以下添付図面を参照しながら、本発明の光学ヘッド、光ディスク装置、コンピュータ、光ディスクプレーヤ及び光ディスクレコーダの実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドの概略構成図である。
図1において、光学ヘッド30は、2波長レーザ光源1、回折格子2、ビームスプリッタ3、コリメートレンズ4、ミラー5、対物レンズ6、アナモフィックレンズ7、対物レンズアクチュエータ9及び受光素子10を備える。2波長レーザ光源1は、赤色レーザ光と赤外レーザ光とを出射する。また、DVD70は、保護基板厚0.6mmの光ディスクであり、CD80は、保護基板厚1.2mmの光ディスクである。
DVD70又はCD80に情報が記録又は再生される場合の光学ヘッド30の動作について述べる。2波長レーザ光源1から出射された波長655nmの赤色レーザ光又は波長785nmの赤外レーザ光は、回折格子2によって0次光であるメインビームと±1次回折光であるサブビームとに分離される。メインビームとサブビームとは、ビームスプリッタ3を透過し、コリメートレンズ4で略平行光に変換され、ミラー5によってDVD70又はCD80の方向に反射されて折り曲げられる。ミラー5を反射した2つのビームは、対物レンズ6によって、保護基板越しにDVD70又はCD80の情報記録面に光スポットとして集光される。
DVD70又はCD80の情報記録面で反射したメインビームとサブビームは、再び対物レンズ6を透過し、ミラー5で反射された後、コリメートレンズ4を透過する。コリメートレンズ4を透過した2つのビームは、ビームスプリッタ3で反射され、アナモフィックレンズ7を透過し、受光素子10に導かれる。受光素子10は、受光したメインビームとサブビームとを用いて、情報信号及びサーボ信号を生成する。
DVD70及びCD80に情報を記録又は再生するためのフォーカス誤差信号は、アナモフィックレンズ7による非点収差法等を用いて検出される。また、トラッキング誤差信号は、回折格子2によって生成されたメインビームとサブビームとを用いた、いわゆる3ビーム法や差動プッシュプル法(DPP法)等を用いて検出される。
なお、本実施の形態において、2波長レーザ光源1が光源の一例に相当し、対物レンズアクチュエータ9が対物レンズ駆動部の一例に相当し、赤外レーザ光が第1のレーザ光の一例に相当し、赤色レーザ光が第2のレーザ光の一例に相当し、CD80が第1の情報記録媒体の一例に相当し、DVD70が第2の情報記録媒体の一例に相当する。
図2は、対物レンズアクチュエータの動作を説明するための図である。対物レンズアクチュエータ9は、図2に示すように、複数のサスペンションワイヤ9aによって対物レンズホルダ9b(可動部)を支持する構成となっている。対物レンズ6は対物レンズホルダ9bに固定されている。対物レンズアクチュエータ9は、不図示のコイルを備え、コイルに通電することで対物レンズ6をフォーカス方向D1及びトラッキング方向D2に変位させ、さらに光ディスクの半径方向D3に傾けることが可能となっている。
対物レンズ6は、赤外レーザ光をCD80の情報記録面に収束させ、赤色レーザ光をDVD70の情報記録面に収束させる。対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ6がCD80の情報記録面に赤外レーザ光を収束させる際に、赤外レーザ光が対物レンズ6の光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に、対物レンズ6を傾ける。
対物レンズアクチュエータ9は、回転する光ディスクの情報トラックに光スポットが追従するよう、フォーカス誤差信号とトラッキング誤差信号とに基づいて、フォーカス方向D1及びトラッキング方向D2に対物レンズ6を駆動する。また、対物レンズアクチュエータ9は、フォーカス方向D1及びトラッキング方向D2の変位に加えて、光ディスクの半径方向D3に対物レンズ6を傾けることも可能である。
対物レンズ6は、DVD70に情報を記録又は再生するための赤色レーザ光、あるいはCD80に情報を記録又は再生するための赤外レーザ光を、波長の差を利用してそれぞれ微小な光スポットとして集光するための回折構造を備えている。なお、対物レンズ6は、このような回折構造を備えた対物レンズに限定されるものではなく、複数の硝材の波長分散特性を利用した屈折型の対物レンズや、回折型・屈折型のレンズを複数組み合わせた組レンズであってもよい。
以上のように、本実施の形態の光学ヘッド30は、それぞれ異なる種類の光ディスク、例えばDVD70及びCD80に対して、それぞれ異なる波長のレーザ光を一つの対物レンズ6を用いて集光させて情報を記録又は再生することができる。
本実施の形態の2波長レーザ光源1はモノリシック2波長レーザ光源である。図3は、モノリシック2波長レーザ光源の発光点の様子を模式的に示す図である。2波長レーザ光源1は、サブマウント82上に、例えばGaAs基板を配置した構造となっており、赤色レーザ光と赤外レーザ光とが一つのレーザチップから出射される。赤色レーザ光を出射する発光点1aと、赤外レーザ光を出射する発光点1bとは、所定の間隔δを有して配置されている。
図4は、本発明の実施の形態1において、発光点1aから出射された赤色レーザ光がDVD70に集光する様子を模式的に示した図であり、図5は、本発明の実施の形態1において、発光点1bから出射された赤外レーザ光がCD80に集光する様子を模式的に示した図である。図4に示すように、対物レンズ6の光軸と2波長レーザ光源1から出射される赤色レーザ光の光軸とが一致するように2波長レーザ光源1を配置すると、図5に示すように、対物レンズ6の光軸と2波長レーザ光源1から出射される赤外レーザ光の光軸とを一致させることはできない。すなわち、赤外レーザ光は対物レンズ6に対して軸外入射となり、対物レンズ6が正弦条件を満たしていない場合は、コマ収差が発生する。
図6は、CD80への情報の記録又は再生時における画角と、発生する3次コマ収差量及び5次コマ収差量との関係を示すグラフである。図6において、横軸は画角を表し、縦軸は3次コマ収差量と5次コマ収差量とを表している。また、菱形点は、3次コマ収差量を表し、三角点は、5次コマ収差量を表している。本実施の形態の対物レンズ6は正弦条件を満たしていないため、図6に示すように、画角0.6degに対して、3次コマ収差が72.0mλ発生し、5次コマ収差が36.0mλ発生している。なお、軸外入射時に発生する球面収差や非点収差は、高次も含めて十分に小さい。
図7は、CD80への情報の記録又は再生時における光ディスクの傾き(ディスクチルト)と、発生する3次コマ収差量及び5次コマ収差量との関係を示すグラフである。図7において、横軸は、光ディスクの傾き(ディスクチルト)を表し、縦軸は3次コマ収差量と5次コマ収差量とを表している。また、菱形点は、3次コマ収差量を表し、三角点は、5次コマ収差量を表している。CD80が0.6deg傾くことによって発生するコマ収差は、対物レンズ6の設計に依らず、3次コマ収差が36.0mλであり、5次コマ収差が3.6mλである。
図8は、CD80への情報の記録又は再生時における対物レンズの傾き(レンズチルト)と、発生する3次コマ収差量及び5次コマ収差量との関係を示すグラフである。図8において、横軸は対物レンズの傾き(レンズチルト)を表し、縦軸は3次コマ収差量と5次コマ収差量とを表している。また、菱形点は、3次コマ収差量を表し、三角点は、5次コマ収差量を表している。本実施の形態の対物レンズ6では、図8に示すように、レンズチルト0.6degに対して、3次コマ収差が36.0mλ発生し、5次コマ収差が32.4mλ発生している。
図6〜図8より、本実施の形態の対物レンズ6では、ディスクチルトによって発生する3次コマ収差の極性とレンズチルトによって発生する3次コマ収差の極性とが一致しており、軸外入射時に3次コマ収差が相殺されないことがわかる。
ここで、本実施の形態のコリメートレンズ4の焦点距離fclを15.0mmとし、2波長レーザ光源1の赤色レーザ光と赤外レーザ光の発光点位置間隔δを0.1mmとすると、画角は0.38degとなる。従って、図6より、CD80と対物レンズ6との相対的な傾きがゼロであっても、3次コマ収差が45.6mλ発生し、5次コマ収差が22.8mλ発生する。
この3次コマ収差と5次コマ収差とは、CD80に対して対物レンズ6を傾けることで補正することができる。
図9は、CD80と対物レンズ6との相対的な傾きがゼロの時に、3次コマ収差が45.6mλ残存し、5次コマ収差が22.8mλ残存している状態で、対物レンズ6を傾けた場合のコマ収差量を示す図である。図9において、横軸はレンズチルト量を表し、縦軸は3次コマ収差量、5次コマ収差量及びトータル波面収差量(RMS(平均二乗平方根)波面収差量)を表している。また、菱形点は、3次コマ収差量を表し、三角点は、5次コマ収差量を表し、白丸点は、RMS波面収差量を表している。
図9より、例えば対物レンズ6のレンズチルト量を0.76degとすることで、3次コマ収差を約0mλにし、5次コマ収差を18.2mλにすることができる。すなわち、対物レンズアクチュエータ9は、3次コマ収差が略ゼロとなるように対物レンズ6を傾ける。また、対物レンズ6のレンズチルト量を0.42degとすることで、3次コマ収差を20.4mλとし、5次コマ収差を約0mλとすることができる。
一方、対物レンズ6のレンズチルト量を0.60degとすることで、3次コマ収差と5次コマ収差とは共には9.6mλとなり、この時、トータル波面収差は最も小さくなる(13.6mλrms)。すなわち、対物レンズアクチュエータ9は、3次コマ収差の絶対値と5次コマ収差の絶対値とが略等しくなるように対物レンズ6を傾ける。
なお、レンズチルト後に残存する3次コマ収差と5次コマ収差とは、本実施の形態の光学ヘッドを適用する光ディスクシステムに応じて適切に配分されることが好ましい。例えば、3次コマ収差をゼロにしてチルトマージンを拡大したり、トータル波面収差を最小にしてピーク強度の低下を抑制したりすることが可能である。また、これらのバランスをとって、残存する3次コマ収差が5次コマ収差よりも小さくなるようにしてもよい。すなわち、対物レンズアクチュエータ9は、3次コマ収差の絶対値が5次コマ収差の絶対値よりも小さくなるように対物レンズ6を傾ける。
上述のように、本実施の形態の対物レンズ6において、画角0.6degに対して、3次コマ収差が72.0mλ発生し、レンズチルト0.6degに対して、3次コマ収差が36.0mλ発生する。従って、画角αが0.38degである場合に発生する45.6mλの3次コマ収差は、0.76degのレンズチルトで補正可能となっている。
しかしながら、例えば、画角0.6degに対して、3次コマ収差が54.0mλ発生し、レンズチルト0.6degに対して、3次コマ収差が18.0mλ発生する対物レンズを用いた場合、画角αが0.38degである場合に発生する3次コマ収差は34.2mλとなって、本実施の形態の対物レンズ6で発生する3次コマ収差よりも小さくなる。しかし、この3次コマ収差を補正するためには、1.14degのレンズチルトが必要となる。
