JP2009204036A - ボールねじ装置 - Google Patents

ボールねじ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009204036A
JP2009204036A JP2008045415A JP2008045415A JP2009204036A JP 2009204036 A JP2009204036 A JP 2009204036A JP 2008045415 A JP2008045415 A JP 2008045415A JP 2008045415 A JP2008045415 A JP 2008045415A JP 2009204036 A JP2009204036 A JP 2009204036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball screw
diameter side
screw rod
retained austenite
screw groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008045415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009204036A5 (ja
Inventor
Daiki Takahashi
大樹 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2008045415A priority Critical patent/JP2009204036A/ja
Publication of JP2009204036A publication Critical patent/JP2009204036A/ja
Publication of JP2009204036A5 publication Critical patent/JP2009204036A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

【課題】高荷重条件下で使用でき、しかも長期間に亙り可動部分の位置決めを十分に高精度に図れ、しかも異物混入環境下の様な厳しい使用条件下でも十分な耐久性を有するボールねじ装置を実現する。
【解決手段】ボールねじ杆2及びボールナット3を、浸炭処理又は浸炭窒化処理を施されたものとする。このボールナット3の内周面の外径側ボールねじ溝6、及び、上記ボールねじ杆2の外周面の内径側ボールねじ溝5の表面部分の残留オーステナイト量を、15〜30容量%の範囲に規制する。更に、上記ボールねじ杆2全体の残留オーステナイト量の平均値を4容量%以下とする。この構成により、上記課題を解決する。
【選択図】図2

