本発明者らは、基材上に機能材料をパターン状に形成する方法、およびパターン形成用シートについて鋭意検討し、基材の片側または両側に形成された表面層に凹凸形状を有する金型を押し付けて、表面層を貫通させることよって上記課題を解決し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明のパターン形成方法は、基材層と、該基材層の片側または両側に形成された表面層からなる積層体(および、本発明のパターン形成用シート)に、金型転写することによって表面層をパターニングするパターン形成方法であって、以下の(A)、(B)の要件を満たすことを特徴とする。
(A)該表面層は、少なくとも微粒子を含むこと。
(B)該金型は、金型凸部高さHが表面層膜厚Lより大きく、かつ金型凹部断面積S2が表面層断面積S1より大きい表面形状を有し、積層体の表面層に押しあて、金型凸部により表面層を貫通させてパターンを形成させること。
本発明のパターン形成方法の原理を図1を用いて説明する。
基材12上に表面層11を積層させた積層体1および/または転写すべきパターン形状を反転させた凹凸形状を有する金型2を加熱し(図1(a))、積層体1と金型2を接近させ、そのまま所定圧力でプレスし、所定時間保持する(図1(b))。次にプレスした状態を保持したまま降温する。最後にプレス圧力を解放して金型2から成形品3を離型する(図1(c))。
本発明のパターン形成方法は、積層体1の表層に設けた表面層11をプレス時の金型凸部21の侵入によって貫通させ、基材部4上にパターン5を形成させることが特徴である。
ここで、本発明における「貫通」の定義を図2を用いて説明する。本発明における「貫通」とは、表面層11を金型凸部21の侵入部分で断裂させ、図2(a)〜(c)のように基部4上にパターン5を形成することを示す。
本発明のパターン形成方法において、金型凸部の侵入により表面層11を貫通させるためには、金型2の金型凸部21の高さHが、該積層体1の表面層11の膜厚Lより大きいことが必要である。ここでいう表面層11の膜厚Lとは、図3(a)に示すように、積層体1の断面を観察したときに、積層体1膜面方向xに対して垂直方向zに法線l2 を引き、その法線l2 が表面層11を横切る距離のことを示す。なお、表面層11の膜厚Lが位置により異なる場合は、その最大値でもって表面層11の膜厚Lとする。また、金型凸部21の高さHとは、図3(b) に示すように、金型2の断面を観察したときに、金型凹部22の最下点を通るように金型の面方向の線l3 を引き、金型凸部21の頂点からその線までの最短距離でもって表す。なお、金型凸部21の高さHが位置により異なる場合は、その最小値でもって金型凸部21の高さHとする。金型凸部21の高さHが表面層11の膜厚Lより小さい場合、金型凸部22が基材層12まで到達することができないため、貫通することができない。
また、本発明のパターン形成方法における金型2は、金型凹部22の断面積S2が、表面層11の断面積S1より大きいことを特徴とする。ここでいう、金型凹部22の断面積S2とは、金型2の断面を観察したときに、隣接する金型凸部間に形成される金型凹部面積のことであり、表面層11の断面積S1とは隣接する金型凸部のくり返し単位(ピッチ)W×膜厚Lで与えられる値のことである。なお、ピッチとは金型凸部21の幅w1と金型凹部の幅w2の和で表され、ピッチの長さ単位が位置により異なる場合はその最小値でもって表す。なお、金型凹部22の断面積S2が位置により異なる場合は、その最小値でもって金型凹部22の断面積S2とする。
金型凸部21の侵入を受けたときに、表面層11は金型凸部21によって排除されると共に、金型凹部22へと導かれて貫通する。しかしながら、金型凹部22の断面積S2が表面層11の断面積S1より小さい場合、金型凸部21の侵入によって排除された表面層11全てを金型凹部22内へと導入することができないため、基材層12まで到達することができずに貫通することができない。
本発明において、表面層11の断面積S1より、金型凹部22の断面積S2を大きくすることによって、表面層11を貫通させることが可能となり、その結果、基材上に表面層をパターン状に形成することができる。
つまり、本発明のパターン形成方法における金型2は、金型凸部の高さHが該積層体の表面層11の膜厚Lより大きく、かつ金型凹部の断面積S2が表面層11の断面積S1より大きくすることによって、金型凸部21で表面層11を貫通させることが可能となり、その結果、基材上に表面層をパターン状に形成することができる。
本発明のパターン形成方法に好ましく用いられる金型2の横断面図を 図4(a)〜(f)に例示する。図4は、金型凸部の好ましい形状を例示したものである。好ましい金型凸部21の形状としては、矩形(図4(a))、台形(図4(b))、三角形(図4(c))、これらが変形したもの(図4(d)、(e)、(f)、(g))、およびこれらの混在したもの等が挙げられるが、これら以外の形状も用いることができる。また、隣接する金型凸部間については、図4(a)〜(f)のように平坦部が形成されている場合、または、図4(g)のように平坦部が形成されることなく連続的に連結している場合のいずれでもよい。また、金型凹部の形状についても、上記金型凸部と同様に、矩形、台形、三角形、釣鐘型、またはこれらが変形したもの等の形状を好ましく用いることができる。
図5および図6は、金型2をその面と平行に切断した場合の断面における、金型凸部21と金型凹部22の好ましい形状および配置を例示する模式図である。図5および図6に示すように金型凸部21および金型凹部22の形状としては、線状、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を好ましく用いることができる。図5(a)〜(c)は金型凸部21および金型凹部22がストライプ状、図5(d)、(e)はそれぞれ金型凹部22が円形状、三角形状、図5(f)は金型凹部22が四角形状(金型凸部21は格子状)、図5(g)は金型凸部21と金型凹部22からなる千鳥格子状、図5(h)は金型凹部22が六角形状、図6(a)〜(d)はそれぞれ図5(d)、(e)、(f)、(h)の金型凸部21と金型凹部22が反転した場合を、それぞれ例示するものである。これら金型凸部21と金型凹部22は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していたり、異なる形状が混在していてもよい。
ここで、金型凸部21の幅、金型凹部22の幅は、図4(a)の場合、それぞれw1、w2の長さでもって表される。なお、図4(b)等のようにその長さ単位が高さ位置により異なる場合はそれぞれ平均値でもって表す。なお、金型凸部21の幅w1は、図5(a)〜(c)のストライプ状パターンの場合は単位長さの短い方向で測定する。図5(d)〜(h)の場合は単位長さが最も短いところを金型凸部の幅w1とする。また、図6(a)のように金型凸部21が円形の場合はその直径を、楕円の場合はその短径を、図6(b)〜(d)のように三角形・四角形などの多角形の場合はその内接円の直径を、金型凸部21の幅w1とすればよい。なお、金型凹部の幅w2についても同様の定義とする。
また、金型2の面方向断面において、金型凸部21の面積S2’と金型凹部12の面積S2”の比率は任意である。
金型の材質としては、ガラス、シリコン、ステンレス鋼(SUS)、あるいはニッケル(Ni)など各種材料を利用でき、特に限定されるものではないが、金型の加工性の点から、シリコンやガラス、離形性と耐久性からはステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)などの金属材質が好ましい。
金型は上述の材質をそのまま用いても構わないが、金型転写後に成形品を容易に離型できるように、金型2の表面を表面処理剤で処理し、易滑性を付与するのが好ましい。表面処理後の金型2の表層の接触角は、好ましくは80°以上、より好ましくは100°以上である。
金型の表面処理の方法としては、表面処理剤を金型表面に化学結合させる方法(化学吸着法)や、表面処理剤を金型表面に物理的に吸着させる方法(物理吸着法)等を使用することができる。この中で、表面処理効果のくり返し耐久性、および成形品への汚染防止の観点から化学吸着法により表面処理するのが好ましい。
化学吸着法に用いられる表面処理剤の好ましい例としては、フッ素系シランカップリング剤を使用することができる。これを用いた表面処理方法としては、まず、有機溶剤(アセトン、エタノール等)中での超音波処理や、硫酸等の酸、過酸化水素等の過酸化物の溶液中での煮沸などにより金型の表面を洗浄した後、フッ素系シランカップリング剤をフッ素系溶剤に溶解させた溶液に浸漬する方法(湿式法)や真空蒸着させて金型表面に析出させる方法(乾式法)などを使用することができる。湿式法の場合には、浸漬時に溶液を加熱することも好ましく行われる。浸漬時には、溶液を加熱することも好ましく行われる。また、浸漬後に加熱処理することも好ましく行われる。
ここで、本発明のパターン形成方法における積層体1とは、基材層12の表面に表面層11を積層させたものであり、表面層11は少なくとも微粒子を含むことを特徴とする。
本発明のパターン形成方法における微粒子とは、マトリックスと非相溶のもののことをいう。その材質として、例えば、無機微粒子や有機微粒子、気泡などが挙げられる。
無機微粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム等の金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ 、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム 、酸化ランタニウム 、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム 、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム 、フッ化アルミニウム 、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム等の硫酸塩、その他タルクおよびカオリンなどを用いることができる。
