JP2010109871A - 薄膜バラン - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化を維持しつつ、所望の周波数領域において減衰特性をもつ薄膜バランを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る薄膜バランは、第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2を備える不平衡伝送線路2と、第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部C3及び第4のコイル部C4を備えた不平衡伝送線路3と、第3のコイル部C3に接続された第1の平衡端子T1と、第4のコイル部C4に接続された第2の平衡端子T2と、第3のコイル部C3と第1の平衡端子T1との間、及び/又は、第4のコイル部C4と第2の平衡端子T2との間に設けられた補助コイル部C5とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、不平衡−平衡の信号変換を行なうバランであって、特に、小型薄型化に有利な薄膜プロセスにより形成された薄膜バランに関する。
無線通信機器は、アンテナ、フィルタ、RFスイッチ、パワーアンプ、RF−IC、バラン等の各種高周波素子によって構成される。これらのなかで、アンテナやフィルタ等の共振素子は、接地電位を基準とした不平衡型の信号を扱うが、高周波信号の生成や処理を行なうRF−ICは、平衡型の信号を扱うため、両者を接続する場合には、不平衡−平衡変換器として機能するバランが使用される。
ところで、携帯電話などの移動体通信機や無線LANに用いられるバランに対して、所望の周波数を減衰させるフィルタ特性(減衰特性)が求められる傾向がある。このような減衰特性を付与するために、バランの平衡端子とGND端子との間、又は不平衡端子とGND端子との間にキャパシタを設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−274715号公報
しかしながら、キャパシタを挿入設置した場合には、十分な減衰特性が得られず、また挿入損失が比較的大きくなるという問題がある。これに対し、十分な減衰特性を得るためにフィルタを外付けした場合には、部品点数が多くなって小型化の要請に反することとなり、また挿入損失のさらなる増大を招くといった不都合がある。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型化を維持しつつ、所望の周波数領域において減衰特性をもつ薄膜バランを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の薄膜バランは、第1の線路部及び第2の線路部を備える不平衡伝送線路と、第1の線路部及び第2の線路部にそれぞれ磁気結合する第3の線路部及び第4の線路部を備えた平衡伝送線路と、前記第1の線路部に接続された不平衡端子と、第3の線路部に接続された第1の平衡端子と、第4の線路部に接続された第2の平衡端子と、第3の線路部と第1の平衡端子との間、及び/又は、第4の線路部と第2の平衡端子との間に設けられたL成分とを有する。
かかる構成では、第3の線路部と第1の平衡端子との間及び/又は第4の線路部と第2の平衡端子との間にL成分が設けられることにより、薄膜バランの減衰特性が調整される。ここで、L成分は、所望のインダクタンスをもつ線路部であれば限定はないが、屈曲部を有する線路部とする。また、このL成分は、不平衡伝送線路及び平衡伝送線路を構成する第1乃至第4の線路部とは異なる層に設けられていることが好ましい。
上記の線路部及びL成分として、好ましくはコイルを用いることができる。この場合、本発明の薄膜バランは、第1のコイル部及び第2のコイル部を備える不平衡伝送線路と、第1のコイル部及び第2のコイル部にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部及び第4のコイル部を備えた不平衡伝送線路と、第3のコイル部に接続された第1の平衡端子と、第4のコイル部に接続された第2の平衡端子と、第3のコイル部と第1の平衡端子との間、及び/又は、第4のコイル部と第2の平衡端子との間に設けられた補助コイル部とを有する。
好ましくは、補助コイル部の少なくとも一部が、第1及び/又は第2のコイル部のコイル開口に対向する領域に配置されている。例えば、補助コイル部は、第4のコイル部と第2の平衡端子との間に接続されている。さらに、好ましくは、補助コイル部は、第1及び第2のコイル部と巻回方向が逆である。かかる構成では、詳細な作用は不明なものの、本願発明者により、薄膜バランの減衰特性が調整されることが確認されている。
