JP5130886B2 - 転がりねじ装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
まず、第一の問題点は取り代である。転がり軸受の場合は、単純に径方向の取り代のみを考慮すればよいが、ボールねじの場合は、径方向の取り代とともに軸方向の取り代を考慮する必要がある。すなわち、ボールねじのねじ軸及びナットは、ねじ溝切削,熱処理,ねじ溝研削という工程を経て製造されるが、ねじ溝切削及びねじ溝研削における加工相誤差や熱処理における変形は軸方向長さ全体にわたって累積されるので、同サイズの転がり軸受と比べると、ほぼ2倍以上の取り代が必要となる。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、割れや折れを生じることなくねじ軸の変形矯正を行うことが容易であるとともに安価な転がりねじ装置の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、長寿命で安価な転がりねじ装置を提供することを併せて課題とする。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置の製造方法において、前記熱処理は、炭素濃度が0.9質量%以上1.1質量%以下である雰囲気中で行われる浸炭焼入れを含むことが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置の製造方法において、前記熱処理は浸炭焼入れを含み、前記ねじ軸の浸炭を行う雰囲気の炭素濃度が、前記ナットの浸炭を行う雰囲気の炭素濃度よりも大きいことが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置の製造方法において、前記熱処理はサブゼロ処理を含まないことが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置において、前記ねじ軸及び前記ナットの前記表面硬化層の炭素濃度は0.8質量%以上であることが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置において、前記ナットが、内周面と外周面とを連通する貫通孔又は軸方向両端面を連通する貫通孔を備え、該貫通孔の内面と内周面,外周面,又は軸方向端面との間の肉厚が3mm以下であることが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置において、無負荷状態においては、前記両ねじ溝のうち少なくとも一方と前記転動体との間に隙間が形成されることが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置において、リード角方向に沿う面で前記ねじ軸を破断した断面において、ビッカース硬さHv550以上の領域の面積が、前記断面の面積の15%未満であることが好ましい。
さらに、本発明に係る転がりねじ装置において、前記ねじ軸は前記熱処理の後に研削加工が施されており、前記ねじ軸のねじ溝の底部に、前記研削加工に用いる研削砥石の干渉を防ぐ逃げ溝を有していないことが好ましい。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明に係る転がりねじ装置の一実施形態であるボールねじの構造を示す図であり、軸方向に平行な面で破断したボールねじの断面図である。また、図2は図1のボールねじのA−A断面図である。
このようなボールねじ10において、ねじ軸1とナット2とは、鋼製素材を所定の形状に成形し熱処理を施すことにより製造されたものである。この鋼製素材は、日本工業規格JIS G4052に規定されたH鋼(焼入れ性を保証した構造用鋼鋼材)で構成されており、且つ、含有する炭素の量(熱処理前の鋼製素材の炭素の量)が0.15質量%以上である。そして、ねじ軸1に用いた鋼製素材よりもナット2に用いた鋼製素材の方が、含有する炭素の量(熱処理前の鋼製素材の炭素の量)が多い。
また、残留オーステナイト量が多量で且つ高硬度の表面硬化層を形成する場合には、オーステナイトを安定化させるために、浸炭焼入れ後に二段焼戻しが必要となる(例えば特許文献1を参照)。二段焼戻しを施す場合は、予備焼戻し,サブゼロ処理,本焼戻しという工程になるが、工程数が多いために熱処理に要するコストが上昇する。しかしながら、本発明では表面硬化層の硬さは特に限定されず、HRC62程度であれば十分であるので、予備焼戻しは必要ない。よって、熱処理に要するコストはほとんど上昇しない。
