JP5129178B2 - かつら - Google Patents

かつら Download PDF

Info

Publication number
JP5129178B2
JP5129178B2 JP2009039582A JP2009039582A JP5129178B2 JP 5129178 B2 JP5129178 B2 JP 5129178B2 JP 2009039582 A JP2009039582 A JP 2009039582A JP 2009039582 A JP2009039582 A JP 2009039582A JP 5129178 B2 JP5129178 B2 JP 5129178B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wig
shape
shaped wire
wire
shaped
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009039582A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010196181A (ja
Inventor
貴 佐藤
慎一 丸山
みどり 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aderans Co Ltd
Original Assignee
Aderans Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aderans Co Ltd filed Critical Aderans Co Ltd
Priority to JP2009039582A priority Critical patent/JP5129178B2/ja
Publication of JP2010196181A publication Critical patent/JP2010196181A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5129178B2 publication Critical patent/JP5129178B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Details Of Garments (AREA)

Description

本発明は、かつらに関し、さらに詳しくは、装着したかつらが、かつら装着者の頭部にフィットする形状に賦形されることによって自然な外観とヘアスタイルが得られると共に、かつらをはずしたときにもその形状が保持されるかつらに関する。
従来、かつらは、通気性に優れるネットなどのかつらベースに天然毛髪や人工皮膚などの毛髪を植設することにより作製され、かつら装着者の頭部に即した形状で作製されることが多い。しかし、かつらは、長期間使用していると、特に日々のかつら着脱時に生じる引張荷重によって、かつらを構成しているネットにシワが生じる傾向があり、このようにして生じたシワは、かつらの形状を歪ませる原因となる。かつらの形状に歪みが生じると、かつらベースの変形による装着感の低下等の問題が生じることから、特許文献1や特許文献2に開示されているような形状記憶金属、または、塑性変形性合成樹脂を利用したかつらが提案されている。
特開2002−348716号公報 特開2009−7726号公報
しかしながら、特許文献1の形状記憶金属を利用したかつらは、かつらの変形や装着感の低下等の問題が生じた場合には、一旦、かつらをはずしてから形状記憶の機能が現れる温度まで加熱して、かつら装着者の頭部を模した元の形状に回復させる必要があるので、かつらの装着中には、容易にかつらの変形を矯正することができず、満足のいくかつらの装着感が得られないという問題があった。また、硬い形状記憶金属の部分がかつら装着者の頭皮を傷つける恐れもあった。
また、特許文献2の塑性変形性合成樹脂を利用したかつらは、かつらの装着中にかつらの変形や装着感の低下等の問題が生じた場合には、かつらの変形をある程度自由に矯正することができるが、かつらの装着感が低下する度に、かつら装着者が手動でかつらの変形箇所を頻繁に矯正する必要があった。そのため第三者にかつらの装着が露見してしまうことがあり、かつら装着者は装着中に装着感の低下があってもそのまま装着していなければならないという問題があった。
また、上述した公知のいずれの方法でも、日々のかつら装着時に生じるかつら装着者の頭部の複雑な動きに追従することができないので、かつらに歪みが生じて変形することがあり、自然な外観やヘアスタイルを得ることが困難であった。さらに、上述した公知のいずれの方法でも、かつらをはずして保管する時に、直近のかつら装着時の形状、すなわち、最もかつらが装着者の頭部にフィットしている状態で保持することができないので、次回かつらを装着する時に、かつらの自然な装着感を得ることができなかった。加えて、日々のかつらの装着時において、装着者自身が寸分たがわず同位置にかつらを装着することは困難なので、かつらの装着位置が装着する毎に微妙にずれてしまうことがあり、かつらの形状がそのずれに追従することができず満足のいく装着感、自然な外観、及び自然なヘアスタイルが得られないことがあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、かつら装着時にかつら装着者の頭部にぴったりとフィットする形状に賦形されることによって自然な外観とヘアスタイルが得られると共に、かつらをはずしたときにもその形状が保持される形状保持機能に優れたかつらを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、装着したかつらが、かつら装着者の頭部にフィットする形状に賦形されると共に、かつらをはずしたときにもその形状が保持されるかつらであって、ネット部材によって形成されたかつらベースの所定の位置に、頭皮の温度に近い温度のガラス転移温度を有する高分子繊維によって形成された線状の形状賦形線材を内部に空洞を有する袋状部材に遊挿した状態で配設したことを特徴とするかつら。