本発明によれば、第3の線路部と第1の平衡端子との間及び/又は第4の線路部及び第2の平衡端子との間にL成分を付加することにより、簡易な構成で所望の減衰特性をもつ薄膜バランを確実に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。さらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
図1は、本実施形態に係る薄膜バラン1の等価回路図である。
図1に示すように、薄膜バラン1は、第1の線路部L1と第2の線路部L2とを備える不平衡伝送線路2と、第1の線路部L1及び第2の線路部L2にそれぞれ磁気結合する第3の線路部L3及び第4の線路部L4を備えた平衡伝送線路3とを有する。また、薄膜バラン1は、第1の線路部L1に接続された不平衡端子T0と、第3の線路部L3に接続された第1の平衡端子T1と、第4の線路部L4に接続された第2の平衡端子T2とを有する。そして、第4の線路部L4と第2の平衡端子T2との間には、L成分L5が設けられている。
より詳細に接続関係を説明すると、不平衡端子T0に第1の線路部L1及び第2の線路部L2が直列接続され、第2のコイル部の第1のコイル部と反対側は終端している。また、第1の平衡端子T1及び第2の平衡端子T2の間に、第3の線路部L3、第4の線路部L4及びL成分L5が直列接続されている。第3の線路部L3と第4の線路部L4の接続点は、接地電位に固定される。
上記の線路部L1〜L4の長さは、薄膜バランの仕様に応じて異なるが、変換対象となる信号の1/4波長共振器回路となるよう設定される。線路部L1〜L4の形状は、任意であり、渦巻状、蛇行状、直線状であってもよい。L成分5は、所望のインダクタンスをもつ線路部であれば限定はないが、単なる線路部の長さの調整と区別するため、屈曲部を有する線路部とする。
図1を参照して薄膜バラン1の基本的な動作について説明する。
上記の薄膜バラン1では、不平衡端子T0に不平衡信号が入力されると、不平衡信号は第1の線路部L1及び第2の線路部L2を伝播する。そして、第1の線路部L1においては第3の線路部L3と磁気結合し、第2の線路部L2においては第4の線路部L4と磁気結合することによって、不平衡信号は位相が180°異なる2つの平衡信号に変換され、この2つ平衡信号が第1及び第2の平衡端子T1,T2から出力される。なお、平衡信号から不平衡信号の変換動作は、上述した動作を逆にしたものである。
上記の薄膜バラン1において、対象となる信号の2次高調波等の所望の高調波の減衰が求められる場合がある。本実施形態では、第4の線路部L4と第2の平衡端子T2との間にL成分L5を挿入することにより、高調波の減衰を企図したものである。以下に、線路部L1〜L4としてコイル部を用いた場合の薄膜バランの実施例について、説明する。
(実施例1)
図2〜図6は、実施例1の薄膜バラン1の各配線層の平面図である。このうち、図2は第1配線層10の平面図であり、図3は第2配線層20の平面図であり、図4は第3配線層30の平面図であり、図5は第4配線層40の平面図であり、図6は第5配線層50の平面図である。第1配線層10が最下層の配線層であり、第5配線層50が最上層の配線層である。なお基板は図示していないが、最下層である第1配線層10の下に位置している。つまり基板上に薄膜バランが形成された構成をとっている。
図2〜図6に示すように、第1配線層10〜第5配線層50の全ての層に、不平衡端子T0、第1の平衡端子T1、第2の平衡端子T2及び接地端子T3が形成されている。各端子T0〜T3はスルーホールPを介して異なる層間において電気的に接続されている。なお、図2〜図6に示す全てのスルーホールPには上下層を電気的に導通させるよう金属めっきが施されている。以下、各配線層の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、第1配線層10には、不平衡伝送線路2を構成する第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2が隣接して形成されている。各コイル部C1,C2は、1/4波長共振器相当を構成する。第1のコイル部C1を構成するコイル導体11の外側の端部11aは不平衡端子T0に接続されており、コイル導体11の内側の端部11bはスルーホールPに接続されている。第2のコイル部C2を構成するコイル導体12の内側の端部12bはスルーホールPに接続されており、コイル導体12の外側の端部12aは開放されている。
