JP5045965B2 - 薄膜バラン - Google Patents

薄膜バラン Download PDF

Info

Publication number
JP5045965B2
JP5045965B2 JP2010145097A JP2010145097A JP5045965B2 JP 5045965 B2 JP5045965 B2 JP 5045965B2 JP 2010145097 A JP2010145097 A JP 2010145097A JP 2010145097 A JP2010145097 A JP 2010145097A JP 5045965 B2 JP5045965 B2 JP 5045965B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
line
thin film
line portion
coil
unbalanced
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010145097A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012010157A (ja
Inventor
眞 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2010145097A priority Critical patent/JP5045965B2/ja
Priority to US13/165,064 priority patent/US8653904B2/en
Priority to CN201110183004.4A priority patent/CN102332632B/zh
Publication of JP2012010157A publication Critical patent/JP2012010157A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5045965B2 publication Critical patent/JP5045965B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、不平衡−平衡の信号変換を行なうバラン(バラントランス)に関し、特に、小型薄型化に有利な薄膜プロセスにより形成された薄膜バランに関する。
無線通信機器は、アンテナ、フィルタ、RFスイッチ、パワーアンプ、RF−IC、バラン等の各種高周波素子によって構成される。これらのなかで、アンテナやフィルタ等の共振素子は、接地電位を基準とした不平衡型の信号を取り扱う(信号伝送を行う)が、高周波信号の生成や処理を行なうRF−ICは、平衡型の信号を取り扱う(信号伝送を行う)ため、両者を電磁気的に接続する場合には、不平衡−平衡変換器として機能するバランが使用される。
近時、携帯電話や携帯端末等の移動体通信機や無線LAN機器等に用いられるバランとして、これらの機器の小型化に応えるべく、更なる小型薄型化が切望されている。このような薄膜バランとしては、たとえば、コイル積層構造を有するチップ型バランが提案されている(特許文献1参照)。
特開平07−176918号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたチップ型バランのような構成では、バランの小型化を維持しつつ、変換対象となる信号周波数において、所望の平衡特性を十分に得ることができず、携帯電話等に使用される高周波用のバランとしてはその特性が不十分であるという問題点があった。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を維持しつつ、平衡特性を改善することができる薄膜バランを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の薄膜バランは、第1の線路部及び第2の線路部を有する不平衡伝送線路と、第1の線路部及び第2の線路部のそれぞれに対向配置され且つ電磁結合する第3の線路部及び第4の線路部を有する平衡伝送線路と、第1の線路部の一端に接続された不平衡端子と、第3の線路部に接続された第1の平衡端子と、第4の線路部に接続された第2の平衡端子と、第3の線路部及び第4の線路部に接続された接地端子と、を備え、接地端子は、該接地端子から不平衡端子側の領域に延在した延在部を有することを特徴とする。換言すれば、上記薄膜バランの構成は、第1の線路部は、一端が不平衡端子に接続されると共に他端が第2の線路部に接続し、第3の線路部は、一端が第1の平衡端子に接続されると共に他端が接地端子に接続し、第4の線路部は、一端が第2の平衡端子に接続されると共に他端が接地端子に接続されており、接地端子はその一部が、不平衡端子側に突出しているものである。
