JPH11279710A - 音響特性.静粛性に優れた軸受用鋼 - Google Patents

音響特性.静粛性に優れた軸受用鋼

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JPH11279710A
JPH11279710A JP10003198A JP10003198A JPH11279710A JP H11279710 A JPH11279710 A JP H11279710A JP 10003198 A JP10003198 A JP 10003198A JP 10003198 A JP10003198 A JP 10003198A JP H11279710 A JPH11279710 A JP H11279710A
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JP10003198A
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Yukitaka Mizuno
幸隆 水野
Sadayoshi Furusawa
貞良 古澤
Koji Kanatsuki
宏治 金築
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Nippon Koshuha Steel Co Ltd
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Nippon Koshuha Steel Co Ltd
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた音響特性,静粛性を安定して得られる
軸受用鋼を提供することにある。 【解決手段】 重量%で、C:0.6〜1.2%、S
i:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、C
r:0.8〜14.0%、Al:0.04%以下、残部
がFeおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物中
Ti:0.0015%以下、O:0.0012%以下に
それぞれ抑制した鋼材であって、該鋼材を溶解させた場
合の長径15μm以上の大きさでAl2 3 含有率が5
0%以上である酸不溶性介在物の個数が前記鋼材10g
当たり10個未満である軸受用鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ころ軸受や玉軸受
のような転がり軸受に使用する軸受材料、特にエアコ
ン,コンピュータのディスクドライブ,ビデオおよびオ
ーディオ機器等、音響特性,静粛性が要求される精密機
器に使用して最適な軸受用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】ここで音響特性,静粛性とは、転がり軸
受その他の転動装置が作動中に発生する振動により生じ
る騒音の少なさを指すもので、工作機械や建設機械など
ではそれほど問題にならないが、例えばHDDやVTR
等のような振動を極度に嫌う精密機器に使用される比較
的小型の玉軸受などにおいては、音響特性,静粛性が大
きな問題となってくる。これら小型の玉軸受では、負荷
荷重がさほど大きくないために転動疲労寿命などの疲労
特性はあまり問題視されず、回転時の静粛性,音響特性
が重要視され、従来から研究,開発は種々なされてい
る。
【0003】ところで、軸受用鋼の音響特性,静粛性で
注目されるのは、使用初期の音響特性と、使用中の経年
変化による音響特性の劣化の2種類である。まず使用初
期の音響特性であるが、これは軸受部品の形状的な仕上
げ精度に大きく左右される。そして材料面で、この仕上
げ精度を大きく左右するのは基地と硬さの大きく異なっ
た非金属介在物や共晶炭化物の数と大きさである。ま
た、使用中の経年変化による音響特性については、使用
初期の音響特性に問題の無いレベルであっても、軸受部
品使用中において基地と硬質な非金属介在物や共晶炭化
物との間に生じる摩耗差が表面形状,表面粗さ等の精度
劣化をまねき、使用中の音響特性を低下させる。このう
ち共晶炭化物については特開昭61−163244号公
報にその大きさと量の限界について開示されている。
【0004】一方、非金属介在物は軸受部品の諸特性
(例えば、転動疲労寿命)にとって有害であることは一
般的に知られており、この非金属介在物低減のために
O,Tiなどを低く制御したものは多く開示されてい
る。非金属介在物を低減するための手段としてO,Ti
などを低く制御するようにした従来公知のものは、軸受
或いは転動部品の転動疲労寿命に着目してなされたもの
であり、静粛性,音響特性に着目して非金属介在物の大
きさ,数,存在確率等に関して研究されたものではな
い。したがって、静粛性,音響特性と非金属介在物の大
きさ,数等との関係は何ら明らかにされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭61−16
3244号公報には、軸受部品の形状的な仕上げ精度を
大きく左右する共晶炭化物の大きさと量の限界について
開示されているが、C及びCrの成分範囲が重量%で、
C:0.6〜1.2%、Cr:0.8〜14.0%のも
のにあっては、鋼塊の大きさの制御、ソーキングを実施
する等の製造方法の発達により共晶炭化物が音響特性に
及ぼす影響は比較的少なくなっている。加えて、非金属
介在物の数と大きさに着目したものではなかった。
【0006】軸受部品の形状的な仕上げ精度により大き
く影響するのは、この発明では着目していない非金属介
在物の数と大きさ、すなわち共晶炭化物に比較して大き
く、数が多く、製造工程において制御の難しいAl2
3 含有率50%以上の硬質の酸化物系介在物の大きさと
数である。
【0007】Al2 3 含有率50%以上の硬質の酸化
物系介在物で、粗大なものが多数存在するような軸受用
鋼を軸受け部品の素材として使用した場合には、この粗
大で硬質な非金属介在物が転動装置部品の表面に出現
し、仕上加工精度を悪化させて音響特性を悪くする。
又、使用中において基地と硬質な非金属介在物との間に
生じる摩耗差が表面形状の精度劣化をまねき、経年変化
による音響特性の劣化を引き起こす。逆に、硬質の酸化
物系介在物の大きさと数、存在比を的確に把握してコン
トロールすることにより、使用初期の音響特性を向上さ
せることができることを本発明者等は知得した。
【0008】本発明は、上記のような従来の諸事情に着
目して成されたものであり、音響特性,静粛性に悪影響
を及ぼす硬質の酸化物系非金属介在物を正確且つ定量的
に把握する方法を用いてその数と大きさを制御し、ひい
ては優れた音響特性,静粛性を安定して得られる軸受用
鋼を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すること
ができた本発明に係る音響特性,静粛性に優れた軸受用
鋼とは、重量%で、C:0.6〜1.2%、Si:0.
