JP5857433B2 - 転がり案内装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械や射出成形機等に用いられる転がり案内装置(直動案内装置や転がり軸受等)の長寿命化及び低トルク化に関する。
従来から、例えば、工作機械等に用いる転がり案内装置として、回転部材(回転軸)を回転自在に支持する部材であり、相対回転する二つの環状部材と、複数の転動体とを備える転がり軸受(ベアリング)がある。
二つの環状部材は、それぞれ、互いに対向する軌道溝(転動体転走面)を有している。また、複数の転動体は、二つの環状部材が有する軌道溝間へ、転動自在に配置されている。
このような転がり軸受では、荷重が負荷されて長時間使用されることにより、金属疲労が生じて軌道溝の表面が剥離する場合がある。軌道溝の表面に生じる剥離には、介在物起点型剥離と、表面起点型剥離と、白色組織剥離と、高温条件剥離がある。
介在物起点型剥離は、環状部材を形成する材料内部の介在物を起点として生じる剥離であり、表面起点型剥離は、ゴミ等の異物を噛み込んだ圧痕を起点として生じる剥離である。また、白色組織剥離は、水素が鋼中に侵入して水素脆性を生じた白色組織と呼ばれる組織変化を起点として生じる剥離であり、高温条件剥離は、高温で転動疲労を受けたことによってWEC(White Etching Constiuent)と呼ばれる組織変化を起点として生じる剥離である。
これらの剥離は、それぞれ、生じるメカニズムが異なるため、その発生を抑制するためには、剥離の種類毎に異なる対策が必要となっている。
上述した剥離の中でも、特に、介在物起点型剥離は、環状部材を形成する材料内部の非金属介在物周辺に生じた応力集中の部分に、例えば、図5中に示すような、バタフライと呼ばれる組織変化(以降の説明では、「バタフライ型組織変化」と記載する)が生じ、その界面に沿って疲労による亀裂が発生・進展して、軌道溝の表面に生じる剥離に至る現象である。なお、図5は、非金属介在物周辺にバタフライ型組織変化が生じた材料内部の状態を示す図である。また、図5中では、非金属介在物を符号14により示し、バタフライ型組織変化を符号16により示している。
そのため、介在物起点型剥離の対策としては、環状部材を形成する材料内部の非金属介在物の大きさを減少させることや、非金属介在物の量を減少させることが効果的である。
非金属介在物の大きさや量を減少させる対策としては、例えば、特許文献1に開示されているように、320[mm]中に含まれる厚さ1[μm]以上の硫化物系非金属介在物の個数を規定するとともに、酸化物系非金属介在物の最大径を10[μm]以下に制御して、長寿命化した軸受用の鋼材(軸受鋼)がある。
これ以外には、例えば、特許文献2に開示されているように、320[mm]中に含まれる酸化物系非金属介在物の個数を100個〜200個の範囲内に規定し、さらに、不純物元素であるSbの量を規定して、長寿命化した軸受用鋼がある。
また、例えば、特許文献3に開示されているように、極値統計法による推定面積30000mmの範囲内に存在する酸化物系非金属介在物の最大径を予測し、この予測した最大径を5[μm]以下に制御した軸受用鋼を用いて形成して、長寿命化した転がり軸受がある。
また、例えば、特許文献4に開示されているように、極値統計法による推定面積30000mmの範囲内に存在する硫化物系非金属介在物の最大径を予測し、この予測した最大径を40[μm]以下に制御する。これに加え、酸化物、硫化物及び窒化物の各介在物の最大径を予測し、この予測した最大径を60[μm]以下に制御することによって形成した、優れた転動疲労寿命を有する鋼材がある。
特許第3338761号公報 特許第3779078号公報 特開2003‐232367号公報 特開2006‐063402号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されているように、鋼材の微小な面積中に含まれる非金属介在物の個数や大きさを制限しても、実際の転がり軸受においては、転がり軸受の高応力部に含まれる最大の非金属介在物を起点として剥離が生じるため、非金属介在物を起点として生じる剥離寿命が、予想外に短くなるという問題が生じる。
また、特許文献3に開示されているような、極めて清浄度の高い鋼材を製造するためには、鋼中の酸素量や硫黄量の低減が不可欠であるが、この点において、現在の工業レベルでは既に限界に達している可能性が高い。このため、鋼中の酸素量や硫黄量のさらなる低減のためには、設備や工程の改良が必要となり、鋼材価格の上昇を招くため、工業上、広く利用することが困難となるという問題が生じる。
また、特許文献4に開示されているように、ある程度の大きさの非金属介在物を許容する場合に、厳しい使用条件下においては、非金属介在物を起点としてバタフライ型組織変化が生じて剥離に至るという問題が生じる。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、ある程度の大きさの非金属介在物が鋼材中に存在している場合であっても、介在物起点型剥離に対して長寿命化が可能な転がり案内装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、互いに対向する第一転動体転走面と第二転動体転走面との間に形成される転動体転走路内に転動自在に装填される複数の転動体と、前記第一転動体転走面を有する第一案内部材と、前記第二転動体転走面を有する第二案内部材と、を備える転がり案内装置の製造方法であって、
C:0.94mass%以上1.10mass%以下の範囲内、Si:0.45mass%以上0.70mass%以下の範囲内、Mn:0.30mass%以上1.20mass%以下の範囲内、Cr:1.80mass%以上2.30mass%以下の範囲内、Mo:0.14mass%以上0.36mass%以下の範囲内、Ni:0.20mass%以下、Cu:0.20mass%以下、S:0.010mass%以下、P:0.020mass%以下、O:10mass‐ppm以下、及びFeと不可避的不純物を含み、且つ極値統計法による推定面積30000mm の範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを予測し、当該予測した非金属介在物の面積の平方根が50μm以下となるように形成した鋼材を、焼入れ焼戻し後の硬さがHv697以上Hv772以下の範囲内となり、且つ焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量が11vol%以上v20vol%以下の範囲内となるように焼入れ焼戻しして、前記転動体、前記第一案内部材及び前記第二案内部材のうち少なくとも一つを形成することを特徴とするものである。
本発明によると、転動体、第一案内部材及び第二案内部材のうち少なくとも一つを形成する鋼材に対し、合金成分の含有量と、焼入れ焼戻し後の硬さ及び残留オーステナイト量を、上述した範囲内に規定して最適化することにより、バタフライ型組織変化の発生を遅延させることが可能となる。これに加え、転動体、第一案内部材及び第二案内部材のうち少なくとも一つを形成する鋼材に対し、極値統計法により予測した非金属介在物の面積の平方根を50μm以下と規定して最適化することにより、バタフライ型組織変化の発生を遅延させる効果を向上させることが可能となる。