かかる構成では、接地端子は、該接地端子から不平衡端子側の領域に延在した延在部を有することにより、薄膜バランの平衡特性、特に、振幅差特性の著しい改善の効果が本願発明者により確認されている。
また、上記の延在部は、不平衡伝送線路及び平衡伝送線路の少なくとも一方と対向する領域を除いた領域に形成されていてもよい。かかる構成でも、振幅差特性の著しい改善の効果が本願発明者により確認されたことから、延在部の配置を調整することにより、優れた振幅差特性を維持しつつ、位相差特性を調整することが可能となる。
さらに、第3の線路部及び第4の線路部が第1層に形成され、第3の線路部及び第4の線路部を電気的に接続する連結部、及び該連結部と接続される延在部が第2層に形成されていてもよく、また、連結部と延在部とは、引き出し導体にて互いに接続され、該引き出し導体は、接地端子側よりも不平衡端子側に寄って配置されていてもよい。かかる構成でも、振幅差特性の著しい改善の効果が本願発明者により確認されている。
またさらに、第3の線路部及び第4の線路部が形成される層と同一層、または、第1の線路部及び第2の線路部が形成される層と同一層にて延在部が形成されていてもよい。かかる構成でも、延在部の形成される層に限定されず、上述した位相差特性の著しい改善の効果が本願発明者により確認されている。
本発明によれば、接地端子は、該接地端子から不平衡端子側の領域に延在した延在部を有することにより、小型化を維持しつつ平衡特性に優れた薄膜バランを得ることができる。
本発明の薄膜バランの一実施形態の構成を示す等価回路図である。 薄膜バランの一実施形態の構成を示す垂直断面図である。 実施例1の薄膜バラン1Aの配線層M1における水平断面図である。 実施例1の薄膜バラン1Aの配線層M2における水平断面図である。 実施例1の薄膜バラン1Aの配線層M3における水平断面図である。 実施例2の薄膜バラン1Bの配線層M3における水平断面図である。 実施例3の薄膜バラン1Cの配線層M3における水平断面図である。 参考例1の薄膜バラン1Rの配線層M3における水平断面図である。 通過特性の評価結果を示すグラフである。 位相差の評価結果を示すグラフである。 振幅差の評価結果を示すグラフである。 実施例4の薄膜バラン1Dの配線層M3における水平断面図である。 実施例5の薄膜バラン1Eの配線層M2における水平断面図である。 実施例5の薄膜バラン1Eの配線層M3における水平断面図である。 通過特性の評価結果を示すグラフである。 位相差の評価結果を示すグラフである。 振幅差の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
図1は、本発明の薄膜バランに係る好適な一実施形態の構成を示す等価回路図である。 薄膜バラン1は、図1に示すように、線路部L1(第1の線路部)及び線路部L2(第2の線路部)が直列に接続された不平衡伝送線路(不平衡回路)ULと、線路部L3(第3の線路部)及び線路部L4(第4の線路部)が直列に接続された平衡伝送線路(平衡回路)BLとを備えており、線路部L1及び線路部L3、並びに、線路部L2及び線路部L4によって、それぞれ電磁結合が形成されている。
この薄膜バラン1においては、線路部L1における線路部L2との結合端の他端が不平衡端子UTに接続されている。また、線路部L2における線路部L1との結合端の他端は開放端となっている。また、線路部L3及び線路部L4におけるそれぞれの結合端との他端は、平衡端子(第1の平衡端子)BT1及び平衡端子(第2の平衡端子)BT2に接続されている。さらに、線路部L3及び線路部L4の結合端が、接地端子(接地端子電極)Gと同電位に接続されている。
上述した線路部L1〜L4の長さは、薄膜バラン1の仕様に応じて異なり、例えば、変換対象となる伝送信号の1/4波長(λ/4)共振器回路となるよう設定することができる。また、線路部L1〜L4の形状は、上述した電磁結合が形成されれば、任意の形状とすることができ、例えば、渦巻状(コイル状)、蛇行状、直線状、曲線状等の形態が挙げられる。
以下に、同図を参照して薄膜バラン1の基本的な動作について説明する。薄膜バラン1では、不平衡端子UTに不平衡信号が入力されると、不平衡信号は線路部L1及び線路部L2を伝播する。そして、線路部L1と線路部L3とが電磁結合(第1の電磁結合)し、線路部L2と線路部L4とが電磁結合(第2の電磁結合)することにより、入力された不平衡信号は当該不平衡信号と同じ周波数で位相が180°(π)異なる2つの平衡信号に変換され、これら2つ平衡信号が平衡端子BT1,BT2からそれぞれ出力される。なお、平衡信号から不平衡信号の変換動作は、上述した不平衡信号から平衡信号への変換動作の逆となる。
