JP5129780B2 - コンバインの車速制御装置 - Google Patents
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Description
このように、上限車速を所定の値に設定して作業を行なえるようにしてあることにより、作業条件に適した車速を簡単に得られる点で有用なものである。この変速操作具としての上限車速設定ボリュームによって指示される無段変速装置からの出力車速は、工場出荷の段階で所定の値に決められている。つまり、変速操作具での指示速度と無段変速装置からの出力車速とを正確に対応させるには、工場出荷の段階で精度良く設定しなければならず、従来では、実際に種々の速度での走行テストを行いながら、変速操作具の操作量と無段変速装置の斜板角との関係を設定していた。
つまり、変速操作具の操作量と無段変速装置の斜板角との関係を走行テストを行いながら精度良く設定するには、設定したい指示速度近くの走行速度域で、指示速度に達するまでの間、ごく少しずつ走行速度を変化させながら、かつ、その少しずつ速度を変化させる各段階で、数秒間程度は車速が安定するのを待って正しい指示速度に達したかどうかを確かめながら、この作業を繰り返して、指示速度での無段変速装置の斜板角を検出するようにしている。
このため、所定の指示速度を設定し終わるまでには、かなりの長い時間にわたって長い距離を走行しなければならず、そのための平坦で長い直線のテストコースが必要であり、かつ、そのテスト走行を行うための人員と、テスト及び設定を行うための時間とを要するものであり、これらが製造コストの低減化の妨げになっていた。
また、一旦、工場から出荷された後に、ディーラーなどで変速操作具のポテンショメータや車速検出用のポテンショメータを交換したりすると、再度設定をやり直す必要があり、これを設備や人員の整っていない条件のもとでは行うことができず、製造工場へ送り返すなどの手数を要することもあった。
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、エンジンの動力が伝達される無段変速装置を備え、その無段変速装置からの出力を走行装置と刈取装置とに分岐伝動するように構成してあるとともに、前記無段変速装置からの出力速度を、その無段変速装置に対する指示速度と合致させるように調節するコンバインの車速制御装置において、
刈取装置への伝動系における駆動速度を検出する刈取速度センサと、前記無段変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出センサとを備えるとともに、前記刈取速度センサの検出値と前記変速位置検出センサの検出値とから、前記指示速度に対応する基準の変速操作位置を設定する基準車速設定手段を備え、
この基準車速設定手段では、前記刈取速度センサの検出値を走行系の駆動速度の検出値とみなして、この検出値を前記指示速度に対応させ、前記変速位置検出センサの検出値から前記指示速度に対応する変速操作位置を検出し、その検出された変速操作位置を、指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定するように構成されていることを特徴とする。
コンバインでは、車速に応じて刈取部の作業速度を同調させて作業を行う必要があるため、刈取部の駆動を走行系の駆動と同調させている。そこで、解決手段1にかかる本発明のコンバインの車速制御装置では、走行系の駆動速度ではなく、刈取部の駆動速度を指示速度に対応する基準の変速操作位置を設定するての検出速度として利用した。
その結果、従来のように、設定したい指示速度に達するまでの間、指示速度近くの走行速度域から、ごく少しずつ走行速度を変化させ、かつ、その速度変化の各段階で車速が安定するのを待って、正しい指示速度に達したかどうかを確かめてから設定するのではなく、基準車速設定手段によって、刈取速度センサの検出値を走行系の駆動速度の検出値とみなし、その検出値を前記指示速度に対応させ、前記変速位置検出センサの検出値から前記指示速度に対応する変速操作位置を検出するようにしている。
したがって、ごく僅かずつ走行速度を変化させたり、その速度変化の各段階で車速が安定するのを待って正しい指示速度かどうかを確かめるような時間的ロスを無くすことができ、また、実際に機体を走行させる必要がないので、試験走行を行うためのテストコースが不要となる点でも有利である。
上記課題を解決するために講じた本発明の第2の解決手段は、請求項2の記載のように、指示速度が標準の刈取作業を行う際の走行速度に設定されたものである点に特徴がある。