図3に示すように、第2配線層20には、平衡伝送線路3を構成する第3のコイル部C3及び第4のコイル部C4が隣接して形成されている。各コイル部C3,C4は、1/4波長共振器相当を構成する。平衡伝送線路3の各コイル部C3,C4は、不平衡伝送線路2の各コイル部C1,C2に対向配置されており、対向している部分で磁気結合して結合器を構成する。第3のコイル部C3を構成するコイル導体21の外側の端部21aは第1の平衡端子T1に接続されており、コイル導体21の内側の端部21bはスルーホールPに接続されている。また、第4のコイル部C4を構成するコイル導体22の外側の端部22a及び内側の端部22bは、それぞれスルーホールPに接続されている。
図4に示すように、第3配線層30には、第3のコイル部C3と第4のコイル部C4を接地端子T3に電気的に繋ぐ配線31、及び第1のコイル部C1と第2のコイル部C2を電気的に繋ぐ配線32が形成されている。配線31は、2つのスルーホールPと接地端子T3とを接続するように分岐した形状を有する。そして、配線31は、2つのスルーホールPを介してコイル導体21の端部21b及びコイル導体22の端部22bに接続されている。また、配線32はスルーホールPを介してコイル導体11の端部11b及びコイル導体12の端部12bに接続されている。
図5に示すように、第4配線層40には、補助コイル部C5の一部を構成するコイル導体41,42が形成されている。コイル導体42の一方の端部42aは第2の平衡端子T2に接続され、コイル導体41の一方の端部41aはスルーホールPを介して第4のコイル部C4を構成するコイル導体22の端部22aに接続されている。
図6に示すように、第5配線層50には、補助コイル部C5の一部を構成するコイル導体51が形成されている。コイル導体51の端部は、それぞれコイル導体41,42の他方の端部に接続されている。
図5及び図6に示すように、コイル導体42、コイル導体51、及びコイル導体41がスルーホールを介して接続されることにより、補助コイル部C5が構成される。補助コイル部C5の一端となるコイル導体42の端部42aは第2の平衡端子T2に接続され、補助コイル部C5の他端となるコイル導体41の端部41aは第4のコイル部C4のコイル導体22に接続されている。
このように同一の第1の階層に不平衡伝送線路を構成する2つのコイルC1,C2を形成し、その第1の階層に隣り合う別の第2の階層に平衡伝送線路を構成する2つのコイルC3,C4を形成し、更にその第2の階層に隣り合う第1の階層とは逆側の第3の階層にコイルC1とC2を繋ぐ配線と、コイルC3とC4を繋ぐ配線を形成した薄膜バランの構成に対し、更にその第3の階層に隣り合う第2の階層とは逆側の第4の階層と、更にその第4の階層に隣り合う第3の階層とは逆側の第5の階層との2段の階層を用いて形成された補助コイルC5を形成した例を示したが、この補助コイルは第3の階層と第4の階層を用いて形成しても良い。このようにすることで磁気的な結合状態が変化することから、より特性の向上が期待出来る。
言うまでもないが、補助コイルは2段の階層に限らず第4の階層や第3の階層にのみ1段で形成しても良い。所望の特性にあわせ設計可能である。
上述したように、実施例1の薄膜バラン1は、第4の線路部L4と第2の平衡端子T2との間に補助コイル部C5を備える。実施例1の薄膜バラン1の減衰特性の評価結果について、比較例の減衰特性と併せて説明する。
(比較例)
図7は、比較対象となる比較例の薄膜バランの等価回路図を示す。比較例の薄膜バラン100は、第4のコイル部C4と第2の平衡端子T2との間にL成分L5を有さない。具体的には、図3に示す第2配線層20のコイル導体22の端部22aを第2の平衡端子T2に接続し、図5及び図6に示す第4配線層40及び第5配線層50のコイル導体41,42,51を設けないことにより、比較例の薄膜バランが構成される。
(評価結果)
上記の実施例1及び比較例の構造について、信号の減衰特性をシミュレーションにより求めた。対象とする信号周波数は、2400−2500MHzとした。結果を図8に示す。図8では、E1は実施例1の結果、Rは比較例の結果を示す。
図8に示すように、実施例1の薄膜バランは、対象となる信号周波数の第2次高調波(周波数4800MHz)を含む周波数領域において、大きなノッチ(減衰ピーク)が現れていることがわかる。これに対して、比較例では、第2次高調波を含む周波数領域において、このようなノッチは出現していない。