次に、上記の薄膜バラン1の一実施形態における配線構造について説明する。図2は、薄膜バラン1の配線構造を概略的に示す垂直断面図である。薄膜バラン1は、図2に示すように、例えば、アルミナ等の絶縁性基板100上に配線層M1,M2,M3が順に形成されている。
配線層M1により不平衡伝送線路ULが形成され、該不平衡伝送線路ULは銅(Cu)をめっきによって形成される。不平衡伝送線路ULの配線間には、その平坦性を確保するためにスパッタ法でアルミナ等が埋め込まれて絶縁層101が形成されている。また、配線層M1と配線層M2との間には、薄膜バラン1の中心周波数を決定付ける層間絶縁膜102が形成されており、該層間絶縁膜102は窒化シリコン(SiN)を用いてCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。さらに、配線層M2により平衡伝送線路BLが形成され、該平衡伝送線路BLはCuめっきによって形成される。平衡伝送線路BLの配線間、及び配線層M2と配線層M3との層間には絶縁層103が形成されており、該絶縁層103はポリイミドを用いてフォトリソグラフィ法により配線層M2の上に被覆されて形成され、かつ、配線層M3へのスルーホール(開口部)が形成される。さらに、配線層M3により不平衡伝送線路UL及び平衡伝送線路BL内における線路部同士を接続する接続配線が形成され、該接続配線はCuめっきによって形成される。配線層M3の上には保護膜として絶縁層104が形成されており、該絶縁層104はポリイミドを用いて形成される。不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、接地端子Gは、全ての絶縁層を貫通するように形成されている。このように、薄膜バラン1は、絶縁性基板100上に形成された薄膜多層構造から構成されている。なお、上述した各絶縁層の材料は、上述したものに限定されず、窒化シリコン、アルミナ、シリカ等の無機系絶縁体のみならず、ポリイミド、エポキシ樹脂等の有機系絶縁体でもよく適宜選択可能である。また、各層を製造するための工法は上述したものに限定されない。
(実施例1)
次に、薄膜バランの一実施例における各配線層M1,M2,M3のパターンについて詳細に説明する。以下の実施例では、線路部L1〜L4としてコイル部C1〜C4を用いたものである。
図3〜図5は、薄膜バラン1Aにおける各配線層を概略的に示す水平断面図である。図3〜図5に示す如く、配線層M1〜M3の全ての層に、不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、及び、接地端子Gが形成されており、各端子UT,BT1,BT2,GはスルーホールPを介して異なる層間において電気的に接続されている。なお、図3〜図5に示すスルーホールTH1〜TH4には、上下各層を電気的に導通させるための金属導体がめっきにて形成されている。以下、各配線層M1〜M3の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、配線層M1には、不平衡伝送線路ULを構成するコイル部C1(第1の線路部)及びコイル部C2(第2の線路部)が隣接して形成されている。具体的には、不平衡伝送線路ULは、左右対称の2つのコイル部(スパイラルコイル)で構成されている。また、各コイル部C1,C2は、1/4波長(λ/4)共振器に相当するものを構成し、これらコイル部C1,C2は、それぞれ、平衡伝送線路BLのコイル部C3,C4に対向配置されており、対向している部分で電磁結合して結合器を構成する。配線層M1において、コイル部C1を構成するコイル導体11の外側の端部11aは不平衡端子UTに接続されており、コイル導体11の内側の端部11bはスルーホールTH1に接続されている。一方、コイル部C2を構成するコイル導体12の内側の端部12bはスルーホールTH2に接続されており、コイル導体12の外側の端部12aは開放端であって接地端子Gの近傍で開放されている。コイル導体11及びコイル導体12は、図5に示す配線層M3の配線31を介して互いに接続されている。なお、コイル導体11及びコイル導体12の幅や巻回数に限定はなく、コイル導体11及びコイル導体12の幅や巻回数を同じにしても、異ならせてもよい。
図4に示すように、配線層M2には、平衡伝送線路BLを構成するコイル部C3(第3の線路部)及びコイル部C4(第4の線路部)が隣接して形成されている。具体的には、平衡伝送線路BLは、左右対称の2つのコイル部(スパイラルコイル)で構成される。また、各コイル部C3,C4は、1/4波長(λ/4)共振器に相当するものを構成する。配線層M2において、コイル部C3を構成するコイル導体21の外側の端部21aは平衡端子BT1に接続されており、コイル導体21の内側の端部21bはスルーホールTH3に接続されている。一方、コイル部C4を構成するコイル導体22の外側の端部22aは平衡端子BT2に接続されており、コイル導体22の内側の端部22bはスルーホールTH4に接続されている。コイル導体21及びコイル導体22は、図5に示す配線層M3のGND電極40Aを介して互いに接続されることで、接地端子Gに接続されている。なお、コイル導体21及びコイル導体22の幅や巻回数に限定はなく、コイル導体21及びコイル導体22の幅や巻回数を同じにしても、異ならせてもよい。
