JP2011171998A - バラン - Google Patents

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雄介 上道
Takuya Aizawa
卓也 相沢
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Abstract

【課題】逆方向の隣接配線間の間隔を小さくしても、損失を抑制することが可能なバランを提供する。
【解決手段】誘電体13を介して互いに平行な面内に形成された2つの配線層11,12と、これらの配線層11,12と平行な面内に形成された接地電位層14とを備え、2つの配線層11,12のうち一方の配線層が2つの平衡信号伝送路を含み、かつ他方の配線層が不平衡信号伝送路を含み、2つの平衡信号伝送路と不平衡信号伝送路とが互いに重なり合う位置に形成されたバラン10であって、不平衡信号伝送路は、一端から他端までの伝送路に沿う方向が反対の方向となる箇所を少なくとも1つ有し、該当箇所の最小の間隔をgとし、平衡信号伝送路または不平衡信号伝送路のうち接地電位層14に近い側の伝送路11と接地電位層14との間隔をh1とするとき、間隔h1が配線間隔gより小さいようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線回路等に用いられるバラン(バランストランス・不平衡−平衡変換器)に関する。
バランは、2つの平衡信号伝送路と1つの不平衡信号伝送路とを備え、不平衡信号伝送路は、一端が不平衡信号入出力端、他端が開放端となり、2つの平衡信号伝送路は、一端が平衡信号出入力端、他端が接地端となった構造を備える。この種のバランは、2つの平衡信号出入力端から平衡信号(差動信号)が入力されたときには、平衡信号伝送路から不平衡信号伝送路への電磁結合により、平衡信号を不平衡信号(単一信号)に変換して不平衡信号入出力端から不平衡信号を出力し、逆に不平衡信号入出力端から不平衡信号を入力したときには、不平衡信号伝送路から平衡信号伝送路への電磁結合により、不平衡信号を平衡信号に変換して2つの平衡信号出入力端から平衡信号を出力する。
積層型バランは、不平衡信号伝送路と、2つの平衡信号伝送路とが、絶縁層(誘電体層)を介して上下(絶縁層の厚さ方向)に積層された構造を有する。従来の積層型バランは、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co−fired Ceramics)技術をベースとしたものが知られている。実装面積を小さくするため、バランの各伝送路は、平面スパイラル状(渦巻き状)に形成されることが多い(例えば特許文献1参照)。
特開2002−50910号公報
バランの2つの平衡信号伝送路の配線長は、動作周波数fにおいて、波長をλとして、約λ/4である。fとλとの関係は、信号の伝送速度をvとして、v=fλで表されることより、周波数が高いほど配線長が短くなり、周波数が低いほど配線長が長くなることが分かる。
したがって、高周波信号用の積層型バランは、短い配線長に見合うように寸法を小型化する必要があるため、配線間の間隔も、また、不平衡信号伝送路と2つの平衡信号伝送路とを電磁結合させるための層間誘電体(絶縁体)の厚さも、小さくとる必要がある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、配線間の間隔を小さくすると、信号(電流)が互いに逆方向に流れる隣接配線間の相互作用により、信号が劣化し、損失が増大するおそれがあることが分かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、逆方向の隣接配線間の間隔を小さくしても、損失を抑制することが可能なバランを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、誘電体を介して互いに平行な面内に形成された2つの配線層と、これらの配線層と平行な面内に形成された接地電位層とを備え、前記2つの配線層のうち一方の配線層が2つの平衡信号伝送路を含み、かつ他方の配線層が不平衡信号伝送路を含み、前記2つの平衡信号伝送路と前記不平衡信号伝送路とが互いに重なり合う位置に形成されたバランであって、前記不平衡信号伝送路は、一端から他端までの伝送路に沿う方向が、前記平行な面内において反対の方向となる箇所を少なくとも1つ有し、該当箇所の前記平行な面内における最小の配線間隔をgとし、前記平衡信号伝送路または前記不平衡信号伝送路のうち前記接地電位層に近い側の伝送路と前記接地電位層との間隔をh1とするとき、前記間隔h1が前記配線間隔gより小さいことを特徴とするバランを提供する。
