JP5129133B2 - 安定なnad/nadh誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、安定なニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD/NADH)誘導体およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP/NADPH)誘導体、これら誘導体の酵素複合体およびそれらの生化学検出法での使用、さらにはそれらの試薬キットに関する。
生化学分析のための測定システムは、臨床関連の分析法における重要な要素である。ここでは、例えば代謝産物または基質など、酵素を用いて直接的または間接的に測定される被分析物の測定が主体である。この場合、被分析物は酵素/補酵素の複合体を用いて変換され、ついで定量測定される。この過程において、測定対象である被分析物を然るべき酵素および補酵素に接触させる。その場合、酵素は通常触媒としての量で使用される。補酵素は酵素反応によって、例えば酸化または還元などの変化をする。この過程は直接、またはメディエータを用いて電子化学的、または光学的測定により検出することができる。較正操作により、測定値と測定対象である被分析物の濃度との直接的関係が提供される。
補酵素は、酵素と共有結合または非共有結合している有機分子であり、被分析物の変換によって変化する。補酵素の重要例はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)であり、還元によってこれらよりそれぞれNADHまたはNADPHが生成される。
先行技術から公知の測定システムは、制限のある保管期限およびこの貯蔵期限を達成するために冷却または乾燥保存など環境条件への特殊な要求を特徴としている。したがって、例えばグルコース自己測定などエンドユーザ自身が行う測定において、特定の適用形態が採られた場合では、気づかないまま不適切な誤った保存がなされたために結果に誤りが生ずるという事態が起こり得る。特に、一次包装が長時間開放されて乾燥剤が消費し尽くされると、システムによってはユーザにはほとんど気づかれない誤測定が生じることがある。
生化学測定システムの安定性を向上させるために採られる公知の対策には、安定な酵素、例えば好熱性生物からの酵素の使用がある。そのほか、化学的修飾、例えば架橋結合によって、または突然変異生成によって酵素を安定化させる可能性もある。さらに、例えばトレハロース、ポリビニルピロリドンおよび血清アルブミンなどの酵素安定化剤を添加することもできる。または、例えば光重合により酵素をポリマー網状組織内に閉じ込めることも可能である。
また、安定なメディエータの使用によって生化学測定システムの貯蔵期限を改善する試みもなされている。つまり、できる限り酸化還元電位の低いメディエータを使用して測定の特異性を高め、反応中の障害を排除する。ところが、酵素/補酵素複合体の酸化還元電位は、酸化還元電位の下限を成している。これを下回ると、メディエータとの反応が緩慢になるか、または完全停止状態になる。
上記に代わり、メディエータなしの生化学測定システムを使用することも可能である。その場合では、例えば補酵素NADHといった補酵素が、直接的に検出される。しかし、そのような測定システムは、NADおよびNADPなどの補酵素が不安定であるという欠点がある。
NADおよびNADPは塩基に不安定な分子であり、その分解過程は文献に記述されている(N. J. Oppenheimer著 The Pyridine Nucleotide Coenzyms、Academic Press/ニューヨーク、ロンドン、1982年刊、J. Everese、B. Anderson、K. You編、第3章、56〜65頁)。NADまたはNADPの分解過程では、基本的に、リボースとピリジンユニット間のグリコシル結合の開裂によってADPリボースが生成される。還元型のNADHおよびNADPHは逆に酸に不安定である。例えばエピマー化は周知の分解過程である。両例におけるNAD/NADPおよびNADH/NADPHの不安定性の根源は、リボースとピリジンユニット間のグリコシル結合における不安定性にある。補酵素NADおよびNADPは、水溶液中のような過激でない条件下でも、周囲の湿気だけで単独で加水分解を起こす。この不安定性が、被分析物の測定で不正確な結果を生ずる原因になることがある。
一連のNAD/NADP誘導体については、例えばB. M. Anderson著Pyridine Nucleotide Coenzymes、Academic Press/ニューヨーク、ロンドン、1982年刊、J. Everese、B. Anderson、K. You編、第4章に記述されている。しかし、これら誘導体のほとんどは酵素に充分には受容されない。したがって、これまで診断テストに使用されてきた唯一の誘導体は、1956年に初めて発表された(N. O. Kaplan、J. Biol. Chem.(1956年)第221巻、823頁)3−アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(Acetyl NAD)である。この補酵素も酵素による受容性は低く、酸化還元電位の変化を示す。
国際公開第01/94370号パンフレットには、修飾したピリジン基を有する他のNAD誘導体の使用が記載されている。しかし、ニコチンアミド基の修飾は、一般には触媒反応に直接的な影響を及ぼす。ほとんどの場合、その影響は不利に作用する。
他の安定化構想では、グリコシル結合の安定性に影響を与えるために、リボースユニットが修飾された。この操作は、ニコチンアミド基の触媒反応に対し直接的には干渉しない。しかし、酵素がリボースユニットに対して強力で特殊な結合をすると、直ちに間接的な影響が生じ得る。これに関しては、Kaufmannらが、国際公開第98/33936号パンフレットおよび米国特許第5,801,006号明細書または国際公開第01/49247号パンフレットにおいて、一連のチオリボースNAD誘導体を開示している。しかし、ニコチンアミドリボースユニットの修飾と酵素反応における誘導体の活性の間の関係については示されていない。
グリコシル結合を持たない誘導体であるカルバNADについては、1988年に初めて記述された(J. T. Slama、Biochemistry、1989年、第27巻、183頁およびBiochemistry、1989年、第28巻、7688頁)。この誘導体では、リボースはカルバ環状糖ユニットで置換される。カルバNADは脱水素酵素の基質として記載されているが、その活性は臨床生化学検出法においてこれまで証明されたことがない。
後に、G. M. BlackburnがChem. Comm.(1996年)、2765頁に、天然ピロフォスフェートの代わりに、メチレンビスフォスフォネート結合を有するカルバNADを合成する同様の試みについて記述している。メチレンビスフォスフォネートはフォスファターゼに対しより高い安定性を示し、ADPリボシルシクラーゼの阻害剤として使用された。その目的は、加水分解に対して安定性を向上させることではなかった(J. T. Slama、G. M. Blackburn)。
以上より、本発明の目的は、NAD/NADPの加水分解感受性を回避し、同時に酵素反応において補酵素として作用する、特にグルコース測定のための安定なバイオ分析測定システムを提供することにある。
この目的は、被分析物測定のための試験エレメントであって、
(i)補酵素依存性酵素またはその種の酵素の基質および
(ii)補酵素として下記一般式(I)で表される化合物であって、
Figure 0005129133
Aはアデニンまたはその類似体、
Tはそれぞれ独立してO、S、
