JP5128233B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形品並びに電線・ケーブル - Google Patents
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Description
かかる、ポリエチレン系樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂における僅かな欠点のひとつとして、樹脂材料のなかで比較的に、可燃性で燃焼し易く、その目安とされる酸素指数が比較的低く、ハロゲン化ビニル樹脂等に比して、ポリオレフィン系樹脂は空気中の酸素割合の約21%より大略小さい酸素指数の数値を呈している。そのために、技術分野によっては防災等の観点から、その難燃化の要望と必要性が高くなっている。
このような有機系難燃剤の難点を克服するために、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤を配合する方法等が提案されているが、無機系難燃剤では大量に配合しなければ難燃化性能が発揮されないという欠点を有しており、無機系難燃剤を大量に配合した難燃性樹脂組成物は、機械的強度や耐傷付き性等が低下するという問題点を抱えている。
更に、かかる機械的強度や耐傷付き性等を改良するために、直鎖状低密度ポリエチレンを無水マレイン酸で変性した重合体を、難燃性樹脂組成物に配合して各成分の相溶性等を改良した組成物が提案されているが、分散性や相溶性等の向上と難燃性のバランスが不充分である。
また、オレフィン系樹脂に特定のリン化合物をグラフト変性した難燃性ポリオレフィン系樹脂も提案されているが(特許文献4)、樹脂組成物において分散性や相溶性及び接着性等の性能が不足しており、難燃化性能も充分とはいえない。
よって、本発明は、かかる新規なポリオレフィン系樹脂材料の開発を成すことを、発明が解決すべき課題とするものである。
具体的には、エチレン系二元ランダム共重合体(D1)は、下記式(I)で表される繰り返し単位(A)と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)により構成され、エチレン系三元ランダム共重合体(D2)は、下記式(I)で表される繰り返し単位(A)と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)及び下記式(III)で表わされる繰り返し単位(C)により構成される。
エチレン系三元ランダム共重合体(D2)においては、繰り返し単位(A)99.8〜85.0モル%と、繰り返し単位(B)0.1〜10.0モル%及び繰り返し単位(C)0.1〜5.0モル%により構成され、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元共重合体である。
また、樹脂系組成物においては、エチレン系二元ランダム共重合体(D1)及び/又はエチレン系三元ランダム共重合体(D2)が0.5〜95重量%、他のポリオレフィン系樹脂が5.0〜95重量%である。
具体的には、上記エチレン系二元共重合体(D1)及び/又はエチレン系三元共重合体(D2)に、又はそのポリオレフィン系樹脂組成物の100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合し、無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムであり、ポリオレフィン系樹脂(E)が、好ましくは密度0.86〜0.94g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体からなる群から選ばれる、少なくとも一種のポリエチレン系樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、更に変性ポリエチレン樹脂0.1〜10重量部を配合する態様である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の利用態様としては、その優れた性能を利用した成形品及び電線・ケーブルを好適に例示することができる。
そして、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物においては、他のポリオレフィン系樹脂をも配合するので、ポリオレフィン系樹脂本来の優れた諸特性を充分に発揮することができ、更に、組成物が柔軟であり無機難燃剤等の受容性に富み、特に、電線・ケーブル等の成形品等に要求される耐傷付き性と引張強度等に対して優れた性能を呈するものである。
そして、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物においての主成分である新規なエチレン系二元及び三元共重合体は、先の段落0006に掲示した特許文献には記載されていず、その他の特許文献においても見い出すことはできない。
8〜85.0モル%と、式(II)で表される繰り返し単位(B)0.1〜10.0モル%及び式(III)で表される繰り返し単位(C)0.1〜5.0モル%により構成され、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元ランダム共重合体(D2)100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
[4]無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする[2]におけるポリオレフィン系樹脂組成物。