このため、ある程度の大きさの非金属介在物が鋼材中に存在している場合であっても、介在物起点型剥離に対する長寿命化が可能な、転がり案内装置を提供することが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記転動体、ボールとし
前記第一案内部材及び前記第二案内部材を、前記第一転動体転走面及び前記第二転動体転走面の前記ボールの転動方向から見た断面形状前記ボールの形状寸法に倣う半円弧状となるように形成し
前記第一案内部材及び前記第二案内部材のうち前記鋼材から形成した案内部材を、前記鋼材から形成した案内部材が有する前記転動体転走面の曲率半径前記ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内となるように形成することを特徴とするものである。
本発明によると、合金成分の含有量と、焼入れ焼戻し後の硬さ及び残留オーステナイト量を最適化し、極値統計法により予測した非金属介在物の面積の平方根を50μm以下と規定した鋼材で形成された転動体転走面の曲率半径を、ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内に規定する。
このため、ボールと転動体転走面との接触面積を減少させることが可能となり、ボールと転動体転走面との転がり摩擦が減少させることが可能となるため、転がり案内装置の動トルクを低下させることが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載した発明であって、前記転動体、ボールとし
前記第一案内部材及び前記第二案内部材、円環状の部材に形成することを特徴とするものである。
本発明によると、ボールである転動体が転動自在に装填される転動体転走路内を、円環状の部材である第一案内部材が有する第一転動体転走面と、円環状の部材である第二案内部材が有する第二転動体転走面から形成する。
このため、転がり案内装置を、円環状の部材である第一案内部材及び第二案内部材と、ボールである複数の転動体を備える転がり軸受として、介在物起点型剥離に対する長寿命化が可能な、転がり軸受を提供することが可能となる。
本発明によれば、転動体、第一案内部材及び第二案内部材のうち少なくとも一つを形成する鋼材に対し、合金成分の含有量と、焼入れ焼戻し後の硬さ及び残留オーステナイト量と、極値統計法により予測した非金属介在物の面積の平方根を最適化することが可能となる。
このため、ある程度の大きさの非金属介在物が鋼材中に存在している場合であっても、バタフライ型組織変化の発生を遅延させる効果を向上させることが可能となり、介在物起点型剥離に対する長寿命化が可能な、転がり案内装置を提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態における転がり軸受の概略構成を示す図である。 寿命比と予測した最大非金属介在物の大きさとの関係を示すグラフである。 寿命比と外輪溝の曲率半径(%)との関係を示すグラフである。 動トルク比と外輪溝の曲率半径(%)との関係を示すグラフである。 非金属介在物周辺にバタフライ型組織変化が生じた材料内部の状態を示す図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
転がり案内装置は、互いに対向する第一転動体転走面と第二転動体転走面との間に形成される転動体転走路内に転動自在に装填される複数の転動体と、第一転動体転走面を有する第一案内部材と、第二転動体転走面を有する第二案内部材を備える装置である。
本実施形態では、転がり案内装置が、二つの環状部材と、複数の転動体を備える転がり軸受である場合を説明する。したがって、本実施形態では、二つの環状部材が、第一転動体転走面を有する第一案内部材と、第二転動体転走面を有する第二案内部材に対応している。
(転がり軸受の概略構成)
まず、図1を用いて、本実施形態の転がり軸受の概略構成を説明する。
図1は、本実施形態の転がり軸受の概略構成を示す図である。
図1中に示すように、本実施形態の転がり軸受1は、第一環状部材2と、第二環状部材4と、複数の転動体6と、保持器8を備えている。
第一環状部材2は、焼入れ焼戻しした鋼材を用いて形成された円環状の部材であり、径方向から見た一方の平面(図1中では、上側の面)上に、周方向に沿って連続する第一転動体軌道溝10を有している。したがって、本実施形態では、第一環状部材2が、上記の第一案内部材に対応しており、第一転動体軌道溝10が、上記の第一転動体転走面に対応している。
第二環状部材4は、第一環状部材2と同様、焼入れ焼戻しした鋼材を用いて形成された円環状の部材であり、径方向から見た一方の平面(図1中では、下側の面)上に、周方向に沿って連続し、第一転動体軌道溝10と対向する第二転動体軌道溝12を有している。したがって、本実施形態では、第二環状部材4が、上記の第二案内部材に対応しており、第二転動体軌道溝12が、上記の第二転動体転走面に対応している。
各転動体6は、第一環状部材2と同様、焼入れ焼戻しした鋼材を用いて形成したボール(鋼球)である。すなわち、本実施形態の転がり軸受1は、玉軸受(深溝玉軸受)である。なお、転がり軸受1は、深溝玉軸受に限定するものではなく、アンギュラ玉軸受や、スラスト玉軸受や、円筒ころ軸受や、円すいころ軸受や、自動調心ころ軸受であってもよい。
また、各転動体6は、それぞれ、互いに対向する軌道溝間、すなわち、第一転動体軌道溝10と第二転動体軌道溝12との間に形成される転動体転走路内へ、転動自在に装填されている。これにより、第一環状部材2と第二環状部材4は、各転動体6の転動を介して、第一環状部材2及び第二環状部材4の周方向へ相対回転する。
保持器8は、第一環状部材2及び第二環状部材4と同様、円環状に形成されており、複数の転動体ポケット(図示せず)を有している。各転動体ポケットは、保持器8を径方向に貫通して形成されており、その内部に、一つの転動体6を転動自在に収容している。
また、特に図示しないが、第一環状部材2と第二環状部材4との間と、各転動体ポケット内には、転動体6とともに、グリースあるいは潤滑油等の潤滑剤が配置されている。
また、第一転動体軌道溝10の、転動体6の転動方向から見た断面形状は、ボールである転動体6の形状寸法に倣う半円弧状の溝である。ここで、転動体6の転動方向とは、第一環状部材2及び第二環状部材4の周方向である。
なお、本実施形態では、一例として、第一転動体軌道溝10の曲率半径が、ボールである転動体6の直径の、53%以上55%以下の範囲内である場合を説明する。第一転動体軌道溝10の曲率半径を、転動体6の直径の53%以上55%以下の範囲内とした理由は、後述する。
また、第二転動体軌道溝12の、転動体6の転動方向から見た断面形状は、第一転動体軌道溝10と同様、ボールである転動体6の形状寸法に倣う半円弧状の溝である。
なお、本実施形態では、一例として、第二転動体軌道溝12の曲率半径が、第一転動体軌道溝10の曲率半径と同様、ボールである転動体6の直径の、53%以上55%以下の範囲内である場合を説明する。第二転動体軌道溝12の曲率半径を、転動体6の直径の53%以上55%以下の範囲内とした理由は、後述する。