なお、ねじ軸1に用いた鋼製素材よりもナット2に用いた鋼製素材の方が、含有する炭素の量が多いので、ナット2については浸炭を短時間で完了することができる。よって、ナット2は、熱処理を安価に行うことができる。一方、ねじ軸1は含有する炭素の量が少ないので、ねじ軸1の芯部は靱性を有している。よって、割れや折れを生じることなくねじ軸1の変形矯正を行うことができる。
また、ねじ軸1の浸炭時間は、ナット2の浸炭時間よりも長くてもよい。ねじ軸1は取り代を大きく取る必要があるため、浸炭を長時間行う必要があり、コストアップにつながる。しかしながら、サブゼロ処理を省略すれば、浸炭を長時間行ってもコストは同等となるので、ねじ軸1に関しては浸炭を長時間行ってもよい。
さらに、ねじ軸1のねじ溝1aの軸方向長さは、ナット2のねじ溝2aの軸方向長さの1.2倍以上であってもよい。ねじ軸1が長尺であると、研削取り代がナット2よりも大きくなって、熱処理が高コストとなりやすいが、本実施形態のボールねじ10は、ねじ軸1の熱処理においてサブゼロ処理を省略することができるので、熱処理が高コストとなることはない。
さらに、ねじ軸1には熱処理の後に研削加工(ねじ溝研削)が施されるが、ねじ軸1のねじ溝1aの底部は、研削加工に用いる研削砥石の干渉を防ぐ逃げ溝を有していないことが好ましい。逃げ溝を有していると、ねじ軸1の芯部の炭素量が大きくなりやすく、また、変形矯正において応力が集中しやすい。
また、転動体転動路4内には、両ねじ溝1a,2aの表面及び転動体3の表面を潤滑する潤滑剤を配してもよい。さらに、ナット2の軸方向両端には、プラスチック製,ゴム製,又はエラストマー製のダストシール7を配してもよい。そうすれば、異物が外部からナット2内部に侵入することが防止される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。前述したボールねじ10とほぼ同様の構成を有する日本精工株式会社製のボールねじBS6316−10.5(呼び番号:JIS B1192 63×16×300−Ct7)を、日本精工株式会社製のボールねじ耐久試験機に装着して、耐久試験を行った。
この熱処理により、ねじ軸及びナットの表面硬さはHv700以上とされている。また、熱処理により形成された表面硬化層の残留オーステナイト量γR を、表1にまとめて示す。さらに、転動体(ボール)は、日本工業規格JIS B1501に規定された玉軸受用鋼球である。さらに、隣接する各転動体の間には、図3のようなセパレータが1個ずつ介装されている。
熱処理条件A:920〜960℃で16時間浸炭を施し自然放冷した後に、820〜870℃で2時間加熱して二次焼入れを行った。さらに、−80〜−40℃で30分間サブゼロ処理を施した後に、170〜200℃で2時間焼戻しを行った。なお、これらの処理の他に段取りを1時間行っている。このような熱処理は、ボールねじのねじ軸に対して従来一般的に行われていたものである。
熱処理条件C:920〜960℃で20時間浸炭を施し自然放冷した後に、820〜870℃で2時間加熱して二次焼入れを行った。そして、サブゼロ処理は行わず、170〜200℃で2時間焼戻しを行った。
なお、ねじ軸及びナットの浸炭を行う雰囲気の炭素濃度は、いずれの熱処理条件においても、1質量%である。
・ねじ軸の直径:63mm
・リード :16mm
・ボールの直径:12.7mm
・回路数 :3.5巻×3列
・基本動定格荷重:450kN
実施例1のボールねじは、ねじ軸の寿命は比較例2と変わらないはずであるが、ナットの寿命が向上しているために比較例1のボールねじと比べて1.4倍と長寿命であった(ねじ軸に剥離が生じた)。熱処理のコストは、ねじ軸のサブゼロ処理を省略しているため、低コストであった。
実施例3のボールねじは、ナットの寿命が向上しているため、比較例1のボールねじと比べて1.5倍と長寿命であった(ねじ軸に剥離が生じた)。浸炭時間は長いが、ねじ軸のサブゼロ処理を省略しているため、熱処理のコストは比較例1のボールねじと同等である。
実施例5のボールねじは、比較例1,2のボールねじと比べてナットの寿命が向上しているため、比較例1のボールねじと比べて1.3倍と長寿命であった(ナットに剥離が生じた)。浸炭時間は短く、ねじ軸のサブゼロ処理を省略しているため、熱処理は低コストである。
ここで、浸炭焼入れを施したねじ軸及びナットについて、表面の炭素濃度を測定した結果について説明する。ねじ軸の素材はSCM420H製であり、ナットの素材はSCM435H製である。両素材を所定の形状に成形し、同一の炭素濃度の雰囲気中960℃で浸炭を施した。浸炭時間は、ねじ軸が16時間で、ナットが8.5時間である。結果を図4のグラフに示し、図4の要部拡大図を図5に示す。