Description

この発明は、工作機械等、各種機械装置に組み込まれて、この可動部分を直線運動させる為のボールねじ装置の改良に関する。具体的には、この様なボールねじ装置を構成するねじ杆及びボールナットの性状を適正に規制する事により、高荷重条件下で使用でき、しかも長期間に亙り上記可動部分の位置決めを十分に高精度に図れるボールねじ装置の実現を可能にするものである。
工作機械等、直線運動する可動部分を有する各種機械装置に、例えば特許文献1に記載されている様なボールねじ装置が組み込まれている。図1〜2は、この特許文献1に記載されたボールねじ装置1を示している。このボールねじ装置1は、ボールねじ杆2と、ボールナット3と、複数個のボール4、4とを備える。このうちのボールねじ杆2は、鋼材(炭素鋼等の鉄系金属)により、断面円形、且つ、直線棒状に形成している。このボールねじ杆2の外周面には、断面形状が部分円弧形である内径側ボールねじ溝5を、螺旋状に、軸方向に関して等ピッチ(同一リード)で形成している。又、上記ボールナット3は、鋼材製で、内周面に、断面形状が部分円弧形である外径側ボールねじ溝6を、螺旋状に形成している。この外径側ボールねじ溝6のリードと上記内径側ボールねじ溝5のリードとは、互いに同じとしている。又、上記ボールナット3には戻しチューブ7を設け、この戻しチューブ7の両端を、上記外径側ボールねじ溝6の両端部に開口させている。更に、上記各ボール4、4は、上記戻しチューブ7の両端開口の間部分で、上記内径側ボールねじ溝5と外径側ボールねじ溝6との間部分に配置している。
上述の様なボールねじ装置1を、例えば工作機械の移動テーブル或いは工具台等の被駆動物品の駆動用として使用する場合には、上記ボールねじ杆2をフレーム等に回転のみ可能に支持すると共に、このボールねじ杆2を、サーボモータ等により、両方向に所定量回転駆動可能にする。これに対して上記ボールナット3は、上記被駆動物品に支持固定する。上記ボールねじ杆2を回転駆動すると、上記各ボール4、4が、上記戻しチューブ7を通じて循環しつつ、上記両ボールねじ溝5、6同士の間で転動する。この結果、上記ボールナット3を支持固定した上記被駆動物品を、上記ボールねじ杆2の回転方向に応じた方向に、回転量に応じた長さだけ平行移動させられる。
上述の様なボールねじ装置1による位置決め精度を確保する為には、上記各ボール4、4を介しての、上記内径側ボールねじ溝5と上記外径側ボールねじ溝6との螺合部の精度を良好にする必要がある。この為従来から、この螺合部に予圧を付与する、即ち、上記各ボール4、4の転動面と上記両ボールねじ溝5、6との転がり接触部の隙間を負にする事が行われている。この為、これら各転がり接触部の面圧が高くなり、上記ボールねじ装置1は高面圧(高荷重)下で使用される様になっている。尚、上記各転がり接触部の面圧(荷重)は、上記被駆動物品を移動させる事に対する抵抗が大きくなると、より高くなる。又、近年に於ける加工サイクルの短縮化の要求等により、上記被駆動物品を移動させる速度が速くなっている。この様に、上記ボールねじ装置1は、高面圧(高荷重)下で高速運転される状況が増えており、運転時の発熱量が増大している。
この様な厳しい条件下で使用する上記ボールねじ装置1の場合、使用に伴って上記ボールねじ杆2や上記ボールナット3の形状及び寸法が変化し、上記被駆動物品の位置決め精度が悪化する可能性がある。即ち、上記ボールねじ杆2や上記ボールナット3を構成する鋼材中に含まれる残留オーステナイトが分解してマルテンサイトに変化する際、僅かとは言え体積が変化する。そして、変化した場合には、上述の様に位置決め精度が悪化する。特に、工作機械に於いては、上記ボールねじ杆2は、一種の基準尺としての役目を有する為、このボールねじ杆2の長さ寸法が僅かでも変化すると、被加工物の加工精度が大幅に低下する事が避けられない。