[5][2]又は[4]におけるポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、更に変性ポリエチレン樹脂を0.1〜10重量部配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
[6][1]〜[5]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物を主材とする成形品。
[7][1]〜[5]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物を用いた電線・ケーブル。
また、本発明はエチレン系三元共重合を配合成分とするので、第三成分の無水マレイン酸基が導入されることにより、他材料との接着性及びフィラーや他の樹脂類との分散性や相溶性等の特性を向上させることができる。
そして、長期的に安定でかつ効率的で持続的な難燃効果を呈することができ、表面の耐傷付性や機械的強度等に優れる各種の成形品や電線・ケーブル等において格別に有用である。電線・ケーブルに成形された場合には、柔軟であることから施工時の作業性に優れるという利点も有している。
(1)エチレン系二元共重合体(D1)の構造
本発明のエチレン系二元共重合体(D1)は、下記式(I)及び(II)の繰り返し単位の(A)及び(B)から構成されるランダム二元共重合体であり、下記式(I)の繰り返し単位(A)の単量体はエチレンであり、下記式(II)の繰り返し単位(B)の単量体は、下記式(IV)の化学式で示される炭素−炭素二重結合を有するリン化合物である。
また、nは0〜4の整数であり、CH2=CH−(CH2)n−は、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等を包含するものであり、これらの中でもビニル基が好ましい。
繰り返し単位(A)が99.95モル%を超えると難燃性の効果が乏しくなり、50.0モル%未満では製造が困難となる。また、繰り返し単位(B)が0.05モル%未満では難燃性の効果が乏しくなり、50.0モル%を超える場合は、製造が困難となる。
エチレン系共重合体を構成する繰り返し単位(A)及び(B)の量(モル%)は、当該共重合体の製造時に原料として使用されるそれぞれの単量体の量比を増減させることにより制御することができる。
本発明のエチレン系二元共重合体(D1)において、エチレン系共重合体の分子量としては、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000の範囲、好ましくは10,000〜400,000、更に好ましくは15,000〜300,000の範囲である。
重量平均分子量(Mw)が5,000未満では、機械的強度が低下し、500,000を超える場合には加工性などに難点を有する惧れがある。
(i)測定条件
ウオーターズ社製150C型を使用して、下記の条件で測定を行い、重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム:Shodex HT−G(昭和電工(株)製)及び同・HT−806M(昭和 電工(株)製)×2本
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:140℃
流量:1.0ml/分
注入量:300μl
(ii)サンプル調整
市販の4mlスクリュートップバイアル瓶に試料約3mg及び溶媒3.0mlを量り採り、センシュー科学製SSC−9300型撹拌機を用い、温度150℃で2時間振とうを行った。
(iii)分子量の計算
GPCクロマトデータは1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版(株)発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行い、Mw値を計算した。
(iv)カラムの較正
カラムの較正は、昭和電工(株)製単分散ポリスチレン(S−7300,S−3900,S−1950,S―1460,S−1010,S−565,S−152,S−66.0,S−28.5,S−5.05)、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの各0.2mg/l溶液を用いて、一連の単分散ポリスチレンの測定を行い、それらの溶出ピーク時間と分子量の対数の関係を4次多項式でフィットしたものを較正曲線とした。
なお、ポリスチレンの分子量は、次式を用いてポリエチレンの分子量に換算した。 MPE=0.468×MPS
本発明のエチレン系二元共重合体(D1)における、エチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)の制御(コントロール)は、ラジカル重合法による場合は、通例のラジカル重合法による低密度ポリエチレンを製造する方法で行われる。
例えば、「高圧法ポリエチレン技術史」石油化学工業協会・1998年3月・52〜55頁等に記載されるように、ラジカル重合法ポリエチレンは、管型反応器(チューブラーリアクター)と槽型反応器(オートクレーブリアクター)で製造されているが、管型反応器では、非常に高温・高圧となるため、槽型反応器に比して低分子成分が生成し易く、槽型反応器では、反応器内で強撹拌・混合が行われるために、ポリマーとラジカル開始剤、生長ラジカル末端の接触確率が高く、その結果ポリマーの連鎖移動反応が起き易く、高分子量成分や長鎖分岐が多くなる。しかしながら、これらの分子量分布の値は双方において殆ど差は無い。