1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、Cr:0.8
〜14.0%、Al:0.04%以下、残部がFeおよ
び不可避不純物からなり、該不可避不純物中Ti:0.
0015%以下、O:0.0012%以下にそれぞれ抑
制した鋼材であって、90〜95℃に加熱された60%
(質量%を意味する:以下同じ)の硝酸、96%の硫
酸、純水の体積比が25:1:55の混合酸水溶液に前
記鋼材を溶解させた場合に、長径15μm以上の大きさ
でAl2 3 含有率が50%以上である酸不溶性介在物
の個数が前記鋼材10g当たり10個未満であるところ
にその特徴を有している。
【0010】また上記鋼材において、Crは耐食性と硬
さ、コスト等を勘案すると、重量%で、10.0〜1
4.0%、2.0〜10.0%、0.8〜2.0%
の範囲に区分される。また、必要によりNi:0.1〜
2.0%、Cu:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜
2.0%、W:0.1〜1.0%、V:0.05〜1.
0%、Nb:0.01〜1.0%から選ばれる1種また
は2種以上を含有させることによって、その性能を一段
と向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、静粛性,音響特性に軸
受部品の素材(本発明では鋼材)側の要因として最も大
きく影響し、鋼材の製造工程において制御の難しいAl
2 3 含有率50%以上の硬質の酸化物系介在物の大き
さと数、存在比を的確に把握してコントロールした鋼材
にあり、その好ましい基本成分は以下の通りである。
【0012】Cの含有量は重量%(以下、同じ)で、
0.6〜1.2%とする。Cは焼入硬さを増大させ、室
温,高温における強度を維持して耐摩耗性を付与するた
めに必須の元素である。含有量が0.6%未満であると
焼入硬さが不足して耐摩耗性を維持することができな
い。一方、1.2%を越えると長時間ソーキングでも拡
散しきれない巨大な共晶炭化物が生成するため、軸受部
品の静粛性を始めとして被研削性,冷間鍛造性,被切削
性を低下させる。
【0013】また、Siの含有量は0.1〜2.0%と
する。このSiは製鋼工程における脱酸のために必要な
元素であり、また耐摩耗性と強度を増大する効果があ
り、少なくとも0.1%は必要である。しかし、含有量
が2.0%を越えると冷間鍛造性,被切削性を低下させ
るので0.1〜2.0%とする。
【0014】Mnの含有量は0.1〜2.0%とする。
このMnは焼入性を向上させて強度を増大させるが、多
すぎると残留オーステナイトを増加させて逆に強度を低
下させ、また寸法の経年劣化を引き起こす。このため成
分範囲を0.1〜2.0%とした。
【0015】そして、Crの含有量は、.10.0〜
14.0%、.2.0〜10.0%、.0.8〜
2.0%の範囲に区分される。Crは特に重要な元素で
あり、強度,焼入性を向上させるとゝもに、耐食性,耐
熱性を付与する。またCrはCと結びついて微細な炭化
物を形成して耐摩耗性を付与する。しかし、Cr含有量
が0.8%未満ではその効果がなく、14.0%を越え
ると巨大な共晶炭化物が生成されるため、0.8〜1
4.0%とする。
【0016】ここで、Cr:0.8〜14.0%の範囲
では、その含有量が増大するに伴い耐食性は図1のよう
に変化する。軸受部品の場合、用途によって要求される
耐食性は大きく異なる。通常の用途で耐食性を要求され
ないような場合、Cr含有量は0.8〜2.0%で十分
であり、この場合のCrの役割は強度,焼入性の向上で
ある。しかし、十分な耐蝕性が要求される用途、例えば
HDD用の玉軸受のように組み付け時に完全に脱脂され
て以後錆を嫌うような軸受部品や、海岸地方で使用され
る可搬性の精密機器では、Crの含有量は最低でも1
0.0%必要であり、10.0〜14.0%が範囲とな
る。これらの中間の範囲2.0〜10.0%では、軸受
部品の用途ごとに必要な耐食性に応じてCr量を選択す
る。Crは多く含有すると当然製造コストは含有量に比
例して上昇するので、要求される耐食性とコストに応じ
てCrの成分範囲を選択することになる。
【0017】また、Alの含有量は、0.040%以下
とする。このAlは製鋼工程での脱酸のために必須の元
素であり、特にOを0.0012%以下にするためには
ある程度の添加は必要である。しかし多量に含有すると
硬質のAl2 3 含有量の高い酸化物系介在物を多量に