図5に示すように、配線層M3には、不平衡伝送線路ULのコイル部C1とコイル部C2とを2つのスルーホールTH1,TH2を介して接続するための配線(連結部)31と、平衡伝送線路BLのコイル部C3とコイル部C4を2つのスルーホールTH3,TH4を介して接地端子Gに電気的に接続させるためのGND電極40Aとが形成されている。
GND電極40Aは、接地端子Gから不平衡端子UTの近傍まで延在させた接地端子Gの延在部であって、図5に示すように、スルーホールTH3,TH4を介してコイル導体21及び22と接地端子Gとに接続されている。換言すれば、接地端子Gは、その一部が不平衡端子UT側に突出して形成されている。GND電極40Aは、配線層M2を構成するコイル部C3,C4の各一部と対向する領域を少なくとも含む位置に形成されている。つまり、GND電極40Aは、平面視において、コイル部C3,C4のコイル導体と重なりあうように配置されている。
このように、本実施例においては、一の階層である配線層M1に不平衡伝送線路ULを構成する2つのコイル部C1,C2が形成され、それに隣り合う別の階層である配線層M2に平衡伝送線路BLを構成する2つのコイル部C3,C4が形成され、さらに、それら配線層M2に隣り合う配線層M1とは逆側の別の階層である配線層M3にコイル部C1,C2を接続する配線31、及び、コイル部C3,C4と接地端子Gとを接続するGND電極40Aが形成された多層配線構造により、図1に示す等価回路を構成する薄膜バラン1Aが得られる。
このような薄膜バラン1Aの構成によれば、電磁気的な結合状態が変化することから、電気的特性の改善、特に振幅差特性の著しい改善と小型低背化を両立できることを見出した。
かかる作用の詳細は未だ不明ではあるが、GND電極と不平衡電極の間に容量成分が形成され、それによって特性インピーダンスに影響を与えることにより、電気的特性の改善、特に振幅差特性の改善に効果が出ることが推測される。ただし、作用はこれに限定されない。
(実施例2)
図6は、本発明の実施例2の薄膜バラン1Bにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。図6に示す実施例2では、GND電極40Bが、実施例1のGND電極40Aとは異なり、平衡伝送線路BLを構成するコイル部C3,C4と対向する領域を除いた位置に形成されている。換言すれば、GND電極40Bが、コイル部C3,C4と重なり合わない領域に形成されている。GND電極40Bは、接地端子Gから不平衡端子UTの近傍まで延在し、また、配線層M3のスルーホールTH3,TH4を介したコイル部C3及びコイル部C4の各配線(引き出し導体)32,33と電気的に接続されている。
(実施例3)
図7は、本発明の実施例3の薄膜バラン1Cにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。図7に示す実施例3では、GND電極40Cが、実施例1のGND電極40Aとは異なり、配線層M2を構成するコイル部C3,C4の各一部と対向する領域の位置に形成されつつ、さらに、GND電極40Cの面積をGND電極40Aの面積より大きく形成されている。
(参考例)
図8は参考例の薄膜バラン1Rにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。薄膜バラン1Rは、図8に示すように、配線層M3には、コイル部C1とコイル部C2を接続するための配線31、及びコイル部C3とコイル部C4を接地端子Gに接続するための配線34が形成されている。配線31は、2つのスルーホールTH1,TH2を介して配線層M1に形成されたコイル導体11の端部11bとコイル導体12の端部12bとを接続する連結部である。一方、配線34は、2つのスルーホールTH3,TH4を介して配線層M2に形成されたコイル導体21の端部21bとコイル導体22の端部22bとを接続する連結部である。このように、参考例は、実施例1〜3のような不平衡端子UT側の領域に延在するGND電極を有しない例である。
(特性評価)
以上説明した薄膜バラン1A,1B,1C,1Rについて、通過特性(挿入損失)及び平衡特性(平衡信号の位相差及び振幅差)をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数を2400〜2500MHzとした。図9は、通過特性の評価結果を示す図であり、図10は位相差の評価結果を示す図であり、図11は振幅差の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1A,E1B,E1C,E1Rが、それぞれ、薄膜バラン1A,1B,1C,1Rの評価結果を示す。