上述の内容を一般化すると、以下のように説明できる。
単位角度あたりのディスクチルトによって発生する3次コマ収差量をCMD(mλ/deg)とし、単位角度あたりレンズチルトによって発生する3次コマ収差量をCML(mλ/deg)とすると、単位角度あたりの軸外入射によって発生する3次コマ収差量CMA(mλ/deg)は以下の(1)式で表される。
CMA=CMD+CML・・・(1)
レーザ光の発光点の間隔δとコリメートレンズの焦点距離fclとから決定される画角、すなわちレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とのなす角度α(deg)は下記の(2)式で表される。なお、焦点距離fclは、2波長レーザ光源1とコリメートレンズ4との間にリレーレンズ等の他のレンズを含む場合はそれらのレンズの合成焦点距離となる。
α=arctan(δ/fcl)・・・(2)
軸外入射によって発生する3次コマ収差量(mλ)は、下記の(3)式で表され、この3次コマ収差を補正するためのレンズチルト量θ(deg)は下記の(4)式で表される。
CMA×α=(CMD+CML)×α・・・(3)
θ=(CMD+CML)×α/CML・・・(4)
単位角度あたりのディスクチルトによって発生する3次コマ収差量CMDは、対物レンズの設計に依存せず一定であるので、画角αにおけるレンズチルト量θは、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLによって一意に決まる。
図10は、単位角度あたりのディスクチルトによって発生する3次コマ収差量CMDが60mλ/degであり、画角αが0.38degである場合において、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLと、軸外入射によって発生した3次コマ収差量及びこの3次コマ収差を補正するためのレンズチルト量θとの関係を示す図である。
なお、図10において、横軸は、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CML(mλ/deg)を表し、左縦軸は、軸外入射によって発生した3次コマ収差量(mλ)を表し、右縦軸は、軸外入射によって発生した3次コマ収差を補正するためのレンズチルト量θ(deg)を表している。また、菱形点は、3次コマ収差量を表し、三角点は、レンズチルト量θを表している。
図10より、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲A内にある場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差量は10mλ以下である。したがって、この場合、レンズチルトによる3次コマ収差の補正は実質的に不要であり、本実施の形態の適用範囲外である。
次に、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲C内にある場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差量は、1.0deg以下のレンズチルトによって補正可能である。したがって、この場合、本実施の形態を適用する対物レンズとして好適である。
一方、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲D内にある場合も、軸外入射によって発生する3次コマ収差量は、1.0deg以下のレンズチルトによって補正可能である。なお、図10に示すように、範囲Dにおけるレンズチルト量θの極性は、範囲Cにおけるレンズチルト量θの極性と逆になる。
しかしながら、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲B内にある場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差量を補正するために、1.0deg以上のレンズチルトが必要となる。特に、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが0の場合は補正そのものが不可能である。
同様に、図11は、単位角度あたりのディスクチルトによって発生する3次コマ収差量CMDが60mλ/degであり、画角αが0.55degである場合において、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLと、軸外入射によって発生した3次コマ収差量及びこの3次コマ収差を補正するためのレンズチルト量θとの関係を示す図である。
なお、図11において、横軸は、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CML(mλ/deg)を表し、左縦軸は、軸外入射によって発生した3次コマ収差量(mλ)を表し、右縦軸は、軸外入射によって発生した3次コマ収差を補正するためのレンズチルト量θ(deg)を表している。また、菱形点は、3次コマ収差量を表し、三角点は、レンズチルト量θを表している。
図11においても、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲A内にある場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差量は10mλ以下である。したがって、この場合、レンズチルトによる3次コマ収差の補正は実質的に不要であり、本実施の形態の適用範囲外である。
次に、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲C内にある場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差量は、1.0deg以下のレンズチルトによって補正可能である。したがって、この場合、本実施の形態を適用する対物レンズとして好適である。同様に、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲D内にある場合も、軸外入射によって発生する3次コマ収差量は、1.0deg以下のレンズチルトによって補正可能である。なお、範囲Dにおけるレンズチルト量θの極性は、範囲Cにおけるレンズチルト量θの極性と逆になる。
単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが範囲B内にある場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差量を補正するために、1.0deg以上のレンズチルトが必要となる。特に、単位角度あたりのレンズチルトによって発生する3次コマ収差量CMLが0の場合は補正そのものが不可能である。
レンズチルト量が大きくなると、作動距離(WD:Working Distance)が小さい対物レンズでは、光ディスクと対物レンズとが接触する可能性が大きくなり、また、非点収差等の他の収差が無視できなくなる場合がある。従って、コマ収差補正時のレンズチルト量が、例えば1.0deg以下となるような対物レンズがより望ましい。
すなわち、赤外レーザ光をCDの情報記録面に収束させる場合において、CDの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD(mλ/deg)とし、対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML(mλ/deg)とし、対物レンズの光軸と、2波長レーザ光源から出射される赤外レーザ光の光軸とのなす角度をα(deg)とすると、対物レンズは、1.0≧(CMD+CML)×α/CMLを満たすことが好ましい。
なお、対物レンズ6を傾けることによって、軸外入射で発生するコマ収差を補正するためには、コマ収差が光ディスクの半径方向に発生している必要がある。これは、図2で示したように、対物レンズアクチュエータ9は複数のサスペンションワイヤ9aによって対物レンズホルダ9b(可動部)を支持しており、フォーカス方向D1及びトラッキング方向D2の変位に加えて、光ディスクの半径方向D3にレンズチルトさせることは可能であるが、光ディスクの情報トラック方向にレンズチルトさせることは、一般的には困難だからである。
図12は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドの発光点の配置を示す図である。本実施の形態の2波長レーザ光源1は、図12に示すように、赤色レーザ光の発光点1aに対し、赤外レーザ光の発光点1bを、光ディスクの半径方向(X方向)にオフセットするように配置されている。すなわち、赤色レーザ光の発光点1aと、赤外レーザ光の発光点1bとは、光ディスクの半径方向(X方向)に並んで配置される。2波長レーザ光源1は、赤色レーザ光の光軸と、対物レンズ6の光軸とが対物レンズ6において略一致するよう配置されている。このため、対物レンズ6への軸外入射によって発生する3次コマ収差及び5次コマ収差は、光ディスクの半径方向(X方向)に発生する。従って、対物レンズアクチュエータ9に搭載された対物レンズ6を半径方向にチルトさせることで、軸外入射によって発生した3次コマ収差及び5次コマ収差補正することができる。
ところで、DVD70及びCD80等の光ディスクには、光ディスクを重ねた場合に光入射面が接触しないよう、内周部(クランプ領域の外側)に、図13に示すようなスタックリング85と呼ばれるリブが形成されている。図13は、スタックリングを有する光ディスクの一例を示す図である。
スタックリング85は厚さが数百μmあり、特に作動距離(WD:Working Distance)の小さい対物レンズを用いる場合には、光ディスクの内周部への情報の記録又は再生時に、スタックリング85と対物レンズ6とが接触しないようにしなければならない。
本実施の形態の光学ヘッド30では、図12に示すように、対物レンズ6の光軸に対して、発光点1bからの赤外レーザ光が光ディスクの外周側に入射するように、2波長レーザ光源1が配置されている。すなわち、2波長レーザ光源1は、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ6の端部が半径方向の外周側における対物レンズ6の端部よりも低くなるように対物レンズ6が傾いた場合に、CD80の半径方向に発生するコマ収差が補正されるように配置される。
図14は、本発明の第1の実施の形態において、対物レンズを傾ける方向を説明するための図である。所定の対物レンズへの軸外入射によって発生するコマ収差の極性は、レーザ光の発光点の位置によって一意に決定される。そのため、コマ収差を補正するため対物レンズ6をレンズチルトさせる方向も、レーザ光の発光点の位置によって一意に決定される。
対物レンズアクチュエータ9は、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ6の端部が半径方向の外周側における対物レンズ6の端部よりも低くなるように対物レンズ6を傾ける。