本発明における表面硬化層の残留オーステナイト量の条件を満足するためには、ねじ軸及びナットの表面の炭素濃度は0.8質量%以上である必要があるので、図5から分かるように、最大取り代(表面からの距離)は、ねじ軸が0.7mmで、ナットが0.6mmとなる。
本発明における表面硬化層の残留オーステナイト量の条件を満足するためには、ねじ軸及びナットの表面の炭素濃度は0.8質量%以上である必要があるので、図7から分かるように、最大取り代(表面からの距離)は、ねじ軸が0.7mmで、ナットが0.6mmとなる。
本発明は、ボールねじ,ローラねじ等の転がりねじ装置に関する。
転がりねじ装置としては、転動体が球状のボールであるボールねじと、転動体が円筒状,円すい台状等のローラであるローラねじとが知られている。転がりねじ装置においては、ねじ軸のねじ溝とナットのねじ溝との間の空間により形成される転動体転動路内を転動する転動体を、転動体循環路により転動体転動路の終点から始点へ送って循環させることにより、ねじ軸とナットとの相対直線移動を円滑に行っている。
ねじ軸に浸炭焼入れを施す際には、ねじ軸をピット炉内に吊った状態(すなわち、ピット炉内面の天井部から吊り下げた状態)で行うが、ねじ軸は長尺であるため、長手方向を水平にして浸炭焼入れを行うと、自重によりたわみが生じるおそれがある。よって、通常は、自重によりたわみが生じないように、長手方向を鉛直にして吊った状態で浸炭焼入れを行う。
変形矯正を行うためにはねじ軸の芯部に靱性が必要であるが、過度の浸炭処理等により芯部まで焼きが入ってしまうと、割れや折れを生じることなく変形矯正を行うことが困難となるおそれがあった(例えば、特開2004−76754号公報,特開2005−155714号公報,特開2005−240970号公報を参照)。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、割れや折れを生じることなくねじ軸の変形矯正を行うことが容易であるとともに長寿命な転がりねじ装置を提供することを課題とする。
前記ねじ軸は、日本工業規格JIS G4052に規定されたH鋼で構成された素材を所定の形状に成形し熱処理を施して得られたものであり、前記ねじ軸のねじ溝には前記熱処理により硬化された表面硬化層が形成されていて、この表面硬化層の残留オーステナイト量が15体積%以上35体積%以下とされているとともに、リード角方向に沿う面で前記ねじ軸を破断した断面において、日本工業規格JIS G0557に規定された有効硬化層深さの位置から表面までの環状領域の面積が、前記断面の面積の15%未満であることを特徴とする。
本発明に係る転がりねじ装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図8は、本発明に係る転がりねじ装置の一実施形態であるボールねじの構造を示す側面図であり、図9は、図8のボールねじを軸方向に垂直な面で破断した断面図である。なお、図8,9においては、図1,2と同一又は相当する部分には図1,2と同一の符号を付してある。
このようなボールねじ10において、ねじ軸1及びナット2は、鋼製素材を所定の形状に成形し熱処理を施すことにより製造されたものである。以下に、ねじ軸1及びナット2の製造方法を説明する。
ねじ軸1及びナット2のねじ溝1a,2aの表面に前述のような表面硬化層が形成されているので、高荷重が負荷されるような厳しい条件でボールねじ10が使用されても、ねじ溝1a,2aの表面に剥離等の損傷が生じにくい。よって、前述のような厳しい条件で使用されても、ボールねじ10が長寿命である。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転がりねじ装置の例としてボールねじを示して説明したが、本発明の転がりねじ装置は、転動体がローラであるローラねじにも同様に適用することができる。
さらに、転動体転動路4内には、両ねじ溝1a,2aの表面及び転動体3の表面を潤滑する潤滑剤を配してもよい。さらに、ナット2の軸方向両端には、プラスチック製,ゴム製,又はエラストマー製のダストシールを配してもよい。そうすれば、異物が外部からナット2内部に侵入することが防止される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。前述したボールねじ10とほぼ同様の構成を有する日本精工株式会社製のボールねじBS6316−10.5(呼び番号:JIS B1192 63×16×300−Ct7)を、日本精工株式会社製のボールねじ耐久試験機に装着して、耐久試験を行った。
このボールねじの仕様は、以下の通りである。
・ねじ軸の直径:63mm
・リード :16mm
・ボールの直径:12.7mm