また、有機微粒子としては、架橋スチレンや架橋アクリルなどの架橋微粒子の他、マトリックスに対して非相溶だが、微分散して海島構造を形成する熱可塑性樹脂も微粒子として用いることもできる。
また、気泡としては、独立した気泡により形成されていてもよいし、二次元的あるいは三次元的に変形した連続孔や、それらが混在したものであっても用いることができる。
微粒子の形状としては、真球状、回転楕円体状、扁平体状、数珠状、板状または針状等、特に限定されない。さらには、マトリックス中に微粒子が二次元あるいは三次元的に連結した共連続構造も本発明のパターン形成方法における微粒子に含まれる。なお、これら微粒子は単一元素からなるものであっても、複数の元素からなるものであっても構わない。さらには上記の無機微粒子と有機微粒子、気泡は、単独でも2種以上を併用しても構わない。
また、本発明のパターン形成方法において、表面層11中の微粒子の平均粒径Rと金型凹部の幅w2との比R/w2が0.5以下であることが好ましい。より好ましくは0.4以下、もっとも好ましくは0.3以下である。表面層11中の微粒子の平均粒径Rと金型凹部の幅w2との比R/w2がこの範囲より大きいと、金型凸部21の侵入を受けても、微粒子を含む表面層11が金型凹部22に導入することが困難となり、貫通することができない。本発明のパターン形成方法において、微粒子の平均粒径Rと金型凹部の幅w2との比R/w2を1/2以下にすることによって、表面層11を貫通させることが可能となり、その結果、基材上に表面層をパターン状に形成することができる。
本発明のパターン形成方法において、微粒子の平均粒径Rとしては0.001〜50μmが好ましく用いられる。ここでいう微粒子の平均粒径Rとは、表面層11の断面観察像において観察される微粒子の平均粒径Rのことであり、球状のものについてはその直径を、それ以外のものについては平面投影時の長軸径、短軸径の算術平均値を示す。また、共連続構造の場合は、平均相間距離を微粒子の平均粒径Rとする。なお、これらは、電子顕微鏡により測定される値である。
本発明のパターン形成方法において、表面層11中の微粒子の含量としては、特に制限はされないが、1〜70重量%が好適に用いられる。より好ましくは2〜50重量%である。この範囲より大きいと、形成したパターン5の機械的強度が不足して形態保持性に劣ったり、微粒子が固定できずに、剥離して離脱する可能性があるため好ましくない。また、この範囲より小さいと、パターンを形成しても所望の機能が発現しないため好ましくない。本発明のパターン形成方法において、表面層11中の微粒子の含量を上述の範囲とすることによって、成形したパターンの機械的強度と、機能性を兼ね備えることができる。ただし、微粒子が気泡である場合には、上記範囲には制限されないが、表面層11中の気泡の空隙率としては、10〜70%であることが好ましく、より好ましくは15〜50%することにより、機械的強度と機能性を兼ね備えることができる。
また、表面層11には、マトリックスとなる樹脂が好適に用いられる。また、基材層12は、熱可塑性を有する樹脂が主たる成分として用いられる。表面層のマトリックスおよび基材層12は、表面層11のマトリックスのガラス転移温度(以下、Tg1という)+30℃において動的粘弾性測定(以下、DMAという)により得られる表面層11の動的貯蔵弾性率E1’と、基材層12の動的貯蔵弾性率E2’が、0.001≦E1’/E2’≦1.5を満たすことが好ましい。さらに好ましくは0.01≦E1’/E2’≦1.5である。ここでいう動的貯蔵弾性率E’とは、表面層11と基材層12のそれぞれの単膜シートについて、JIS K−7244に準じた方法により、引張モード、試料動的振幅速さ(駆動周波数)は1Hz、チャック間距離は5mm、歪振幅10μm、力振幅初期値100mN、昇温速度は2℃/minの測定条件にて温度依存性(温度分散)を測定したときに得られる値である。また、マトリックスのガラス転移温度Tg1とは、同様に表面層のマトリックスのみからなる単膜シートを形成して、これをJIS K−7244に準じた方法により測定したときに、tanδが極大となる温度のことで、表面層11のガラス転移温度をTg1、基材層12のガラス転移温度をTg2とする。表面層11のTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’と、該温度での基材層12の動的貯蔵弾性率E2’の比E1’/E2’が1.5より大きいと、表面層11より基材層12の変形が容易となるため、金型を押し付けたときに、基材層が変形して表面層を貫通できないことがあるので好ましくない。また、Tg1+30℃でのE1’/E2’が0.001より小さいと、表面層11の流動性が大きくなりすぎて作業性が低下したりすることがあるため好ましくない。本発明において、表面層11のマトリックスのガラス転移温度(以下、Tg1という)+30℃での動的貯蔵弾性率E1’と、該温度での基材層12の動的貯蔵弾性率E2’の比E1’/E2’をこの範囲とすることによってパターン形成を良好に行うことができる。
また、本発明のパターン形成方法における積層体1は、DMAにより得られる表面層11のTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’が1×104〜2×107 Paであることが好ましい。さらに好ましくは5×104〜1.5×107Paの範囲である。表面層11のTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’が2×107 Paより高いと、成形時の変形が起こりにくく貫通が不十分になることがあるため、プレス圧力を高くする必要があるが、面内に圧力不均衡が生じて貫通の面内均一性が低下したり、荷重を大きくするほど金型への負荷が大きくなり、金型の耐久性が低下するため好ましくない。また、1×104 Paより低いと、表面層11の流動性が大きくなりすぎて作業性が低下したりすることがあるため好ましくない。Tg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’を上述の範囲とすることで、十分な貫通性と面内均一性を得ることができる。
また、本発明のパターン形成方法における積層体1は、示差走査熱量測定(以下、DSCという)により得られる、昇温過程(昇温速度:2℃/分)における表面層11のマトリックスの結晶化エンタルピーΔHccが0J/gであることが好ましい。ここでいう結晶化エンタルピーΔHccとは、JIS K7122(1999)に準じて求められた値であり、昇温速度2℃/minで走査したときに得られる示差走査熱量測定チャートにおいて、結晶化に伴う発熱ピークの面積より求めた値である。結晶化エンタルピーΔHccが0J/gより大きいと、成形時の昇温過程において表面層11を構成するマトリックスが結晶化し、金型を押し付けても表面層11に金型凸部21が侵入できなかったり、侵入できたとしても貫通が不十分となったり、面内に圧力不均衡が生じて貫通の面内均一性が低下したりする等の理由のため好ましくない。本発明のパターン形成方法において、マトリックスの結晶化エンタルピーΔHccを0J/gとすることで、均一に表面層11を貫通させることができる。
本発明のパターン形成方法に用いる表面層11のマトリックスの結晶化エンタルピーΔHccを0J/gとするためには、マトリックスとなる樹脂の主鎖または側鎖に結晶化を阻害するような骨格を導入することにより達成できる。具体的には、フルオレン骨格、ビスフェノール−A骨格、水添ビスフェノール−A骨格、ナフタレン骨格、ピレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、シクロペンタン骨格、シクヘキサン骨格、シクロヘプタン骨格などの芳香族系骨格、シクロオクタン骨格、スピログリコール骨格などの脂肪族系環骨格や、ポリアルキレン骨格(ブチレン骨格、ペンチレン骨格、ヘキシレン骨格、ヘプチレン骨格、オクチレン骨格、ノニレン骨格、デシレン骨格、ウンデシレン骨格、ドデシレン骨格、テトラデシレン骨格、ペンタデシレン骨格、ヘキサデシレン骨格、ヘプタデシレン骨格など)およびこれらの異性体など、アルキル骨格(ブチル骨格、ペンチル骨格、ヘキシル骨格、ヘプチル骨格、オクチル骨格、ノニル骨格、デシル骨格、ウンデシル骨格、ドデシル骨格、テトラデシル骨格、ペンタデシル骨格、ヘキサデシル骨格、ヘプタデシル骨格など)およびこれらの異性体など、脂肪族系長鎖骨格等が挙げられる。これらは、単独で導入しても構わないし、あるいは複数の骨格を用いても構わない。
また、本発明のパターン形成方法における積層体1は、DMAにより得られるTg1+30℃での表面層11の動的損失弾性率E1”が1×103〜1.8×106Paであることが好ましい。より好ましくは1×103〜1.5×106Pa、最も好ましくは0.1×106〜1.5×106 Paである。Tg1+30℃での表面層11の動的損失弾性率E1”がこの値より高いと、賦形する際にシートの変形が起こりにくくなる。そのため、荷重を大きくしてプレス圧力を非常に高くする必要があるが、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時には金型への樹脂の充填が不十分となって転写精度が低下したり、面内に圧力不均衡が生じて転写の面内均一性が低下したりする等の理由のため好ましくない。また、荷重が大きくなるほど金型への負荷が大きく、くり返し使用耐久性が低下するため好ましくない。また、この値より低いとプレス時の樹脂の流動性が高くなりすぎて、プレス時に金型内に樹脂が充填せずに流れてしまうため好ましくない。Tg1+30℃での表面層11の動的損失弾性率E1”をこの範囲とすることで、高精細のパターンや、高アスペクト比パターンの大面積賦形時であっても良好な転写精度、面内均一性を得ることができる。
また、本発明のパターン形成方法における積層体1は、該基材層12と表面層11との剥離強度Fが50mN/cm以上であることが好ましい。より好ましくは70mN/cm以上、最も好ましくは100mN/cm以上である。