本実施の形態において、例えば、3次コマ収差量CMLが60mλ/degであり、光ディスクの半径方向(X方向)の外周側にオフセットするように赤外レーザ光の発光点1bを配置する。この場合、対物レンズ6は、図14に示すように、常にスタックリング85から遠ざかる方向、すなわち、外周側が内周側よりも高くなる方向に傾けることになる。これにより、軸外入射によって発生した3次コマ収差及び5次コマ収差を補正し、かつ、スタックリング85と対物レンズ6との接触を抑制できる。
一方、本実施の形態において、例えば、3次コマ収差量CMLが−30mλ/degであり、光ディスクの半径方向(X方向)の内周側にオフセットするように赤外レーザ光の発光点1bを配置する。この場合、軸外入射によって発生する3次コマ収差の極性は、上述の3次コマ収差量CMLが60mλ/degである場合と逆になる。しかしながら、レンズチルトによって発生する3次コマ収差の極性が逆であるため、結果、対物レンズ6は、スタックリング85から遠ざかる方向、すなわち、半径方向の外周側の端部が内周側の端部よりも高くなる方向に傾けることになる。これにより、軸外入射によって発生した3次コマ収差及び5次コマ収差を補正し、かつ、スタックリング85と対物レンズ6との接触を抑制できる。
なお、これまで図12の光学ヘッド30の構成において、赤外レーザ光の発光点1bを、光ディスクの半径方向(X方向)の外周側あるいは内周側にオフセットするように配置した場合について説明を行った。しかしながら、本実施の形態の趣旨は、光ディスク外周側が内周側よりも高くなる方向に対物レンズ6を傾けてコマ収差を補正できるように発光点を配置することである。そのため、赤外レーザ光の発光点を配置する方向は、光ディスクの半径方向の外周側か内周側かに限定されるものではない。
例えば、3次コマ収差量CMLが60mλ/degである場合、スタックリング85が存在する光ディスクの内周側が低くなる方向、すなわち、外周側が高くなる方向に対物レンズ6を傾けてコマ収差を補正できるようにするためには、図14に示すように、対物レンズ6の光軸に対して外周側からレーザ光が入射する必要がある。すなわち、図12の光学ヘッドの構成のように、2波長レーザ光源1から出射される赤外レーザ光の光軸が、光ディスクの情報トラックと略平行の場合には、赤外レーザ光の発光点を光ディスクの半径方向の外周側に配置する必要がある。
従って、本実施の形態の光学ヘッド30とは異なる光学配置の光学ヘッドの構成において、例えば、光源から出射されたレーザ光が、光路の途中で複数の反射面を経て対物レンズに入射するような構成の場合は、対物レンズの光軸に対して外周側からレーザ光が入射するように、適切にレーザ光の発光点を配置することが本実施の形態の主旨である。これは、必ずしもレーザ光の発光点を光ディスクの半径方向の外周側に配置するということではない。
以上をまとめると次のようになる。
すなわち、本実施の形態の対物レンズ6が、図10及び図11において、範囲Cとなる条件は、(5)式で表される。
1.0≧(CMD+CML)×arctan(δ/fcl)/CML>0・・・(5)
なお、情報記録媒体の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD(mλ/deg)とし、対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML(mλ/deg)とし、レーザ光の発光点の間隔をδ(mm)とし、コリメートレンズの焦点距離をfcl(mm)とする。また、焦点距離fclは、2波長レーザ光源1とコリメートレンズ4との間にリレーレンズ等の他のレンズを含む場合はそれらのレンズの合成焦点距離となる。
この時、対物レンズ6の光軸に対して光ディスクの外周側からレーザ光が入射するように、2波長レーザ光源1を配置することが好ましい。すなわち、2波長レーザ光源1は、上記の(5)式を満たすとき、対物レンズ6の光軸に対して光ディスクの外周側からレーザ光が入射するように配置される。
一方、本実施の形態の対物レンズ6が、図10及び図11において、範囲Dとなる条件は、下記の(6)式及び(7)式で表される。
(CMD+CML)×arctan(δ/fcl)/CML≧−1.0・・・(6)
(CMD+CML)×arctan(δ/fcl)≧10・・・(7)
この時、対物レンズ6の光軸に対して光ディスクの内周側からレーザ光が入射するように、2波長レーザ光源1を配置することが好ましい。すなわち、2波長レーザ光源1は、上記の(6)式及び(7)式を満たすとき、対物レンズ6の光軸に対して光ディスクの内周側からレーザ光が入射するように配置される。
これにより、対物レンズ6の光軸に対してCD80の外周側から赤外レーザ光が入射する場合、上記の(5)式を満たすことで、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ6の端部が半径方向の外周側における対物レンズ6の端部よりも低くなるように対物レンズ6を傾けることができる。また、対物レンズ6の光軸に対してCD80の内周側から赤外レーザ光が入射する場合、上記の(6)式及び(7)式を満たすことで、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ6の端部が半径方向の外周側における対物レンズ6の端部よりも低くなるように対物レンズ6を傾けることができる。
図15は、本発明の実施の形態1において、ビームスプリッタに入射するレーザ光の偏光方向を示す図である。図15(A)は、ビームスプリッタに入射したレーザ光を透過させる場合のレーザ光の偏光方向を示す図であり、図15(B)は、ビームスプリッタに入射したレーザ光を反射させる場合のレーザ光の偏光方向を示す図である。
図12のように2波長レーザ光源1を配置し、ビームスプリッタ3を透過させて用いる構成にする場合、ビームスプリッタ3に入射するレーザ光の偏光方向は、図15(A)に示すようにP偏光となり、ビームスプリッタ3の透過効率を増大させることができる。
一方、図15(B)に示すように、ビームスプリッタ3を反射させて用いる構成にする場合、2波長レーザ光源1とビームスプリッタ3との間に1/2波長板8を配置して、ビームスプリッタ3に入射するレーザ光の偏光方向をS偏光とし、反射効率を増大させることが望ましい。1/2波長板8は、2波長レーザ光源1から出射したレーザ光の偏光方向をP偏光からS偏光に変換する。
図16は、本発明の実施の形態1における光学ヘッドの電気的な概略構成図である。図16において、2波長レーザ光源1、受光素子10及び対物レンズアクチュエータ9は、制御部12に接続されている。制御部12は、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)及びRAM(ランダムアクセスメモリ)等で構成され、光源駆動制御部121、対物レンズ駆動制御部122及びディスク判別部123を備える。
光源駆動制御部121は、2波長レーザ光源1の駆動を制御する。対物レンズ駆動制御部122は、対物レンズアクチュエータ9の駆動を制御する。対物レンズ駆動制御部122は、対物レンズ6をフォーカス方向に移動させる指示、トラッキング方向に移動させる指示又は半径方向に傾ける指示を対物レンズアクチュエータ9へ出力する。
ディスク判別部123は、未知の光ディスクの種類を判別する。具体的に、ディスク判別部123は、対物レンズ6の傾きが略ゼロの状態で、記録又は再生の対象となる未知の光ディスクが、DVDであるか否かを判別する。また、ディスク判別部123は、赤外レーザ光が対物レンズ6の光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を最も減少させる方向に対物レンズ6の傾きを変化させた後、記録又は再生の対象となる未知の光ディスクが、CDであるか否かを判別する。
なお、光ディスクの判別方法として、以下の方法を用いることが可能である。
例えば、光ディスク装置に装填された未知の光ディスクに対し、対物レンズアクチュエータ9を図2に示すフォーカス方向D1に駆動しながら赤色レーザ光を照射し、その反射光を受光素子10で検出する。DVD70とCD80とでは、光ディスク表面と情報記録面との間隔、すなわち、保護基板の厚さが異なる。そのため、光ディスク表面からの反射光が受光素子10で検出される(すなわち赤色レーザ光の焦点の位置が光ディスクの表面に略一致する)対物レンズアクチュエータ9の位置と、情報記録面からの反射光が受光素子10で検出される(すなわち赤色レーザ光の焦点の位置が光ディスクの情報記録面に略一致する)対物レンズアクチュエータ9の位置との差から保護基板の厚さが分かり、保護基板の厚さに基づいて光ディスクの判別が可能となる。
なお、光ディスクの判別方法は上述の方法に限定されるものではなく、いかなる光ディスクの判別方法を用いてもよいことは明らかである。
ところで、3次コマ収差及び5次コマ収差を補正するために対物レンズ6を傾けるタイミングは、光ディスクの判別と関連している。なお、光ディスク判別手順は、次の図17、図18及び図19のいずれの場合であってもよい。図17は、本発明の実施の形態1における光ディスク判別手順の一例を示す図である。
例えば、本実施の形態の光学ヘッド30では、対物レンズ6を傾けない状態で、DVD70に対してコマ収差が最適な状態になっている。そのため、図17に示すように、初めに、対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ6の傾きをゼロに設定する(ステップS1)。次に、ディスク判別部123は、対物レンズ6の傾きをゼロに設定した状態で、記録又は再生の対象となる光ディスクの種類を判別する(ステップS2)。すなわち、ディスク判別部123は、光ディスクがDVD70であるか否かを判断する。
ここで、光ディスクがDVD70であると判定された場合(ステップS2でYES)、制御部12は、対物レンズ6の傾きを維持してDVD70の記録又は再生を開始する(ステップS3)。一方、光ディスクがDVD70ではないと判定された場合(ステップS2でNO)、対物レンズアクチュエータ9は、CD80に対してコマ収差が最適になるよう対物レンズ6の傾きを所定の角度θに設定する(ステップS4)。なお、所定の角度θは、制御部12に予め記憶されている。次に、その状態で、ディスク判別部123は、記録又は再生の対象となる光ディスクの種類を判別する(ステップS5)。すなわち、ディスク判別部123は、光ディスクがCD80であるか否かを判断する。
ここで、光ディスクがCD80であると判定された場合(ステップS5でYES)、制御部12は、対物レンズ6の傾きを維持してCD80の記録又は再生を開始する(ステップS6)。一方、光ディスクがCD80ではないと判定された場合(ステップS5でNO)、DVD70及びCD80以外の規格の光ディスクが挿入されており、光ディスクに情報を記録又は再生することができないので、制御部12は処理を終了する。