ここで、通過特性は、評価対象周波数領域において信号をどれだけ損失させずに通過させているかを示すものであり、評価対象周波数領域において0dBが理想的な通過特性となる。位相差は、平衡端子BT1と平衡端子BT2から出力される2つの平衡信号の位相差であることから180degがより理想的な位相バランスとなる。振幅差は、平衡端子BT1と平衡端子BT2から出力される2つの平衡信号の振幅差であることから0dBがより理想的な出力バランスとなる。
これらの結果より、各実施例の薄膜バラン1A,1B,1Cは、それぞれ、参考例1Rの薄膜バランに比べて、通過特性をほぼ維持しつつ、位相差特性が良好であり、また、振幅差特性については改善効果が著しく、ほぼ理想的な振幅差特性を得られたことが確認された。すなわち、広帯域でフラットな振幅差特性が得られた。また、実施例1,2,3の結果を参照すると、GND電極の配置および面積を調整することにより、優れた振幅差特性を維持しつつ、位相差特性を調整することができることが確認された。例えば、実施例2では、実施例1に比べて、優れた振幅差特性を維持しつつ、位相差特性を向上させることができた。
(実施例4)
図12は、本発明の実施例4の薄膜バラン1Dにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。配線層M3以外の構成は、実施例1と同様である。薄膜バラン1Dは、図12に示すように、コイル部C1とコイル部C2とを2つのスルーホールTH1,TH2を介して接続するための配線31、コイル部C3とコイル部C4を2つのスルーホールTH3,TH4を介して接続するための配線(連結部)35、及びコイル部C3とコイル部C4を接地端子Gに電気的に接続させるためのGND電極40Dが形成されている。GND電極40Dは、図12に示すように、接地端子Gから不平衡端子UTの近傍まで延在させた電極であって、かつ、配線層M2を構成するコイル部C3,C4の各一部と対向する領域を少なくとも含む位置に形成されている。また、配線35とGND電極40Dとは、配線(引き出し導体)36にて互いに接続され、該引き出し導体36は、接地端子G側よりも不平衡端子UT側に寄って配置される。
この実施例4の薄膜バラン1Dでは、配線(連結部)35とGND電極40Dとを接続する配線(引き出し導体)36が、接地端子G側よりも不平衡端子UT側に寄って配置されている。換言すれば、コイル部C3を構成するコイル導体21の接地端子Gまでの長さと、配線(連結部)35の長さを含むコイル部C4を構成するコイル導体22の接地端子Gまでの長さとが異なり、コイル部C3とコイル部C4とが非対称になっている。
(実施例5)
図13は、本発明の実施例5の薄膜バラン1Eにおける配線層M2を概略的に示す水平断面図であって、図14は、本発明の実施例5の薄膜バラン1Eにおける配線層M3を概略的に示す水平断面図である。薄膜バラン1Eは、上述したスルーホールTH1〜TH4に加えて、更にスルーホールTH5,TH6が形成されており、また、該スルーホールTH5,TH6には、配線層M2と配線層M3を電気的に導通させるための金属導体がめっきにて形成されている。なお、配線層M2,M3以外の構成は、実施例1と同様である。
薄膜バラン1Eは、図13に示すように、配線層M2において、実施例1の薄膜バラン1Aと異なり、コイル部C3及びコイル部C4が形成される層と同一の層にて、接地端子Gから不平衡端子UTの近傍まで延在させたGND電極40Eが形成されている。また、薄膜バラン1Eは、図14に示すように、配線層M3において、コイル部C1とコイル部C2とを2つのスルーホールTH1,TH2を介して接続するための配線31と、コイル部C3とGND電極40EをスルーホールTH3及びスルーホールTH5を介して電気的に接続するための配線(連結部)37と、コイル部C4とGND電極40EをスルーホールTH4及びスルーホールTH6を介して電気的に接続するための配線(連結部)38とが形成されている。このように、GND電極が配線層M2に配置されていることにより、不平衡端子ULと上下方向(配線層の積層方向)に容量成分が形成されることから、実施例1と比べて、大きな容量成分が形成されるものと推定される。
(特性評価)
以上説明した薄膜バラン1D,1Eについて、通過特性(挿入損失)及び平衡特性(平衡信号の位相差及び振幅差)をシミュレーションにより求めた。伝送信号の評価対象周波数を2400〜2500MHzとした。図15は、通過特性の評価結果を示す図であり、図16は位相差の評価結果を示す図であり、図17は振幅差の評価結果を示す図である。各図において、曲線E1D,E1E,E1Rが、それぞれ、薄膜バラン1D,1E,1Rの評価結果を示す。
