M1における水平断面図である。 薄膜バラン1Aの配線層M2における水平断面図である。 薄膜バラン1Aの配線層M3における水平断面図である。 薄膜バラン1Bの配線層M0における水平断面図である。 通過特性の評価結果を示すグラフである。 薄膜バラン1Cの配線層M0における水平断面図である。 薄膜バラン1Dの配線層M0における水平断面図である。 薄膜バラン1Eの配線層M0における水平断面図である。 薄膜バラン1Fの配線層M0における水平断面図である。 通過特性の評価結果を示すグラフである。 位相差の評価結果を示すグラフである。 振幅差の評価結果を示すグラフである。 本発明の薄膜バランの他の実施形態の構成を示す等価回路図である。 薄膜バラン2Aの配線層M0における水平断面図である。 薄膜バラン2Bの配線層M0における水平断面図である。 通過特性の評価結果を示すグラフである。 位相差の評価結果を示すグラフである。 振幅差の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
(第1実施形態)
図1は、本発明の薄膜バランに係る第1実施形態の構成を示す等価回路図である。薄膜バラン1は、線路部L1(第1の線路部)及び線路部L2(第2の線路部)が直列に接続された不平衡伝送線路(不平衡回路)ULと、線路部L3(第3の線路部)及び線路部L4(第4の線路部)が直列に接続された平衡伝送線路(平衡回路)BLとを備えており、線路部L1及び線路部L3、並びに、線路部L2及び線路部L4によって、それぞれ電磁結合が形成されている。
この薄膜バラン1においては、線路部L1における線路部L2との結合端の他端が不平衡端子UTに接続されている。また、線路部L2における線路部L1との結合端の他端は開放端となっており、その開放端を除く一部が、キャパシタD1を介して不平衡端子UTに接続されている。また、線路部L3及び線路部L4におけるそれぞれの結合端との他端は、平衡端子BT1及び平衡端子BT2に接続されている。さらに、線路部L3及び線路部L4の結合端が、接地端子Gに接続されている。
上述した線路部L1〜L4の長さは、薄膜バラン1の仕様に応じて異なり、例えば、変換対象となる伝送信号の1/4波長(λ/4)共振器回路となるよう設定することができる。また、線路部L1〜L4の形状は、上述した電磁結合が形成されれば、任意の形状とすることができ、例えば、渦巻状(コイル状)、蛇行状、直線状、曲線状等の形態が挙げられる。
以下に、同図を参照して薄膜バラン1の基本的な動作について説明する。不平衡端子UTに不平衡信号が入力されると、不平衡信号は線路部L1及び線路部L2を伝播する。そして、線路部L1と線路部L3とが電磁結合(第1の電磁結合)し、線路部L2と線路部L4とが電磁結合(第2の電磁結合)することにより、入力された不平衡信号は当該不平衡信号と同じ周波数で位相が180°(π)異なる2つの平衡信号に変換され、これら2つ平衡信号が平衡端子BT1,BT2からそれぞれ出力される。逆に、互いに同じ大きさで180°の位相差を有する所定周波数の2つの平衡信号が平衡端子BT1,BT2に入力されると、不平衡端子UTから平衡信号と同一周波数の不平衡信号が出力される。
次に、上記の薄膜バランの一実施形態における配線構造について説明する。図2は、薄膜バラン1の配線構造を概略的に示す垂直断面図である。図2に示すように、例えばアルミナ等の絶縁性基板100側から順に配線層M0,M1,M2,M3が形成されている。例えば、上述したキャパシタ電極DE1は配線層M0により形成され、不平衡伝送線路ULは配線層M1により形成され、平衡伝送線路BLは配線層M2により形成され、平衡伝送線路BL及び不平衡伝送線路UL内における線路部同士を接続する接続配線が配線層M3により形成されている。同一の配線層における配線間、及び異なる配線層間には誘電体層101〜105が形成されている。キャパシタDが形成される配線層M0と配線層M1との間の誘電体層102、及び不平衡伝送線路ULと平衡伝送線路BLとの電磁結合が形成される配線層M1と配線層M2の間の誘電体層104には、例えば窒化シリコンが用いられる。配線層M0及び配線層M1を被覆する誘電体層101,103として、例えばアルミナが用いられる。さらに、配線層M2,M3を被覆する誘電体層105として、例えばポリイミドが用いられる。これら各層の材料は上述のものに限定されず、窒化シリコン、アルミナ、シリカ、等の無機系絶縁体のみならず、ポリイミド、エポキシ樹脂等の有機系絶縁体でもよく適宜選択できる。不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、接地端子Gは、全ての誘電体層を貫通するように形成されている。このように、薄膜バラン1は、絶縁性基板100上に形成された薄膜多層構造から構成されている。