上記のように、解決手段2にかかる本発明のコンバインの車速制御装置では、実際に指示速度として検出する対象の速度が標準の刈取作業を行う速度であるため、低速での指示速度や高速での指示速度の検出結果から基準の変速操作位置を設定する場合に比べて、コンバインとして最も使用頻度が高い作業速度である標準の刈取作業を、精度良く設定し易くなる利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の第3の解決手段は、請求項3の記載のように、基準車速設定手段は、指示速度とは別の試験用の変速操作位置における変速位置検出センサの検出値と刈取速度センサの検出値とから、指示速度に対応する変速操作位置を推定して、その推定された変速操作位置を、指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定するように構成されていることを特徴とする。
上記のように、解決手段3にかかる本発明のコンバインの車速制御装置では、指示速度に対応する基準の変速操作位置の設定を行うにあたり、指示速度を目標にして正確に指示速度に達するように僅かずつ刈取速度を上昇させるのではなく、基準車速設定手段によって、まず、無段変速装置を試験走行用の変速操作位置に操作して車体を走行させ、その試験走行用の変速操作位置における走行速度の検出結果から、指示速度に対応する変速操作位置を推定して、その推定された変速操作位置を、指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定している。
したがって、ごく僅かずつ刈取速度を変化させたり、その速度変化の各段階で刈取速度が安定するのを待って正しい指示速度かどうかを確かめるというような時間的ロスを無くし、基準速度設定のための時間を短くできる利点がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンバインの全体を示す側面図である。この図に示すように、本発明の実施形態に係るコンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1,1によって自走するように構成され、かつ運転座席3aを有した運転部3が装備された走行機体を備えている。この走行機体の機体フレームの前部に連結された刈取部2を備え、走行機体の機体フレームの後部側には、走行機体横方向に並べて脱穀装置4と穀粒タンク5とが設けられている。
つまり、刈取部2は、機体フレームに軸芯P1まわりに上下揺動自在に支持された刈取部フレーム20、この刈取部フレーム20に支持された分草具21、引起し装置22、バリカン形の刈取装置23、及び供給装置24を備えている。この刈取部2は、刈取部フレーム20が油圧式の昇降シリンダ27によって上下に揺動操作可能に構成してあり、分草具21が地面の近くに下降した作業高さ位置と、分草具21が地面から高く上昇した非作業高さ位置とに、昇降操作自在に構成してある。
図2は、伝動装置の説明図である。この図に示すように、伝動装置は、前記ミッションケース8を備える他、このミッションケース8の上端部に連設された静油圧式無段変速装置からなる無段変速装置7を備えている。伝動装置は、エンジン6の出力軸6aの駆動力を、ベルトテンションクラッチで成る主クラッチ9を介して前記無段変速装置7の入力軸7aに伝達し、この無段変速装置7の出力軸7bの駆動力を、ミッションケース8の内部に位置するミッション(図示せず)を介して左右の走行装置1,1のクローラ駆動軸1aに伝達する。
刈取り変速装置15は、シフトギヤ13cが摺動操作されて低速伝動ギヤ13aに噛み合うことによって低速位置に切り換わり、シフトギヤ13cが摺動操作されて高速伝動ギヤ13bに噛み合うことによって高速位置に切り換わるように、高低2段に変速自在に構成してある。
そして、故障等による機体の牽引時、あるいは、その他の必要に応じて、シフト部材18を伝動ギヤ19から離間させることにより、右及び左の走行装置1と無段変速装置7とをシフト部材18の位置で遮断することができる。この状態では、無段変速装置7の駆動力が走行系には伝達されないので、無段変速装置7の抵抗を受けることなく機体を牽引することができる。また、機体を走行停止したままで刈取部2の駆動を行うことができる。
図2,3に示すように、無段変速装置7は、入力軸7aをポンプ軸として備えた可変容量形の油圧ポンプ7Pを備え、出力軸7bをモータ軸として備えた油圧モータ7Mを備えて構成してある。油圧モータ7Mは、油圧ポンプ7Pによって供給される圧油によって駆動される。この油圧モータ7Mは、可変容量形の油圧モータに構成してある。
図4は、無段変速装置7の油圧回路図である。この図に示すように、油圧ポンプ7Pと油圧モータ7Mとは、一対の油路7cで接続されている。無段変速装置7の入力軸7aにチャージポンプ44及び油圧ポンプ60が接続されて、入力軸7aによりチャージポンプ44及び油圧ポンプ60が駆動される。チャージポンプ44から延出されたチャージ油路45が油路7cに接続され、チャージ油路45にフィルタ49が備えられている。オイルタンク46とチャージポンプ44とに亘って油路47が接続されており、油路47にフィルタ48が備えられている。油圧ポンプ60の作動油が昇降シリンダ27の制御弁に供給される。オイルタンク46はミッションケース8とは別に設けられている。