(鋼材の詳細な構成)
以下、図1を参照して、第一環状部材2、第二環状部材4及び転動体6を形成する鋼材の詳細な構成について説明する。
鋼材は、C(炭素)、Si(珪素)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、S(硫黄)、P(リン)、O(酸素)、及びFe(鉄)と不可避的不純物を含んでいる。
ここで、Cの含有量は、0.90mass%以上1.10mass%以下の範囲内であり、Siの含有量は、0.45mass%以上0.70mass%以下の範囲内である。
また、Mnの含有量は、0.30mass%以上1.20mass%以下の範囲内であり、Crの含有量は、1.80mass%以上2.30mass%以下の範囲内である。
さらに、Moの含有量は、0.14mass%以上0.36mass%以下の範囲内であり、Niの含有量は、0.20mass%以下であり、Cuの含有量は、0.20mass%以下である。
また、Sの含有量は、0.010mass%以下であり、Pの含有量は、0.020mass%以下であり、Oの含有量は、10mass‐ppm以下である。
なお、Feと不可避的不純物の含有量は、残りの部分に含まれる。
また、鋼材の焼入れ焼戻し後の硬さは、Hv697以上Hv772以下の範囲内であり、鋼材の焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量は、11vol%以上v20vol%以下の範囲内である。
また、鋼材は、極値統計法による推定面積30000mmの範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを予測し、この予測した非金属介在物の面積の平方根が50μm以下となるように形成されている。
以下、各元素の含有量と、鋼材の焼入れ焼戻し後の硬さと、鋼材の焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量と、非金属介在物の面積の平方根について、それぞれ、臨界的意義を説明する。
(各元素の含有量)
次に、鋼材が含む各元素(C、Si、Mn、Cr、Mo、Ni、Cu、S、P、O)について、それぞれ、含有量の臨界的意義を説明する。
(Cの含有量)
以下、鋼材におけるCの含有量を、0.90mass%以上1.10mass%以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。
Cは、焼入れによって基地に固溶し、硬さを向上させる元素であり、合金成分中のCの含有量が0.90mass%未満であると、焼入れ後の硬さが低下して、耐摩耗性や転がり疲労寿命が低下することとなる。
このため、安定的に耐摩耗性や転がり疲労寿命を得るためには、合金成分中のCの含有量を、0.95mass%以上とすることが好適である。
しかしながら、合金成分中のCの含有量が1.10mass%を超えると、研削性や破壊靭性値の低下が生じることとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材におけるCの含有量を、0.90mass%以上1.10mass%以下の範囲内とする。
(Siの含有量)
以下、鋼材におけるSiの含有量を、0.45mass%以上0.70mass%以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。
Siは、基地に固溶して焼入れ性を向上させる効果を有する元素である。これに加え、Siは、基地組織のマルテンサイトを安定化させるため、本実施形態において重要な、非金属介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させて、寿命を延長する効果を有する元素である。
ここで、合金成分中のSiの含有量が0.45mass%未満であると、非金属介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させる効果を得ることが困難となる。
しかしながら、合金成分中のSiの含有量が0.70mass%を超えると、研削性が低下して、転がり軸受1の生産性の低下が生じることとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材におけるSiの含有量を、0.45mass%以上0.70mass%以下の範囲内とする。
(Mnの含有量)
以下、鋼材におけるMnの含有量を、0.30mass%以上1.20mass%以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。
Mnは、基地に固溶して焼入れ性を向上させる効果を有する元素である。これに加え、Mnは、基地組織のマルテンサイトを安定化させるため、本実施形態において重要な、非金属介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させて、寿命を延長する効果を有する元素である。さらに、Mnは、熱処理後(焼入れ焼戻し後)の残留オーステナイトが生成されやすくなる効果を有する元素である。ここで、残留オーステナイトは、上述した表面起点型剥離に対して、寿命を延長する効果を有する元素である。
ここで、合金成分中のMnの含有量が0.30mass%未満であると、上述した各種の効果(焼入れ性の向上、バタフライ型組織変化の発生の遅延による寿命の延長、残留オーステナイトの生成、表面起点型剥離に対する寿命を延長)を得ることが困難となる。
しかしながら、合金成分中のMnの含有量が1.20mass%を超えると、残留オーステナイトの生成量が過多となり、寸法安定性が低下することとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材におけるMnの含有量を、0.30mass%以上1.20mass%以下の範囲内とする。
さらに好適には、鋼材におけるMnの含有量を、0.60mass%以上1.20mass%以下の範囲内としてもよい。この場合、上述した各種の効果を安定的に得ることが可能となるため、Mnの含有量の下限値を0.30mass%以上とした場合と比較して、長寿命化が可能となる。
(Crの含有量)
以下、鋼材におけるCrの含有量を、1.80mass%以上2.30mass%以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。
Crは、基地に固溶して焼入れ性を向上させる効果を有する元素である。これに加え、Crは、Cと結合して炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる効果を有する元素である。さらに、Crは、上記の炭化物と基地組織のマルテンサイトを安定化させるため、本実施形態において重要な、非金属介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させて、寿命を延長する効果を有する元素である。