上述の目的を達成するために、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のかつらにおいて、ネット部材は、JIS L1096のA法で15mm以上100mm以下の剛軟度を有することを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のかつらにおいて、形状賦形線材は、かつらの前額部周縁部を除いた周縁部上と、かつら内周側のネット部材上と、に配設されていることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項4に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のかつらにおいて、形状賦形線材は、かつらの前額部周縁部を除いた周縁部上のみに配設されていることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項5に記載の本発明は、請求項3に記載のかつらにおいて、かつら内周側のネット部材上に配設される形状賦形線材は、かつら中心線を挟んで左右対称に、且つ、後頭部付近で略U字状に膨出するようにして左右側頭部に連続的に配設されていることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項6に記載の本発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載のかつらにおいて、形状賦形線材は、袋状部材とかつらベースとの縫着で配設されていることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項7に記載の本発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載のかつらにおいて、形状賦形線材のガラス転移温度は、29℃以上35℃以下であることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項8に記載の本発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載のかつらにおいて、形状賦形線材は、断面が略円形で、その直径が0.5mm以上2.0mm以下であることを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項9に記載の本発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載のかつらにおいて、形状賦形線材は、ポリウレタンモノフィラメントによって形成されたことを特徴とする。
上述の目的を達成するために、請求項10に記載の本発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載のかつらにおいて、袋状部材は、ネット部材と同様の材質で成形したことを特徴とする。
本発明に係るかつらによれば、ネット部材によって形成されるかつらの所定の位置に、頭皮の温度に近い温度のガラス転移温度を有する高分子繊維によって形成される形状賦形線材、例えば、ポリウレタンモノフィラメントなどによって形成される線材を配設することで、かつら装着時にはポリウレタンモノフィラメントがかつら装着者の頭皮の温度によって軟化してかつら装着者の頭部の形状に即した形状に賦形され、それによってかつらの装着位置が少しずれたとしても、かつら装着者の頭部形状にぴったりとフィットして頭部の複雑な動きにも追従することができるという効果がある。
また、かつらを装着者の頭部からはずした時には、ポリウレタンモノフィラメントなどの形状賦形線材が温度の低下によって硬化することで、直近のかつら装着時のかつら形状を保持し、かつらに生じるシワや歪みを抑えて、かつらの変形及び装着感が低下することが防止できるという効果がある。これにより、従来のかつらにはない優れた装着感、及び自然な外観とヘアスタイルを得ることができるという効果がある。
本発明に係るかつらの一実施形態を示す平面図である。 本発明に係るかつらの一実施形態の部位を示す平面図である。 形状賦形線材の配設位置を示す平面図である。 形状賦形線材を全周に配設した状態を示す平面図である。 形状賦形線材を左右非対称に配設した状態を示す平面図である。 形状賦形線材の配設間隔を示す平面図である。 (a)は本発明の袋状部材を表した斜視図、(b)は本発明の袋状部材を表した断面図である。 本発明に係るかつらの実施例1示す平面図である。 本発明に係るかつらの実施例2を示す平面図である。 本発明に係るかつらの実施例3を示す平面図である。 評価のための測定位置を示す平面図である。
以下、本発明に係るかつらの好ましい一実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係るかつらの一実施形態を示す平面図であり、図示されたかつら1は、かつら装着者の頭部形状に即して加工されたネット部材(以下、「本体用ネット部材2」と称す)と、この本体用ネット部材2の周縁部に取付けられた帯状部材3によって形成されるかつらベース1aを備えて構成されている。そして、形状賦形機能を有する形状賦形線材5が内部に空洞を有する袋状部材4に遊挿された状態で、かつらベース1aの本体用ネット部材2の所定の位置に略U字状に配設されている。本来、本体用ネット部材2及び毛髪6はかつら全体に植設されているが、図1では便宜上一部の毛髪6のみ図示している。
ここで、かつら1の各部位について定義する。図2に示すように、かつら1は、一般的に、頭部形状を模した略お椀のような形をしているが、かつら1の周縁の部位をかつら周縁部10とし、かつらの前額部から後頭部にかけての縦方向の中心線(以下「かつら縦中心線12」と称す)と左右側頭部にかけての横方向の中心線(以下「かつら横中心線13」と称す)との交点をかつらの中心点11とする。この中心点11を起点として、横中心線13(水平位置)からかつらの前額部側(図2のF方向)に45°及び135°方向の破線上で、かつら周縁部10と交わる点を左右こめかみ部14及び15とし、この左右こめかみ部14及び15の間のかつら周縁部10上を前額部周縁部16と定義する。また、上記中心点11を起点として、横中心線13からかつらの後頭部側(図2のB方向)に45°及び135°方向の破線上で、かつら周縁部10と交わる点を左右ぼんの窪部20及び21とし、この左右ぼんの窪部20及び21の間のかつら周縁部10上を後頭部周縁部17と定義する。さらに、左こめかみ部14から左ぼんの窪部20の間のかつら周縁部10上を左側頭部周縁部18とし、右こめかみ部15から右ぼんの窪部21の間のかつら周縁部10上を右側頭部周縁部19と定義する。
さて、図3に示すように、かつら1の形状賦形線材5は、前額部周縁部16部分を除いたかつら周縁部10と、本体用ネット部材2上の所定の位置と、に配設されており、本体用ネット部材2上に配設される形状賦形線材5は、かつら中心線12を挟んで左右対称に、且つ、後頭部付近で略U字状に膨出するようにして左右側頭部に連続的に配設されている。また、かつら1の大きさに応じて、形状賦形線材5の配設本数を適宜調節することは可能であり、かつら1の大きさが小さい場合には、形状賦形線材5は本体用ネット部材2上に配設せずに、前額部周縁部16以外のかつら周縁部10のみに配設することもできる。
図4に示すように、かつら周縁部10の全周にわたって形状賦形線材5を配設してもよいが、繰り返しのかつら着脱によって生じるかつらのシワや歪みなどのひずみを逃がすことが難しく、かつらが変形しやすくなるおそれがある。そのためより快適なかつらの装着感、自然な外観、及び自然なヘアスタイルを確保するためには前額部周縁部16を除いた周縁部上に設けるとよい。尚、前額部周縁部16は、かつら装着者の頭部で大きな動きが少なく、安定している箇所なのでかつら1に生じるひずみを逃がすために、形状賦形線材5を配設しなくても問題は少ないが、後頭部周縁部17、左側頭部周縁部18、及び右側頭部周縁部19は装着者の頭部において前後左右の大きな動きが生じる部位であるので、形状賦形線材5を配設することが好ましい。