て分子量分布を狭くすることも可能であり、活性化エネルギーの低い連鎖移動剤にすれば同じ運転条件でも分子量分布は狭くなる。
重合温度の場合では低温で高分子量体が得られ、コモノマー量の場合では、 極性モノマー(ビニルリン化合物)の添加量を少なくすると分子量が上がる傾向を有する。更に、触媒の構造による場合には遷移金属の周りを嵩高い置換基で遮蔽することにより、高分子量体が得られる傾向があり、特にアリール基やアルコキシ基のような電子供与性置換基が遷移金属と相互作用可能となるように配位子を設計することにより、β−水素脱離が抑制され、高分子量体を得ることが可能である。
なお、本発明のエチレン系共重合体の融点は、通例では60℃〜135℃、好ましくは80℃〜135℃、より好ましくは90℃〜135℃の範囲である。
本発明のエチレン系共重合体(D1)の製造方法は、好ましくは、ラジカル開始剤の存在下で製造されるラジカル重合法、或いはチーグラー系触媒等のイオン重合用触媒の存在下で製造されるイオン重合法などで製造される。
(i)重合条件
本発明のエチレン系共重合体(D1)のラジカル重合法による製造方法は、ラジカル開始剤の存在下において、重合温度100〜300℃、好ましくは120〜280℃、より好ましくは、150〜250℃の範囲で重合される。
重合温度が100℃未満では、収率の低下や安定した製品を製造できない惧れがあり、300℃を超える場合には反応が安定せずに、分子量の大きい重合体を得ることが難しくなる。
また、重合圧力は50〜400MPa、好ましくは70〜350MPa、より好ましくは100〜300MPaの条件下であり、重合圧力が50MPa未満では充分な分子量のものが得られず加工性や物性の低下が生じ、400MPaを超える場合には安定的な製造運転が行い難い。
製造に際しては、基本的には通常の低密度ポリエチレンの製造設備及び技術を利用することができる。反応器の形式としては撹拌翼付のオートクレーブ型、又はチューブラー型のものを使用することができ、必要に応じて複数個の反応器を直列又は並列に接続して多段重合をすることもできる。更に、オートクレーブ型反応器の場合には、反応器内部を複数ゾーンに仕切ることにより、温度分布を設けたり、より厳密な温度制御をすることも可能である。このような操作によって、重量平均分子量(Mw)を制御することが可能である。
重合にあたってはエチレンとビニルリン化合物とを圧縮機で圧縮して反応器へ導入し、別にラジカル開始剤を反応器へ導入して重合反応を行う。
ラジカル開始剤の添加量は、エチレン単量体及びビニルリン化合物の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.5〜2重量部の範囲であり、必要ならば、連鎖移動剤等を用いて、分子量調節などを行ってもよい。
これらの中でも、半減期1分を得るための分解温度が、160〜200℃のものが好ましい。
(i)重合条件
本発明のエチレン系共重合体(D1)をイオン重合法によって製造する場合は、例えば、チーグラー系触媒等のイオン重合用触媒の存在下で、温度−50℃〜300℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは、50〜100℃の範囲で重合される。
重合温度が上記の下限未満では、収率の低下や安定した製品を製造できない惧れがあり、上限を超える場合には反応が安定せずに、分子量の大きい重合体を得ることが難しくなる。
また、重合圧力は、0より大きく100MPa以下の範囲内であり、好ましくは0.1MPa〜10MPaの範囲、より好ましくは0.2MPa〜5MPaの範囲である。
重合圧力が上記の下限未満では、充分な反応が起こらず、エチレンの重合が充分に進行せず、繰り返し単位(A)の割合が不足し、上記の上限を超える場合には反応が安定しなかったり、エチレンの重合活性が大きくなり過ぎて、繰り返し単位(B)の割合が不足する惧れが生じる。
(ii)重合触媒
これらのイオン重合用触媒は、無機酸化物やポリマー等を担体とする担持触媒として使用することができる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用し得る。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、溶液重合法、不活性溶媒を実質的に用いずにモノマーを溶媒として用いるバルク法、或いは実質的に液体溶媒を用いずに各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、重合方式としては、連続式重合と回分式重合に適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。更には、塩化メチレンやクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素溶媒を使用することもできる。重合活性を極度に損なわない限りはTHFや水といった含酸素溶媒を使用することもできる。また、分子量調節剤として補助的に水素等の連鎖移動剤を用いることができる。
(1)エチレン系三元共重合体(D2)の構造
本発明のエチレン系三元共重合体(D2)は、繰り返し単位の(A),(B)及び(C)から構成されるランダム三元共重合体であり、下記式(I)の繰り返し単位(A)の単量体はエチレンであり、下記式(II)の繰り返し単位(B)の単量体は、下記式(IV)の化学式で示される炭素−炭素二重結合を有するリン化合物であり、下記式(III)の繰り返し単位(C)の単量体は無水マレイン酸である。
