JP3577738B2 - コンバインの伝動機構 - Google Patents

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JP3577738B2
JP3577738B2 JP11210694A JP11210694A JP3577738B2 JP 3577738 B2 JP3577738 B2 JP 3577738B2 JP 11210694 A JP11210694 A JP 11210694A JP 11210694 A JP11210694 A JP 11210694A JP 3577738 B2 JP3577738 B2 JP 3577738B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、コンバインの伝動機構に係るものである。
【0002】
【従来技術】
従来公知の、特開昭56−5013号公報には、上方に脱穀装置を設けた走行装置の前方に刈取部を設け、機体所望位置に設けたエンジンと前記走行装置および刈取部へ至る回転伝達経路にはそれぞれ走行用変速装置および刈取用変速装置を設け、該走行用変速装置および刈取用変速装置は走行装置の走行速度に応じて前記刈取部の作業速度を変速するように構成したコンバインについて記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知例は、機体が停止しているとき、刈取部を一定の回転数で回転させているので、この点が問題になる。即ち、機体が停止しているにも関わらず、刈取部4は作動しているので、安全が確保できず、刈取部のメンテナンスもできない。また、穀稈や草等を巻込んだりして、詰まりや穀稈搬送姿勢の乱れの原因となることもある。また、機体停止中も、刈取部を作動させておくので、燃料の消費も多くなるという課題もある。
【0004】
【発明の目的】
安全の確保、刈取部のメンテナンスの容易化、詰まりや穀稈搬送姿勢の乱れの原因防止および除去、省エネルギー化。
【0005】
【課題を解決するための手段】
よって、本発明は、上方に脱穀装置3を設けた走行装置2の前方に刈取部4を設け、機体所望位置に設けたエンジン25と前記走行装置2および前記刈取部4へ至る回転伝達経路には走行用HST変速装置21と刈取用HST変速装置37とをそれぞれ各別に設け、該刈取用HST変速装置37は走行装置2の走行速度に応じて前記刈取部4の作業速度を変速するように構成したコンバインにおいて、前記刈取部4の入力軸35には、前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTモータ38の出力軸を接続し、刈取用HSTモータ38には前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTポンプ39を油路40により接続し、刈取用HSTポンプ39には前記走行用HSTポンプ22と同軸に入力軸27を接続し、前記刈取用HSTモータ38に接続された油路40と油タンク45に常時戻す戻し油路46とに切替えて刈取部4への回転を入切するクラッチとして刈取クラッチ用切替バルブ44を設け、前記走行速度に対する刈取部4の作業速度の変速率をモード切替スイッチ52により切替えて、刈取部4の作業速度の変化上昇率を急にする倒伏穀稈の刈取モードと麦の刈取モードとを選択するようにし、機体所望位置には、機体の走行速度を検出する車速センサー51を設け、該車速センサー51が機体停止状態を感知しているときは、前記刈取部4も停止させ、予め設定した超微速の走行速度に達したとき、前記刈取部4を該刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動させ、その後は、走行速度に応じて作業速度を変速するように構成し、前記刈取クラッチ用切替バルブ44が刈取用HSTモータ38に送油しないように戻し油路46に切替えているときでも、前記刈取用HSTポンプ39は刈取部4の作業速度が刈取部4の各部を正常に作動させうる最低回転数を確保しうるように送油し、車速センサー51により機体の走行速度が微速であっても走行を感知したとき、刈取用HSTモータ38に送油するように刈取クラッチ用切替バルブ44を切替えるように構成したコンバインの伝動機構、および、前記走行用HST変速装置21の受動プーリー26と走行用HSTポンプ22の入力軸27との間に、変速軸66に固定の受動歯車67に前記カウンター軸62の駆動歯車68を噛合わせ、前記変速軸66には大歯車69と小歯車70とを遊嵌し、大歯車69と小歯車70の間にシフタにより摺動する摺動部材71を設け、摺動部材71が大歯車69と小歯車70のいずれか一方に係合して変速軸66の回転を伝達するように構成したサブチエンジ75を設けたコンバインの伝動機構としたものである。