以上のように、第4のコイル部C4と第2の平衡端子T2との間に補助コイル部C5を設けることにより、変換対象となる信号の高調波領域において、大きな減衰特性が得られることがわかる。
このような減衰特性が得られる理由について考察する。薄膜バランの信号の通過特性は、下記式により示される。下記式において、fは通過する信号の共振周波数を示し、Lはインダクタンスを示し、Cはキャパシタンスを示す。
Figure 2010109871
このように通過特性は、インダクタンスやキャパシタンスにより影響を受けることから、減衰特性も同様にこれらの成分の影響を受けるといえる。ここで、実施例1で挿入した補助コイル部C5はインダクタンスに影響を与えるものである。言い換えれば、コイル状の線路部以外にも所望のインダクタンスをもつ線路部(L成分)を挿入すれば、同様に減衰特性に影響を与えることがわかる。また、L成分の挿入位置も、第4の線路部L4と第2の平衡端子T2の間だけでなく、第3の線路部L3と第1の平衡端子T1の間に挿入してもよく、また、双方に挿入してもよい。
以上の実施例の結果から、減衰特性をもつ薄膜バランを実現するための構成として、第3の線路部L3と第1の平衡端子T1との間、及び/又は、第4の線路部L4と第2の平衡端子T2との間にL成分を設けた薄膜バラン1の構成まで拡張ないし一般化することができる。
次に、補助コイル部C5の形状を変えてそのインダクタンスを変化させることにより、薄膜バラン1の減衰特性に与える影響について、実施例2〜4を参照して説明する。
(実施例2)
実施例2では、実施例1に比べてコイル導体を長くして、補助コイル部C5のインダクタンスを増加させた例である。図9及び図10は、このような実施例2の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、実施例2の薄膜バラン1の第1〜第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。図9及び図10に示すように、実施例2の補助コイル部C5を構成するコイル導体43,52は、実施例1のコイル導体41,51を、図中、下側に10μmだけ広げたものであり、これによって、補助コイル部C5のインダクタンスを増加させている。
(実施例3)
実施例3では、実施例1に比べてコイル導体を短くして、補助コイル部C5のインダクタンスを減少させた例である。図11及び図12は、このような実施例3の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、実施例3の薄膜バラン1の第1〜第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。図11及び図12に示すように、実施例3の補助コイル部C5を構成するコイル導体44,45,53は、実施例1のコイル導体41,42,51を、図中、上側に40μmだけ縮めたものであり、これにより補助コイル部C5のインダクタンスを減少させている。
(実施例4)
実施例4では、実施例1に比べて補助コイル部C5のコイル開口を広げて、補助コイル部C5が第2のコイル部C2のコイル開口と重なる面積を増大させた例である。図13及び図14は、実施例4の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、実施例4の薄膜バラン1の第1〜第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。図13及び図14に示すように、実施例4の補助コイル部C5を構成するコイル導体46,47,54は、実施例1のコイル導体41,42,51を外側に大きく広げたものであり、これによって、補助コイル部C5が、第2のコイル部C2のコイル開口と重なる面積を増大させている。ここで、補助コイル部C5とは、コイル導体およびコイル開口を含めた部分を示す。
(評価結果)
上記の実施例2〜4の構造について、信号の減衰特性をシミュレーションにより求めた。対象とする信号周波数は、2400−2500MHzとした。結果を図15に示す。図15では、E2は実施例2の結果、E3は実施例3の結果、E4は実施例4の結果を示す。また、図15には、実施例1の結果(E1)及び比較例の結果(R)も併記した。
図15に示すように、補助コイル部C5の形状を変化させることにより、減衰対象となる信号周波数及びその減衰量が変化することがわかる。従って、薄膜バラン1の仕様に応じて最適な減衰ピークが得られるように補助コイル部C5の形状を変化させればよい。図15に示す結果からは、補助コイル部C5が第2のコイル部C2に対向ないし重なるように配置することにより、大きな減衰量が得られることがわかる。これは、補助コイル部C5を第2のコイル部C2に対向ないし重なるように配置することにより、第2のコイル部C2を流れる電流により生じる磁束と、補助コイル部C5を流れる電流により生じる磁束が干渉して、特定の周波数帯域において大きな減衰ピークが現われるものと推察される。