・回路数 :3.5巻×3列
・試験荷重 :負荷容量の40%
この表面硬化層の残留オーステナイト量を表2に示す。また、リード角方向に沿う面によってねじ軸を破断した(ねじ溝の底部で破断した)断面における、日本工業規格JIS G0557に規定された有効硬化層深さの位置から表面までの環状領域の面積の、前記断面の面積に対する比率(以降は面積率と記す)を、表2に示す。
熱処理条件A:850〜900℃で浸炭を施し、780〜880℃で油焼入れを行った。次いで、160〜190℃で焼戻しを行った。
熱処理条件B:850〜900℃で浸炭を施し、780〜880℃で油焼入れを行った。次いで、−80〜−40℃で30分間保持してサブゼロ処理を施した後に、180〜220℃で焼戻しを行った。このような熱処理は、ボールねじのねじ軸やナットに対して従来一般的に行われていたものである。
熱処理条件D:850〜900℃で浸炭を施し、780〜880℃で油焼入れを行った。次いで、130〜160℃で焼戻しを行った。
熱処理条件E:850〜900℃で浸炭を施し、780〜880℃で水焼入れを行った。次いで、160〜190℃で焼戻しを行った。
これらのボールねじについて耐久試験を行い、ねじ軸,ナット,又は転動体に剥離が生じたら寿命と判断した。結果を表2に示す。なお、表2に記載した寿命の数値は、一般的な高荷重用途のボールねじである従来例のボールねじの寿命を1とした場合の相対値で示してある。
実施例1〜6のボールねじは、ねじ軸,ナット,及び転動体の表面硬化層の残留オーステナイト量が20〜40体積%であるため剥離が生じにくく、ねじ軸やナットのねじ溝に剥離が生じたものの長寿命であった。なお、ねじ軸の前記面積率が15%未満であるため、ねじ軸の製造時には、割れや折れを生じることなくねじ軸の変形矯正を行うことができた。
比較例3〜5のボールねじは、ねじ軸の前記面積率が15%以上であるため、ねじ軸の製造時の変形矯正の際にねじ軸が折損した。そのため、耐久試験を行うことができなかった。
比較例6〜8のボールねじは、ねじ軸の前記面積率が15%以上であるため、芯部まで高硬度となっており、変形抵抗が大きかった。ねじ軸の製造時の変形矯正の際には、荷重を加えてもほとんど矯正されなかったため、矯正不可能と判断し変形矯正を中止した。
1a ねじ溝
2 ナット
2a ねじ溝
2b 貫通孔
3 転動体
4 転動体転動路
5 リターンチューブ
6 セパレータ
10 ボールねじ
X 有効硬化層深さの位置
Y 環状領域
Claims (12)
- 螺旋状に連続するねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成された筒状のナットと、前記両ねじ溝の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記転動体の転動を介して前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対直線移動するようになっている転がりねじ装置を製造するに際して、
鋼製素材を所定の形状に成形し熱処理を施して前記ねじ軸及び前記ナットを得るとともに、前記ねじ軸に用いた鋼製素材よりも前記ナットに用いた鋼製素材の方が、含有する炭素の量が多く、
前記熱処理は、炭素濃度が0.9質量%以上1.1質量%以下である雰囲気中で行われる浸炭焼入れを含み、前記ねじ軸の浸炭時間が前記ナットの浸炭時間よりも長いことを特徴とする転がりねじ装置の製造方法。 - 螺旋状に連続するねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成された筒状のナットと、前記両ねじ溝の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記転動体の転動を介して前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対直線移動するようになっている転がりねじ装置を製造するに際して、
鋼製素材を所定の形状に成形し熱処理を施して前記ねじ軸及び前記ナットを得るとともに、前記ねじ軸に用いた鋼製素材よりも前記ナットに用いた鋼製素材の方が、含有する炭素の量が多く、
前記熱処理は浸炭焼入れを含み、前記ねじ軸の浸炭を行う雰囲気の炭素濃度が、前記ナットの浸炭を行う雰囲気の炭素濃度よりも大きいことを特徴とする転がりねじ装置の製造方法。 - 前記ねじ軸の浸炭時間と前記ナットの浸炭時間との差が、前記ねじ軸の浸炭時間の30%以内であることを特徴とする請求項2に記載の転がりねじ装置の製造方法。