Uはそれぞれ独立してOH、SH、BH3 -、BCNH2 -
Vはそれぞれ独立してOHまたはフォスフェート基、
WはCOOR、CON(R)2、COR、CSN(R)2であって、Rはそれぞれ独立してHまたはC1〜C2アルキル、
1、X2はそれぞれ独立してO、CH2、CHCH3、C(CH32、NH、NCH3
YはNH、S、O、CH2
Zおよびピリジン残基がグリコシド結合によらずに結合しているという条件で、
Zは必要に応じてO、SおよびNから選択されたヘテロ原子と必要に応じて1個以上の置換基を含む5C原子を有する環状基を含む残基、および、R4はそれぞれ独立してH、F、Cl、CH3であり、CR42が前記環状基およびX2に結合しているCR42残基
である化合物もしくはその塩または必要な場合にはその還元型
を含む試験エレメントによって達成される。
好ましい実施形態の1つでは、WはCONH2またはCHCH3である。
Zにおける好ましい置換基は、OH、F、Cl、C 1〜C2アルキルおよびO−C 1 〜C 2 アルキルからなる群から選択され、前記C 1 〜C 2 アルキルが必要に応じてフッ素化または塩素化および/またはOH置換され得る
好ましい実施形態の1つでは、第1残基のVはOHであり、第2残基のVはフォスフェート基である。この1つのOH基と1つのフォスフェート基は、これらが結合している炭素原子と共に環を形成することができる。
好ましい実施形態の1つでは、グルコース脱水素酵素および上記の一般式(I)で表わされる化合物またはその塩を含む、グルコース測定のための試験エレメントが提供される。
驚くべきことに、本発明に基づく化合物は加水分解に対して安定であり、酵素検出法において優れた基質であり、生化学的診断に使用することができる。この発見は、従来から公知のNAD/NADP誘導体の大部分とは対照的である。これら誘導体は、酵素による検出法では通常きわめて短い期間しか安定ではないからである。
本発明に基づく化合物の長所は、先行技術と比較すれば、高い安定性、高い酵素活性、簡易でコスト的に有利な合成、従来から公知のすべての生化学検出法への適用可能性である。
本発明、好ましくは、例えばポリマー網状構造への酵素の封入による安定化処方との組み合わせを用いて、安定なNAD/NADP誘導体を提供することにより、従来から公知の生化学検出法の欠点を大部分回避することができる。しかも、安定化のための添加剤を使用する必要もない。関与反応物質の数が少なければ少ないほど、被分析物測定のための安定処方を得る機会もそれだけ大きくなるので、この点は特に有利である。
本発明によれば、試験エレメント上に、補酵素としての使用に十分な酵素活性を有する多くの安定なNAD/NADP誘導体を含む試験エレメントが提供される。
安定なNAD/NADP誘導体は、一般的に知られた合成法で製造することができる。その場合、環状アミノアルコールのアミノ基を、チンク(Zincke)化学過程を経てピリジニウム誘導体に変換する。ついで、第1級OH基をリン酸化し、活性化されたAMP誘導体と結合させてNAD誘導体とする。これに代え、第1級OH基を最初にリン酸化して、ついでアミノ基をチンク(Zincke)反応によりピリジンに変換させることもできる。
他の合成経路としては、第1級アルコールを活性化してトシレートまたはヨウ化物を形成し、ついでADPをアルキル化する。
本発明に基づく試験エレメントの好ましい実施形態は、
下記一般式(I’)で表される化合物であって、
Figure 0005129133
Aはアデニンまたはその類似体、
Tはそれぞれ独立してO、S、
Uはそれぞれ独立してOH、SH、BH3 -、BCNH2 -
Vはそれぞれ独立してOHまたはフォスフェート基、
WはCOOR、CON(R)2、COR、CSN(R)2であって、Rはそれぞれ独立してHまたはC1〜C2アルキル、
1、X2はそれぞれ独立してO、CH2、CHCH3、C(CH32、NH、NCH3
YはNH、S、O、CH2
Zは飽和もしくは不飽和の炭素環またはヘテロ環の五員環、特に、一般式(II)の化合物であって、
Figure 0005129133
R5’とR5”の間に一重または二重結合が存在し、
R4はそれぞれ独立してH、F、Cl、CH3
R5はCR42
R5’とR5”の間に一重結合が存在する場合には、
R5’はO、S、NH、NC1〜C2アルキル、CR42、CHOH、CHOCH3
R5”はCR42、CHOH、CHOCH3
R5’とR5”の間に二重結合が存在する場合には、
R5’およびR5”はCR4、
R6、R6’はそれぞれ独立してCH、CCH3
である化合物もしくはその塩または必要な場合にはその還元型
を含む。
本発明の別の対象として、下記一般式(I”)で表される化合物がある。
Figure 0005129133
ここで、
Aはアデニンまたはその類似体、
Tはそれぞれ独立してO、S、
Uはそれぞれ独立してOH、SH、BH3 -、BCNH2 -
Vはそれぞれ独立してOHまたはフォスフェート基、
WはCOOR、CON(R)2、COR、CSN(R)2であって、Rはそれぞれ独立してHまたはC1〜C2アルキル、
1、X2はそれぞれ独立してO、CH2、CHCH3、C(CH32、NH、NCH3
YはNH、S、O、CH2
Zは飽和もしくは不飽和の炭素環またはヘテロ環の五員環、特に、一般式(II)の化合物であって、
Figure 0005129133
R5’とR5”の間に一重または二重結合が存在し、
R4はそれぞれ独立してH、F、Cl、CH3
R5はCR42
R5’とR5”の間に一重結合が存在する場合には、
R5’はO、S、NH、NC1〜C2アルキル、CR42、CHOH、CHOCH3
R5”はCR42、CHOH、CHOCH3
R5’とR5”の間に二重結合が存在する場合には、
R5’およびR5”はCR4、
R6、R6’はそれぞれ独立してCH、CCH3
ただし、R5がCH2、TがO、UがそれぞれOH、VがOH、WがCONH2、XがOおよびYがOのとき、R5’とR5”は同時にCHOHではないことを条件
とする化合物もしくはその塩または必要な場合にはその還元型。
好ましい実施形態の1つでは、本発明に基づく化合物は、例えばC8−置換型およびN6−置換型アデニンなどのアデニン類似体、7−デアザなどのデアザ変体、8−アザなどのアザ変体または7−デアザもしくは8−アザなどの組み合わせ、またはフォルミシンなど炭素環類似体を含んでいる。ここで、7−デアザ変体は第7位でハロゲン、C1〜C6−アルキニル、−アルケニルまたは−アルキルにより置換されている場合がある。
また別の好ましい実施形態の1つでは、当該化合物は、リボースの代わりに、例えば2−メトキシデオキシリボース、2’−フルオロデオキシリボース、ヘキシトール、アルトリトール、またはビシクロ糖、LNA糖およびトリシクロ糖などの多環類似体を含むアデノシン類似体を含む。
特にまた、(ジ)フォスフェート酸素は等電子数的に置換することもできる。例えばO-をS-またはBH3 -によって、OをNH、NCH3またはCH2によって、および=Oを=Sによって置換することができる。
好ましい実施形態の1つでは、本発明に基づく化合物の残基Uのうち少なくとも1つはOHとは異なり、特に好ましくは、残基Uのうち少なくとも1つはBH3 -である。
特に好ましい実施形態では、誘導体がボラノカルバNAD、c−ペンチルNAD、ピロリルNAD、フラニルNAD、カルバNADシクロフォスフェート、カルバNADP、ピロリジニルNDであり、また試験エレメントが上記同一成分を含んでいる。
これらを下記に示す。
Figure 0005129133
Figure 0005129133
Figure 0005129133