(実施例5)
実施例5は、実施例1と比べて補助コイル部C5の巻回方向を逆にした例である。図16及び図17は、実施例5の薄膜バラン1の第4配線層40及び第5配線層50を示す平面図である。なお、実施例5の薄膜バラン1の第1〜第3配線層10〜30の構成は、第1実施例と同様である。図16及び図17に示すように、実施例4のコイル導体48,49,55により構成される補助コイル部C5の巻回方向は、第2のコイル部C2の巻回方向と比べて逆になっている(図2参照)。ここで、巻回方向は、基板上部から薄膜バラン1を眺め、不平衡端子T0を基準とする。この場合には、第1のコイル部C1及び第2のコイル部C2は右回り(時計回り)、第1の平衡端子T1を始点とすると第3のコイル部C3及び第4のコイル部C4は左回り(反時計回り)、第4のコイル部C4との接続点を始点とすると補助コイル部C5は左回りとなって、補助コイル部C5の巻回方向は、不平衡伝送線路2を構成する第2のコイル部C2のものと逆方向となる。
(評価結果)
上記の実施例5の構造について、信号の減衰特性をシミュレーションにより求めた。対象とする信号周波数は、2400−2500MHzとした。結果を図18に示す。図18において、E5は実施例5の結果、E1は実施例1の結果、Rは比較例の結果を示す。
図18に示すように、補助コイル部C5の巻回方向を変えることにより、減衰対象となる信号周波数及びその減衰量が変化することがわかる。図18に示す結果からは、補助コイル部C5の巻回方向を第2のコイル部C2のものに比べて逆方向に配置することにより、実施例1に比べて大きな減衰量が得られることがわかる。これは、補助コイル部C5の巻回方向を第2のコイル部C2のものと逆にすることにより、第2のコイル部C2を流れる電流により生じる磁束と、補助コイル部C5を流れる電流により生じる磁束のベクトルが反対方向となり、その結果、平衡―不平衡回路全体の磁気結合が弱くなるため、共振特性、すなわち減衰ピークが高周波側に移動し、かつ大きくなるものと推察される。
(実施例6)
実施例6は、第3配線層30及び第4配線層40により補助コイル部C5を形成した例である。図19及び図20は、実施例6の薄膜バラン1の第3配線層30及び第4配線層40を示す平面図である。なお、実施例6の薄膜バラン1の第1〜第2配線層10〜20の構成は、第1実施例と同様である。また、実施例6では、実施例1の第5配線層50は必要ない。図19及び図20に示すように、第3配線層30及び第4配線層40のコイル導体33,34,41Aにより補助コイル部C5が構成されている。このように、補助コイル部C5は、第1〜第4のコイル部C1〜C4とは異なる配線層に形成されていればよく、その配線層に特に限定はない。
(実施例7)
実施例7は、ミアンダ型のコイルからなる補助コイル部C5の例である。図21は、実施例7の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。なお、実施例6では、下層の第1配線層のコイル導体の巻数が1つ増えている点を除いて、第1配線層10及び第2配線層10〜20の構成は、第1実施例とほぼ同じである。また、実施例6では、実施例1の第4配線層40及び第5配線層50は必要ない。図21に示すように、補助コイル部C5は、ミアンダ型のコイルのような蛇足状の線路部であってもよい。
なお、上述したとおり、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。たとえば補助コイル部C5の一部に屈曲部を備えている部分を持てば特にコイル形状に制限はない。また、補助コイルは1回転以上巻回する必要もなく、例えば半回転であってもよい。更に巻回方向は第4のコイル部の形成面と異なる面、例えば垂直な面上に補助コイル部C5を形成したソレノイド型コイルであっても良い。また、例えば、各端子T0〜T3の配置に限定はない。また、薄膜バラン1を構成する配線構造は、4層未満又は5層以上であってよい。また、第1配線層10を最上層に形成し、第5配線層50を最下層に形成するよう、層構成が全く逆の構造でもよい。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々のコイル配置を採用可能である。
本発明の薄膜バランは、小型化を維持しつつ、所望の周波数領域において減衰特性をもつ薄膜バランを実現できるため、特に小型化が要求される無線通信機器への適用が可能である。
本実施形態に係る薄膜バラン1の等価回路図である。 薄膜バラン1の第1配線層10を示す平面図である。 薄膜バラン1の第2配線層20を示す平面図である。 薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 比較例の薄膜バラン1の等価回路図である。 実施例1及び比較例の減衰特性の測定結果を示す図である。 実施例2の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例2の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 実施例3の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例3の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 実施例4の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例4の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 実施例1〜4及び比較例の減衰特性の測定結果を示す図である。 実施例5の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例5の薄膜バラン1の第5配線層50を示す平面図である。 実施例1、5及び比較例の減衰特性の測定結果を示す図である。 実施例6の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。 実施例6の薄膜バラン1の第4配線層40を示す平面図である。 実施例7の薄膜バラン1の第3配線層30を示す平面図である。
符号の説明
1,100…薄膜バラン、2…不平衡伝送線路、3…平衡伝送線路、10…第1配線層、11…コイル導体、11a,11b…端部、12…コイル導体、12a,12b…端部、20…第2配線層、21…コイル導体、21a,21b…端部、22…コイル導体、22a,22b…端部、30…第3配線層、31,32…配線、33,34…コイル導体、40…第4配線層、41〜49,41A…コイル導体、50…第5配線層50、51〜55…コイル導体、P…スルーホール、L1…第1の線路部、L2…第2の線路部、L3…第3の線路部、L4…第4の線路部、L5…L成分、C1…第1のコイル部、C2…第2のコイル部、C3…第3のコイル部、C4…第4のコイル部、C5…補助コイル部、T0…不平衡端子、T1…第1の平衡端子、T2…第2の平衡端子、T3…接地端子。

Claims (5)

  1. 第1の線路部及び第2の線路部を備える不平衡伝送線路と、
    前記第1の線路部及び前記第2の線路部にそれぞれ磁気結合する第3の線路部及び第4の線路部を備えた平衡伝送線路と、
    前記第1の線路部に接続された不平衡端子と、
    前記第3の線路部に接続された第1の平衡端子と、
    前記第4の線路部に接続された第2の平衡端子と、
    前記第3の線路部と前記第1の平衡端子との間、及び/又は、前記第4の線路部と前記第2の平衡端子との間に設けられたL成分と、
    を有する薄膜バラン。
  2. 第1のコイル部及び第2のコイル部を備える不平衡伝送線路と、
    前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部にそれぞれ磁気結合する第3のコイル部及び第4のコイル部を備えた平衡伝送線路と、
    前記第3のコイル部に接続された第1の平衡端子と、
    前記第4のコイル部に接続された第2の平衡端子と、
    前記第3のコイル部と前記第1の平衡端子との間、及び/又は、前記第4のコイル部と前記第2の平衡端子との間に設けられた補助コイル部と、
    を有する薄膜バラン。
  3. 前記補助コイル部の少なくとも一部が、前記第1及び/又は第2のコイル部のコイル開口に対向する領域に配置された、
    請求項2記載の薄膜バラン。
  4. 前記補助コイル部は、前記第4のコイル部と前記第2の平衡端子との間に接続された、
    請求項2又は3に記載の薄膜バラン。
  5. 前記補助コイル部は、前記第1及び第2のコイル部と巻回方向が逆である、
    請求項2〜4のいずれかに記載の薄膜バラン。
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