又、工作機械に組み込まれる上記ボールねじ装置1は、加工部から流下したクーラントやこのクーラントに混入した切粉等に曝される、加工テーブルの下方部分等に設置される場合が多い。この様な場合、この切粉等の異物が、上記各ボール4、4の転動面と上記両ボールねじ溝5、6との転がり接触部に入り込む(噛み込まれる)可能性がある。要するに、上記工作機械に組み込まれる上記ボールねじ装置1は、所謂異物環境下の、厳しい条件下で使用される場合が多い。このボールねじ装置1にカバーを設け、上記転がり接触部への異物の侵入を防止する事は可能ではあるが、このボールねじ装置1を組み込んだ工作機械等のの大型化、コスト増大に繋がる為、必ずしも現実的ではない場合もある。尚、異物混入に伴う耐久性低下は、上記ボールねじ装置1内に供給する潤滑剤中に異物が混入した場合にも生じる。
これらの事を考慮すれば、上記ボールねじ装置1の構成部材、特に寸法が大きなボールねじ杆2は、長期間に亙り十分な寸法安定性を確保する事が必要になる。同時に、上記ボールねじ杆2及び上記ボールナット3を含み、上記ボールねじ装置1の構成部材は、或る程度の異物環境下で十分な耐久性を確保できる事が必要になる。
一方、鋼材中の残留オーステナイトが分解する事に伴う寸法変化を抑える為の従来技術として、特許文献2、3に記載されたものがある。このうちの特許文献2(第2頁左下欄、従来の技術の項)には、高温で焼き戻す事により鋼材中の残留オーステナイトを分解し、寸法安定性を確保する事が記載されている。又、特許文献3には、転がり軸受の構成部材のうち、少なくとも内輪の平均残留オーステナイト量を4容量%以下とし、転動体の平均残留オーステナイト量を20〜30容量%とする事で、寸法安定性を確保する事が記載されている。
但し、特許文献2に記載された従来技術の様に高温焼き戻しを行うと、鋼材製部品の表面部分の残留オーステナイトも分解される。表面部分の残留オーステナイトが過小になると、異物環境下で十分な耐久性を確保する事が難しくなる。
又、特許文献3に記載された従来技術の様に、転動体の残留オーステナイト量を確保しても、他の部材の表面の残留オーステナイト量を確保しない限り、この他の部材の表面の損傷を防止できない。
一方、異物混入に伴う耐久性低下を防止する為の従来技術として、特許文献4には、転がり軸受を構成する各軌道輪と転動体とを構成する鋼中の炭素量と、各部材の表面層の残留オーステナイト量とを所定の範囲に限定する事が記載されている。又、ボールねじ装置に関しても、前述の特許文献1に、表面層の残留オーステナイト量を10〜45容量%とすると共に、表面硬度を高くする事で、高荷重下での耐摩耗性を向上させる事が記載されている。これらの従来技術は、異物混入環境下での転がり軸受やボールねじ装置の耐久性確保の面からは効果があるが、長期間に亙る使用に拘らず寸法安定性を確保する事はできない。
特開2004−76823号公報 特開平3−82736号公報 特開平7−27139号公報 特開昭64−55423号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、高荷重条件下で使用でき、しかも長期間に亙り可動部分の位置決めを十分に高精度に図れ、しかも異物混入環境下の様な厳しい使用条件下でも十分な耐久性を有するボールねじ装置を実現すべく発明したものである。
本発明のボールねじ装置は、前述した従来から知られているボールねじ装置と同様に、ボールねじ杆と、ボールナットと、複数個のボールとを備える。
このうちのボールねじ杆は、炭素鋼、軸受鋼等の鋼材製で、外周面に断面形状が部分円弧形である内径側ボールねじ溝を、螺旋状に形成している。
又、上記ボールナットは鋼材製で、内周面に断面形状が部分円弧形である外径側ボールねじ溝を、螺旋状に形成している。
更に、上記各ボールは、上記内径側ボールねじ溝と上記外径側ボールねじ溝との間に転動自在に設けられている。
特に、本発明のボールねじ装置に於いては、上記ボールねじ杆及び上記ボールナットは、浸炭処理又は浸炭窒化処理を施されたものである。