なお、R1、R2の定義は、及び式(IV)のリン化合物の具体例は、本発明のエチレン系二元共重合体(D1)について段落0023及び0024において記載したとおりのものである。
(A)成分が99.8モル%を超え、(B)成分が0.1モル%未満、(C)成分が0.1モル%未満では、難燃性等の(B)成分及び(C)成分の性能が発揮されない惧れが生じる。また、(A)成分が85.0モル%未満、(B)成分が10モル%を超え、かつ(C)成分が5.0モル%を超えるものは製造が難しく、性状が安定したエチレン系三元共重合体が得られ難い。
なお、エチレン系三元共重合体を構成する繰り返し単位(A)、(B)及び(C)の量(モル%)は、当該共重合体の製造時に原料として使用されるそれぞれの単量体の量比を増減させることにより制御することができる。
本発明のエチレン系三元共重合体の分子量としては、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000の範囲、好ましくは10,000〜400,000、更に好ましくは15,000〜300,000の範囲である。
重量平均分子量(Mw)が5,000未満では、機械的強度が低下し、500,000を超える場合には加工性などに難点を有する惧れがある。
なお、本発明のエチレン系三元共重合体の融点は、通例では60℃〜135℃、好ましくは80℃〜135℃、より好ましくは90℃〜135℃の範囲である。
上記のGPCの測定条件及び測定方法、並びに分子量計算方法は、本発明のエチレン系二元共重合体(D1)について段落0027において記載したとおりのものである。
本発明のエチレン系三元共重合体の重量平均分子量(Mw)の制御(コントロール)は、ラジカル重合法による場合とイオン重合法による場合共に、本発明のエチレン系二元共重合体(D1)について段落0028〜0030において記載したとおりの方法により行われる。
本発明のエチレン系三元共重合体の製造は、本発明のエチレン系二元共重合体(D1)について段落0031〜0042において記載した方法に準じて同様に行われる。
本発明の(D1),(D2)以外のポリオレフィン系樹脂(E)とは、イオン重合で製造される高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂若しくは直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂等のイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(E1)、ラジカル重合で製造される低密度ポリエチレン等のエチレン(共)重合体(E2)や、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの相互共重合体、ブテン−1樹脂等(E3)が挙げられる。特にポリエチレン系樹脂が、本発明のランダム二元又は三元エチレン共重合体と同質の樹脂であり、均一分散等の点から好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(E1)とは、JIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した密度が0.860〜0.910g/cm3未満、JIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃・荷重2.16kg)で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エラストマー、直鎖状超低密度ポリエチレン等を包含する)、密度が0.910〜0.940g/cm3未満、MFRが0.1〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とも称す)、密度が0.940〜0.970g/cm3、MFRが0.1〜100g/10分の範囲のエチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体である高密度ポリエチレン樹脂が挙げられる。
また、ポリエチレン樹脂(E1)は、特に有機アルミニウムオキシ化合物とシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物によるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られる共重合体である場合には、更に好適である。
本発明で用いることのできるラジカル重合で製造されるエチレン(共)重合体(E2)とは、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン樹脂)、エチレン・ビニルエステル共重合体及びエチレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体等が挙げられ、これら低密度ポリエチレン樹脂等は公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法、オートクレーブ法のいずれの方法で製造してもよい。