例えば血液、血清、血漿または尿などの体液中または廃水試料中もしくは食品中の被分析物のパラメータの生化学的検出は、診断術において非常に重要な役割を果たしている。その場合では、測定対象の被分析物を然るべき酵素および補酵素に接触させる。
したがって、本発明のまた別な対象として、然るべき酵素と本発明に基づく化合物との組み合わせからなる酵素/補酵素複合体がある。
レドックス反応によって検出できる生物学的または化学的物質であればいずれも、例えば補酵素依存的酵素の基質または補酵素依存的酵素自体を被分析物として測定することができる。被分析物の好ましい例としては、グルコース、乳酸、りんご酸、グリセロール、アルコール、コレステロール、トリグリセリド、アスコルビン酸、システイン、グルタチオン、ペプチド、尿素、アンモニウム、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、5’−ヌクレオチダーゼ、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸塩脱水素酵素(LDH)、二酸化炭素などがある。
酵素基質の検出では、試験エレメントは補酵素のほかに、基質の検出に適した酵素を含んでいるのが好ましい。適した酵素としては、例えばグルコース脱水素酵素(E.C.1.1.1.47)、乳酸脱水素酵素(E.C.1.1.1.27、 1.1.1.28)、りんご酸脱水素酵素(E.C.1.1.1.37)、グリセロール脱水素酵素(E.C.1.1.1.6)、アルコール脱水素酵素(E.C.1.1.1.1)、アルファ−ヒドロキシブチレート脱水素酵素、ソルビトール脱水素酵素またはアミノ酸脱水素酵素、例えばL−アミノ酸脱水素酵素(E.C.1.4.1.5)から選択された脱水素酵素がある。その他適した酵素として、例えばグルコースオキシダーゼ(E.C.1.1.3.4)、コレステロールオキシダーゼ(E.C.1.1.3.6)などのオキシダーゼ、または、例えばアスパラギン酸塩またはアラニンアミノトランスフェラーゼなどのアミノトランスフェラーゼ、5’−ヌクレオチダーゼまたはクレアチンキナーゼがある。
酵素の検出には、試験エレメントは補酵素のほかに、酵素の検出に適した酵素基質を含んでいるのが好ましい。
試料中の被分析物を酵素反応により検出するために、本発明に基づく化合物または本発明に基づく酵素/補酵素複合体を使用することも本発明のまた別の対象である。これに関しては、グルコース脱水素酵素(GlucDH)によるグルコースの検出が特に好ましい。
補酵素すなわち本発明に基づく化合物が、被分析物と反応することによる変化(被分析物が酵素基質の場合)または被分析物の触媒反応による変化(被分析物が酵素の場合)は、原則として任意の方法で検出することができる。それには、原則として、先行技術から公知のあらゆる酵素反応検出法が使用できる。しかし、補酵素の変化は光学的方法による検出が好ましい。光学的検出法には、例えば吸光、蛍光、円偏光二色性(CD)、旋光分散(ORD)の測定、屈折測定などが含まれる。補酵素の変化は蛍光測定によって検出するのが特に好ましい。蛍光測定は高感度であり、小型システム内での低濃度の被分析物の検出でさえ可能である。
被分析物の検出には液式試験を使用することができる。その場合、試薬は、例えば水性または非水性の溶液または懸濁液の状態か、または粉末または凍結乾燥物の形態をとる。しかしまた、乾式試験を使用することもできる。その場合、試薬は、担体である試験ストリップの上に載せる。担体には、例えば、検査試料液によって湿潤する吸収性または/および膨潤性の素材を含む試験ストリップとすることができる。
しかし、酵素/補酵素複合体の組み込まれたゲルマトリックスを検出試薬として使用することもできる(独国特許出願公開第10221845号明細書参照)。
この場合、酵素は、本発明に基づく化合物と共にマトリックス内に組み入れて重合化することができる。または、マトリックスを酵素の存在下で重合した後、対応する酵素/補酵素複合体が生成されるように、補酵素溶液と接触させることができる。
本発明のまた別な対象は、試薬キットおよび被分析物検出を目的としたそれの使用に関する。試薬キットは、本発明に基づく化合物、然るべき酵素および然るべき反応緩衝剤を含むことができる。適した酵素は既述のとおりである。本発明に基づく試薬キットは多方面に適用することができ、例えばグルコース、乳酸、りんご酸、グリセロール、アルコール、コレステロール、トリグリセリド、アスコルビン酸、システイン、グルタチオン、ペプチド、尿素、アンモニウム、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、5’−ヌクレオチダーゼ、CK、LDH、二酸化炭素などの被分析物の測定に使用することができる。血中グルコースの検出には、本発明に基づく化合物およびグルコース脱水素酵素(E.C.1.1.1.47)を含む試薬キットが好ましい。
本発明に基づく試薬キットは、乾式試験テストまたは液式試験での被分析物の検出に使用することができる。
本発明のまた別な対象は、被分析物の蛍光測定または光学測定による検出のための試験ストリップに関する。そのような試験ストリップは、補酵素として前記のような化合物および適当な酵素または酵素基質を含んでいて、これらは吸収性または/および膨潤性の素材上に固定されている。これに適した素材は、例えばセルロース、プラスチックなどから選択することができる。
以上のほか、下記の過程、すなわち、
(a)補酵素を含む本発明の試験エレメントまたは試薬キットと試料の接触
(b)例えば補酵素の変化に基づく被分析物の検出
の過程を含む、被分析物検出のための方法も本発明の対象である。
本発明のさらなる優位性は、補酵素の蛍光発光が深色移動を示し、そのため試験エレメントのその他素材または/および試料の蛍光発光とはわずかな干渉しか起こさないという点にある。
本発明の対象である上記好ましい実施形態は、いずれも、例えば本発明に基づく化合物の好ましい実施形態など本発明のその他の対象にも適用することが意図されている。
以下では、下記の図面および実施例に基づき本発明をより詳しく説明する。
安定なNAD/NADH誘導体の試験的製造
安定なNAD/NADH誘導体の製造について、例としてカルバNAD(化合物9、図1)とピロリドンNAD(化合物18、図5)に基づいて説明する。その他の誘導体はしかるべき合成方法によって製造することができる。出発試薬として使用される、しかるべきアミノアルコールは、以下のとおり文献から公知である。
2−アミノ−1,4−アンヒドロ−2,3−ジデオキシ−L−スレオ−ペンチトール:
Huryn, Donna M. ; Sluboski, Barbara C. ; Tam, Steve Y. ; Todaro, Louis J. ; Weigele, Manfred.、Tetrahedron Letters(1989年)、第30巻(第46号)、6259〜62頁。
3−アミノ−、(1R,3S)−シクロペンタンメタノール:
Beres, J. ; Sagi, G. ; Tomoskozi, I. ; Gruber, L. ; Gulacsi, E. ; Otvos, L.、Tetrahedron Letters(1988年)、第29巻(第22号)、2681〜4頁。
A)カルバNADの製造
I.1R−(−)−エキソ−シス−5,6−ジヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]へプタン−3−オン(
80mlの脱イオン水に22.5g(167mmol)のN−メチルモルフォリン−N−オキシドを溶かした溶液を1l入り丸底フラスコに入れ、そこへ400mlのアセトンに16.4g(147mmol)の1R−(−)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを溶かした溶液を加える。さらに、tert−ブタノールに溶かした2.5%オスミウムテトラオキシド溶液の15ml(1.2mmol)を、氷冷下15分以内で添加する。ついでこの混合物を室温で一晩撹拌する。