ここで、合金成分中のCrの含有量が1.80mass%未満であると、上述した各種の効果(焼入れ性の向上、耐摩耗性の向上、バタフライ型組織変化の発生の遅延による寿命の延長)を得ることが困難となる。
しかしながら、合金成分中のCrの含有量が2.30mass%を超えると、通常の焼入れ温度では硬さが低下して、転動疲労寿命が低下することとなる。この場合、焼入れ温度を通常よりも高くすれば、硬さを向上させることは可能であるが、転がり軸受1の生産性が低下することとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材におけるCrの含有量を、1.80mass%以上2.30mass%以下の範囲内とする。
(Moの含有量)
以下、鋼材におけるMoの含有量を、0.14mass%以上0.36mass%以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。
Moは、基地に固溶して焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗性を向上させる効果を有する元素である。これに加え、Moは、鋼中に硬い炭化物を形成し、耐摩耗性及び転動疲労寿命を向上させる効果を有する元素である。さらに、Moは、上記の炭化物と基地組織のマルテンサイトを安定化させるため、本実施形態において重要な、非金属介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させて、寿命を延長する効果を有する元素である。
ここで、合金成分中のMoの含有量が0.14mass%未満であると、上述した各種の効果(焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗性の向上、耐摩耗性及び転動疲労寿命の向上、バタフライ型組織変化の発生の遅延による寿命の延長)を得ることが困難となる。
しかしながら、合金成分中のMoの含有量が0.36mass%を超えると、研削性が低下して、転がり軸受1の生産性が低下することとなる。また、Moは、他の元素(Cr等)と比較して、非常に高価な元素であるため、合金成分中のMoの含有量が0.36mass%を超えると、鋼材のコストが増加することとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材におけるMoの含有量を、0.14mass%以上0.36mass%以下の範囲内とする。
(Niの含有量)
以下、鋼材におけるNiの含有量を、0.20mass%以下とした臨界的意義について説明する。
Niは、焼入れ性を向上させる効果を有する元素である。これに加え、Niは、熱処理後の残留オーステナイトを安定化させる効果を有する元素である。さらに、Niは、多量に含有させることにより、靭性を向上させる効果を有する元素である。
しかしながら、Niは、他の元素(Cr等)と比較して、非常に高価な元素であるため、多量に含有させると、鋼材のコストが増加することとなる。
したがって、本実施形態では、鋼材に対して、Niを積極的には含有させず、鋼材におけるNiの含有量を、0.20mass%以下とする。
(Cuの含有量)
以下、鋼材におけるCuの含有量を、0.20mass%以下とした臨界的意義について説明する。
Cuは、焼入れ性を向上させる効果を有する元素である。これに加え、Cuは、粒界強度を向上させる効果を有する元素である。
しかしながら、Cuは、多量に含有させると、鋼材の熱間鍛造性が低下することとなる。
したがって、本実施形態では、鋼材におけるCuの含有量を、0.20mass%以下とする。
(Sの含有量)
以下、鋼材におけるSの含有量を、0.010mass%以下とした臨界的意義について説明する。
Sは、上記のMnと反応してMnSを形成し、この形成されたMnSは、鋼中に存在する介在物として作用するため、鋼材におけるSの含有量は、少ない方が好ましい。
したがって、本実施形態では、鋼材におけるSの含有量を、0.010mass%以下とする。
(Pの含有量)
以下、鋼材におけるPの含有量を、0.020mass%以下とした臨界的意義について説明する。
Pは、結晶粒界に偏析して、粒界強度や破壊靭性値を低下させるため、鋼材におけるPの含有量は、少ない方が好ましい。
したがって、本実施形態では、鋼材におけるPの含有量を、0.020mass%以下とする。
(Oの含有量)
以下、鋼材におけるOの含有量を、10mass‐ppm以下とした臨界的意義について説明する。
Oは、鋼中で、Al等の酸化物系の非金属介在物を形成する。
ここで、酸化物系の非金属介在物は、介在物起点型剥離の起点となり、転動疲労寿命に悪影響を及ぼすため、鋼材におけるOの含有量は、少ない方が好ましい。
したがって、本実施形態では、鋼材におけるOの含有量を、10mass‐ppm以下とする。
(焼入れ焼戻し後の硬さ)
以下、鋼材の焼入れ焼戻し後の硬さを、Hv697以上Hv772以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。
本発明の発明者らは、バタフライ型組織変化は、非金属介在物の周辺で生じる応力集中による塑性変形によって引き起こされることを見出した。
したがって、バタフライ型組織変化の発生を遅延させるためには、基地の硬さを向上させて、塑性変形に対する抵抗値を向上させる必要がある。
ここで、鋼材の焼入れ焼戻し後の硬さがHv697未満であると、鋼材の硬さが不足することにより、バタフライ型組織変化が生じやすくなるため、転がり疲労寿命が低下することとなる。
しかしながら、鋼材の焼入れ焼戻し後の硬さがHv772を超えると、破壊靭性値が低下することとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材の焼入れ焼戻し後の硬さを、Hv697以上Hv772以下の範囲内とする。
(焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量)
以下、鋼材の焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量を、11vol%以上v20vol%以下の範囲内とした臨界的意義について説明する。なお、残留オーステナイト量の測定は、転がり軸受1の軌道溝(第一転動体軌道溝10、第二転動体軌道溝12)の一部を切り出し、この切り出した部分の表面(軌道溝の表面)を電解研磨して、X線回折装置を用いて行う。
金属組織中の残留オーステナイトは、基地組織であるマルテンサイトと比較して軟質であるため、鉄粉等の異物を噛み込んだ時に生じる圧痕の縁に生じる応力集中を緩和する。
したがって、金属組織中に残留オーステナイトが存在していると、圧痕の縁を起点とした亀裂の発生を抑制することが可能となるため、上述した表面起点型剥離に対する長寿命化が可能となる。
ここで、鋼材の焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量が11vol%未満であると、表面起点型剥離が、介在物起点剥離よりも先に発生する可能性が高くなるので、結果的に、転がり軸受1の長寿命化が困難となる。
しかしながら、鋼材の焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量が20vol%を超えると、寸法安定性が低下することとなる。