図2に示すように、本実施形態では、上述したキャパシタDが、不平衡伝送線路ULを含む配線層M1と、配線層M1に誘電体層102を介して対向配置されたキャパシタ電極DE1を含む配線層M0との間に形成されている。
(実施例1A)
次に、薄膜バランの一実施例における各配線層M0,M1,M2,M3のパターンについて詳細に説明する。以下の実施例では、線路部L1〜L4としてコイル部を用いたものである。
図3〜図6は、薄膜バラン1Aにおける各配線層を概略的に示す水平断面図である。図3〜図6に示す如く、配線層M0〜M3の全ての層に、不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、及び、接地端子Gが形成されており、各端子UT,BT1,BT2,GはスルーホールPを介して異なる層間において電気的に接続されている。なお、図3〜図6に示す全てのスルーホールPには、上下各層を電気的に導通させるための金属導体がめっきにて形成されている。以下、各配線層の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、絶縁性基板100上の配線層M0には、キャパシタD1のキャパシタ電極DE1が、配線層M1のコイル部C2の一部と対向する位置に形成されている。キャパシタ電極DE1は、不平衡端子UTに接続されている。キャパシタD1のキャパシタ電極DE1は、平面視において、コイル部C2の左から1列目のコイル導体12に対向するように配置されている。
また、図4に示す如く、配線層M1には、不平衡伝送線路ULを構成するコイル部C1(第1の線路部)及びコイル部C2(第2の線路部)が隣接して形成されている。各コイル部C1,C2は、1/4波長(λ/4)共振器に相当するものを構成する。コイル部C1を構成するコイル導体11の外側の端部11aは不平衡端子UTに接続されており、コイル導体11の内側の端部11bはスルーホールPに接続されている。一方、コイル部C2を構成するコイル導体12の内側の端部12bはスルーホールPに接続されており、コイル導体12の外側の端部12a(開放端)は開放されている。コイル部C2の外側の端部12aを除くコイル導体12の一部はキャパシタD1のキャパシタ電極を兼ねており、配線層M0のキャパシタ電極DE1と対向している。また、図4に示すように、コイル部C2を構成するコイル導体12の幅は、コイル部C1を構成するコイル導体11の幅よりも広い。これは、本願発明者の鋭意研究により、コイル部C2の一部がキャパシタの電極を兼ねるようにキャパシタD1を挿入した場合には、コイル導体11の幅に比べてコイル導体12の幅を広げた方が、優れた通過特性及び平衡特性が得られることが確認されたからである。ただし、コイル導体12及びコイル導体11の幅や巻回数に限定はなく、コイル導体12及びコイル導体11の幅や巻回数を同じにしても、異ならせてもよい。
さらにまた、図5に示すように、配線層M2には、平衡伝送線路BLを構成するコイル部C3(第3の線路部)及びコイル部C4(第4の線路部)が隣接して形成されている。各コイル部C3,C4は、コイル部C1,C2と同様に1/4波長(λ/4)共振器に相当するものを構成する。平衡伝送線路BLのこれらコイル部C3,C4は、それぞれ、不平衡伝送線路ULのコイル部C1,C2に対向配置されており、対向している部分で電磁結合して結合器を構成する。コイル部C3を構成するコイル導体21の外側の端部21aは平衡端子BT1に接続されており、コイル導体21の内側の端部21bはスルーホールPに接続されている。