溶媒はロータリーエバボレーターで蒸留分離させる。100mlを撹拌して、再びロータリーエバボレーターで蒸留分離させる。ついで600mlの脱イオン水に溶かし、35gの活性炭を加える。混合物を1時間激しく撹拌し、ついでSeitz Tiefenfilter K250に通して深層濾過する。ロータリーエバボレーターにより濾液から水を蒸留分離する。生成物はさらに精製することなく使用される。
DC(Merck Silica gel 60 F−254):
酢酸エチル/メタノール/氷酢酸 7:2:1、 Rf0.75(出発物質)、0.53(1)、TDMによる着色/塩素チェンバでの顕色
*TDM試薬:
溶液1:40mlの氷酢酸と200mlの脱イオン水の混合液に10gのN,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを溶かした溶液。
溶液2:400mlの脱イオン水に20gの塩化カリウムを溶かした溶液。
溶液3:10mlの氷酢酸に0.3gのニンヒドリンを溶かし、90mlの脱イオン水を添加した溶液。
調製試薬:溶液1と2の混合液に6mlの溶液3を加えた溶液。
II.1R−(−)−エキソ−シス−5,6−ジメチルメチレンジオキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]へプタン−3−オン(
粗生成物1を200mlの無水エタノール中で環流下1時間沸騰させる。400ml(3.26mol)ジメトキシプロパンおよび250mg(2.2mmol)ピリジン塩酸塩の添加後、混合物を環流下でさらに15分間沸騰させる。10mlの炭酸水素ナトリウム飽和溶液の添加後、当該溶液をロータリーエバボレーターにおいて減圧濃縮乾固する。残渣に500mlのクロロフォルム、150mlの食塩飽和溶液および75mlの炭酸水素ナトリウム飽和溶液を加え、分液ロートに移し入れる。振盪抽出後一晩放置しておけば、相分離が起きる。
有機相を分離除去し、水相はさらに2回それぞれ200mlのクロロフォルムで抽出する。合わせた有機相は硫酸マグネシウム上で乾燥させる。乾燥剤の濾別後、ロータリーエバボレーターにおいて溶媒を減圧下で蒸留分離する。粗生成物(24.9g=92%)はさらに精製することなく使用される。
DC(Merck silica gel 60 F−254):
酢酸エチル/メタノール/氷酢酸 7:2:1
f0.84、TDMによる着色/塩素チェンバでの顕色
III.1R−(−)−4−N−tert−ブチルオキシカルボニル−エキソ−シス−5,6−ジメチルメチレンジオキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]へプタン−3−オン(
450mlの無水クロロフォルムに24,9g(135.7mmol)の粗生成物2を溶かした溶液に、アルゴン雰囲気下で41.5g(190mmol)のジ−tert−ブチルジカーボネートと0.83g(6.8mmol)の4−ジメチルアミノピリジンを添加する。この混合物を、気体の発生が停止するまで、環流撹拌下で沸騰させる。この混合物を、40gのSilica Gel 60が充填され、クロロフォルムで平衡化されたカラムを通して濾過する。つぎに、100mlのクロロフォルムで洗浄する。ロータリーエバボレーターにより、濾液から溶媒を減圧下で蒸留分離する。粗生成物を10mbar、40℃の条件で60分間乾燥させる。粗生成物はさらに精製することなく使用される。
DC(Merck Silica gel F−254):
酢酸エチル/ヘキサン3:2、 Rf=0.85、TDMによる着色/塩素チェンバでの顕色
IV.(−)−(1R,2R,3S,4R)−4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル)アミノ−2,3−ジメチル−メチレンジオキシ−1−(ヒドロキシメチル)シクロペンタン(
粗生成物3を400mlのテトラヒドロフランに室温で撹拌しながら溶解し、80mlの脱イオン水を添加する。4℃に冷却後、5.3gの水素化ホウ素ナトリウムを一度に添加し、一晩撹拌する。その間、その混合物を室温までゆっくりと加温する。100mlのエタノールを加え、室温で6時間撹拌する。ロータリーエバボレーターで溶媒を減圧下蒸留分離する。300mlの塩化ナトリウム飽和溶液と650mlの酢酸エチルを添加し、分液ロートに移し入れる。有機相を分離し、水相を再び350mlの酢酸エチルで洗浄する。合わせた有機相は硫酸マグネシウム上で乾燥させる。乾燥剤の濾別後、ロータリーエバボレーターで溶媒を減圧下蒸留分離する。粗生成物(42.2g)をSilica Gel 60(カラムの高さ93cm、直径10cm)を充填したカラムクロマトグラフィーにより精製する(溶離剤THF/ヘキサン 当初1:3、ついで2:3、流速3l/時間)。40mlの画分を収集する。該画分はDC(Merck Silica Gel 60 F−254:酢酸エチル/ヘキサン 3:2、Rf=0.45、TDMによる着色/塩素チェンバでの顕色)により測定する。ロータリーエバボレーターにより、合わせた生成物画分から溶媒を真空下で蒸留分離させる。収量:24.9g。
V.(−)−(1R,2R,3S,4R)−4−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)シクロペンタン(
11.09g(38.6mmol)の生成物4に、8mlの脱イオン水、ついで80mlのトリフルオロ酢酸を添加する。室温で6時間激しく撹拌すると、薄黄色の透明溶液が生成する。200mlの脱イオン水を追加し、ロータリーエバボレーターで真空下蒸発させる。さらに200mlの脱イオン水を加えて再度ロータリーエバボレーターで真空下蒸発させる。粗生成物を超音波槽で100mlの脱イオン水に溶かし、濾過する。濾液をDowex 1X8(100〜200メッシュ、OH型)イオン交換カラム(15×4.9cm)に添加し、水で溶出する。生成物の溶出は、容量約150mlを越えた時点から容量300mlまで行われる(pH10.4)。画分をDC(Merck Silica Gel 60 F−254:ブタノール/氷酢酸/水 5:2:3、Rf0.42、TDMによる着色/塩素チェンバでの顕色)により測定する。ロータリーエバボレーターにより、合わせた生成物画分から溶媒を真空下で蒸留分離させる。収量:5.2g、無色オイル。
VI.ニコチンアミドのZincke塩(6)
窒素雰囲気下で58.6gのジニトロクロロベンゼンを融解させ、ついでこの融解物に29.32gのニコチンアミドを添加する。これを110℃で2.5時間加熱する。3:2(v/v)のエタノール/水混合物500mlを、環流冷却器を通して添加し、溶液となるまで環流下で沸騰させる。室温で一晩撹拌した後、150mlの50%エタノール/水および100mlの水を添加し、分液ロートに移し入れて、それぞれ500mlのクロロフォルムで3回洗浄する。分離した水相に300mlおよび50gの活性炭を加え、室温で1時間撹拌した後、Seitz Tiefenfilter K 700深層フィルターに通して濾過する。濾液をロータリーエバボレーターにより真空下で約100mlに濃縮するが、その間浴温は20℃を越えてはならない。つぎに、300mlの水で希釈して、撹拌下室温で70gのテトラフルオルホウ酸ナトリウムを添加する。沈殿物をメタノール/水で再結晶化させる。この結晶体を濾別し、少量のアセトンついでジエチルエーテルで洗浄して高真空下40℃で24時間乾燥させる(収量21.1g、23%)。画分をDC(Merck Silica Gel 60 F−254:ブタノール/氷酢酸/水 5:2:3、Rf=0.56)により測定する。