以上により、本実施形態では、鋼材の焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量を、11vol%以上v20vol%以下の範囲内とする。
(非金属介在物の面積の平方根)
以下、鋼材を、極値統計法による推定面積30000mmの範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを予測し、この予測した非金属介在物の面積の平方根が50μm以下となるように形成した理由について説明する。なお、「非金属介在物の面積」とは、例えば、近似的に、非金属介在物を楕円と仮定して求める。
ここで、極値統計法とは、正規分布、指数分布、対数分布等に従う集合に対して、最大値及び最小値等の極値を予測する手法であり、鋼中に含まれる非金属介在物の最大径を予測する手法として、非常に有効である。なお、極値統計法を行う際には、鋼材断面の観察面積100mm中に含まれる、大きさが最大の非金属介在物を求める処理を鋼材の30箇所の断面で行った後、統計処理によって、推定面積30000mmの範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを求めることが好適である。
また、転がり軸受1の介在物起点剥離においては、極値統計法で予測した最大介在物の径と転動疲労寿命には、良好な相関が見られることが確認されている。
したがって、本実施形態の転がり軸受1は、極値統計法による推定面積30000mmの範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを予測し、この予測した非金属介在物の面積の平方根が50μm以下となるように形成している。
これは、上記の平方根が50μmを超えると、第一環状部材2、第二環状部材4及び転動体6が転動疲労を受けた際に、バタフライ型組織変化が生じず、非金属介在物から直接、疲労亀裂が発生するため、鋼材の成分が、上述した各元素の含有量と、焼入れ焼戻し後の硬さ及び残留オーステナイト量に規定されていても、長寿命化となるためである。
なお、非金属介在物の種類には、酸化物、硫化物、窒化物の三種類がある。したがって、本実施形態では、それぞれの種類について極値統計法を行い、大きさが最大の非金属介在物を求め、三種類の中で最も大きい非金属介在物を、最大非金属介在物とする。
(熱処理条件)
次に、本実施形態の転がり軸受1を形成する際に行う熱処理について、好適な条件(熱処理条件)を記載する。
本実施形態の転がり軸受1は、熱間加工及び旋削加工により、その形状を完成形状に近づけた状態で、焼入れ焼き戻し処理を行った後、研削加工により完成形状に仕上げて形成されている。
ここで、上述した焼入れ焼戻し後の硬さと残留オーステナイト量は、本実施形態で規定する合金成分からなる鋼材を用い、さらに、焼入れ焼戻しの条件を好適な条件に設定することによって得られるものである。
この場合、生産性を、公知の軸受鋼である「JIS‐SUJ2」と同等にするため、本実施形態で用いる鋼材に対しても、「JIS‐SUJ2」と同条件で焼入れを行うことが好適である。
すなわち、本実施形態で用いる鋼材に対する焼入れは、830℃以上850℃以下の範囲内で、予め設定した時間に亘り保持した後、油冷して行う。
また、本実施形態で用いる鋼材に対する焼戻しも、「JIS‐SUJ2」と同条件で行うことが好適である。
すなわち、本実施形態で用いる鋼材に対する焼戻しは、160℃以上200℃以下の範囲内で、予め設定した時間に亘り保持した後、空冷または炉冷して行うことが好適である。
これは、160℃未満で焼戻しを行うと、残留オーステナイト量が過多となって寸法安定性が低下することに起因する。これに加え、200℃を超える温度で焼戻しを行うと、残留オーステナイト量が低下して、表面起点型剥離の原因となる、圧痕の縁に生じる応力集中を緩和する効果を得ることが困難となることに起因する。
(第一転動体軌道溝10及び第二転動体軌道溝12の曲率半径)
次に、第一転動体軌道溝10及び第二転動体軌道溝12の曲率半径を、ボールである転動体6の直径の、53%以上55%以下の範囲内とした臨界的意義を説明する。
転がり軸受1には、一般的に、寿命だけでなく、低トルクが要求される場合がある。
本実施形態の転がり軸受1、すなわち、玉軸受の低トルク化を実現するためには、ボール(転動体6)の直径に対する軌道溝(第一転動体軌道溝10、第二転動体軌道溝12)の曲率半径を大きくして、ボールと軌道輪(第一環状部材2、第二環状部材4)との接触面積を小さくすることが有効である。
しかしながら、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径を大きくして、ボールと軌道輪との接触面積を小さくすると、ボールと軌道輪との接触面圧が大きくなるため、鋼材内部の非金属介在物を起点として、バタフライ型組織変化が発生しやすくなり、寿命が低下することとなる。
これに対し、本実施形態の転がり軸受1は、上述したように、バタフライ型組織変化の発生が抑制されているため、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径の比を大きくしても、寿命の低下が抑制されることとなる。
したがって、本実施形態の転がり軸受1であれば、低トルクでの回転が求められる用途、例えば、モータ用軸受、自動車のトランスミッション用軸受、工作機械用軸受等に対し、好適に用いることが可能となる。
また、一般的に、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径の比は、52%程度であるが、本実施形態の転がり軸受1では、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径の比を53%以上55%以下の範囲内とした場合であっても、一般的な鋼材を用いてボール及び軌道輪を形成した場合において、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径の比を52%程度とした転がり軸受と同様の寿命を得ることが可能なる。
これにより、本実施形態の転がり軸受1では、長寿命化とともに低トルク化が可能となる。
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の転がり軸受1では、転動体6、第一環状部材2及び第二環状部材4のうち少なくとも一つを形成する鋼材に対し、合金成分の含有量と、焼入れ焼戻し後の硬さ及び残留オーステナイト量を、上述した範囲内に規定して最適化している。
これに加え、本実施形態の転がり軸受1では、転動体6、第一環状部材2及び第二環状部材4のうち少なくとも一つを形成する鋼材に対し、極値統計法により予測した非金属介在物の面積の平方根を50μm以下と規定して最適化している。
このため、バタフライ型組織変化の発生を遅延させることが可能となるとともに、バタフライ型組織変化の発生を遅延させる効果を向上させることが可能となる。
その結果、ある程度の大きさの非金属介在物が鋼材中に存在している場合であっても、介在物起点型剥離に対する長寿命化が可能な、転がり軸受1を提供することが可能となる。