生成するため、上限を0.040%とする。
【0018】以上が本発明に係る鋼材の基本成分である
が、つぎに不可避不純物の内Ti,Oを下記のように限
定する。すなわち、Tiの含有量は0.0015%以下
とする。このTiは硬質の非金属介在物TiNを形成し
て静粛性,音響特性を劣化させるので低いことが望まし
いが、0.0015%までは許容される。したがって上
限を0.0015%とする。
【0019】また、Oの含有量を0.0012%以下と
する。Oは硬質の酸化物系非金属介在物を形成して静粛
性,音響特性を劣化させるので低いことが望ましいが、
0.0012%までは許容される。よって、上限を0.
0012%とする。しかし、前述のように、Oの含有量
が0.0012%以下ではO量と酸化物系介在物の個数
には明確な相関は認められない。したがって、静粛性,
音響特性に有害な長径15μm以上で、Al2 3 含有
率50%以上の硬質の酸化物系非金属介在物の個数を最
適な測定方法を指定して別に規定する。
【0020】ここで、O,Ti量と非金属介在物の数,
大きさとの関係について述べると、Tiは生成する介在
物がTiNにほぼ限定されるので比較的単純な関係で整
理され、Ti量とTi系非金属介在物の数,大きさとは
ある程度の相関が認められ、Tiの分析値から非金属介
在物の推定はある程度可能である。これに対して、Oは
Al,Si,Ca,Mg,Mn等と結びついて多種類の
非金属介在物を生成するうえに、酸化物系介在物にはス
ラグの巻き込み、製鋼工程で溶損した耐火物の混入など
が含まれる。
【0021】そのために、O量が0.0012%以下の
清浄度の高い鋼では、O量と非金属介在物の数,大きさ
との間にはほとんど相関がない。このことは、文献(材
料とプロセス,4(1991),1178や材料とプロセス,
4(1991),321 )でも開示されている。したがって、軸
受用鋼中の非金属介在物の評価方法は直接的にその数と
大きさを最適な方法で測定するしかない。
【0022】従来から行われている非金属介在物の測定
方法は、鋼材のL断面(長手方向縦断面)を顕微鏡観察
し、該断面に存在する介在物の数や大きさ、長さを調べ
る方法が一般的であり、この方法はJIS G 055
5やASTM E−45にも規定されている。しかし、
鋼材のL断面観察はごく限られた1断面に存在する介在
物を対象とする評価であり、加えて、鋼材の断面におけ
る観察では、個々の非金属介在物の最大径を測定する確
率は極めて小さいため、限られた面積での観察では精度
の良い評価は困難である。
【0023】特に、O量が0.0012%以下では酸化
物系非金属介在物の存在確率が減少するために鋼材の断
面観察では精度に限界がある。また、多くの種類の酸化
物系非金属介在物の中で有害なAl2 3 の含有率50
%以上の硬質の介在物を見分けるのも困難であった。こ
こで、特開平3−126839号公報には、軸受用鋼の
介在物を電子ビーム溶解抽出評価法によって保証するこ
とが開示されている。しかし、これは転動疲労寿命に着
目して非金属介在物を測定したものであり、静粛性,音
響特性との関係を調べたものではない。この電子ビーム
溶解抽出評価法は、電子ビームによりサンプルを溶融し
比重の軽い非金属介在物を浮上させるものである。
【0024】したがって、この電子ビーム溶解抽出評価
法にあってはサンプルを完全に溶解せねばならず、低融
点の(鋼材の融点に近い融点を持つ)非金属介在物にあ
っては再溶解してしまうので測定できない。また再溶解
しない非金属介在物であっても高温のため原形を保った
まま完全に浮上させることは困難であり、凝集,焼結で
より大きなサイズで観察されてしまう可能性が高く、精
度の高い測定は困難であった。
【0025】そこで、本発明における非金属介在物の測
定では、90〜95℃に加熱された60%(質量%を意
味する:以下同じ)の硝酸、96%の硫酸、純水の体積
比が25:1:55の混合酸水溶液に鋼材を溶解させ、
酸不溶性介在物をEPMA分析を行ってAl2 3
度,長径と個数を測定する方法を採用することにより、
図2に示すような実験データを得ることができた。
【0026】本発明に係る鋼材は、さらに必要により下
記の成分元素を含有することが可能である。すなわち、
Niの含有量は0.1〜2.0%とする。このNiは本
発明において必要に応じて添加する。0.1%以上添加
すると焼入性を向上させて焼入効果深さを深くするとゝ
もに、靭性,延性を改善する効果がある。多量に含有す
ると残留オーステナイトを増加させて、軸受部品の使用
中の経年変化を引き起こし、音響特性を劣化させるの
で、上限を2.0%とする。
【0027】Cuの含有量は0.1〜1.0%とする。
Cuは本発明において必要に応じて添加する。0.1%
以上添加すると焼入性,耐食性を向上させる。多量に含
有すると赤熱脆性を助長して熱間加工性を劣化するので
上限を1.0%とする。またMoの含有量は0.1〜
2.0%とする。このMoは本発明において必要に応じ
て添加する。0.1%以上添加すると焼入性を向上させ
るとともに耐食性,耐摩耗性を向上させる。2.0%以
上添加するとM6 C炭化物を多量に生成し、添加効果が
飽和するとともに、静粛性,音響特性を劣化させるため
に上限を2.0%とする。
【0028】Wの含有量は0.1〜1.0%とする。こ
のWは本発明において必要に応じて添加する。その効果
はMoと同様である。1.0%で効果が飽和するので、
上限を1.0%とする。そして、Vの含有量は0.05
〜1.0%とする。Vは本発明において必要に応じて添
加する。0.05%以上添加すると微細なVC炭化物を
生成し、結晶粒径を微細化すると共に耐摩耗性と耐熱性
を向上させる。しかし1.0%以上添加するとVC炭化
物が粗大化し、静粛性,音響特性を劣化させるので上限
を1.0%とする。
【0029】またNbの含有量は0.01〜1.0%と
する。Nbは本発明において必要に応じて添加する。
0.01%以上の添加で微細なNbC炭化物を生成して
結晶粒径を微細化する。1.0%以上添加するとNbC
炭化物が粗大化して静粛性,音響特性を劣化させるので
上限を1.0%とする。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により具体
的に説明するために、表1に本発明鋼材および比較鋼材
の化学組成を示す。供試した鋼材は、溶鋼を精錬,脱ガ
ス処理した後に造塊し、熱間圧延でφ25mmの棒材と
φ5.5mmの線材としたものである。この表1中N
0.1〜N0.19は本発明鋼材であり、N0.20〜
N0.24は従来鋼材である。
【0031】
【表1】
【0032】表2に、本発明鋼材および比較鋼材につい
ての材料中の酸不溶性介在物の測定結果と、熱処理条
件、熱処理後の諸特性を示す。酸不溶性介在物の測定
は、線材の表面スケールを除去後、90〜95℃に加熱
された60%(質量%を意味する:以下同じ)の硝酸、
96%の硫酸、純水の体積比が25:1:55の混合酸
水溶液で前記供試鋼材を溶解した。
【0033】
【表2】
【0034】鋼材を溶解した後、篩い目5μmのフィル
タで吸引濾過し、次に篩い目1μmのフィルタを用い
て、純水,希塩酸,エタノールで洗浄した。洗浄後、酸
不溶性介在物を採取したフィルタを乾燥し、EPMAで
フィルタ上の非金属介在物の分析を行い、Al2 3
度,長径と個数を測定した。その測定値をグラフにあら
わしたものが図2である。
【0035】また、共晶炭化物は、光学顕微鏡にて鋼材
のL断面(長手方向縦断面)を330mm2 観察し、長
径15μm以上のものが存在するかどうかを確認した。
そしてまた、耐食性に関しては、純水噴霧試験を200
Hrと5%NaClの塩水噴霧試験を3Hr実施して、
目視による1〜5点の5段階評価を行った。その測定値
をグラフにあらわしたものが図1である。なお、点数は
5点が最も良い。
【0036】さらに静粛性,音響特性に関しては、供試
材で玉軸受の内輪と外輪を作製し、SUJ2製のボール
を組み込んでAFBMA(The Anti-Friction Bearing M
anufacturers Association, Inc.) の規格に準拠して行
ったアンデロン値を中周波数帯域(300〜1800H
z)、高周波数帯域(1800〜10000Hz)につ
いて夫々測定した。なお、表2に示す数値は、試料N
0.20(従来鋼)を基準(100)とした指数で表示
した。
【0037】本発明鋼材の数値は、中周波数帯域及び高
周波数帯域とも従来鋼材の数値より小さく、静粛性に優
れていることが判る。なお、図3は本発明鋼材の表2に
示す非金属介在物の個数と静粛性の指数を表した図であ
る。
【0038】
【発明の効果】本発明に係る軸受用鋼は、上記のよう
に、鋼材の製造工程において制御の難しいAl2 3
有率50%以上の硬質の酸化物系介在物の大きさと数,
存在数を的確に把握してコントロールした構成のもので
あるから、静粛性,音響特性を安定して良好なレベルに
することができ、精密機器によって重要な問題となって