前記2つの平衡信号伝送路は、それぞれ平面スパイラル状に形成されるとともに、前記不平衡信号伝送路は、前記2つの平衡信号伝送路の平面スパイラル状の部分に重なり合う2つの平面スパイラル状の部分を有することが好ましい。
本発明によれば、GND層と配線層との間隔が配線間の間隔より小さくなるようにGND層をバランの伝送路に近接させて配置するので、信号(電流)が互いに逆方向に流れる隣接配線間の相互作用を低減し、損失を抑制することができる。
積層型バランの一例を示す模式的断面図である。 不平衡信号伝送路を有する配線層の一例を示す平面図である。 2つの平衡信号伝送路を有する配線層の一例を示す平面図である。 GND層と第1配線層との間隔h1が隣接配線間の配線間隔gより小さい場合における隣接配線間の相互作用を示す説明図である。 GND層と第1配線層との間隔h1が隣接配線間の配線間隔gより大きい場合における隣接配線間の相互作用を示す説明図である。 スパイラル中央部の配線間隔Aが大きいバランの一例を示す平面図である。 スパイラル中央部の配線間隔Aが小さいバランの一例を示す平面図である。 シミュレーション実験例1で求めたS11特性を示すグラフである。 シミュレーション実験例1で求めたS21特性を示すグラフである。 シミュレーション実験例2で求めたS21特性を示すグラフである。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜3は、本形態例に係るバランの説明図である。なお、これらの図面は模式的なものであって、大きさや縦横比率は、実際とは異なる場合がある。
図1に示すように、本形態例のバラン10は、誘電体13を介して互いに平行な面内に形成された2つの配線層11,12と、これらの配線層11,12と平行な面内に形成された接地電位層(GND層)14とを備える。GND層14としては、例えば基板15上の一面に形成された導体層が挙げられる。
以下の説明では、2つの配線層11,12のうちGND層14に近い側を第1配線層11とし、GND層14から遠い側を第2配線層12と区別する。そのうち一方の配線層が2つの平衡信号伝送路を含み、かつ他方の配線層が不平衡信号伝送路を含み、2つの平衡信号伝送路と不平衡信号伝送路とが互いに重なり合う位置に形成されることでバラン(バランストランス)を構成する。
バラン10は、GND層14に近い側の第1配線層11が2つの平衡信号伝送路を含み、GND層14から遠い側の第2配線層12が不平衡信号伝送路を含んでもよい。GND層14に近い側の第1配線層11が不平衡信号伝送路を含み、GND層14から遠い側の第2配線層12が2つの平衡信号伝送路を含んでもよい。
図2に示すように、本形態例の不平衡信号伝送路20は、2つの平面スパイラル状の部分21,22を有する。それぞれの平面スパイラル状の部分21,22は、図3に示すように、平面スパイラル状に形成された2つの平衡信号伝送路31,32に重なり合う位置に配置される。また、2つの平衡信号伝送路31,32は、1つの配線層30がなす同一面内に配置される。また、2つの平衡信号伝送路31,32は、電気的に互いに独立して設けられている。
不平衡信号伝送路20は、一端を不平衡信号入出力端23とし、他端を開放端24とする。平衡信号伝送路31、32は、一端を平衡信号出入力端33,34とし、他端を接地端35,36とする。図2と図3との対比からも分かるとおり、接地端35,36は、それぞれ不平衡信号入出力端23または開放端24と重なり合う位置に配置されている。また、平衡信号出入力端33,34は、不平衡信号伝送路20において2つの平面スパイラル状の部分21,22が連結される中間部25の位置に対応している。