(2)本実施形態の転がり軸受1では、合金成分の含有量と、焼入れ焼戻し後の硬さ及び残留オーステナイト量を最適化し、さらに、極値統計法により予測した非金属介在物の面積の平方根を50μm以下と規定した鋼材で形成された軌道溝(第一転動体軌道溝10、第二転動体軌道溝12)の曲率半径を、ボール(転動体6)の直径の53%以上55%以下の範囲内に規定する。
このため、ボール(転動体6)と軌道溝(第一転動体軌道溝10、第二転動体軌道溝12)との接触面積を減少させることが可能となり、ボールと軌道溝との転がり摩擦が減少させることが可能となる
その結果、介在物起点型剥離に対する長寿命化が可能となるとともに、動トルクを低下させることが可能な転がり軸受1を提供することが可能となる
(3)本実施形態では、ボールである転動体6が転動自在に装填される転動体転走路内を、円環状の部材である第一環状部材2が有する第一転動体軌道溝10と、円環状の部材である第二環状部材4が有する第二転動体軌道溝12から形成して、転がり案内装置を転がり軸受1としている。
その結果、転がり案内装置を転がり軸受1として、介在物起点型剥離に対する長寿命化が可能な、転がり軸受1を提供することが可能となる。
(変形例)
以下、本実施形態の変形例を列挙する。
(1)本実施形態では、転がり案内装置を、転動体6がボールであり、第一案内部材2及び第二案内部材が、円環状の部材である転がり軸受1としたが、これに限定するものではない。すなわち、転がり案内装置を、ボールねじやリニアガイド等の直動案内装置としてもよい。この場合、鋼材は、転動体とともに、ボールねじのねじ軸やナット、リニアガイドの案内レールやスライダ本体の形成に用いることとなる。
(2)本実施形態の転がり軸受1では、第一環状部材2及び第二環状部材4のうち鋼材から形成した環状部材が有する軌道溝の曲率半径を、ボール(転動体6)の直径の53%以上55%以下の範囲内としたが、これに限定するものではない。すなわち、軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の53%未満としてもよく、また、ボールの直径の55%を超える値としてもよい。
(3)本実施形態の転がり軸受1では、転動体6をボールとして、転がり軸受1を玉軸受としたが、これに限定するものではなく、転動体6を円筒ころや円錐ころ等としてもよい。この場合、転がり軸受1を、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、ニードル軸受等のころ軸受とすることが可能となる。
(4)本実施形態では、転がり軸受1の構成を、保持器8を備える構成としたが、これに限定するものではなく、転がり軸受1の構成を、保持器8を備えていない構成としてもよい。
(実施例)
以下、図1を参照しつつ、図2から図4を用いて、本発明の実施例について詳細に説明する。尚、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(転動疲労基礎実験)
表1中に示す合金成分の鋼材を用いて、直径が12.8mmであり、長さが80mmの円柱状試験片を、鋼種が異なる17種類(表1中に示すA〜Q)作成した。
Figure 0005857433
ここで、円柱状試験片は、旋削加工した鋼材に焼入れ焼戻しを行った後に、外径面の研削加工を行って作成した。また、焼入れ焼戻しは、「JIS‐SUJ2」と同様の条件、すなわち、焼入れを840℃、焼戻しを180℃で行った。
そして、上記の円柱状試験片に対し、極値統計法による推定面積30000mmの範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを予測した。
ここで、表2中に、円柱状試験片毎に、予測した最大非金属介在物の大きさと熱処理品質を示す。
Figure 0005857433
表2中に示すように、比較例6の円柱状試験片は、表1中に示す鋼種Mを用いて形成しており、Mnの含有量が多い(Mn範囲外)ため、残留オーステナイト量(表2中では、「残留γ(Vol.%)」と示す)が多くなった。
したがって、鋼種Mを、転がり軸受1の鋼材として適用することは、転がり軸受1の寸法安定性が低下するため、好適ではない。このため、比較例6の円柱状試験片に対しては、転動疲労試験は実施していない。
また、比較例7の円柱状試験片は、表1中に示す鋼種Nを用いて形成しており、Crの含有量が過多である(Cr範囲外)ため、焼入れ焼戻し後の硬さ(表2中では、「硬さ(Hv)」と示す)が低くなった。
この場合、焼入れ焼戻し後の硬さを向上させるためには、焼入れの温度を高くすればよいが、焼入れ温度の向上は、転がり軸受1の形成に適用することは、転がり軸受1の生産性が低下するため、好適ではない。このため、比較例7の円柱状試験片に対しては、転動疲労試験は実施していない。
以上により、転動疲労基礎実験は、比較例6及び7の円柱状試験片を除く、残りの円柱状試験片(本発明例1〜7、比較例1〜5、8〜10)を用いて行った。
具体的には、本発明例1〜7の円柱状試験片、比較例1〜5の円柱状試験片、比較例8〜10の円柱状試験片に対して、三個のボールを用いてラジアル荷重を負荷して、転動疲労基礎実験を行った。
また、転動疲労基礎実験の試験条件は、以下の条件とした。
・最大接触面圧:5.9[GPa]
・回転速度:8000[min−1
・潤滑油:ISO‐VG68相当の鉱油(油浴潤滑方式)
転動疲労基礎実験を行った結果、円柱状試験片の剥離部分の表面には、剥離を引き起こすような圧痕は見られなかった。また、円柱状試験片の剥離部分の断面には、水素によって生じる白色組織は観察されなかった。また、剥離部分の断面の近傍には、介在物を起点とするバタフライ型組織変化が観察された。
したがって、各円柱状試験片(本発明例1〜7、比較例1〜5、8〜10)には、介在物を起点として、剥離が生じたものと推定される。
また、各円柱状試験片(本発明例1〜7、比較例1〜5、8〜10)に対し、それぞれ、10回の試験を行い、表2中に示すように、累積破損確率が10[%]となる寿命(L10寿命)を求めた。ここで、表2中では、L10寿命(表2中では、「寿命比」と示す)を、寿命が最短であった比較例8の寿命を「1.0」として基準値とし、他の円柱状試験片(本発明例1〜7、比較例1〜5、9、10)を、基準値(1.0)に対する寿命比として示している。
表1及び表2中に示すように、本発明例1〜7の円柱状試験片は、鋼材の成分と、極値統計法で予測した最大非金属介在物の大きさ(表2中では、「予測最大介在物(μm)」と示す)が、第一実施形態で規定する範囲内であるため、介在物起点の剥離寿命が長くなっている(寿命比が大きくなっている)。
表2中に示す結果のうち、寿命比と予測した最大非金属介在物の大きさとの関係を、図2中に示す。なお、図2は、転動疲労基礎実験で得た、寿命比と予測した最大非金属介在物の大きさとの関係を示すグラフである。また、図2中には、縦軸に寿命比を示し、横軸に予測した最大非金属介在物の大きさ(図2中では、「予測した非金属介在物の大きさ(μm)」と示す)を示している。
また、図2中では、円柱状試験片を以下の三グループ(I〜III)に分けており、グループの違いはプロットの形で示している。