ここでいう剥離強度Fとは、本発明のパターン形成方法における積層体1の表面層11を基材層12に対して180°方向に剥離したときの剥離強度Fであり、剥離力のSSカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以上の平均剥離力T(N)から、剥離強度F(N/cm)=T/W(ここで、T(N):平均剥離力、W(cm):サンプル幅)で求められる値である。
該基材層12と表面層11との剥離強度がこの値未満であると、積層体1の表面に金型を押し当てた後、積層体から金型を外そうとしても、基材層12と表面層11間で剥離が起こり、金型のみをきれいに外すことができないため好ましくない。本発明のパターン形成方法における積層体1において、基材と表面層との剥離強度を上述の値以上とすることによって、高精細のパターンや、高アスペクト比のパターン成形時においても、基材と表層間で剥離が起こることなく金型を外すことができる
本発明のパターン形成方法において、これまでに記載した動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”、および結晶化エンタルピーΔHccの好ましい値および範囲は、少なくともパターン形成前の積層体を構成する表面層11および基材層12について満たされているのが好ましく、パターン形成後の表面層11および基材層12については、満たす場合および満たされない場合も好ましい態様である。
本発明のパターン形成方法における積層体1の、表面層11のマトリックスのパターン形成前および後のガラス転移温度Tg1は、いずれも、好ましくは30〜250℃、より好ましくは40〜230℃、最も好ましくは50〜200℃の範囲である。マトリックスのガラス転移温度Tg1がこの範囲を下回ると、成形前では積層体1のハンドリング性が悪くなることがあり、成形後にはパターンの耐熱性が低くなり形状が経時変化することがあるため好ましくない。また、この範囲を上回ると、成形温度が高くエネルギー的に非効率である上、成形プロセス(加熱/冷却サイクル)における、積層体1の体積変動が大きくなり積層体1が金型2に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの精度が低下したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる等の理由により好ましくない。
本発明のパターン形成方法において、積層体1の表面層11のマトリックスのガラス転移温度Tg1を、特に上述した範囲内とすることで、より良好な精度、離型性を得ることができる。なお、本発明のパターン形成方法における積層体1の基材12のパターン形成前および後のガラス転移温度Tg2は特に限定はされないが、好ましくはTg2≧Tg1−20℃となるのが貫通の容易性の点からよい。
本発明のパターン形成方法における、積層体1の表面層11のマトリックスおよび基材層12の材質は、いずれも熱可塑性を有する樹脂を主たる成分として構成されることが重要であり、該主成分となり得る熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、PMMAなどのアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、これらの共重合体および混合物などが挙げられる。
これらの中で共重合するモノマー種の多様性、材料物性制御の容易性などの理由から、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物が好ましい。上述の主成分たる熱可塑性樹脂は、表面層11のマトリックスにおいては全成分中1%以上、より好ましくは2%以上、また基材層12においては、全成分中の50重量%以上占めることが好ましい。また、上述の熱可塑性樹脂は、熱可塑性とともに光硬化性、熱硬化性を併せ持つことも好ましい。
また、表面層11のマトリックスおよび基材層12は、主成分たる熱可塑性樹脂以外に、電磁波照射または熱により架橋して硬化する成分を添加することも好ましい。電磁波照射または熱により架橋させることで、形成したパターンまたは基材の機械的強度、熱的安定性を向上させることができる。
また、本発明のパターン形成方法において、表面層11には、微粒子の他、染料、顔料、電磁波吸収体、導電材料、磁性材料、液晶材料、発光材料など各種機能性材料を添加してもよい。さらには、基材層12に上述の機能性材料を添加してもよい。また、表面層11のマトリックスおよび基材層12には、本発明の効果が失われない範囲内で、その他各種添加剤を加えることができる。添加配合することができる添加剤の例としては、例えば、分散剤、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、重合禁止剤、離型剤、増粘剤、pH調整剤および塩などが挙げられる。
表面層11の膜厚Lとしては、前述のように、金型2の金型凸部21の高さHが、該積層体1の表面層11の膜厚Lより大きければ特に限定されないが、貫通性の観点から、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.01〜150μm、更に好ましくは0.01〜100μmである。
また、基材層12の膜厚としては、特に限定されないが、シートとしての取扱性などの観点から、好ましくは5μm〜2mm、より好ましくは10μm〜1mm、更に好ましくは15μm〜800μmである。ただし、後述するように、積層体にその他異素材を支持体層として設ける場合の基材層12の膜厚は、上述の範囲に限定されず、0.01〜5μmであっても構わない。
また、基材層12としては、シート自体の機械的強度、耐熱性および取り扱いやすさ等を向上させるために、一軸または二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートなどの樹脂層(シート)を用いてもよい。二軸延伸したポリエチレンテレフタレートなどのシートを用いる場合には、その厚さは機械的強度等の面から20〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは50〜200μmである。
本発明のパターン形成方法における積層体1は、基材層12と、該基材層12の片側または両側に形成された表面層11からなるものであって、表面層11および基材層12は、いずれも均一な単一層または異なる材質からなる多層構造のいずれでもよい。また、表面層11と基材層12は、互いに異なる材質または構成であることが好ましい。
また、本発明に用いる積層体1に、その他異素材を支持体層として設けることも好ましく行われる。支持体層を用いる場合には、支持体層、基材層、表面層の順に積層された構成となる。好ましい支持体層の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等のフィルム基材およびこれらを一軸もしくは二軸に延伸したもの、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鋼、チタン、シリコン等の金属基材および石英ガラス等の各種ガラス、コンクリート等の無機基材などが挙げられ、特に透光性光学機能性シートを形成する場合は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂等のフィルム基材およびこれらを一軸もしくは二軸に延伸したものやガラスなど光線透過性を有するものが好ましく用いられる。なお、支持体層の厚みは特に限定されない。また、かかる支持体層には、下地調整材や下塗り材などの処理が施されたものであってもよい。
本発明のパターン形成方法に用いる積層体1の製造方法としては、例えば、基材層12を構成する組成物と表面層11を構成する組成物を、それぞれ別の二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製した基材層12に、表面層11の原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、基材12と表面層11をそれぞれ別々に単膜で作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、その他、表面層11を構成する組成物を溶媒に溶解または分散させ、その溶液または分散液を基材層12上に塗布する方法(コーティング法)等が挙げられる。
表面層11、および基材層12を単膜で作製する場合、それぞれ原料となる組成物を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)が挙げられる。その他の方法として、原料を溶媒に溶解または分散させ、その溶液または分散液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いで、かかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等も挙げられる。また、基材層12を支持体層の上に設ける場合にも、上述の溶融ラミネート法、熱ラミネート法、コーティング法等を用いることができる。
本発明のパターン形成方法は、図1に示すように、積層体1の表面に凹凸形状を有する金型2を押し付けて金型表面形状を転写するとともに、表面層11を貫通させるものである。図1のような平版金型をプレスする方法(平版プレス法)の他に、ロール状の金型を用いるロールtoロールの連続成形も好ましい方法である。ロールtoロール連続成形の場合、生産性の点で平版プレス法より優れている。
本発明のパターン形成方法において、プレス成形時の金型温度T1または積層体温度T2の少なくとも一方は、表面層11のマトリックス13のTg1〜Tg1+50℃の範囲内であることが好ましく、T1およびT2の両方が前記範囲を満たすことがより好ましい。T1およびT2のいずれもこの範囲に満たない場合、表面層11の動的貯蔵弾性率E’ 、動的損失弾性率E”の低下がみられず、金型をプレスしても成形困難となることがある。また、この範囲を上回ると、加熱/冷却サイクルにおける成形品の体積変動が大きくなり金型に噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンが変形したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる等の理由により好ましくない。本発明のパターン形成方法においては、プレス成形時の金型温度T1または積層体温度T2の少なくとも一方をこの範囲とすることで、良好な貫通性、精度、及び離型性を両立することができる。