又、上記外径側ボールねじ溝及び上記内径側ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量は、15〜30容量%である。
更に、少なくとも上記ボールねじ杆全体の残留オーステナイト量の平均値(平均残留オーステナイト量)は、4容量%以下である。尚、この平均残留オーステナイト量とは、上記ボールねじ杆の表層部だけでなく、表面から芯部までの全体の残留オーステナイト量の平均値を言う。
上述の様な本発明のボールねじ装置によれば、高荷重条件下で使用でき、しかも長期間に亙り可動部分の位置決めを十分に高精度に図れ、しかも異物混入環境下の様な厳しい使用条件下でも十分な耐久性を得られる。
先ず、ボールねじ杆及びボールナットを浸炭処理又は浸炭窒化処理している為、内径側ボールねじ溝及び外径側ボールねじ溝の表面硬度が高くなり、これら両ボールねじ溝に、各ボールによる圧痕が形成されにくく、高荷重下での使用が可能になる。
又、ボールねじ杆全体の残留オーステナイト量の平均値を、4容量%以下と低く抑えているので、長期間に亙る使用に伴って、長尺な上記ボールねじ杆を構成する鋼材中の残留オーステナイトが分解し、マルテンサイトに変化しても、このボールねじ杆の形状及び寸法の変化は無視できる程度の僅少に抑えられる。この為、長期間に亙り可動部分の位置決めを十分に高精度に図れる。
更に、上記外径側ボールねじ溝及び上記内径側ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量を、15〜30容量%と、十分に確保しているので、上記両ボールねじ溝と上記各ボールの転動面との転がり接触部に硬い異物が噛み込まれても、これら両ボールねじ溝に、ピーリングに結び付く様な損傷を発生しにくく、異物混入環境下の様な厳しい使用条件下でも十分な耐久性を得られる。
次に、各部の性状を上述の様に規制した理由に就いて説明する。
(A) ボールねじ杆及びボールナットを浸炭処理又は浸炭窒化処理する理由
この理由は、使用時に各ボールの転動面により強く押される、上記外径側ボールねじ溝及び上記内径側ボールねじ溝の表面部分の硬度を高くして、これら各ねじ溝の表面部分に、圧痕等の損傷が発生するのを防止する為である。即ち、上記浸炭処理又は浸炭窒化処理により、上記両ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量を確保しつつ、表面硬度を確保する為である。
(B) ボールねじ杆全体の残留オーステナイト量の平均値を4容量%以下に抑える理由
この理由は、長期間に亙る使用に拘らず、上記ボールねじ杆の寸法精度及び形状精度を良好に保つ為である。
即ち、前述した通り、残留オーステナイトは経時的に分解してマルテンサイト化が進み、この際、体積が変化する。この為、上記ボールねじ杆に含まれる残留オーステナイトの量が多いと、この残留オーステナイトの分解に伴う、このボールねじ杆の寸法変化が大きくなる。残留オーステナイトの量がこのボールねじ杆の寸法変化に及ぼす影響は、次の通りである。
初期段階での平均残留オーステナイト量がγR0 である鋼材製の部材を、一定温度の雰囲気中に一定時間放置した場合に於ける、この残留オーステナイトの分解量△γRは、次の(1)式で求められる。
△γR=γR0 (1−e-Kt ) −−− (1)
この(1)式中、Kはオーステナイト分解速度定数、tは保持時間である。又、このオーステナイト分解速度定数Kは、次の(2)式で表される。
logK=A−(B/T) −−−(2)
この(2)式中のA、Bは、上記部材を構成する鋼材(鉄系合金)の組成により定まる定数、Tは保持温度である。