これらの結果より、各実施例の薄膜バラン1D,1Eは、それぞれ、参考例1Rの薄膜バランに比べて、通過特性をほぼ維持しつつ、位相差特性が良好であり、また、振幅差特性については改善効果が著しく、ほぼ理想的な振幅差特性を示しており、上記実施例1〜3の薄膜バラン1A〜1Cとほぼ同等の電気的特性を得られたことが確認された。すなわち、実施例4から、GNDラインを含めたコイル部C3とコイル部C4の長さを非対象にしても、実施例1〜3と同様の効果が得られることが確認できた。また、実施例5から、不平衡端子UTの近傍まで延在させたGND電極を配線層M2に設けても、実施例1〜3と同様の効果が得られることが確認できた。これは、GND電極が配線層M2に配置されていることにより、配線層M2を上下に貫くように不平衡端子UTが形成されるため、不平衡端子UTと配線層M2との間の容量成分は同一層内のみならず上下方向(配線層の積層方向)での容量成分も稼ぐことができ、結果として大きな容量成分が形成されるものと推定される。かかる理由に鑑みれば、不平衡端子UTの近傍まで延在させたGND電極を配線層M1に設けた場合でも、不平衡端子ULと上下方向(配線層の積層方向)に同様の容量成分が生起されることから、実施例1〜5と同様の効果が得られるものと考えられる。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な形が可能である。例えば、実施例2では、GND電極40Bが、平衡伝送線路BLを構成するコイル部C3,C4と対向する領域を除いた位置に形成されている例について説明したが、GND電極は、不平衡伝送線路ULを構成するコイル部C1,C2及び平衡伝送線路BLを構成するコイル部C3,C4の少なくとも一方と対向する領域を除いた位置に形成されていればよい。また、例えば、不平衡端子UT、平衡端子BT1,BT2、及び接地端子G変の配置は、図示の位置に限定されない。また、薄膜バランを構成する多層配線構造は、図示の層数未満であってもよく、図示の層数より多くてもよい。さらに絶縁性基板100上の配線層の順序が逆になった構造であってももちろんよい。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々のコイル配置を採用することが可能である。
本発明の薄膜バランは、小型化を維持しつつ、平衡特性を改善した薄膜バランを実現できるため、特に小型化が要求される無線通信機器への適用が可能である。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1R…薄膜バラン、11,12,21,22・・・コイル導体、11a,11b,21a,21b…端部、31,32,33,34,35,36,37,38…配線、40A,40B,40C,40D,40E…GND電極(延在部)、M1,M2,M3…配線層、C1…コイル部(第1の線路部)、C2…コイル部(第2の線路部)、C3…コイル部(第3の線路部)、C4…コイル部(第4の線路部)、G…接地端子、L1…線路部(第1の線路部)、L2…線路部(第2の線路部)、L3…線路部(第3の線路部)、L4…線路部(第4の線路部)、P,TH1,TH2,TH3,TH4, TH5, TH6…スルーホール、UL…不平衡伝送線路(不平衡回路)、BL…平衡伝送回路(平衡回路)、UT…不平衡端子、BT1…第1の平衡端子、BT2…第2の平衡端子。

Claims (4)

  1. 第1の線路部及び第2の線路部を有する不平衡伝送線路と、
    前記第1の線路部及び前記第2の線路部のそれぞれに対向配置され且つ電磁結合する第3の線路部及び第4の線路部を有する平衡伝送線路と、
    前記第1の線路部の一端に接続された不平衡端子と、
    前記第3の線路部に接続された第1の平衡端子と、
    前記第4の線路部に接続された第2の平衡端子と、
    前記第3の線路部及び前記第4の線路部に接続された接地端子と、
    を備え、
    前記第1の線路部は、第1のコイル部を有し、
    前記第2の線路部は、第2のコイル部を有し、
    前記第3の線路部は、第3のコイル部を有し、
    前記第4の線路部は、第4のコイル部を有し、
    前記接地端子は、該接地端子から前記不平衡端子側の領域に延在した延在部を有し、
    前記延在部は、平面視において、前記第3のコイル部の導体、及び、前記第4のコイル部の導体と重なりあうように配置されている、
    ことを特徴とする薄膜バラン。
  2. 前記第3の線路部及び前記第4の線路部が第1層に形成され、
    前記第3の線路部及び前記第4の線路部を電気的に接続する連結部、及び該連結部と接続される前記延在部が第2層に形成される、
    請求項1に記載の薄膜バラン。