上記の低密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.910〜0.935g/cm3、MFRが0.1〜5.0g/10分の範囲のものが好適に使用される。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂等(E3)とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等のα−オレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、ブテン−1樹脂、ポリエチレン系樹脂若しくはポリエチレン系エラストマーとポリプロピレン系樹脂との混合物、これらの混合物を動的架橋して得られるポリオレフィン系エラストマー(TPO)等を包含する。
(1)ポリオレフィン系樹脂組成物の基本構成
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、基本的に、ポリエチレン主鎖にビニルリン化合物を組み込む新規なエチレン系二元ランダム共重合体(D1)及び/又はポリエチレン主鎖にビニルリン化合物と無水マレイン酸を組み込む新規なエチレン系三元ランダム共重合体(D2)に、(D1)、(D2)以外の他のポリオレフィン系樹脂(E)及び/又は無機難燃剤を組み合わせる組成物として、樹脂組成物材料を構成するものである。
即ち、第一態様は、エチレン系二元ランダム共重合体(D1)及びエチレン系三元ランダム共重合体(D2)のいずれかと他のポリオレフィン系樹脂(E)との組み合わせ組成物、ないしは、エチレン系二元ランダム共重合体(D1)とエチレン系三元ランダム共重合体(D2)及び他のポリオレフィン系樹脂(E)の三成分組成物の三態様を成すものである。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の配合量は、エチレン系ランダム共重合体(D)(D1又はD2のみ、或いはD1とD2)0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(E)5〜99.5重量%の範囲、好ましくはエチレン系ランダム共重合体(D)1〜90重量%と、ポリオレフィン系樹脂(E)成分99〜10重量%、更に好ましくはエチレン系ランダム共重合体(D)5〜80重量%、ポリオレフィン系樹脂(E)成分95〜20重量%の範囲で選択される。
エチレン系ランダム共重合体(D)が0.5重量%未満、ポリオレフィン系樹脂(E)が99.5重量%を超える場合には、難燃効果や接着効果等のエチレン系ランダム共重合体(D)の難燃の向上効果が望めない。また、ポリオレフィン系樹脂(E)が5重量%未満、エチレン系ランダム共重合体(D)が95重量%を超える場合には、ポリオレフィン樹脂(E)の性能が発揮されない惧れが生じる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の第二の態様は、エチレン系二元ランダム共重合体(D1)及び/又はエチレン系三元ランダム共重合体(D2)のいずれかと無機難燃剤との組み合わせ組成物、ないしは、エチレン系二元ランダム共重合体(D1)及び/又はエチレン系三元ランダム共重合体(D2)と他のポリオレフィン系樹脂(E)と無機難燃剤との組み合わせ組成物であり、これら共重合体又は組成物100重量部に無機系難燃剤30〜200重量部を配合するポリオレフィン系樹脂組成物である。
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズの水和物、ホウ砂等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。上記の中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物、特に水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛及び水酸化マグネシウムが難燃効果に優れており、経済的にも有利である。これらの中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、特に合成または天然の水酸化マグネシウムが好ましい。
なお、上記の難燃剤は1種のみでも用いられるが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら無機系難燃剤の粒径は、平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下とされる。上記の無機系難燃剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、30〜200重量部であるが、好ましくは50〜180重量部、更に好ましくは、60〜150重量部の範囲で使用される。配合量が30重量部未満では、難燃効果の向上が不充分であり、200重量部を超える量を配合した場合には、耐衝撃強度の低下等の機械的強度や可撓性及び加工性が低下するばかりでなく、耐摩耗性が著しく低下し、かつ低温特性が悪化する。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物、特に無機系難燃剤を配合した組成物では、充分に分散性や相溶性が発揮されない場合や、更に分散性や相溶性を高める場合には、変性ポリエチレン樹脂を、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜7重量部、更に好ましくは1〜5重量部を配合してもよい。配合量が0.1重量部未満では効能が発揮されず、10重量部以上を加えてもそれ以上の効能の向上が望めない。