VII.(−)−(1R,2R,3S,4R)−4−(3−カルボキシアミドピリジン−1−イル)−2,3−ジヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)シクロペンタン(6)=カルバニコチンアミドモノヌクレオシド=カルバNMN
110mlの無水メタノールに4.5g(31mmol)のシクロペンチルアミン5を溶かした溶液を、110mlの無水メタノールに15.3g(40.7mmol)のZincke塩6を溶かした溶液に、撹拌下室温で90分以内に滴下する。1mlのジイソプロピルエチルアミンを添加し、その後室温で2日間撹拌する。500mlの水を添加し、分液ロートに移し入れて、それぞれ200mlの塩化メチレンで2回洗浄する。ロータリーエバボレーターにより、分離した水相から水を真空下で蒸留分離させる。残渣は100mlの水に入れて、Sephadex C25(Na+型)によるカラムクロマトグラフィーで精製する:カラム70×7.5cm、緩衝液A(脱イオン水)から緩衝液B(0.35M NaCl水溶液)への変更下での溶出、流速200ml/時間。15mlの画分を収集し、DC(Merck Silica gel 60 F−254:ブタノール/氷酢酸/水 5:2:3、Rf0.22)により測定する。
ロータリーエバボレーターにより、合わせた生成物画分から溶媒を真空下で蒸留分離する。塩含有残渣は500mlの加熱エタノールにより煮沸除去する。加熱状態で濾過し、室温で12時間放置する。沈殿物を濾別し、ロータリーエバボレーターにより濾液から溶媒を真空下で蒸留分離する。収量7g。
VIII.(−)−(1R,2R,3S,4R)−4−(3−カルボキシアミドピリジン−1−イル)−2,3−ジヒドロキシ−1−フォスファトイルメチル)シクロペンタン(6)=カルバNMN−モノフォスフェート
80mlの無水トリメチルリン酸エステルへ7g(27.7mmol)のカルバNMNを加えた懸濁液に、20mlのオキシ塩化リンと50mlのトリメチルリン酸エステルの混合物を0℃で添加する。これを0℃で2時間、ついで室温で2時間撹拌する。氷冷下で300mlの水を添加した後、この混合物をロータリーエバボレーターにより真空下で10mlに濃縮する。これを100mlの水に入れ、濾過後Sephadex C25(NEt3+型)によるカラムクロマトグラフィーで精製する:カラム66×9cm、緩衝液A(脱イオン水)から緩衝液B(0.60M酢酸アンモニウム)への変更下での溶離、流速200ml/時間。15mlの画分を収集し、DC(Merck Silica gel 60 F−254 plates:イソ酪酸/アンモニア/水 66:1:33、Rf0.25)により測定する。ロータリーエバボレーターにより、合わせた生成物画分から溶媒を真空下で蒸留分離する。残渣を100mlの水に溶かし、凍結乾燥する。この操作を3回繰り返す。収量:4.0g。
IX.カルバNAD(9)
40mlの無水DMFに3.31g(10mmol)のカルバNMNモノフォスフェートを溶かした溶液と無水アセトニトリルに78ml(39mmol)の3.5%テトラゾールを溶かした溶液の混合液に、40mlの無水DMFに1.25g(30mmol)のAMPモルフォリデートを溶かした溶液を室温にて1時間以内に滴下する。この混合物を室温で2日間撹拌する。
ドライアイス/アセトンによる冷却下で、10%KHCO3水溶液によりpHを6.5に調整する。500mlの水で希釈後、ロータリーエバボレーターにより真空下乾固するまで注意深く濃縮する。残渣を150mlの脱イオン水に溶かし、Sephadex QAE25(NEt3+型)によるカラムクロマトグラフィーで精製する:カラム65×4.5cm、緩衝液A(脱イオン水)から緩衝液B(1M炭酸トリエチルアンモニウム)への変更下での溶離、流速200ml/時間。15mlの画分を収集し、DC(Merck Silica gel 60 F−254 plates : イソ酪酸/アンモニア/水 66:1:33、Rf0.47)により測定する。
ロータリーエバボレーターにより、合わせた生成物画分から溶媒を真空下で蒸留分離する。残渣を100mlの水に溶かし、凍結乾燥する。この操作を3回繰り返す。収量:1.1g。
カルバNADの安定性試験
カルバNADまたはNADの10mM溶液を、pH8の0.1Mリン酸カリウム緩衝液に加えて負荷をかける。0.25、75および175時間後にHPLCクロマトグラフィーにより含有量を測定する。
緩衝液A:100mM KHPO4+10mM硫酸水素テトラブチルアンモニウム、pH6.9
緩衝液B:緩衝液A+アセトニトリル 1:1
流速 1.0ml/分、検出:254nm
RP18カラム:長さ125mm、直径4.6mm
グラジエント:40分で35%緩衝液Bに調整、2分間維持、ついで3分内で0%緩衝液Aに設定。
図2および3には、HPLC分析による負荷後の面積%が時間別に描かれている。
分解生成物(ニコチンアミド、ADPリボース、AMP、ADPおよびNADの未知分解生成物、さらにはcNADの未知分解生成物Y1、Y2)の発生状況から、cNADはNADに比べて非常に安定であることが明らかである。
B)ピロリジニル−NADの製造
I.pNAD合成の第1過程(化合物10)
Figure 0005129133
500mlのDMFに溶かしたトランス−N−t−BOC−O−メシル−4−ヒドロキシ−L−プロリノール(35.4g、120mmol)溶液を準備し、75mlの水に溶かしたアジ化ナトリウム(15.6g、240mmol)をそこへ添加して5時間で70℃に昇温した。ついで、室温で一晩撹拌し、この混合物を1000mlの飽和食塩溶液に注入して酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルはNa2SO4で乾燥させ、ついで蒸発させた。
残渣量は32.8g(>100%)であった(理論値:29g)。
粗生成物はDCおよびMS測定後、さらに処理した。測定には、KG60 F254プレートによる薄層クロマトグラフィーを行った(移動相:酢酸エチル/ニンヒドリンのスプレー)。
トランス−N−t−BOC−O−メシル−4−ヒドロキシ−L−プロリノール Rf:0.49
生成物Rf:0.78
MS ESI ES+242
さらに、生成物の同一性をNMR分析により確認した。
*トランス−N−t−BOC−O−メシル−4−ヒドロキシ−L−プロリノールは、Sanochemia Pharmazeutika(株)からカタログ番号P−719として販売されている。
II.pNAD合成の第2過程(化合物11)
Figure 0005129133
化合物10(120mmol)を、2.0gのパラジウム炭素(10%)を含む500mlのメタノールに混入し、30mbarで12時間水素添加した。この過程において、反応用フラスコはH2を数回流し、触媒は吸引濾過により除去し、メタノール溶液を濃縮した。
無色のオイルが得られた(このオイルは高い空気感受性を示すので、直ちに処理すべきである)。
MS ESI ES+217の存在。
DC(イソへキサン/酢酸エチル 1/1/ KG254 F/ニンヒドリン):生成物は出発点に残る。
さらに、生成物の同一性をNMR測定により確認した。
III.pNAD合成の第3過程(化合物12)
Figure 0005129133
120mmolの化合物11(分子量:216.28)を、NaHCO3(11.0g、130mmol)および塩化Fmoc(33.8g、130mmol)を含む500mlのジオキサンに混入し、室温で一晩撹拌した。得られた塩を濾別し、溶液を蒸発させて残渣をシリカゲル・カラム(イソへキサンおよびイソへキサン/EE 8/2〜1/1)に通して精製した。