このように、本実施の形態1における光ディスク判別手順では、対物レンズ6の傾きがゼロにされ、光ディスクがDVDであるか否かが判別され、光ディスクがDVDでない場合に対物レンズ6の傾きが角度θに変更され、光ディスクがCDであるか否かが判別される。
図18は、本発明の実施の形態1における光ディスク判別手順の第1の変形例を示す図である。例えば、本実施の形態の光学ヘッドでは、対物レンズ6を所定の角度θ傾けた状態で、CD80に対してコマ収差が最適な状態になる。そのため、図18に示すように、初めに、対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ6の傾きを所定の角度θに設定する(ステップS11)。なお、所定の角度θは、制御部12に予め記憶されている。次に、その状態で、ディスク判別部123は、記録又は再生の対象となる光ディスクの種類を判別する(ステップS12)。すなわち、ディスク判別部123は、光ディスクがCD80であるか否かを判断する。
ここで、光ディスクがCD80であると判定された場合(ステップS12でYES)、制御部12は、対物レンズ6の傾きを維持してCD80の記録又は再生を開始する(ステップS13)。一方、光ディスクがCD80ではないと判定された場合(ステップS12でNO)、対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ6の傾きをゼロに設定する(ステップS14)。次に、その状態で、ディスク判別部123は、記録又は再生の対象となる光ディスクの種類を判別する(ステップS15)。すなわち、ディスク判別部123は、光ディスクがDVD70であるか否かを判断する。
ここで、光ディスクがDVD70であると判定された場合(ステップS15でYES)、制御部12は、対物レンズ6の傾きを維持してDVD70の記録又は再生を開始する(ステップS16)。一方、光ディスクがDVD70ではないと判定された場合(ステップS15でNO)、DVD70及びCD80以外の規格の光ディスクが挿入されており、光ディスクに情報を記録又は再生することができないので、制御部12は処理を終了する。
このように、本実施の形態1の第1の変形例における光ディスク判別手順では、対物レンズ6の傾きが角度θに変更され、光ディスクがCDであるか否かが判別され、光ディスクがDVDでない場合に対物レンズ6の傾きがゼロにされ、光ディスクがDVDであるか否かが判別される。
なお、ディスク判別部123は、赤外レーザ光が対物レンズ6の光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に対物レンズ6の傾きを変化させた後、記録又は再生の対象となる未知の光ディスクの種類を判別してもよい。
図19は、本発明の実施の形態1における光ディスク判別手順の第2の変形例を示す図である。例えば、図19に示すように、初めに、対物レンズアクチュエータ9は、CD80に対してコマ収差が最適となる所定の角度θと、DVD70に対してコマ収差が最適となる角度ゼロとの中間の所定の角度φに対物レンズ6の傾きを設定する(ステップS21)。なお、本実施の形態において、制御部12は、所定の角度θを予め記憶しておき、予め記憶されている所定の角度θと角度ゼロとの間の角度φを求めるが、本発明は特にこれに限定されず、制御部12は、所定の角度φを予め記憶しておいてもよい。次に、その状態で、ディスク判別部123は、記録又は再生の対象となる光ディスクの種類を判別する(ステップS22)。
ここで、光ディスクがCD80であると判定された場合(ステップS22で“CD”)、対物レンズアクチュエータ9は、CD80に対してコマ収差が最適になるよう対物レンズ6の傾きを所定の角度θに設定する(ステップS23)。次に、制御部12は、対物レンズ6の傾きを維持してCD80の記録又は再生を開始する(ステップS24)。
一方、光ディスクがDVD70であると判定された場合(ステップS22で“DVD”)、対物レンズアクチュエータ9は、DVD70に対してコマ収差が最適になるよう対物レンズ6の傾きをゼロに設定する(ステップS25)。次に、制御部12は、対物レンズ6の傾きを維持してDVD70の記録又は再生を開始する(ステップS26)。
一方、光ディスクがDVD70及びCD80のいずれでもないと判定された場合(ステップS22で“それ以外”)、DVD70及びCD80以外の規格の光ディスクが挿入されており、光ディスクに情報を記録又は再生することができないので、制御部12は処理を終了する。
このように、本実施の形態1の第2の変形例における光ディスク判別手順では、対物レンズ6の傾きが角度ゼロと角度θとの中間の角度φに変更され、光ディスクの種類が判別される。そして、光ディスクがCDであると判別された場合、対物レンズ6の傾きが角度θに変更され、光ディスクがDVDであると判別された場合、対物レンズ6の傾きが角度ゼロに変更される。
以上、本実施の形態において、対物レンズ6の光軸と2波長レーザ光源1から出射された赤色レーザ光の光軸とを一致させ、赤外レーザ光が対物レンズ6に対して軸外入射するように2波長レーザ光源1を配置した光学ヘッド30の構成について述べた。これは、赤色レーザ光を用いて情報を記録又は再生するDVD70に対し、赤外レーザ光を用いて情報を記録又は再生するCD80は、本実施の形態のレンズチルトによるコマ収差補正後に残存するコマ収差に対する裕度が大きいからである。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、対物レンズ6の光軸と赤外レーザ光の光軸とが一致するように2波長レーザ光源1を配置してもよい。このような構成は、例えばレンズチルトによって発生するコマ収差が、DVD70への情報の記録又は再生時に大きい場合に、対物レンズ6を少しだけ傾けることによってコマ収差を補正できるというメリットがある。
また、対物レンズ6の光軸が、赤色レーザ光の発光点と赤外レーザ光の発光点との中間点となるように2波長レーザ光源1を配置してもよい。このとき、2波長レーザ光源1は、赤外レーザ光及び赤色レーザ光が対物レンズ6の光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差が、CD80及びDVD70の半径方向に発生するように配置される。DVD70の半径方向に発生したコマ収差の発生方向は、CD80の半径方向に発生したコマ収差の発生方向の逆方向である。そして、対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ6がDVD70の情報記録面に赤色レーザ光を収束させる際に、赤色レーザ光が対物レンズ6の光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に、対物レンズ6を傾ける。
この場合、CD80及びDVD70への情報の記録又は再生時に、それぞれ逆方向にレンズチルトさせる必要があるが、レンズチルト量の絶対値を小さくすることができるというメリットがある。
ここで、光学ヘッドの製造方法について説明する。まず、第1のステップにおいて、第1の波長を有する赤外レーザ光と、第1の波長とは異なる第2の波長を有する赤色レーザ光とを出射する2波長レーザ光源1が、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ6の端部が半径方向の外周側における対物レンズ6の端部よりも低くなるように対物レンズ6が傾いた場合に、CD80の半径方向に発生するコマ収差が補正されるように実装される。次に、第2のステップにおいて、対物レンズ6がCD80の情報記録面に赤外レーザ光を収束させる際に、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ6の端部が半径方向の外周側における対物レンズ6の端部よりも低くなるように対物レンズ6を傾けることで、赤外レーザ光が対物レンズ6の光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる対物レンズアクチュエータ9が実装される。
なお、本実施の形態1においては、2波長レーザ光源と、DVD70及びCD80に対してそれぞれ異なる波長のレーザ光を集光させる一つの対物レンズとを備えた光学ヘッドについて説明を行ったが、本発明はこのような構成の光学ヘッドに限定されるものではない。
例えば、2波長レーザ光源とは別に設けられた青紫レーザ光を出射する青紫レーザ光源と、この青紫レーザ光を保護基板厚約0.1mmのBDの情報記録面に集光させる別の対物レンズとを備えた光学ヘッドにおいても適用できる。
BD用のレーザ光源と対物レンズとDVD70及びCD80用のレーザ光源と対物レンズとを備えた光学ヘッドは、青紫レーザ光の光軸と対物レンズの光軸とを、赤色レーザ光の光軸と対物レンズの光軸とは独立して一致させて配置可能であるので、本発明が適用範囲内であることは明らかである。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について、図20〜図24を用いて説明する。本実施の形態2において、実施の形態1と共通の構成要素については同一の符号を付して以下、その説明を省略する。
図20は、本発明の実施の形態2における光学ヘッドの概略構成図である。図20において、光学ヘッド40は、2波長レーザ光源1、回折格子2、青紫レーザ光源11、ダイクロイックプリズム23、ビームスプリッタ13、コリメートレンズ14、ミラー5、対物レンズ16、アナモフィックレンズ17、ホログラム素子18、対物レンズアクチュエータ9及び受光素子20を備える。2波長レーザ光源1は、赤色レーザ光と赤外レーザ光とを出射する。青紫レーザ光源11は、青紫レーザ光を出射する。また、BD60は保護基板厚約0.1mmの光ディスクであり、DVD70は保護基板厚0.6mmの光ディスクであり、CD80は保護基板厚1.2mmの光ディスクである。なお、本実施の形態において、青紫レーザ光が第3のレーザ光の一例に相当する。
初めに、BD60に情報が記録又は再生される場合の光学ヘッド40の動作について述べる。青紫レーザ光源11から出射された波長405nmの青紫レーザ光は、ダイクロイックプリズム23によって反射される。ダイクロイックプリズム23は、青紫レーザ光を反射させ、赤色レーザ光及び赤外レーザ光を透過するように膜構成されている。
ダイクロイックプリズム23で反射された青紫レーザ光は、ビームスプリッタ13を透過し、コリメートレンズ14で略平行光に変換され、ミラー5によってBD60の方向に反射されて折り曲げられる。ミラー5を反射した青紫レーザ光は、対物レンズ16によって、保護基板越しにBD60の情報記録面に光スポットとして集光される。
BD60の情報記録面で反射した青紫レーザ光は、再び対物レンズ16を透過し、ミラー5で反射された後、コリメートレンズ14を透過する。コリメートレンズ14を透過した青紫レーザ光は、ビームスプリッタ13で反射され、ホログラム素子18とアナモフィックレンズ17とを透過し、受光素子20に導かれる。受光素子20は、受光した青紫レーザ光を用いて、情報信号及びサーボ信号を生成する。