また、本発明のパターン形成方法において、プレス圧力は、成形時の表面層11の動的貯蔵弾性率E’ 、動的損失弾性率E”に主に依存し、成形温度での表面層の動的貯蔵弾性率E1’以上の圧力で積層体の表面層に金型を押しつけるのが好ましい。この範囲に満たないと表面層11に金型凸部が十分に侵入することができなくなり、表面層11を貫通させることが困難となることがある。本発明のパターン形成方法においては、プレス圧力をこの範囲とすることで、表面層11を良好に貫通させることができる。
また、プレス圧力保持時間は、成形時の表面層11の動的貯蔵弾性率E’の値や成形圧力、金型の形状や膜厚など各種条件に依存する。
また、本発明のパターン形成方法において、プレス圧力開放温度T3は、成形温度より低く、かつTg1−20℃〜Tg1+20℃の温度範囲内であることが好ましい。この範囲に満たないと、プレス時の積層体1の変形が残留応力として残り、成形品の熱的な安定性が低下することがあるため好ましくない。また、この範囲を上回ると、圧力解放時の動的貯蔵弾性率E’ 、動的損失弾性率E”が低く、成形体が流動性をもった状態であるため、パターンが変形したりして精度が低下することがあるため好ましくない。本発明のパターン形成方法においては、プレス圧力開放温度T3をこの範囲とすることによって、良好な転写性と離型性とを両立することができる。
また、本発明のパターン形成方法において、離型温度T4は、常温〜T3℃の温度範囲内であることが好ましい。この範囲を上回ると、離型時にパターンが変形することがあり精度が低下するため好ましくない。本発明のパターン形成方法においては、離型時の温度をこの範囲とすることによって、パターン精度よく離型することができる。
前述のパターン形成方法によって得られる成形品の横断面図を、図7(a)〜(f)に模式的に例示する。図7は、表面層11が金型凸部の侵入により断裂して、かつ基部4の上にパターン状に表面層11が形成されている場合の例を示している。パターン5つまり成形後の表面層11の好ましい形状としては、矩形(図7(a)参照)、台形(図7(b)参照)、三角形(図7(c)参照)、これらが変形したもの(図7(d)、(e)、(f)、(g)参照)、およびこれらの組み合わせ形状などが挙げられるが、これら以外の形状も用いることができる。また、隣接する成形品凸部間については、図7(a)〜(f)のように平坦部が形成されている場合、または、図7(g)のように平坦部が形成されることなく連続的に連結している場合のいずれでもよい。また、成形品凹部の形状についても、上記成形品凸部と同様に、矩形、台形、三角形、釣鐘型、またはこれらが変形したもの等の形状を好ましく用いることができる。
また、表面層11の構造を詳細にみると、図2(a)〜(c)に例示するような構造も好ましく用いられる。図2(a)〜(c)は表面層11が金型凸部の侵入部分で破断した状態を示しており、またさらに、図2(a)は、成形品凸部全体が表面層を構成する材料で形成されている場合、図2(b)は成形品凸部の表層が表面層11で覆われている場合、図2(c)はこれらの中間の状態の場合をそれぞれ示すものである。
これら、図2(a)〜(c)に示した構造は、表面層11の材質、厚さL、断面積S1、動的貯蔵弾性率E1'、基材層12の材質、動的貯蔵弾性率E2'金型凸部21の高さH、金型凹部の断面積S2などを適宜変更することによってそれぞれ形成することができる。
図8(a)〜(h)は、それぞれ、本発明のパターン形成方法によって得られる成形品をその膜面と平行に切断した場合の断面における、パターン5の配置を模式的に示す断面図である。図8(a)〜(h)のようにパターン5の形状が、線状、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。図8(a)〜(c)はパターン5がストライプ状である場合、図8(d)はパターン5の断面が円形状である場合、図8(e)は三角形状である場合、図8(f)〜(g)は四角形状である場合、図8(h)は六角形状である場合を、それぞれ例示するものである。このパターン5は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していたり、異なる形状が混在していてもよい。また、図9(a)〜(d)のように、パターン5の存在しない部分の形状が、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。
また、成形品の面方向断面において、成形品凸部の面積S3’と成形品凹部の面積S3”の比率S3’/S3”は任意であるが、好ましくはS3’/S3”が4以下、さらに好ましくは1以下である。
また、本発明のパターン形成方法によって得られる成形品の基部4は平坦部41と凸部土台部分42とからなる。土台部分42の高さh2’は任意であるが、好ましくはh1/h2が1以上、さらに好ましくはh1/h2が2以上である。また、平坦部41の厚みl’は機械的強度等の面から20μm〜2mmが好ましく、より好ましくは30μm〜1mmであり、さらに好ましくは50〜500μmである。しかしながら、基部4の下に支持体層を設けた場合は、平坦部41の厚みl’は特に限定されず、20μm以下であっても構わない。
本発明のパターン形成方法によって得られる成形品は、形成したパターン5の機械的強度を高めたり、表面に耐摩擦性を付与するために、形成したパターン5の表面や、パターン5が形成されている面全面に透明樹脂や、金属酸化膜などによる保護膜を形成したり、形成したパターン5の間の凹部に透明樹脂を充填したりしてもよい。用いることができる透明樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、等を好適に用いることができる。また、用いることができる金属酸化物も透明であれば特に限定されない。また、本発明のパターン形成方法によって得られる成形品の表面に保護フィルム等別のフィルムを張り合わせたりすることも好適に行われる。
また、本発明のパターン形成方法によって得られる成形品のパターン未賦形面側には、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層など、任意の層を形成することができる。また、他の機能を有する基材等との貼り合わせをすることによって、多機能を有する機能統合高性能シートとすることも可能である。
本発明のパターン形成方法により得られた成形品は、そのパターンを構成する材料を適宜選択することによって、ディスプレイ部材、半導体集積材料、意匠部材、光回路、光コネクタ部材、バイオチップなど各種用途に展開可能である。特に、基材層12として透光性基材を用いた場合、各種透光性を有する光学機能性を有するシートを形成することが可能である。その例として、(1)集光シート、(2)視野制御シート、などがあげられる。以下、これらの例の詳細を示す。
(1)集光シート
本発明のパターン形成方法によって得られる光学機能性シート(1)は、拡散して広がった光を一方向に指向させる集光機能を有することを特徴とする。
本発明の光学機能性シート(1)は、光線透過性を有する基材層12上に微粒子13として光拡散性材料を用いて表面層11を形成した積層体に上述のパターン形成方法によって得ることができ、具体的な形状としては、図10のように基部140の上にパターン状に光拡散層150が形成されていることが挙げられる。
なお、図10は、表面層11が金型凸部の侵入により断裂して、かつ基部140の上にパターン状に光拡散層150が形成されている場合の例を示しているが、これに限定されず、図11(a)〜(f)に例示するような構造も好ましく用いられる。図11(a)〜(c)は表面層11が金型凸部の侵入部分で破断した状態、図11(d)〜(f)は表面層11が部分的、もしくは全体的に連結しているが、機能的に連結しない場合を示しており、またさらに、図11(a)、(d)は、凸部全体が表面層を構成する材料で形成されている場合、図11(b)、(e)は凸部の表層が表面層11で覆われている場合、図11(c)、(f)はこれらの中間の状態の場合をそれぞれ示すものである。これら、図11(a)〜(f)に示した構造は、表面層11の材質、厚さL、断面積S1、E1’、基材層12の材質、E2’金型凸部21の高さH、金型凹部の断面積S2、などを適宜変更することによってそれぞれ形成することができる。なお、本発明の光学機能性シート(1)における機能的に断続しないとは、図11(d)〜(f)において、連結部分の膜厚が1/4H1’以下であることを指す。
本発明の光学機能性シート(1)において、光拡散層150の好ましい形状としては、矩形(図10(a)参照)、台形(図10(b)参照)、三角形(図10(c)参照)、これらが変形したもの(図10(d)〜(f)参照)、および、これらの組み合わせ形状などが挙げられるが、これらに限定されることなく、形状を適宜選択することによって任意の集光特性を得ることができる。また、隣接する線状パターン間については、図10(a)〜(f)のように平坦部が形成されている場合、または図10(g)のように平坦部が形成されることなく連続的に連結している場合のいずれでもよい。これら、図10(a)〜(f)に示した構造は、表面層11の材質、厚さL、断面積S1、動的貯蔵弾性率E1’、基材層12の材質、動的貯蔵弾性率E2’、金型凸部21の高さH、金型凹部の断面積S2、などを適宜変更することによってそれぞれ形成することができる。
図12(a)〜(h)は、それぞれ、本発明の光学機能性シート(1)をその膜面と平行に切断した場合の断面における、光拡散層150の配置を模式的に示す断面図である。図12(a)〜(h)のように光拡散層150の形状が、線状、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。図12(a)〜(c)は光拡散層150がストライプ状である場合、図12(d)は光拡散層150の断面が円形状である場合、図12(e)は三角形状である場合、図12(f)〜(g)は四角形状である場合、図12(h)は六角形状である場合を、それぞれ例示するものである。この光拡散層150は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していたり、異なる形状が混在していてもよい。また、図13(a)〜(d)のように、光拡散層150の存在しない部分の形状が、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。
本発明の光学機能性シート(1)において、微粒子13は、光を拡散させることができればいずれの粒子であっても使用することができるが、光拡散性の効率から微粒子13の平均粒径Rは0.001〜50μmが好ましく、より好ましくは0.002〜30μm、更に好ましくは0.002〜10μmである。微粒子13の平均粒径Rが上述の範囲より小さい場合には、光拡散性が波長に依存することがあり、その結果シートを透過する光が着色するため好ましくなく、また上述の範囲を超えると光拡散効率が悪くなり、十分な集光効果を得ることができなくなるため好ましくない。本発明の光学機能性シート(1)において、微粒子13の平均粒径Rを上述の範囲とすることにより、高効率の集光機能を得ることができる。
また、本発明の光学機能性シート(1)において、微粒子13の屈折率は、マトリックスの屈折率により適宜選択されるが、光拡散性の観点から、微粒子13の屈折率とマトリックスの屈折率差は0.01以上がよく、好ましくは0.05以上、最も好ましくは0.1以上である。微粒子13の屈折率とマトリックスの屈折率の差が上述の範囲より小さい場合には、光拡散効率が悪くなり、十分な集光効果を得ることができなくなるため好ましくない。本発明の光学機能性シート(1)において、微粒子13とマトリックスの屈折率差を上述の範囲とすることにより、高効率の集光機能を得ることができる。
また、光学機能性シート(1)の面方向断面において、成形品凸部の面積S4’と成形品凹部の面積S4”の比率は(=凹部の面積/凸部の面積)は、50/1〜1/3であることが好ましく、さらには40/1〜1/2であることが好ましい。上記の面積比率とすることにより、光線の利用効率を低下させずに光拡散層150による十分な輝度向上効果を発揮させることができるため好ましい。
また、本発明の光学機能性シート(1)において、シート膜厚方向における凸部の高さH1’と、シート断面における膜面方向の凹部幅w12’との比率(H1’/w12’、アスペクト比)が1〜10であることが好ましい。この比率を1〜10とすることが、光線の利用効率を低下させずに光拡散層150による十分な輝度向上効果を得るために好ましい。
ここで、凹部幅w12’は、図10(a)に示したように、シート断面において、凸部と凹部とが交互に繰返し配列する方向での凸部間の長さである。なお、図12(a)〜(c)のようにストライプ状パターンの場合や、図12(d)〜(h)のように、光拡散層150が円形もしくは多角形状である場合は、光拡散層150間の最短距離を凹部の幅w12’とする。また、図13(a)のように、凹部が円形の場合はその直径が、楕円の場合はその短径が、図13(b)〜(d)のように三角形・四角形などの多角形の場合はその内接円の直径が、凹部の幅w12’に相当する。なお、光拡散層150の幅w11’についても同様の定義とする。
また、本発明の光学機能性シート(1)は、凹部の幅w12’が5〜250μmであることが好ましい。この範囲とすることで、液晶ディスプレイ用途へ使用した場合に、目視でシート上の繰り返しパターンが確認されず、画素パターンとの干渉が生じないため好ましい。また、繰り返しパターンのピッチp1’(=w11’+w12’)は一定であってもよいし、規則的に変化しても、またランダムであってもよい。なお、凹部の幅w12’は、図10(b)等のようにその長さ単位が膜厚方向で異なる場合はその平均値でもって表す。
また、本発明の光学機能性シート(1)の凸部の高さH1’は、十分な集光効果を得るためのパターンの形成しやすさ(プロセス面)、および薄型化への対応等を考慮した場合、10〜500μmが好ましい。
また、本発明の光学機能性シート(1)の基部140は平坦部141と凸部土台部分142とからなる。土台部分142の高さh12’は任意であるが、平坦部141の厚みl1’は機械的強度と、薄型化への対応の面から20μm〜1mmが好ましく、より好ましくは30μm〜500μmであり、さらに好ましくは50〜300μmである。しかしながら、基部140の下に支持体層を設けた場合は、平坦部141の厚みl1’は特に限定されず、20μm以下であっても構わない。
本発明の光学機能性シート(1)は、拡散して広がった光を一方向に指向させ集光する機能を有することを特徴とし、本機能が求められる各種用途に使用することができるが、その例として、特に液晶ディスプレイのバックライト用のフィルムとして使用した場合に輝度向上効果が発揮されることがあげられる。このメカニズムについて説明する。
図14は、液晶ディスプレイに光を入射させるための面光源における各構成部材の相対的な位置関係を示す概略横断面図の一例であり、面光源として用いるときにはそれら各構成部材同士は接している。
図14において、導光板600の上面側に拡散シート700が配置され、さらにその上に本発明の光学機能性シート(1)100が配置され、また、導光板600の下面側には反射シート500が配置されている。さらに、導光板600の側面には蛍光管400が配置されている。蛍光管400から照射される光は、導光板600の側面から導光板600内に入り、導光板600の上面から拡散シート700、本発明の光学機能性シート100を経て上方に出射する。なお、前記構成例に制限されず、導光板600として、表裏面にドット、プリズム状などさまざまな加工を施したものを用いたり、蛍光管400を複数本を設置したりしてもよく、さらには、光拡散シート700に関しては、複数枚用いてもよく、種々の部材および構成が好ましく用いられる。また、図14では面光源としてサイドライト型面光源を用いた例を示したが、該面光源として、直下型面光源であってもよく、任意の面光源を用いることができる。
このような面光源において、本発明の光学機能性シート(1)による正面集光のメカニズムを図15に沿って説明する。図15は、図10(a)に示す本発明の光学機能性シート(1)の横断面を、さらに拡大して概念的に示すシート横断面図である。本発明の光学機能性シート(1)100に、その表面方向から(図14、図15では下方から)入射した光線λ0のうち、正面方向(図14、図15の上方方向)以外に逃げていってしまう側面方向(図14、図15の水平方向)への光線が光拡散層150へ当たり、拡散透過(λ2)または拡散反射(λ3)する。これにより、側面方向(図14、図15の水平方向)への出射が抑制され、正面方向(図14、図15の上方方向)への散乱確率が増え、正面における輝度が向上するものである。
本発明の光学機能性シート(1)において、形成した光拡散層150の機械的強度を高めたり、表面に耐摩擦性を付与するために、光拡散層150表面や、パターン5が形成されている面全面に透明樹脂や、金属酸化膜などによる保護膜を形成したり、光拡散層150と光拡散層150の間の凹部に透明樹脂を充填したりしてもよい。用いることができる透明樹脂は可視光の波長領域の光に対して透明であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、等を好適に用いることができる。また、用いることができる金属酸化物も可視光の波長領域の光に対して透明であれば特に限定されない。また、本発明の光学機能性シート(1)の表面に保護フィルム等別のフィルムを張り合わせたりすることも好適に行われる。
また、本発明の光学機能性シート(1)のパターン未賦形面側には、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層など、任意の層を形成することができる。また、他の機能を有する基材等との貼り合わせをすることによって、多機能を有する機能統合高性能シートとすることも可能である。例えば、表面の平滑な拡散シートと一体化することにより、薄型でも高拡散機能と高輝度機能とを併せ持つシートも得られる。
(2)視野制御シート
本発明のパターン形成方法によって得られる光学機能性シート(2)は、拡散して広がった光のうち、所定角度範囲方向の光のみを選択的に透過し、その他の方向の光は吸収または散乱する視野制御機能を有することを特徴とする。
本発明の光学機能性シート(2)は、光線透過性を有する基材層12上に微粒子13として光吸収性材料または光散乱性材料を用いて表面層11を形成した積層体に上述のパターン形成方法によって得ることができ、具体的な形状としては、図16のように基部240の上にパターン状に光吸収層または光散乱層250が形成されていることがあげられるなお、図16は、表面層11が金型凸部の侵入により断裂して、かつ基部240の上にパターン状に光吸収層または光散乱層250が形成されている場合の例を示しているが、これに限定されず、図17(a)〜(f)に例示するような構造も好ましく用いられる。図17(a)〜(c)は表面層11が金型凸部の侵入部分で破断した状態、図17(d)〜(f)は表面層11が部分的、もしくは全体的に連結しているが、機能的に連結しない場合を示しており、またさらに、図17(a)、(d)は、凸部全体が表面層を構成する材料で形成されている場合、図17(b)、(e)は凸部の表層が表面層11で覆われている場合、図17(c)、(f)はこれらの中間の状態の場合をそれぞれ示すものである。これら、図17(a)〜(f)に示した構造は、表面層11の材質、厚さL、断面積S1、動的貯蔵弾性率E1’、基材層12の材質、動的貯蔵弾性率E2’金型凸部21の高さH、金型凹部の断面積S2、などを適宜変更することによってそれぞれ形成することができる。なお、本発明の光学機能性シート(2)における機能的に断続しないとは、図11(d)〜(f)において、連結部分の膜厚の表面層11を持つ積層体を形成し、その透過率を測定したときに、透過率が50%以上であることを示す。
本発明の光学機能性シート(2)において、光吸収層または光散乱層250の好ましい形状としては、矩形(図16(a)参照)、台形(図16(b)参照)、三角形(図16(c)参照)、これらが変形したもの(図16(d)〜(g)参照)、およびこれらの組み合わせ形状などが挙げられるが、これらに限定されることなく、形状を適宜選択することによって任意の視野制御特性を得ることができる。また、隣接するパターン間については、図16(a)〜(f)のように平坦部が形成されている場合、または図16(g)のように平坦部が形成されることなく連続的に連結している場合のいずれでもよい。
図18(a)〜(h)は、それぞれ、本発明の光学機能性シート(2)をその膜面と平行に切断した場合の断面における、光吸収層または光散乱層250の配置を模式的に示す断面図である。図18(a)〜(h)のように光吸収層または光散乱層250の形状が、線状、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。図18(a)〜(c)は光吸収層または光散乱層250がストライプ状である場合、図18(d)は光吸収層250または光散乱層の断面が円形状である場合、図18(e)は三角形状である場合、図18(f)〜(g)は四角形状である場合、図18(h)は六角形状である場合を、それぞれ例示するものである。この光吸収層250は、図示した場合のように整列していてもよく、またランダムに配列していたり、異なる形状が混在していてもよい。また、図19(a)〜(d)のように、光吸収層または光散乱層250の存在しない部分の形状が、略三角形、略四角形、略六角形、円、楕円等から選ばれる形状を有していてもよい。
本発明の光学機能性シート(2)において、微粒子13は、光を吸収、もしくは散乱させる任意の微粒子を用いることができる。ここで、微粒子13として、可視光の全波長領域を吸収するものを用いた場合、斜め方向の光は吸収される結果、斜め方向から観察すると黒色となる視野制御シートとすることができ、また微粒子13として、可視光の全波長領域を散乱させるものを用いた場合は、斜め方向から観察すると白色となる視野制御シートとすることができる。また、微粒子13として可視光の全波長領域で吸収、散乱する必要は必ずしもなく、任意の波長で吸収、散乱する材料を適宜選択して用いることによって、斜め方向から観察した場合に任意の色となる視野制御シートとすることもできる。その例として、黒色の場合はカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素微粒子など、白色の場合は二酸化チタン、二酸化亜鉛など、赤色の場合は酸化第二鉄、アゾレーキレッド、キナクドリンレッドなど、黄色の場合はクロム酸鉛、オキサイドイエロー、ファストロエロー、スレンエローなど、緑色の場合は酸化クロム、フタロシアニングリーンなど、青色としては、フタロシアニンブルーなど、紫色の場合はジオキサジンバイオレッドなどがあげられるが、これらに限定されず、任意の波長領域で吸収、もしくは散乱特性を有する微粒子を用いることができ、任意の色の視野制御シートとすることができる。また、金属微粒子を用いた場合は、斜め方向から観察した場合、メタル調やパール調とすることも可能である。また、金属微粒子と上記着色顔料と組み合わせることで、任意の色彩かつメタル調やパール調とすることも可能である。
また、光学機能性シート(2)の面方向断面において、成形品凸部の面積S5’と成形品凹部の面積S5”の比率は(=凹部の面積/凸部の面積)は、50/1〜1/1であることが好ましく、さらには40/1〜2/1であることが好ましい。この範囲より大きくなると、視野制御性が十分に発揮されなかったり、機械的強度が低下することがあるため好ましくない。また、この範囲に満たないと、シート全体の光線透過率が低くなって正面輝度が低下したり、透過光が着色したりすることがあるため好ましくない。本発明の光学機能性シート(2)において、成形品凸部の面積S4’と成形品凹部の面積S4”の比率を上記比率とすることによって、所望角度範囲の光線の利用効率を低下させることなく、光吸収層250による十分な視野制御性を発揮させることができるため好ましい。
また、本発明の光学機能性シート(2)において、シート膜厚方向における凸部の高さH2’と、シート断面における膜面方向の凹部幅w22’との比率(H2’/w22’、アスペクト比)を変更することによって任意の視野制御特性を得ることができる。すなわち、アスペクト比(H2’/w22’)を低くすると視野角が広がり、高くすると視野角を狭くすることが可能となる。アスペクト比(H2’/w22’)の好ましい範囲としては1〜10である。
ここで、凹部幅w22’は、図16(a)に示したように、シート断面において、凸部と凹部とが交互に繰返し配列する方向での凸部間の長さである。なお、図18(a)〜(c)のようにストライプ状パターンの場合や、図18(d)〜(h)のように、光吸収層または光散乱層250が円形もしくは多角形状である場合は、光吸収層または光散乱層250間の最短距離を凹部の幅w22’とする。また、図19(a)のように、凹部が円形の場合はその直径が、楕円の場合はその短径が、図19(b)〜(d)のように三角形・四角形などの多角形の場合はその内接円の直径が、凹部の幅w22’に相当する。なお、光吸収層または光散乱層250の幅w21’についても同様の定義とする。
また、本発明の光学機能性シート(2)は、凹部の幅w22’が5〜250μmであることが好ましい。この範囲とすることで、液晶ディスプレイ用途へ使用した場合に、目視でシート上の繰り返しパターンが確認されず、画素パターンとの干渉が生じないため好ましい。また、繰り返しパターンのピッチp2’(=w21’+w22’)は一定であってもよいし、規則的に変化しても、またランダムであってもよい。なお、凹部の幅w22’は、図16(b)等のようにその長さ単位が膜厚方向で異なる場合はその平均値でもって表す。
また、本発明の光学機能性シート(2)の凸部の高さH2’は、十分な視野制御性を得るためのパターンの形成しやすさ(プロセス面)、および薄型化への対応等を考慮した場合、10〜500μmが好ましい。
また、本発明の光学機能性シート(2)の基部240は平坦部241と凸部土台部分242とからなる。土台部分242の高さh22’は任意であるが、平坦部241の厚みl2’は機械的強度と、薄型化への対応の面から20μm〜1mmが好ましく、より好ましくは30μm〜500μmであり、さらに好ましくは50〜300μmである。しかしながら、基部240の下に支持体層を設けた場合は、平坦部241の厚みl2’は特に限定されず、20μm以下であっても構わない。
本発明の光学機能性シート(2)は、拡散して広がった光のうち、所定角度範囲方向の光のみを選択的に透過し、その他の方向の光は吸収または散乱する視野制御機能を有することを特徴とし、本機能が求められる各種用途に使用することができるが、その例として、特に液晶表示装置や、キャッシュディスペンサーのタッチパネルなどの画像表示媒体の前面に設置することによって、他人からの機密情報ののぞき込みを防止できることがあげられる。画像表示装置の前面に設けた場合を例にして、視野制御機能発現のメカニズムについて説明する。
図20は、本発明の光学機能性シート(2)を用いた液晶表示装置の液晶表示装置の好ましい構成の一例である。液晶表示装置の構成としては、液晶セル900と液晶セルに光を入射させるための複数の構成部材からなる面光源から構成され、図20は各構成部材の相対的な位置関係を示す概略横断面図であり、実際にはそれら各構成部材同士は接している。
図20において、導光板600の上面側に拡散シート700が配置され、さらにその上にプリズムシート800が配置され、また、導光板600の下面側には反射シート500が配置されている。さらに、導光板600の側面には蛍光管400が配置されている。蛍光管400から照射される光は、導光板600の側面から導光板600内に入り、導光板600の上面から拡散シート700、プリズムシート800を経て上方に出射する。なお、前記構成例に制限されず、導光板600として、表裏面にドット、プリズム状などさまざまな加工を施したものを用いたり、蛍光管400を複数本を設置したりしてもよく、さらには、光拡散シート700やプリズムシート800に関しては、どちらか一方のみ使用する場合やそれぞれ複数枚用いる場合など、種々の部材および構成が好ましく用いられる。また、図20では面光源としてサイドライト型面光源を用いた例を示したが、該面光源として、直下型面光源であってもよく、任意の面光源を用いることができる。
次に、これら面光源の上側に、液晶セル900、および本発明の光学機能性シート(2)200を順に組み上げることで液晶表示装置として好ましい構成となる。なお、今回は最も観察者側が本発明の光学機能性シート(2)200となるように搭載した例を示したが、本発明の光学機能性シート(2)200と液晶セル900の搭載順が逆になっても構わない。
このような液晶表示装置において、本発明の光学機能性シート(2)による視野制御メカニズムを図21に沿って説明する。図21は、図16(a)に示す本発明の光学機能性シート(2)の横断面を、さらに拡大して概念的に示すシート横断面図である。微粒子として光吸収性材料を使用した場合は、本発明の光学機能性シート(2)200に、その表面方向から(図20、図21では下方から)入射した光線λ0のうち、正面方向(図20、図21の上方方向)以外に逃げていってしまう側面方向(図20、図21の水平方向)への光線が光吸収層250へ当たると、光吸収層250に含まれる微粒子がその光線を吸収し、失活させる。これにより、側面方向(図20、図21の水平方向)への出射が抑制され、正面方向付近の光(図20、図21の上方方向)のみを選択的に透過することによって、視野制御性を発現するものである。
また、微粒子として光散乱性材料を使用した場合は、本発明の光学機能性シート(2)200に、その表面方向から(図20、図21では下方から)入射した光線λ0のうち、正面方向(図20、図21の上方方向)以外に逃げていってしまう側面方向(図20、図21の水平方向)への光線が光散乱層250へ当たると、光散乱層250に含まれる微粒子がその光線を散乱させる。これにより、側面方向(図20、図21の水平方向)への出射が抑制され、正面方向付近の光(図20、図21の上方方向)のみを選択的に透過することによって、視野制御性を発現するものである。
本発明の光学機能性シート(2)において、形成した光吸収層または光散乱層250の機械的強度を高めたり、表面に耐摩擦性を付与するために、光吸収層または光散乱層250表面や、金属層250が形成されている面全面に透明樹脂や、金属酸化膜などによる保護膜を形成したり、光吸収層または光散乱層250の間の凹部に透明樹脂を充填したりしてもよい。用いることができる透明樹脂は、可視光の波長領域の光に対して透明であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、等を好適に用いることができる。また、用いることができる金属酸化物も可視光の波長領域の光に対して透明であれば特に限定されない。また、本発明の光学機能性シート(2)の表面に保護フィルム等別のフィルムを張り合わせたりすることも好適に行われる。
また、本発明の光学機能性シート(2)のパターン未賦形面側には、帯電防止層、反射防止層、ハードコート層など、任意の層を形成することができる。また、他の機能を有する基材等との貼り合わせをすることによって、多機能を有する機能統合高性能シートとすることも可能である。
本発明のパターン形成方法を用いると、微粒子14を適宜選択することによって、(1)集光シート、(2)視野制御シート等、種々の光学機能性シートを作成できる。これら光学機能性シートは従来まではフォトリソ、エッチング等の多くの工程を経なければならなかった。本発明のパターン形成方法は、金型転写のみで各種光学機能性シートを形成できるため、従来の方法と比べて、生産時間を大幅に短縮でき、コスト大幅に低下できるという点で優れている。
本発明のパターン形成方法は、上述の例以外にも導電性材料を用いて導電シート、電磁波シールドシート、電気回路等への展開例も挙げられ、微粒子13を適宜選択することで、各種産業分野へも応用展開可能なシートを形成することが可能である。
[特性の評価方法]
A.断面構造:
積層体、金型、成形品の断面を切り出し、白金−パラジウムを蒸着した後電界放射走査型電子顕微鏡JSM−6700F、(日本電子(株)製)を用いて断面観察を行って写真を撮影し、得られた写真から、積層体の表面層11の膜厚L、金型凸部の高さH、隣接する金型凸部間Wを求めた。また、表面層11の断面積S1(=W×L)、金型凹部の幅w
2、断面積S2、微粒子の平均粒径Rを求めた。
なお、微粒子の平均粒径Rは、得られた画像から、無作為に100個の粒子の径を求め、その平均値でもって平均粒径Rとした。
なお貫通は、次のように判定した。成形品の断面構造を観察して、
完全に表面層が貫通している場合:○、
ごく僅かに表面層が残っているが殆ど貫通している場合:△、
表面層が貫通していない場合:×、
の3段階評価とした。
また、転写性は次のように判定した。成形品凸部の断面積A’と金型凹部断面積S2との比A’/S2が、
0.92以上:○、
0.90以上0.92未満:△、
0.90未満:×、
の3段階評価とした。
B.動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”、ガラス転移温度Tg:
表面層11のマトリックスのガラス転移温度Tg1、表面層11の動的貯蔵弾性率E’、 動的損失弾性率E”、基材層12の動的貯蔵弾性率E’、動的損失弾性率E”、ガラス転移温度Tg2は、表面層11のマトリックスの材料、表面層11、基材層12をそれぞれ単膜で作製し、JIS−K7244(1999)に従って、セイコーインスツルメンツ社製の動的粘弾性測定装置”DMS6100”を用いて求めた。引張モード、チャック間距離は5mm、駆動周波数は1Hz、歪振幅10μm、力振幅初期値100mN、昇温速度は2℃/minの測定条件にて、各シートの粘弾特性の温度依存性を測定した。この測定結果から、表面層のマトリックスの単膜シートのtanδが極大となるときの温度をTg1、基材層12のtanδが極大となるときの温度をTg2とした。また、Tg1+30℃における基材層12の動的貯蔵弾性率E2’を求めた。また、表面層11のマトリックスのガラス転移温度Tg1+30℃における表面層11の動的貯蔵弾性率E1’、 動的損失弾性率E1”、および、該温度での基材層12の動的貯蔵弾性率E2’を求め、E1’/E2’を求めた。
C.結晶化エンタルピーΔHcc:
表面層11の結晶化エンタルピーΔHccは、積層体1から表面層11を削り取り、得られたものをJIS K7122(1999)に従って、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて求めた。サンプルパンに各シートを5mgずつ秤量し、昇温速度は2℃/minで走査した。結晶化エンタルピーΔHccは結晶化の発熱ピークの面積より求めた。
D.剥離強度F:
積層体を幅2cm×長さ12cmの短冊状に切り出し、厚さ2mmの表面平滑なアクリル板に基材層側を両面テープで張り付け、表面層側にポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を張り付けて、アクリル板の上端をテンシロン引っ張り試験機(東洋測器(株)製UTMIII)のロードセルにつるした。次いで、粘着テープの上端に帯状のリード紙をはり、その一端を下部チャックで把持して、クロスヘッド速度300mm/minで下(180°)方向に引っ張り、基材層と表面層の層間の剥離力を測定した。剥離強度F(N/cm)は、SSカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以上の平均剥離力T(N)から次式により算出した。
・剥離強度F(N/cm)=T/W
ここで、T(N):平均剥離力、W(cm):サンプル幅、である。
E.集光シートの特性評価方法
E−1輝度向上効果:
パソコンモニター用直管4灯型バックライトの導光板下側に反射シート“ルミラー”E60L(東レ(株)製)、導光板上側に拡散シート“オパルス”BS−04(恵和(株)製)、を配置し、その上に得られた光機能性シート(1)を、パターンが観察者側になるように重ねて、12Vで面光源を立ち上げた。30分後、色彩輝度計BM−7/FAST(トプコン(株)製)を用いて正面輝度(a)を測定した。次いで、光学機能性シート(1)のみを取り外して同様にして輝度(b)を測定した。得られた結果より、下記式から輝度向上率を算出した。
輝度向上率(%)=100×((a)−(b))/(b)
得られた値が、
輝度向上効果が10%以上の場合:○、
輝度向上効果が10%未満の場合:×、
とした。
F.視野制御シートの特性評価方法:
F−1視野角特性
携帯電話の液晶表示部分の最前面に光学機能性シート(2)を、パターンが観察者側になるように張り合わせた。画面の情報を法線方向から観察した後、徐々に観察方向を傾けていき、画面の情報が観察されなくなったときの方向と法線方向とのなす角度を求めた。
正面方向からは画像情報が確認され、傾けたときに視野制御性が発現した場合:○、
正面方向から画像情報が確認されない場合:×、
とした。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
実施例1
表面層として、マトリックスとなる60℃で4時間静置乾燥させたシクロヘキサンジメタノール66mol%共重合PET(”Easter PET−G”GN071:イーストマン(株)製)90重量部、および、微粒子となるポリメチルペンテン(”TPX”DX820:三井化学(株)製)10重量部を押出機内で280℃で溶融させ、また、基材層として、150℃で2時間真空乾燥させたシクロヘキサンジメタノール25%共重合PETを別の押出機内で280℃で溶融させて、所定の方法により溶融2層共押出口金からキャストドラム上に共押出して、表面層膜厚60μm、基材層厚さ480μmからなる総膜厚540μmの2層積層体を得た。
得られた積層体、及び金型(ストライプパターン(ピッチ50μm、幅w1=20μm、高さH=160μm、アスペクト比H/w1=8(図22(a)参照))の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、得られた画像から、積層体の表面層11の膜厚L、断面積S1、金型凸部の高さH、金型凹部の幅w2、断面積S2、ポリメチルペンテン微粒子の平均粒径Rを求めた。また、積層体の基材層と表面層の層間の剥離強度Fを前述の方法にて測定した。結果を表1、表2に示す。
また、表面層マトリックス、表面層、基材層それぞれについて、単膜とする他は同様の方法で単層シートを作製し、得られたシートについて、ガラス転移温度Tg1、Tg2、室温、及びTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’、E2’ 、動的損失弾性率E1”を前述の方法にて測定した。結果を表2に示す。
次に、得られた積層体、及び該金型をともに110℃に加熱し、シート表面と金型の凹凸面を接触させて20MPaでプレスし、そのまま5分間保持した。その後、80℃まで冷却後プレス圧力を解放し、50℃に冷却して金型から離型して樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、該金型の形状が転写されているとともに、表面層が貫通しており、ピッチ50μm、幅30μm、深さ160μmのストライプパターン(成形品凸部:幅w11’=30μm、高さH1’=160μm(表面層高さh11’=100μm、土台部分高さh12’=60μm)、短軸アスペクト比H1’/w11’=5.3(図22(b)参照))を形成できていることを確認した。
得られたシートを、パソコンモニター用直管4灯型バックライトに上に配置し、色彩輝度計BM−7(トプコン(株)製)を用いて正面輝度を測定した。