一方、コイル部C4を構成するコイル導体22の外側の端部22aは平衡端子BT2に接続されており、コイル導体22の内側の端部22bはスルーホールPに接続されている。また、図5に示すように、コイル導体22の幅はコイル導体21の幅よりも広く、コイル導体22の巻回数はコイル導体21よりも少ない。これは、上述したのと同様に、本願発明者の鋭意研究により、コイル部C2の一部がキャパシタの電極を兼ねるようにキャパシタD1を挿入した場合には、上記のようにコイル導体21,22の巻回数及び幅を設定した方が、優れた通過特性及び平衡特性が得られることが確認されたからである。ただし、コイル導体22及びコイル導体21の幅や巻回数に限定はなく、コイル導体22及びコイル導体21の幅や巻回数を同じにしても、異ならせてもよい。
それから、図6に示すように、配線層M3には、コイル部C3とコイル部C4を接地端子Gに接続するための配線31、及び、コイル部C1とコイル部C2を接続するための配線32が形成されている。配線31は、2つのスルーホールPと接地端子Gとを接続するように形成された分岐配線である。そして、配線31は、2つのスルーホールPを介して、配線層M2に形成されたコイル導体21の端部21b及びコイル導体22の端部22bに接続されている。一方、配線32はスルーホールPを介して配線層M1に形成されたコイル導体11の端部11b及びコイル導体12の端部12bに接続されている。
このように、本実施例においては、一の階層である配線層M1に不平衡伝送線路を構成する2つのコイル部C1,C2が形成され、それに隣り合う別の階層である配線層M2に平衡伝送線路を構成する2つのコイル部C3,C4が形成され、さらに、それら配線層M2に隣り合う配線層M1とは逆側の別の階層である配線層M3にコイル部C1,C2を接続する配線32、及び、コイル部C3,C4を接続する配線31が形成されるとともに、配線層M1に隣り合う配線層M2とは逆側の階層である配線層M0に、コイル部C2におけるコイル導体12の一部と対向してキャパシタD1を構成するためのキャパシタ電極DE1が形成された多層配線構造により、図1に示す等価回路を構成する薄膜バラン1Aが得られる。
(実施例1B)
図7は、本発明の実施例1Bの薄膜バラン1Bにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図7に示す薄膜バラン1Bでは、キャパシタ電極DE1の長さ(実質的にキャパシタ電極として寄与する部分の長さ)を実施例1Aの半分にしたものである。このように、実施例1Bに示す薄膜バランでは、薄膜バランの共振回路に導入されるキャパシタンスは、実施例1Aの半分に設定されている。
(特性評価)
以上説明した薄膜バラン1A,1Bについて、通過特性(挿入損失)をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数(共振周波数fr)を2400〜2500MHzとした。図8は、通過特性の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1A,E1Bが、それぞれ、薄膜バラン1A,1Bの評価結果を示す。なお、図8の曲線R0は、キャパシタ電極DE1を備えていない比較例の薄膜バランの評価結果を示す。通過特性は、評価対象周波数領域において信号をどれだけ損失させずに通過させているかを示すものであり、評価対象周波数領域において0dBが理想的な通過特性となる。
図8に示す結果より、キャパシタD1を備える本実施例の薄膜バラン1A,1Bは、キャパシタを備えていない比較例のバランに比べて、共振周波数が低周波側にシフトしていることが確認された。さらに、そのシフト量が、導入するキャパシタD1のキャパシタンスに影響されることが確認された。
(実施例1C)
図9は、本発明の実施例1Cの薄膜バラン1Cにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図9に示す薄膜バラン1Cでは、キャパシタ電極DE1が、平面視において、コイル部C2の左から2列目のコイル導体12に対向するように、上下方向に延在して配置されている。コイル部C2と対向する部分におけるキャパシタ電極DE1の面積(実質的にキャパシタ電極として寄与する面積)は、実施例1Aと同じに設定されている。
(実施例1D)
図10は、本発明の実施例1Dの薄膜バラン1Dにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図10に示す薄膜バラン1Dでは、キャパシタ電極DE1が、平面視において、コイル部C2の下から1列目のコイル導体12に対向するように、左右方向に延在して配置されている。コイル部C2と対向する部分におけるキャパシタ電極DE1の面積(実質的にキャパシタ電極として寄与する面積)は、実施例1Aと同じに設定されている。
(実施例1E)
図11は、本発明の実施例1Eの薄膜バラン1Eにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図11に示す薄膜バラン1Eでは、キャパシタ電極DE1が、平面視において、コイル部C2の右から2列目のコイル導体12に対向するように、上下方向に延在して配置されている。コイル部C2と対向する部分におけるキャパシタ電極DE1の面積(実質的にキャパシタ電極として寄与する面積)は、実施例1Aと同じに設定されている。
(実施例1F)
図12は、本発明の実施例1Fの薄膜バラン1Fにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図12に示す薄膜バラン1Fでは、キャパシタ電極DE1が、平面視において、コイル部C2を構成するコイル導体12の開放端の部位に対向するように、上下方向に延在して配置されている。コイル部C2と対向する部分におけるキャパシタ電極DE1の面積(実質的にキャパシタ電極として寄与する面積)は、実施例1Aと同じに設定されている。
(特性評価)
以上説明した薄膜バラン1C〜1Fについて、通過特性(挿入損失)及び平衡特性(平衡信号の位相差及び振幅差)をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数(共振周波数fr)を2400〜2500MHzとした。図13は、通過特性の評価結果を示す図であり、図14は位相差の評価結果を示す図であり、図15は振幅差の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1A,E1C〜E1Fが、それぞれ、薄膜バラン1A,1C〜1Fの評価結果を示す。
位相差は、平衡端子BT1と平衡端子BT2から出力される2つの平衡信号の位相差であることから180degがより理想的な位相バランスとなる。振幅差は、平衡端子BT1と平衡端子BT2から出力される2つの平衡信号の振幅差であることから0dBがより理想的な出力バランスとなる。
これらの結果より、実施例1A,1C〜1Fの薄膜バランは、通過特性及び平衡特性の双方において優れた特性を維持していることが確認された。また、実施例の中でも、コイル導体12の開放端以外の部位にキャパシタ電極DE1が対向した薄膜バラン1A,1C〜1Eは、コイル部C2の開放端にキャパシタ電極DE1が対向した薄膜バラン1Fに比べて、平衡特性において優れていることが確認された。
(第2実施形態)
図16は、本発明の薄膜バランに係る第2実施形態の構成を示す等価回路図である。第2実施形態の薄膜バラン2は、不平衡端子UTと線路部L2との間にキャパシタD1が導入されることに加えて、不平衡端子UTと線路部L1との間にキャパシタD2が導入されたものである。
(実施例2A)
次に、図16に示す回路構成を備える薄膜バランの一実施例における配線層M0のパターンについて詳細に説明する。図17は、本発明の実施例2Aの薄膜バラン2Aにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図17に示す薄膜バラン2Aでは、不平衡端子UTに接続する2つのキャパシタ電極DE1,DE2が形成されており、一方のキャパシタ電極DE1の配置は実施例1Eと同じである。他方のキャパシタ電極DE2は、平面視において、コイル部C1の左から2列目のコイル導体11に対向するように、上下方向に延在して配置されている。
(実施例2B)