【0006】
【実施例】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前方位置に設けた刈取部、5は刈取部4の最前方位置に設けた分草体、6は前記分草体5により分草した穀稈を引起ラグ7により引起す引起装置、8は掻込装置、9は刈刃、10は株元側穀稈搬送装置、11は穂先側穀稈搬送装置であり、前記刈取部4は支持パイプ12の先端に取付けられ、支持パイプ12の基部は前記機体フレーム1側に設けた支持台13に回動自在に取付け、前記機体フレーム1と支持パイプ12との間に刈取上下シリンダ14を設けて刈取部4を上下するように構成している。
15は前記脱穀装置3の脱穀室の側部に設けた穀稈供給搬送装置、16は穀稈供給搬送装置15と前記株元側穀稈搬送装置10との間に設けたは株元側穀稈引継搬送装置、17は穀稈供給搬送装置15と穂先側穀稈搬送装置11との間に設けた穂先側引継搬送装置である。
【0007】
しかして、前記機体フレーム1の前側位置には前記走行装置2に回転を伝達するミッションケース20を設け、ミッションケース20には走行用HST変速装置21(油圧式無段変速装置 ハイドロスタチックトランスミッション)を設ける。走行用HST変速装置21は可変容量の走行用HSTポンプ22と該走行用HSTポンプ22と油路23により接続される走行用HSTモータ24とにより構成され、エンジン25の回転により作動する走行用HSTポンプ22が無段階に送油量を増減しながら送油してHSTモータ24に回転を伝達する。26は走行用HSTポンプ22の入力軸27に設けた入力プーリー、28はプーリー、29はベルト、30は走行用HSTポンプ22の送油量を変更する斜板である。前記走行用HSTモータ24の出力軸31は図示は省略するがミッションケース20の入力軸に接続し、エンジン25の回転を走行用HST変速装置21の走行用HSTポンプ22と走行用HSTモータ24を介して前記走行装置2の車軸32に回転を伝達する。
【0008】
前記実施例では走行用HSTポンプ22と走行用HSTモータ24は、一体に構成しているが、別体に構成することは可能である(図6)。
しかして、前記支持パイプ12の基部には刈取部4の入力軸35を設け、入力軸35の回転は支持パイプ12内に設けた伝動軸36を介して各部に伝達され、前記入力軸35にはエンジン25の回転を刈取用HST変速装置37(油圧式無段変速装置 ハイドロスタチックトランスミッション)を介して伝達するように構成する。即ち、入力軸35には刈取用HST変速装置37の刈取用HSTモータ38の出力軸を接続し、刈取用HSTモータ38には一体または別体に設けた前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTポンプ39を油路40により接続し、刈取用HSTポンプ39には前記走行用HSTポンプ22と同軸に入力軸27を接続し、エンジン25の回転が入力軸27を介して刈取用HSTポンプ39に伝達され、刈取用HSTポンプ39は無段階に送油量を増減して刈取用HSTモータ38に送油し回転を伝達する。なお、刈取用HSTポンプ39は走行用HSTポンプ22と同軸の入力軸27に取付けることは要件でなく、任意個所に設けられるが、同軸とすることにより、伝動機構を合理的にできる。
【0009】
42は刈取用HSTポンプ39の送油量を変更する斜板、43は斜板42の角度を変更操作する刈取用アクチュエーター、44は刈取クラッチ用切替バルブであり、刈取クラッチ用切替バルブ44は、刈取用HSTモータ38に接続された油路40と油タンク45に常時戻す戻し油路46とに切替えるので、刈取部4への回転を入切するクラッチとして作用する。47は刈取クラッチ用切替バルブ44の切替用アクチュエーター、48はリリーフバルブである。
図3において、50はCPU、51は車速センサー、52はモード切替スイッチである。
しかして、走行速度と刈取部4の作業速度の関係は、走行装置2の走行速度に対応させて略比例して刈取部4の速度を変速させるように制御し、車速が上昇すると刈取部4の作業速度を上昇させるように構成する。また、CPU50は、刈取作業速度を独自に変速することもあり、走行速度に対する刈取部4の作業速度の変速の程度(変速率)をモード切替スイッチ52により倒伏穀稈の刈取モードに切替えることにより、刈取部4の作業速度の変化上昇率を急にする(図4)。また、図5のように、モード切替スイッチ52により麦の刈取モードを選択できるように構成することもある。