青紫レーザ光がホログラム素子18を透過する際に、0次光と±1次回折光とが生成される。ホログラム素子18で生成された±1次回折光は、受光素子20の所定の受光領域で検出され、トラッキング誤差信号の生成に用いられる。
一方、DVD70又はCD80に情報が記録又は再生される場合の光学ヘッド40の動作について述べる。2波長レーザ光源1から出射された波長655nmの赤色レーザ光又は波長785nmの赤外レーザ光は、回折格子2によって0次光であるメインビームと±1次回折光であるサブビームとに分離される。メインビームとサブビームとは、ダイクロイックプリズム23とビームスプリッタ13とを透過し、コリメートレンズ14で略平行光に変換され、ミラー5によってDVD70又はCD80の方向に反射されて折り曲げられる。ミラー5を反射した2つのビームは、対物レンズ16によって、保護基板越しにDVD70又はCD80の情報記録面に光スポットとして集光される。
DVD70又はCD80の情報記録面で反射したメインビームとサブビームとは、再び対物レンズ16を透過し、ミラー5で反射された後、コリメートレンズ14を透過する。コリメートレンズ14を透過した2つのビームは、ビームスプリッタ13で反射され、ホログラム素子18とアナモフィックレンズ17とを透過し、受光素子20に導かれる。受光素子20は、受光したメインビームとサブビームとを用いて、情報信号及びサーボ信号を生成する。
トラッキング誤差信号は、回折格子2によって生成されたメインビームとサブビームとを用いた、いわゆる3ビーム法や差動プッシュプル法(DPP法)等を用いて検出される。
対物レンズ16は、BD60に情報を記録又は再生するための青紫レーザ光、DVD70に情報を記録又は再生するための赤色レーザ光、及びCD80に情報を記録又は再生するための赤外レーザ光を、波長の差を利用してそれぞれ微小な光スポットとして集光するための回折構造を備えている。図21(A)は、本発明の実施の形態2における対物レンズの概略構成図であり、図21(B)は、本発明の実施の形態2の変形例における対物レンズの概略構成図である。
具体的には、図21(A)に示すように、BD60、DVD70及びCD80のそれぞれに対応するため、対物レンズ16の少なくとも1面、例えば、対物レンズ16の入射面(光源側の面)には、断面が鋸歯状のブレーズ型回折構造が形成されている。ブレーズ型回折構造は、対物レンズ16の屈折のパワーと合わせて、それぞれの波長のレーザ光によって情報が記録又は再生されるBD60、DVD70及びCD80において、それぞれの波長のレーザ光を回折限界まで収束できるよう収差補正が施されている。このように入射光の一部を回折するブレーズ型回折構造を備えた対物レンズ16は、異なる保護基板厚の光ディスク上にそれぞれ回折限界の光スポットを形成することができる。
また、赤外レーザ光をCD80に対して収束させるための領域は、光軸を含むレンズ中央部分に限り、赤色レーザ光をDVD70に対して収束させるための領域は、レンズ中央部分とその外側の中周部分とに限り、青紫レーザ光をBD60に対して収束させるための領域は、レンズ中央部分と中周部分とその外側の外周部分との全て用いるように、対物レンズ16が設計される。これにより、CD80に対するNAを約0.45に制限し、DVD70に対するNAを約0.60に制限し、BD60に対するNAを約0.85に拡大することができる。
なお、対物レンズ16は、図21(A)のようにレンズの入射面にブレーズ型回折構造を形成した対物レンズに限らない。例えば、図21(B)に示すように、光学ヘッドは、屈折型の正のパワーの対物レンズ16aと、別体のホログラムレンズ16bとを備えてもよく、対物レンズ16aとホログラムレンズ16bとを一体駆動し、BD60、DVD70及びCD80に情報を記録又は再生するようにしてもよい。なお、このような別体のホログラムレンズ16bを用いることで、傾斜角度の大きいレンズ面に回折構造を形成する必要がなく、金型を製作しやすいというメリットがある。
なお、ホログラムレンズ16bの回折構造は、図21(B)のように光源側の面に形成する構成に限らず、例えば、対物レンズ16a側の面に形成してもよく、対物レンズ16a側の面と光源側の面との両方に形成してもよいことは明らかである。また、回折構造はブレーズ型に限らず、階段形状であっても同様の効果が得られることは自明である。
さらに、対物レンズ16は、このような回折構造を備えた対物レンズに限定されるものではなく、複数の硝材の波長分散特性を利用した屈折型の対物レンズや、屈折型のレンズを複数組み合わせた組レンズであってもよい。
以上のように、本実施の形態の光学ヘッド40は、それぞれ異なる種類の光ディスク、例えばBD60、DVD70及びCD80に対して、それぞれ異なる波長のレーザ光を一つの対物レンズ16を用いて集光させて情報の記録又は再生を行うことができる。
図20に示すように、本実施の形態の光学ヘッド40も、実施の形態1の光学ヘッド30と同様、スタックリングから遠ざかる方向に対物レンズ16を傾けてコマ収差を補正できるよう、2波長レーザ光源1が配置されている。すなわち、赤外レーザ光の発光点1bは、光ディスクの半径方向(X方向)の外周側にオフセットするように配置されている。従って、光ディスクの半径方向の内周側よりも外周側が高くなるように対物レンズ16を傾けて、軸外入射によって発生した光ディスクの半径方向(X方向)の3次コマ収差及び5次コマ収差を補正し、かつ、スタックリングと対物レンズ16との接触を抑制できる。
なお、本実施の形態の光学ヘッド40では、ダイクロイックプリズム23を用いて、2波長レーザ光源1から出射される赤色レーザ光の光軸と青紫レーザ光源11から出射される青紫レーザ光の光軸とを一致させている。そのため、対物レンズ16の光軸と青紫レーザ光の光軸とも一致し、BD60とDVD70との情報の記録又は再生については、軸外入射よるコマ収差が発生しない。すなわち、BD60及びDVD70への情報の記録又は再生時に対物レンズ16を傾ける必要がない。
ところで、青紫レーザ光、赤色レーザ光及び赤外レーザ光を出射する3波長レーザ光源を用いることで、光学ヘッドの光学構成を簡略化し、小型化及びコストダウンを図ることが可能である。
図22は、モノリシック3波長レーザ光源21の発光点の様子を模式的に示す図である。青紫レーザ光、赤色レーザ光及び赤外レーザ光が一つのレーザチップから出射される。赤色レーザ光を出射する発光点21aと、赤外レーザ光を出射する発光点21bとは、所定の間隔δ1を有して配置されている。また、青紫レーザ光を出射する発光点21cは、赤色レーザ光を出射する発光点21aに近接して配置されており、発光点21cと発光点21aとは、所定の間隔δ2を有して配置されている。なお、発光点21c(発光点21a)と発光点21bとの間隔δ1は、発光点21cと発光点21aとの間隔δ2よりも大きい。
このような3波長レーザ光源21を用いた光学ヘッド50の構成例を図23に示す。図23は、本発明の実施の形態2の変形例における光学ヘッドの概略構成図である。図23において、光学ヘッド50は、3波長レーザ光源21、回折格子2、ビームスプリッタ13、コリメートレンズ14、ミラー5、対物レンズ26、アナモフィックレンズ17、ホログラム素子18、対物レンズアクチュエータ9及び受光素子20を備える。3波長レーザ光源21は、青紫レーザ光と赤色レーザ光と赤外レーザ光とを出射する。
図23に示した光学ヘッド50では、3波長レーザ光源21から出射される赤色レーザ光の光軸と青紫レーザ光の光軸とが略一致しているので、対物レンズ26の光軸と赤色レーザ光の光軸と青紫レーザ光の光軸とが対物レンズ26において一致し、BD60とDVD70との情報の記録又は再生については、軸外入射よるコマ収差が発生しない。すなわち、BD60及びDVD70への情報の記録又は再生時に対物レンズ26を傾ける必要がない。
一方、赤外レーザ光の発光点21bは、光ディスクの半径方向(X方向)の外周側にオフセットするように配置されている。従って、ディスクの半径方向の内周側よりも外周側が高くなるように対物レンズ26を傾けて、軸外入射によって発生した光ディスクの半径方向(X方向)の3次コマ収差及び5次コマ収差を補正し、かつ、スタックリングと対物レンズ26との接触を抑制できる。
なお、青紫レーザ光、赤色レーザ光及び赤外レーザ光を出射する3波長レーザ光源の発光点は、図22に示した配置に限らず、例えば図24に示した配置であっても本発明を適用することが可能である。図24は、他のモノリシック3波長レーザ光源の発光点の様子を模式的に示す図である。
図24に示した3波長レーザ光源31は、青紫レーザ光を出射する発光点31cを中心として、赤色レーザ光を出射する発光点31aと、赤外レーザ光を出射する発光点31bとが所定の間隔をおいて配置されている。
このような3波長レーザ光源31を用いた光学ヘッドは、対物レンズの光軸と青紫レーザ光の光軸とが一致している。そのため、BD60の情報の記録又は再生については、対物レンズの光軸と青紫レーザ光の光軸とが一致しているので、軸外入射よるコマ収差が発生しない。すなわち、BD60への情報の記録又は再生時に対物レンズを傾ける必要がない。一方、赤色レーザ光と赤外レーザ光との発光点31a,31bは、光ディスクの半径方向にオフセットするように配置することで、対物レンズ26を光ディスクの半径方向に傾けて、軸外入射によって発生した半径方向の3次コマ収差及び5次コマ収差を補正することが可能である。
例えば、赤外レーザ光の発光点31bは、光ディスクの半径方向(X方向)の外周側にオフセットするように配置し、赤色レーザ光の発光点31aは、光ディスクの半径方向(X方向)の内周側にオフセットするように配置する。この時、CD80とDVD70との情報の記録又は再生時における軸外入射による3次コマ収差の極性は互いに逆になる。しかしながら、CD80における情報の記録又は再生時とDVD70における情報の記録又は再生時とで、所定方向に対物レンズを傾けたときに発生するコマ収差の極性が逆になるように対物レンズを設計する。これにより、CD80及びDVD70のいずれに対しても、対物レンズを半径方向の外周側の端部が内周側の端部よりも高くなる方向に傾けて、軸外入射によって発生した半径方向(X方向)の3次コマ収差を補正することができ、スタックリングと対物レンズとの接触を抑制することができる。
対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ26がCD80の情報記録面に赤外レーザ光を収束させる際に、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ26の端部が半径方向の外周側における対物レンズ26の端部よりも低くなるように対物レンズ26を傾ける。また、対物レンズアクチュエータ9は、対物レンズ26がDVD70の情報記録面に赤色レーザ光を収束させる際に、DVD70の半径方向の内周側における対物レンズ26の端部が半径方向の外周側における対物レンズ26の端部よりも低くなるように対物レンズ26を傾ける。