- 前記ねじ軸に用いた鋼製素材と前記ナットに用いた鋼製素材とが、日本工業規格JIS G4052に規定されたH鋼で構成されており、且つ、含有する炭素の量が0.15質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がりねじ装置の製造方法。
- 前記熱処理はサブゼロ処理を含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がりねじ装置の製造方法。
- 螺旋状に連続するねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成された筒状のナットと、前記両ねじ溝の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記転動体の転動を介して前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対直線移動するようになっている転がりねじ装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の転がりねじ装置の製造方法により製造され、前記両ねじ溝には前記熱処理により硬化された表面硬化層が形成されていて、この表面硬化層の残留オーステナイト量が15体積%以上35体積%以下とされており、
前記ナットが、内周面と外周面とを連通する貫通孔又は軸方向両端面を連通する貫通孔を備え、該貫通孔の内面と内周面,外周面,又は軸方向端面との間の肉厚が3mm以下であることを特徴とする転がりねじ装置。 - 螺旋状に連続するねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成された筒状のナットと、前記両ねじ溝の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記転動体の転動を介して前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対直線移動するようになっている転がりねじ装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の転がりねじ装置の製造方法により製造され、前記両ねじ溝には前記熱処理により硬化された表面硬化層が形成されていて、この表面硬化層の残留オーステナイト量が15体積%以上35体積%以下とされており、
隣接する前記転動体の間に樹脂又はエラストマーで構成されたセパレータが介装されており、
前記ねじ軸は前記熱処理の後に研削加工が施されており、前記ねじ軸のねじ溝の底部に、前記研削加工に用いる研削砥石の干渉を防ぐ逃げ溝を有していないことを特徴とする転がりねじ装置。 - 螺旋状に連続するねじ溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成された筒状のナットと、前記両ねじ溝の間に転動自在に配された複数の転動体と、を備え、前記ねじ軸と前記ナットとの相対回転運動により、前記転動体の転動を介して前記ねじ軸と前記ナットとが軸方向へ相対直線移動するようになっている転がりねじ装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の転がりねじ装置の製造方法により製造され、前記両ねじ溝には前記熱処理により硬化された表面硬化層が形成されていて、この表面硬化層の残留オーステナイト量が15体積%以上35体積%以下とされており、
リード角方向に沿う面で前記ねじ軸を破断した断面において、ビッカース硬さHv550以上の領域の面積が、前記断面の面積の15%未満であることを特徴とする転がりねじ装置。 - 前記ねじ軸及び前記ナットの前記表面硬化層の炭素濃度は0.8質量%以上であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の転がりねじ装置。
- 前記熱処理はサブゼロ処理を含まないことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の転がりねじ装置。
- 前記ねじ軸のねじ溝の軸方向長さが前記ナットのねじ溝の軸方向長さの1.2倍以上であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載の転がりねじ装置。
- 前記熱処理はサブゼロ処理を含まず、無負荷状態においては、前記両ねじ溝のうち少なくとも一方と前記転動体との間に隙間が形成されることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の転がりねじ装置。
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