図18は、本発明の実施例2Bの薄膜バラン2Bにおける配線層M0を概略的に示す水平断面図である。配線層M0以外の構成は、実施例1Aと同様である。図18に示す薄膜バラン2Bでは、不平衡端子UTに接続する2つのキャパシタ電極DE1,DE2が形成されており、一方のキャパシタ電極DE1の配置は実施例1Eと同じである。他方のキャパシタ電極DE2は分岐しており、実施例2Aに比べてキャパシタDE2の電極面積が拡大されている。
(特性評価)
以上説明した薄膜バラン2A,2Bについて、通過特性(挿入損失)及び平衡特性(平衡信号の位相差及び振幅差)をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数(共振周波数fr)を2400〜2500MHzとした。図19は、通過特性の評価結果を示す図であり、図20は位相差の評価結果を示す図であり、図21は振幅差の評価結果を示す図である。各図において、曲線E2A,E2Bが、それぞれ、薄膜バラン2A,2Bの評価結果を示す。なお、各図における曲線E1Eは、キャパシタ電極DE2を有しない実施例1Eの薄膜バラン曲線の評価結果を示す。
図20及び図21に示す結果より、実施例2A,2Bの薄膜バランは、実施例1Eの薄膜バランに比べて、平衡特性において優れた特性を発揮することが確認された。また、図19に示す結果より、実施例2Bの薄膜バランは、実施例1Eの薄膜バランに比べて、共振周波数が低周波側に若干シフトしていることが確認された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、本実施例では、不平衡伝送線路ULを構成するコイル部C1,C2の一部がキャパシタ電極を兼ねる例について説明したが、コイル部C1,C2とキャパシタ電極DE1との間に、コイル部C1,C2に接続する別個のキャパシタ電極の層を形成してもよい。また、例えば、不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、及び接地端子Gの配置は、図示の位置に限定されない。また絶縁性基板100上の配線層の順序が逆になった構造であってももちろんよい。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々のコイル配置を採用することが可能である。
本発明の薄膜バランによれば、平衡伝送線路と対向する不平衡伝送線路の一部と不平衡端子との間にキャパシタを導入することによって、要求されるバランの諸特性を維持しつつ小型薄型化することができるので、特に、小型薄型化が要求される無線通信機器、装置、モジュール、及びシステム、並びにそれらを備える設備、さらには、それらの製造に広く適用することが可能である。
1,1A〜1F,2,2A,2B…薄膜バラン、11,12,21,22…コイル導体、11a,11b,12a,12b,21a,21b,22a,22b…端部、31,32…配線、M0,M1,M2,M3…配線層、C1…コイル部(第1の線路部)、C2…コイル部(第2の線路部)、C3…コイル部(第3の線路部)、C4…コイル部(第4の線路部)、D1,D2…キャパシタ、DE1,DE2…キャパシタ電極、G…接地端子、L1…線路部(第1の線路部)、L2…線路部(第2の線路部)、L3…線路部(第3の線路部)、L4…線路部(第4の線路部)、P…スルーホール、UL…不平衡伝送線路(不平衡回路)、BL…平衡伝送線路(平衡回路)、UT…不平衡端子、BT1…平衡端子、BT2…平衡端子。

Claims (1)

  1. 第1の線路部及び第2の線路部を有する不平衡伝送線路と、
    前記第1の線路部及び前記第2の線路部のそれぞれに対向し且つ電磁結合する第3の線路部及び第4の線路部を有する平衡伝送線路と、
    前記第4の線路部と対向する前記第2の線路部の一部と対向し、且つ、キャパシタを構成するキャパシタ電極と、
    前記第3の線路部と対向する前記第1の線路部の一部と対向し、且つ、キャパシタを構成するキャパシタ電極と、
    前記第1の線路部、並びに、前記第2の線路部の一部と対向する前記キャパシタ電極、及び、前記第1の線路部の一部と対向する前記キャパシタ電極に接続された不平衡端子と、
    を備える薄膜バラン。
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