JP5131063B2 - 酸化物超電導線材の前駆体線とその製造方法、および前記前駆体線を用いた酸化物超電導線材 - Google Patents

酸化物超電導線材の前駆体線とその製造方法、および前記前駆体線を用いた酸化物超電導線材 Download PDF

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Description

本発明は、六角形ハニカム構造を有する酸化物超電導線材の前駆体線、その製造方法、それを用いて製造される酸化物超電導線材に関し、特に酸化物超電導体フィラメントの厚みを薄くした酸化物超電導線材に関する。
酸化物超電導線材は通常パウダー・イン・チューブ(PIT法)で製造される。具体的には、内部に複数本の酸化物超電導材料製のフィラメントを有する多芯型の酸化物超電導線材の場合、酸化物超電導体の前駆体を主成分とする粉末を熱処理した後、金属製の第2シースに充填し、伸線加工を施して得られる単芯線の複数本を金属製の第1シースに挿入した後、伸線加工を施して多芯線とし、その後圧延加工を施し、さらに熱処理することによって製造される。
PIT法による酸化物超電導線材の製造においては、これまで一般的に図8に示す断面が円形のフィラメント2を円筒状の第2シース3で被覆した単芯丸線14や図9に示す断面が六角形のフィラメント2’を六角筒状の第2シース3で被覆した単芯六角線15を複数本、例えば断面が円形のフィラメントの場合は50〜200本程度(図8においては図面が煩雑になるのを避けるため本数を少なく記載している。)第1シース6の中に挿入し、第1シースを伸線して前駆体線5を作製し、次いで圧延した後、熱処理を施して製造される。図10は、前記図8に示した前駆体線5の製造において所定本数の単芯丸線14を第1シース6に挿入する工程を示す図である。
しかし、図8や図9に示した酸化物超電導線材の前駆体を用いた酸化物超電導線材においては、フィラメントの断面形状が円形や六角形のように等方的な形状であって、フィラメントの厚さが大きく、酸化物超電導体の結晶の配向性を高くすることができないため、高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材を提供することは難しかった。
酸化物超電導線材の臨界電流密度を向上させる方法としては、例えば、超電導体の内側に芯材を入れる方法(特許文献1)、中心部に芯材を入れ、テープ状の単芯の線材を断面が円形の芯材に縦添えして密着させる方法(特許文献3)や安定化マトリックス中に複数本のリボン状フィラメントを配置した断面が円形または回転対称である多角形であって、マトリックスの中心部に硬い材料を用いる方法(特許文献2)が試みられている。
特許第2844632号 特許第3657397号 特許第3742128号
しかし、前記特許文献1〜3に記載の方法をもってしても近年の高臨界電流密度の要求に対して十分とは言えない。
このため、本発明は、より高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材の前駆体線、ひいては酸化物超電導線材を提供することを課題とする。
本発明者は臨界電流密度を向上する方策について以下のごとく検討し、本発明に至った。
まず、結晶の配向性を向上するための方法としてはフィラメントを薄くする方法が考えられる。具体的には、所定の太さの酸化物超電導線材において、図11に示すように、例えばフィラメント2の断面が長方形の単芯線(以下単芯矩形線ともいう)16を成形して、この単芯矩形線16を複数本積層する方法が考えられる。また、さらに効果を高める方法としては、図12に示すように、単芯矩形線16の本数を多くして、1本毎の太さを細くし、積層して配置する方法が考えられる。
しかしながら、図11や図12に示した構成においては、酸化物超電導線材を製造するための伸線や縮径の工程で臨界電流密度が低下するという新たな問題が生じる恐れがあることが分かった。
ここに、伸線の工程で臨界電流密度が低下した一例を示す。図13に示した例は単芯正六角線を用いた例であって、これまでの一般的な本数より多い211本の単芯線を用いた例である。この例では、伸線の途中で図13に示すように、第2シース3の壁が破れフィラメント2の配列に乱れの発生が認められた。そして、この乱れが生じたために、臨界電流密度が低下したと考えられ、乱れが生じた理由は次のように考えられる。
即ち、一定の超電導体の体積比率を維持しつつフィラメント2の本数を増やすと、必然的に第2シース3の壁が薄くなるため、縮径加工の過程でシースの壁が破れフィラメントの配列に乱れが生じる。
そして、図11や図12に示した単芯矩形線を単に積層させる場合にも単芯線同士の間および単芯線と第1シースの間に隙間が生じるため、前記と同様にシースの壁が破れ、フィラメントの配列が乱れる恐れが高いと考えられる。一方シースの壁が十分に厚い設計を採用すれば、この様な欠陥が生じることを防止できるが、シースの壁を厚くしたままで単芯線の本数を増やすとシース内に収容する酸化物超電導体の体積比率が低下するため、臨界電流が低下する。
また、フィラメント内には直径数μmのアルカリ土類銅酸化物(Ca−Sr−Cu−O)などの非超電導相の残留が避けがたい。臨界電流の低下を防ぐためには前記非超電導相を迂回する迂回ルートが必要であるが、従来の構造や製造方法でフィラメントの本数を増やし、1本毎のフィラメントを細くすると、幅方向のサイズも小さくなるため、迂回ルートが制限され、臨界電流が低下する。
本発明者等は、鋭意研究の結果、酸化物超電導線材の前駆体の構造や製造方法を工夫することにより高臨界電流密度を有し、伸線により縮径しても臨界電流密度が低下することがない集合形態(前駆体線)を見出し本発明に至った。
請求項1の発明は、
銀または銀合金製の第1シースの内側に、断面正六角形の中心部を取り囲む複数本の断面正六角形の外周セグメントがハニカム状に密接して配置されている酸化物超電導線材の前駆体線であって、
前記外周セグメントは、酸化物超電導体の前駆体のリボン状のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆され断面外周が直線部から構成された単芯線を、最長の直線部同士が相互に接するように配置された単芯線の集合体であって、単芯線同士の境界線が前記外周セグメントの断面のいずれか1辺に平行であるセグメントa、およびいずれか1辺に直角であるセグメントbにより構成され、
前記中心部の断面中心から前記中心部の断面の各辺の中心を通る延長線上に、1本または複数本の前記セグメントaが、前記単芯線同士の境界線が前記延長線に直角に位置するように配置され、
その他の空間には、複数本のセグメントbが、前記単芯線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置されていることを特徴とする酸化物超電導線材の前駆体線である。
請求項1の発明においては、全体を断面正六角形の中心部を取り囲む複数の断面正六角形の外周セグメントを用いてハニカム状に構成し、外周セグメントを複数のリボン状のフィラメントの集合体とし、各フィラメントの幅広面が前記中心部を囲むように配置されているため、酸化物超電導体の結晶の配向性が向上し、その結果高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材の前駆体線を提供することができる。
また、前記セグメントをリボン状のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆され断面外周が直線部から構成された単芯線を、最長の直線部同士が相互に接するように配置された単芯線の集合体で構成しているため、フィラメントを構成する酸化物超電導体の前駆体の結晶の配向性を高めると同時に、セグメントに含まれる複数本のフィラメントの向きを同じ向きに揃えることができる。
そして、単芯線同士の境界線、即ち、単芯線の最長の直線部が中心部を取り囲むように配置されているため、第1シースを伸線する際に、全てのフィラメントにおいてリボン状に形成されたフィラメントの幅方向の面、即ち幅広面に対して均一に応力が加わるため、フィラメント間の第2シースの壁面(銀壁)が破れることがなく断面形状が維持され、フィラメントの配列の乱れが生じることがない。その結果高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材の前駆体線を、ひいては酸化物超電導線材を提供することができる。
また、前記第1シースを伸線する際のフィラメント幅の縮小の程度を小さくすることができる。このため、伸線後においてもフィラメントの断面のアスペクト比を十分に大きくすることができ、その結果1本毎のフィラメントを細くしてもアルカリ土類酸化物の残留等による局所欠陥を迂回するルートが制限されないため、単芯線の本数を増やしても臨界電流密度が低下するということがない。このため、高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材の前駆体線、ひいては酸化物超電導線材を安定して提供することができる。
請求項1の発明においては、全ての外周セグメントに断面が正六角形のセグメントが用いられ、前記セグメントがハニカム状に配置されているが、前記セグメントの最外周の形状を整えるため、前記セグメントの最外周と第1シースとの間の隙間に例えば五角形のセグメントが埋められていてもよい。
また、前記中心部は、断面が正六角形であればよく、セグメントa、セグメントbのような単芯入りのセグメントや単芯線が入っていない棒状のセグメントであってもよい。また、空間のままでもよく、さらに前記空間内に断面が円形の丸線その他の種々の形状や太さを有する1本または複数本のセグメントを配置してもよい。
なお、請求項1における「正六角形」「平行」「直角」などの用語は必ずしも幾何学的に完全なものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で多少変動している場合も請求項1の発明に含まれる。
請求項2の発明は、
前記セグメントbは、断面形状が三角形または五角形のフィラメントを有することを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の前駆体線である。
セグメントbは中心部およびセグメントa以外の部分に用いられ、セグメントbを構成する単芯線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置される。このようなセグメントbは、断面形状が三角形や五角形のフィラメントと必要に応じて適宜従来の長方形のフィラメントからなる単芯線を組み合わせることにより容易に構成することができる。
請求項3の発明は、
前記外周セグメントが2〜4本の単芯線の集合体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導線材の前駆体線である。
臨界電流密度を向上させるためには、セグメントを構成する単芯線は薄いことが好ましいが、単芯線が細くなり過ぎると製造が困難になり、また適切な臨界電流密度を確保することが困難になる。本発明の構造の場合、適切な単芯線の本数は2〜4本である。
請求項4の発明は、
前記単芯線の総本数が200本を超えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線である。
請求項4の発明においては、単芯線の総本数を200本を超える本数としているため、フィラメント内の結晶配向性をより高めることができ、その結果より高臨界電流密度の酸化物超電導線材の前駆体線を提供することができる。
従来の酸化物超電導線材においては、一般的に単芯線の本数が50〜200本であったのに対して、請求項4の発明においては200本を超える多くの本数にしても前記の通り構造が工夫されているため、リボン状のフィラメント間の銀壁が破れることなく臨界電流密度を向上させた酸化物超電導線材を提供することができる。
請求項5の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法であって、
酸化物超電導体の前駆体のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆された断面が円形の単芯丸線を圧延および/またはダイス引き抜き加工して、断面外周が直線部から構成された断面多角形の単芯線を作製する単芯線作製工程、
前記単芯線を2本以上、断面が正六角形であって単芯線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に平行となるように組み合わせてセグメントaを作製するセグメントa作製工程、
前記単芯線を2本以上、断面が正六角形であって単芯線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に垂直となるように組み合わせてセグメントbを作製するセグメントb作製工程、
銀または銀合金製の第1シース内において、断面正六角形の中心部の周囲に、複数本の前記セグメントaおよびセグメントbを、単芯線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置するセグメント配置工程、
さらに、前記第1シースを伸線して複数本のセグメントをハニカム状に密接に嵌合させるセグメント嵌合工程とを有することを特徴とする酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法である。
請求項5の発明は、前記の酸化物超電導線材の前駆体の好ましい製造方法の発明である。本発明においては、予め単芯丸線を圧延やダイス引き抜き加工をして、断面多角形の単芯線とするため、薄くて幅広の形状を有するリボン状のフィラメントを容易に形成することができる。
なお、断面多角形の単芯線の作製においては、単芯丸線を1回の圧延やダイス引き抜き加工により最終的な断面多角形の単芯線を作製するのではなく、単芯丸線から一旦例えば単芯矩形線を作製し、その後最終的な断面多角形の単芯線を作製する方法を好ましく適用することができる。
請求項6の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法であって、
酸化物超電導体の前駆体のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆された断面が円形の単芯丸線を圧延および/またはダイス引き抜き加工して、断面外周が直線部から構成された単芯矩形線を作製する単芯矩形線作製工程、
前記単芯矩形線を2本以上、断面外周の最長の直線部同士を接合して単芯矩形線の集合体を作製する集合体作製工程、
前記集合体を伸線して断面が円形の円形セグメントを作製する円形セグメント作製工程

前記円形セグメントを、断面が正六角形であって、前記単芯矩形線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に平行となるように伸線してセグメントaを作製するセグメントa作製工程、
前記円形セグメントを、断面が正六角形であって、前記単芯矩形線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に直角となるように伸線してセグメントbを作製するセグメントb作製工程、
銀または銀合金製の第1シース内において、断面正六角形の中心部の周囲に、1本または複数本の前記セグメントaを、前記中心部の断面中心から中心部の断面の各辺の中心を通る延長線上に、前記単芯矩形線同士の境界線が前記延長線に直角に位置するように配置し、複数本の前記セグメントbを、その他の空間に、前記単芯矩形線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置するセグメント配置工程、
さらに、前記第1シースを伸線して複数本のセグメントをハニカム状に密接に嵌合させるセグメント嵌合工程とを有することを特徴とする酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法である。
請求項6の発明は、前記の酸化物超電導線材の前駆体の好ましい製造方法の発明である。本発明においては、予め単芯丸線を圧延やダイス引抜加工をして、単芯矩形線とするため、薄くて幅広の形状を有するリボン状のフィラメトを容易に形成することができる。また、予め単芯矩形線を接合した集合体を用いてセグメントを作製するため、個々の形状の単芯線を作製する必要がない。
請求項7の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線が、伸線された後、熱処理されていることを特徴とする酸化物超電導線材である。
請求項7の発明においては、酸化物超電導体の結晶の配向性を高め、また電流を迂回させるルートが限定されないという本発明の効果を顕著に発揮する臨界電流密度の高い酸化物超電導線材を提供することができる。
そして、前記酸化物超電導線材の前駆体線、伸線により断面が等方的な形状に形成した後、熱処理して酸化物超電導線材を作製することが好ましい
上記においては、リボン状のフィラメントが同心円状に配置されているため、フィラメントの幅広面に沿って、例えばBi−2223の場合、ab面が配向した組織が得られ、良好な電流のパスが形成される。また、外部磁界に対する臨界電流密度の異方性が無い酸化物超電導線材を提供することができる。さらに、ツイスト加工を施す酸化物超電導線材の場合、ツイスト加工後に圧延を行わないため、テープ状酸化物超電導線材のように圧延を施す線材に比べてツイストピッチを小さくすることができるため、交流損失をより小さくすることができる。
なお、ここでいう「等方的な断面」とは、断面の形状が円形の他、正六角形や正八角形等の正多角形等を指す。
なお、丸線で仕上げる場合には、フィラメントの厚みを薄くするため、テープ線にする場合よりもフィラメント本数を増やすか、仕上り線をより小さなサイズまで加工することが好ましい。
請求項の発明は、
前記酸化物超電導線材の前駆体線が、伸線され、その後テープ状に圧延された後、熱処理されていることを特徴とする請求項7に記載の酸化物超電導線材である。
請求項の発明においては、熱処理する前にテープ状に圧延されるため、アスペクト比の高くフィラメントが密度高く充填された高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材を提供することができる。
たとえば断面が直径1.5mmの酸化物超電導線材の前駆体線を厚み0.2mm、幅4mm程度のテープ状に加工すると、厚みが約5μmで幅が200〜300μmの均一なフィラメントが得られる。
請求項の発明は、
フィラメントの厚さが4〜20μm、幅が200〜1000μmであることを特徴とする請求項に記載の酸化物超電導線材である。
請求項の発明においては、前記の本発明の製造方法を用いているため、フィラメントの厚さを4〜20μmと、従来のフィラメントの厚さに比べて薄くすることができる。このため、酸化物超電導体の結晶の配向性をより高めることができる。また、フィラメントが前記のように薄いにも拘らずフィラメントの幅を200〜1000μmにすることができるため、局所欠陥を迂回する電流のルートが限定されることがない。このため、より安定して高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材を提供することができる。
請求項1の発明は、
Bi系酸化物超電導線材であることを特徴とする請求項7ないし請求項のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材である。
請求項1の発明においては、フィラメントがab面の配向性の高いBi系酸化物超電導体を主成分とするため、特に高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材を提供することができる。
即ち、酸化物超電導体の中でも、ab面が配向した組織を有するBi系酸化物超電導体は特に高臨界電流密度を有する。そして、本発明を適用したBi系酸化物超電導線材の場合、フィラメントが前記の通り、同心円状に配されているため、テープ状に加工する前の丸線においてもフィラメントの幅広面に沿って例えばBi−2223の前駆体であるBi−2212(BiSrCaCu8−δ、(Bi,Pb)SrCaCu8−δ等のビスマス系2212相)、Bi−2201のab面が配向した加工組織が得られる。そして、この丸線を熱処理すると、フィラメントの幅広面にそってBi−2223のab面が配向した組織が得られるため、特に高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材を提供することができる。
本発明によれば、高臨界電流密度を有する酸化物超電導線材の前駆体線、ひいては酸化物超電導線材を安定して提供することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
先ず、セグメントの構成について説明する。
(1)3本の単芯線からなる外周セグメントの構成
イ.セグメントa
図1は本発明の一実施の形態に係る酸化物超電導線材の前駆体線のセグメントであって、3本の単芯線からなるセグメントの断面を示す図である。図1(a)はセグメントa(1a)の断面を示す図であって、上側の図は単芯線同士の境界線の状態を示し、下側の図はフィラメントの形状と配置を示す図である。図1(a)に示すようにセグメントaは断面が正六角形であり、酸化物超電導体の前駆体を主成分としリボン状に形成された3本のフィラメント2、銀または銀合金製の第2シース3から構成されており、各フィラメント2の幅広面13および単芯線同士の境界線4はセグメントaのいずれか1辺、即ち図1(a)の場合は上辺または下辺と略平行である。そして、上下両端のフィラメントは断面形状が台形に形成されている。
ロ.セグメントb
図1(b)はセグメントb(1b)の断面を示す図であって、上側の図は単芯線同士の境界線の状態を示し、下側の図はフィラメントの形状と配置を示す図である。図1(b)に示すようにセグメントbの場合は、フィラメント2の幅広面13および境界線4はセグメントbのいずれか1辺、即ち図1(b)の場合は上辺または下辺に対して略直角である。そして、左右両端のフィラメントは断面形状が三角形に形成されている。
(2)3本以外の単芯線からなる外周セグメントの構成
3本以外の単芯線からなるセグメントの好ましい構成例として図2に2本および4本の単芯線からなるセグメントaおよびセグメントbの断面を示す。図2(a)、図2(b)はそれぞれ単芯線が4本、2本からなるセグメントa(各フィラメント2の幅広面13および単芯線同士の境界線4がセグメントのいずれか1辺と略平行)である1a、およびセグメントb(フィラメント2の幅広面13および境界線4がセグメントのいずれか1辺に対して略直角)である1bの断面を示す図である。図2(a)に示すようにセグメントaにおいては上下両端のフィラメントの断面は台形に形成され、一方図2(b)に示すようにセグメントbにおいては左右両端のフィラメントの断面は三角形または五角形に形成されている。
(3)酸化物超電導線材の前駆体線の構成
次いで、本発明の一実施の形態に係る酸化物超電導線材の前駆体線の構成について説明する。なお、以下においては説明の便宜上、前記の単芯線を単芯セグメントと称し、単芯線の集合体をセグメント集合ユニットと称する。
図3は本発明の一実施の形態に係る典型的な酸化物超電導線材の前駆体線5におけるセグメントの断面形状と配置を示した図である。図3に示すように酸化物超電導線材の前駆体線5の断面は、中心部に正六角形の中心セグメントc(1c)が配置され、中心セグメントc(1c)周囲に正六角形のセグメント集合ユニットa(1a)、セグメント集合ユニットb(1b)が密接してハニカム状に配置されている。図3に示した例はセグメント集合ユニットa、セグメント集合ユニットbが共に3本の単芯セグメントからなる例である。なお、図3においては図面が煩雑になることを避けるため、フィラメントの図示を省略している。
図3に示すように、酸化物超電導線材の前駆体線5は、第1シース6の中心に配置した中心セグメントc(1c)の断面中心から前記中心セグメントc(1c)の断面の各辺の中心を通る延長線7上に、各4本のセグメント集合ユニットa(1a)が、単芯セグメント同士の境界線4が延長線7に直角に位置するように配置され、その他の空間には、複数のセグメント集合ユニットb(1b)が、単芯線同士の境界線4が中心セグメントc(1c)を取り囲むように配置されている。
(4)セグメント集合ユニットの作製
次にセグメント集合ユニットの作製について説明する。
A.セグメント集合ユニットの第1の作製方法
セグメント集合ユニットの第1の作製方法は、単芯丸線を圧延および/またはダイス引き抜き加工して、断面外周が直線部から構成された断面多角形の単芯セグメントを作製し、作製した単芯セグメントを複数本組み合わせてセグメント集合ユニットを作製する方法である。
a.セグメント集合ユニットaの作製
イ.単芯丸線の作製
図4aはセグメント集合ユニットの第1の作製方法によるセグメント集合ユニットaの作製の流れを示すフロー図である。
図4aに示すように、まず単芯丸線8を作製する。具体的には、所定の外形および内径を有する銀または銀合金製の円筒状の第2シース3の中に酸化物超電導体の前駆体を主成分とする粉末を充填してフィラメント2を形成した後、所定の太さになるように伸線して単芯丸線8を作製する。
ロ.断面矩形の単芯セグメントの作製
次いで、作製した単芯丸線8を所定の厚さに圧延および/またはダイス引き抜き加工して断面外周部が直線部で構成された断面矩形の単芯セグメント9aおよび9a’を作製する。この圧延および/またはダイス引き抜き加工の工程でフィラメント2は幅広面13、13’を有する薄いリボン状に圧延等がなされ、前駆体粉末の結晶の配向性が高められる。また、フィラメント2の幅広面13、13’は最長の直線部10、10’と略平行となっている。
ハ.断面多角形の単芯セグメントの作製
作製した断面矩形の単芯セグメント9aおよび9a’を再度圧延および/またはダイス引き抜き加工をして断面が六角形の単芯セグメント17a、断面が台形の単芯セグメント17a’を作製する。
ニ.単芯セグメントの組み合わせ
作製した単芯セグメント17aを中央に配置し、その両側に単芯セグメント17a’を配置して単芯セグメント17aの最長の直線部10と単芯セグメント17a’の最長の直線部10’を接合させて断面が正六角形のセグメント集合ユニットa(1a)を作製する。このようにして作製されたセグメント集合ユニットa(1a)においては、単芯セグメント同士の境界線4が正六角形の1辺と平行になっている。
b.セグメント集合ユニットbの作製
イ.単芯丸線および断面矩形の単芯セグメントの作製
図4bはセグメント集合ユニットの第1の作製方法によるセグメント集合ユニットbの作製の流れを示すフロー図である。
図4bに示すように、前記セグメント集合ユニットaの作製の場合と同様にまず単芯丸線8を作製する。次いで、作製した単芯丸線8を所定の厚さに圧延および/またはダイス引き抜き加工をして断面外周部が直線部で構成された断面矩形の単芯セグメント9bおよび9b’を作製する。この圧延および/またはダイス引き抜き加工の工程でフィラメント2は幅広面13、13’を有する薄いリボン状に圧延され、前駆体粉末の結晶の配向性が高められる。また、フィラメント2の幅広面13、13’は最長の直線部10、10’と略平行となっている。
ロ.断面多角形の単芯セグメントの作製
作製した断面矩形の単芯セグメント9b’を再度圧延および/またはダイス引き抜き加工をして断面が三角形の単芯セグメント17b’を作製する。
ハ.単芯セグメントの組み合わせ
作製した断面矩形の単芯セグメント9bを中央に配置し、その両側に単芯セグメント17b’を配置して断面矩形の単芯セグメント9bの最長の直線部10と単芯セグメント17b’の最長の直線部10’を接合させて断面が正六角形のセグメント集合ユニットb(1b)を作製をする。このようにして作製されたセグメント集合ユニットb(1b)においては、単芯セグメント同士の境界線4が正六角形の1辺に直角になっている。
B.セグメント集合ユニットの第2の作製方法
セグメント集合ユニットの第2の作製方法は、単芯丸線を圧延および/またはダイス引き抜き加工をして、断面矩形の単芯セグメントを作製し、作製した断面矩形の単芯セグメントを2本以上、断面外周の最長の直線部同士を接合して断面矩形の単芯セグメントの集合体とした後、前記集合体を伸線して断面が円形の円形セグメントを作製し、円形セグメントをさらに加工して断面が正六角形のセグメント集合ユニットを作製する方法である。
イ.単芯丸線および断面矩形の単芯セグメントの作製
図5はセグメント集合ユニットの第2の作製方法によるセグメント集合ユニットa、セグメント集合ユニットbの作製の流れを示すフロー図である。まず前記セグメント集合ユニットの第1の作製方法と同様の方法で単芯丸線8を作製する。次いで作製した単芯丸線8に圧延および/またはダイス引き抜き加工をして断面外周部が直線部で構成された断面矩形の単芯セグメント9を作製する。この圧延の工程でフィラメント2は幅広面13を有する薄いリボン状に圧延され、前駆体粉末の結晶の配向性が高められる。また、フィラメント2の幅広面13は最長の直線部10と略平行となっている。
ロ.単芯矩形線の集合体の作製
次いで、作製した単芯矩形線9の複数本(図5には3本の例を示している。)を最長の直線部10同士が接するように積層して加熱し、最長の直線部10同士を接合する。なお、接合された最長の直線部10が単芯線同士の境界線4となる。
ハ.円形セグメントの作製
次いで、作製した集合体11を、所定の径を有する断面が円形の線になるように伸線して円形セグメント12を作製する。このように、集合体11から直接六角形のセグメント集合ユニットを作製するのではなく一旦円形セグメントを経由することにより伸線時に過度に不均一な応力が加わったり、不均一な変形が発生することを抑制できる。
ニ.セグメント集合ユニットaの作製
次いで、作製した円形セグメント12を断面が所定の長さの辺を有する正六角形に形成されると共に、境界線4が正六角形のいずれか1辺に平行に形成されるように伸線し、セグメント集合ユニットa(1a)を作製する。
ホ.セグメント集合ユニットbの作製
一方、円形セグメント12を、断面の辺の長さがセグメント集合ユニットaと同じであって、境界線4が正六角形のいずれか1辺に直角に形成されるように伸線し、セグメント集合ユニットb(1b)を作製する。
なお、図5の円形セグメント12からセグメント集合ユニットa(1a)およびセグメント集合ユニットb(1b)に至る中間の図に破線で示した正六角形は、セグメント集合ユニットの断面形状を正六角形にすることを示すための架空の線である。
(5)前駆体線および酸化物超電導線材の作製
次に前駆体線および酸化物超電導線材の作製について説明する。
イ.前駆体線の作製
1本の中心セグメントおよび所定本数のセグメント集合ユニットaおよびセグメント集合ユニットbを前記図3に示す構成となるように所定の外径および内径を有する銀または銀合金製の円筒状の第1シース6の中に挿入し、その後伸線して挿入した複数本のセグメント集合ユニットをハニカム状に密接させて嵌合し、前駆体線を作製する。なお、図6および図7はこのようにして作製された前駆体線の断面構造の1例を示す断面図であって、図6はセグメントの配置を示す図であり、図7はフィラメントの配置を示す図である。図7に示すように、いずれのフィラメント2についても幅広面13が前駆体線5の中心(中心セグメント)を囲むようにフィラメント2が配置されている。なお、図6、図7に示した例は、最外周に一部断面が五角形のセグメント集合ユニットを配置した例である。
ロ.酸化物超電導線材の作製
前記により作製された酸化物超電導線材の前駆体線をさらに伸線し、所定の条件で熱処理を行って酸化物超電導線材を作製する。このようにして作製された酸化物超電導線材は、前記のように酸化物超電導線材の前駆体線のいずれのフィラメントについても幅広面が前駆体線の中心部(中心セグメント)を囲むようにフィラメントが配置されているため、伸線による縮径に際して幅広面13に応力が均一に加わり、その結果フィラメントを構成する酸化物超電導体の前駆体の結晶の配向性が高められ、さらに第2シース3の破れ発生が抑制された酸化物超電導線材として形成されている。
なお、前記酸化物超電導線材の前駆体線の伸線においては、酸化物超電導線材の前駆体線を所定の太さの断面形状が円形や六角形などの等方的な形状に伸線することが好ましい
。また、伸線後、さらに圧延してテープ状や断面形状がテープ状と円形の中間的な矩形線材を作製することもできる。これらテープ状の線材や矩形線材は丸線と比べると臨界電流密度、交流損失の外部磁場に対する異方性は大きくなるが、丸線から圧延加工で矩形断面に加工することによって、粉末の密度を高めることができるので、臨界電流密度が高くなる。
以下、実施例に基づいて詳細に説明する。
(1)実施例1〜実施例5
実施例1〜実施例5は、中心部に断面正六角形の銀製の中心セグメントを配置し、前記セグメント集合ユニットの第1の作製方法により作製したセグメント集合ユニットを用いて酸化物超電導線材の前駆体線を作製した例である。
イ.単芯セグメントおよびセグメント集合ユニットの作製
Br、PbO、SrCO、CaCO およびCuOを、Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=1.7:0.3:1.9:2:3の組成比になるように、混合した。混合物に対し、熱処理および粉砕を繰返して行ない、酸化物超電導体の前駆体である粉末を得た。得られた粉末を、外径50mm、内径46mmの銀製の第2シース中に充填し、これを3mmφまで伸線して単芯丸線とし、さらに、断面が幅3mmから4mm、厚さ0.5mmから1mmとなるように圧延して、断面矩形の単芯セグメントとし、さらに異形ダイスを用いて伸線して図4aに示した断面が台形、六角形、および図4bに示した三角形の複数の単芯セグメントを作製した。これらの断面が台形と六角形の単芯セグメントを組み合わせてセグメント集合ユニットaを作製し、断面矩形の単芯セグメントと三角形の単芯セグメントを組み合わせてセグメント集合ユニットbを作製した。
ロ.前駆体線の作製
外径38mm、内径32mmの銀製の第1シースの断面の中心に銀製の中心セグメントcを配置し、前記した前駆体線の作製方法に従い酸化物超電導線材の前駆体線を作製した。配列したセグメント集合ユニットa、bの単芯線の数は200本を超える本数にした。実施例1〜実施例5におけるセグメント集合ユニットa、セグメント集合ユニットbの1本のセグメント集合ユニットに含まれる単芯セグメントの本数、1本の酸化物超電導線材の前駆体線に含まれるセグメント集合ユニットの本数(セグメント集合ユニットaの本数+セグメント集合ユニットbの本数)および単芯セグメントの本数を表1に示す。
ハ.伸線テスト
前記実施例1〜実施例5において作製した酸化物超電導線材の前駆体線について、直径1.6mmφまで伸線した後切断し、断面観察によりの第2シースの破れ箇所を観察した。そして、1断面当たりに、破れ箇所の数が10以上あれば×、10未満は○と判定した。結果を表1に示す。
Figure 0005131063
(2)比較例1〜比較例3
次に、比較例1〜比較例3として、前記実施例と同じ第1シースに前記実施例において作製した正六角形断面の単芯線をそれぞれ217本、271本、331本挿入した後、実施例同様1.6mmφまで伸線し、第2シースの破れ箇所を観察し、実施例と同様に判定した。結果を表2に示す。
Figure 0005131063
表1および表2から分かる通り、本発明の実施例の場合には、第2シースの破れが10箇所未満に抑制されているが、比較例の場合には10箇所以上発生しており、本発明の効果が顕著に示されている。
(3)酸化物超電導線材の作製と性能評価
イ.酸化物超電導線材(丸線)
前記実施例2で用いた酸化物超電導線材の前駆体線と比較例2で用いた単芯丸線の前駆体線を、830℃で20時間、酸素分圧が8kPaで大気圧下の条件で熱処理した後、1.5mmφに伸線して、830℃で50時間、酸素分圧が8kPa、全圧30MPaの条件で熱処理し、酸化物超電導線材(丸線)とした。液体窒素温度、外部磁場0において作製した酸化物超電導線材(丸線)の臨界電流を測定した。結果は比較例2の前駆体線を用いた場合の臨界電流値が70Aであったのに対して、実施例2の前駆体線を用いた場合においては臨界電流値が110Aであった。
ロ.酸化物超電導線材(テープ線)
前記実施例2で用いた酸化物超電導線材の前駆体線を直径1.6mmφに伸線した線材と比較例2で用いた単芯丸線の前駆体線を直径1.6mmφに伸線した線材を、厚み0.26mmになるよう圧延した後、830℃で20時間、酸素分圧が8kPaで大気圧下の条件で熱処理した。その後厚みが0.24mmとなるよう再度圧延を施した。次いで、830℃で50時間、酸素分圧が8kPaで全圧30MPaの条件で熱処理を行ない酸化物超電導線材(テープ線)を作製した。これら両者のテープ線について前記丸線の場合と同じ条件で臨界電流を測定した。結果は比較例2の前駆体線を用いた場合の臨界電流値が160Aであったのに対して、実施例2の前駆体線を用いた場合においては臨界電流値が230Aであった。
以上の結果から、丸線同士、テープ線同士の比較において、本発明に係る酸化物超電導線材が、従来の酸化物超電導線材に比べて非常に高い臨界電流密度を有していることが分かる。
本発明に係る酸化物超電導線材の前駆体線を構成する外周セグメントの構成の1例を示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の前駆体線を構成する外周セグメントの構成の他の例を示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の前駆体線の構成の典型例を示す断面図である。 セグメント集合ユニットの第1の作製方法によるセグメント集合ユニット作製の流れを示すフロー図である。 セグメント集合ユニットの第2の作製方法によるセグメント集合ユニット作製の流れを示すフロー図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の前駆体線の構成の1例を示す断面図である。 本発明に係る酸化物超電導線材の前駆体線の構成の1例におけるフィラメントの配置を示す断面図である。 従来の酸化物超電導線材の前駆体線の構成の第1の例を示す断面図である。 従来の酸化物超電導線材の前駆体線の構成の第2の例を示す断面図である。 従来の酸化物超電導線材の前駆体線の作製におけるシースにセグメントを挿入する工程を示す斜視図である。 従来の酸化物超電導線材の前駆体線の構成の第3の例を示す断面図である。 従来の酸化物超電導線材の前駆体線の構成の第4の例を示す断面図である。 従来法により作製された芯数の多い酸化物超電導線材の断面構造を示す図である。
符号の説明
1a セグメント集合ユニットa
1b セグメント集合ユニットb
1c 中心セグメント
2、2’ フィラメント
3 第2シース
4 境界線
5 前駆体線
6 第1シース
7 延長線
8、14 単芯丸線
9、9a、9a’、9b、9b’ 断面矩形の単芯セグメント
10、10’ 最長の直線部
11 集合体
12 円形セグメント
13、13’ 幅広面
15 単芯六角線
16 単芯矩形線
17a、17a’、17b 単芯セグメント

Claims (10)

  1. 銀または銀合金製の第1シースの内側に、断面正六角形の中心部を取り囲む複数本の断面正六角形の外周セグメントがハニカム状に密接して配置されている酸化物超電導線材の前駆体線であって、
    前記外周セグメントは、酸化物超電導体の前駆体のリボン状のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆され断面外周が直線部から構成された単芯線を、最長の直線部同士が相互に接するように配置された単芯線の集合体であって、単芯線同士の境界線が前記外周セグメントの断面のいずれか1辺に平行であるセグメントa、およびいずれか1辺に直角であるセグメントbにより構成され、
    前記中心部の断面中心から前記中心部の断面の各辺の中心を通る延長線上に、1本または複数本の前記セグメントaが、前記単芯線同士の境界線が前記延長線に直角に位置するように配置され、
    その他の空間には、複数本のセグメントbが、前記単芯線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置されていることを特徴とする酸化物超電導線材の前駆体線。
  2. 前記セグメントbは、断面形状が三角形または五角形のフィラメントを有することを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材の前駆体線。
  3. 前記外周セグメントが2〜4本の単芯線の集合体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の酸化物超電導線材の前駆体線。
  4. 前記単芯線の総本数が200本を超えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法であって、
    酸化物超電導体の前駆体のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆された断面が円形の単芯丸線を圧延および/またはダイス引き抜き加工して、断面外周が直線部から構成された断面多角形の単芯線を作製する単芯線作製工程、
    前記単芯線を2本以上、断面が正六角形であって単芯線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に平行となるように組み合わせてセグメントaを作製するセグメントa作製工程、
    前記単芯線を2本以上、断面が正六角形であって単芯線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に垂直となるように組み合わせてセグメントbを作製するセグメントb作製工程、
    銀または銀合金製の第1シース内において、断面正六角形の中心部の周囲に、複数本の前記セグメントaおよびセグメントbを、単芯線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置するセグメント配置工程、
    さらに、前記第1シースを伸線して複数本のセグメントをハニカム状に密接に嵌合させるセグメント嵌合工程とを有することを特徴とする酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法であって、
    酸化物超電導体の前駆体のフィラメントの周囲に銀または銀合金製の第2シースが被覆された断面が円形の単芯丸線を圧延および/またはダイス引き抜き加工して、断面外周が直線部から構成された単芯矩形線を作製する単芯矩形線作製工程、
    前記単芯矩形線を2本以上、断面外周の最長の直線部同士を接合して単芯矩形線の集合体を作製する集合体作製工程、
    前記集合体を伸線して断面が円形の円形セグメントを作製する円形セグメント作製工程、
    前記円形セグメントを、断面が正六角形であって、前記単芯矩形線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に平行となるように伸線してセグメントaを作製するセグメントa作製工程、
    前記円形セグメントを、断面が正六角形であって、前記単芯矩形線同士の境界線が前記正六角形のいずれか1辺に直角となるように伸線してセグメントbを作製するセグメントb作製工程、
    銀または銀合金製の第1シース内において、断面正六角形の中心部の周囲に、1本または複数本の前記セグメントaを、前記中心部の断面中心から中心部の断面の各辺の中心を通る延長線上に、前記単芯矩形線同士の境界線が前記延長線に直角に位置するように配置し、複数本の前記セグメントbを、その他の空間に、前記単芯矩形線同士の境界線が前記中心部を取り囲むように配置するセグメント配置工程、
    さらに、前記第1シースを伸線して複数本のセグメントをハニカム状に密接に嵌合させるセグメント嵌合工程とを有することを特徴とする酸化物超電導線材の前駆体線の製造方法。
  7. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材の前駆体線が、伸線された後、熱処理されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  8. 前記酸化物超電導線材の前駆体線が、伸線され、その後テープ状に圧延された後、熱処理されていることを特徴とする請求項7に記載の酸化物超電導線材。
  9. フィラメントの厚さが4〜20μm、幅が200〜1000μmであることを特徴とする請求項に記載の酸化物超電導線材。
  10. Bi系酸化物超電導線材であることを特徴とする請求項7ないし請求項のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
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