また、図5に示すように、形状賦形線材5がかつら縦中心線12を挟んで左右対称に配置されない場合には、形状賦形線材5の機能が左右対称に作用しないため、一般的にはかつら装着者の頭部形状への賦形に効果の差が出るおそれがあるが、装着者の癖や頭の形状等の要因によっては形状賦形線材5を左右非対称に配設した方が良い場合もある。
また、上述したように、かつら1の表面積に応じて形状賦形線材5を複数本配設する場合には、図3に示すように、形状賦形線材5の間隔が、かつら中心線12上で2cm以上となるように配設することが好ましい。尚、この場合には、図6に示すように、形状賦形線材5の線材配設間隔27が2cm未満の場合には、形状賦形線材5同士の間隔が狭いために、本体用ネット部材2が形状賦形線材5の動きに追従できなくなるおそれがあるからである。
本体用ネット部材2の素材は特に限定しないが、形状安定性に優れるポリエステルで形成することが好ましく、また、かつら1の装着感及びフィット感を向上させ、さらに、形状賦形線材5の機能を阻害しないためには、JIS L1096剛軟度試験法のA法(45度カンチレバー法)に準拠して、縦方向及び横方向の剛軟度が15mm以上100mm以下の範囲のネット素材を用いることが好ましい。尚、本体用ネット部材2の剛軟度が15mm未満の場合には、本体用ネット部材2が軟らかいことから、形状賦形線材5の機能を阻害することはないが、毛髪植設時に本体用ネット部材2が伸びるおそれがある。一方、本体用ネット部材2の剛軟度が100mmを超える場合には、本体用ネット部材2が硬いことから、形状賦形線材5の機能に影響を与えるおそれがあるため、そのような剛軟度対応可能な形状賦形線材5を用いることが好ましい。尚、本体用ネット部材2の周縁部に取付けられる帯状部材3も同様のネット素材で形成することが好ましい。
形状賦形線材5は、図7(a)(b)に示すように、平面形状をしたネット部材や布などを折返すことにより内部に空洞が形成されるようにして縫製した袋状部材4の内部に可動可能に遊挿された状態で本体用ネット部材2に配設されている。このように構成したのは、形状賦形線材5が袋状部材4の中である程度自由に動ける状態に置くことでかつら装着者の頭皮の熱によって形状賦形線材5が軟化することによる賦形作用を阻害しないようにするためである。例えば、形状賦形線材5を直接かつらベース1aの本体用ネット部材2に縫着、または、接着してしまうと、形状賦形線材5がかつらベース1aに完全に固定されてしまうために形状賦形線材5の自由な動きが阻害され、かつら1のフィット性、頭部の動きに追従する機能性、及び形状保持性が低下し、満足のいく装着感、自然な外観、及び自然なヘアスタイルが得られなくなるので好ましくないからである。
また、さらに、袋状用部材4は、JIS L1096剛軟度試験法のA法(45度カンチレバー法)に準拠して、本体用ネット部材2と同様に15mm以上100mm以下の範囲の剛軟度を有することが好ましい。本体用ネット部材2と同じ素材で構成すればかつら1の装着時の違和感をなくすことができるからである。もちろん、他の素材によって袋状用部材4を形成することも可能である。
上述のようにしてかつらベース1aの本体用ネット部材2の所定の位置に配設された形状賦形線材5は、かつら1を装着した際にかつら装着者の頭皮の熱によって加温されて軟化し、かつら装着者の頭部の形状に即した形に修正される。この作用によってかつら1はかつら装着者の頭部の形状に即した形状に賦形され、かつらの装着位置が多少ずれたとしても、かつら装着者の頭部形状にぴったりとフィットして頭部の複雑な動きにも追従することができるようになる。
ところで、一般的に環境温度が変化しても頭皮の温度は約33℃から36℃に保たれることが知られており、かつら装着時のかつら1の裏面(装着面側)の温度は頭部残毛状態にもよるが、頭皮温度に影響を受けて、一般的に28℃から33℃付近となる。そのため、形状賦形線材5は、ガラス転移温度が29℃以上35℃以下の範囲にある素材によって形成するとよい。形状賦形線材5のガラス転移温度が29℃未満の場合には、季節によっては室温で形状賦形線材5の軟化が起こる可能性があり、一方、形状賦形線材5のガラス転移温度が35℃を超える場合には、かつら装着後の形状賦形線材5の軟化の開始がやや遅れるからである。好ましい形状賦形線材5としては、例えば、ポリウレタンモノフィラメントがある。
本発明のかつら1に使用される形状賦形線材5は線状の部材であり、その断面が略円形のモノフィラメント糸で形成されている。そして、その直径は0.5mm(断面積0.2mm)以上2.0mm(断面積3.1mm)以下の範囲であることが好ましい。形状賦形線材5の断面を略円形とすることで、かつらの着脱を繰り返すことによる形状賦形線材5の捻じれや、形状賦形の機能の低下を抑制することができるからである。また、直径が0.5mm未満の場合には、断面積もそれに比例して小さくなるので、形状賦形線材5の賦形機能が本体用ネット部材2の硬さに負けてしまうおそれがある。この場合には、形状賦形線材5の賦形機能が発揮されるように本体用ネット部材2の硬さを適宜調整する必要がある。一方、直径が2.0mmを超えるような場合には、形状賦形線材5の配設位置の盛り上がりによってかつらの装着が露見するおそれがあるので前額部周縁部16部分を除いたかつら周縁部10に配置するなど配置位置を適宜調整する必要がある。
〔かつらの製造〕
次に、本発明に係るかつらの一実施形態の製造方法について説明する。
はじめに、第一工程として、かつら装着者の頭部形状に模して作製した雄型の石膏型に、本体用ネット部材2を張り付け固定し、その上から熱硬化性ウレタン樹脂溶液を塗布し、加熱温度100℃で8時間乾燥させて、頭部形状に成形を行なった後、本体用ネット部材を石膏型から取り外す。ここで、使用した熱硬化性ウレタン樹脂溶液は、日新レジン株式会社製のE―64A(No.1.2.3)を6.5g、E−65BS(No.1)を3.5g、メチルエチルケトンを所定量混合したものを使用する。尚、メチルエチルケトンの配合量を調整することにより、ネット部材の剛軟度を調整することができる。
第二工程として、かつら装着者の頭部形状に成形された本体用ネット部材2の外周全周に帯状ネット部材3を取り付けたかつらベース1aを形成する。まず、帯状ネット部材3を幅14mmで長さ70cm以上にカットしてから、第一工程と同様の樹脂溶液を塗布して成形を行なう。次に、本体用ネット部材2の外周端部より外方にある不要ネットを切除した後、本体用ネット部材2の外周に上記帯状ネット部3を半折りにして取り付け、縫着により本体用ネット部材2と一体化してかつらベース1aを作製する。
第三工程として、第1形状賦形線材5aを被覆する袋状部材4を作製する。まず、袋状部材4用の平面形状をしたネット(本体用ネット部材2と同質のネット)を幅17mmで長さ70cm以上にカットしてから、第一工程と同様の樹脂溶液を塗布して成形を行なう。次に、上記平面ネットの中心位置に第1形状賦形線材5aを配置させてから、上記平面ネットを三等分に折りに込んで第1形状賦形線材5aを包み込んだ後、仮止めを行なう。同様に、第2形状賦形線材5b、及び第3形状賦形線材5cも同様に袋状部材に包み込む(図7(a)(b)参照)。
第四工程として、第三工程で作製した袋状部材4に被覆された形状賦形線材5をかつらベース1aの表面側(毛植え側)に取り付ける。具体的には、図8に示すように、前額部周縁部16を除いたかつら周縁部10上で、かつらベース1aの外周縁部から1mm内側の位置に、袋状部材4に被覆された第1形状賦形線材5aを沿わせる。次に、かつら周縁部10に沿って袋状部材4の側縁端から2mmの位置を縫着することで、かつらベース1aに第1形状賦形線材5aを取り付ける。次に、第2形状賦形線材5bを、かつらベース1aの左線材起点40近傍、第2中心交点33、及び右線材起点41近傍を結ぶように、袋状部材4に被覆された第2形状賦形線材5bを沿わせて、かつら周縁部10から略平行でU字状に形成し、第1形状賦形線材5aと同様の方法で縫着するが、端部が第1形状賦形線材5aと当接しないようにする。さらに、第3形状賦形線材5cを、かつらベース1aの左こめかみ部14近傍、第3中心交点34、及び右こめかみ部15近傍を結ぶように、袋状部材4に被覆された第3形状賦形線材5cを沿わせて、かつら周縁部10から略平行でU字状に形成し、第1形状賦形線材5aと同様の方法で縫着するが、第1形状賦形線材5aと当接しないようにする。
第五工程として、かつらベース1aに毛髪6を植設する。毛髪6の植設は、まず、頭部形状の雄型にかつらベース1aを合わせて固定する。次に、本体用ネット部材2の表面から鉤針を挿入してネットを構成するフィラメントを掬い上げた後、鉤針の鉤部に毛髪6を引っ掛けて結ぶ。植設する毛髪6は、天然毛髪もしくは人工毛髪であり、毛髪6の中央部を二つ折りにした折れ部をネットに結びつけることで植設される。
上述したかつらの製作工程に基づいて、以下に示す条件で、図8に示すようなかつら1を作製した。尚、形状賦形線材5は全て袋状部材4に被覆されて配設されている。
かつらの大きさ:
縦方向30:18cm
横方向31:16cm
面積 :288cm
形状賦形線材5の配設本数:配設本数:3本
形状賦形線材5の配設位置:
第1形状賦形線材5aの位置:
前額部周縁部16を除いたかつら周縁部10上に第1形状賦形線材5aを連続的に配設した。
第2形状賦形線材5bの位置:先ず、第1形状賦形線材5aとかつら縦中心線12との第1中心交点32から前額部側3cmの位置に、第2中心交点33を設けた。次に、かつら周縁部10上の左右こめかみ部14及び15から、1.5cm後頭部側の位置に、左右線材起点40及び41を設けた。次に、かつら周縁部10から略平行でU字状に形成されるように、上記左線材起点40近傍、第2中心交点33、及び右線材起点41近傍を結び、かつら縦中心線12を挟んで左右対称に、連続的に第2形状賦形線材5bを配設した。
第3形状賦形線材5cの位置:
先ず、第2中心交点33から前額部側3cmの位置に、第3中心交点34を設けた。次に、かつら周縁部10から略平行でU字状に形成されるように、左こめかみ部14近傍、第3中心交点34、及び右こめかみ部15近傍を結び、かつら縦中心線12を挟んで左右対称に、連続的に第3形状賦形線材5cを配設した。
形状賦形線材5の形状とガラス転移温度:
形状:線状の略円形の断面
線材の直径:1.0mm(断面積:0.8mm
ガラス転移温度:30℃(株式会社ディアプレックス製の商品名「ダイアリィ」を使用した。)
本体用ネット部材2:
ネット部材のマルチフィラメントの太さ:0.3mm
剛軟度(前額部側(縦方向)):27mm
(側頭部側(横方向)):35mm
形状賦形線材5を被覆する袋状部材4:
ネット部材のマルチフィラメントの太さ:0.25mm
剛軟度(前額部側(縦方向)):24mm
(側頭部側(横方向)):30mm
実施例2のかつらは、図9に示すように、形状賦形線材5が5本で、以下のような配設位置で構成した以外は実施例1と同様にした。
形状賦形線材5の配設位置:
第1形状賦形線材5aの位置:
前額部周縁部16を除いたかつら周縁部10上に第1形状賦形線材5aを連続的に配設した。
第2〜第5形状賦形線材5b〜5eの位置:
先ず、第1形状賦形線材5aとかつら縦中心線12との第1中心交点32から前額部側に3cmの間隔で、それぞれ第2中心交点33から第5中心交点36までを設けた。次に、第2中心交点33から左右側頭部周縁部18及び19の近傍まで、かつら縦中心線12を挟んで左右対称になるように、形状賦形線材の間隔を3cmとして、第2から第5形状賦形線材5b、5c、5d、5eまでを配設した。
実施例3のかつらは、図10に示すように、形状賦形線材5が5本で、以下のような配設位置で構成した以外は実施例1と同様にした。
形状賦形線材5の配設位置:
第1形状賦形線材5aの位置:
前額部周縁部16を除いたかつら周縁部10上に第1形状賦形線材5aを連続的に配設した。
第2形状賦形線材5bの位置:
先ず、第1形状賦形線材5aとかつら縦中心線12との第1中心交点32から前額部側6cmの位置に、第2形状賦形線材5bの第2中心交点33を設けた。次に、逆U字状になるように、左ぼんの窪部20近傍、第2中心交点33、及び右ぼんの窪部21近傍を結び、かつら縦中心線12を挟んで左右対称で、連続的に第2形状賦形線材5bを配設した。
第3及び第4形状賦形線材5c、5dの位置:
先ず、前記第2中心交点33から前額部側2cm及び4cmの位置に、それぞれ第3中心交点34及び第4中心交点35を設けた。次に、第3中心交点34から左右側頭部周縁部18及び19の近傍まで、かつら縦中心線12を挟んで左右対称に、2cmの間隔で平行に第3及び第4形状賦形線材5c、5dを配設した。
第5形状賦形線材5eの位置:
先ず、前記第4中心交点35から前額部側2cmの位置に、第5中心交点36を設けた。次に、U字状になるように、左こめかみ部14近傍、第5中心交点36、及び右こめかみ部15近傍を結び、かつら縦中心線12を挟んで左右対称で、連続的に第5形状賦形線材5eを配設した。
実施例4のかつらは、本体用ネット部材2を、JIS L1096剛軟度試験法で剛軟度が縦方向15mm、横方向19mmのネット部材を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例5のかつらは、本体用ネット部材2を、JIS L1096剛軟度試験法で剛軟度が縦方向91mm、横方向100mmのネット部材を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例6のかつらは、ガラス転移温度が29℃の形状賦形線材5を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例7のかつらは、ガラス転移温度が35℃の形状賦形線材5を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例8のかつらは、直径が0.5mm(断面積0.2mm)の形状賦形線材5を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例9のかつらは、直径が2.0mm(断面積3.1mm)の形状賦形線材5を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例10のかつらは、図4に示すように、かつら周縁部10上の全周囲に形状賦形線材5を配設した以外は、実施例1と同様にした。
実施例11のかつらは、図5に示すように、形状賦形線材5がかつら縦中心線12を挟んで左右対称にならないように構成した以外は、実施例1と同様にした。
実施例12のかつらは、本体用ネット部材2を、JIS L1096剛軟度試験法で縦方向9mm、横方向14mmの剛軟度を有するネット部材を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例13のかつらは、本体用ネット部材2を、JIS L1096剛軟度試験法で縦方向101mm、横方向109mmの剛軟度を有するネット部材を使用した以外は、実施例1と同様にした。
実施例14のかつらは、28℃で形状賦形線材5のガラス転移温度を設定した以外は、実施例1と同様にした。
実施例15のかつらは、36℃で形状賦形線材5のガラス転移温度を設定した以外は、実施例1と同様にした。
実施例16のかつらは、形状賦形線材5の断面が矩形である以外は、実施例1と同様にした。
実施例17のかつらは、直径0.1mm(断面積0.008mm)で形状賦形線材5を形成した以外は、実施例1と同様にした。
実施例18のかつらは、直径2.5mm(断面積4.9mm)で形状賦形線材5を形成した以外は、実施例1と同様にした。
〔比較例1〕
比較例1のかつらは、形状賦形線材5を配設しない以外は、実施例1と同様にした。
〔比較例2〕
比較例2のかつらは、形状賦形線材5が袋状部材4に被覆されずに、直接、かつら1に縫着した以外は、実施例1と同様にした。
〔評価方法〕
下記の方法で、かつらのフィット性、頭部の動きへの追従性、及びその追従した形状の保持性の評価と、かつらをはずした時の形状保持性の評価をした。
〔評価の基準〕
(1)かつらのフィット性:
かつらのフィット性が優れるということは、かつら裏面(装着面側)と装着者の頭部との間に浮きが生じずに隙間がない状態であると定義し、頭部形状を模した石膏雄型を用意し、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した。
(2)頭部の動きへの追従性:
かつらが頭部の動きに追従するということは、頭部形状を模した石膏雄型上の所定の位置にかつらを載置してから、かつらを押さえた状態で、特定の位置にかつらを移動させたときに、かつら裏面と石膏雄型の表面との間に隙間がない状態であると定義した。
(3)頭部の動きに対するかつら形状の保持性:
かつらが頭部の動きに追従した形状に保持するということは、頭部形状を模した石膏雄型上の所定の位置にかつらを載置し、特定の位置にかつらを移動させてから、かつらのテンションを解放したときにかつら裏面と雄型表面との隙間がない状態であると定義した。形状の保持性に劣る場合には、かつら移動前の形状に戻ろうとするネット部材の反動力で、かつら裏面と石膏雄型の表面の間に隙間が生じるとみなした。
(4)かつらをはずした時の形状保持性:
かつらをはずした時に形状を保持することは、かつらを、頭部形状を模した石膏雄型からはずし、所定の時間が経過後、再度、石膏雄型上にかつらを載置したときに、かつら裏面と石膏雄型の表面との間に隙間がない状態であると定義した。
〔評価の手順〕
かつらと同形状の石膏雄型を用意した。
図11に示すように、石膏雄型上に測定箇所a〜mの計13ヶ所を記入した。
50℃にセットした乾燥機に石膏雄型をいれて加熱した。
石膏雄型の表面温度が約30℃になった時点で乾燥機から取り出した。
測定する部屋を25℃に設定して、石膏雄型の所定の測定位置にかつらをセットし、かつら裏面と石膏雄型の表面との間の隙間を測定した。
〔垂直方向の隙間測定〕
下記のように、垂直方向(前額部と後頭部が上下する方向)にかつらを移動させて、かつら裏面と石膏雄型表面との間の隙間を測定した。尚、一般的にかつらを装着した時に、所定の位置から20mm以上ずれた場合には、かつらの外観やヘアスタイルに大きな違和感が生じてしまい、かつら装着が高い確率で露見すると判断されるのでそのような状態は想定範囲外とし、本評価ではかつらを5mmずらした位置から5mm間隔で15mmまで移動させてそれぞれの隙間を測定した。
頭部形状を模した石膏雄型に記入したかつら周縁部10のラインに合わせてかつら1をセットし、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した。
石膏雄型の上記かつら周縁部10に合わせた位置から前額部側(図11におけるF方向)にかつらを5、10、及び15mmの間隔で移動させ、それぞれの位置でテンションをかけた状態で、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した後に、テンションを解放して再び隙間を測定した。
石膏雄型の上記かつら周縁部10に合わせた位置から後頭部側(図11におけるB方向)にかつらを5、10、及び15mmの間隔で移動させ、それぞれの位置でテンションをかけた状態で、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した後に、テンションを解放して再び隙間を測定した。
石膏雄型の上記かつら周縁部10に合わせた位置から左側頭部側にかつらを5、10、及び15mmの間隔で移動させ、それぞれの位置でテンションをかけた状態で、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した後に、テンションを解放して再び隙間を測定した。尚、実施例、比較例とも左右対称の頭部形状でかつらを作製したので、左側頭部側のみ測定した。
〔水平方向の隙間測定〕
下記のように、水平方向(左側頭部方向に向かって回転する方向)にかつらを移動させて、かつらと石膏雄型との間の隙間を測定した。尚、一般的にかつらを装着した時に、所定の位置から25°以上ずれた場合には、かつらの外観やヘアスタイルに大きな違和感が生じてしまい、かつら装着が高い確率で露見すると判断されるのでそのような状態は想定範囲外とし、本評価では水平方向(左側頭部方向)にかつらを5°移動させた位置から、5°間隔で20°まで移動させてそれぞれの隙間を測定した。尚、実施例、比較例とも左右対称の頭部形状でかつらを作製したので、左側頭部方向のみの移動で測定した。
頭部形状を模した石膏雄型に記入したかつら周縁部10のラインに合わせてかつら1をセットし、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した。
石膏雄型のかつら縦中心線12から水平方向(左側頭部方向)にかつらを5°、10°、15°、及び20°の角度で移動させ、それぞれの位置でテンションをかけた状態で、かつら裏面と石膏雄型の表面との隙間を測定した後に、テンションを解放して再び隙間を測定した。
〔かつら保管時の形状保持性を測定〕
かつらを石膏雄型からはずし、30分間そのままの状態で放置した後、25℃の石膏雄型上の所定の位置にかつらを載置し、かつら裏面と石膏雄型との間の隙間を測定した。
〔結果〕
かつら装着者の装着具合調査の結果、かつら裏面とかつら装着者の頭部表面付近との隙間が約5mm以上あった場合に、かつらの装着に違和感が生じるという意見が多数を占めたことを基に、かつらと雄型との間の隙間、フィット性、頭部の動きへの追従性、及び、形状の保持性について測定し、その結果から下記のように評価した。尚、測定結果は、表1及び表2に示すが、各記号は以下の意味である。
「○=優」、「△=可」、「×=不可」
Figure 0005129178
Figure 0005129178
実施例1〜9は、特定の剛軟度を有する本体用ネット部材2によって形成されたかつらベース1aの所定の位置に、ポリウレタンモノフィラメントにより形成される形状賦形線材5を配設したことで、かつら装着時には形状賦形線材5が軟化することにより、一定範囲内でかつらの装着位置がずれても、かつら装着者の頭部形状にフィットしつつ頭部の動きに追従することができ、さらに、その追従したかつらの形状を保持でき、従来のかつらにはない優れた装着感、及び自然な外観とヘアスタイルが得られた。また、かつら1を装着者の頭部からはずした場合には、形状賦形線材5の温度降下による硬化により、直近のかつら装着時におけるかつら形状をそのままの状態で保持し、かつらに生じるシワや歪みが発生せず、繰り返しの装着によるかつらの変形及び装着感の低下の問題を改善する効果が得られた。特に、実施例1のかつらは、形状賦形線材5が装着者の傾斜の強い左右側頭部側と後頭部側とをカバーし、さらに、かつら1の裏面と装着者の頭部との間に隙間が生じて露見しやすい部位である左右こめかみ部付近に位置するように形状賦形線材5を配設したので形状賦形線材5の本数が少なくても満足のいく装着感、自然な外観、及び自然なヘアスタイルを得ることができた。
一方、実施例10は、形状賦形線材5の賦形作用によりかつらベース1aがかつら装着者の頭部の形状に即した形状に賦形される効果は認められたが、図4に示すように、かつら周縁部上の全周囲に形状賦形線材が配設されているのでかつらの繰り返しの着脱によるシワや歪みなどの発生が若干みられた。
実施例11は、図5に示すように、形状賦形線材5がかつら縦中心線12を挟んで左右対称に配設されていないため形状賦形線材5の機能がかつら全体に均質に作用しないが、本体用ネット部材2及び袋状部材4の剛軟度が低く軟らかいので、かつら装着者の頭部形状にフィットすることができた。しかし、頭部の動きに対する追従性は実施例1〜9に比べるとやや劣っていた。また、かつらをはずした場合には、かつらが変形しやすい傾向が見られた。
実施例12は、形状賦形線材5の軟化による賦形効果は認められたが、本体用ネット部材の剛軟度がJIS L1096剛軟度試験法で縦方向9mm、横方向14mmで構成されていることで、本体用ネット部材2が軟らかく、毛髪5の植設時に本体用ネット部材2が伸びやすいという傾向がみられた。一方、実施例13は、本体用ネット部材2の剛軟度がJIS L1096剛軟度試験法で縦方向101mm、横方向109mmで構成されていることで、本体用ネット部材2が硬く、かつら1の裏面側が形状賦形線材5のガラス転移温度に達し、形状賦形線材5が軟化状態となっても本体用ネット部材2に対する賦形効果はやや弱かった。従って、本体用ネット部材2は、JIS L1096のA法で15mm以上100mm以下の剛軟度を有するものを用いることが好ましいと考えられる。
実施例14は、ガラス転移温度が28℃である形状賦形線材5を使用したので、形状賦形線材5の賦形効果が発揮され、かつら装着者の頭部形状にフィットし、頭部の動きに追従することができた。しかし、実施例1〜9に比べると追従がやや劣っていた。一方、実施例15は、ガラス転移温度が36℃である形状賦形線材5を使用したので、形状賦形線材5の軟化が遅れぎみとなり実施例1〜9に比べるとフィット感が劣る傾向がみられた。従って、形状賦形線材5のガラス転移温度は29℃以上35℃以下であることが好ましいと考えられる。
実施例16は、形状賦形線材5の断面が矩形で形成されているため、実施例1〜9に比べて形状賦形線材5が捻じれやすいという傾向がみられた。形状賦形線材5は捻れに対する抵抗がやや弱く、形状賦形線材5に一旦ねじれが生じてしまうと、もとの状態へ戻る復元作用が弱くなり、形状賦形の機能が低下するおそれがある。また、実施例17は、形状賦形線材の直径を0.1mm(断面積0.008mm)と細くしたので、断面積も直径に比例して小さくなり、その分だけ形状賦形線材5の賦形作用が弱くなり本体用ネット部材2の硬さに負けてしまう傾向がみられた。一方、実施例18は、形状賦形線材の直径を2.5mm(断面積4.9mm)と太くしたので、賦形作用は十分に発揮されたが、形状賦形線材5の配設位置が盛り上がってしまうため、かつらであることが露見するおそれがある。従って、形状賦形線材5は、断面が略円形で、その直径が0.5mm以上2.0mm以下とすることが好ましい。
これに対し、比較例1は、かつらベース1aに形状賦形線材5が配設されていないので、かつら装着者の頭部形状に即した形状に賦形されるという効果を奏しない。そのため、かつら1が僅かにずれて装着された場合にはその隙間を埋めるような賦形機能が発揮されないので装着時に満足のいく装着感が得られなかった。また、かつらをはずした際にも装着時のかつら形状を保持するという機能は発揮されないので、装着時には精密な位置合わせが要求されることになる。
また、比較例2は、形状賦形線材5が袋状部材4に被覆されずに、直接、本体用ネット部材2縫着されているので、形状賦形線材5が頭皮の温度によって軟化しても形状賦形線材5は自由に動くことが制限されているので、かつら装着者の頭部形状にフィットし、頭部の動きに追従することができない。そのため、満足のいく装着感、自然な外観、及び自然なヘアスタイルが得られなかった。また、形状賦形線材5が固定されているので、かつらをはずした際にも直近のかつら装着時のかつら形状を保持するという機能は発揮されず、再度の装着時に満足のいく装着感を得るという効果は認められなかった。
1 かつら
2 本体用ネット部材
3 帯状部材
4 袋状部材
5 形状賦形線材
5a 第1形状賦形線材
5b 第2形状賦形線材
5c 第3形状賦形線材
6 毛髪
10 かつら周縁部
11 かつらの中心点
12 かつら縦中心線
13 かつら横中心線
14 左こめかみ部
15 右こめかみ部
16 前額部周縁部
17 後頭部周縁部
18 左側頭部周縁部
19 右側頭部周縁部
20 左ぼんの窪部
21 右ぼんの窪部

Claims (10)

  1. 装着したかつらが、かつら装着者の頭部にフィットする形状に賦形されると共に、かつらをはずしたときにもその形状が保持されるかつらであって、
    ネット部材によって形成されたかつらベースの所定の位置に、頭皮の温度に近い温度のガラス転移温度を有する高分子繊維によって形成された線状の形状賦形線材を内部に空洞を有する袋状部材に遊挿した状態で配設したことを特徴とするかつら。
  2. 前記ネット部材は、JIS L1096のA法で15mm以上100mm以下の剛軟度を有することを特徴とする請求項1に記載のかつら。
  3. 前記形状賦形線材は、かつらの前額部周縁部を除いた周縁部上と、かつら内周側のネット部材上と、に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のかつら。
  4. 前記形状賦形線材は、かつらの前額部周縁部を除いた周縁部上のみに配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のかつら。
  5. 前記かつら内周側のネット部材上に配設される前記形状賦形線材は、かつら中心線を挟んで左右対称に、且つ、後頭部付近で略U字状に膨出するようにして左右側頭部に連続的に配設されていることを特徴とする請求項3に記載のかつら。
  6. 前記形状賦形線材は、前記かつらベースに前記袋状部材を縫着することによって配設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のかつら。
  7. 前記形状賦形線材のガラス転移温度は、29℃以上35℃以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のかつら。
  8. 前記形状賦形線材は、断面が略円形で、その直径が0.5mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のかつら。
  9. 前記形状賦形線材は、ポリウレタンモノフィラメントによって形成されたことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のかつら。
  10. 前記袋状部材は、前記ネット部材と同様の材質で成形したことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のかつら。
JP2009039582A 2009-02-23 2009-02-23 かつら Active JP5129178B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009039582A JP5129178B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 かつら