この様な(1)(2)式から求められる、初期段階での平均残留オーステナイト量△R0 が、上記構成の部材を放置した時間とこの部材の寸法変化との関係に及ぼす影響を、図3に示す。この様な図3から明らかな通り、初期段階での平均残留オーステナイト量△R0 を少なく抑える程、時間経過に伴う寸法の変化量が少ない事が分かる。一方、工作機械一般で用いられるボールねじはC5等級である。又、このC5等級を満足できない(規格から外れる)変動の最大の変動は、JIS B 1192のボールねじに規定されているv300であり、このv300の変動幅は、(300mm当たり)18μmである。そこで、本発明を規定する場合に、連続して1年間(8760h)使用した場合でも300mm当たりの寸法変化量が18μm以下に抑えられる事を条件とした。上記図3から明らかな通り、連続1年間使用した場合に、300mm当たりの寸法変化量を約18μm以下に抑える為には、初期段階での残留オーステナイト量γR0 を4%以下に抑える必要がある。そこで、本発明の場合には、ボールねじ杆全体の残留オーステナイト量の平均値を4容量%以下に抑えるとした。
(C) 外径側ボールねじ溝及び内径側ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量を15〜30容量%に規制する理由
この理由は、上記両ボール溝部分でのき裂の発生及びその進展を抑えつつ、これら両ボール溝部分の硬度が過度に低下する事を防止し、合わせて、上記ボールねじ杆の初期段階での残留オーステナイト量の平均値を、4容量%以下に抑える為である。
即ち、工作機械に使用されるボールねじ装置の場合、ボールの転動面同士の競り合い(擦れ合い)や、ボールの転動面と上記両ボール溝との摩擦に基づく摩耗により生じた、摩耗粉等の硬質の異物が、これら両ねじ溝に圧痕や傷を生じさせ、剥離やき裂の発生に到る場合がある。更には、工作機械等で使用されるボールねじ装置は、上記各ボールに予圧を付与した状態で使用されるだけでなく、作動時に或る程度の荷重が加わる状態で使用される。
一方、転がり接触面に存在する残留オーステナイトは、上述の様なき裂の発生や進展を抑制する機能を有する。この為、上記両ボールねじ溝部分の残留オーステナイトの量を多くする事は、これら両ボールねじ溝部分での、き裂の発生や進展を抑制し、これら両ボールねじ溝部分の剥離寿命を確保する面から有効である。この様な、き裂の発生や進展を抑制する効果を十分に得る為には、上記転がり接触面に存在する残留オーステナイトの量を、15%容量以上含有させる必要があり、より好ましくは、18%以上含有させる。
但し、上記両ボールねじ溝部分の残留オーステナイトの量が30容量%を超えると、これら両ボールねじ溝の表面部分の硬度が過度に低下する事に伴い、これら両ボールねじ溝の表面部分の転がり疲れ寿命が低下するだけでなく、芯部及び表面を含めた、部材全体としての残留オーステナイト量を低く抑えられなくなって、当該部材の寸法安定性が低下する。そこで、上記外径側ボールねじ溝及び上記内径側ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量の最大値は、30容量%以下とした。特に耐摩耗性が要求され、高い表面硬度が必要な場合は、上記両溝の表面部分の残留オーステナイトを、25容量%以下に抑える事が好ましい。
尚、ボールねじ装置の転がり接触部の耐摩耗性や耐焼付き性は、この転がり接触部の潤滑条件や表面粗さだけでなく、表面のミクロ組織の状態によっても大きく左右される。又、ボールねじ装置を構成するボールねじ杆やボールナットは、熱処理後の研削取代がボールに比べて大きい為、これらボールねじ杆やボールナットに関しては、完成品の状態で、上記内径側ボールねじ溝及び上記外径側ボールねじ溝の表面部分の状態を、これら両ボールねじ溝の全長に亙って一致させる事は困難である。そこで、上記ボールねじ杆やボールナットに関して、上記内径側ボールねじ溝及び上記外径側ボールねじ溝の表面から50μmまでを最表面層として、この最表面層部分に関して、残留オーステナイトの量を上記範囲(15〜30容量%、好ましくは18〜25容量%)に規制しておけば、上記内径側ボールねじ溝及び上記外径側ボールねじ溝の全長に亙り、一定以上の耐摩耗性、耐ピーリング性を得る事ができる。