主画分の量は39.0g=74.1%*であった(理論値=52.6g)。
DC(KG60 F254 移動相 イソへキサン/酢酸エステル 2:1):RF0.13
MS ESI ES +439/+339
さらに、生成物の同一性をNMR測定により確認した。
*収率は第1過程の溶離物を基準とする。
IV.pNAD合成の第4過程(化合物13)
Figure 0005129133
第3過程からの化合物12(7.08g、16.1mmol)を80mlのトリメチルフォスフェートに溶かし、ついで氷浴で0℃に冷却した。POCl3をトリメチルフォスフェートと混合(13mlの新たに蒸留したPOCl3を13mlのトリメチルフォスフェートに混合)して滴下ロートに入れ、アルゴン雰囲気のもと20分以内で分割添加した。発熱反応により温度は5℃にまで上昇した。ついで2.6mlのピリジンを添加し、0℃およびアルゴン雰囲気の条件下で40分間追加撹拌した。
この反応溶液を、氷冷された800mlの1M炭酸水素トリエチルアンモニウム溶液(pH=8)に慎重に滴下した。完全に添加し終えた後に、さらに1時間撹拌した。わずかに混濁したこの溶液を、ついで1lのNaCl飽和溶液に(迅速に)滴下した。晶出効果を上げるために一晩追加撹拌した後、沈殿物を濾別した。残渣をDiaionカラムに通して脱塩した。このためには、500gのDiaionをイソプロパノール/水 1/1に添加して一晩膨潤させた。その後、Diaionをカラムに充填し、水で洗浄した。前記残渣のスラリーはpH3.5(酢酸)の100mlの水中で生成するが、ついでこれをカラムに添加し、食塩がなくなるまで水(pH3.5)で洗浄した。その後、25%のイソプロパノール(pH3.5)によりカラムから物質を溶出させた。この溶液を高真空、室温のもとで蒸発させた。
残渣=2.6g=31.3%
DC RP8 F254/MeOH/水 9/1
MS ESI ES−517.13
さらに、生成物の同一性をNMR測定により確認した。
V.pNAD合成の第5過程(化合物14)
Figure 0005129133
250mlのメタノールに投入した第4過程からの化合物13(4.10g、7.9mmol)と83mlの25%アンモニアとの混合物を室温で一晩撹拌し、室温および真空下の条件で蒸発させた。残渣は200mlの水に入れ、次に100ml酢酸エチルの添加、撹拌の操作を3回繰り返した。不溶分を濾別して透明水相を分離させ、それを室温で再び蒸発させた。
残渣=2.56g=100%
MS ESI ES−295
NH3カチオンを除去するため、残渣を2回ヒューニッヒ塩基中で溶解させ、各回それぞれ高真空下で再度蒸発させた。
VI.pNAD合成の第6過程(化合物15)
Figure 0005129133
Zinke塩(2.66g、8.99mmol)を50mlメタノールに部分的に溶かした溶液に、50mlのメタノールに溶かした第5過程からの化合物14(2.56g、8.31mmol)を撹拌下で滴下した。この混合物は赤く着色し、漸次溶解した。室温で一晩追加撹拌し、生じた沈殿物を濾別した。濾液を真空中で蒸発させた後100mlの水に入れ、酢酸エチルによる抽出を3回行った。
酢酸エチル相は副産物ジニトロアニリンを、水相は生成物および残留Zincke塩を含んでいる。水相は真空中、室温で蒸発させ、得られた残渣に10mlの水を加え、マグネチックスターラーで10分間撹拌し、不溶分を濾別した。生成物は溶解したままであった。この溶液を、水で洗浄したDiaion HP20カラム(1000ml)に添加し、1000mlの水で2回洗浄した。ついで、水/5%イソプロパノールで洗浄し、ポジティブ画分(DC RP8 MeOH/水 9/1により検出)を室温で蒸発処理した。残渣をイソプロパノールと共に粉砕し、ジエチルエーテルを加えて吸引濾過した。
残渣=1.60g=47.9%
DC RP8 254 MeOH/水 9/1
MS ES−400.1/ES+402.0 2倍の質量を示す場合もある。
さらに、生成物の同一性をNMR測定により確認した。
VIIa.pNAD合成の第7a過程(化合物16)
Figure 0005129133
60mlのメタノール(ナトリウムにより乾燥)に加えたAMP酸(アデノシンモノフォスフェート遊離酸)(10g、27.5mmol)と5.3ml(60mmol)のモルフォリン(新たに蒸留)との混合物を、透明溶液の状態になるまで撹拌した。ついで、17g(82.5mmol)のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を添加し、湿気の遮断下室温で一晩撹拌した。生じた沈殿物(DCH)を吸引濾過し、濾液を30℃で回転蒸発させた。ついで、150mlH2O/150mlジエチルエーテルを加えて撹拌し、再び濾過した。相の分離後、水相をさらに2回それぞれ75mlのジエチルエーテルにより抽出した。ついで、水相を室温で回転蒸発させた。残渣をさらに2回ピリジンに溶かし、それぞれ高真空下で再度回転蒸発させた。
VII.pNAD合成の第7過程(化合物17)
Figure 0005129133
AMP−モルフォリデート(第7a過程からの化合物16)(2.53g、3.61mmol)、第6過程からの化合物15(1.60g、3.98mmol)、フォルムアミドに溶かしたMnCl2溶液0.2M*(27.1ml、5.42mmol)および無水MgSO4(0.87g、7.95mmol)からなる混合物を室温で一晩撹拌した。この時間の経過後では、DC測定(RP8 MeOH/水 9/1)によれば、大部分が変換されていた。反応混合物をアセトニトリルで沈殿させ、吸引濾過した。
残渣=5.3g(理論値2.64g)**
MS、ESI ES−729.3は生成物、ES−415はAMPモルフォリデートのカチオン、ES−400.2/ES+402.1は化合物15(第6過程)の残基
DC RP8 F254 Rf0.085
*この溶液は、2516mgの無水MnCl2を100mlの99.99%フォルムアミド中で撹拌下溶解させて調製し、ついで4Aモレキュラーシーブを添加した。
**残渣は粗生成物としてさらに処理した。
VIII.pNAD合成の第8過程(化合物18、ピロリジニル−NAD)
Figure 0005129133
500mgの第7過程からの化合物17(粗生成物、約50%の塩含有)を5.0mlのトリフルオル酢酸(TFA)と混合し、室温で1時間撹拌し、ついで蒸発により濃縮した。残渣として500mgの無色オイルが生じた。
MS ESI ES−729.24(NH3の添加が必要)
精製は、200mgと300mgに2分割の上、それぞれ下記の2分離過程を通して行った。
第1分離過程
フラクトゲルEMD SO3−sカラム:直径(内径)14mm、長さ(外装)85mm
I.条件
(流速5ml/分) a) 100ml H2
b) 200ml 0.25M H2SO4
c) 100ml H2
d) 200ml 1Mアンモニア溶液
e) 100ml H2
II.分離:a)200mgの物質を5mlのH2Oに溶かして添加する。
b)H2O→0.2M NH4HCO3溶液のグラジエントにより溶出させる。(移動溶媒Aは、250mlのH2Oをエルレンマイヤーフラスコに用意し、マグネチックスターラーで撹拌し、5ml/分の速度でカラムにポンピング供与する。移動溶媒Bは0.2M NH4HCO3溶液で、2.5ml/分の速度でAに対してポンピング供与する)。
III.分画:a)それぞれ3mlずつ分画。
b)不純物の第1ピーク。
c)約70mlの予備溶出後の第2ピークは物質。
IV.再コンディショニング:a)100mlの1Mアンモニア溶液
b)100mlのH2
2.分離過程