不平衡信号伝送路20は、一端の不平衡信号入出力端23から他端の開放端24までの不平衡信号伝送路20に沿う方向が、不平衡信号伝送路20の配置された面内において反対の方向となる箇所を少なくとも1つ有する。図2の例では、2つの平面スパイラル状の部分21,22のそれぞれにおけるスパイラル中央部の配線間隔Aに対応する部分や、2つの平面スパイラル状の部分21,22同士の配線間隔Gに対応する部分が挙げられる。これらの箇所では、隣接する配線間で、一方の配線に信号の流れる方向と、他方の配線に信号の流れる方向とがほぼ180°の角度を成す、すなわち反対の方向である。
不平衡信号伝送路20と2つの平衡信号伝送路31,32とは互いに重なり合うように配置されているので、不平衡信号伝送路20の配線間隔A,Gと対応する位置に、同様な配線間隔A,Gを有する。
なお、バラン10の使用状況によって、不平衡信号入出力端23から不平衡信号を入力して平衡信号出入力端33,34から平衡信号を出力する場合と、平衡信号出入力端33,34から平衡信号を入力して不平衡信号入出力端23から不平衡信号を出力する場合とがあり、両者は信号(電流)の流れる向きが逆となる点で異なるが、「隣接する配線間で信号が反対に流れる箇所」がいずれの場合も同じ箇所になるので、どちらを入力とし、どちらを出力とするかの違いは、本発明において問題とはならない。
また、上記の説明では、不平衡信号伝送路20の一端を不平衡信号入出力端23とし、他端を開放端24としたが、言うまでもなく、不平衡信号伝送路20の一端を開放端24とし、不平衡信号入出力端23を他端としても同様の議論が成り立つので、構わない。
本発明において、配線間隔とは、不平衡信号伝送路20や平衡信号伝送路31,32が形成された面内(前記平行な面内)において、配線幅の部分を含まない、配線縁の近い側同士の距離(導体間隙)を表す。配線間隔は、その内部に他の配線が含まれないものと規定する。よって、例えばスパイラルが複数回周回する場合は、各スパイラルのうち最も内周の部分でスパイラル中央部の配線間隔Aが規定され、各スパイラルのうち最も外周の部分でスパイラル同士の配線間隔Gが規定される。
本発明においては、図4に示すように、隣接する配線1,2間で信号の流れる方向が反対となる箇所における配線1,2間の配線間隔gが、配線1,2とGND層4との間隔h1より大きくなるように、GND層4を配置する。ここで、配線1,2は、平衡信号伝送路または不平衡信号伝送路のいずれかのうちGND層に近い側の伝送路の配線である。よって、配線1,2とGND層4との間には誘電体3のみが存在し、この間に他の配線は存在しない。これにより、伝送路の損失を抑制することができる。
図5に示すように、隣接する配線1,2間で信号の流れる方向が反対となる箇所における配線1,2間の配線間隔gが、配線1,2とGND層4との間隔h1より小さい場合(g<h1)には、図4に示す場合に比べて、伝送路の損失が増大する。この理由は、特に本発明を限定するものではないが、次のような仮説が考えられる。
前提として、図4、図5に示すように、配線1と配線2とがその間で配線間隔gだけ離れていて、互いに逆方向の電流が流れていると仮定する。
配線1を流れる電流に着目すると、配線1の周囲に磁束Hが発生し、配線2を通過すると考えられる。図5の場合、磁束Hは配線2に対して垂直下向きに貫いている。すると、配線2にはレンツの法則により、磁束Hの変化を妨げようと渦電流(図示せず)が発生し、配線2を流れる電流と合成される結果、配線2では配線1に近い側(図5の右側)の電流が強められ、配線1から遠い側(図5の左側)の電流が弱められる。
同様に配線2を流れる電流に着目すると、配線1では配線2に近い側(図5の左側)の電流が強められ、配線2から遠い側(図5の右側)の電流が弱められる。
このように、電流の流れる向きが反対の隣接配線1,2間では、電流の流れる断面積が狭くなり、配線の抵抗値が実質的に上昇すると考えられる。すなわち、伝送路の損失が増大する。
図5に示す問題を解決するには、隣接配線1,2間の配線間隔gを広げることも考えられる。しかしながら、特に高周波信号に用いられるバランでは、伝送路の全長が約λ/4に制約されているため、隣接配線1,2間の配線間隔gを広げるのに限度がある。
そこで、本発明では、図4に示すように、配線1,2とGND層4との間隔h1を、隣接配線1,2間の配線間隔gよりも小さくする。GND層4は接地電位に保たれており、かつ伝送路全体と重なり合う範囲に広がっているため、これにより、配線の周囲に発生する磁束Hの影響を緩和して、伝送路の損失増大を抑制することができる、と推測される。
図1において、基板15としては、例えばシリコン(Si)などの半導体基板や、ガラス基板などの絶縁性基板が挙げられる。半導体基板の場合、集積回路(IC)等の回路を作り込んで、種々の機能を実現することが可能である。
図1において、誘電体13を構成する絶縁体は例えば絶縁性樹脂であり、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、感光性樹脂(光硬化性樹脂)等の中から適宜選択して用いることが可能である。該絶縁性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂(ポリ四フッ化エチレン等)、ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂などが挙げられる。図1の誘電体13は層の区別をしていないが、製造方法などの必要に応じて、(1)GND層14と第1配線層11との間の部分、(2)第1配線層11と第2配線層12との間の部分、(3)第2配線層12より上の部分のように、複数の層に分けて別々に形成しても良い。
積層型バラン10を製造する方法は、ウエハーレベルパッケージ(WLP)技術により基板15側から順に絶縁層と配線層とを交互に形成する方法のほか、複数の絶縁層を別々に形成して、バランを構成する配線層とともに積層する方法などが挙げられる。WLP技術による場合、配線層などのパターニングには、フォトリソグラフィー技術を利用することも可能である。
バランの2つの平衡信号伝送路31,32および不平衡信号伝送路20を含む配線層11,12は、例えば銅めっき等のめっき金属などから構成することができる。
バラン10の各伝送路の平面形状は、図2、図3では平面スパイラル状であるが、特にこれに限定されるものではなく、このほかミアンダ状とすることもできる。
本発明のバランは、高周波信号用で、伝送路の配線長が短くなり、小型化されるものに特に有効である。面内の配線間隔は、1〜100μmが好ましい。伝送路の線幅は、1〜100μmが好ましい。スパイラルの内周と外周との配線間隔は、1〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。GND層と第1配線層(伝送路の部分)との間隔は、1〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。第1配線層と第2配線層(伝送路の部分)との間隔は、1〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
以下、シミュレーション実験例をもって本発明を具体的に説明する。
シミュレーション実験例1,2とも、バランの断面構造は、図1に示すように配線層11,12が積層された構造に設定した。配線層11および配線層12の厚さtをそれぞれ2μm、GND層14の上面から配線層11の下面までの間隔h1を18μm、配線層11の上面から配線層12の下面までの間隔dを8μm、配線層12の上面から誘導体13の上面までの間隔h2を8μmとした。また、配線層11,12の抵抗率と、誘電体13の誘電率は、それぞれ一定値とした。誘電体13の上面(基板15とは反対の側)には、GND層は設けられていない。
(シミュレーション実験例1)
シミュレーション実験例1では、スパイラル中央部の配線間隔Aの異なる3通りの平面配線パターンのバランを設計した。
シミュレーション実験例1の第1例(以下「L1」)では、不平衡信号伝送路の平面配線パターンを図6に示すようにし、スパイラル中央部の配線間隔A=55μm、スパイラル同士の配線間隔G=20μm、スパイラルの内周と外周との配線間隔S=10μm、配線幅W=22.5μmとした。また、伝送路の各部の長さは、C=57.5μm、B=90μm、A+2W=100μm、B+S+W=122.5μm、E=A+S+3W=132.5μm、B+2S+2W=155μm、D=2E+G=285μmとした。右側のスパイラルは、左側のスパイラルと対称な形状で、寸法も同一である。
シミュレーション実験例1の第2例(以下「L2」)では、不平衡信号伝送路の平面配線パターンを図7に示すようにし、スパイラル中央部の配線間隔A=20μm、スパイラル同士の配線間隔G=20μm、スパイラルの内周と外周との配線間隔S=10μm、配線幅W=22.5μmとした。また、伝送路の各部の長さは、B=155μm、A+2W=65μm、B+S+W=187.5μm、E=A+S+3W=97.5μm、B+2S+2W=220μm、D=2E+G=215μmとした。右側のスパイラルは、左側のスパイラルと対称な形状で、寸法も同一である。
シミュレーション実験例1の第3例(以下「L3」)では、不平衡信号伝送路の平面配線パターンを図7に示すようにし、スパイラル中央部の配線間隔A=10μm、スパイラル同士の配線間隔G=20μm、スパイラルの内周と外周との配線間隔S=10μm、配線幅W=22.5μmとした。また、伝送路の各部の長さは、B=182.5μm、A+2W=55μm、B+S+W=215μm、E=A+S+3W=87.5μm、B+2S+2W=247.5μm、D=2E+G=195μmとした。右側のスパイラルは、左側のスパイラルと対称な形状で、寸法も同一である。
なお、L1,L2,L3における2つの平衡信号伝送路の平面配線パターンは、特に説明しないが、図2の不平衡信号伝送路20の平面配線パターンが図3の2つの平衡信号伝送路31,32の平面配線パターンに対応するのと同様である。
図8に、シミュレーション実験例1で求めたS11特性を示すグラフを示す。L1,L2,L3のバランは、いずれも周波数55GHz付近で反射損失が最小になるように設計されていることが分かる。
図9に、シミュレーション実験例1で求めたS21特性を示すグラフである。L1のバランは55GHzでのS21が−0.432dBであり、L2のバランは55GHzでのS21が−0.468dBであり、L3のバランは55GHzでのS21が−0.521dBである。よって、スパイラル中央部の配線間隔Aが大きいほど、挿入損失が良くなっていることが分かる。
(シミュレーション実験例2)
シミュレーション実験例2では、スパイラル間の配線間隔Gの異なる3通りの平面配線パターンのバランを設計した。
シミュレーション実験例2の第1例(以下「L4」)では、不平衡信号伝送路の平面配線パターンを図6に示すようにし、スパイラル中央部の配線間隔A=55μm、スパイラル同士の配線間隔G=50μm、スパイラルの内周と外周との配線間隔S=10μm、配線幅W=22.5μmとした。また、伝送路の各部の長さは、C=57.5μm、B=80μm、A+2W=100μm、B+S+W=112.5μm、E=A+S+3W=132.5μm、B+2S+2W=145μm、D=2E+G=315μmとした。右側のスパイラルは、左側のスパイラルと対称な形状で、寸法も同一である。
シミュレーション実験例2の第2例(以下「L5」)では、不平衡信号伝送路の平面配線パターンを図6に示すようにし、スパイラル中央部の配線間隔A=55μm、スパイラル同士の配線間隔G=20μm、スパイラルの内周と外周との配線間隔S=10μm、配線幅W=22.5μmとした。また、伝送路の各部の長さは、C=57.5μm、B=80μm、A+2W=100μm、B+S+W=112.5μm、E=A+S+3W=132.5μm、B+2S+2W=145μm、D=2E+G=285μmとした。右側のスパイラルは、左側のスパイラルと対称な形状で、寸法も同一である。
シミュレーション実験例2の第3例(以下「L6」)では、不平衡信号伝送路の平面配線パターンを図6に示すようにし、スパイラル中央部の配線間隔A=55μm、スパイラル同士の配線間隔G=10μm、スパイラルの内周と外周との配線間隔S=10μm、配線幅W=22.5μmとした。また、伝送路の各部の長さは、C=57.5μm、B=80μm、A+2W=100μm、B+S+W=112.5μm、E=A+S+3W=132.5μm、B+2S+2W=145μm、D=2E+G=275μmとした。右側のスパイラルは、左側のスパイラルと対称な形状で、寸法も同一である。
なお、L4,L5,L6における2つの平衡信号伝送路の平面配線パターンは、特に説明しないが、図2の不平衡信号伝送路20の平面配線パターンが図3の2つの平衡信号伝送路31,32の平面配線パターンに対応するのと同様である。
シミュレーション実験例2で求めたS11特性については省略するが、L4,L5,L6のバランは、いずれも周波数55GHz付近で反射損失が最小になるように設計されている。
図10に、シミュレーション実験例2で求めたS21特性を示すグラフを示す。L4のバランは56.063GHzでのS21が−0.417dBであり、L5のバランは56.063GHzでのS21が−0.432dBであり、L6のバランは56.063GHzでのS21が−0.44dBである。よって、スパイラル間の配線間隔Gが大きいほど、挿入損失が良くなっていることが分かる。
以上のシミュレーション実験例1,2では、上述したように、GND層14の上面から配線層11の下面までの間隔h1を18μmとしている。図9、図10に示す結果から、スパイラル中央部の配線間隔Aおよびスパイラル同士の配線間隔Gが、GND層と伝送路との間隔h1よりも大きいと、挿入損失を改善することができる。すなわち、GND層と伝送路との間隔h1が、スパイラル中央部の配線間隔Aおよびスパイラル同士の配線間隔Gよりも小さいことが好ましい。なお、本シミュレーション実験例において、最小の配線間隔gとは、AおよびGのうち小さい方の値である。
特にL1、L4、L5の場合、g≧h1であると同時に、スパイラル中央部の配線間隔Aが、GND層と伝送路との間隔h1の3倍以上となっている。さらに、L4の場合、スパイラル間の配線間隔Gが、GND層と伝送路との間隔h1の2倍以上となっている。したがって、g≧2・h1がより好ましく、g≧3・h1がさらに好ましい。
また、g≧3・h1(すなわちAおよびGの両方が3・h1以上)でないとしても、AまたはGのうち大きい方の値が3・h1以上であり、小さい方の値(すなわちg)がh1以上であることが好ましい。
本発明は、種々の高周波回路に用いることができる。例えば、携帯電話、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、WiMAX(登録商標)、準ミリ波、ミリ波通信等の無線通信機器を構成する回路に好適に利用することができる。
A…スパイラル中央部の配線間隔、G…スパイラル同士の配線間隔、g…信号の流れる方向が反対となる箇所の最小の配線間隔、h1…GND層に近い側の伝送路とGND層との間隔、1,2…隣接する配線、10…バラン、11,12…配線層(伝送路)、3,13…誘電体、4,14…接地電位層(GND層)、20…不平衡信号伝送路、21,22…2つの平面スパイラル状の部分、23…不平衡信号入出力端(一端)、24…開放端(他端)、31,32…2つの平衡信号伝送路、33,34…平衡信号出入力端、35,36…接地端。

Claims (2)

  1. 誘電体を介して互いに平行な面内に形成された2つの配線層と、これらの配線層と平行な面内に形成された接地電位層とを備え、前記2つの配線層のうち一方の配線層が2つの平衡信号伝送路を含み、かつ他方の配線層が不平衡信号伝送路を含み、前記2つの平衡信号伝送路と前記不平衡信号伝送路とが互いに重なり合う位置に形成されたバランであって、
    前記不平衡信号伝送路は、一端から他端までの伝送路に沿う方向が、前記平行な面内において反対の方向となる箇所を少なくとも1つ有し、該当箇所の前記平行な面内における最小の配線間隔をgとし、前記平衡信号伝送路または前記不平衡信号伝送路のうち前記接地電位層に近い側の伝送路と前記接地電位層との間隔をh1とするとき、前記間隔h1が前記配線間隔gより小さいことを特徴とするバラン。
  2. 前記2つの平衡信号伝送路は、それぞれ平面スパイラル状に形成されるとともに、前記不平衡信号伝送路は、前記2つの平衡信号伝送路の平面スパイラル状の部分に重なり合う2つの平面スパイラル状の部分を有することを特徴とする請求項1に記載のバラン。
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