本発明の特徴は、ボールねじ杆及びボールナットの性状を適正に規制する事により、高荷重条件下で使用でき、しかも長期間に亙り可動部分の位置決めを十分に高精度に図れ、しかも異物混入環境下の様な厳しい使用条件下でも十分な耐久性を得られるボールねじ装置を実現する点にある。
図面に表れるボールねじ装置の構造に就いては、前述の図1〜2に示した構造を含め、従来から知られているボールねじ装置と同様である。就いては、具体的構造に就いての図示並びに説明は省略する。
本発明の効果を確認する為に行った実験(耐久試験)に就いて説明する。この実験は、日本精工株式会社製のボールねじ装置である、型番「BS3610−2.5」(呼び番号:JIS B 1192 36×10×1000−Ct5)を使用して行った。
試験条件は次の通りである。
試験荷重 : 15kN
ストローク : 600mm
潤滑条件 : リューベ株式会社製の「YS2グリース」を充填
ボールねじ杆及びボールナットの材質 : SCM420H
ボールの材質及び熱処理 : SUJ2、ずぶ焼き
上記ボールねじ杆及びボールナットに関しては、上記SCM420H鋼(JIS G 4052)を920〜960℃で12〜25時間浸炭処理し、冷却後820〜870℃で焼き入れを行った。次いで、160℃〜270℃で2時間焼き戻しを行った。これらの熱処理の温度及び時間をこれらの範囲で変える事により、内径側ボールねじ溝及び外径側ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量、ボールねじ杆の平均残留オーステナイト量を調整した。この様にして得た13種類の試料の性状に就いて、耐久試験の結果と共に、次の表1に示した、本発明に属する5種類の試料(実施例1〜5)と、本発明から外れる8種類の試料(比較例1〜8)との、合計13種類の試料を得た。そして、これら13種類の試料に就いて、それぞれ上述した条件で耐久試験を行った。尚、比較例1、2、4に就いては、ボールねじ杆の焼き入れ後にサブゼロ処理を行って、内径側ボールねじ溝表面の残留オーステナイト量を低減した。
Figure 2009204036
この表1に表した耐久試験の結果のうち、寿命に関しては、従来から一般的に使用されているボールねじ装置の仕様に対応する、比較例1の寿命を1として、それに対する比として表している。
上述の様な条件で行った実験の結果を示す表1中、本発明の技術的範囲に属する実施例1〜5は、何れも、上記内径側ボールねじ溝及び上記外径側ボールねじ溝の表面部分に適度の残留オーステナイト量が存在し、しかもボールねじ杆の平均残留オーステナイト量が少なく抑えられているので、十分な耐久性を得られ、しかも、寸法精度の悪化を抑えられた。
これに対して、比較例1、4、5、8は、何れも、ボールねじ杆の平均残留オーステナイト量が少なく抑えられているので、寸法精度の悪化を抑えられたが、内径側ボールねじ溝と外径側ボールねじ溝との一方又は双方の表面部分の残留オーステナイト量が適正範囲(15〜30容量%)から外れた為、、当該部材が早期に損傷した。
又、比較例2、3、6、7は、何れもボールねじ杆の残留オーステナイト量が、適正範囲(4容量%以下)を越えている為、何れも寸法安定性に欠け、ボールねじ杆の寸法が大きく変化し(v300で18μm以上となり)、必要とする精度を確保できなかった。
この様な耐久試験の結果から、本発明が、高荷重条件下での使用を考慮した場合に、長期間に亙り可動部分の位置決めを十分に高精度に図れ、しかも十分な耐久性を得る面から有効である事を確認できた。
本発明の対象となるボールねじ装置の1例を示す平面図。 図1のA−A断面図。 初期段階での鋼製の部材中の平均残留オーステナイト量が、この部材を放置した時間とこの部材の寸法変化との関係に及ぼす影響を示す線図。
符号の説明
1 ボールねじ装置
2 ボールねじ杆
3 ボールナット
4 ボール
5 内径側ボールねじ溝
6 外径側ボールねじ溝
7 戻しチューブ