ここで変性とは、溶媒の存在下又は不存在下においてラジカル発生剤を使用し、α,β−不飽和ジカルボン酸又は酸無水物基を有する化合物と上記ポリエチレン樹脂を反応させることをいう。ポリエチレン樹脂中のα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を有する化合物の量はポリエチレン樹脂100重量%に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%がよい。α,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を有する化合物の量が0.001重量%よりも少なければ引張強度等の力学的特性が悪化し、10重量%より多ければ変性されるポリエチレン樹脂が過度の架橋又は分解を起こし、成形性が悪化する。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の利用の態様としては、その組成物を使用した成形品であり、押出成形、射出成形、吹込成形、回転成形、圧縮成形等の成形方法よって、フィルム、シート、発泡体、フィラメント、繊維、不織布、織布、袋、容器、電線、ケーブル等の成形品に成形されて活用され得るものである。
特に、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物においては、耐傷付き性や引張強度等が要求される電線・ケーブルに好適であり、更に、無機系難燃剤を配合した組成物を使用した壁紙材、化粧材、電線・ケーブルは、柔軟性に富むために、作業性や施工性に優れるものである。
(1)密度
JIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃・荷重21.18N)で測定した。
(3)融点
JIS K7121(1987)の手法に則り、パーキンエルマー社製DSC−7AのDSC測定装置を用いて、融解ピーク温度を測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)
段落0027に前記した方法による。
(5)エチレン系共重合体の13C−NMRスペクトル
試料0.3gをNMRの試料管に量り取り、オルトジクロロベンゼン2.3mlを加え、130℃で加熱溶解した後、重ベンゼン0.5mlを加えた。Varian社製Inova500分光計を用いて13C−NMRスペクトルを測定した。共鳴周波数125.7Hz、パルス繰り返し時間は16.3秒、フリップ角は90゜、積算回数は約2,000回、測定温度は130℃である。化学シフトの基準は、重ベンゼンのシグナルを128.0ppmとした。
(6)エチレン系共重合体の赤外吸収スペクトル
試料を180℃で融解させ、0.05mm厚のフィルムを圧縮成形法で作成し、日本分光(株)製FT/IR−6100で透過法赤外吸収スペクトルを測定した。
(7)リン単量体単位の含有量
試料0.1〜0.2gに硫酸と過酸化水素水を加え湿式分解を実施した後、溶液中のリンをJOBIN−YVON社製のJY−46Pを用いて、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定した。
(8)酸素指数(OI)
180℃の温度で、3mmのシートを圧縮(プレス)成形にて作成し、幅6.5mm×長さ150mmの試験片を切削して得た。得られた試験片をJIS K−7201の手法に則り、酸素指数を測定した。
酸素測定装置を用い、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、着炎後の燃焼長さが50mm以上に燃え続けるのに必要な最低酸素流量の測定によって酸素指数を求めた。
OI(%)={[O2]/([O2]+[N2])}×100
[O2]:酸素の流量L/分
[N2]:窒素の流量L/分
(エチレン系二元ランダム共重合体樹脂(D1)の製造)
容積4Lで2ゾーンに分割されたオートクレーブ型反応器を使用し、予めジエチルビニルホスホネート(DEVP)とエチルベンゼン(EB)を、DEVP:EB=2:1の割合でタンク内で充分に混合し、均一な溶液として高圧ポンプで第2圧縮機の上流に注入した。DEVP溶液はエチレンと共に昇圧して反応器の第1ゾーンにフィードした。反応器入口におけるエチレンモノマーの温度は35℃であり、エチレン流量45kg/hr、DEVPの注入量は1.4L/hrとした。一方、ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレートをイソパラフィンに12.6g/Lとなるように濃度を調製しながら溶解し、0.107L/hrで反応器の第1ゾーンに注入し、重合温度205℃・重合圧力140MPaの条件で重合を行った。生成したエチレン系二元ランダム共重合体は、高圧分離器及び低圧分離器にて未反応モノマーと分離し、押出機を用いてペレット化して、試料を得た(D1)。
得られたポリマーを13C−NMRにかけて、エチレン系共重合体の構造を確認した。一般的なラジカル法低密度ポリエチレンには見られない16.7ppm、28.3ppm、29.6ppm、37,5ppm、61.2ppmにDEVP由来のシグナルを観察できた。エチレン系二元ランダム共重合体の推定構造を図1に示し、NMRでの測定結果を図2に示す。図2のチャート記載の数値は、図1の化学構造の各炭素に帰属される。
また、得られたポリマーの赤外吸収スペクトルには、1030cm−1、1070cm−1、1250cm−1付近に、P=O基に基づくピークが認めらる。図4に赤外吸収スペクトルを示す。
上記で得られたポリマーを、ICP発光分析装置で、DEVP由来単位の含有量を測定したところ1.0モル%であり、190℃・2.16kg荷重で測定したMFRは、1.4g/10分、融点は106℃、密度0.923g/cm3であり、重量平均分子量(Mw)は49,000であった。この共重合体の酸素指数(OI)は19.5%であった。