I.合金成分が第一実施形態で規定する範囲内(図2中では、「合金成分規定内」と記載し、プロットの形は「◆」)
II.合金成分のうち一種類のみが第一実施形態で規定する範囲内から外れている(図2中では、「合金成分不適」と記載し、プロットの形は「■」)
III.合金成分が「JIS‐SUJ2」の範囲内(図2中では、「合金成分不適(SUJ2)」と記載し、プロットの形は「▲」)
図2中に示すように、各グループ(I〜III)毎に見ると、極値統計法で予測した最大介在物の大きさが大きくなるにつれて、転動寿命疲労が低下する傾向がある。これは、本試験においては、介在物を起点として剥離が生じていることを示している。
また、図2中に示すように、グループIとグループIIIを比較すると、介在物の大きさが同じレベルまたは略同じレベルであれば、合金成分を第一実施形態で規定する範囲内とすることにより、3.0〜3.5倍程度、寿命が長くなると見なすことが可能である。
しかしながら、比較例1及び2(表2参照)の円柱状試験片のように、極値統計法で予測した最大介在物の大きさが50[μm]を超えている(介在物範囲外)と、合金成分を第一実施形態で規定する範囲内としても、寿命は急激に低下することとなる。
本発明では、介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させることによって、組織変化が形成された部分から発生する疲労亀裂の生成を遅延させて、長寿命化を可能としている。
しかしながら、介在物が大きくなると、バタフライ型組織変化の過程を経由せずに、介在物の周辺から、直接、亀裂が発生する場合があるため、介在物が大きい場合には、合金成分を規定することで奏する効果が小さくなる。
また、表2中に示すように、比較例3〜5の円柱状試験片は、比較例8〜10の円柱状試験片と比較して、寿命が長くなっているが、合金成分に第一実施形態で規定する範囲内から外れているものがある(比較例3:「Mn範囲外」、比較例4:「Si範囲外」、比較例5:「Mo範囲外」)ため、本発明例1〜7の円柱状試験片と比較して、十分に長寿命化の効果が得られていない。
また、表2中に示すように、比較例8〜10の円柱状試験片は、合金成分が「JIS‐SUJ2」と同様であるため、第一実施形態で規定する範囲内の合金成分よりも、Siと、Crと、Moの含有量が低く、本発明例1〜7の円柱状試験片と比較して、相対的に寿命が短くなっている。
(軸受寿命試験)
表1及び表2中に示す鋼種A〜Cの鋼材、すなわち、最大介在物の大きさが同程度のレベルである鋼材と、比較例8の鋼材を用いて、深溝玉軸受6206(外径62[mm]、内径30[mm]、幅16[mm]、ボールの直径9.525[mm])用の内輪及び外輪(第一環状部材及び第二環状部材)を形成した。
具体的には、上記の鋼材を旋削加工して内輪及び外輪の形状を成形した後、焼入れ焼戻しを行い、最後に、研削加工を行って、深溝玉軸受6206用の内輪及び外輪を形成した。
ここで、焼入れ焼戻しは、「JIS‐SUJ2」と同様の条件、すなわち、焼入れを840℃、焼戻しを180℃で行った。
さらに、一部の軸受については、軌道溝の研削加工を行う際に、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径の比を、ボールの直径の52%以上55%以下の範囲内で変化させた。すなわち、軌道溝の曲率を、4.95mm以上5.24mm以下の範囲内で変化させた。
また、ボールとしては、「JIS‐SUJ2」に浸炭窒化処理を行った鋼球を用い、保持器としては、ナイロン樹脂製の保持器を用いた。
そして、上述した内輪、外輪、複数のボール及び保持器を組み合わせて、軸受寿命試験用の転がり軸受を形成した。
また、軸受寿命試験の試験条件は、以下の条件とした。
・ラジアル荷重:13.8[KN]
・回転数:3900[min−1
・潤滑油:ISO‐VG68相当の鉱油(強制潤滑方式)
また、各試験軸受(本発明例8〜16、比較例11、12)に対し、それぞれ、4〜8回の試験を行い、表3中に示すように、累積破損確率が10[%]となる寿命(L10寿命)及び動トルク比を測定して、各円柱状試験片の平均値を求めた。ここで、表3中では、L10寿命(表3中では、「寿命比」と示す)及び動トルク比(表3中では、「動トルク比」と示す)を、比較例11の寿命及び動トルクを「1.0」として基準値とし、他の円柱状試験片(本発明例8〜16、比較例12)を、基準値(1.0)に対する寿命比及び動トルク比として示している。
Figure 0005857433
また、図3中に、表3中に示す寿命比と外輪溝の曲率半径(%)との関係を示す。すなわち、図3は、寿命比と外輪溝の曲率半径(%)との関係を示すグラフである。なお、「外輪溝の曲率半径(%)」とは、ボール(転動体6)の直径に対する第二転動体軌道溝12の曲率半径の比であり、図3中では、「玉直径に対する外輪溝の曲率半径(%)」と示している。
また、図4中に、表3中に示す動トルク比と外輪溝の曲率半径(%)との関係を示す。すなわち、図4は、動トルク比と外輪溝の曲率半径(%)との関係を示すグラフである。なお、図4中では、図3中と同様、「外輪溝の曲率半径(%)」を、「玉直径に対する外輪溝の曲率半径(%)」と示している。
また、図3及び図4中では、試験軸受を以下の三グループ(I〜III)に分けており、グループの違いはプロットの形で示している。
I.第一環状部材2及び第二環状部材4を形成する鋼材の合金成分と、ボールの直径に対する第一転動体軌道溝10及び第二転動体軌道溝12の曲率半径の比を変更(図3及び図4中では、「内外輪の合金成分と溝曲率を変更」と記載し、プロットの形は「◆」)
II.第二環状部材4を形成する鋼材の合金成分と、ボールの直径に対する第二転動体軌道溝12の曲率半径の比を変更(図3及び図4中では、「外輪の合金成分と溝曲率を変更」と記載し、プロットの形は「■」)
III.第一環状部材2及び第二環状部材4を形成する鋼材の合金成分が「JIS‐SUJ2」の範囲内(図3及び図4中では、「内外輪ともSUJ2」と記載し、プロットの形は「▲」)
軸受寿命試験を行った結果、試験軸受の剥離部分の表面には、剥離を引き起こすような圧痕は見られなかった。また、試験軸受の剥離部分の断面には、水素によって生じる白色組織は観察されなかった。また、剥離部分の断面の近傍には、介在物を起点とするバタフライ型組織変化が観察された。
したがって、各試験軸受(本発明例8〜16、比較例11、12)には、介在物を起点として、剥離が生じたものと推定される。
(長寿命化の検証)
本発明例8〜10の試験軸受に対しては、それぞれ、4個の試験軸受に対し、比較例11の試験軸受のL10寿命の3倍の時間まで軸受寿命試験を行ったが、これら4個の試験軸受には剥離が生じなかったため、比較例11の試験軸受のL10寿命の3倍の時間が経過した時点で、軸受寿命試験を終了した。
この結果により、本発明例8〜10の試験軸受は、それぞれ、鋼材の成分と極値統計法による最大非金属介在物の大きさが、第一実施形態で規定する範囲内であるため、介在物起点剥離に対する長寿命化が可能であることが確認された。
(軌道溝の曲率半径を変化させた場合における、本発明の効果の検証)
一般的に、ボール(転動体6)の直径に対する軌道溝(第一転動体軌道溝10、第二転動体軌道溝12)の曲率半径の比は、52%程度である。なお、表3中では、ボールの直径に対する第一転動体軌道溝10の曲率半径の比を、「内輪溝の曲率半径の比(%)」と示し、ボールの直径に対する第二転動体軌道溝12の曲率半径の比を、「外輪溝の曲率半径の比(%)」と示している。
ここで、比較例12が示すように、軌道溝の曲率半径を大きくするにつれて、軌道溝とボールとの接触面積が小さくなる。このため、軌道溝とボールとの接触面圧が高くなり、転動疲労寿命が低下する。
しかしながら、軌道溝とボールとの接触面積が小さくなるにつれて、軌道溝とボールとの転がり摩擦が減少するため、動トルクを低下させることが可能となるというメリットも存在する。
一方、本発明例11〜13の試験軸受は、第一環状部材2及び第二環状部材4の合金成分、すなわち、鋼材の合金成分を、第一実施形態で規定する範囲内として、ボールの直径に対する軌道溝の曲率半径を変化させたものである。なお、表3中では、第一環状部材2を形成する鋼材の種類を、「内輪の鋼種」と示し、第二環状部材4を形成する鋼材の種類を、「外輪の鋼種」と示している。
表3中に示すように、軌道溝の曲率半径を大きくすることによって、比較例11と同様に、本発明例8〜16の転動疲労寿命も低下する。また、軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の55%まで大きくしても、比較例11、すなわち、軌道溝の曲率半径が、ボールの直径の52%の場合と同等以上の寿命を保持することが可能であることが確認された。また、本発明例11〜16では、比較例11よりも、軌道溝とボールとの接触面積が小さいため、動トルクも小さくなっている。
以上により、本発明例8〜16の鋼材、すなわち、少なくとも第二環状部材4を、第一実施形態の鋼材を用いて形成した転がり軸受は、「JIS‐SUJ2」の鋼材を用いて形成した転がり軸受と比較して、転動疲労寿命の長寿命化と、動トルクの低下との両立が可能であることが確認された。
また、本発明例14〜16は、第一環状部材2を、「JIS‐SUJ2」の鋼材を用いて形成し、軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の52%としている。これに加え、本発明例14〜16は、第二環状部材4を、第一実施形態の鋼材を用いて形成し、軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内としている。
すなわち、本発明例14〜16は、第一環状部材2の軌道溝と比較して、第二環状部材4の軌道溝の曲率半径を大きくしている。このため、軌道溝(第二転動体軌道溝12)とボールとの接触面圧が高くなり、第二環状部材4には、第一環状部材2と比較して、剥離が生じやすくなっている。
しかしながら、本発明例14〜16は、第二環状部材4を形成する鋼材の構成を、第一実施形態で規定する範囲内として長寿命化を可能としているため、比較例11と比較して、長寿命化が可能となっていることが確認された。これに加え、本発明例14〜16は、軌道溝(第二転動体軌道溝12)とボールとの接触面積、すなわち、第二環状部材4とボールとの接触面積が小さくなっているため、比較例11と比較して、動トルクが小さくなっていることが確認された。
なお、上述した本発明例14〜16では、第二環状部材4を、第一実施形態の鋼材を用いて形成し、軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内としている。しかしながら、これに代えて、第一環状部材2を、第一実施形態の鋼材を用いて形成し、軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内とした場合であっても、同様の効果を得ることが可能である。
(実施例のまとめ)
以上説明したように、鋼材の合金成分と、極値統計法により予測した非金属介在物の面積の平方根を、第一実施形態で規定した範囲内とすることにより、非金属介在物の周辺におけるバタフライ型組織変化の発生を遅延させて、介在物起点剥離に対して長寿命化が可能な転がり軸受を提供することが可能となる。
また、上記説明のように、転がり案内装置を転がり軸受とし、さらに、転がり軸受を玉軸受とした場合、転動体転走面である軌道溝の曲率半径を、ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内とすることにより、低トルク化と転動疲労寿命の長寿命化とを両立可能な転がり軸受を提供することが可能となる。
1 転がり軸受
2 第一環状部材
4 第二環状部材
6 転動体
8 保持器
10 第一転動体軌道溝
12 第二転動体軌道溝
14 非金属介在物
16 バタフライ型組織変化

Claims (3)

  1. 互いに対向する第一転動体転走面と第二転動体転走面との間に形成される転動体転走路内に転動自在に装填される複数の転動体と、前記第一転動体転走面を有する第一案内部材と、前記第二転動体転走面を有する第二案内部材と、を備える転がり案内装置の製造方法であって、
    C:0.94mass%以上1.10mass%以下の範囲内、Si:0.45mass%以上0.70mass%以下の範囲内、Mn:0.30mass%以上1.20mass%以下の範囲内、Cr:1.80mass%以上2.30mass%以下の範囲内、Mo:0.14mass%以上0.36mass%以下の範囲内、Ni:0.20mass%以下、Cu:0.20mass%以下、S:0.010mass%以下、P:0.020mass%以下、O:10mass‐ppm以下、及びFeと不可避的不純物を含み、且つ極値統計法による推定面積30000mm の範囲内に存在する最大非金属介在物の大きさを予測し、当該予測した非金属介在物の面積の平方根が50μm以下となるように形成した鋼材を、焼入れ焼戻し後の硬さがHv697以上Hv772以下の範囲内となり、且つ焼入れ焼戻し後の残留オーステナイト量が11vol%以上v20vol%以下の範囲内となるように焼入れ焼戻しして、前記転動体、前記第一案内部材及び前記第二案内部材のうち少なくとも一つを形成することを特徴とする転がり案内装置の製造方法
  2. 前記転動体、ボールとし
    前記第一案内部材及び前記第二案内部材を、前記第一転動体転走面及び前記第二転動体転走面の前記ボールの転動方向から見た断面形状前記ボールの形状寸法に倣う半円弧状となるように形成し
    前記第一案内部材及び前記第二案内部材のうち前記鋼材から形成した案内部材を、前記鋼材から形成した案内部材が有する前記転動体転走面の曲率半径前記ボールの直径の53%以上55%以下の範囲内となるように形成することを特徴とする請求項1に記載した転がり案内装置の製造方法
  3. 前記転動体、ボールとし
    前記第一案内部材及び前記第二案内部材、円環状の部材に形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した転がり案内装置の製造方法
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