これにより、赤外レーザ光のコマ収差、及び赤外レーザ光のコマ収差とは逆方向に発生する赤色レーザ光のコマ収差は、光ディスクの半径方向の内周側における対物レンズ26の端部が半径方向の外周側における対物レンズ26の端部よりも低くなるように対物レンズ26を傾けることで補正することができる。
具体的には、本実施の形態における3波長レーザ光源31は、下記の(8)式を満たすとき、対物レンズ26の光軸に対して光ディスクの外周側からレーザ光が入射するように配置される。
1.0≧(CMD1+CML1)×arctan(δa/fcl)/CML1>0・・・(8)
なお、上記の(8)式において、CD80の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD1(mλ/deg)とし、CD80における情報の記録又は再生時に、対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML1(mλ/deg)とし、青紫レーザ光と赤外レーザ光との発光点の間隔をδa(mm)とし、コリメートレンズの焦点距離をfcl(mm)とする。
さらに、本実施の形態における3波長レーザ光源31は、下記の(9)式及び(10)式を満たすとき、対物レンズ26の光軸に対して光ディスクの内周側からレーザ光が入射するように配置される。
(CMD2+CML2)×arctan(δb/fcl)/CML2≧−1.0・・・(9)
(CMD2+CML2)×arctan(δb/fcl)≧10・・・(10)
なお、上記の(9)式及び(10)式において、DVD70の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD2(mλ/deg)とし、DVD70における情報の記録又は再生時に、対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML2(mλ/deg)とし、青紫レーザ光と赤色レーザ光との発光点の間隔をδb(mm)とし、コリメートレンズの焦点距離をfcl(mm)とする。
これにより、対物レンズ26の光軸に対してCD80の外周側から赤外レーザ光が入射する場合、上記の(8)式を満たすことで、CD80の半径方向の内周側における対物レンズ26の端部が半径方向の外周側における対物レンズ26の端部よりも低くなるように対物レンズ26を傾けることができる。また、対物レンズ26の光軸に対してDVD70の内周側から赤色レーザ光が入射する場合、上記の(9)式及び(10)式を満たすことで、DVD70の半径方向の内周側における対物レンズ26の端部が半径方向の外周側における対物レンズ26の端部よりも低くなるように対物レンズ26を傾けることができる。
以上のように、実施の形態1又は実施の形態2の光学ヘッドは、2波長レーザ光源又は3波長レーザ光源から出射されたレーザ光のうち、少なくとも1つのレーザ光が対物レンズに軸外入射することによって、コマ収差が発生した場合でも、例えば、3次コマ収差が最小となるよう、5次コマ収差が最小となるよう、あるいはトータル波面収差が最小となるよう、対物レンズを傾けることにより、記録又は再生性能が良化するという顕著な効果が得られる。
また、実施の形態1又は実施の形態2の光学ヘッドは、対物レンズに軸外入射した場合に3次コマ収差あるいは5次コマ収差が発生する、いわゆる正弦条件を満足しない対物レンズを用いた場合でも、対物レンズを傾けることによって、発生したコマ収差を補正できる。従って、異なる種類の光ディスクに対して、それぞれ異なる波長のレーザ光を集光させて情報の記録又は再生を行う対物レンズの設計において、軸外入射時のコマ収差量の設計自由度が拡大するので、より収差性能の良好な対物レンズを適用することが可能となる。
(実施の形態3)
図25は、本発明の実施の形態3における光ディスク装置の概略構成図である。
図25において、光ディスク装置90は、内部に光ディスク駆動部91、制御部92及び光学ヘッド93を備える。また、本実施の形態では、光ディスクとしてBD60を用いているが、DVD70あるいはCD80に交換可能である。
光ディスク駆動部91は、BD60(又はDVD70、CD80)を回転駆動する。なお、本実施の形態において、光ディスク駆動部91がモータの一例に相当する。光学ヘッド93は、実施の形態1又は実施の形態2で述べたいずれかの光学ヘッドである。制御部92は、光ディスク駆動部91と光学ヘッド93とを駆動及び制御する機能と、光学ヘッド93で受光された制御信号及び情報信号の信号処理を行う機能と、情報信号を光ディスク装置90の外部と内部とでインタフェースさせる機能とを有する。
光ディスク装置90は、実施の形態1又は実施の形態2で述べたいずれかの光学ヘッドを搭載している。そのため、本実施の形態における光ディスク装置90は、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、光ディスク装置90は、複数のレーザ光のそれぞれに対応する光ディスクに対して、それぞれ良好に情報を記録又は再生することができる。
(実施の形態4)
図26は、本発明の実施の形態4におけるコンピュータの概略構成図である。
図26において、コンピュータ500は、実施の形態3の光ディスク装置90と、情報の入力を行うためのキーボード、マウス又はタッチパネルなどの入力装置501と、入力装置501から入力された情報や、光ディスク装置90から読み出した情報などに基づいて演算を行う中央演算装置(CPU)などの演算装置502と、演算装置502によって演算された結果などの情報を表示するブラウン管又は液晶表示装置、あるいは演算装置502によって演算された結果などの情報を印刷するプリンタなどの出力装置503とを備える。
コンピュータ500は、実施の形態3の光ディスク装置90を備えるので、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、コンピュータ500は、異なる種類の光ディスクに対して、それぞれ良好に情報を記録又は再生することができ、広い用途に適用することができる。
(実施の形態5)
図27は、本発明の実施の形態5における光ディスクプレーヤの概略構成図である。
図27において、光ディスクプレーヤ600は、実施の形態3の光ディスク装置90と、光ディスク装置90から得られる情報信号を画像信号に変換する例えばデコーダなどの情報−画像変換装置601とを備える。
なお、光ディスクプレーヤ600は、GPS(Global Positioning System)等の位置センサや中央演算装置(CPU)を加えることによりカーナビゲーションシステムとしても利用可能である。また、また、液晶モニタなどの表示装置602を加えた形態も可能である。
光ディスクプレーヤ600は、実施の形態3の光ディスク装置90を備えるので、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、光ディスクプレーヤ600は、異なる種類の光ディスクに対して、それぞれ良好に情報を記録又は再生することができ、広い用途に適用することができる。
(実施の形態6)
図28は、本発明の実施の形態6における光ディスクレコーダの概略構成図である。
図28において、光ディスクレコーダ700は、実施の形態3の光ディスク装置90と、画像情報を光ディスク装置90によって光ディスクへ記録する情報信号に変換する例えばエンコーダなどの画像−情報変換装置701とを備える。望ましくは、光ディスクレコーダ700は、光ディスク装置90から得られる情報信号を画像情報に変換する例えばデコーダなどの情報−画像変換装置702も備えることにより、記録した画像を再生することも可能となる。なお、光ディスクレコーダ700は、情報を表示するブラウン管又は液晶表示装置、あるいは情報を印刷するプリンタなどの出力装置703を備えてもよい。
光ディスクレコーダ700は、実施の形態3の光ディスク装置90を備えるので、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、光ディスクレコーダ700は、異なる種類の光ディスクに対して、それぞれ良好に情報を記録又は再生することができ、広い用途に適用することができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一局面に係る光学ヘッドは、第1の波長を有する第1のレーザ光と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを出射する光源と、前記第1のレーザ光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、前記第2のレーザ光を前記第1の情報記録媒体とは異なる第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる対物レンズと、前記対物レンズが前記第1の情報記録媒体の情報記録面に前記第1のレーザ光を収束させる際に、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に、前記対物レンズを傾ける対物レンズ駆動部とを備え、前記光源は、前記第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における前記対物レンズの端部が前記半径方向の外周側における前記対物レンズの端部よりも低くなるように前記対物レンズが傾いた場合に、前記第1の情報記録媒体の半径方向に発生する前記コマ収差が補正されるように配置され、前記対物レンズ駆動部は、前記第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における前記対物レンズの端部が前記半径方向の外周側における前記対物レンズの端部よりも低くなるように前記対物レンズを傾ける。
この構成によれば、光源は、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズが傾いた場合に、第1の情報記録媒体の半径方向に発生する前記コマ収差が補正されるように配置される。そして、対物レンズ駆動部は、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾ける。