また、参考例として高圧低密度ポリエチレンの単独重合体を製造し、その酸素指数等を測定した。また、NMRの測定結果を図3に、赤外吸収スペクトルを図5に示す。これらの結果を表1に示した。
(エチレン系三元ランダム共重合体樹脂(D2)の製造)
容積4Lで2ゾーンに分割されたオートクレーブ型反応器を使用し、開始剤としてt−ブチルパーオキシピバレートをイソパラフィンに12.6g/lとなるように溶解し、0.107・l/hrで反応器の第1ゾーンに注入した。一方、ジエチルビニルホスホネート(DEVP)と無水マレイン酸及びエチルベンゼンを、DEVP:無水マレイン酸:エチルベンゼン=2:0.5:1の割合でタンク内で充分混合して均一な溶液とした後、高圧ポンプで第2段圧縮機の上流に注入し、エチレンと共に所定の圧力に昇圧し、反応器の第1ゾーンにフィードした。反応器入り口におけるエチレンモノマーの温度は約35℃であり、エチレン流量45kg/hr、コモノマーの注入量は1.5・l/hrとし、重合温度205℃・重合圧力140MPaの条件で重合した。
生成した共重合体(D2)は、高圧分離器と低圧分離器にて未反応モノマーを分離し、押出機を用いペレット化し測定サンプルに供した。
得られたポリマー中の無水マレイン酸量は上記のIR測定法に従い算出した結果、無水マレイン酸量は0.3モル%であった。また、得られたポリマーをICP発光分析法により、DEVP由来単位の含有量を同定したところ、1.0モル%だった。190℃・2.16kg荷重で測定したMFRは3.4g/10minであり、重量平均分子量(Mw)は25,000、密度は0.913g/cm3 、融点は103℃であった。この重合体の酸素指数(OI)は19.5であった。これらの結果を表1に示した。
上記で製造したエチレン系二元ランダム共重合体樹脂(D1)を80重量%、ポリオレフィン系樹脂(E1)として、高密度ポリエチレン(MFR0.7g/10min、密度0.963g/cm3、銘柄:ノバテックHD HB439R、日本ポリエチレン(株)製、HDPEと称す)を20重量%、押出機を用いて温度200℃にて溶融混練し、ペレット状のポリオレフィン系樹脂組成物を得た。
得られたポリオレフィン系樹脂組成物のMFRは0.8g/10min、密度 は0.931g/cm3、酸素指数は19.0であった。
上記で製造したエチレン系三元ランダム共重合体樹脂(D2)を用い、実施例1に記載の方法に同じにて実施して、ペレット化し物性を測定した。得られたポリオレフィン系樹脂組成物のMFRは0.6g/10min、密度は0.923g/cm3、酸素指数は19.5であった。
ポリオレフィン系樹脂(E1)として、高密度ポリエチレン(MFR0.7g/10min、密度0.963g/cm3、銘柄:ノバテックHD HB439R、日本ポリエチレン(株)製、HDPEと称す)及び(E2)として直鎖状低密度ポリエチレン(MFR2.1g/10min、密度0.920g/cm3、銘柄:ノバテックLL F30HG 日本ポリエチレン(株)製、LLDPEと称する)のみを用いて物性を測定した。これらの結果を表2にまとめた。
エチレン系二元ランダム共重合体樹脂(D1)100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)100重量部を混合し、竪型定量供給機と連続混練装置及びベント式押出機で構成されたナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数、及び引張破壊伸びを測定し、結果を表3に示した。
エチレン系二元ランダム共重合体樹脂(D1)50重量%とエチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15重量%、銘柄:レクスパールEEA A1150 日本ポリエチレン(株)製、EEAと称す)(E3)50重量%とからなる樹脂成分100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)50重量部を混合し、実施例3のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数及び引張破壊伸びを測定し、結果を表3に示した。
実施例4に準拠して、樹脂の配合比と無機系難燃剤の配合量等を変更して、評価した結果を表3に示した。
エチレン系二元ランダム共重合体樹脂(D1)80重量%とポリプロピレン重合体(MFR(230℃・2.16kg)0.8g/10min、銘柄:ノバテックPP EC−9 日本ポリプロ(株)製、PPと称す)(E4)20重量%とからなる樹脂成分100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)100重量部を混合し、実施例3のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数(OI)を測定した結果、33%であった。
ポリプロピレン重合体(MFR(230℃・2.16kg)0.8g/10min、銘柄:ノバテックPP EC−9 日本ポリプロ(株)製、PPと称す)(E4)100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)100重量部を混合し、実施例3のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数(OI)を測定した結果、24%であった。