いる静粛性,音響特性に優れた小型の転がり軸受を提供
することができる、といった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】Cr含有量と耐食性の関係を示す図である。
【図2】O量とAl2 3 含有率50%以上の酸不溶性
介在物個数の関係を示す図である。
【図3】Al2 3 含有率50%以上の酸不溶性介在物
個数と静粛性指数の関係を示す図である。
【表1】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金築 宏治 兵庫県加古川市金沢町1 株式会社神戸製 鋼所加古川製鉄所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.6〜1.2%、S
    i:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、C
    r:10.0〜14.0%、Al:0.04%以下、残
    部がFeおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物
    中Ti:0.0015%以下、O:0.0012%以下
    にそれぞれ抑制した鋼材であって、90〜95℃に加熱
    された60%(質量%を意味する:以下同じ)の硝酸、
    96%の硫酸、純水の体積比が25:1:55の混合酸
    水溶液に前記鋼材を溶解させた場合に、長径15μm以
    上の大きさでAl2 3 含有率が50%以上である酸不
    溶性介在物の個数が前記鋼材10g当たり10個未満で
    あることを特徴とする音響特性,静粛性に優れた軸受用
    鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.6〜1.2%、S
    i:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、C
    r:2.0〜10.0%、Al:0.04%以下、残部
    がFeおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物中
    Ti:0.0015%以下、O:0.0012%以下に
    それぞれ抑制した鋼材であって、90〜95℃に加熱さ
    れた60%(質量%を意味する:以下同じ)の硝酸、9
    6%の硫酸、純水の体積比が25:1:55の混合酸水
    溶液に前記鋼材を溶解させた場合に、長径15μm以上
    の大きさでAl2 3 含有率が50%以上である酸不溶
    性介在物の個数が前記鋼材10g当たり10個未満であ
    ることを特徴とする音響特性,静粛性に優れた軸受用
    鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.6〜1.2%、S
    i:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、C
    r:0.8〜2.0%、Al:0.04%以下、残部が
    Feおよび不可避不純物からなり、該不可避不純物中T
    i:0.0015%以下、O:0.0012%以下にそ
    れぞれ抑制した鋼材であって、90〜95℃に加熱され
    た60%(質量%を意味する:以下同じ)の硝酸、96
    %の硫酸、純水の体積比が25:1:55の混合酸水溶
    液に前記鋼材を溶解させた場合に、長径15μm以上の
    大きさでAl2 3 含有率が50%以上である酸不溶性
    介在物の個数が前記鋼材10g当たり10個未満である
    ことを特徴とする音響特性,静粛性に優れた軸受用鋼。
  4. 【請求項4】 重量%で、Ni:0.1〜2.0%、C
    u:0.1〜1.0%、Mo:0.1〜2.0%、W:
    0.1〜1.0%、V:0.05〜1.0%、Nb:
    0.01〜1.0%のうち一種又は2種以上を含有する
    鋼材であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の
    音響特性,静粛性に優れた軸受用鋼。
JP10003198A 1998-03-27 1998-03-27 音響特性.静粛性に優れた軸受用鋼 Pending JPH11279710A (ja)

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