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009039582A JP5129178B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 かつら

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010196181A JP2010196181A (ja) 2010-09-09
JP5129178B2 true JP5129178B2 (ja) 2013-01-23

Family

ID=42821182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009039582A Active JP5129178B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 かつら

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5129178B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4932884U (ja) * 1972-06-26 1974-03-22
JP2549553B2 (ja) * 1988-11-04 1996-10-30 株式会社アデランス 型保持部材を有するかつら
JP2571940Y2 (ja) * 1991-02-01 1998-05-20 株式会社アデランス かつらベース用帯状体とかつらベース
JP2878876B2 (ja) * 1991-10-01 1999-04-05 フェザー 株式会社 かつらベース形成用テープ、かつら及びかつらの製造方法
JP3854997B2 (ja) * 1998-05-11 2006-12-06 Kbセーレン株式会社 装飾シート
JP2005160833A (ja) * 2003-12-04 2005-06-23 Toray Ind Inc フェイスマスク

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010196181A (ja) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7131449B2 (en) Wig
US6691714B1 (en) Wearer's own hair utilizing type wig and method for manufacturing the same
WO2013021918A1 (ja) かつら
US20130213422A1 (en) Volume-enhanced wig
JP2545244B2 (ja) 型保持部材を有するかつら
WO2011040481A1 (ja) かつら
JP5129178B2 (ja) かつら
JP2008063696A (ja) かつら
JP2007239153A (ja) かつら
KR200458661Y1 (ko) 개량 가발
JP5312981B2 (ja) カツラ
JP4753400B2 (ja) 自毛活用型かつら及びその製造方法
JP2005325508A (ja) 自毛活用型かつら
JP5134913B2 (ja) カツラ用ベース及びカツラ
JP2011127228A (ja) かつらベース
JP5828022B1 (ja) 略h形状の伸縮性領域を備えたカツラベース
JP5689555B1 (ja) 前頭周縁に迷彩機能を備えるカツラベース、およびカツラ
JP2549553B2 (ja) 型保持部材を有するかつら
JP5722478B2 (ja) 頭髪装身具用ベース
JP5419843B2 (ja) 自毛活用型かつら
KR200466783Y1 (ko) 가발 내피
JP7427436B2 (ja) ブラジャー用ブラカップおよびその製造方法
JP6296402B2 (ja) アップバング用かつら
JP5384403B2 (ja) かつら
JP4789606B2 (ja) 保形用ボーン

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100924

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101022

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20101206

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110520

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121009

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121101

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5129178

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250