Diaion HP20、カラム直径(内径)30mm、長さ(外装)130mm、100mlの水および100mlの水/5%イソプロパノールにより溶離させる。
水相と共に既に物質が現われる。イソプロパノール画分には不純物のみ存在する。
分析HPLCにより3画分が得られた:F1=13.5mg
F2=5.5mg
F3=11.5mg
総計=30.5mg=12.2%
ピロリジニルNAD(化合物18)の同一性はNMR測定によって確認された。
グルコース脱水素酵素によるpNADの分析
グルコース脱水素酵素(GlucDH)のコファクターとしてのpNADの役割を調べるため、0.1Mトリス/0.2M NaCl(pH8.5)緩衝液中でGlucDH活性の分析を行った。グルコースの濃度は80mMであった。pNADおよびNAD濃度は0.05〜0.5mMを使用した。これに対し、10mg/ml(pNAD)または0.002mg/ml(NAD)[それぞれ83または0.017μM]のGlucDHを添加した。分析は室温で行い、酵素反応は規則的な時間間隔で吸収スペクトルを記録することにより測定した。表1に示した値は、4分後の吸収測定を対象としたものである。
Figure 0005129133
pNADおよびpNADHの吸収スペクトル
図6Aおよび6BにはNAD、pNADおよびNADH、pNADHの吸収スペクトルが示されている。NADおよびpNADは260nmで吸収極大を示す。PNADH、すなわちGlucDH活性分析後のpNADは、NADHに比べて吸収極大が約10nm赤方偏移している(図6B)。
さらに、図7および8には、GlucDH複合体としてのNADHおよびpNADHの蛍光スペクトルが示されている。各スペクトルはそれぞれ、GlucDH活性分析後に記録した。図7は、励起波長340nmまたは370nmにおけるNADHまたはpNADHとGlucDHとの複合体の発光スペクトルを示している。励起波長370nmにおけるNADHおよびpNADHの発光スペクトルは類似している。図8は、発光波長460nmにおけるNADHまたはpNADHとGlucDHとの複合体についての励起スペクトルを示している。それによると、pNADHはNADHより幅広い励起スペクトルを示す。これらのスペクトルも同様に、GlucDH活性分析後に記録した。
pNADの安定性試験
NADとの比較でpNADの安定性を調べるため、同量のNADとpNADをそれぞれ、0.15M KPO4、1M NaCl緩衝液(pH7.0)中に取り、50℃でインキュベートした。NADおよびpNADの分解はHPLCにより追跡した。図9には、ゼロ時間における(p)NAD量を基準として比較した(p)NAD量の面積率が%表示されている。図から明らかなように、pNADはNADに比較して非常に安定である。
C)カルバNADシクロフォスフェート(19)の製造
Figure 0005129133
無水フォルムアミドに溶かした0.74mlの0.2塩化マンガン溶液に、79mg(0.1mmol)のO5’−(ヒドロキシ−モルフォリノ−フォスフォリル)−O2’,O3’−ヒドロキシ−フォスフォリル−アデノシン,N−シクロヘキシル−モルフォリン−4−カーボンイミド酸シクロヘキシルアミン塩二水化物(ピリジンとの共蒸発により乾燥(Mophatら、J. Am. Chem. Soc. 第83巻、1961年、663〜675頁))、44mg(0.105mmol)カルバNMNモノフォスフェートを、ついで25mgの乾燥硫酸マグネシウムを添加した。この混合物を閉鎖型反応器によりアルゴン雰囲気下で3日間撹拌し、ついで10mlのアセトニトリルに撹拌下で添加した。沈殿物を濾過により除去し、RP18 Hypersil ODSカラム(250×21.2mm、5μm)でのRPクロマトグラフィーにより、0%Bから100%Bのグラジエントを用いながら、60分間にわたって精製した:溶出液A:0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、溶出液B:0.1M酢酸トリエチルアンモニウム/アセトニトリルの1:4混合液、流速:10ml/分。溶出状態は260nmでの検出によって監視した。酢酸トリエチルアンモニウムを除去するため、主画分を集めて5回凍結乾燥を行った。トリエチレンアンモニウム塩はDowex50 WX2により遊離酸に、ついでリチウム塩に変換された。収量:10mg。
D)カルバNADP(20)の製造
Figure 0005129133
1mlのビス−トリス−プロパン緩衝液(0.02M、pH7.5)に2.2mgのカルバNADシクロフォスフェートリチウム塩を溶かした溶液に、4ユニットのリボヌクレアーゼT2を37℃で3回6時間以内に添加した。この混合物を一晩37℃に維持した。この酵素を65℃で20分間加熱することにより変性させた。濾過後、RP18 Hypersil ODSカラム(250×21.2mm、5μm)でのRPクロマトグラフィーにより、0%Bから100%Bのグラジエントを用いながら60分間にわたって精製した:溶出液A:0.1M酢酸トリエチルアンモニウム、溶出液B:0.1M酢酸トリエチルアンモニウム/アセトニトリルの1:4混合液、流速:10ml/分。溶出状態は260nmでの検出によって監視した。酢酸トリエチルアンモニウムを除去するため、主画分を集めて5回凍結乾燥を行った。
質量スペクトル(MALDI Applied Biosystems Voyager System 6327:計算値742.45、実測値743.17)
E)グルコース脱水素酵素によるcNADの活性分析
項目B)でpNADについて記載したとおり、cNADに対するグルコース脱水素酵素活性分析をNADとの比較で行った。このために、グルコース脱水素酵素の使用濃度は0.1mg/ml(cNADの場合)または0.002mg/ml(NADの場合)[それぞれ0.83または0.017μM]とした。使用量および結果は表2に示した。
Figure 0005129133
F)cNADおよびcNADHの吸収スペクトル
図10A、10Bおよび10Cは、NADとcNADの吸収スペクトルを示している。NADもcNADも260nmに吸収極大を有している。図10BはNADHおよびcNADHの吸収スペクトルを示している。そのスペクトルは、それぞれグルコース脱水素酵素活性分析後に記録したものである。cNADHの吸収極大は20nmの赤方偏移を示している。図10CにはNADHおよびcNADHの吸収スペクトルがさらに示されているが、注釈部分に記載されているように、それぞれのグルコース脱水素酵素活性分析では異なった条件が選択されている。
さらに、図11にはGlucDHとの複合体としてのNADHおよびcNADHの蛍光スペクトルが示されている。当該スペクトルは、グルコース脱水素酵素活性分析後に、励起波長370nmで記録されている。NADHもcNADHも、GlucDHによる処理により蛍光信号が増大することを示している。
カルバNAD(cNAD)合成過程の図式である。 8℃および37℃でのNADに対する負荷試験結果の図である。 8℃および37℃でのカルバNADに対する負荷試験結果の図である。 ADPのアルキル化によるボラノNAD合成方法の図式である。ただし、YがBH3の場合は、ADPのベータフォスフェートのみがアルキル化される。 ピロリジニルNAD(pNAD)合成方法の図式である。構造式のほか、化合物番号および各反応過程での収率が記載されている。 NAD、pNADの吸収スペクトルの図である。 NADH、pNADHの吸収スペクトルの図である。 GlucDH複合体としてのNADHおよびpNADHの蛍光スペクトル(発光スペクトル)の図である。 GlucDH複合体としてのNADHおよびpNADHの蛍光スペクトル(励起スペクトル)の図である。 NADとpNADの安定性の比較図である。 NADとcNADの吸収スペクトルの図である。 NADHとcNADHの吸収スペクトルの図である。 NADHとcNADHの吸収スペクトルの図である。 GlucDH複合体としてのNADHとcNADHの蛍光スペクトルの図である。