エチレン系三元ランダム共重合体(D2)50重量%、ポリオレフィン系樹脂(E3)50重量%で構成される樹脂成分100重量部に、無水マレイン酸で変性した変性ポリエチレン樹脂(銘柄:アドテックス L6100M 日本ポリエチレン(株)製)5重量部と、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)200重量部を混合し、実施例3のナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数は、38%、引張破壊伸びは550%であった。
製造例1〜2おけるNMRスペクトル、IRスペクトルの各データ及びICP発光分析の結果により、本発明の新規なエチレン系二元及び三元共重合体のポリマー構造が、先の式(I),(II)及び(III)の繰り返し単位を有するランダム構造を成していることが実証されている。また、本発明のエチレン系二元及び三元共重合体の重量平均分子量(Mw)が5,000〜500,000の範囲にあることも実証されている。
そして、実施例1,2と比較例1,2の対比により各実施例の難燃性が高いことが示されている。実施例3は、比較例5に比して、難燃性及び引張破壊伸びが大幅に向上していることを示している。実施例4は、比較例6に比して、無機系難燃剤の配合量が半分量の50重量部に関わらず、難燃性が高く、かつ無機系難燃剤の配合量が少ないので引張破壊伸びが非常に高く、柔軟性を有していることを示している。実施例5、6は、比較例6と同量の無機系難燃剤が配合されたものであるが、難燃性と引張破壊伸びが優れている。特に、実施例6は、無水マレイン酸基を有したエチレン系三元ランダム共重合体を使用しているため、引張破壊伸びが格別に高く、柔軟性に富んでいることを示している。実施例7は、樹脂成分100重量に対して無機難燃剤を200重量部配合したものであるが、無水マレイン酸基を有したエチレン系三元ランダム共重合体を使用しているめ難燃性と引張破壊伸びが格別に高く、無機難燃剤の受容性が高いことを示している。
比較例3,4は、無機系難燃剤を300重量部配合した組成物であり、当然に難燃性が高いものの、引張破壊伸びが大幅に低下し、脆化し易いものであった。
実施例8は比較例7に比して難燃性に優れ、実施例9は難燃性と引張破壊伸びに格別に優れている。
したがって、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、難燃性が高いと共に、ポリエチレン系樹脂材料本来の格別に優れた特性を充分に発揮できる、新規な組成物材料であることが明確に実証されている。
Claims (7)
- 下記式(I)で表される繰り返し単位(A)99.95〜50.0モル%と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)0.05〜50.0モル%により構成され、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系二元ランダム共重合体(D1)、及び/又は下記式(I)で表される繰り返し単位(A)99.8〜85.0モル%と、下記式(II)で表される繰り返し単位(B)0.1〜10.0モル%及び下記式(III)で表わされる繰り返し単位(C)0.1〜5.0モル%により構成され、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元ランダム共重合体(D2)0.5〜95重量%、並びに(D1),(D2)以外の他のポリオレフィン系樹脂(E)5.0〜99.5重量%のみから構成されるポリオレフィン系樹脂組成物。
- 式(I)で表される繰り返し単位(A)99.95〜50.0モル%と、式(II)で表される繰り返し単位(B)0.05〜50.0モル%により構成され、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系二元ランダム共重合体(D1)、及び/又は式(I)で表される繰り返し単位(A)99.8〜85.
0モル%と、式(II)で表される繰り返し単位(B)0.1〜10.0モル%及び式(III)で表わされる繰り返し単位(C)0.1〜5.0モル%により構成され、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系三元ランダム共重合体(D2)100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
- ポリオレフィン系樹脂(E)が、密度0.86〜0.94g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体からなる群から選ばれる、少なくとも一種のポリエチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
- 無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項2又は請求項4に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、更に変性ポリエチレン樹脂を0.1〜10重量部配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を主材とする成形品。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を用いた電線・ケーブル。
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