  3. 前記連結部と前記延在部とは、引き出し導体にて互いに接続され、該引き出し導体は、前記接地端子側よりも前記不平衡端子側に寄って配置される、
    請求項に記載の薄膜バラン。
  4. 前記第3の線路部と前記第4の線路部が形成される層、及び、前記第1の線路部と前記第2の線路部が形成される層の少なくともいずれか一方の層と同一層にて前記延在部が形成される
    請求項1に記載の薄膜バラン。
JP2010145097A 2010-06-25 2010-06-25 薄膜バラン Expired - Fee Related JP5045965B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010145097A JP5045965B2 (ja) 2010-06-25 2010-06-25 薄膜バラン
US13/165,064 US8653904B2 (en) 2010-06-25 2011-06-21 Thin film balun
CN201110183004.4A CN102332632B (zh) 2010-06-25 2011-06-27 薄膜平衡-不平衡转换器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010145097A JP5045965B2 (ja) 2010-06-25 2010-06-25 薄膜バラン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012010157A JP2012010157A (ja) 2012-01-12
JP5045965B2 true JP5045965B2 (ja) 2012-10-10

Family

ID=45540188

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010145097A Expired - Fee Related JP5045965B2 (ja) 2010-06-25 2010-06-25 薄膜バラン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5045965B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002271111A (ja) * 2001-03-06 2002-09-20 Taiyo Yuden Co Ltd 積層バラン素子
JP5240669B2 (ja) * 2008-03-18 2013-07-17 Tdk株式会社 薄膜バラン
JP5051063B2 (ja) * 2008-08-20 2012-10-17 Tdk株式会社 薄膜バラン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012010157A (ja) 2012-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5051063B2 (ja) 薄膜バラン
US8212630B2 (en) Thin film balun
JP5051062B2 (ja) 薄膜バラン
JP5240669B2 (ja) 薄膜バラン
US8203396B2 (en) Thin film balun
US9300023B2 (en) Thin film balun
US8653904B2 (en) Thin film balun
JP2004304615A (ja) 高周波複合部品
JP5326931B2 (ja) 薄膜バラン
JP5045965B2 (ja) 薄膜バラン
JP5131495B2 (ja) 薄膜バラン
JP5246427B2 (ja) 薄膜バラン
JP2002050910A (ja) バラン素子
JP2011015082A (ja) 薄膜バラン
JP5326932B2 (ja) 薄膜バラン
JP5326880B2 (ja) 薄膜バラン
JP3709190B2 (ja) バラン装置
JP4475848B2 (ja) 積層型バラントランス
JP2005080137A (ja) バラン装置
JP2005064676A (ja) 高周波複合部品
JP2010279028A (ja) バラン実装デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120620

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120703

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5045965

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees