JP5848677B2 - 超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法 - Google Patents

超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5848677B2
JP5848677B2 JP2012174196A JP2012174196A JP5848677B2 JP 5848677 B2 JP5848677 B2 JP 5848677B2 JP 2012174196 A JP2012174196 A JP 2012174196A JP 2012174196 A JP2012174196 A JP 2012174196A JP 5848677 B2 JP5848677 B2 JP 5848677B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
superconducting wire
pipe
precursor
alloy
wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012174196A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014032930A (ja
Inventor
一実 大圃
一実 大圃
中川 和彦
和彦 中川
守男 木村
守男 木村
Original Assignee
株式会社Shカッパープロダクツ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社Shカッパープロダクツ filed Critical 株式会社Shカッパープロダクツ
Priority to JP2012174196A priority Critical patent/JP5848677B2/ja
Publication of JP2014032930A publication Critical patent/JP2014032930A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5848677B2 publication Critical patent/JP5848677B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Landscapes

  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

本発明は、高磁場マグネットなどに応用可能な高Jc(臨界電流密度)なNb3Sn超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法に関するものである。
Nb3Sn(ニオブ3スズ)超電導線材の製造方法として、従来よりブロンズ法が広く用いられている。
ブロンズ法は、Cu−Sn合金(所謂ブロンズ)製のマトリクス中に多数のNbフィラメントを配置した構造の前駆体に熱処理を施すことにより、Cu−Sn合金中のSnをNbフィラメントに拡散させてNbフィラメントの部分にNb3Snを生成し、超電導線材とする方法である。
しかし、この方法では、Cu−Sn合金におけるSnの固溶限は16質量%程度が上限であるため、それ以上のNb3Snの生成は困難、臨界電流値(Ic)にも限界が生じていた。
これに対して、Snの供給源をCu−Sn合金以外とし、より多くのSnを供給できる内部スズ法(内部拡散法ともいう)が提案されている。
内部スズ法は、Cu製のマトリクス(Cuマトリクスという)の内部に複数本のNbフィラメントを配置し、さらにCuマトリクスの中心部にSn供給源としてSnまたはSn合金層を配置した構造のサブエレメント線を作製し、これを複数本束ねて作製した多芯線材からなる前駆体に熱処理を行うことにより、SnまたはSn合金層からCuマトリクスを介してNbフィラメントにSnを拡散させ、Nbフィラメントの部分にNb3Snを生成し、超電導線材とする方法である。
また、内部スズ法において、Cuマトリクス中に多芯のNbフィラメントを配置したNbエレメントと、Snあるいは外周にCuを配置した単芯のSnエレメントをそれぞれ複数本複合化して作製した多芯線材からなる前駆体を用いる方法も提案されている(特許文献1)。
さらにまた、本出願人は、内部スズ法において、Cuマトリクス中に1本のNbフィラメントを配置した単芯のNbエレメントとCuマトリクス中に1本のSnフィラメントを配置した単芯のSnエレメントをそれぞれ複数本複合化して作製した多芯線材からなる前駆体を用いる方法を提案している。この方法では、SnフィラメントのサイズをNbフィラメントと同じ程度にすることができ、Snフィラメント変形時のNbフィラメントの配置の乱れを低減し、Snフィラメントに生成するボイドの大きさをNbフィラメントサイズ以下として、電磁力を受けたときのフィラメントの不安定性を改良できる特徴がある。
これらの内部スズ法では、ブロンズ法に比べてSnの複合化の割合を高くすることができるため、超電導線材のJc(臨界電流密度)として例えば12Tの磁場中でnon−Cu Jc=2900A/mm2の高い特性が得られている(非特許文献1)。
特開2006−4684号公報
J.A.Parrell他、「High field Nb3Sn Conductor Development at Oxford Superconducting Technology」、IEEE Transactions on Applied Superconductivity、vol.13、No.2、2003年6月、pp.3470−3473
ところで、内部スズ法(内部拡散法)において、Snエレメントは、Snの原料となる単体のSn棒(Sn又はSn合金からなるロッド)あるいはCuパイプの中にSn棒を収容した複合材を、伸線加工などにより縮径加工(減面加工)して作製される。
超電導線材の前駆体の内部におけるNbの分量に対するSnの分量、すなわちNbとSnの比率は、適切な比率のNb3Snを生成する上で重要である。超電導特性を高めるためには、できるだけNbとSnの分量を多くすることが望まれる。
Cuパイプの中にSn棒を収容した複合材を用いる場合、Snの分量は、使用するCuパイプの厚みによって調整することができる。この場合、Snの分量を多くするために、Cuパイプの厚みを減らしてSnの分量をできるだけ大きくすることが望まれる。
しかし、Cuパイプの断面積に対するSnフィラメント(伸線加工によりフィラメント状となったSn棒)の断面積の比率であるCu比(=Cuパイプの断面積/Snフィラメントの断面積)を小さくしたり、Snフィラメント単体とする(つまりCu比=0とする)と、伸線加工の工程で断線が頻繁に発生して、前駆体に組み込むために必要な線径まで縮径加工を行うことが困難になるという問題が生じる。
前駆体に組み込むために必要な線径まで断線させずに伸線加工を行うためには、Cu比を大きく(つまりCuパイプを厚く)する必要があり、その結果、前駆体内に組み込むことができるSnの分量が制限され、超電導特性(臨界電流特性)が低く制限されていた。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、SnエレメントのCu比を低くしてもSnエレメントを断線させずに伸線加工でき、Snの分量を増加して高い臨界電流特性を得ることが可能な超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、第1のCuパイプ内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメントと、第2のCuパイプ内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメントとを、前記Snエレメント同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ内に収容した超電導線材の前駆体であって、前記Snエレメントは、分割用Cuパイプ内にSn又はSn合金を配置した素線を複数束ね、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成されている超電導線材の前駆体である。
前記Snエレメントは、前記素線を10本以上束ね、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成されていてもよい。
また、本発明は、第1のCuパイプ内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメントと、第2のCuパイプ内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメントとを、前記Snエレメント同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ内に収容した超電導線材の前駆体であって、前記Snエレメントは、Sn又はSn合金からなるSnシートと、CuからなるCuシートとを重ねて巻き回し、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成されている超電導線材の前駆体である。
前記Snエレメントは、前記Snシートと前記Cuシートとを重ねて5回以上巻き回し、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成されてもよい。
前記Sn合金が、Ti、Zn、Cuのうち少なくともひとつの元素を0.1質量%以上5質量%以下含有し、前記Nb合金が、Ta、Ti、Vのうち少なくともひとつの元素を含有してもよい。
また、本発明は、前記超電導線材の前駆体を熱処理して形成される超電導線材である。
また、本発明は、第1のCuパイプ内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメントと、第2のCuパイプ内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメントとを、前記Snエレメント同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ内に収容して超電導線材の前駆体を形成し、該超電導線材の前駆体に熱処理を行って超電導線材を製造する超電導線材の製造方法であって、前記Snエレメントを、分割用CuパイプにSn又はSn合金を配置した素線を複数束ね、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成する超電導線材の製造方法である。
また、本発明は、第1のCuパイプ内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメントと、第2のCuパイプ内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメントとを、前記Snエレメント同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ内に収容して超電導線材の前駆体を形成し、該超電導線材の前駆体に熱処理を行って超電導線材を製造する超電導線材の製造方法であって、前記Snエレメントを、Sn又はSn合金からなるSnシートと、CuからなるCuシートとを重ねて巻き回し、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成する超電導線材の製造方法である。
前記超電導線材の前駆体を、650℃以上700℃以下の温度で、50時間以上300時間以下の時間熱処理して前記超電導線材を製造してもよい。
本発明によれば、SnエレメントのCu比を低くしてもSnエレメントを断線させずに伸線加工でき、Snの分量を増加して高い臨界電流特性を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る超電導線材の前駆体を示す横断面図である。 本発明の一実施の形態に係る超電導線材の前駆体を示す横断面図である。 本発明の比較対象となる比較例の超電導線材の前駆体を示す横断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施の形態に係る超電導線材の前駆体を示す横断面図である。
図1に示すように、超電導線材の前駆体1は、第1のCuパイプ4内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメント2と、第2のCuパイプ5内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメント3とを、Snエレメント2同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ6内に収容して構成される。
本実施の形態では、第2のCuパイプ5内にNb又はNb合金からなるロッドを配置し、伸線加工を行うことにより縮径して、第2のCuパイプ5内にNb又はNb合金からなるNbフィラメント7が収容された断面六角形状のNbエレメント3を形成した。
なお、これに限らず、例えば、Cuパイプ内にNb又はNb合金からなるロッドを配置し伸線加工して形成した複数の素線を束ね、その束ねた複数の素線を第2のCuパイプ5内に配置してさらに伸線加工を行うことで、第2のCuパイプ5内に複数本のNbフィラメントを配置した構成とすることも可能である。
Nbエレメント3に用いるNb合金としては、Ta、Ti、Vのうち少なくともひとつの元素を含有するものを用いることができる。本実施の形態では、Nb−1質量%Ta合金製のものを用いた。縮径後のNbエレメント3の対辺間の長さは、例えば1.2mmである。
また、超電導線材の前駆体1では、熱処理時にSnが外部へ拡散しないようにするための拡散バリア層8を備えている。拡散バリア層8は、例えばTa製のシートからなる。本実施の形態では、第3のCuパイプ6の内周面に沿って拡散バリア層8を備えるようにしたが、Snエレメント2の周囲に複数のNbエレメント3を配置し、その周囲を覆うように拡散バリア層を設けたサブエレメントを作製し、このサブエレメントを複数束ねて第3のCuパイプ6に収容するよう構成することも可能である。
次に、本発明の要部であるSnエレメント2について説明する。
本発明者らは、Snエレメント2が伸線加工中に断線する原因を鋭意検討した結果、Snは伸線加工しても結晶粒が微細化されにくく、例えば粒径が0.5mmを超えるような大きな結晶粒が残ることを見出した。伸線加工を行い線径が細くなっていくのに対して結晶粒が大きいままであると、伸線が進むとやがて線材の断面内に存在する結晶粒の数が減少し、一度粒界で粒界割れが発生すると線材全体が断線してしまうこととなり、断線の起こりやすい状況となっていることがわかった。
そこで、本発明では、Snエレメント2内のSnまたはSn合金をCuで分割した構成とし、Snの粒界割れが断面全体に及ぶのを防止できるようにした。
より具体的には、本実施の形態に係る超電導線材の前駆体1では、Snエレメント2は、分割用Cuパイプ9内にSn又はSn合金を配置した素線10を複数束ね、これを第1のCuパイプ4内に収容して形成される。
素線10は、分割用Cuパイプ9内にSn又はSn合金からなるロッドを配置し、これを伸線加工し縮径して断面六角形状に形成される。この素線10を複数本束ねて第1のCuパイプ4内に収容し、これを伸線加工し縮径して断面六角形状に形成したものがSnエレメント2として用いられる。伸線加工後のSnエレメント2では、複数のSn又はSn合金からなるSnフィラメント11がCu(分割用Cuパイプ9)により分割された状態になっている。
Snエレメント2に用いるSn合金としては、Ti、Zn、Cuのうち少なくともひとつの元素を0.1質量%以上5質量%以下含有するものを用いることができる。本実施の形態では、Sn−2質量%Ti合金製のものを用いた。縮径後のSnエレメント2の対辺間の長さは、例えば1.2mmであり、Nbエレメント3と同じサイズに形成される。
なお、分割数が少ないと十分な効果が得られないので、Snエレメント2は、素線10を10本以上(より好ましくは19本以上)束ね、これを第1のCuパイプ4内に収容して形成することが望ましい。換言すれば、Snエレメント2は、断面視において、第1のCuパイプ4内のSn又はSn合金をCuにより10分割以上(より好ましくは19分割以上)に分割して構成されることが望ましい。
複数のSnエレメント2と、複数のNbエレメント3とを、Snエレメント2同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ6内に収容し、所望の線径まで伸線加工を行い縮径すれば、超電導線材の前駆体1が得られる。
さらに、得られた超電導線材の前駆体1を熱処理すれば、Snエレメント2中のSnがCuを介してNbフィラメント7に拡散し、Nbフィラメント7の部分にNb3Snが生成されて、本実施の形態に係る超電導線材が得られる。このとき、超電導線材の前駆体1を650℃以上700℃以下の温度で、50時間以上300時間以下の時間熱処理して、超電導線材を製造するとよい。
本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係る超電導線材の前駆体1では、Snエレメント2を、分割用Cuパイプ9内にSn又はSn合金を配置した素線10を複数束ね、これを第1のCuパイプ4内に収容して形成している。
これにより、第1のCuパイプ4内でSn又はSn合金が分割されるので、Sn又はSn合金の粒界割れが断面全体に及ぶのを防止することが可能となる。その結果、Snエレメント2のCu比を従来よりも低くしてもSnエレメント2を断線させずに、Nbエレメント3と同等の太さまで伸線加工することが可能となり、Snの分量を増加して高い臨界電流特性を実現することが可能になる。
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
図2に示す超電導線材の前駆体21は、基本的に図1の超電導線材の前駆体1と同じ構成であるが、ジェリーロール構造のSnエレメント22を用いている点が異なっている。
超電導線材の前駆体21では、Snエレメント22は、Sn又はSn合金からなるSnシート23と、CuからなるCuシート24とを重ねて巻き回し、これを第1のCuパイプ4内に収容して形成されている。
本実施の形態では、Cu製の巻き芯25の周りにSnシート23とCuシート24を巻きつけた後、これを第1のCuパイプ4内に収容し、伸線加工を行うことにより縮径して断面六角形状のSnエレメント22を形成した。
超電導線材の前駆体21のようにSnエレメント22をジェリーロール構造とする場合、Sn又はSn合金の粒界割れが断面全体に及ぶのを防止するために、Snシート23とCuシート24とを重ねて5回以上巻き回して第1のCuパイプ4内に収容するようにし、Snエレメント22の直径上にSnシート23が10層以上(より好ましくは16層以上)存在するように構成することが望ましい。換言すれば、第1のCuパイプ4内のSn又はSn合金が存在する部分(Snフィラメント)の直径を10分割以上(より好ましくは16分割以上)するように、Snシート23とCuシート24を巻き回してSnエレメント22を構成することが望ましい。なお、図2では図を簡略化しており、Snシート23とCuシート24を巻き回す回数を実際よりも少なく描いている。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
(実施例1〜5)
外径が20mm、内径が18.9mmの分割用Cuパイプ9に直径が18.8mmのSn−2質量%Ti合金製のロッドを挿入し、これを伸線加工して対辺間の長さが6.18mm、3.75mm、2.26mm、1.84mm、1.54mmの5種類の断面六角形状の素線10を作製した。
5種類の素線10はそれぞれ7本、19本、55本、85本、121本束ねて各々外径20mm、内径18.9mmの第1のCuパイプ4に収容し、これらを伸線加工していずれも対辺間長さ1.2mmの断面六角形状の多芯のSnエレメント2を作製した。
次に、外径が20mm、内径が17mmの第2のCuパイプ5に外径が16.9mmのNb−1質量%Ta合金製のロッドを挿入し、これに伸線加工を施して、対辺間の長さが1.2mmの断面六角形状の単芯のNbエレメント3を作製した。
その後、外径32mm、内径26.5mmの第3のCuパイプ6の内径に沿って厚さ0.1mmのTa製のシートを5層重ね巻きした拡散バリア層8の内側に、5種類のSnエレメント2それぞれについて121本と、240本のNbエレメント3をSnエレメント2が隣接しないように分散させて配置し、これを線径1mmに伸線加工して、5種類のSnエレメント2に対応する実施例1〜5の超電導線材の前駆対1を作製した。
(実施例6〜9)
Sn−2質量%Ti合金を圧延して厚さが1.8mm、0.9mm、0.45mm、0.27mmのSnシート23を作製し、これをそれぞれ厚さが0.2mm、0.1mm、0.05mm、0.03mmのCuシート24と重ね合わせ、それぞれ直径2.9mmのCu製の巻き芯25の周りに巻き付けたのち、外径が20mm、内径が18.9mmの第1のCuパイプ4に挿入し、これに伸線加工を施していずれも対辺間の長さが1.2mmの断面六角形状の多芯のSnエレメント22を作製した。
次に、外径が20mm、内径が17mmの第2のCuパイプ5に外径が16.9mmのNb−1質量%Ta合金製のロッドを挿入し、これに伸線加工を施して、対辺間の長さが1.2mmの断面六角形状の単芯のNbエレメント3を作製した。
その後、外径32mm、内径26.5mmの第3のCuパイプ6の内径に沿って厚さ0.1mmのTa製のシートを5層重ね巻きした拡散バリア層8の内側に、4種類のSnエレメント2それぞれについて121本と、240本のNbエレメント3をSnエレメント2が隣接しないように分散させて配置し、これを線径1mmに伸線加工して、4種類のSnエレメント2に対応する実施例6〜9の超電導線材の前駆体21を作製した。
(比較例1〜3)
比較例1〜3では、比較のため、図3に示すような単芯の超電導線材の前駆体31を作製した。
外径が20mmで、内径が17.5mm、17.2mm、16.9mmの3本の第1のCuパイプ4にそれぞれ直径が17.4mm、17.1mm、16.8mmのSn−2質量%Ti合金製のロッドを挿入し、これを伸線加工して、第1のCuパイプ4内に1本のSnフィラメント33を配置した対辺間の長さが1.2mmの断面六角形状の単芯のSnエレメント32を3種類作製した。
次に、外径が20mm、内径が17mmの第2のCuパイプ5に外径が16.9mmのNb−1質量%Ta合金製のロッドを挿入し、これに伸線加工を施して、対辺間の長さが1.2mmの断面六角形状の単芯のNbエレメント3を作製した。
その後、外径32mm、内径26.5mmの第3のCuパイプ6の内径に沿って厚さ0.1mmのTa製のシートを5層重ね巻きした拡散バリア層8の内側に、3種類のSnエレメント32それぞれについて121本と、240本のNbエレメント3をSnエレメント32が隣接しないように分散させて配置し、これを線径1mmに伸線加工して、3種類のSnエレメント32に対応する比較例1〜3の超電導線材の前駆体31を作製した。
その後、作製した実施例1〜9の超電導線材の前駆体1,21、および比較例1〜3の超電導線材の前駆体31を用い、超電導化するために400℃×50時間+700℃×100時間で熱処理を行い、超電導線材を作製した。
作製した各超電導線材について、液体ヘリウム中(温度4.2K)で12Tの磁場を与えた中で臨界電流値を測定した。臨界電流値は、線材長さ1cmあたり0.1μVの電圧が発生したときの電流値と定義した。伸線加工時のSnエレメント2,22,32の断線の有無、および測定した臨界電流値等をまとめて表1に示す。なお、表1における芯数はSnフィラメント11またはNbフィラメント7の数、JR層数はSnエレメント22の直径上に存在するSnシート23の層数を表している。
表1に示すように、比較例1では、Snエレメント32を伸線加工する際に断線が頻発して所定のサイズのSnエレメント32が作製できず、超電導線材の前駆体31が作製できなかった。これに対して、比較例2,3では、断線が起こらず所定のサイズまで伸線加工してSnエレメント32を作製することができ、超電導線材の前駆体31を作製できた。
比較例1はCu比が0.310であるのに対し、比較例2,3はCu比が0.356,0.405であるから、単芯のSnエレメント32を用いる場合には、Snエレメント32のCu比を約0.35以上とする必要があることが分かる。
多芯化することでSnエレメント2内のSn又はSn合金の部分を分割した実施例1〜5は、いずれもSnエレメント2のCu比が0.27〜0.28であり、芯数を7〜121の範囲で変化させたものである。
このうち7芯とした実施例1では、Snエレメント2の伸線加工中に一部断線が発生した。このため、断線の起こらなかった良品部分を用いて超電導線材の前駆体1を作製した。これに対して、19芯以上とした実施例2〜5においては、断線が起こらず所定のサイズまで伸線加工してSnエレメント2を作製することができ、361芯の超電導線材の前駆対1を作製することができた。
この結果から、Snフィラメント11をおよそ10分割以上(より好ましくは19分割以上)とすることで、単芯のSnエレメント32のときには断線してしまうような低いCu比の場合でも、断線を発生させずに伸線加工を行うことが可能になることが分かる。
また、ジェリーロール構造とすることでSnエレメント22内のSn又はSn合金の部分を分割した実施例6〜9は、いずれもSnエレメント22のCu比は0.276であり、積層するSnシート23とCuシート24の厚さを変えて、Snエレメント22の直径上におけるSnシート23の層数(JR層数)をそれぞれ8,16,32,約53としたものである。
このうちSnシート23のJR層数を8層とした実施例6では、Snエレメント22の伸線加工中に一部断線が発生した。このため、断線の起こらなかった良品部分を用いて超電導線材の前駆対21を作製した。これに対して、Snシート23のJR層数を16層以上とした実施例7〜9においては、断線が起こらず所定のサイズまで伸線加工してSnエレメント22を作製することができ、361芯の超電導線材の前駆対21を作製することができた。
この結果から、ジェリーロール構造としたSnエレメント22とする場合は、Snエレメント22の直径上にSnシート23が10層以上(より好ましくは16層以上)存在する構成とする、すなわちSnフィラメントの直径を10分割以上(より好ましくは16分割以上)に分割する構成とすることで、単芯のSnエレメント32では断線が発生するような低いCu比の場合でも、断線せずに伸線加工を行うことが可能であることが分かる。
作製した実施例1〜9の超電導線材の前駆体1,21を用いて作製した超電導線材、および比較例2,3の超電導線材の前駆体31を用いて作製した超電導線材の臨界電流密度を測定した結果、実施例1〜5の超電導線材の前駆体1を用いて作製した超電導線材では、non−Cu Jcはおよそ2800〜2840A/mm2(4.2K、12T)であった。また、実施例6〜9の超電導線材の前駆体21を用いて作製した超電導線材においても、これとほぼ同じ2790〜2830A/mm2(4.2K、12T)のnon−Cu Jcが得られた。
これに対して比較例2,3の超電導線材の前駆体31を用いて作製した超電導線材では、non−Cu Jcはそれぞれ2650A/mm2、2560A/mm2(4.2K、12T)であり、実施例1〜9と比べて低い臨界電流特性であった。
これは、比較例2,3ではSnエレメント32のCu比がそれぞれ0.36,0.41と高い(つまりSnの分量が少ない)のに対し、実施例1〜9ではいずれもSnエレメント2,22のCu比が0.28程度と低い(つまりSnの分量が多い)ため、実施例1〜9では、比較例2,3と比較して熱処理後のNb3Snが多く生成されて高い臨界電流特性が得られたものと考えられる。
以上の結果より、多芯構造のSnエレメント2とする場合には芯数を10以上に、ジェリーロール構造のSnエレメント22とする場合にはSnシート23の層数を10層以上にすることが好ましく、これにより、単芯のSnエレメント32では断線してしまうような低いCu比としても断線することなくSnエレメント2,22の伸線加工を行うことが可能になり、また、Snエレメント2,22のCu比を低減して多くのSnを組み込むことが可能となり高い超電導特性(臨界電流特性)を実現できる。
1 超電導線材の前駆体
2 Snエレメント
3 Nbエレメント
4 第1のCuパイプ
5 第2のCuパイプ
6 第3のCuパイプ
7 Nbフィラメント
8 拡散バリア層
9 分割用Cuパイプ
10 素線
11 Snフィラメント

Claims (6)

  1. 第1のCuパイプ内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメントと、第2のCuパイプ内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメントとを、前記Snエレメント同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ内に収容した超電導線材の前駆体であって、
    前記Snエレメントは、分割用Cuパイプ内にSn又はSn合金を配置した素線を複数束ね、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成されている
    ことを特徴とする超電導線材の前駆体。
  2. 前記Snエレメントは、前記素線を10本以上束ね、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成されている
    請求項1記載の超電導線材の前駆体。
  3. 前記Sn合金が、Ti、Zn、Cuのうち少なくともひとつの元素を0.1質量%以上5質量%以下含有し、
    前記Nb合金が、Ta、Ti、Vのうち少なくともひとつの元素を含有する
    請求項1または2に記載の超電導線材の前駆体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の超電導線材の前駆体を熱処理して形成される
    ことを特徴とする超電導線材。
  5. 第1のCuパイプ内にSn又はSn合金を配置した複数のSnエレメントと、第2のCuパイプ内にNb又はNb合金を配置した複数のNbエレメントとを、前記Snエレメント同士が隣接しないように束ねて第3のCuパイプ内に収容して超電導線材の前駆体を形成し、該超電導線材の前駆体に熱処理を行って超電導線材を製造する超電導線材の製造方法であって、
    前記Snエレメントを、分割用CuパイプにSn又はSn合金を配置した素線を複数束ね、これを前記第1のCuパイプ内に収容して形成する
    ことを特徴とする超電導線材の製造方法。
  6. 前記超電導線材の前駆体を、650℃以上700℃以下の温度で、50時間以上300時間以下の時間熱処理して前記超電導線材を製造する
    請求項5に記載の超電導線材の製造方法。
JP2012174196A 2012-08-06 2012-08-06 超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法 Expired - Fee Related JP5848677B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012174196A JP5848677B2 (ja) 2012-08-06 2012-08-06 超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012174196A JP5848677B2 (ja) 2012-08-06 2012-08-06 超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014032930A JP2014032930A (ja) 2014-02-20
JP5848677B2 true JP5848677B2 (ja) 2016-01-27

Family

ID=50282578

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012174196A Expired - Fee Related JP5848677B2 (ja) 2012-08-06 2012-08-06 超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5848677B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6928595B2 (ja) * 2018-11-09 2021-09-01 株式会社神戸製鋼所 超電導線材の製造に用いられる前駆体、前駆体の製造方法及び超電導線材

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5438531B2 (ja) * 2010-01-20 2014-03-12 株式会社Shカッパープロダクツ Nb3Sn超電導線材の製造方法、及びNb3Sn超電導線材
JP5588303B2 (ja) * 2010-10-28 2014-09-10 株式会社Shカッパープロダクツ Nb3Sn超電導線材の前駆体及びそれを用いたNb3Sn超電導線材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014032930A (ja) 2014-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5588303B2 (ja) Nb3Sn超電導線材の前駆体及びそれを用いたNb3Sn超電導線材
JP3658844B2 (ja) 酸化物超電導線材およびその製造方法ならびにそれを用いた酸化物超電導撚線および導体
JP4174824B2 (ja) 超電導ケーブル
US20130053250A1 (en) Nb3Sn SUPERCONDUCTOR WIRE AND METHOD FOR MANUFACTURING Nb3Sn SUPERCONDUCTOR WIRE
US8238991B2 (en) Precursor wire of oxide superconducting wire and production method thereof and oxide superconducting wire produced by using the precursor wire
JP2014137917A (ja) Nb3Sn超電導前駆体線材、Nbフィラメント素線、Nb3Sn超電導線材並びにその製造方法
JP6585519B2 (ja) Nb3Sn超電導線材製造用前駆体、およびNb3Sn超電導線材の製造方法
JP2019186167A (ja) Nb3Sn超電導線材の前駆体及びNb3Sn超電導線材
JP2007227148A (ja) Nb3Sn超電導線材の製造方法およびそのための前駆体
JP2014143056A (ja) 超電導線材の前駆体および超電導線材
JP5848677B2 (ja) 超電導線材の前駆体、超電導線材、および超電導線材の製造方法
JP5753517B2 (ja) ニオブ3スズ超電導多芯線材の前駆体線材およびそれを用いたニオブ3スズ超電導多芯線材
JP2014072039A (ja) Nb3Sn超電導線材製造用前駆体およびNb3Sn超電導線材
JP2007311126A (ja) 化合物超電導体及びその製造方法
JP2007294375A (ja) Nb3Sn超電導線材製造用前駆体およびその製造方法並びにNb3Sn超電導線材
WO2015049776A1 (ja) MgB2超電導線材、超電導接続構造およびそれを用いた超電導マグネット、超電導ケーブル
JP2010262759A (ja) Nb3Sn超電導線材及びその製造方法
JP2010282930A (ja) Nb3Al多芯超電導線材
JP2023041520A (ja) MgB2超伝導線材およびその製造方法
JP3757617B2 (ja) 酸化物超電導ビレット、酸化物超電導線材、及びその製造方法
JP4697240B2 (ja) Nb3Sn超電導線材の製造方法
JP2007149494A (ja) Nb3Sn超電導線材の製造方法およびそのための前駆体
JP2019179674A (ja) Nb3Sn超電導線材用前駆体、Nb3Sn超電導線材及びモジュール
JP2010182470A (ja) Nb3Al超電導多芯線材
JP2011090788A (ja) Nb3Al超電導線材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5848677

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees