JP2009102552A - エチレン系グラフト共重合体及びそれを成分とする樹脂組成物並びにそれらの成形品 - Google Patents

エチレン系グラフト共重合体及びそれを成分とする樹脂組成物並びにそれらの成形品 Download PDF

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卓親 松尾
Hajime Yamazaki
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Abstract

【課題】難燃性ポリオレフィン系樹脂材料における、難燃剤の滲出や燃焼時の有毒ガスの発生などの諸問題を派生せず、難燃性に優れると共に、ポリオレフィン系樹脂の格別に優れた特性を発揮できるポリエチレン系樹脂材料を提供する。
【解決手段】ポリエチレン主鎖に不飽和ホスホン酸エステル単量体及び無水マレイン酸にグラフトされ、Mwが5,000〜500,000であるエチレン系グラフト共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なエチレン系グラフト共重合体及びそれを成分とする樹脂組成物並びにそれらの成形品に関し、詳しくは、ポリエチレン重合鎖(A)に、特定の炭素−炭素二重結合を有するリン原子含有単量体単位(B)(以下において、「ビニルリン化合物」と称す。)及び無水マレイン酸単量体単位(C)がグラフトされたエチレン系グラフト共重合体、及び当エチレン系グラフト共重合体とポリオレフィン系樹脂及び/又は無機系難燃剤を成分とするポリオレフィン系樹脂組成物並びにそれらの成形品に係わるものである。
最近の工業技術分野における産業用資材の多様化や高機能化等への展開により、ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系樹脂材料も、例えば、メタロセン系触媒の利用による高機能化、エラストマーやブロック共重合体等への多様化に見られるように、ポリオレフィン系樹脂の優れた特性を更に高め、或いは短所を改良して、フィルムやシートなどの基材、容器や繊維製品、土木建築資材や自動車用部材、或いは、電気・電子部品用材料等として広く重用されている。
かかる、ポリオレフィン系樹脂における僅かの欠点のひとつとして、可燃性で燃焼し易く、そのために、技術分野によっては防災等の観点から、その難燃化の要望と必要性が高くなっている。
基本的に樹脂材料の難燃化には、主に、難燃化剤の配合と樹脂自体の難燃化が考えられ、従来から、難燃化剤の配合が広く使用されており、その代表例として、臭素系難燃剤やリン系難燃剤等の有機系難燃剤の配合が挙げられる。
しかるに、有機系難燃剤を配合した樹脂組成物の場合には、有機系難燃剤がブリードアウト(製品表面への滲出)し、長期的には樹脂性能が維持できないという問題を呈している。また、リン含有難燃剤では、加水分解により所定の難燃性を発現できないことがある。更に、有機系難燃剤には、ハロゲン系難燃剤が多く、燃焼時に有毒ガスが発生するという環境と安全面の難点を有している。このような有機系難燃剤の難点を克服するために、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤を配合する方法等が提案されているが、無機系難燃剤では大量に配合しなければ難燃化性能が発揮されないという欠点を有しており、無機系難燃剤を大量に配合した難燃性樹脂組成物は、機械的強度や耐傷付き性等が低下するという問題点を抱えている。かかる機械的強度や耐傷付き性等を改良するために、直鎖状低密度ポリエチレンを無水マレイン酸で変性した重合体を、難燃性樹脂組成物に配合して各成分の相溶性等を改良した組成物が提案されているが、分散性や相溶性等の向上と難燃性のバランスが不充分である。
一方、樹脂自体を難燃化する手法としては、重合体の骨格に直接ビニルリン化合物を導入した共重合体として、ハロゲン含有エチレン状不飽和単量体とビス(ヒドロカルビル)ビニルホスホネートとの共重合体(特許文献1)、或いはアクリロニトリル、塩化ビニリデン、酸基を含有する単量体と不飽和ホスホン酸エステルとの共重合体(特許文献2)、リン含有ビニル系単量体の単独重合体又は該リン含有ビニル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル系単量体から選ばれた1種以上の単量体との共重合体(特許文献3)等が、難燃性に優れる重合体又は共重合体として知られているが、これらはポリオレフィン系樹脂そのものを難燃化するものではないし、これらは主に乳化重合で製造されているが、エチレン単量体を用いた場合には、このような乳化重合でエチレン単独重合体又は共重合体を得ることは難しい。
また、オレフィン系樹脂に特定のリン化合物をグラフト変性した難燃性ポリオレフィン系樹脂も提案されているが(特許文献4)、樹脂組成物において分散性や相溶性及び接着性等の性能が不足しており、難燃化性能も充分とはいえない。更に、リン系化合物をグラフトしたオレフィン系重合体を利用してノンハロゲ系難燃剤を配合した高難燃性オレフィン系樹脂組成物が提示されているが(特許文献5)、リン系化合物としてリン酸ポリオキシ・ポリオキシプロピレンビニルという特殊なビニルリン化合物をグラフトしたポリオレフィン系樹脂が例示されているのみであり、このような分子量が大きいビニルリン化合物では、難燃効果を発揮するリンの含有量を多くして難燃化性能を更に向上させることは難しく、樹脂組成物における分散性や相溶性及び接着性等も不足して、難燃性樹脂組成物としての望ましい性能が発揮されない。
特公昭55−49607号公報(特許請求の範囲及び第1頁右欄) 特公昭56−45409号公報(特許請求の範囲及び第1頁右欄) 特開2003−261875号公報(要約及び特許請求の範囲) 特開平11−171936号公報(要約及び特許請求の範囲) 特開2004−269780号公報(要約、特許請求の範囲及び段落0009)
背景技術において記述したように、機械的、化学的、光学的、電気的な諸性能に亘り格別に優れた特性を備え、経済性や成形加工性も高い、産業用の基幹資材であるポリオレフィン系樹脂材料を広い技術分野において更に有効に活用するためには、ポリオレフィ樹脂素材の特性を低下させずに、その僅かな短所のひとつである可燃性を高度に難燃化させ、併せて、従来の難燃化におけるブリードアウトや組成物の相溶性不足などの問題を付随しない、新規なポリオレフィン樹脂材料の開発が重要になっている。
しかして、本発明は、かかる新規なポリオレフィン樹脂材料を実現することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記の発明の課題を解決するためには、ポリオレフィン系樹脂自体を難燃化させるに際し、ポリエチレンのエチレン主鎖にビニル系リン化合物をグラフト重合させるのが有効であると考えたが、背景技術において先に提示した特許文献4に示されるビニル系リン化合物をグラフト重合させたポリエチレンでは、樹脂組成物において分散性や相溶性が不足して、それに由来してポリオレフィン本来の優れた特性や難燃性を充分に発揮できないので、かかる樹脂組成物においての分散性や相溶性の不足を解消するための手法を多面的に考察し実験において検証して、ビニル系リン化合物をグラフト重合させたポリエチレン主鎖に更に無水マレイン酸をグラフト重合させれば、かかる樹脂組成物においての分散性や相溶性の不足を解消することができ、逆にそれらを向上させ得ることを認識することとなり、本発明の新規なグラフト系ポリエチレンポリマーを開発して本発明を創作するに至った。
本発明における新規なグラフト系ポリエチレンポリマー(エチレン系グラフト共重合体)は、ビニル系リン化合物をグラフト重合させてグラフト重合体をポリエチレン主鎖に組み込んだポリエチレンに、そのグラフト重合の前後又は同時に、更に無水マレイン酸をグラフト重合させ無水マレイン酸ポリマーをポリエチレン主鎖に組み込んだ、新規な構造を有するポリエチレンポリマーである。
具体的には、ポリエチレン重合鎖(A)に下記式(I)で表されるで炭素−炭素二重結合を有するリン原子含有単量体単位(B)及び下記式(II)で表される無水マレイン酸単量体単位(C)がグラフトしてなる。
Figure 2009102552
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
Figure 2009102552
そして、ポリエチレン重合鎖(A)60〜94.5重量%に、炭素−炭素二重結合を有するリン原子含有単量体単位(B)5.0〜30重量%及び無水マレイン酸単量体単位(C)0.5〜10重量%がグラフトしてなり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000である、新規なエチレン系グラフト共重合体である。
本発明においては、実施の態様として、エチレン系グラフト共重合体に他のポリオレフィン系樹脂(D)を配合させるポリオレフィン系樹脂組成物、更に無機系難燃剤を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物をも発明の単位とし、また、かかる他のポリオレフィン系樹脂(D)及び無機系難燃剤を特定する。
更に発明の利用態様として、本発明のエチレン系グラフト共重合体及びその組成物を主材とする成形品、エチレン系グラフト共重合体及びその組成物を用いる電線・ケーブルを挙げられる。
本発明のエチレン系グラフト共重合体は、エチレン重合体の主鎖にリン化合物が導入されるために、従来のように難燃剤がブリードアウトする、或いは難燃剤が加水分解して所定の難燃性を発現できない、等という欠点がなく、長期的に安定した高い難燃性能を維持することができ、かつ、ポリエチレン樹脂に固有の、機械的特性、化学安定性、光学特性、電気特性及び成形加工性等の性能を充分に発揮せしめ得る。
また、第三成分の無水マレイン酸基がグラフト重合によりエチレン主鎖に導入されることによって、他材料との接着性及び樹脂組成物におけるフィラーや他の樹脂類との分散性や相溶性等の性能を充分に向上させることができる。
なお、背景技術において前記したところの、従来の特許文献4に示されるビニル系リン化合物をグラフト重合させたポリエチレンでは、樹脂組成物において分散性や相溶性が不足して、それに由来してポリオレフィン本来の優れた特性や難燃性を充分に発揮できず、特許文献5にはビニル系リン化合物をグラフト重合させたポリエチレンによる組成物が開示されていても特殊なビニル化合物によるものであるが、本発明はポリエチレンの主鎖にビニルリン化合物をグラフト導入して重合体の高い難燃化を成し、更に、無水マレイン酸もグラフト導入して樹脂組成物においての分散性や相溶性を高めて、ポリオレフィン本来の優れた特性や難燃性を充分に発揮し得る、新規なエチレン系グラフト共重合体を実現するに至ったものである。
そして、本発明の新規なエチレン系グラフト共重合体は、先の段落0005に掲示した特許文献には記載されていず、その他の特許文献においても見い出すことはできない。
以上において、本発明の創作の経緯と発明の基本的な構成と特徴について、概括的に記述したので、ここで本発明の全体的な構成を俯瞰すると、本発明は次の発明単位群からなるものである。[1]における発明が基本発明として構成され、[2]以下の各発明は、基本発明の実施態様ないしは利用態様を示すものである。なお、全発明単位をまとめて「本発明」と称している。
[1]ポリエチレン重合鎖(A)60〜94.5重量%に、下記式(I)で表される炭素−炭素二重結合を有するリン原子含有単量体単位(B)5.0〜30重量%及び下記式(II)で表される無水マレイン酸単量体単位(C)0.5〜10重量%がグラフトしてなり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系グラフト共重合体。
Figure 2009102552
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
Figure 2009102552
[2][1]におけるエチレン系グラフト共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物。
[3][1]におけるエチレン系グラフト共重合体を含む樹脂成分100重量部、又は[2]におけるポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
[4]ポリオレフィン系樹脂(D)が、密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体からなる群から選ばれる、少なくとも一種のポリエチレン系樹脂であることを特徴とする、[2]又は[3]におけるポリオレフィン系樹脂組成物。
[5]無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする、[3]又は[4]におけるポリオレフィン系樹脂組成物。
[6][1]におけるエチレン系グラフト共重合体を主材とすることを特徴とする成形品。
[7][2]〜[5]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物を主材とすることを特徴とする成形品。
[8][1]におけるエチレン系グラフト共重合体を用いることを特徴とする電線・ケーブル。
[9][2]〜[5]のいずれかにおけるポリオレフィン系樹脂組成物を用いることを特徴とする電線・ケーブル。
本発明の新規なエチレン系グラフト共重合体は、エチレン重合体の骨格主鎖に直接にビニルリン化合物及び無水マレイン酸の各ポリマーがグラフト導入された新規なエチレン系グラフト共重合体であるため、難燃性が格別に高くなると共に、従来のように、難燃剤のブリードアウトや加水分解が起こらず、ハロゲン系難燃剤による燃焼時の有毒ガス発生の難点も無く、また、従来のポリエチレン系樹脂等に赤リンを配合した難燃組成物では、赤リンに起因する赤色の着色が避けられず、色相において難点を有しているが、本発明のエチレン系グラフト共重合体により、このような問題点も解消される。
そして、ポリマー材料が柔軟で、無機難燃剤等の受容性に富み、ポリオレフィン系樹脂における格別に優れた機械的、化学的、光学的ないしは電気的な諸特性が損なわれることなく充分に発揮し得る材料である。
また、本発明のエチレン系グラフト共重合体は、第三成分の無水マレイン酸基が導入されることにより、他材料との接着性及びフィラーや他の樹脂類との分散性や相溶性等の特性を向上させることができる。
更に、本発明のエチレン系グラフト共重合体は、他のポリオレフィン系樹脂との組成物として、本来可燃性である他のポリオレフィン系樹脂を難燃化したり、接着性能を付与して他の基材と多層化をするなど種々の用途に活用することができ、或いは、無機系難燃剤を付加して難燃性を格別に高めることもできる。
したがって、長期的に安定でかつ効率的で持続的な難燃効果を有する難燃性ポリマーとして、或いは表面の耐傷付性や機械的強度等に優れる各種の成形品や電線・ケーブル等において格別に有用である。
以上においては、本発明における概略及び発明の基本的な構成及び特徴について記述したので、以下においては、本発明の全体を詳細に説明するために、発明の実施の形態を、発明を実施するための最良の形態として、具体的に詳しく記述する。
1.エチレン系グラフト(三元)共重合体
(1)エチレン系グラフト共重合体の基本構造
本発明のエチレン系グラフト(三元)共重合体は、段落0015等において前記したとおりに、ポリエチレン重合鎖(A)60〜94.5重量%に、下記式(I)で表される炭素−炭素二重結合を有するリン原子含有単量体単位(B)5〜30重量%及び下記式(II)で表される無水マレイン酸単量体単位(C)0.5〜10重量%がグラフトしてなり、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系グラフト共重合体である。
Figure 2009102552
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
Figure 2009102552
(2)エチレン系グラフト共重合体の構成単位
本発明のエチレン系グラフト共重合体とは、上記(A)成分のポリエチレン系樹脂の重合骨格の主鎖を、(B)成分のビニルリン化合物及び(C)成分の無水マレイン酸により、ラジカル開始剤の存在下でグラフト変性したエチレン系グラフト共重合体である。
本発明のエチレン系グラフト共重合体の(A)/(B)/(C)単位の含有割合は、(A)60〜94.5重量%/(B)5.0〜30重量%/(C)0.5〜10重量%、好ましくは、(A)68〜93.0重量%/(B)6.0〜25重量%/(C)1.0〜7.0重量%、より好ましくは、(A)75〜91重量%/(B)7〜20重量%/(C)2.0〜5.0重量%である。
上記(A)成分が60重量%未満、(B)成分が30重量%を超え、(C)成分が10重量%を超える場合には、エチレン系グラフト共重合体の製造が難しくなり、(A)成分が94.5重量%を超え、(B)成分が5.0重量%未満、(C)成分が0.5重量%未満では(B)成分、(C)成分の性能が発揮されない可能性がある。
エチレン系グラフト共重合体を構成する(繰り返し単位)(A)、(B)及び(C)の量(重量%)は、当該共重合体の製造時に原料として使用されるそれぞれの単量体の量比を増減させることにより制御することができる。
(3)ポリエチレン重合鎖(A)
本発明のポリエチレン重合鎖(A)を形成するポリエチレン系樹脂は、グラフト変性に供されるポリエチレン系樹脂であって、エチレン単独重合体或いはエチレンとα−オレフィンとの共重合体を指すものである。
一般的にはイオン重合で製造される高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂若しくは直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン系樹脂(A1)、ラジカル重合で製造される低密度ポリエチレン等のエチレン(共)重合体(A2)を包含するものである。
以下において、イオン重合で製造されるポリエチレン系樹脂(A1)とラジカル重合で製造されるエチレン(共)重合体(A2)について説明する。
(3−1)ポリエチレン系樹脂(A1)
本発明で用いることのできる、イオン重合で製造されるポリエチレン系樹脂(A1)とは、JIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した密度が0.860〜0.910g/cm未満、JIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃・荷重2.16kg)で測定したMFRが0.1〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体、密度0.910〜0.940g/cm未満、MFRが0.1〜100g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン樹脂とも称す)、密度が0.940〜0.970g/cm、MFRが0.1〜100g/10分の範囲のエチレン単独重合体又はエチレン・α−オレフィン共重合体で構成される高密度ポリエチレン樹脂を包含するものである。
上記のα−オレフィンとしては、直鎖又は分岐鎖状の炭素数3〜20のオレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンを挙げることができる。また、それらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。これら共重合体の中でも、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が経済性の観点から好適である。
本発明で用いることのできるイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(A1)を製造するためには、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒或いはメタロセン系触媒等のシングルサイト系触媒を用いて重合温度と圧力の重合条件、及び助触媒を制御(コントロールする)ことにより好適に製造可能である。
また、ポリエチレン樹脂(A1)は、特に有機アルミニウムオキシ化合物とシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物により構成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られる共重合体である場合には、更に好適である。
上記のイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(A1)は、特に重合触媒やプロセス等に限定されるものではなく、成書『ポリエチレン技術読本』(松浦一雄・三上尚孝編著 工業調査会刊行 2001年)のp.123〜160、p.163〜196等に記載されている方法により製造することが可能である。即ち、チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系触媒等を用い、スラリー法、溶液法、気相法の各重合様式にて、各種の重合器と重合条件等により製造することが可能である。
(3−2)ラジカル重合で製造されるエチレン(共)重合体(A2)
本発明で用いることのできるラジカル重合で製造されるエチレン(共)重合体(A2)とは、高圧ラジカル重合法によるエチレン単独重合体(低密度ポリエチレン樹脂)、エチレン・ビニルエステル共重合体及びエチレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体からなる群から選ばれる少なくとの一種の共重合体等が挙げられる。
低密度ポリエチレン樹脂等は公知の高圧ラジカル重合法により製造され、チューブラー法とオートクレーブ法のいずれの方法で製造してもよい。
上記の低密度ポリエチレン樹脂は、密度0.910〜0.935g/cm、MFR0.1〜5.0g/10分の範囲のものが好適に使用される。
エチレン・ビニルエステル共重合体は、エチレンを主成分とし、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができ、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。更に、ビニルエステル含有量は3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲で選択される。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体からなる群から選ばれる少なくとの一種の共重合体とは、(イ)エチレンとメタクリル酸との共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体、(ロ)エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(ハ)エチレン−無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体等の多元共重合体等が挙げられる。
これらのコモノマーとしては、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。
なお、(メタ)アクリル酸エステル等の含有量は3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の範囲である。
(4)グラフト単位(B)
先の式(I)で示されるグラフト単位(B)の単量体は、下記式(III)の化学式で示される炭素−炭素二重結合を有するリン化合物である。
Figure 2009102552
(ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
ここで、R1、R2は同一でも異なってもよく、炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。これらの中でもメチル基又はエチル基が好ましい。
また、nは0〜4の整数であり、CH=CH−(CH−は、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等を包含するものであり、これらの中でもビニル基が好ましい。
上記のグラフト単位(B)の単量体としては、例えば、ジメチルビニルホスホナート、ジエチルビニルホスホナート、ジメチルアリルホスホナート、ジエチル3−ブテニルホスホナート、ジエチルアリルホスホナート、ジメチル3−ブテニルホスホナート等が挙げられ、これらの中でもジメチルビニルホスホナート、ジエチルビニルホスホナートが好ましい。
(5)グラフト単位(C)
本発明のグラフト単位(C)の単量体は、下記式(II)の化学式で示される無水マレイン酸であり、それ以上に、特に限定されるものではない。
Figure 2009102552

本発明のエチレン系グラフト共重合体は、無水マレイン酸ポリマー部を有していることにより、他のポリオレフィン系樹脂(D)と良好な相溶性を有し、かつ無機系難燃剤とのカップリング効果を呈し、また、ビニルリン化合物単位のグラフト効果(難燃化その他)に加えて、ポリオレフィン系樹脂組成物の機械的強度を向上させ、更には、燃焼時の炭化層(チャー)の形成等を促して難燃性を更に向上させる効果を発揮するものと推察される。かかる作用効果は、無水マレイン酸単位をビニルリン化合物単位と組み合わせて初めて認識されたもので特異的であるといえる。
(6)エチレン系グラフト共重合体の分子量
本発明のエチレン系グラフト共重合体の分子量としては、GPCで測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000の範囲、好ましくは、7,000〜400,000、更に好ましくは、10,000〜300,000の範囲である。
重量平均分子量(Mw)が5,000未満では、機械的強度が低下し、500,000を超える場合には加工性などに難点を有する惧れがある。
(6−1)分子量の測定
上記のGPCの測定条件及び測定方法、並びに分子量計算方法は以下の通りである。
(i)測定条件
ーターズ社製150C型を使用して、下記の条件でGPC測定を行い、重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム:Shodex HT−G(昭和電工(株)製)及び同・HT−806M(昭和 電工(株)製)×2本
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:140℃
流量:1.0ml/分
注入量:300μl
(ii)サンプル調整
市販の4mlスクリュートップバイアル瓶に試料約3mg及び溶媒3.0mlを量り採り、センシュー科学製SSC−9300型攪拌機を用い、温度150℃で2時間振とうを行った。
(iii)分子量の計算
GPCクロマトデータは1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版(株)発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行い、Mw値を計算した。
(iv)カラムの較正
カラムの較正は、昭和電工(株)製単分散ポリスチレン(S−7300、S−3900、S−1950、S―1460、S−1010、S−565、S−152、S−66.0、S−28.5、S−5.05)、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの各0.2mg/l溶液を用いて、一連の単分散ポリスチレンの測定を行い、それらの溶出ピーク時間と分子量の対数の関係を4次多項式でフィットしたものを較正曲線とした。
なお、ポリスチレンの分子量は、次式を用いてポリエチレンの分子量に換算した。 MPE=0.468×MPS
(6−2)分子量の制御
本発明のエチレン系グラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)の制御は、(A)成分のポリエチレン系樹脂の重量平均分子量に依存する。したがって、通例のポリエチレン系樹脂の製造時における重量平均分子量の制御法が採用される。
例えば、ラジカル重合法における重量平均分子量(Mw)の制御は、これらの分子量分布の調整を行うことで制御され、一般的には重合温度と重合圧力の調整によって制御される。例えば、高分子量成分を減らすためには、平均分子量を同等に保ちながら分子量分布を狭くすることが肝要であって、反応温度分布を均一に保つ必要がある。このためには高圧下での低温反応を抑えることによって達成される。また、これらの反応条件は、反応開始剤を選択して制御できる。更に、連鎖移動剤(活性化エネルギーの低い連鎖移動剤を使用すれば同じ運転条件でも分子量分布は狭くなる)を選択して分子量分布を狭くすることも可能である。
また、イオン重合法では、一般的には(i)重合温度による調節、(ii) コモノマー量による調節、(iii) 触媒の構造による調節等によって、制御される。
重合温度の場合では低温で高分子量体が得られ、コモノマー量の場合では、 極性モノマーの添加量を少なくすると分子量が上がる傾向を有する。更に、触媒の構造による場合には遷移金属の周りを嵩高い置換基で遮蔽することにより、高分子量体が得らる傾向があり、特にアリール基やアルコキシ基のような電子供与性置換基が遷移金属と相互作用可能となるように配位子を設計することにより、β−水素脱離が抑制され、高分子量体を得ることが可能である。
(7)エチレン系グラフト共重合体の具体例
本発明のエチレン系グラフト共重合体の具体的な代表例としては、高密度ポリエチレン−g−ジエチルビニルホスホネート−g−無水マレイン酸共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)−g−ジエチルビニルホスホネート−g−無水マレイン酸共重合体、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)−g−ジエチルビニルホスホネート−g−無水マレイン酸共重合体、ラジカル重合法低密度ポリエチレン−g−ジエチルビニルホスホネート−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)−g−ジエチルビニルホスホネート−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)−g−ジエチルビニルホスホネート−g−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
2.エチレン系グラフト共重合体の製造方法
(1)グラフト変性方法
エチレン系グラフト共重合体の製造方法は、(A)ポリエチレン系樹脂、(B)成分のビニルリン単量体、及び(C)無水マレイン酸の所定量(各構成単位割合に応じて設定)の合計100重量部に、ラジカル開始剤0.1〜5重量部を加え、単数又は複数の重合反応器或いは単軸押出機及び/又は二軸押出機等を用いて溶融混練又は溶媒中で変性することにより達成される。
具体的には、押出機やバンバリーミキサー、ニーダーなどを用いる溶融混練法、適当な溶媒に溶解させる溶液法、適当な溶媒中に懸濁させるスラリー法、或いはいわゆる気相グラフト法等が挙げられる。
処理温度は、ポリエチレン樹脂の劣化、ビニルリン化合物や無水マレイン酸の分解、使用する過酸化物の分解温度等を考慮して適宜選択されるが、前記の溶融混練法を例に挙げると、通常はポリエチレン系樹脂の融点以上〜350℃であり、好ましくは190〜320℃、とりわけ200〜300℃の範囲が好適である。
ラジカル開始剤の添加量は、ポリエチレン樹脂、ビニルリン化合物及び無水マレイン酸の合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.5〜2重量部の範囲である。上記添加量が0.1重量部未満では良好なグラフト反応が行われない場合があり、5重量部を超える場合には架橋やゲル化が生じるなどの過度の反応が起こり、好ましくない。
上記のラジカル開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジt−ブチルジパーオキシイソフタレート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、アセチルパーオキサイド、i−ブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、1,1−ビスt−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ビスt−ブチルパーオキシオクタン、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等の有機過酸化物が挙げられる。これらの中でも、半減期1分を得るための分解温度が、160〜200℃のものが好ましい。
3.ポリオレフィン系樹脂組成物
本願の請求項2の第2発明は、エチレン系グラフト共重合体0.5〜95重量%と他のポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物である。
(1)ポリオレフィン系樹脂(D)
本発明で使用するポリオレフィン系樹脂(D)とは、前記ポリエチレン系樹脂(A)のエチレン単独重合体或いはエチレンとα−オレフィンとの共重合体とを包含し、一般的にはイオン重合で製造される高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂若しくは直鎖状超低密度ポリエチレン樹脂等のイオン重合で製造されるポリエチレン樹脂(A1)、ラジカル重合で製造される低密度ポリエチレン等のエチレン(共)重合体(A2)である。
その他に、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの相互共重合体、ポリブテン−1等が挙げられる。特にポリエチレン系樹脂が、エチレン系グラフト共重合体と同質の樹脂であり均一分散等の点から好ましい。
(2)配合量
エチレン系グラフト共重合体とポリオレフィン系樹脂(D)との配合量は、エチレン系グラフト共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)99.5〜5重量%の範囲、好ましくはエチレン系グラフト共重合体1〜90重量%、(D)成分99〜10重量%、更に好ましくはエチレン系グラフト共重合体5〜80重量%、(D)成分95〜20重量%の範囲で選択される。
エチレン系グラフト共重合体が0.5重量%未満、ポリオレフィン系樹脂(D)が99.5重量%を超える場合には、難燃効果や分散効果等のエチレン系グラフト共重合体の向上効果が望めない。ポリオレフィン系樹脂(D)が5重量%未満、エチレン系グラフト共重合体が95重量%を超える場合には、ポリオレフィン樹脂(D)の配合効果が発揮されない惧れが生じる。
上記のポリオレフィン系樹脂組成物は、押出成形、射出成形、ブロー成形等の成形によって、フィルム、シート、 積層体、パイプ、容器等の種々の成形品に利用可能である。
(3)無機系難燃剤の配合
本願の請求項3の発明のポリオレフィン系樹脂組成物とは、エチレン系グラフト共重合体100重量部、又はエチレン系グラフト共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%とのポリオレフィン樹脂組成物100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を配合した、格別に高度に難燃性を向上させたポリオレフィン系樹脂組成物である。
ここで使用されるポリオレフィン系樹脂(D)は、前記ポリオレフィン樹脂組成物で使用されるポリオレフィン系樹脂(D)と同じもので差し支えないが、特に密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体の群から選択された少なくとも一種のポリエチレン系樹脂が、柔軟性があり、大量に添加される無機系難燃剤の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの受容性を有し、柔軟性を損なわないことから望ましいものである。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が、難燃性と柔軟性などの難燃材料としての性能が高くて好ましい。
ここでのエチレン系グラフト共重合体とポリオレフィン樹脂(D)との配合量は、エチレン系グラフト共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%の範囲、好ましくはエチレン系グラフト共重合体1〜90重量%、(D)成分99〜10重量%、更に好ましくはエチレン系グラフト共重合体5〜80重量%、(D)成分95〜20重量%の範囲で選択される。
エチレン系グラフト共重合体0.5重量%未満、ポリオレフィン系樹脂(D)が99.5重量%を超える場合には、難燃効果や分散効果等のエチレン系グラフト共重合体の向上効果が望めない。また、ポリオレフィン系樹脂(D)が5重量%未満、エチレン系グラフト共重合体が95重量%を超える場合には、ポリオレフィン樹脂(D)の性能が発揮されない惧れが生じる。
上記の無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化スズの水和物、ホウ砂等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
上記の中では、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物、特に水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛及び水酸化マグネシウムが難燃効果に優れており、経済的にも有利である。これらの中でも水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましく、合成又は天然の水酸化マグネシウムが特に好ましい。
なお、上記の難燃剤は1種のみでも用いられるが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら無機系難燃剤を使用する場合、その表面を、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機ボラン、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸又はそれらの金属塩、パラフィン、ワックス、又はそれらの変性物等で処理を行なうことが望ましい。
これら無機系難燃剤の粒径は、平均粒径が20μm以下、好ましくは10μm以下である。
無機系難燃剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部、更に好ましくは、60〜150重量部の範囲で使用される。配合量が30重量部未満では、難燃効果の向上が不充分であり、200重量部を超える量を配合した場合には、耐衝撃強度の低下等の機械的強度や可撓性と加工性が低下するばかりでなく、耐摩耗性が著しく低下し、かつ低温特性が悪化する。
また、難燃助剤として、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、リン酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、二硫化モリブデン、粘土、赤リン、ケイソウ土、カオリナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、ホワイトカーボン、ゼオライト、ハイドロマグネサイト、メラミン、メラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ジメラミン、ポリリン酸メラミン、エチレンジアミンリン酸塩、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネレート、シリコーン、加熱膨張黒鉛等を併用しても良い。
これらの難燃助剤は上記の無機系難燃剤100重量部に対して50重量部まで配合することが望ましい。
(4)変性ポリエチレン樹脂の配合
更に、本発明の難燃組成物では、場合によっては変性ポリエチレン樹脂を、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部を配合してもよい。
変性ポリエチレン樹脂とは、ポリエチレン樹脂にα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を変性グラフトをしたポリエチレン樹脂であって、α,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物、或いはそれらの金属塩等が挙げられる。これらの中でもカップリング効果等が優れることから無水マレイン酸が最も好ましい。
ここで変性とは、溶媒の存在下又は不存在下においてラジカル発生剤を使用し、α,β−不飽和ジカルボン酸又は酸無水物基を有する化合物と上記ポリエチレン樹脂を反応させることをいう。変性ポリエチレン樹脂中のα,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を有する化合物の量はポリエチレン樹脂100重量%に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%がよい。α,β−不飽和ジカルボン酸又は無水物を有する化合物の量が0.001重量%よりも少なければ引張強度などの力学的特性が不足し、10重量%より多ければ変性されるポリエチレン樹脂が過度の架橋又は分解を起こし、成形性が悪化する。
上記の変性ポリエチレン樹脂の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、更に好ましくは2〜5重量部の範囲で選択される。配合量が0.1重量部未満では配合効果が発揮されず、10重量部以上を加えてもそれ以上の効果の向上が望めない。
4.その他
(1)エチレン系グラフト共重合体における利用態様
本発明のエチレン系グラフト共重合体又はそのポリオレフィン系樹脂組成物における利用成形品としては、押出成形、射出成形、吹込み成形、回転成形、圧縮成形等の成形方法よって、フィルム、シート、袋、容器、フィラメント、繊維、不織布、織布、電線、ケーブル、発泡体等の成形品に成形されて、活用され得るものである。
特に、本発明のエチレン系グラフト共重合体又はその組成物は、壁紙材、化粧材、電線・ケーブル等に好適に使用される。
(2)添加剤
本発明では、他の性能を付与する等のために、他の熱可塑性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、架橋剤、核剤、加工助剤、有機充填剤、水分吸収剤、無機充填剤等の添加剤を配合しても差し支えない。
[測定方法]
(1)密度
JIS K6922−1(1997)の試験方法に基づいて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1997)の試験法に基づいて条件D(温度190℃・荷重21.18N)で測定した。
(3)融点
JIS K7121(1987)の手法に則り、パーキンエルマー社製DSC−7AのDSC測定装置を用いて、融解ピーク温度を測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)
段落0037に前記した方法による。
(5)無水マレイン酸量:
無水マレイン酸(MAH)の付加量(マレイン化率)は、プレス成型機を用いて100ミクロンのシートを成型(温度;190℃)し、日本分光(株)製赤外吸収スペクトル測定器にてA1:1780cm−1の酸無水物基(C=O)と、A2:1710〜1720cm−1のカルボン酸基(C=O)及びA3:4250cm−1のメチレン基(−CH2−)の吸光度を測定し、以下のようにして求めた。
MAH量(重量%)=[{A1(酸無水物基)吸光度+A2(カルボン酸基)吸光度} /A3(メチレン基)吸光度]×(K:0.265)
(6)リン単量体単位の含有量
ポリマー試料をプレス成形機を用いて50ミクロンのシートを成型(温度:190℃)し、日本分光(株)製の赤外吸収スペクトル測定機にて、リン化合物の吸収スペクトルを測定し、スペクトルから、リン単量体単位の含有量を求めた。
(7)酸素指数(OI)
180℃の温度で、3mmのシートを圧縮(プレス)成形にて作成し、幅6.5mm×長さ150mmの試験片を切削して得た。得られた試験片をJIS K−7201の手法に則り、酸素指数を測定した。
酸素測定装置を用い、試験片の燃焼時間が3分以上継続して燃焼するか、着炎後の燃焼長さが50mm以上に燃え続けるのに必要な最低酸素流量の測定によって酸素指数を求めた。
OI(%)={[O]/([O]+[N])}×100
[O]:酸素の流量L/分
[N]:窒素の流量L/分
(8)引張破壊伸び:
180℃の温度で、1mmのシートをプレス成形にて作成し、JIS K−7622に記載の3号ダンベル片を打ち抜き、試験片を得た。JIS K−6922記載されているように、平行部に間隔25mmで標線を引き、チャック間80mmで、200mm/minの速度で引張試験を実施した。
破断時の標線間の距離を測定し、以下の式で計算して引張破壊伸びを求めた。
引張破壊伸び(%)=((破断時の伸び)mm−25)/25)×100
[実施例1](エチレン系グラフト共重合体樹脂の製造)
直鎖状低密度ポリエチレン(A)(MFR2.1g/10min、密度0.920g/cm、銘柄:ノバテックLL F30HG 日本ポリエチレン(株)製、LLDPEと称する)94重量%、炭素−炭素二重結合を有するリン単量体(B)としてジエチルビニルホスホネート(DEVPと称す)を5重量%、無水マレイン酸単量体(C)を1重量%を100重量部とし、それにラジカル重合開始剤として、日本油脂(株)製パーヘキシン25B(成分:2,5−ジメチル−2,5−ジブチル−パーオキシヘキシン−3−t−ブチルパーオキシド)0.05重量部を、予めヘンシェルミキサーで混合した後、ユニオン社製30mm単軸押出機(スクリュー形状:フルフライト、L/D=25、圧縮比:3.2)を用い、温度280℃、押出機内の滞留時間を1分30秒にして溶融混練させながらグラフト反応させ、出てきた溶融ストランドを水にて冷却し、カッティング装置を用いて、ペレット状のエチレン系グラフト共重合体(PE−1と称す)を得た。
得られたポリマーの赤外吸収スペクトルは、1030cm−1,1070cm−1,1250cm−1付近に、P=O基に基づくピークが認められた。また、1790cm−1にマレイン酸のC−O基に基づくピークが認められた。
上記で得られたポリマーを、キシレンにて溶解し、未反応単量体を除去した上で、トルエンにてポリマーを析出させ、乾燥した洗浄ポリマーを用いて、赤外の吸収によりビニルリン化合物単位の含有量を測定したところ4.7重量%であり、無水マレイン酸単位(MAHと称す)の含有量も同様に赤外の吸収から0.8重量%であり、190℃・2.16kg荷重で測定したMFRは、0.8g/10分、融点は122℃、重量平均分子量(Mw)は、110,000であった。この共重合体の酸素指数(OI)は19%であった。
[実施例2]
ビニルリン化合物(B)として、ジメチルビニルホスホネート(DMVPと称す)を用い、それぞれの化合物の配合を変更した以外は、実施例1に準拠してエチレン系グラフト共重合体(PE−2と称す)を製造し、生成ポリマーの測定結果を示した。
[比較例1]
直鎖状低密度ポリエチレン(MFR2.1g/10min、密度0.920g/cm、銘柄:ノバテックLL F30HG 日本ポリエチレン(株)製、LLDPE)単独で、実施例1に記載の方法でペレット化し、物性を測定した。
以上の結果を表1に示した。
Figure 2009102552
[実施例3]
実施例1で得られたエチレン系グラフト共重合体(PE−1)を80重量%、ポリオレフィン系樹脂(D−1)として、高密度ポリエチレン((MFR0.7g/10min、密度0.963g/cm、銘柄:ノバテックHD HB439R 日本ポリエチレン(株)製)を20重量%、押出機を用いて温度200℃にて溶融混練し、ペレット状のポリオレフィン系樹脂組成物を得た。
得られたポリオレフィン系樹脂組成物のMFR0.8g/10min、密度0.929g/cm、酸素指数は、18.5であった。(PE−3と称す)
[比較例2]
ポリオレフィン系樹脂(D−1)として、高密度ポリエチレン(MFR0.7g/10min、密度0.963g/cm、銘柄:ノバテックHD HB439R 日本ポリエチレン(株)製、HDPEと称す)を用いて、実施例3と同様に評価した。
[実施例4]
実施例2で得られたエチレン系グラフト共重合体(PE−2)を40重量%、ポリオレフィン系樹脂(D−2)として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15重量%、銘柄:レクスパールEEA A1150 日本ポリエチレン(株)製、EEAと称す)を60重量%を用いた他は、実施例3に記載の方法でペレット化し、物性を測定した。(PE−4と称す)
[比較例3]
ポリオレフィン系樹脂(D−2)として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(MFR0.8g/10min、アクリル酸エチル含有量15重量%、銘柄:レクスパールEEA A1150 日本ポリエチレン(株)製)を実施例4と同様に評価した。
以上の結果を表2に示した。
Figure 2009102552
[実施例5]
実施例1に記載のエチレン系グラフト共重合体(PE−1)100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)100重量部を混合し、竪型定量供給機と連続混練装置及びベント式押出機で構成されたナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。
得られた組成物の酸素指数、及び引張破壊伸びを測定し、その結果を表3に示した。
[実施例6〜9、比較例4〜6]
実施例5に準拠して、エチレン共重合体の種類と無機系難燃剤の配合量などを変更して製造し、表3に生成組成物の測定結果を示した。
Figure 2009102552
[実施例10]
実施例1に記載のエチレン系グラフト共重合体樹脂(PE−1)80重量%とポリプロピレン重合体(MFR(測定温度:230℃・荷重2.16kg)0.8g/10min、銘柄:ノバテックPP EC−9 日本ポリプロ(株)製、PPと称す)20重量%とからなる樹脂成分100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)100重量部を混合し、竪型定量供給機と連続混練装置及びベント式押出機で構成されたナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数(OI)を測定した結果、33%であった。
[比較例7]
ポリプロピレン重合体(MFR測定温度:230℃・荷重2.16kg)0.8g/10min、銘柄:ノバテックPP EC−9 日本ポリプロ(株)製、PPと称す)100重量部に、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J 協和化学工業(株)製)100重量部を混合し、竪型定量供給機と連続混練装置及びベント式押出機で構成されたナカタニ機械(株)製NCM型50mmニーダー式押出機(L/D=20)にて、190℃の温度で溶融ストランドを押出し、水槽にて冷却後、カッターを用いて造粒した。得られた組成物の酸素指数(OI)を測定した結果、24%であった。
[実施例11]
実施例1に記載のエチレン系グラフト共重合体(PE−1)100重量部に、無水マレイン酸で変性した変性ポリエチレン樹脂(銘柄:アドテックス L6100M 日本ポリエチレン(株)5重量部、水酸化マグネシウム(銘柄:キスマー5J協和化学工業(株)製)200重量部を混合し、加藤製作所製NCMにて、220℃の温度で溶融混練し、ペレット化した。得られた組成物の酸素指数は、36%、引張破壊伸びは550%であった。
[各実施例と各比較例の結果の考察]
実施例1,2におけるリン化合物単量体単位のIRペクトルデータ、及び無水マレイン酸単位のIRペクトルデータにより、本発明の新規なエチレン系グラフト共重合体のポリマー構造が、先の式(I)及び(II)のグラフト重合体部分を有する構造を成していることが実証されている。また、実施例1,2のMwのデータから、本発明のエチレン系グラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)が5,000〜500,000の範囲にあることも実証されている。
そして、実施例1〜11の酸素指数における、対応する比較例との対比により、本発明のエチレン系グラフト共重合体及びそれと他のポリオレフィン系樹脂との組成物が、従来のポリエチレンに比べて高い難燃性を有していることも明らかにされている。
また、無機難燃剤を配合している、実施例5〜9,11における引張破壊伸び率のデータにより、本発明のエチレン系グラフト共重合体及びそれと他のポリオレフィン系樹脂との組成物が、従来のポリエチレンに比べて高い難燃性を有していると共に、ポリエチレン樹脂本来の優れた物性も些かも損なわれずに保持していることも明らかにされている。
特に、実施例5においては、従来の難燃組成物である比較例5(HDPEベース)に比して、酸素指数や引張破壊伸び率が飛躍的に向上しており、実施例6においては、従来の難燃組成物である比較例6(EEAベース)に比して、水酸化マグネシウムが半分量の50重量部の配合量であっても、酸素指数がかなり高く、かつ引張破壊伸び率もかなり高くなっている。
なお、比較例4の従来品は、大量に難燃剤を配合したので、難燃性が各実施例より少し高くなっているが、一方、引張破壊伸び率が非常に悪くなっており、これらのバランスが全くとれていない。
したがって、本発明のエチレン系グラフト共重合体は、難燃性が高いと共に、ポリエチレン系樹脂材料本来の格別に優れた特性を充分に発揮できる新規なエチレン系グラフト共重合体であることが実証されている。

Claims (9)

  1. ポリエチレン重合鎖(A)60〜94.5重量%に、下記式(I)で表される炭素−炭素二重結合を有するリン原子含有単量体単位(B)5.0〜30重量%及び下記式(II)で表される無水マレイン酸単量体単位(C)0.5〜10重量%がグラフトしてなり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される重量平均分子量(Mw)が、5,000〜500,000であるエチレン系グラフト共重合体。
    Figure 2009102552
    (ここで、R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基を表し、nは0〜4の整数である。)
    Figure 2009102552
  2. 請求項1に記載されたエチレン系グラフト共重合体0.5〜95重量%とポリオレフィン系樹脂(D)5〜99.5重量%とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 請求項1に記載されたエチレン系グラフト共重合体を含む樹脂成分100重量部、又は請求項2に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に、無機系難燃剤30〜200重量部を混合してなるポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. ポリオレフィン系樹脂(D)が、密度0.86〜0.94g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレンと不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体との共重合体からなる群から選ばれる、少なくとも一種のポリエチレン系樹脂であることを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 無機系難燃剤が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
  6. 請求項1に記載されたエチレン系グラフト共重合体を主材とすることを特徴とする成形品。
  7. 請求項2〜請求項5のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を主材とすることを特徴とする成形品。
  8. 請求項1に記載されたエチレン系グラフト共重合体を用いることを特徴とする電線・ケーブル。
  9. 請求項2〜請求項5のいずれかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物を用いることを特徴とする電線・ケーブル。
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