図3は、無段変速装置7、刈取り変速装置15の変速操作、刈取りクラッチ14の入り切り操作、及び刈取部2の昇降操作を行うための各種機構と、それらの作動を制御する制御装置100とを示す制御系のブロック図である。
刈取部制御手段101は、運転部3に設けられた前記昇降レバー29の操作に伴って、上げ操作用のセンサスイッチ67及び下げ操作用のセンサスイッチ68からの検出信号を受け、昇降シリンダ27を伸縮操作するための切換弁27aに操作信号を出力するように構成されている。また、この刈取部制御手段101は、刈取クラッチレバー26の入り操作用のセンサスイッチ65及び切り操作用のセンサスイッチ66の検出信号に基づいて、刈取りクラッチ14を入り切り操作する電動式の操作モータ36を入り方向または切り方向に駆動するように構成されている。
走行系制御手段102は、走行機体を移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態に設定するための制御を行うものであり、図5は、移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態の各状態と、油圧モータ7Mや刈取りクラッチ14、及び刈取り変速装置15との駆動関係を示す図表である。
標準刈取状態は、無段変速装置7の油圧モータ7Mを標準速位置に切り換え操作し、刈取りクラッチ14を入り状態に切り換え操作し、刈取り変速装置15を低速位置に切り換え操作した状態を設定している。
低速刈取状態は、無段変速装置7の油圧モータ7Mを低速位置に切り換え操作し、刈取りクラッチ14を入り状態に切り換え操作し、刈取り変速装置15を高速位置に切り換え操作した状態を設定している。
[1] 走行変速スイッチ34及び刈取変速スイッチ35のうち、走行変速スイッチ34が押し操作されると、まず、モータ斜板角検出センサ38検出情報を基に、移動走行状態と標準刈取状態と低速刈取状態のいずれが設定されているかを、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置で判断する。
つまり、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置が高速位置であると移動走行状態であると判断し、そうでない場合に、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置が標準速位置であれば標準刈取状態であると判断し、さらにそうでない場合に、油圧モータ7Mの現在の変速操作位置が低速位置であれば低速刈取状態であると判断する(ステップ#1〜#4)。
[2] モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの高速駆動状態を検出した高速位置であると、走行系制御手段102は、その高速駆動状態に対して変更指令が出されたと判断して、油圧モータ7Mを標準駆動状態に、つまり標準速位置に切換操作する(ステップ#2及び#5)。
[3] モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの標準駆動状態を検出した標準速位置であると、走行系制御手段102は、その標準駆動状態に対して変更指令が出されたと判断して、油圧モータ7Mを低速駆動状態に、つまり低速位置に切換操作する(ステップ#3及び#6)。
[4] モータ斜板角検出センサ38が油圧モータ7Mの低速駆動状態を検出した低速位置であると、走行系制御手段102は、その低速駆動状態に対して変更指令が出されたと判断するが、油圧モータ7Mの駆動状態を切換操作する前に、刈取クラッチセンサ62により、刈取クラッチ14の入り切り状態を判別して、刈取クラッチ14が切り状態であれば、油圧モータ7Mを高速駆動状態に、つまり高速位置に切換操作する。そして、刈取クラッチ14が入り状態であれば、油圧モータ7Mの駆動状態の切換操作を行わずに制御を終了する(ステップ#4、#7、及び#8)。
この場合には、走行変速スイッチ34を押し操作しても、油圧モータ7Mの駆動状態が変更されないことになるが、この状態は、別途、何らかの報知手段により操縦者に報知して、刈取クラッチ14を切り操作することを促すようにするのが望ましい。
[6] 刈取り変速装置15が高速位置であると、次に油圧モータ7Mが低速位置に操作された低速駆動状態であるか否かをモータ斜板角検出センサ38によって検出し、低速位置でなければ、刈取り変速装置15を低速位置に切換操作する。逆に、低速位置であれば、刈取り変速装置15を高速位置のままに維持する(ステップ#11、#12、及び#13)。
[7] 刈取り変速装置15が低速位置であると、次に油圧モータ7Mが低速位置に操作された低速駆動状態であるか否かをモータ斜板角検出センサ38によって検出し、低速位置であれば、刈取り変速装置15を高速位置に切換操作する。逆に油圧モータ7Mが低速位置でなければ、刈取り変速装置15を低速位置のままに維持する(ステップ#11、#14、及び#15)。
基準車速設定手段103は、変速操作具としての走行変速スイッチ34での指示速度と無段変速装置7からの出力車速とが正確に対応するように、変速操作具での操作位置と無段変速装置7のモータ斜板角度との対応関係を設定する際に用いられるものであり、次のように構成されている。
そして、前記実測したデータに基づく刈取速度・斜板対応曲線L0が、製造されるコンバインの全てに対して、変速操作具での指示速度と無段変速装置7からの出力車速となる斜板角度とが正確に対応するように関係付けられていれば調節操作を行う必要はないが、現実には、個々のコンバインごとに多少の誤差が生じるので、これを基準車速設定手段103によって調節するようにしたものである。
すなわち、標準速用の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置を得る際に、前記刈取速度・斜板対応曲線L0上の標準速指示ポイントP2から、刈取速度・斜板対応曲線L0に基づく標準速用の変速操作位置H2は把握されているので、その標準速用の変速操作位置H2に近づく方向に油圧モータ7Mの斜板角度を変更操作する。
この平均値に車速換算用の補正値を乗じて設定した斜板角度位置を、標準速用の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置に相当する標準速用の変速操作位置H2として設定する。
[2] 低速用の指示速度L1に対応する低速用の変速操作位置H1の設定操作は、次のステップ#22〜#25に示すようにして行われる。
まず、刈取クラッチ14を切り操作し、油圧モータ7Mのモータ斜板角を低速側に操作する。
そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が低速側の操作限界位置に達すると、その位置を低速用の指示速度L1に対する低速用の変速操作位置H1として設定する(ステップ#22〜#25)。
[3] 次に、高速用の指示速度L3に対応する高速用の変速操作位置H3の設定操作は、次のステップ#26〜#28に示すようにして行われる。
まず、油圧モータ7Mのモータ斜板角を高速側に操作する。そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が高速側の操作限界位置に達すると、その位置を高速用の指示速度L3に対する高速用の変速操作位置H3として設定する(ステップ#26〜#28)。
すなわち、マップデータから算出された刈取速度・斜板対応曲線L0上の標準速用の指示速度L2と、刈取速度センサ30の検出値を読み込み、油圧モータ7Mのモータ斜板角を標準速用の指示速度L2側に操作する(ステップ#29、及び#30)。
[5] 刈取速度センサ30で検出される現在の刈取速度が前記標準速用の指示速度L2に対して、予め設定した範囲内にまで近づくと、刈取クラッチ14を入り操作し、刈取り変速装置15を低速側に切換操作する(ステップ#31、及び#32)。
[6] 刈取速度センサ30で検出される現在の刈取速度が前記標準速用の指示速度L2に対して、予め設定した範囲内にまで近づくと、油圧モータ7Mの斜板角度の操作速度を、前記の予め設定した範囲に到達するまでの斜板操作速度よりも遅くして、少しずつ微調節しながら斜板角度を変化させ、刈取速度センサ30により検出される現在の刈取速度が指示速度L2により近づくように制御する(ステップ#33、及び#34)。
[7] そして、刈取速度センサ30により検出される現在の刈取速度が指示速度L2に達した、もしくはほぼ達したとみなされる範囲内に至ると、予め設定した所定時間だけ、検出される刈取速度の平均値を算出する。
この平均値に車速換算用の補正値を乗じて設定した斜板角度位置を、標準速用の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置に相当する標準速用の変速操作位置H2として設定する(ステップ#35、及び#36)。
基準車速設定手段103としては、上述のように、標準速用の指示速度L2と無段変速装置7のモータ斜板角度とを直接的に対比して微調節を行う構成のものに限らず、図9〜図11に示すように、標準速用の指示速度L2とは別の試験的な指示速度を得るための試験的な変速操作位置を設定して、その試験的な変速操作位置での刈取速度の検出結果から、標準速用の指示速度L2に対応する基準の変速操作位置となるところの標準速用の変速操作位置H2を推定するように構成してもよい。
すなわち、標準速用の指示速度L2を得る際に、前記刈取速度・斜板対応曲線L0との交点に位置する標準速指示ポイントP2から標準速用の変速操作位置H2が把握されているので、本発明では、その標準速用の変速操作位置H2よりも少し低い走行速度を得る試験変速操作位置thを設定して、その試験変速操作位置thに油圧モータ7Mの斜板角を操作する。
このときの油圧モータ7Mの斜板角の操作は、基準車速設定用に設けたモータ斜板位置設定スイッチ31を押し操作することにより、走行系速制手段102による制御弁58の電磁操作部に対する指令に優先して基準車速設定手段103による指令が作用するように切り替えられる。つまり、モータ斜板位置設定スイッチ31を押し操作すると、基準車速設定手段103が基準車速設定モードに切り替えられ、走行速制手段102による制御弁58の電磁操作部に対する指令に優先して、基準車速設定手段103で設定される試験変速操作位置thへの操作指令に基づいて制御弁58が操作され、油圧モータ7Mの斜板角が変更操作される。
その結果、標準速指示ポイントP2からの垂線上に位置する標準速用の変速操作位置H2が、標準速用の指示速度L2に対応する無段変速装置7からの出力車速に相当するモータ斜板角度となる。
検証の結果、実際の刈取速度が標準速用の指示速度L2と見なし得る程度である場合には、標準速用の指示速度L2の設定を終了する。
[2] 低速用の指示速度L1に対応する低速用の変速操作位置H1の設定操作は、次のステップ#42〜#45に示すようにして行われる。
まず、刈取クラッチ14を切り操作し、油圧モータ7Mのモータ斜板角を低速側に操作する。
そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が低速側の操作限界位置に達すると、その位置を低速用の指示速度L1に対する低速用の変速操作位置H1として設定する(ステップ#42〜#45)。
[3] 次に、高速用の指示速度L3に対応する高速用の変速操作位置H3の設定操作は、次のステップ#46〜#48に示すようにして行われる。
まず、油圧モータ7Mのモータ斜板角を高速側に操作する。そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が高速側の操作限界位置に達すると、その位置を高速用の指示速度L3に対する高速用の変速操作位置H3として設定する(ステップ#46〜#48)。
すなわち、標準速用の指示速度L2と、標準速用の変速操作位置H2から試験用変速操作位置thを算出し、その試験用変速操作位置thに油圧モータ7Mのモータ斜板角を操作する。そして、油圧モータ7Mのモータ斜板角が試験用変速操作位置thに達した時点で、刈取速度センサ30により、その時点の刈取速度を読み込む(ステップ#49〜#52)。
[5] 次に、変速位置推定制御のサブルーチンで、標準速用の変速操作位置H2の推定制御を行う。この変速位置推定制御のサブルーチンでの制御動作は、後述する(ステップ#53)。
[6] 変速位置推定制御が終了すると、推定された標準速用の変速操作位置H2へ実際に油圧モータ7Mの斜板角を変更操作して、その斜板角位置での刈取速度が標準速用の指示速度L2と一致すると見なされる程度であるか否かを検証し、刈取速度が標準速用の指示速度L2と一致すると見なされると、標準速用の指示速度L2に対応する標準速用の変速操作位置H2の設定操作を終了する。一致しないとみなされた場合には、その検証時点で検出された刈取速度を新たな標準速用の試験速度として読み込み、再度、変速位置推定制御からやり直して、刈取速度が標準速用の指示速度L2と一致すると見なされてから、標準速用の指示速度L2に対応する標準速用の変速操作位置H2の設定操作を終了する(ステップ#54,#53)。
[7]上記の標準速用の指示速度L2に対応する標準速用の変速操作位置H2の設定値に、車速換算用の補正値を乗じて設定した斜板角度位置を、標準速用の指示速度L2と対応する基準の変速操作位置に相当する標準速用の変速操作位置H2として設定する(ステップ#56)。
[1] 図11に示すように、標準速用の変速操作位置H2を設定するにあたって、試験変速操作位置thと、検出された試験刈取速度tL1(又はtL2)とから、試験設定ポイントtp1(又はtp2)を算出する(ステップ#60)。
[2] 次に、不揮発性メモリーに備えられたマップデータから、刈取速度・斜板対応曲線L0に沿う変化傾向を数値化した基準係数データを読み出し、この基準係数データと、前記試験設定ポイントtp1(又はtp2)と、標準速用の指示速度L2とから、次式<式ー1>によって車速設定ポイントP2(又はP2’)を算出する(ステップ#61,#62)。
<式ー1>
(指示速度L2−試験刈取速度tL1)×基準係数+試験変速操作位置th=車速設定ポイントP2
尚、上記の<式ー1>では、図9に示した例との対比をし易くするための便宜上、指示速度L2、試験刈取速度tL1、試験変速操作位置th、車速設定ポイントP2、の各符号を付したものを例示したが、これらの各符号は、指示速度L2、試験刈取速度tL1、試験変速操作位置th、車速設定ポイントP2の各対象が異なる場合には、当然対象に応じて別の符号が付されることになる。