したがって、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けるので、第1の情報記録媒体の内周側に設けられたスタックリングに接触することなく、コマ収差を補正することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源は、前記第2のレーザ光の光軸と、前記対物レンズの光軸とが略一致するよう配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第2のレーザ光の光軸と、対物レンズの光軸とが略一致するよう光源が配置されているので、第2のレーザ光についてはコマ収差を補正する必要が無く、第1のレーザ光のコマ収差を補正するだけでよい。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1の波長は、前記第2の波長よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、第1の波長は、第2の波長よりも大きいので、第1の波長を有する第1のレーザ光として赤外レーザ光を用い、第2の波長を有する第2のレーザ光として赤色レーザ光を用いることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を略平行光に変換するコリメートレンズをさらに備え、前記第1の情報記録媒体の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD(mλ/deg)とし、前記対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML(mλ/deg)とし、前記光源における前記第1のレーザ光の発光点と前記第2のレーザ光の発光点との間隔をδ(mm)とし、前記コリメートレンズの焦点距離をfcl(mm)とし、前記光源は、下記の(11)式を満たすとき、前記対物レンズの光軸に対して前記第1の情報記録媒体の外周側から前記第1のレーザ光が入射するように配置されることが好ましい。
1.0≧(CMD+CML)×arctan(δ/fcl)/CML>0・・・(11)
この構成によれば、光源は、上記の(11)式を満たすとき、対物レンズの光軸に対して第1の情報記録媒体の外周側から第1のレーザ光が入射するように配置される。
したがって、対物レンズの光軸に対して第1の情報記録媒体の外周側から第1のレーザ光が入射する場合、上記の(11)式を満たすことで、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を略平行光に変換するコリメートレンズをさらに備え、前記第1の情報記録媒体の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD(mλ/deg)とし、前記対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML(mλ/deg)とし、前記光源における前記第1のレーザ光の発光点と前記第2のレーザ光の発光点との間隔をδ(mm)とし、前記コリメートレンズの焦点距離をfcl(mm)とし、前記光源は、下記の(12)式及び(13)式を満たすとき、前記対物レンズの光軸に対して前記第1の情報記録媒体の内周側から前記第1のレーザ光が入射するように配置されることが好ましい。
(CMD+CML)×arctan(δ/fcl)/CML≧−1.0・・・(12)
(CMD+CML)×arctan(δ/fcl)≧10・・・(13)
この構成によれば、光源は、上記の(12)式及び(13)式を満たすとき、対物レンズの光軸に対して第1の情報記録媒体の内周側から第1のレーザ光が入射するように配置される。
したがって、対物レンズの光軸に対して第1の情報記録媒体の内周側から第1のレーザ光が入射する場合、上記の(12)式及び(13)式を満たすことで、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源は、前記第2のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差が、前記第2の情報記録媒体の半径方向に発生するように配置され、前記第2の情報記録媒体の半径方向に発生したコマ収差の発生方向は、前記第1の情報記録媒体の半径方向に発生したコマ収差の発生方向の逆方向であり、前記対物レンズ駆動部は、前記対物レンズが前記第2の情報記録媒体の情報記録面に前記第2のレーザ光を収束させる際に、前記第2のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に、前記対物レンズを傾けることが好ましい。
この構成によれば、第2のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差は、第2の情報記録媒体の半径方向に発生し、第2の情報記録媒体の半径方向に発生したコマ収差の発生方向は、第1の情報記録媒体の半径方向に発生したコマ収差の発生方向の逆方向である。そして、対物レンズ駆動部は、対物レンズが第2の情報記録媒体の情報記録面に第2のレーザ光を収束させる際に、第2のレーザ光が対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に、対物レンズを傾ける。
したがって、第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差だけでなく、第2のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生する、第1のレーザ光のコマ収差の逆方向のコマ収差も補正することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源は、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3のレーザ光をさらに出射し、前記第3のレーザ光の発光点は、前記第1のレーザ光の発光点と前記第2のレーザ光の発光点との間に配置され、前記第3のレーザ光の光軸と前記対物レンズの光軸とが略一致していることが好ましい。
この構成によれば、第3のレーザ光の発光点は、第1のレーザ光の発光点と第2のレーザ光の発光点との間に配置され、第3のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とが略一致しているので、第3のレーザ光についてはコマ収差を補正する必要が無く、第1のレーザ光及び第2のレーザ光のコマ収差を補正するだけでよい。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記対物レンズ駆動部は、前記対物レンズが前記第1の情報記録媒体の情報記録面に前記第1のレーザ光を収束させる際に、前記第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における前記対物レンズの端部が前記半径方向の外周側における前記対物レンズの端部よりも低くなるように前記対物レンズを傾け、前記対物レンズが前記第2の情報記録媒体の情報記録面に前記第2のレーザ光を収束させる際に、前記第2の情報記録媒体の半径方向の内周側における前記対物レンズの端部が前記半径方向の外周側における前記対物レンズの端部よりも低くなるように前記対物レンズを傾けることが好ましい。
この構成によれば、対物レンズが第1の情報記録媒体の情報記録面に第1のレーザ光を収束させる際に、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズが傾けられる。また、対物レンズが第2の情報記録媒体の情報記録面に第2のレーザ光を収束させる際に、第2の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズが傾けられる。
したがって、第3のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とが略一致しており、第1のレーザ光のコマ収差、及び第1のレーザ光のコマ収差とは逆方向に発生する第2のレーザ光のコマ収差を、情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けることで補正することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を略平行光に変換するコリメートレンズをさらに備え、前記第1の情報記録媒体の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD1(mλ/deg)とし、前記第1の情報記録媒体における情報の記録又は再生時に、前記対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML1(mλ/deg)とし、前記第2の情報記録媒体の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD2(mλ/deg)とし、前記第2の情報記録媒体における情報の記録又は再生時に、前記対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML2(mλ/deg)とし、前記光源における前記第3のレーザ光の発光点と前記第1のレーザ光の発光点との間隔をδa(mm)とし、前記光源における前記第3のレーザ光の発光点と前記第2のレーザ光の発光点との間隔をδb(mm)とし、前記コリメートレンズの焦点距離をfcl(mm)とすると、前記光源は、下記の(14)式を満たすとき、前記対物レンズの光軸に対して前記第1の情報記録媒体の外周側から前記第1のレーザ光が入射するように配置され、下記の(15)式及び(16)式を満たすとき、前記対物レンズの光軸に対して前記第2の情報記録媒体の内周側から前記第2のレーザ光が入射するように配置されることが好ましい。
1.0≧(CMD1+CML1)×arctan(δa/fcl)/CML1>0・・・(14)
(CMD2+CML2)×arctan(δb/fcl)/CML2≧−1.0・・・(15)
(CMD2+CML2)×arctan(δb/fcl)≧10・・・(16)
この構成によれば、光源は、上記の(14)式を満たすとき、対物レンズの光軸に対して第1の情報記録媒体の外周側から第1のレーザ光が入射するように配置され、上記の(15)式及び(16)式を満たすとき、対物レンズの光軸に対して第2の情報記録媒体の内周側から第2のレーザ光が入射するように配置される。
したがって、対物レンズの光軸に対して第1の情報記録媒体の外周側から第1のレーザ光が入射する場合、上記の(14)式を満たすことで、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けることができる。また、対物レンズの光軸に対して第2の情報記録媒体の内周側から第2のレーザ光が入射する場合、上記の(15)式及び(16)式を満たすことで、第2の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源は、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3のレーザ光をさらに出射し、前記第3のレーザ光の発光点と前記第1のレーザ光の発光点との間隔は、前記第3のレーザ光の発光点と前記第2のレーザ光の発光点との間隔よりも大きく、前記第3のレーザ光の光軸と前記対物レンズの光軸とが略一致していることが好ましい。
この構成によれば、光源は、第1のレーザ光及び第2のレーザ光に加えて、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3のレーザ光をさらに出射する。この場合、第1〜第3のレーザ光の各発光点は、第3のレーザ光の発光点と第1のレーザ光の発光点との間隔が、第3のレーザ光の発光点と第2のレーザ光の発光点との間隔よりも大きく、第3のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とが略一致するように配置される。