【0010】
しかして、走行速度が「0」のとき即ち機体が停止しているときは、刈取部4を停止させ、前記車速センサー51がCPU50の設定した超微速の走行速度になったと検出したとき、刈取部4を刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動するように構成し、これが本発明の要旨である。
また、走行速度が一定範囲の微速のときは、刈取部4の作業速度を走行装置2とは対応させずに、刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数を確保して作動するように構成し、微速を超えた走行速度になったとき、走行装置2の走行速度に対応させて略比例して刈取部4の速度を変速させるように制御している(なお、図4および図5では、車速が「0」の部分を誇張して示している)。
また、刈取クラッチ用切替バルブ44が刈取用HSTモータ38に送油しないように戻し油路46に切替えているときでも、刈取用HSTポンプ39は刈取部4の作業速度が刈取部4の各部を正常に作動させうる最低回転数を確保しうるように送油し、車速センサー51により機体の走行速度が微速であっても走行を感知したとき、設定速度とし、刈取クラッチ用切替バルブ44を刈取用HSTモータ38に送油するように切替える。
【0011】
図6は、伝動機構の実施例であり、図示は省略するが、操縦部60の下方には前記エンジン25を設け、エンジン25の側部にはカウンターギヤケース61を設け、カウンターギヤケース61の後部には左右方向のカウンター軸62を軸装し、カウンターギヤケース61よりエンジン25側(内側)に突き出たカウンター軸62の突出部には前記受動プーリー26を設ける。
そして、受動プーリー26と走行用HSTポンプ22の入力軸27との間にサブチエンジ75を設ける。前記カウンターギヤケース61内には変速軸66を設け、該変速軸66に固定の受動歯車67に前記カウンター軸62の駆動歯車68を噛合わせ、前記変速軸66には大歯車69と小歯車70とを遊嵌し、大歯車69と小歯車70の間にシフタにより摺動する摺動部材71を設け、摺動部材71が大歯車69と小歯車70のいずれか一方に係合して変速軸66の回転を伝達すし、サブチエンジ75を構成する。
【0012】
走行用HST変速装置21によりエンジン25の回転を走行装置2に伝動する構成では、走行用HSTポンプ22から走行用HSTモータ24への流量が増加すると、エンジン25の消費馬力は増加するので、無負荷の状態でのロス馬力が増加し、また、高速走行するには、走行用HSTモータ24への入力馬力は、走行用HSTモータ24の容量で制約されるから、ミッションケース20の減速比を可能な限り大とし、入力トルクを下げて使用することになる。そのため、走行用HSTポンプ22の回転数は上昇し、流量は増加するので、無負荷状態でのロス馬力が増加し、大きなエンジン25を搭載することになる。しかし、前記のように、エンジン25と走行用HST変速装置21の間にサブチエンジ75を設けているので、ミッション減速比を大にし、走行用HSTポンプ22の出力トルクが小で済む作業速度では回転を下げ、ロス馬力を減少させ、脱穀装置3等を使用しない走行のみのときは、サブチエンジ75により入力回転数を上昇させ、エンジン25の馬力を効率よく利用し、コンパクトなエンジン25で、高速走行が可能となる。72、73は中間軸、74は図示は省略するが、脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク内の排出装置に動力伝達する出力プーリーである。
【0013】
しかして、走行速度と刈取部4の作業速度の関係を、所謂自脱型のコンバインの実施例で説明したが、図7のように、刈取った穀稈を全部脱穀装置に供給する全穀稈投入型コンバインでもよく、この場合、穀稈を掻込む掻込リール76の回転速度が重要となって、走行速度と同調させる。77は分草体、78は刈刃、79はオーガー、80は搬送エレベーターであり、搬送エレベーター80の基部の上部回転軸81を中心に刈取上下シリンダにより機体に対して上下するように構成しており、走行装置2を停止させているときは、刈取部4の掻込リール76と刈刃78とオーガー79を停止させ、車速センサー51により機体の走行速度が微速であっても走行を感知したときは、刈取クラッチ用切替バルブ44を刈取用HSTモータ38に送油するように切替える。
図8は他の実施例を示し、前記刈取クラッチ用切替バルブ44を省略している。
【0014】
次に実施例の作用を述べる。
エンジン25を始動し、所定の回転数まで上昇させると、この回転が、プーリー28、ベルト29、入力プーリー26、入力軸27を介して走行用HST変速装置21の走行用HSTポンプ22に伝達される。そして、図示は省略するが、主変速レバーを操作すると走行用HSTポンプ22の斜板30の角度を変更させて、走行用HSTモータ24に無段階に送油量を増減させながら送油し、走行用HSTモータ24はミッションケース20の入力軸に出力し、入力軸の回転がミッションケース20内の伝動機構を介して車軸32、32に出力され、走行装置2を作動させる。
【0015】
しかして、走行装置2により走行を開始すると、前記主変速レバーの位置、車速センサー51による走行速度の検出値等のデータによりCPU50は、刈取用アクチュエーター43を作動させ、刈取用HSTポンプ39の斜板42の角度を変更させて刈取用HSTモータ38に送油し、刈取用HSTモータ38は入力軸35、伝動軸36を介して刈取部4に回転を伝達し、刈取部4は分草体5により分草し、分草した穀稈を引起装置6の引起ラグ7により引起し、掻込装置8により掻込んで刈刃9で刈取り、刈取った穀稈の株元は株元側穀稈搬送装置10で、穂先側は穂先側穀稈搬送装置11で搬送し、この穀稈を株元側穀稈引継搬送装置16および穂先側穀稈引継搬送装置17により脱穀装置3の脱穀室に供給する穀稈供給搬送装置15に引継ぎ、脱穀装置3に供給する。
【0016】
この場合、走行速度と刈取部4の作業速度の関係は、走行用HST変速装置21により変速された走行装置2の走行速度に対応させて刈取用HST変速装置37を変速するので、前記走行装置2の走行速度と、刈取部4の前記引起装置6の引起ラグ7の引起しや株元側穀稈搬送装置10および穂先側穀稈搬送装置11の搬送等の刈取部4の作業速度とを、同調させることができ、円滑で効率の良い刈取作業を行える。また、刈取用HST変速装置37の刈取用HSTポンプ39の斜板42の角度を変更をさせることで、刈取用HSTモータ38へ伝達する回転を変速し、この変速割合は、刈取部4の作業速度の変速の程度をモード切替スイッチ52により倒伏穀稈または麦の刈取モードに切替えることにより、刈取部4の作業速度の上昇率を変化させ、穀稈の状態に応じた刈取を行なえる。
【0017】
しかして、前記のように、走行速度と刈取部4の作業速度を単純に比例させると、走行速度が微速のとき、刈取部4の作業速度が遅すぎて、引起装置6の引起ラグ7の引起しが充分にできないことになるが、走行速度が微速のときは走行装置2とは対応させずに、刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数を確保して作動するように構成しているから、畦際や条合せなどの走行速度が微速のときでも、引起装置6の引起ラグ7の引起しは充分に作用し、刈刃9による刈跡の美麗となり、また、株元側穀稈搬送装置10および穂先側穀稈搬送装置11による穀稈の搬送姿勢も良好となって、株元側穀稈引継搬送装置16および穂先側穀稈引継搬送装置17への引継ぎ、および、株元側穀稈引継搬送装置16および穂先側穀稈引継搬送装置17から穀稈供給搬送装置15への引継ぎも良好となる。
【0018】
しかして、走行速度と刈取部4の作業速度の関係は、前記したように、速度の変速状態を同調させるばかりでなく、機体を停止させた走行速度が「0」のときは、刈取部4を停止させる。
したがって、機体が停止状態のときに、刈取部4を停止させるので、安全が確保される。また、刈取部4のメンテナンスも他のスイッチ、レバー等を操作することなく刈取部4を停止させるので、容易に行なえる。また、刈取部4が僅かに作動することで、穀稈や草等が引起装置6や掻込装置8や株元側穀稈搬送装置10に掻込まれるのを防止し、詰まりや穀稈搬送姿勢の乱れの原因を除去するだけでなく、省エネルギー化できる。
そして、前記車速センサー51によりCPU50が設定した超微速の走行速度になったとき、刈取部4を刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動させる。
【0019】
また、第1実施例では、刈取用HST変速装置37の刈取用HSTポンプ39と刈取用HSTモータ38の間に刈取クラッチ用切替バルブ44を設けており、刈取用HSTモータ38に送油しないように戻し油路46に切替えているときでも、刈取用HSTポンプ39は刈取部4の作業速度が刈取部4の各部を正常に作動させうる最低回転数を確保しうるように送油しているから、車速センサー51が機体の走行速度が微速であっても走行を感知したときは、刈取クラッチ用切替バルブ44を刈取用HSTモータ38に送油するように切替えると、刈取用HSTモータ38は入力軸35に直ちに刈取部4の作業速度を確保しうる回転を伝達できる。
【0020】
第2実施例では、刈取クラッチ用切替バルブ44を省略し、CPU50は、機体を停止させて走行速度が「0」のときは刈取用HSTポンプ39の斜板42の角度を変更させて刈取用HSTモータ38への送油を断って刈取部4を停止させ、車速センサー51によりCPU50が設定した超微速の走行速度になったとき、斜板42の角度を変更させて刈取用HSTモータ38に送油し、刈取部4を刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動させる。
【0021】
【効果】
本発明は、上方に脱穀装置3を設けた走行装置2の前方に刈取部4を設け、機体所望位置に設けたエンジン25と前記走行装置2および前記刈取部4へ至る回転伝達経路には走行用HST変速装置21と刈取用HST変速装置37とをそれぞれ各別に設け、該刈取用HST変速装置37は走行装置2の走行速度に応じて前記刈取部4の作業速度を変速するように構成したコンバインにおいて、前記刈取部4の入力軸35には、前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTモータ38の出力軸を接続し、刈取用HSTモータ38には前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTポンプ39を油路40により接続し、刈取用HSTポンプ39には前記走行用HSTポンプ22と同軸に入力軸27を接続し、前記刈取用HSTモータ38に接続された油路40と油タンク45に常時戻す戻し油路46とに切替えて刈取部4への回転を入切するクラッチとして刈取クラッチ用切替バルブ44を設け、前記走行速度に対する刈取部4の作業速度の変速率をモード切替スイッチ52により切替えて、刈取部4の作業速度の変化上昇率を急にする倒伏穀稈の刈取モードと麦の刈取モードとを選択するようにし、機体所望位置には、機体の走行速度を検出する車速センサー51を設け、該車速センサー51が機体停止状態を感知しているときは、前記刈取部4も停止させ、予め設定した超微速の走行速度に達したとき、前記刈取部4を該刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動させ、その後は、走行速度に応じて作業速度を変速するように構成し、前記刈取クラッチ用切替バルブ44が刈取用HSTモータ38に送油しないように戻し油路46に切替えているときでも、前記刈取用HSTポンプ39は刈取部4の作業速度が刈取部4の各部を正常に作動させうる最低回転数を確保しうるように送油し、車速センサー51により機体の走行速度が微速であっても走行を感知したとき、刈取用HSTモータ38に送油するように刈取クラッチ用切替バルブ44を切替えるように構成したコンバインの伝動機構としたものであるから、機体が停止状態のときに、刈取部4を停止させるので、安全が確保される。また、刈取部4のメンテナンスも他のスイッチ、レバー等を操作することなく刈取部4を停止させるので、容易に行なえる。また、刈取部4が僅かに作動することで、穀稈や草等が引起装置6や掻込装置8や株元側穀稈搬送装置10に掻込まれるのを防止し、詰まりや穀稈搬送姿勢の乱れの原因を除去するだけでなく、省エネルギー化できる。
また、予め設定した超微速の走行速度に達したとき、前記刈取部4を該刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動させ、その後は、走行速度に応じて作業速度を変速するように構成しているから、畦際や条合せなどの走行速度が微速のときでも、引起装置6の引起ラグ7の引起しは充分に作用し、刈刃9による刈跡の美麗となり、また、株元側穀稈搬送装置10および穂先側穀稈搬送装置11による穀稈の搬送姿勢も良好となって、株元側穀稈引継搬送装置16および穂先側穀稈引継搬送装置17への引継ぎ、および、株元側穀稈引継搬送装置16および穂先側穀稈引継搬送装置17から穀稈供給搬送装置15への引継ぎも良好となる。
本発明は前記走行用HST変速装置21の受動プーリー26と走行用HSTポンプ22の入力軸27との間に、変速軸66に固定の受動歯車67に前記カウンター軸62の駆動歯車68を噛合わせ、前記変速軸66には大歯車69と小歯車70とを遊嵌し、大歯車69と小歯車70の間にシフタにより摺動する摺動部材71を設け、摺動部材71が大歯車69と小歯車70のいずれか一方に係合して変速軸66の回転を伝達するように構成したサブチエンジ75を設けたコンバインの伝動機構としたものであるから、ミッション減速比を大にし、走行用HSTポンプ22の出力トルクが小で済む作業速度では回転を下げ、ロス馬力を減少させ、脱穀装置3等を使用しない走行のみのときは、サブチエンジ75により入力回転数を上昇させ、エンジン25の馬力を効率よく利用し、コンパクトなエンジン25で、高速走行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】伝動機構略図。