Claims (15)

  1. 被分析物測定のための試験用デバイスであって、
    (i)補酵素依存性酵素またはその種の酵素の基質および
    (ii)補酵素として下記一般式(I)で表される化合物であって、
    Figure 0005129133
    Aはアデニンまたは7−デアザアデニン、8−アザアデニンおよび7−デアザ−8−アザアデニンであって、7−デアザアデニンおよび7−デアザ−8−アザアデニン任意には、第7位でハロゲン、C1〜C6−アルキニル、C1〜C6−アルケニルまたはC1〜C6−アルキルにより置換されていてもよい、
    Tはそれぞれ独立してO、S、
    Uはそれぞれ独立してOH、SH、
    Vはそれぞれ独立してOHまたはフォスフェート基、
    WはCOOR、CON(R)2、COR、CSN(R)2であって、Rはそれぞれ独立してHまたはC1〜C2アルキル、
    1はO、
    2はO、
    YはO、
    は下記一般式(II)で表される飽和の炭素環またはヘテロ環の五員環であって、
    Figure 0005129133
    上記式(II)のR4 2上記式(I)の2に結合し、
    上記式(II)のR6’が上記式(I)のピリジン環の窒素原子に結合し、
    R5’とR5”の間一重結合であり
    R4はそれぞれ独立してH、F、Cl、CH3
    R5はCR4 2
    R5’はNH、NC1〜C2アルキル、CR4 2、CHOH、CHOCH3
    R5”はCR4 2、CHOH、CHOCH3
    R6、R6’はそれぞれ独立してCH、CCH3
    である化合物もしくはその塩または必要な場合にはその還元型化合物
    を含み、前記補酵素依存性酵素がグルコース脱水素酵素であるグルコース測定のための試験用デバイス
  2. 請求項1記載の試験用デバイスであって、WはCONH2またはCOCH3である試験用デバイス
  3. 試験ストリップの形態である請求項1または2記載の試験用デバイス
  4. 一般式(I”)で表わされる化合物であって、
    Figure 0005129133
    Aはアデニンまたは7−デアザアデニン、8−アザアデニンおよび7−デアザ−8−アザアデニンであって、7−デアザアデニンおよび7−デアザ−8−アザアデニン任意には、第7位でハロゲン、C1〜C6−アルキニル、C1〜C6−アルケニルまたはC1〜C6−アルキルにより置換されていてもよい、
    Tはそれぞれ独立してO、S、
    Uはそれぞれ独立してOH、SH、
    Vはそれぞれ独立してOHまたはフォスフェート基、
    WはCOOR、CON(R)2、COR、CSN(R)2であって、Rはそれぞれ独立してHまたはC1〜C2アルキル、
    1はO、
    2はO、
    YはO、
    Zは一般式(II)で表される飽和の炭素環またはヘテロ環の五員環であって、
    Figure 0005129133
    上記式(II)のC(R4) 2 が上記式(I”)のX 2 に結合し、
    上記式(II)のR6’が上記式(I”)のピリジン環の窒素原子に結合し、
    R5’とR5”の間一重結合であり
    R4はそれぞれ独立してH、F、Cl、CH3
    R5はCR4 2
    R5’はNH、NC1〜C2アルキル、CR4 2、CHOH、CHOCH3
    R5”はCR4 2、CHOH、CHOCH3
    R6、R6’はそれぞれ独立してCH、CCH3
    ただし、R5がCH2、TがO、UがそれぞれOH、VがOH、WがCONH2、X1、X2がOおよびYがOのとき、R5’とR5”は同時にCHOHではないことを条件
    とする化合物もしくはその塩または必要な場合にはその還元型化合物
  5. 請求項4記載の化合物であって、WがCONH2またはCOCH3である化合物。
  6. 請求項4または5記載の化合物であって、第1残基のVはOH基であり、第2残基のVはフォスフェート基であって、必要な場合には前記OH基およびフォスフェート基はこれらが結合する炭素原子と環を形成する化合物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の化合物であって、R5’がCR4 2もしくはCHOHまたはR5’がNHもしくはNC1〜C2アルキルである化合物。
  8. 然るべき酵素と請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物との組み合わせからなる酵素/補酵素複合体であって、前記酵素が、グルコース脱水素酵素(E.C.1.1.1.47)、乳酸脱水素酵素(E.C.1.1.1.27、 1.1.1.28)、りんご酸脱水素酵素(E.C.1.1.1.37)、グリセロール脱水素酵素(E.C.1.1.1.6)、アルコール脱水素酵素(E.C.1.1.1.1)、アルファ−ヒドロキシブチレート脱水素酵素、ソルビトール脱水素酵素またはL−アミノ酸脱水素酵素(E.C.1.4.1.5)から選択されたアミノ酸脱水素酵素から選択された脱水素酵素であることを特徴とする複合体。
  9. 酵素反応による試料中の被分析物の検出のための請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物または請求項8記載の複合体の使用。
  10. 請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物および必要な場合には、然るべき酵素または請求項8記載の酵素/補酵素複合体、さらには然るべき反応緩衝液を含む試薬キットであって、前記酵素が、グルコース脱水素酵素(E.C.1.1.1.47)、乳酸脱水素酵素(E.C.1.1.1.27、 1.1.1.28)、りんご酸脱水素酵素(E.C.1.1.1.37)、グリセロール脱水素酵素(E.C.1.1.1.6)、アルコール脱水素酵素(E.C.1.1.1.1)、アルファ−ヒドロキシブチレート脱水素酵素、ソルビトール脱水素酵素またはL−アミノ酸脱水素酵素(E.C.1.4.1.5)から選択されたアミノ酸脱水素酵素から選択された脱水素酵素であることを特徴とする試薬キット。
  11. グルコース測定のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試験用デバイスの使用。
  12. グルコース、乳酸、りんご酸、グリセロール、アルコール、コレステロール、トリグリセリド、アスコルビン酸、システイン、グルタチオン、ペプチド、尿素、アンモニウム、サリチル酸塩、ピルビン酸塩、5’−ヌクレオチダーゼ、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素(LDH)および二酸化炭素から選択された被分析物の測定のための、請求項10記載の試薬キットの使用。
  13. (a)試料と請求項1〜3のいずれか1項に記載の補酵素含有試験用デバイスとの接触、
    (b)グルコースの検出
    の過程を含む、グルコース検出のための方法。
  14. (a)試料と請求項10記載の補酵素含有試薬キットとの接触、
    (b)被分析物の検出
    の過程を含む、被分析物検出のための方法。
  15. 前記被分析物の検出が分光測定または蛍光測定により行われることを特徴とする請求項113または14記載の方法。
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