[3] 算出された車速設定ポイントP2(又はP2’)から、標準速用の変速操作位置H2(又はH2’)が割り出されるので、その標準速用の変速操作位置H2(又はH2’)と、前記試験変速操作位置thとの偏差から、油圧モータ7Mの斜板角操作量を算出する(ステップ#63)。
[4] 標準速用の変速操作位置H2(又はH2’)を目標斜板位置として、油圧モータ7Mの斜板角度を斜板角操作量だけ変更操作し、目標斜板位置に達すると変速位置推定制御を終了する(ステップ#64,#65)。
上記「実施形態」、及び「別実施形態の1」では、各指示速度L1,L2,L3に対応する基準の各変速操作位置H1,H2,H3のうち、低速側の指示速度L1に対応する基準の低速側変速操作位置H1、及び高速側の指示速度L3に対応する基準の高速側変速操作位置H3を、無段変速装置7の低速側の操作限界位置、及び高速側の操作限界位置にそれぞれ設定した例を示したが、これに限られるものではない。
つまり、前記低速側の指示速度L1に対応する基準の低速側変速操作位置H1、及び高速側の指示速度L3に対応する基準の高速側変速操作位置H3を、例えば、前記刈取速度・斜板対応曲線L0や、指示速度L2に対応する基準の変速操作位置H2に基づいて、演算によって算出する等、適宜の方法によって設定するようにしてもよい。
変速操作具での操作位置と無段変速装置7の変速操作位置との対応関係を設定するにあたり、その変速操作具での操作位置と無段変速装置7の変速操作位置との対応箇所は、先の実施形態で説明したように複数箇所である必要はなく、1箇所のみであってもよい。
また、対応箇所が複数であっても、実際に車速設定を行う箇所はその一部であるようにしてもよい。
「別実施の形態の1」では、車速設定ポイントP2(又はP2’)を求める際の基準係数として、刈取速度・斜板対応曲線L0に対する近似直線LS1(又はLS2)を採用したが、このような近似直線に限らず、刈取速度・斜板対応曲線L0と類似した曲率で変化する曲線など、適宜のものを採用してもよい。
上記した実施形態の如く移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態を現出するのに、無段変速装置7の油圧モータ7Mの変速操作によって走行変速装置1を変速する構成に替え、無段変速装置7の油圧ポンプ7Pの変速操作によって走行変速装置1を変速する構成を採用して実施してもよい。
上記した実施形態の如く移動走行状態、標準刈取状態、低速刈取状態を現出するのに、油圧ポンプ7Pや油圧モータ7M等の油圧操作式の無段変速装置7を用いずに、無段変速用のベルト式無段変速装置等を用いて変速操作する構造のものであってもよい。
2 刈取部
7 無段変速装置
7P 油圧ポンプ
7M 油圧モータ
30 刈取速度センサ
31 モータ斜板位置設定スイッチ
34 走行変速スイッチ
35 刈取変速スイッチ
38 モータ斜板角検出センサ(変速位置検出センサ)
40 刈取変速センサ
43 変速レバー
100 制御装置
101 刈取部制御手段
102 走行系制御手段
103 基準車速設定手段
L2 標準速用の指示速度
H2 標準速用の変速操作位置
Claims (3)
- エンジンの動力が伝達される無段変速装置を備え、その無段変速装置からの出力を走行装置と刈取装置とに分岐伝動するように構成してあるとともに、前記無段変速装置からの出力速度を、その無段変速装置に対する指示速度と合致させるように調節するコンバインの車速制御装置であって、
刈取装置への伝動系における駆動速度を検出する刈取速度センサと、前記無段変速装置の変速操作位置を検出する変速位置検出センサとを備えるとともに、前記刈取速度センサの検出値と前記変速位置検出センサの検出値とから、前記指示速度に対応する基準の変速操作位置を設定する基準車速設定手段を備え、
この基準車速設定手段では、前記刈取速度センサの検出値を走行系の駆動速度の検出値とみなして、この検出値を前記指示速度に対応させ、前記変速位置検出センサの検出値から前記指示速度に対応する変速操作位置を検出し、その検出された変速操作位置を、指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定するように構成されていることを特徴とするコンバインの車速制御装置。 - 指示速度は標準の刈取作業を行う際の走行速度に設定されたものである請求項1記載のコンバインの車速制御装置。
- 基準車速設定手段は、指示速度とは別の試験用の変速操作位置における変速位置検出センサの検出値と刈取速度センサの検出値とから、指示速度に対応する変速操作位置を推定して、その推定された変速操作位置を、指示速度に対応する基準の変速操作位置として設定するように構成されている請求項1記載のコンバインの車速制御装置。
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