したがって、第2のレーザ光の光軸と第3のレーザ光の光軸との間隔を小さくし、第3のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とを略一致させることにより、第2のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とを略一致させることができ、第2のレーザ光のコマ収差及び第3のレーザ光のコマ収差を補正する必要が無く、第1のレーザ光のコマ収差のみを補正すればよい。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記光源は、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を出射する第1の光源と、前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3のレーザ光を出射する第2の光源とを含み、前記第3のレーザ光の光軸と前記第2のレーザ光の光軸と前記対物レンズの光軸とが略一致していることが好ましい。
この構成によれば、第1の光源は、第1のレーザ光及び第2のレーザ光を出射し、第2の光源は、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長を有する第3のレーザ光を出射する。そして、第3のレーザ光の光軸と第2のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とが略一致している。
したがって、第2のレーザ光の光軸と第3のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とを略一致させることにより、第2のレーザ光のコマ収差及び第3のレーザ光のコマ収差を補正する必要が無く、第1のレーザ光のコマ収差のみを補正すればよい。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1の波長は、前記第2の波長よりも大きく、前記第2の波長は、前記第3の波長よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、第1の波長は、第2の波長よりも大きく、第2の波長は、第3の波長よりも大きいので、第1の波長を有する第1のレーザ光として赤外レーザ光を用い、第2の波長を有する第2のレーザ光として赤色レーザ光を用い、第3の波長を有する第3のレーザ光として青紫レーザ光を用いることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光を前記第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させる場合において、前記第1の情報記録媒体の単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCMD(mλ/deg)とし、前記対物レンズの単位角度あたりの傾きによって発生する3次コマ収差量をCML(mλ/deg)とし、前記対物レンズの光軸と、前記光源から出射される前記第1のレーザ光の光軸とのなす角度をα(deg)とすると、前記対物レンズは、1.0≧(CMD+CML)×α/CMLを満たすことが好ましい。
この構成によれば、対物レンズを傾ける量((CMD+CML)×α/CML)を1.0deg以下にすることにより、対物レンズを傾けた際に、対物レンズが情報記録媒体に接触するのを防止することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差は、少なくとも3次コマ収差と5次コマ収差とを含み、前記対物レンズ駆動部は、前記3次コマ収差が略ゼロとなるように前記対物レンズを傾けることが好ましい。
この構成によれば、3次コマ収差及び5次コマ収差のうち、3次コマ収差が略ゼロとなるように対物レンズが傾けられることにより、5次コマ収差も抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差は、少なくとも3次コマ収差と5次コマ収差とを含み、前記対物レンズ駆動部は、前記3次コマ収差の絶対値が前記5次コマ収差の絶対値よりも小さくなるように前記対物レンズを傾けることが好ましい。
この構成によれば、3次コマ収差の絶対値が5次コマ収差の絶対値よりも小さくなるように対物レンズが傾けられるので、3次コマ収差及び5次コマ収差を共に抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差は、少なくとも3次コマ収差と5次コマ収差とを含み、前記対物レンズ駆動部は、前記3次コマ収差の絶対値と前記5次コマ収差の絶対値とが略等しくなるように前記対物レンズを傾けることが好ましい。
この構成によれば、3次コマ収差の絶対値と5次コマ収差の絶対値とが略等しくなるように対物レンズが傾けられるので、トータル波面収差を最小にすることができ、ピーク強度の低下を抑制することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、未知の情報記録媒体の種類を判別するディスク判別部をさらに具備し、前記ディスク判別部は、前記対物レンズの傾きが略ゼロの状態で、記録又は再生の対象となる前記未知の情報記録媒体が、前記第2の情報記録媒体であるか否かを判別することが好ましい。
この構成によれば、対物レンズの傾きが略ゼロの状態で、記録又は再生の対象となる未知の情報記録媒体が第2の情報記録媒体であるか否かが判別される。したがって、第2のレーザ光の光軸と対物レンズの光軸とが略一致しているので、対物レンズの傾きを略ゼロにすることで、未知の情報記録媒体が第2の情報記録媒体であるか否かを正確に判別することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、未知の情報記録媒体の種類を判別するディスク判別部をさらに具備し、前記ディスク判別部は、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を最も減少させる方向に前記対物レンズの傾きを変化させた後、記録又は再生の対象となる未知の情報記録媒体が、前記第1の情報記録媒体であるか否かを判別することが好ましい。
この構成によれば、第1のレーザ光が対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を最も減少させる方向に対物レンズの傾きを変化させた後、記録又は再生の対象となる未知の情報記録媒体が第1の情報記録媒体であるか否かが判別される。したがって、第1のレーザ光は対物レンズの光軸に対して斜めに入射するので、コマ収差を最も減少させる方向に対物レンズの傾きを変化させることで、未知の情報記録媒体が第1の情報記録媒体であるか否かを正確に判別することができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、未知の情報記録媒体の種類を判別するディスク判別部をさらに具備し、前記ディスク判別部は、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に前記対物レンズの傾きを変化させた後、記録又は再生の対象となる未知の情報記録媒体の種類を判別することが好ましい。
この構成によれば、第1のレーザ光が対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる方向に対物レンズの傾きを変化させた後、記録又は再生の対象となる未知の情報記録媒体の種類が判別される。したがって、コマ収差を減少させる方向に対物レンズの傾きを変化させることで、未知の情報記録媒体の種別、すなわち第1の情報記録媒体であるか第2の情報記録媒体であるかを判別することができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、上記のいずれかに記載の光学ヘッドと、情報記録媒体を回転駆動するためのモータと、前記光学ヘッドと前記モータとを制御する制御部とを備える。
この構成によれば、上記のいずれかに記載の光学ヘッドを備えるので、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、光ディスク装置は、上記のいずれかの光学ヘッドを備えるので、コンピュータ、光ディスクプレーヤ及び光ディスクレコーダを、小型かつ安価に提供することができる。
本発明の他の局面に係る光学ヘッドの製造方法は、第1の波長を有する第1のレーザ光と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2のレーザ光とを出射する光源を、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が前記半径方向の外周側における前記対物レンズの端部よりも低くなるように前記対物レンズが傾いた場合に、前記第1の情報記録媒体の半径方向に発生するコマ収差が補正されるように実装するステップと、前記対物レンズが前記第1の情報記録媒体の情報記録面に前記第1のレーザ光を収束させる際に、前記第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における前記対物レンズの端部が前記半径方向の外周側における前記対物レンズの端部よりも低くなるように前記対物レンズを傾けることで、前記第1のレーザ光が前記対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる対物レンズ駆動部を実装するステップとを含む。
この構成によれば、光源は、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズが傾いた場合に、第1の情報記録媒体の半径方向に発生する前記コマ収差が補正されるように実装される。対物レンズは、第1のレーザ光を第1の情報記録媒体の情報記録面に収束させ、第2のレーザ光を第1の情報記録媒体とは異なる第2の情報記録媒体の情報記録面に収束させる。そして、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けることで、第1のレーザ光が対物レンズの光軸に対して斜めに入射することによって発生するコマ収差を減少させる対物レンズ駆動部が実装される。
したがって、それぞれ波長の異なる複数のレーザ光の発光点の位置が異なることによって発生するコマ収差を補正することができる。また、第1の情報記録媒体の半径方向の内周側における対物レンズの端部が半径方向の外周側における対物レンズの端部よりも低くなるように対物レンズを傾けるので、第1の情報記録媒体の内周側に設けられたスタックリングに接触することなく、コマ収差を補正することができる。