【図3】ブロック図。
【図4】変速状態説明図。
【図5】変速状態説明図。
【図6】カウンターケースの断面図。
【図7】コンバインの側面図。
【図8】他の実施例図。
【符号の説明】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部、5…分草体、6…引起装置、7…引起ラグ、8…掻込装置、9…刈刃、10…株元側穀稈搬送装置、11…穂先側穀稈搬送装置、12…支持パイプ、13…支持台、14…刈取上下シリンダ、15…穀稈供給搬送装置、16…株元側穀稈引継搬送装置、17…穂先側引継搬送装置、20…ミッションケース、21…走行用HST変速装置、22…走行用HSTポンプ、23…油路、24…走行用HSTモータ、25…エンジン、26…入力プーリー、27…入力軸、28…プーリー、29…ベルト、30…斜板、31…出力軸、32…車軸、35…入力軸、36…伝動軸、37…刈取用HST変速装置、38…刈取用HSTモータ、39…刈取用HSTポンプ、40…油路、42…斜板、43…刈取用アクチュエーター、44…刈取クラッチ用切替バルブ、45…油タンク、46…戻し油路、47…切替用アクチュエーター、48…リリーフバルブ、50…CPU、51…車速センサー、52…モード切替スイッチ、60…操縦部、61…カウンターギヤケース、62…カウンター軸、66…変速軸、67…受動歯車、68…駆動歯車、69…大歯車、70…小歯車、71…摺動部材、72、73…中間軸、74…出力プーリー、75…サブチエンジ、76…掻込リール、77…分草体、78…刈刃、79…オーガー、80…搬送エレベーター、81…上部回転軸。

Claims (2)

  1. 上方に脱穀装置3を設けた走行装置2の前方に刈取部4を設け、機体所望位置に設けたエンジン25と前記走行装置2および前記刈取部4へ至る回転伝達経路には走行用HST変速装置21と刈取用HST変速装置37とをそれぞれ各別に設け、該刈取用HST変速装置37は走行装置2の走行速度に応じて前記刈取部4の作業速度を変速するように構成したコンバインにおいて、前記刈取部4の入力軸35には、前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTモータ38の出力軸を接続し、刈取用HSTモータ38には前記刈取用HST変速装置37の刈取用HSTポンプ39を油路40により接続し、刈取用HSTポンプ39には前記走行用HSTポンプ22と同軸に入力軸27を接続し、前記刈取用HSTモータ38に接続された油路40と油タンク45に常時戻す戻し油路46とに切替えて刈取部4への回転を入切するクラッチとして刈取クラッチ用切替バルブ44を設け、前記走行速度に対する刈取部4の作業速度の変速率をモード切替スイッチ52により切替えて、刈取部4の作業速度の変化上昇率を急にする倒伏穀稈の刈取モードと麦の刈取モードとを選択するようにし、機体所望位置には、機体の走行速度を検出する車速センサー51を設け、該車速センサー51が機体停止状態を感知しているときは、前記刈取部4も停止させ、予め設定した超微速の走行速度に達したとき、前記刈取部4を該刈取部4の各部が正常に作動しうる最低回転数で作動させ、その後は、走行速度に応じて作業速度を変速するように構成し、前記刈取クラッチ用切替バルブ44が刈取用HSTモータ38に送油しないように戻し油路46に切替えているときでも、前記刈取用HSTポンプ39は刈取部4の作業速度が刈取部4の各部を正常に作動させうる最低回転数を確保しうるように送油し、車速センサー51により機体の走行速度が微速であっても走行を感知したとき、刈取用HSTモータ38に送油するように刈取クラッチ用切替バルブ44を切替えるように構成したコンバインの伝動機構。
  2. 請求項1において、前記走行用HST変速装置21の受動プーリー26と走行用HSTポンプ22の入力軸27との間に、変速軸66に固定の受動歯車67に前記カウンター軸62の駆動歯車68を噛合わせ、前記変速軸66には大歯車69と小歯車70とを遊嵌し、大歯車69と小歯車70の間にシフタにより摺動する摺動部材71を設け、摺動部材71が大歯車69と小歯車70のいずれか一方に係合して変速軸66の回転を伝達するように構成したサブチエンジ75を設けたコンバインの伝動機構
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