該正面輝度値は9681cd/m2 であり、シートを載せずに測定した場合が8567cd/m2 であったので、シートを載せない場合と比べて正面輝度が13%向上していた。
すなわち、このシートは、拡散して広がった光を一方向に指向させて集光するという優れた機能を良好に有する光学機能性シートであった。
実施例2
表面層として、マトリックスとなる60℃で4時間静置乾燥させたシクロヘキサンジメタノール66mol%共重合PET(”Easter PET−G”GN−071:イーストマン(株)製)90重量部、および、微粒子となるシリコーン樹脂微粒子(”トスパール”120:東芝GEシリコーン(株)製、平均粒径2μm)10重量部とした以外は実施例1と同様の方法で積層体を得た。
得られた積層体、及び金型(ストライプパターン(ピッチ50μm、幅w1=20μm、高さH=160μm、アスペクト比H/w1=8(図22(a)参照))の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、得られた画像から、積層体の表面層11の膜厚L、断面積S1、金型凸部の高さH、金型凹部の幅w2、断面積S2、シリコーン樹脂微粒子の平均粒径Rを求めた。また、積層体の基材層と表面層の層間の剥離強度Fを前述の方法にて測定した。結果を表1、2に示す。
また、表面層マトリックス、表面層、基材層それぞれについて、単膜とする他は同様の方法で単層シートを作製し、得られたシートについて、ガラス転移温度Tg1、Tg2、室温、及びTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’、E2’、 動的損失弾性率E1”を前述の方法にて測定した。結果を表2に示す。
次に、実施例1と同様の方法にて樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状が転写されていると共に、表面層が貫通しており、ピッチ50μm、幅30μm、深さ160μmのストライプパターン(成形品凸部:幅w11’=30μm、高さH1’=160μm(表面層高さh11’=100μm、土台部分高さh12’=60μm)、短軸アスペクト比H1’/w11’=5.3(図22(b)参照))を形成できていることを確認した。
得られたシートを、パソコンモニター用直管4灯型バックライトに上に配置し、色彩輝度計BM−7(トプコン(株)製)を用いて正面輝度を測定した。
該正面輝度値は、9985cd/m2 であり、シートを載せずに測定した場合が8683cd/m2 であったので、シートを載せない場合と比べて、正面輝度が15%向上していた。
すなわち、このシートは、拡散して広がった光を一方向に指向させて集光するという優れた機能を良好に有する光学機能性シートであった。
実施例3
表面層の膜厚を40μm、金型を千鳥格子パターン(ピッチ100μm、幅w1=50μm、高さH=120μm、アスペクト比H/w1=2.4(図23(a)参照、金型凸部の高さH、金型凹部断面積S2を表1に示す)とした以外は、実施例1と同様の方法で、樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状が転写されていると共に、表面層が貫通しており、ピッチ100μm、幅50μm、深さ120μmの千鳥格子パターン(成形品凸部:幅w11’=50μm、高さH1’=120μm(表面層高さh11’=80μm、土台部分高さh12’=40μm)、アスペクト比H1’/w11’=2.4(23(b)参照))を形成できていることを確認した。
得られた光機能性シートを、パソコンモニター用直管4灯型バックライトに上に配置し、色彩輝度計BM−7(トプコン(株)製)を用いて正面輝度を測定した。
該正面輝度値は、10200cd/m2 であり、シートを載せずに測定した場合が8644cd/m2 であったので、シートを載せない場合と比べて、正面輝度が18%向上していた。
すなわち、このシートは、拡散して広がった光を一方向に指向させて集光するという優れた機能を良好に有する光学機能性シートであった。
実施例4
表面層として、マトリックスとなる60℃で4時間静置乾燥させたシクロヘキサンジメタノール66mol%共重合PET(”Easter PET−G”GN−071:イーストマン(株)製)98重量部、および微粒子となるカーボンブラック(”UF−G5”:昭和電工(株)製、平均粒径3μm)2重量部を押出機内で280℃で溶融させ、また、基材層として、150℃で2時間真空乾燥させたシクロヘキサンジメタノール25%共重合PETを別の押出機内で280℃で溶融させて、所定の方法により溶融2層共押出口金からキャストドラム上に共押出して、表面層20μm、基材層480μmからなる総膜厚500μmの2層積層体を得た。
得られた積層体、および金型(ストライプパターン(ピッチ60μm、幅w1=40μm、高さH=160μm、アスペクト比H/w1=4(図24(a)参照))の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、得られた画像から、積層体の表面層11の膜厚L、断面積S1、金型凸部の高さH、金型凹部の幅w2、断面積S2を求めた。また、積層体の基材層と表面層の層間の剥離強度Fを前述の方法にて測定した。結果を表1、表2に示す。 また、表面層マトリックス、表面層、基材層それぞれについて、単膜とする他は同様の方法で単層シートを作製し、得られたシートについて、ガラス転移温度Tg1、Tg2、室温、及びTg1+30℃での動的貯蔵弾性率E1’、E2’、 動的損失弾性率E1”を前述の方法にて測定した。結果を表2に示す。
次に、得られた積層体、及び金型をともに110℃に加熱し、シート表面と金型の凹凸面を接触させて20MPaでプレスし、そのまま5分間保持した。その後90℃まで冷却後プレス圧力を解放し、50℃に冷却して金型から離型して樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状が転写されているとともに、表面層が貫通しており、ピッチ60μm、幅20μm、深さ160μmのストライプパターン(成形品凸部:幅w21’=20μm、高さH2’=160μm(表面層高さh21’=80μm、土台部分高さh22’=80μm)、短軸アスペクト比H2’/w21’=8(図24(b)参照))を形成できていることを確認した。
得られたシートを、携帯電話の液晶表示部分に張り合わせて、法線方向から画面の情報を観察したところ、画面の情報がはっきりと確認された。次に、ストライプと垂直方向に観察方向を傾けていくと、法線方向から13°傾けたときに画面の情報が観察できなくなり、視野制御性を有することが確認された。
実施例5
金型を千鳥格子パターン(ピッチ100μm、幅w1=50μm、高さH=120μm、アスペクト比H/w1=2.4(図25(a)参照、金型凸部の高さH、金型凹部断面積S2を表1に示す)とした以外は実施例4と同様の方法で、樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状が転写されているとともに、表面層が貫通しており、ピッチ100μm、幅50μm、深さ120μmの千鳥格子パターン(成形品凸部:幅w21’=50μm、高さH2’=120μm(表面層高さh21’=25μm、土台部分高さh22’=95μm)、アスペクト比H2’/w21’=2.4(25(b)参照))を形成できていることを確認した。
得られたシートを、携帯電話の液晶表示部分に張り合わせて、法線方向から画面の情報を観察したところ、画面の情報がはっきりと確認された。次いで、観察方向を傾けていくと、20°傾けたときに画面の情報が観察できなくなり、良好な視野制御性を有することが確認できた。
比較例1
金型をストライプパターン(ピッチ100μm、幅w1=20μm、高さH=50μm、アスペクト比H/w1=2.50(図26(a)参照、金型凸部の高さH、凹部断面積S2を表1に示す)とした以外は実施例1と同様の方法で、樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状が転写されており、ピッチ100μm、幅20μm、深さ50μmのストライプパターン(成型品凸部:幅w11’=80μm、高さH1’=50μm、アスペクト比H1’/w11’=0.63(図26(b)参照))を形成できていたが、表面層は貫通していなかった。
得られたシート(1)を、パソコンモニター用直管4灯型バックライトに上に配置し、色彩輝度計BM−7(トプコン(株)製)を用いて正面輝度を測定したが、光学機能性シート(1)をのせずに測定した場合に比べても、正面輝度は5%しか向上しなかった。
比較例2
金型をストライプパターン(ピッチ100μm、幅w1=20μm、高さH=50μm、アスペクト比H/w1=2.50(図27(a)参照、金型凸部の高さH、凹部断面積S2を表1に示す)とした以外は実施例1と同様の方法で、樹脂成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状が転写されており、ピッチ100μm、幅20μm、深さ50μmのストライプパターン(成型品凸部:幅w21’=80μm、高さH2’=50μm、アスペクト比H2’/w21’=0.63(図27(b)参照))を形成できていたが、表面層は貫通していなかった。
得られたシートを、携帯電話の液晶表示部分の前面に張り合わせて、法線方向から画面の情報を観察したが、画面の情報を確認することができなかった。
比較例3
表面層の膜厚を130μmとする他は実施例4と同様の方法で成形品を得た。
得られた成形品の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、金型の形状(図28(a)参照)が十分に転写されており、ピッチ60μm、幅20μm、深さ160μmのストライプパターン(成形品凸部:幅w21’=20μm、高さH2’=160μm、アスペクト比H2’/w21’=8(図28(b)参照))を形成できていたが、表面層は貫通していなかった。
得られたシートを、携帯電話の液晶表示部分前面に張り合わせて、法線方向から画面の情報を観察したが、画面の情報を確認することができなかった。