Claims (1)

  1. 外周面に断面形状が部分円弧形である内径側ボールねじ溝を螺旋状に形成した鋼材製のボールねじ杆と、内周面に断面形状が部分円弧形である外径側ボールねじ溝を螺旋状に形成した鋼材製のボールナットと、この外径側ボールねじ溝と上記内径側ボールねじ溝との間に転動自在に設けられた複数個のボールとを備えたボールねじ装置に於いて、上記ボールねじ杆及び上記ボールナットは、浸炭処理又は浸炭窒化処理を施されたものであり、上記外径側ボールねじ溝及び上記内径側ボールねじ溝の表面部分の残留オーステナイト量は15〜30容量%であり、少なくとも上記ボールねじ杆全体の残留オーステナイト量の平均値が4容量%以下である事を特徴とするボールねじ装置。
JP2008045415A 2008-02-27 2008-02-27 ボールねじ装置 Pending JP2009204036A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008045415A JP2009204036A (ja) 2008-02-27 2008-02-27 ボールねじ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008045415A JP2009204036A (ja) 2008-02-27 2008-02-27 ボールねじ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009204036A true JP2009204036A (ja) 2009-09-10
JP2009204036A5 JP2009204036A5 (ja) 2010-10-14

Family

ID=41146526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008045415A Pending JP2009204036A (ja) 2008-02-27 2008-02-27 ボールねじ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009204036A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102705466A (zh) * 2012-06-19 2012-10-03 无锡市百顺机械厂 丝杆
CN103867674A (zh) * 2012-12-17 2014-06-18 江苏品德机电科技有限公司 一种滚珠丝杠
JPWO2015182767A1 (ja) * 2014-05-30 2017-04-20 日本精工株式会社 ボールねじ装置
TWI679360B (zh) * 2016-09-30 2019-12-11 日商日本精工股份有限公司 螺桿裝置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0727139A (ja) * 1993-05-13 1995-01-27 Nippon Seiko Kk 転がり軸受
JP2003120783A (ja) * 2001-10-18 2003-04-23 Tsubaki Nakashima Co Ltd ボールねじ
JP2004076754A (ja) * 2002-08-09 2004-03-11 Koyo Seiko Co Ltd ボールねじ装置
JP2004100756A (ja) * 2002-09-06 2004-04-02 Koyo Seiko Co Ltd ボールねじ装置
JP2005233416A (ja) * 2004-01-22 2005-09-02 Nsk Ltd ねじ装置
JP2005299720A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Ntn Corp 自動車用ボールねじ
JP2006083988A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nsk Ltd ボールねじ

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0727139A (ja) * 1993-05-13 1995-01-27 Nippon Seiko Kk 転がり軸受
JP2003120783A (ja) * 2001-10-18 2003-04-23 Tsubaki Nakashima Co Ltd ボールねじ
JP2004076754A (ja) * 2002-08-09 2004-03-11 Koyo Seiko Co Ltd ボールねじ装置
JP2004100756A (ja) * 2002-09-06 2004-04-02 Koyo Seiko Co Ltd ボールねじ装置
JP2005233416A (ja) * 2004-01-22 2005-09-02 Nsk Ltd ねじ装置
JP2005299720A (ja) * 2004-04-07 2005-10-27 Ntn Corp 自動車用ボールねじ
JP2006083988A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Nsk Ltd ボールねじ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102705466A (zh) * 2012-06-19 2012-10-03 无锡市百顺机械厂 丝杆
CN103867674A (zh) * 2012-12-17 2014-06-18 江苏品德机电科技有限公司 一种滚珠丝杠
JPWO2015182767A1 (ja) * 2014-05-30 2017-04-20 日本精工株式会社 ボールねじ装置
JPWO2015182761A1 (ja) * 2014-05-30 2017-04-20 日本精工株式会社 ボールねじ装置
TWI679360B (zh) * 2016-09-30 2019-12-11 日商日本精工股份有限公司 螺桿裝置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009204036A (ja) ボールねじ装置
JP2015017661A (ja) 転がり軸受
JP5130886B2 (ja) 転がりねじ装置及びその製造方法
JP5163183B2 (ja) 転がり軸受
JP5998631B2 (ja) 転がり軸受
JP2013249500A (ja) 転がり軸受
JP6376725B2 (ja) 転がり疲労寿命に優れた鋼部材
JP2008151236A (ja) 転がり軸受
JP2006329265A (ja) 転がり軸受
JP3013452B2 (ja) 転がり軸受
JP4968106B2 (ja) 転がり軸受
JP2008298237A (ja) ボールねじ
JP2006083988A (ja) ボールねじ
KR20240012362A (ko) 궤도륜 및 샤프트
JP5857433B2 (ja) 転がり案内装置の製造方法
JP2006233288A (ja) 転動溝付き機械部品およびその製造方法
JP2006200724A (ja) オートマチック・トランスミッション用スラスト軸受
JP2013113423A (ja) ボールねじ、射出成形機
JP2009204069A (ja) ボールねじ装置
TWI575170B (zh) Ball screw device
JP2009041652A (ja) 転がり軸受およびその製造方法
JP2012077777A (ja) 送りねじ装置用ねじ軸及びその製造方法並びに送りねじ装置及び射出成形機
JP2006002249A (ja) ボールねじ
JP2015232156A (ja) 転がり軸受
JP2006077854A (ja) 転がり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100311

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100317

A521 Written amendment

Effective date: 20100826

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A621 Written request for application examination

Effective date: 20100826

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111018

A521 Written amendment

Effective date: 20111219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120522

A521 Written amendment

Effective date: 20120720

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20130108

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02